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まちづくりチョビット推進室
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まちづくりチョビット推進室

京都府地域力再生活動
京都三条ラジオ・カフェ(79.7MHz) にて、
『まちづくりチョビット推進室』という番組を下記の予定で放送中です。
放送日時は第3、第4土曜日(15:30~16:00)
(詳細はラジオカフェのページでご確認下さい)
『まちづくりチョビット推進室』は、
「京都市景観・まちづくりセンター」と、平成25年、26年度の間、共同企画で行っておりました。
   
  過去のアーカイブ(第1回~116回)はこちら をご覧下さい。(過去の記事のリンクについては切れている場合があります。ご了承下さい。)
 

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第169回 ・京都市初の「市民緑地」整備ってなに?~にぎわい・いこいの空間で何が起きるのだろう?

ラジオを開く

朝: 朝山 勝人 氏(京都市建設局 みどり政策推進室 事業推進担当部長)
岩: 岩村 謙次 氏(京都市建設局 みどり政策推進室 緑化推進課長)
水: 水江 勝  氏(京都市建設局 みどり政策推進室 担当係長)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
       (左から朝山氏、水江氏、岩村氏)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲストはお二方お呼びしております。正確にはお三方で、コロナの状況下でスタジオ入りできるのはゲストの方お二方までなのですが、外にもお一方。ご近所さんです。ここは三条寺町ですけど、京都市役所から来ていただいています。
ご紹介いたします。京都市建設局みどり政策推進室緑化推進課長であられる岩村謙次さんです。よろしくお願いいたします。
岩: よろしくお願いいたします。
絹: そしてもうお一方。担当の係長さんです。水江勝さんです。
水: よろしくお願いします。
絹: それから部屋の外におられる朝山部長~!
朝: はーい。よろしくお願いします。
絹: まずは今日のタイトルです。「京都市初の“市民緑地”整備ってなに?~にぎわい・いこいの空間で何が起きるのだろう?」と題してお送りします。さあ、どんなお話になりますか。岩村さんと水江さんに徐々に紐解いていただきます。
それでは先ほどご紹介しました岩村謙次さんと水江勝さん、この番組のヘビーリスナーの方なら絹川が時々手を抜くというのを知っておられます。いつもの他己紹介でまいります。
岩村謙次さん、水江勝さんの人となりを短く述べよ(笑)と、無茶ぶりをさせていただきます。
岩: 打ち合わせになかったですよね(笑)。水江係長は東本願寺前の市民緑地の事業を担当しておりまして、係員も一名、二名でこの事業を担っていただいています。大変しんどい仕事だと思うんですけど…。
絹: ほんまですねえ。二名でこんなでかい事をやらはるとは、ちょっとびっくり!
水: そうなんです。私もびっくりしてます(笑)。
岩: 日々残業が続いているなかで、一生懸命頑張って良いものをつくっていこうと奮闘しているところです。
絹: 残業と聞くと、我々建設屋は今もう、背中がゾクッとしてしまいます。働き方改革と言われていますが、お互い気を付けましょうね。岩村さんありがとうございました。
水江勝さん、右隣に座っていらっしゃる上司、岩村謙次とはいかなる人物ぞ、短く述べよ!
水: 私も4月からみどり政策推進室の方に着任させていただきまして、最初課長を見た時には、「すごい目力のある方やな」と思って、すごい心配やったんですが(笑)、いざ話してみると、すごく部下想いと言いますか、色んな細かいところから気を遣っていただきまして、課長としてはうちでは一番部下の多いラインにはなっているのですが、非常にみんなに対して気を配ってくださる上司です。
絹: はい、ありがとうございます。よいしょ(笑)。これも打ち合わせになかったですけど、外に今来て下さっている朝山部長についても、人となりについて一言どうですか?
水: 我々にとって上司というのは、普通は話しにくい部分とかあったりするものですが、部長については普段からこちらに声かけとかしていただきまして、非常にこちらとしても話しやすい環境づくりをしていただいています。
絹: ありがとうございます。私もこの番組をつくるために、1~2度お会いして、みどり推進に行ったのですが、気楽に来てくださって、電話でアポイント調整等、自ら乗り出して下さって、本当に助かってます。朝山部長ありがとうございます。
ということで、本題に入ります。まずエピソード1として「そもそも初の市民緑地ってなに?」というところから入っていこうと思います。リスナーの皆さん、これから説明が始まりますが、どうやら東本願寺さんの前に何か素敵な空間ができるということで、そのご担当にお二方に来ていただいています。岩村さん、まず口火を切っていただけますか。これ、そもそも何が起こるんですか?
 

■エピソード1 そもそも初の市民緑地って、なに?
●市民緑地と都市公園、どう違うの?

岩: 今、東本願寺の前には、東本願寺さん所有の緑地と、その間に京都の市道が走っています。この市道を閉鎖して一体型の市民緑地として整備していこうという考えで、今事業を進めております。市民緑地というのは京都で初ということなのですが…。
 
      (京都市ホームページ 広報資料より)
絹: 今まであったような響きの言葉ですけど、なかったんですね?
岩: 市民緑地って、どこにでもあるようなネーミングですけど、京都市にある公園は全部「都市公園」と呼んでいるんです。ちょっと難しい話になるかもしれませんが、都市公園というのは都市公園法に基づいて整備された公園であるのに対し、市民緑地は都市公園法に基づかない、都市緑地法ということで法律が違うんです。
絹: ほう、よって立つ法律の建付けが違うと。そこでは何かえらい違いがあるんですか?
岩: 法律自体が、もとからある緑を保全しましょうという目的の市民緑地整備であるので、本願寺さんの敷地にあります大きな銀杏とか欅を保全しつつ、緑地として道路も含めて整備していこうということです。
絹: ということは、市民緑地ができるからと言って、「賑わい景観できるから、銀杏や欅がじゃまになるし、一本切ってもいい?」となると、「こらー!」という話になるんですか?(笑)
岩: でも数本は切ることになるんですけどね(笑)。ちょうど本願寺さんの緑地の真ん中に噴水がありまして、これが調べてみますと、武田五一という有名な建築家が(デザインは別の方ですけれども)設計をされたと。そこを一回り広げて、噴水広場の中でもイベントができるようなにぎわいの創出をしていきたいなと考えています。
絹: 武田五一先生と言えば、私みたいにあまり勉強したことない者でも、ちょっと建築をかじった人は「はああ」と思いますよね。
岩: 京都市の本庁舎も武田五一の設計です。
 

●東本願寺と京都市が協働してつくる緑地空間として

絹: そもそも市民緑地がよって立つ法律が違うと。緑を大事にしましょうという足がかりで整備していくことが起こりそうです。リスナーの皆さんに念のため、手元資料を一部だけ読ませていただきます。
東本願寺前は緑豊かな空間のもと、「下京・京都駅前サマーフェスタ」など、地域の方々と共に京都市東本願寺を始めとした関係者が協働して、地域の活性化に向けた取組や活用が展開されています。そのようななか、京都駅周辺の活性化に取り組む京都市と地域に開かれた門前を目指す本願寺さんの想いが一致して、京都市道と東本願寺所有の緑地を一体的な緑として活用できる整備を行うことで、市民緑地として整備することになりました。
と書いてあります。リスナーの皆さん、東本願寺さんの前に道が二本走っている部分、あそこです。武田五一先生の噴水があって、緑は東本願寺さんの所有、市道は京都市の所有で、それを一体化してどんな風になるのでしょうねえ。今度は二人だけでこれを料理しようとしている水江さん、もうちょっと補足いただけますか?
 

●石畳風舗装って、覚えておられますか?

水: 今回の整備は、緑地部分と京都市の市道部分を一体とした市民緑地という形でさせていただきます。その中でも今回、緑地の部分については、今も現状木はあるのですが、新たに桜等を植えさせていただいて、四季折々の緑が見られるという空間をつくり、市道部分の所は石畳風舗装と言いまして、石畳のような舗装のしつらえにさせていただき、そこではイベントなどもできるようにさせていただく予定です。
 
        (京都市ホームページ 広報資料より)
絹: 石畳風舗装って、リスナーの皆さん、覚えておられますか?ここで特集番組(第85回放送:平成24年7月24日)をやらせていただいたこと、あるんですよね。平安神宮の前の整備も確か石畳風舗装ですし、裏千家さんの今日庵さんの前の小川通も石畳風舗装、それから天神さんの東側もだいぶんと拡がっていましたよね。
身びいきの発言かもしれませんが、「ええ感じやな」と思っております。実は同業者と言いますが、私もそこのメンバーですけれども、京都道路建設業協会という舗装屋さんたちの集まりと京都市の建設局さんが共同研究で新しい工法を実験しながら編み出したものです。広く使ってくださいという工法なんです。
本当の石を使うと高いですけれども、本当の石ではないけれども、色々工夫をして、ショット・ブラストをかけたり、カッターで目地を入れて、石に見えるようにしたり、さらには保水性を高めるようにしたりと…。お水を撒いたら、夏の暑い日、ゆっくり蒸発するような工夫です。例えばパンパースの中身のような、水をためるような材質を中に混ぜるわけですが、その比率があんまり高いと舗装が弱くなるし、みたいな実験をかつて繰り返した覚えがあります。そんな地元の建設屋の目から見ても、この工法が取り入れられるとうれしいなと思えるような工夫が組みこまれているようです。
 

■エピソード2 市民緑地の将来像を考える
●イメージは神宮道、でももっと高いポテンシャルがあるはずです!

絹: お二方はこの市民緑地で何が起こってくるとうれしい、どんな風になったらいいのになと思っていらっしゃいますか?
岩: 先ほど絹川さんもちょっと触れられた岡崎ですね。神宮道。あそこも市道を廃道にして、公園と一体整備して、今はコロナでちょっとダメですけど、コロナ禍の前はあそこでイベントをして、色んな食べ物屋さんが来て、賑わいがすごくあったわけです。
今回のここの場所は、京都駅から歩いてすぐ5分以内で来られますので、すごく便利がいいんです。ここがイベント会場になれば岡崎以上の賑わいの創出ができるのではないかという、そういうポテンシャルはすごく高いと思っています。
絹: リスナーの皆さん、神宮道、平安神宮の鳥居の辺り、今、岩村さんは行政マンらしく廃道という漢字を使われましたが、要は車が入れなくしたわけです。そして公園と一体化した。「あれ、前は鳥居の所まで車で走れたのに、右左にハンドルを切らなあかん」と思われていると思いますけど、あそこ僕も何回か行ったんですけど、ええ雰囲気でしてね。
ちょっと誤解を恐れずに言いますと、中学高校の文化祭みたいなのを、ええ大人がずっとやったはるみたいな感じで。例えば手作りの小物やお菓子を売っておられたり、骨董だのなんだの、おまけにあっちこっちでおしゃべりが起こっているんですよね。本当に大学祭や学園祭の市民版みたいなことが起きていて、小さい子も、バギーに乗った赤ちゃんを連れたお母さん方も、家族連れでいい雰囲気でした。ああいうことを考えていらっしゃるんですね。
岩: はい。
 

●イベントではキッチンカーやテントが並んだりして…

絹: それがまた、京都駅に近いとなると、あれのパワーアップ版にならへんかと思っておられるわけですね。ひょっとして、この石畳風の所、本願寺さんの前、市民緑地やから、例えばキッチンカーの列がダーッと並んだりするのは許されへんのですか?許されると思います?
水: イベントについては、そういうキッチンカーを並べていただくとか、あとはテントですね。テントで飲食店を出していくというところも、今後ルールとして考えて行こうと思っているところです。
絹: そぞろ歩きしながら、休みの日にアテを仕入れてビールでも噴水の前に腰かけてと。多分座れるベンチ的なものも今後考えていかれるんでしょうねえ。
エピソード2で私がお聞きしたかったのは、京都市と東本願寺さんの想いが一致した、握手しはったというのは、どのあたりですかというのを聞きたかったんです。それと毎年サマーフェスタとか前夜祭とかもやっておられて、今でも結構ええ感じの場所なんですよねというのも、併せて一緒にお聞きします。どうですか?
        (京都市ホームページ 広報資料より)
 

●東本願寺さんとの協働のきっかけ

水: 東本願寺さんとはこれまでから京都市の市道を挟んで緑地がありますから、これまでもサマーフェスタや普段地域の方がそこに遊びに来たり、散歩されていた場所になっています。ただ今は実際には普段平日とか見ると、人が少ないのかなという日も見受けられます。
今後、東本願寺さんとしては地域に開かれた門前、京都市としては京都駅から近く、京都周辺の活性化という目標に挙げていますので、そちらが両方とも達成するということで、今回市民緑地という考えが一番だということで思いが一致しました。さらに区役所の方も、この東本願寺市民緑地の前を今後利活用していくために盛り上げていこうと、事業をさせていただいています。そこで色んな意見が出て、どういった形で市民緑地を使っていくのか、今後詰めていきたいなと思っています。
絹: 素晴らしい。どうもお寺さん側から言うと、「敷居が高いと思われているのでは」という思いがあったんですよね。「もっと来て」と。前でこれだけ賑やかなイベントなどがあったら、東本願寺に来てくれる人、何か相談に来る人、もっと来てほしいという思いと京都市の狙いと一致しているということですね。
 

●市民緑地の取組、区役所も働きます!

絹: それから区役所というキーワードが出ましたね。この頃京都の区役所って、以前に比べて元気と違います?
岩: そうですね。元気ですね。
絹: 僕もお世話になったことがあるんですよ。下京区役所の下京町衆倶楽部というところのメンバーでして、一般市民にアイデアを募って「区長権限で活動助成をするぜ」という取組みがありました。「助成するだけじゃなくて、知恵を出せ」みたいな人をチームで集めて、とにかく下京区が元気になる、何か困りごとを解決するというワークショップを結構丁寧にやっておられました。今もたぶんそういう動きが残っているのでしょうねえ。
 

●是非、皆さんも興味をもって、お知恵を貸してください

絹: で、ここの初の市民緑地、まだ愛称とかもついてないんですよね。そういうのも周りの市民にも「知恵貸してな」ということがたぶん起きてくるでしょうね。今日、こうやって岩村さんと水江さんが担当して、「市民緑地、初なんですよ、やるんですよ」と言いに来てくださいましたが、我々一般市民の側は、実は知っているようで、色んな事を知らないんですね。リスナーの皆さんにも言っておきたいんですけど、行政の人って、奥ゆかしいんです。「わしら、こんなすごいこと、やってるねんぞ」とは、まず言わはりません。だけどこれ、結構すごいはずですよ。だって初ですもん。それで人が寄って、例えばキッチンカーが活躍する場所ができるだけでも、そこは雰囲気明るくなりますよね。行政が勝手にやっているだけではなく、知恵も出せよと言ってくれているところに、京都市民というのは、ある人に言わせると「おせっかいが多い」とか「民度が高い」らしいんです。「こんなアイデアどうですか?」なんて、結構言ってくる人いますよね。そういう声を拾う立場と言いますか、私の知る限り、他都市に比べて京都市はだいぶ取っていると思っています。ですから是非、この京都市さんと東本願寺さんの初の取組み、リスナーの皆さんの応援をお願いします。面白いことが起きて、楽しい場所、京都にまた新しい名所が1つできて、市民が集えるという所ができると、何かうれしいじゃないですか。
          (京都市ホームページ 広報資料より)
 

■エピソード3 ふるさと納税と市民緑地
●朝山部長、飛び入り参加していただきます

絹: ということで、朝山部長にもちょっとだけ飛び入り参加していただきたいんですけど、頼んでもらえませんか。ふるさと納税とか、寄付とかについて、部長と喋れそうですか?
今、岩村課長と朝山部長が今交代されます。ご紹介いたします。建設局みどり政策推進室事業推進担当部長であられます朝山勝人さんです。残りの時間で、ふるさと納税、それから寄付のお知らせについて少し語っていただけると嬉しいのですが。
朝: はい。今回の京都市の東本願寺前の市民緑地なのですが、本来でしたら当然行政の方が費用を負担して整備をしていくということなのですが、皆さんご存知のように、京都市の財政状況も非常に厳しいなかで、なおかつここの部分が9800平米ほどの広さのオープンスペースができることになります。また東本願寺さんが観光客の緊急避難場所という形になっていまして…。
絹: これ、大事なポイントです!
 

●防災の機能も併せ持つ市民緑地として

朝: そことこの市民緑地とを一体的に活用することにより、災害時などの緊急避難場所の支援ができるという防災の機能にも非常に役立つ公園、市民緑地になります。そういう整備を進めて行くということで、できましたらふるさと納税として、企業さんや個人さんから募集を募っています。10万円以上寄付をいただく場合は、市民緑地の芳名板にお名前や企業名を記載させていただきますので、是非ともご協力をお願いしたいということです。よろしくお願いいたします。
 

●但し書きにかえてーご寄付について

絹: リスナーの皆さん、「名前なんか出さんといて、お金だけ出すし」も大歓迎でございます(笑)。ただし、私のような地元京都に本社がある企業が法人寄付をしても、税金は安くなりません。できれば京都市外の、例えば滋賀県の企業が寄付してくださるとなると、減税措置があります。
減税になる、ならない。それから個人の皆さんでご寄付いただいても、京都市は「そんな返礼品で釣ろうなんて…。仕事の結果で見てください」というスタンスを取っておられますので、京都市民に対しては返礼品は用意されておりません。ただ、市外の人たちには「京都市はたしなみとして返礼品をお送りします」というスタンスを取っていらっしゃいますので、一言申し添えます。
ということで、必要な情報は行きましたでしょうか。
朝: ありがとうございます。
絹: 水江さん、言い残したこと、ない?
 

●工事が間もなく始まりますが、ご協力をよろしくお願いいたします。

水: 市民緑地の整備の工事を間もなく始めさせていただく予定ですので、その時には近隣の方はじめ、その前を通られる方に非常にご迷惑をおかけすることがあるかもしれませんが、ご協力をよろしくお願いいたします。
絹: 「こんな所で埃をたてやがって」とか、「車を止めやがって」とかって、怒らないでくださいね。私の本職知っておられますよね、建設屋です。できてくるものを期待して、「不便やけど、頑張れや」と言っていただいたら、建設屋はもう本当に舞い上がりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
皆様、いかがでしたでしょうか。東本願寺さんの前に京都市初の市民緑地が整備されてまいります。是非ご期待ください。
この番組は心を建てる公成建設の協力と、我らが景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。朝山さん、外に出ていただいた岩村さん、それから水江さん、ありがとうございました。
投稿日:2021/10/07

第168回 ・山に道を作る~林業からの6次化ビジネスへ

ラジオを開く

今: 今西 恵一 氏(株式会社 志賀郷杜栄 代表取締役)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
        (今西 恵一 氏)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。コロナのせいでマスク越しで、しゃべりにくく御聞き苦しいのを許してください。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト紹介でございます。私にとっては建設業界の兄貴分、先輩であらせられます。今西恵一さんです。先輩よろしくお願いいたします。
今: こちらこそ、よろしくお願いします。
絹: 今西さんとの出会いをちょっとだけ語らせていただきますと、だいぶ前なんですけど、建設業協会に私がペーペーで出入りして、その時に先輩でおられました。伏見に協栄建設さんという土木系がお強い会社があります。そこで現在も専務さんですね。
今: もう専務はリタイアしました。去年無事全て年季奉公が終わりまして、今は完全に別会社の志賀郷杜栄の代表取締役一本に専任しております。親会社に協栄建設がまだ入っていますので、その関係はまだ続いています。
絹: 志賀郷杜栄(しがさともりえい)。面白い字を書くんです。「しが」は滋賀県の滋賀ではなく、志賀高原の「志賀」です。「さと」はふるさとの「郷」、「もり」は杜の都の「杜」。「えい」は栄えるの「栄」と書いて、志賀郷杜栄の代表取締役をされております今西恵一先輩であります。
大昔、僕はとんでもない妄想レポートを書いて、今西さんに渡していたという事実があります。なんと2007年2月14日、「森からの大風呂敷」というレポートを恥ずかしげもなく、今西先輩に渡しておりました。それが今、今西さんが志賀郷杜栄という会社を興されて、山の中に入って動いておられるということに、何かちょっと影響を与えたというと、口幅ったいですし、えらそすぎますけど(笑)、「関係あるねんぞ」と以前言っていただいた、その辺りからエピソード1を始めましょうか。
 

■エピソード1 『森からの大風呂敷』から始めましょう
●絹川さんにちょっと背中を押されました

今: 2007年ですから、今から14~5年前になりますけど、建設業がもう本当に疲弊していた時代がありまして(今は結構息を吹き返して、それなりに目立った存在になっていますけど)、当時は国交省から会社を解散するか、もしくは異業種に参入するかに補助金が出ていた時代でした。
絹: あれってリーマンショックでしたっけ?
今: いや、それよりも前で、小泉政権が始まったくらいに、公共投資が一気に蓋をされた時でしたね。
絹: コンクリートから人へという辛い時代のまだ前ですよね。もう一回その前に辛い時代があったと。
今: 日本道路公団が民営化されるとか言っていた頃ですね。その頃にうちの選択肢の中に異業種参入があって、林業に行こうか、まだ私も自信がない時に(模索していた時期でもあったのですが)、絹川さんが「林業に興味を持ったはるらしいですよね」と、うちに来ていただいて『森からの大風呂敷』を見せられた時に、「あれ、結構絹川さんも興味あるやん」と(笑)。
内容を見させてもらうと、森に入ると心地よさとか、人間の原点に帰れるみたいなことが色々数ページに渡って書いてあるわけです。「人間の原点の中にある自然環境に携わるということを、もう一回考え直した方がいいかな」という思いに、ちょっと背中を押された。きっかけになったというのが本音の話です。
 

●絹川が森の中で考えたこと

絹: いやあ、光栄です。本当に駄文と言うか、妄想レポートを書いて、ちょっとお借りしますね。もう自分が何を書いたか、忘れているんですけど。
今: 最初、木を切った時の醍醐味とか、伐倒した時の達成感とかを、ものすごく赤裸々に書かれていて…。
絹: ちょっとリスナーの皆さん、共有させてくださいね。ちょっとだけ読みます。
森の中で考えたこと。
平成18年12月のある日、人づてにモデルフォレスト協会事務局長に会ってみるとよいと助言を受けて、京都府庁を訪れた。コミュニティFMで自主製作している番組(まちづくりチョビット推進室)のゲスト出演依頼のためであった。
その事務局長から突然「絹川君、次の日曜日空いてるか?」と聞かれて、思わず「はい」と言ってしまいました。で、行った先は府立大学の演習林で、間伐枝打ち体験に参加することになりました。
私らは素人ですから、チェーンソーとか使わせてもらえません。
今: そうですよね。よう、手のこで切ったなという感じで(笑)。
絹: 昼でも薄暗い檜の森の中、その日初めて出会った人たちが8人1チームになって、専門家の指導のもと、直径20~30㎝のそんなに大きなものではないのですが、手のこで切ったんですよ。高さは大きい物で8mくらい。でもね、ボランティアの間伐と言っても、「しくじったら、大腿骨骨折くらいあるぞ」と脅かされて(笑)。
今: いやぁ、あるあるある!
絹: それをみんなで汗かきながらロープを引っかけて、切り倒して、そうしたら薄暗い森の天井に、パッと明るい所ができるんですよね。そして切り株から檜の香りがワッと立ち上って、安堵感と、わあっと思ったというのが、このレポートの書き出しです。
ちょっと臨場感を共有していただけましたでしょうか。
 

●タイトルコール忘れてました(汗)

絹: 今西さんはこういうお仕事を今、間伐ということだけじゃなくて、路網整備を行っておられます。間伐するために必要なのは、道やないかと。
今: そうそう、それが一番のキーワードになってくるんです。
絹: 今、えらい事を思い出しました。タイトルを言うのを忘れてます(笑)。今西さんと一緒に考えたタイトル行きます!「山に道をつくる~林業からの6次化ビジネスへ」。これが今西先輩が志賀郷杜栄を率いてなさろうとしているところです。
(株式会社 志賀郷杜栄 HPより抜粋)
今: 私も1つ言い忘れていました。今日、MCをされている絹川さん、私を「先輩、先輩」とおっしゃっていますが、実は歳は1つか2つしか変わらないので、高齢ではないということをご理解いただきたいのがまず1つ(笑)。
絹: でも業界経験年数はかなりあいていると思うんですよ。僕は社会に出るのが、人より遅れていますので(笑)。
 

●志賀郷杜栄という会社名について

今: それから会社名で、変わった呼び名になっているのは、基本的に我々が最初の取っ掛かりとして山に本格的に道をつけさせていただいたのが、京都府の綾部市の志賀郷地区の共有林を預かった事が始まりだったんです。
絹: 志賀郷というのは固有名詞から…。
今: 志賀郷地区という所があるんです。綾部にはほかにも神林地区とか色んな地区があるのですが、その中に大きくまとまった志賀郷地区という所がありまして、そこの共有林の約200ヘクタールを預からせてもらったのが始まりでした。
絹: 200ヘクタールもいきなりですか?
今: 200ヘクタールの中に現状は40㎞ほどの道が入っています。これは全部うちの林オペレーターが完成した道です。うちも一歩目が志賀郷だったので、できたら志賀郷地区のこの共有林の貢献度を高くしたいと思って、名前を入れたというのが1つと、次の「杜」ですが、普通の木が3つの森ではなくて、「木へんに土」にしているのも、元々私は土木屋で、土木が結構好きだったので、土と木を横に並べたら「杜」になるでしょう?(笑)。
絹: 未だに僕は建設業の先輩という意識でおりますが(笑)。
今: それに僕が元々在籍していた協栄建設の「栄える」という字を合わせて、志賀郷杜栄という名前を付けさせてもらったわけです。
絹: いやぁ、こだわり満載のしゃべりでございました(笑)。
 

●人間が伐倒することで、光が入り、風が入り…

今: というのを冒頭付け加えさせていただいて、エピソード1に入らせていただきたいのですが、その中に先ほど絹川社長が言われていたように、やはりその当時はまだ右も左もわからない状態だったのですが、やはり人間が伐倒することによって、木が倒れ、そこに光が入り、風が入り…。
絹: 今西さん、「伐倒」と言われましたが、刀を抜く「抜刀」ではないですね(笑)。
今: 我々は今チェーンソーでやってますが、今頃手のこでやっていたら大赤字になります(笑)。そこでやった時の達成感、自然に携わっているということが、たぶんその当時、絹川社長も受けられた感受性と同様なものだったのではないかと感じたわけです。
絹: 本当にそれを覚えましてね、チェーンソーのガードをするためのチェーンソーパンツを着こなしている若い方、あれを見て「かっこええな」と思いましたね。
今: あれ、一本2~3万するんですよ。
絹: 地下足袋をきりっと履いている人、それから穴を掘って、おがくず埋めて「ここでおしっこしい」と、トイレも作ってくださる。その当時の京都府の副知事さんが、小石原さんで隣で木を切っておられたんです。私の事ですから、えらいさんの顔を忘れていて、「絹川さん、立場上、ご挨拶に行かれたほうがいい」と周りの人に言ってもらって(笑)、ご挨拶に行って、当時の副知事と一緒に握り飯を食べさせてもらいました。
 

●若い人に思う事と“租庸調”

絹: 当時僕の息子は中学生くらいだったのですが、その年頃の子どもたちがこういう森の中に入って木を切って、危ないけれどもきちんと林業の専門家に指導を受けたら、夏休み、冬休み、春休み、いいなあと。その時には2つアイデアが浮かびまして、昔歴史の授業で、「租庸調」という古代の税制が浮かんだんです。そこで「絹川くんとこの息子二人、今年は夏に10日間、春に3日間、山で汗を流して、木を切ってきたと。そしたらその分、親父の税金まけたるわ」と(笑)。
今: 賦役みたいなもんですな(笑)。
絹: その後、副知事に挨拶に行ったんですよ。そしたら秘書官の人が「絹川さん、副知事室どうぞ」と言われて、初めてそんなところに入ってびっくりしたんです。で、その時のものすごい達成感で、「こういうことに参加する子どもたちができたらいいですね」と。それどころか租庸調の話までしてしまって、そこのレポートにも書きましたよね?
そしたら副知事が、「これ、村仕事と言うねん。昔はどんな偉い庄屋さんでも、わしらの田舎では人を出さなあかんかってん(賦役)。絹川くんは現在にそれを蘇らせたいんやな」と言って、意気投合してしまって、それでレポートを書いたんです。
 

■エピソード2 持続的な森林整備のために
●会社の平均年齢は30歳

絹: 今西さんが今、山に道をつくるという志賀郷杜栄の林業からの6次化を目指す中で、ひょっとしたら若い衆をはじめ色んな人を山に導こうとしておられるに違いないと踏んでいるわけですけど、そのあたりはいかがですか。
今: その若い人ということについて、うちの会社自身、社員が10人おるのですが、平均年齢は30歳です。
絹: 若い!
今: 林業の場合、若い子でないと難しいのは、スパンが20年ごとに変わっていくためです。そうすると今、60代の我々が繋ぎ役で、その下はもう50代でも繋ぎ役としての役目しかないわけです。
絹: 木が育つのに時間がかかりますものね。
今: 伐期が約15~20年かかるから、少なくても30代、もしくは40代で、しかも50手前くらいの人間は自分の息子までをうちの会社で動けるように考えてもらいたい。そのくらいのスパンで山というものを考えて、働くときには長期プランで仕事をしないことには最終的な形が残らない。そうするとどうしても若年層の方にまず入ってもらうことが最優先になるわけです。
絹: 平均年齢の30歳ということですが、やたら高学歴の若い人がいるみたいですね。
今: 高学歴もいますし、普通のもいますし、まあ国立大学は4人ほどいますけど(笑)。
絹: 山に道をつくると言っておられる林業の会社で、院卒がゴロゴロいるというのはどういうことですか。
今: 院卒は3人いますね(笑)。阪大と府大と新潟大学やったかな。
絹: それをお聞きしてね、何か救いがあるなと。若い人たち、目が曇ってないなという気がしてね。そういう所へ行こうと。山の中じゃないですか。下手をしたら移住みたいな感じでしょ?
 

●若者の移住とイノベーションと

今: 移住を好む若者が逆に多いんです。今は。
絹: 捨てたもんやないあなあ。大したもんやなぁと思ってます。
今: ええ、全然ないです!だから余談ですけど、綾部から会社をこちらに向かう時に、その阪大卒のヤツは、うちの事務所で草刈りをドロドロになってやってましたけどね(笑)、そういうことを結構平気でやるんです。なぜかと言うと、移住しに来ているんだから、草刈りや道の普請をするのは当たり前やと思っていますから、却ってそこには何の隔たりも起こらないわけです。ですから市街地にいる若い子がどうのではないですけど、そこにいることによって彼らは高い教育水準をある程度受けているから、そういう仕事を繰り返すことによって、勝手な単調なイノベーションを繰り広げていくわけです。そのイノベーションから生まれた段取りや作業メニューは、今後有効な手立てになるということを、上の方がガバナンスしてやる。それが今後の移住者には必要かなと思って取り組んでいるところです。
 

●なぜ山に道が必要なのか

絹: その路網整備、土木屋としての誇りをもって技術をお売りになっている。でもリスナーの方々は「なんで山に道がいるの?」というところから説明しないと、ひょっとしたらお判りにならないかもしれません。かつてこの番組で「山が病んでいるんやない、人が病んでるんや」という番組を作ったことがあるのですが、私も建設屋の端くれでございますから、災害のあと地の視察などに入ります。京都府北部の土石流、大雨の後の倒木の現場などに入った時には、可哀そうに新築の家に細い杉が突き刺さっていて、一階が泥だらけになっていましたし、あたりには間伐体験の時の杉のような、ひょろひょろの杉が埋まっていて、「山に生えているんやない。杉畑や」という言い方をされる林業の専門家がおられたほどです。ですから大雨が降ったら、表土と共に流れてしまって、大変なことになる。そうならないようにヒョロヒョロのもやしの杉にならないように、間引いてやらなければならないのに、近づける道がない。そもそもそれが間違いなのだと。
今: ああ、一緒です。
絹: 路網と言うのですが、我々建設屋の世界で、コンサルさんがきちんと設計した高規格林道となると、めちゃくちゃ高いので、現地に即さない。そんなことをするとお金がかかるので、道がつくれなくて、大掛かりなワイヤーロープを張って、そこでケーブルカーみたいに…。
今: 架線集材ですね。
絹: リスナーの皆さん、イメージしてみてください。山の上の高い所から集積所にワイヤーをはって、ロープウェイのようにぶらぶらと下まで行くわけです。ところがそんなことをしていたら、高くてやってられません。0の数がいくつか違うようなノウハウを持っていらっしゃるのが、志賀郷杜栄の皆さんと言うか、具体的に言うと林さんというオペレーター、手練れがいらっしゃいます。
 

●路網整備、四万十方式という技術

今: 彼の存在が一番でかいということですね。
絹: 見ている間に道が40~50m?
今: 今なら50~80mくらい行きますね。場所によりますけど。
絹: 本当に建設屋の一般常識から言うと「ええ!」と言うような技術です。道をつくって残土が出ない。現地の材料、それから現地の表層土、植生を活用するがために、コンクリートで固めてないのに長持ちをする。それは水の処理の仕方やカントのかけ方などノウハウがどんどん蓄積されているそうですが、そもそもは四万十方式というのを、田邊由喜男先生に学ばれたと。
今: そうです。山に道をつくるというのは、一般の建設業と全く一緒で、インフラになる。道があることによって我々は高度成長を支えたわけです。高速道路しかり、国道しかりで、建設業をやっていたら、道というもののウエイトは非常に高いわけです。下水道も、上水道も…。
絹: 動脈、静脈など血管に当たると。
今: その中に細部的な毛細血管ができてなかったのを、構築することによって、経済性に優れた搬出方法ができるはずだというのが、うちが道を大事にしている所以なのです。
絹: それが志賀郷地区で200ヘクタールの共有林に既に…。
今: 40㎞。
絹: つけまくってはるやないですか!
今: ヘクタールにだいたい200mになるんですよ。
絹: すごいなあ。是非リスナー皆さんにも現地を見ていただきたい。見ている間に道ができていく。しかも建設残土が外へ出ない。現地にある材料で長持ちをする。どんどん植生が回復していく。表土と芯の土をうまくサンドイッチされたり、これは一言では説明がしにくいので、百聞は一見に如かずです。それを見てもらうためにもイベントが用意されているということです。
 

●8月28日にイベントをやります!是非、ご参加ください!

今: 8月28日です。うちの使命としては人間が入れずに荒廃していった森林を、道をつけることによって、人を呼べるようにしていく。人が入ることによって、持続的な森林整備をしていくなかに、どうしても観光資源的な役割が必要なのですが、それをどうつなげていくかを、今考えています。その観光資源の中に桜を植樹していこうというマスタープランがありまして、その前段階として、どうしても桜を植える場所を整備しなれければならないわけです。やはり小汚い所に桜を植えたところで映えませんので。そこで少しでも多くの人に来てもらい、軽い作業で、ある程度の整備を行うことを、皆さんに募りたいと考えました。「森林整備とジビエカレー」というテーマで、8月28日にイベントをする予定になっています。
絹: ここにフライヤーを用意していただきました。「志賀郷奥山、山桜と松茸の山をみんなでつくろうぜ!森林整備とジビエカレー」というイベントです。
今: そうです。松茸ですよ!
絹: 8月28日土曜日、10時受付開始。森林整備とネイチャーゲーム、いいですねえ。森林整備と薪づくりというのは、不要な木を切って、薪として持ち帰ってもいいですよとか、山の植物や動植物に詳しくなる子ども参加のネイチャーゲームの専門家コーチがゲームを教えてくれます。そして夏野菜とジビエ、たぶん鹿ですよね。
今: 鹿のエキスで出汁が出ているんです。
絹: それを食べて午後の2時に解散。軽作業ですけれども、山の中で山を感じてもらいたいと。今西さんとこの志賀郷杜栄さんが路網整備をされた技術についても見せていただけるかもしれません。
今: 是非見てもらえるとありがたいですけどね。
絹: 綾部市志賀郷奥山府道二股。
今: QRコードで見ていただければと思います。
絹: 検索していただいたらいいと思います。今日はボロボロ乱れてしまいましたが(笑)、時間ですので、この辺りで閉じたいと思います。また来てくださいね。
今: はい。このイベント、お待ちしておりますので、是非。
絹: この番組は心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力再生プロジェクトの応援でお送りいたしました。
投稿日:2021/08/25

第167回 ・起業家育成シェアハウスってご存じですか?~30名の起業家たちが切磋琢磨

ラジオを開く

内: 内野 匡裕 氏(株式会社 彩ファクトリー 代表取締役)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
                (内野 匡裕 氏)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト紹介でございます。起業家育成シェアハウスの企画運営をされています内野匡裕さんです。よろしくお願いします。
内: よろしくお願いします。
絹: 今日会ったのが、まだ2度目です。そして番組タイトルを「起業家育成シェアハウスってご存知ですか?~30名の起業家の卵が切磋琢磨」といたします。
さあ、リスナーの皆さん、このタイトルで何を想像されますか?実はワクワクドキドキしております。内野さんとの2度目の出会い、番組の収録に入っていきます。それでは内野さんの言葉で自己紹介をやってみていただけますか?
内: 株式会社 彩ファクトリー代表の内野匡裕と言います。僕たちは不動産にソフトの付加価値を追加することによって、特別な体験を提供したいと思っています。例えば起業家だけが住むことができて切磋琢磨できる起業家シェアハウスですとか、日本にいながら完全に留学と同じ環境に身を置くことで英語が身につく英会話のシェアハウスなどといった、あえて非日常環境を意図的につくりだすことによって、特別な体験を得ていただいて、住んでいただく方の人生が変わる機会を提供したいという会社です。
絹: ね?聞いたでしょ。変わっているでしょ?「英語漬けシェアハウス」なんてのが世の中にあることすら知りませんでした。そしてもう1つ頂いた名刺でびっくりしたのは、「シングルマザーシェアハウス」です。ほーっと思いまして、実は京都に内野さんが手掛けていらっしゃる「起業家シェアハウス Fespa 京都」というのが向日市にあるのですが、そちらを先日視察させていただきました。目から鱗の嵐でありましたけれども、まずはエピソード1として、内野さんから「起業家シェアハウス Fespa京都 in 向日市」というのはどんなんですか?というところから紐解いていただきます。
 

■エピソード1 起業家シェアハウス Fespa 京都ってどんなんですか?
●Fespa京都は向日市にあります

内: 起業家シェアハウスは、元々社員寮だった4階建ての建物を1棟まるごとリノベーションしまして、起業家専用のシェアハウスに変えたというものになります。全部で現在32名が住んでおりまして、本当に子どもたちから60代のベテランの方まで、非常に様々な方々が住まれています。
絹: リスナーの皆さんは向日市、土地勘ありますか?最寄りの駅はどこでしたっけ?やっぱり向日市?
内: 阪急線の東向日駅です。
絹: 東向日駅から出まして、坂道をテクテクと20~25分くらい歩く。暑かったら大変です。周りには鬱蒼とした竹林があらわれてきます。決して物件としては「ああ、かなりいいわあ」というんじゃないんです。キリンビールさんの京都工場が昔ありまして、京都工場がなくなって、社員寮だった建物、4階建てのRCの昭和40年代竣工だったとお聞きしました。ちょうど私どもの会社にも同じような社員寮があるんですが、昭和の匂いがプンプンする、階段室中心、外廊下なしというタイプですね。
(「起業家シェアハウス Fespa京都 in 向日市」)
 

●条件の良い物件、というわけではありませんが…

内: そうですね。やはり入居者の方々が成長のために入居しているというのが大きな特徴でして、入居者同士が常にコミュニケーションできる仕組みが整っています。例えばフェイスブックの専用のグループがありまして、日常的に「こんなことで今、困っていて、誰かやったことある人ありませんか?」「それだったらこないだやって、こうこうこうだったよ」というように、常に事業相談をし合いながら、お互いを助け合ってお互いの事業を成功に導いていくというテーマになっています。
絹: 建物としては、昭和の香りがする古い建物なんですけど、今、32名とおっしゃいましたよね。確かこの間見せていただいた時は、1階2階が1DK?
内: そうですね。60平米です。
 
  (起業家シェアハウス Fespa京都の一室 株式会社 彩ファクトリーHPより)
絹: そんなに広くない60平米で、なんとかペアや家族がギリ住めますよと。キッチンもお風呂もトイレもプライバシーがちゃんと保てますよ。それが1階2階ですよと。それから3階4階が1ユニット、5名が入るシェアルーム、ですから5人の共同生活、それも決して大きなお部屋ではないけれども、一応鍵がかかりますと。そういう所に共に住んでいらっしゃって、お邪魔した時に素敵だなと思ったのは、コモンルームと言うか共用リビングが素敵でしたね。
内: 皆さんが自由に集まって、交流ができるスペースがあるんです。
 

●成長のためのシェアハウスとして ①ベテラン経営者メンターにいつでも相談できます

絹: ハードのみならず、ソフトウェアとしてコミュニケーションツールがバッチリありますよというのが、今のご説明でしたね。フェイスブックグループがあって、240名の起業家にいつでも相談できますよと。この中には11名のベテラン経営者メンター、実際に起業して自分の会社をやっている社長さん連中がメンターとしてついておられたり、東京と京都の入居者と過去の入居者、いわゆる先輩方とも繋がれるということで、これは心強いですね。
内: やっぱり240名に相談すると、色々な切り口のヒントが集まってきますので、すごく助かっていますね。
絹: 起業家シェアハウス、起業家育成道場、虎の穴みたいな形で32名の人たちが今、生活をしている。これはできたのはいつですか?
内: ちょうど6年前ですね。
絹: と言うと、内野さんが京都に越してこられて、向日市に6年もおられた?
内: 実は4年なんです。最初はリモート管理で、現地のハウスマネージャ―さんが現地に住みながら、私は東京にいました。当時は東京で事業をしていましたので、リモートで運営させていただいたのですが、あまりにも良い環境でしたので、私たち夫婦も京都についつい移住してきてしまったという感じです。今は夫婦で住んでいます。
絹: これは新たな情報が取れました。はじめはリモート管理をしていたけれども、ご自身が企画された案件について、「ここええやん!」みたいな、これはなかなか面白いエピソードですね。
ところで、Fespa 京都の“Fespa”って、ネーミングの由来はあるんですか?
内: “festival and passion”なんです。色々な刺激のシャワーを浴びて、お祭りのようにエキサイティングな日常を送ろうというネーミングです。
絹: 今、32名の方々が住んでいらっしゃいますけど、結構エキサイティングな毎日を送っていらっしゃると。他にもソフトウェアがありそうですね。
 

●成長のためのシェアハウスとして ②先輩経営者によるケーススタディ

内: 皆さん、積極的にイベントを開催していまして、先輩経営者の方が来てくださって、自分が0から1の一番難しい立ち上げの時期に自分がどんなアクションを起こして、どんな苦労があって、その時にどう考えて、どう選択して、今に至ったのかということも赤裸々に語っていただいています。やはり一方的に知るだけなら、本でもインターネットでもいいわけですが、納得するまで質疑応答して、なんでも聞いて、「そこがわからなかったのでもっと具体的に教えてください」みたいに、腹に落ちるまで質疑応答できるという勉強会を毎月やっているんです。
絹: リスナーの皆さん、これどっかで聞いた話じゃないですか?海外の、例えば米国のビジネススクール、経営学大学院なんかでケーススタディと呼ばれる手法で、僕自身はちゃんとした留学経験はないので、先輩経営者から聞いた話ですけど、留学すると日々叩き込まれるというやり口にそっくりではないですか(笑)。それを京都のシェアハウスでやっていると。
内: そうですね(笑)。
絹: 大学のゼミと言うか、しかもモノホンの経営者がケースを語って、「俺、失敗した時、こんなんやったんや」と。ようしかし、そんな人、連れてきましたね(笑)。
内: OBの方々はすごくこの環境を愛してくださっていて、後輩のために一肌脱ぐよと、皆さんご快諾いただけるんですよね。
絹: 32名、今住んでいらっしゃるけれども、240名超の人がコミュニケーションツールで繋がっていると書いてありました。そしてそれが月に一回の勉強会と言うか、道場と言うか、ケーススタディのゼミで切磋琢磨、ほんとにしてはりますね。
(先輩経営者による勉強会 株式会社 彩ファクトリーHPより)
 

●切磋琢磨し合った仲間との絆

内: なので本当にそこで切磋琢磨しながら、一緒に過ごした仲間というのは非常に強い絆になっていまして、そこから事業が成功して旅立った後も、一生の仲みたいになっているんです。本当に損得関係なく助け合う仲間になっていると、それが退去した方々も一番貴重な価値だったとおっしゃっていただけます。
絹: リスナーの皆さん、イメージしていただけますか。1階の外のガーデンと言うか、デッキに接続した少しだけ広めの大きなテーブルがあって、何人かが一緒に食事ができたりする共用の居間みたいな所が切磋琢磨の場になるわけですよね。その場では勉強会もあるけれども、そこでビールを飲んだり、外部の起業家と接点を持つために、手作りっぽいピザ窯もある!そしてかつてのウッドデッキは腐ってなくなったので、パレットを敷き詰めて、材料代は節約しているけれども、雰囲気は逆にいいという素敵なデッキがあります。そこで交流パーティーの画像もありますし、投資家の方やベンチャーキャピタルの方を招いて、ピッチイベントって何ですか?
(ピザ窯のあるウッドデッキでの交流 株式会社 彩ファクトリーHPより)
内: いわゆるプレゼンテーションを若手起業家がして、見込みがあれば投資していただくみたいな機会もつくっています。
絹: 6年も前から京都の向日市にこんな32名が共に暮らすシェアハウスがあるんですって。本当に知りませんでした。ごく最近まで。
そして中を見せて頂いたら、お世辞にも豪華できれいでピカピカというんじゃないんです。古い寮の、それもできる限りお金をかけないで改修してというリノベーションの上手なやり方ですから、私、建設屋の端くれですから、「こんな仕上げでお客さんに引き渡してええの?」みたいなことを思わないでもないけれども「なんかここやったら、居心地ええやろな」と思える不思議な空間なんです。
 

●他府県から海外から人を吸い寄せる場として

内: 価値観の問題ではあるんですが、やはり皆さん、設備のためというより、成長のため、どんな人と出会って、どんな会話をして、どんな刺激をもらって、自分がどう変わるか。ここに関心があって、わざわざ他府県から、人によっては海外から移住されている方も含め、この6年間で100名以上の方がお住まいになっています。
絹: 6年で100名。ちらっと伺いましたけど、海外の方の比率って、100名のうちのだいたい20%くらいとおっしゃってましたよね。
内: はい。今はコロナで来日が止まっているんですけど、その前は20%は外国人でした。外国人起業家の方は、定住せず、住所を持たずに、観光ビザの期間約3か月で、色々な国を転々としながら仕事をされる方が非常に多いんです。その方々が日本に滞在するなら、面白い起業家と交流したいということで、わざわざFespa 京都を選んで3カ月間入居いただいていました。
絹: そういう人が5人に1人いるわけですよね。そうすると交流しますやん。自然と英語使いますよね。
内: そうなんです!それがまた日本人の若手の楽しみになっていて、すごく自然な形で英語に慣れることができているんです。
絹: ですから外国の方にとっては、駅から坂道テクテク25分であろうと、周りが竹林であろうと、却ってええわということが起きています。非常に不思議な空間ではありました。
中を実際に見せていただきましたら、共同生活のためのさらに細かいノウハウがいっぱい観察できます。皆様も是非、視察を申し込まれるといい、お勧めのスポットではないかと思っています。
さて、エピソード2に入りますが、住民の横顔という形で紐解いていただけますか。
(国際色豊かな交流 株式会社 彩ファクトリーHPより)
 

■エピソード2 住民の多様な横顔と、その繋がりから広がる可能性について
●メンバーいろいろ

内: 家族で住まれている方もいらっしゃいますので、子どもたちも何名かいらっしゃって、次に大学生ですね。学生のうちに起業してみたいという方もいますし、良い就職活動をするために起業家という生き方も知ってから、会社に就職するのか、起業を選ぶのか決めたいという社会勉強の目的で入居される方もいます。若手で起業するために今準備中という方もいらっしゃいますし、起業後にまだ軌道に乗る前で死に物狂いで模索をしている方もいます。それから軌道に乗って、自分らしいライフスタイルを確立して、とても自由な生活をつくっている方もいます。上場し、従業員が1000名以上いらっしゃって、もうこの先は自分自身は成功しているので、自分が培ったものを若手に授けることが第二の人生の生きがいとして関わっていただいている、セカンドハウス利用していただいているようなベテランの経営者の方々もいらっしゃいます。
絹: なんかちょっとかっこいいなあ。セカンドハウス的にそういう所に来て、月に何回か、若い自分のかつての姿である、模索している、あがいている人たちと交流する。すごい人たちがおられますねえ。この間教えていただいたのですが、これは向日市を中心に活躍されています“LIV”さん、不動産を中心に手広くなさっている波多野さんという方がお買い求めになった。それを内野さんとの出会いで「内野さん、任すから料理してください」という形ですよね。
 

●LIVの波多野社長との出会いから

内: そうです。波多野社長が京都の若手の方々に、もっと夢を持ってチャレンジして、自分の人生を切り開いてもらいたいという強い思いがありまして、当時東京で事業をしていた私にお声掛けをいただきまして、その情熱に押されて、「私も京都でやります」と、手を挙げさせていただきました。
絹: 今、波多野社長というお名前が出ましたが、“LIV”と書いて「リブ」と読みます。波多野賢社長は、「賢」と書いて、「サトシ」さんとお読みするそうです。53歳でいらっしゃいます。本当に面白い、熱い方です。若手を育成する、野球少年たちのサポートなども一生懸命される方で、うちの会社の中堅の人物と野球での繋がりを持つ方で、存在を知ることができましたけど、“LIV”さんというのも、是非注目していただけたらと思います。
 

●Fespa京都と京都の公営住宅と

絹: この間の視察で、私自身もすごく刺激を受けたんです。実はこの時一緒にお邪魔したのは、京都市の都市計画局公営住宅管理担当課長の菱崎さんと言って、この番組のゲストとして来てくださった方でもあるのですが、菱崎さんとその部下の長谷川補佐と住宅政策課長の関岡さんという方と、あと若い方お2人だったのですが、もう質問が止まらなかったですよね。内野さんに対して。
内: そうですね。すごい情熱でうれしかったです。
絹: 公営住宅だとか、京都市の都市計画局の人がFespa 京都に魅力を感じられて、矢継ぎ早に内野さんに質問を投げかけられた。「なんでなのだろう」と不思議に思われませんでした?
内: お話をさせていただきまして、今回は起業がテーマだったのですが、それはたまたまで、やはり集まることによって、豊かさが生まれる、パワーが生まれる。そういったことが今後の環境に活かせるんじゃないかということをすごく感じました。
 

●人と人が織りなすことで生まれる可能性を考えたい

絹: 京都市は決して起業家シェアハウスというパターンを、そのまま真似しようとしているのではないようです。洛西ニュータウンだとか、公営住宅でフロアが空いてきたり、部屋が空いてきたりする。その中でFespa京都で起こっているような、ある意味切磋琢磨、助け合いみたいな、人と人が織りなすことで接触することで、良い効果が生まれるような、そんな公営住宅運営ができないかと気が付いたみたいです。
内: すごく可能性を感じるテーマだと思います。
絹: 「また内野さん、相談乗ってねえ」と言いながら、ニコニコしながら帰っていきましたね。
内: 光栄です。
絹: リスナーの皆さん、今僕、図らずも大事な事を言っちゃったかもしれません。京都市の公営住宅、あるいは京都府の公営住宅、URさんにも部屋があると思います。そして私のような中小企業、地元の建設会社も社宅・寮の古いようなもの、似たような社有財産を持っております。それの空き室を上手に活用して、ただ家賃を頂戴するのではなく、何か意味のある地域課題の解決につながらないかというようなことを、本気で行政マンが考え始めています。そしてその刺激となったのが、6年前から京都の古い寮を料理して運営している内野さんです。内野さんは京都だけではなく東京、横浜、京都、福岡に19棟476室のプロデュース実績がありますよと、内野さんの彩ファクトリーさんの御名刺には書いてあります。起業家シェアハウスだけじゃない、シングルマザーシェアハウスもあり、交流提供型のホテルもあり、英語漬けのシェアハウスもあります。
リスナーの皆さん、実は私自身もワクワクしております。同時多発的に内野さんのような存在を魅力的だと考える人たちが京都に増えてきています。ご存知のように京都市も色んな所で空家が生まれています。その空家を上手に活用することでまちが元気になるに違いない。内野さんが手掛けてこられた起業家シェアハウスFespaで蓄積されたノウハウを色んな人が真似したい。そのためにはどうしたらよいでしょう。先行している一企画者として、京都市に何かアドバイスとかないですか。
 

●キーはファシリテーションできる人の存在です

内: 今後、現場でファシリテーションできる方がいるかどうかが重要になってくると思いますので、そういった方をいかに育成していくのかだと思います。
絹: 人育てというのは難しいですよね。僕らみたいな建設屋は箱をつくりますけど、なかなかソフトウェアは苦手とします。人材を育てるには、京都市はどうするべきでしょうか。
内: 既に運営されているような環境に、教育の一環でそういった人物に住んでいただいて、肌で感じていただくことがすごく効果的だと思います。
絹: そうですね。まず住まわせろと。そして切磋琢磨の状況を肌で感じろと。あるいは助け合いの部分を。京都市は、あるいは民間人も、内野さん、波多野さんの後を追おうとしていますよ。是非リスナーの皆さんも覚えておいてくださいね。
この番組は心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力再生プロジェクト、我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。起業家シェアハウスfespa京都、ご記憶ください。そして向日市に訪ねてみる価値はあります。ワクワクドキドキできます。それでは内野さん、ありがとうございました。
内: どうもありがとうございました。
投稿日:2021/08/12

第166回 ・レンケイプレーがあたりまえに生まれるワルダクミって何?~例えば向島ニュータウン

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浅: 浅田 将之 氏(社会福祉法人イエス団 愛隣館研修センター インクルーシブ社会実現部 愛隣グループホーム 主任)
杉: 菱崎 裕之 氏(京都市 都市計画局 住宅室住宅管理課長)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
    (左:浅田 将之 氏、右:菱崎 裕之 氏)
 
絹: 皆様こんにちは。こんばんはかもしれません。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
ではゲストの紹介からです。今日はお二方お招きしております。お1人目は、近くの京都市役所から来ていただきました。京都市都市計画局住宅室住宅管理課、菱崎裕之課長。菱崎さんです。よろしくお願いいたします。
菱: どうぞよろしくお願いいたします。
絹: そしてお二方目、社会福祉法人イエス団愛隣館研修センター、浅田将之さんです。
浅: よろしくお願いします。

 

■エピソード1 シンポジウムとゲストのお2人と
●タウンコレクティブについてのシンポジウムを開催しました
絹: 簡単にお2人と私の出会いをご紹介いたします。ごくごく最近、一番記憶に残っていますのは、この間の5月29日、クエスチョンビルという所で、あるシンポジウムをいたしました。「京都タウンコレクティブ化構想の実現を目指す…」という何やらややこしいタイトルのシンポジウムです。でも、このご時世で、実際に30人、ネット上で70人強、全体で108名の方が来てくださいました。その時わざわざ現地にお越しになったのが、愛隣館の浅田さんと、それからゲストスピーカーの一角でしゃべってくださったのが、ここにおられる菱崎さんです。さあ、5月29日の感想をちらっとまず菱崎さんから、お口のウォーミングアップということで、よろしくお願いいたします。
菱: はい。いやあ、当日は緊張しました。多くの人の前でしゃべるのが、あまり経験がないので…(笑)。
絹: 「いやや、いやや」言うてるのに、無理やりやらしてすみませんでした(笑)。
菱: いやあ、でもいい経験になりました。癖になりそうです(笑)。
絹: という形で軽く触れていただきましたけど、その時にそれをじっと聴衆席からご覧になっていたのが、愛隣館の浅田さんです。浅田さん、何か覚えてはること、あります?
浅: はい、まずタイトルが「タウンコレクティブ」というのに関心を持って、参加してみたいと思いました。行ってみると発表されている内容が、市営住宅を使った学生さんと地域の自治会との取組ということで、すごく勉強になりました。それともう1つ、高齢者の方へのちょっとしたお手伝いを、地域の中で支え合っておられるという取組みについても、今、自分がフィールドとしている場所でも取り組んでいけたらいいなと感じました。
 
 

●シンポジウムの、そもそものきっかけ

絹: 民間の事例は「ことらいふ」さんでしたね。
さあ、リスナーの皆さん、5月29日のシンポジウムの事をご存じない方にとってはわからなかったと思います。そこでバクっと復習を兼ねてお話しますと、企画をしたのはほとんど私でした。
京都市さんが田中宮市営住宅という伏見の市営住宅で、『空いている部屋を使って龍谷大学の学生さんに住んでもらったら自治会が元気になるのとちゃうか』という非常に面白いプロジェクト、実験的な事に取り組まれました。だからそれをすごいなと思ったんです。面白いこと、凄いことが起こっているんです。でも役所の人はおとなしいし、紳士的ですから「どうや、俺ら、すごいことやったやろ!」みたいなことは言わはりません。そこで代わりにみんなで「すごいやろ!」と言おうという会でもありました。
そしてさらに田中宮市営住宅の次に、京都市の都市計画局住宅室の連中が、勇気あるモデル実験をしたのが、ここにおられる浅田さんが関わっておられるプロジェクトです。偶然ではありません。浅田さんにも「できたら会場に来て!ネットでもいいし」とお願いしていました。
この浅田さんも熱い人で、元は上京区の福祉会で活動されていて、ものすごく地域に信用がある人です。その後、愛隣館に移られて、今度は向島ニュータウンの中の親子ペア住宅を2戸、空いている所を使って、障がい者のグループホームの運営の最前線に立っておられます。
(2021.5.29 京都タウンコレクティブ化の実現を目指すシンポジウムより)
 

●京都新聞の記事から ~ 向島ニュータウンの障がい者グループホームについて

絹: だからご両人とも縁のある人ですよね。ということで、後ほど浅田さんにも熱く語っていただきますが、手元に京都新聞6月11日金曜日、夕刊ほやほやのを持ってきていただきました。この新聞記事がなんでこんなところにあるのか、説明してください。
菱: 浅田さんも取材をたぶん受けておられまして、私も京都新聞から取材を受けております。
絹: 大きな見出しが「市営ペア住宅にグループホーム 伏見向島ニュータウンNT」と書いてあります。「空き部屋解消の一手になるか」と。これはどちらかと言うと好意的な記事ですね。
菱: そうですね。
絹: この記事の読みどころみたいな、解説を加えていただけませんか。
浅: この記事の横に「家族のように暮らせたらいいな。市営二世帯住宅グループホームに転用の妙案 ベランダで行き来できて安心」と書いています。片方では空き部屋という問題にもなってきますが、その空き部屋問題をニーズの高いグループホームへ転用ということで、ニーズを満たすためのマッチングができたのかなというところで、次の取組みへと広がっていけばいいなとは感じています。
絹: やっぱり目の付け所が違いますね。僕、記事の方ばっかり見ていて、横を見てませんでした(笑)。リスナーの皆さん、もう一回読みますね。「家族のように暮らせたらいいな。市営二世帯住宅グループホームに転用の妙案」グッドアイデアやないですか。しかもベランダで行き来ができるから安心やわと。
菱: 市営住宅の空き家を活用して、地域の課題が解決できる。本当にありがたいなと思っています。
絹: 記事を一部分だけ抜粋して読みます。
「市営住宅の空き部屋が問題となっている向島では、行政と住民、地元の福祉事業者で対策を検討、親の高齢化や死去に伴い、障がいのある人が遠方の施設に移らざるを得ないケースがあり、グループホームへの転用が提案された。」
これがいわゆる向島ニュータウンのまちづくりビジョンですね。
「向島でのペア住宅は24組中23組が空き部屋だったことに加え、部屋同士の独立性など、行き来のしやすさを兼ね備えた構造がグループホームに向いているのではないかとされた。ペア住宅を福祉住宅に転用するのは市内初となる。」
おおー、誰や、こんなことを思いついたのは。知恵者がいたんですね。そこのところにお2人とも関わっていらっしゃった?
浅: 僕は少し関わっていました。
絹: 次のエピソードでは、この市営住宅にグループホームができて、これからどうなるのか、そして実際の運営、浅田さんはビジョン委員会の時から関わっていらっしゃるので、生のエピソードをいくつか紹介いただきましょうか。
 

■エピソード2 障がい者グループホームと地域
●空き部屋活用プロジェクトの経緯

浅: 空き部屋が増加しているのは京都に限らず、日本全国で住宅の数が世帯の数より既に多くなっていると言われています。今後さらに人口が減っていくなかで、空き部屋が増えていくのではないかという危惧が一方ではありまして、向島ニュータウンにおいても例外ではなかったというところから、活用を考えられたというのが社会的な経緯になります。
絹: 僕の本職は何かご存知だと思いますが、空家空き部屋が増えて、建設屋はどうしたらいいでしょうねえ(笑)。それこそちょっと涙をにじませながらお話をお聞かせ願います(笑)。
 

●まずは地元の方々への説明会を行いました

浅: グループホームを開所するにあたって、昨年の11月ぐらいに地元の自治会の役員の方への説明をさせていただき、12月に実際にグループホームをやる1街区の中の当該の棟の住民の方への説明会を行いました。その会場に来られていた方の中にも「手伝えることがあったら言ってね」とか、「私もヘルパーの仕事をしているから頑張ってね。応援してるよ」という声もいただきながら、すごく開所に向けて励まされまして…。
絹: ええー、外野の絹川としては、今のコメントを聞いて「おおー」とか「へえー」とか、「そのエリアって民度がめちゃくちゃ高いじゃないですか」とかって思ってしまいました。
 

●あたたかく迎え入れてくださって、本当にありがたくて

浅: 必ずしも皆さんが皆さん、そのように思っていらっしゃるとは限らないのですが、中にはそういう声を掛けてくださった方があったということは僕らが勇気づけられたところです。
4月1日に開所したのですが、3月ごろに棟の周りの雑草を抜いておられる高齢の男性の方が一人いらっしゃって、「暑い中ご苦労様です。ありがとうございます」とお声を掛けましたら、「いや、4月からグループホームができると聞いたから、ちょっと気持ちよく迎えられるように、きれいにしておいてあげようと思って」と言ってくださって、グループホームのお部屋のちょうど真ん前に花壇をつくってくださって、今はきれいな花が色々咲いているんです。そういう迎え入れようとしてくださる気持ちを持って頂いている方がいるのはすごく有難いし、あたたかいなと感じました。
 
(愛隣グループホームの花壇より)
絹: なにか勇気が出ますよね。僕は建設屋の端くれとして、かつて北区で、アルツハイマーの中期くらいのお年寄り1ユニットのグループホーム併設のコーポラティブ住宅を請け負ったことがあるんです。7戸だけの小さいものですけど、無茶苦茶周りから反対されました。
わかるんです。お気持ちは。徘徊が起こったら、自分らの商店街の店の前で交通事故が起こったらどうするんだろうとかって。でもある種そういう施設は、ある層のご近所さんにとっては迷惑施設なのだなあということを思い知らされました。でも浅田さんたちの場合は、向島ニュータウンの場合はそうじゃなかったと。これはなんか素晴らしい感じですね。
浅: 本当に有難いことです。
絹: 障がい者本人さんも決定権を持って、慣れた所に暮らし続けたいという企画を京都市さんもつくってしまわれたのですものね。
菱: そうですね。地元の皆さんから非常にご理解いただいたのがありがたいですね。先ほど浅田さんからお話されたように、現地にお邪魔した時に花壇の話を聞きまして、正直、今もなんですけど思い出すだけで鳥肌が立ちました。
絹: そうですよね。鳥肌ものだし、何かゾクッと来ますよね。やっぱりうれしかったやろなあ。
浅: 本当にうれしかったですね。
絹: 僕らの世界で言うと、舗装工事って、匂いはきついし、埃も立ちますよね。でもちょっと昔の話ですけど、先輩たちによると、舗装工事をしに行くと、近所のおばあちゃんが「うちの前の道、きれいにしに来てくれてありがとう」とやかんに麦茶を入れて持って来てくれはったという、そんな時代があったそうです。そういうエピソードを思い出します。やっぱりそうなってくると建設屋冥利ですわ。すいません、いらんことを。
で、浅田さんは二ノ丸学区で自主防災?
 

●だからこそ、地域のためにお役に立ちたい…

浅: 自主防災と、あと学区の社会福祉協議会の仲間にも入れさせていただいています。地域の色んな活動を、できる範囲ではありますが協力させていただいて、僕自身が何かできることを地域に返していきたい。愛隣館としてもやっぱり地域のために喜んでいただけることを、障がいのある方だけではなく、地域住民の方に喜んでいただける活動をという思いでやらせていただいています。
絹: 浅田さんはこうやって、やることをやっておられるから反対もされへんし…。だから浅田さんだけでなく、今まで愛隣館の先輩の人たちがきっと地域でものすごい信用力を持っておられるということですね。
菱: そうですね。愛隣館さんの信用があったからこそ、皆さんもご理解いただいたのだと思います。
あ、わたし、しくじりました!番組タイトルを入れるのを忘れてました(笑)。この頃還暦を超えたら、右向いて左向いたらすぐ忘れる(笑)。
今日の番組タイトルですが、「レンケイプレーがあたりまえに生まれるワルダクミって何?~例えば向島ニュータウン」と題してお送りしております。
 

■エピソード3 タウンコレクティブのこれから
●住宅供給公社での経験から

絹: ここでもう一回、菱崎さんに5月29日にまだ言い足りなかったことがあるそうですので、お話しいただきたいと思います。実は土曜日にシンポジウムがあって、休み明けの月曜日朝いちばんに菱崎さんから電話をもらいまして、「絹川さん、テンションあがったわあ!寝られへんかったわあ」とおっしゃって、その後「もうちょっと言い足りないことがある」と。ほな、ラジオ行きましょかということで、来ていただきました(笑)。
菱崎さんの言い足りなかったことというのは、市営住宅の空き室のみならず、さらなる使い道を考えたいというワルダクミ第三弾のようです。では菱崎流のワルダクミをどうぞ!
菱: 当日、やっぱり興奮していたんでしょうねえ。ちょっとビールは飲んだんですが、やっぱり寝られなくて…(笑)。
絹: 2時ごろまで寝られなかったとおっしゃってました(笑)。
菱: 『言うことを考えてたのに、言えないで終わってしもた…』というのがありまして(笑)。というのは、これも僕もだいぶ絹川マジックにはまっているんですけど(笑)、感化されまして、私のワルダクミですけど、今、住宅管理課長として2年目なんですが、その前は住宅供給公社の調整課長ということで2年、向こうに出向していました。その時の経験からなんですけど…。
絹: ちょっとごめんなさい。リスナーの皆さんのために、菱崎さんの前職である住宅供給公社って、どんな仕事をするとこかご存知でしょうか。ちょっとだけ解説していただきましょう。
菱: 市営住宅の管理や入居の募集などを京都市から委託されて、実際にやっているところです。
絹: そういう公的な住まいに関する募集とか、管理とか。でも公営住宅の中でもバラ色だけで、何の問題もなくてというのではなくて、色々心配事も生まれるんですってね。
菱: はい。調整課長なので、苦情の対応とか、お困りごととか、そういうのがあるんですけど…。
絹: しんどい部署ですね(笑)。
 

●市営住宅の空き部屋でデイサービスとか…

菱: 地元の自治会の会長さんとお話している時に聞いた、ちょっと困ったことなんです。市営住宅も高齢化がだいぶ進んできたというので、デイサービスを利用される方が非常に多くなっています。「朝は結構多くて、いっぱいなんやわ」という話、そこにちょっとヒントがあったんです。
色んな会社が迎えに来てくれるんですけど、例えば市営住宅の空いてるところがあって、土地が空いていたら、事業者さんに来てもらったらどうなんやろうと。それなら利用される人も車に乗って行かなくても、すぐ近くなので行けるし、事業者さんも色んな所に迎えに行かないで済みます。それに例えば車のガソリンの使用量も減るし、地球にも優しいしという形で、何か空いている土地で、市営住宅の入居者の方はもちろんそうですが、市営住宅の周りの近所の方も利用していただけるような、みんなに喜ばれるような、何かできひんかなというのを、ちょっと思っています!
絹: これが菱崎さんのワルダクミ第三弾で、当日のシンポジウムで言えなかったことの一端であります。さあ、そのお話を聞いて、社会福祉法人で実際に働いていらっしゃる浅田さんはどう思われますか?
 

●通所も車を使わず、色んな送迎手段が考えられるはず

浅: ニュータウンですからたくさん空き部屋があるとは言っても、住民はたくさんいらっしゃるはずです。ところが病院であるとか、福祉施設などはニュータウンの中には限られた数しかない。そういう意味ではたくさん住民がいらっしゃる所に医療機関や福祉施設があるというのは、本当に安心できる材料になると思います。また先ほどガソリンを使わなくても済むようになるとおっしゃいましたが、別の形で何か送迎手段、徒歩で行けるとか、住民の人がそれをお手伝いすることで通所できるというのも考えて行けると楽しいなと思いましたね。
絹: 打ち合わせなしの思い付きですけど、2つの連想が、今わきました。
府庁の近所の堀川商店街、あそこも何かありましたよね。七野会さんのデイサービスセンターできてますでしょ。商店街の中に。あれや!と思って…。それと上賀茂の御園橋の西側の商店街に三輪車の自転車タクシーが、以前あの辺を走り回っていたんですが、今どうなっているのか。理事長さんがすごく頭の柔らかい方で、そんなんを導入されたわけです。そしたら向島ニュータウンの中でデイサービスの送迎の代わりに、三輪車のタクシーというのも面白いなと。
実は私のお袋も当年とって87歳で、週に一回デイサービスにお世話になっていますが、ちゃあんと迎えに来てくれはるんです。送迎の手間は大変やと思います。それから訪問看護師さんが毎朝来てくれはるんです。ラッタッタで走り回って(笑)、来て下さるので、エリアがもし集約できたら、菱崎さんがおっしゃるように、色んな事が楽になるかもしれませんね。
 

●配食サービスと安否確認…エトセトラエトセトラ

菱: 例えばですけど、配食サービスがあるとお昼、夜、行った時に食事に手を付けられてなかったら、何か異変があるのかというので、すぐに管理事務所と一緒に対応したりとかいうのもできないかなとか、そういうことを思っています。
絹: 僕、こうやって今日、菱崎さんと浅田さんに来ていただいて、こんな色んなことが飛び出すとは、実は思ってなかったけど、ある部分、5月29日にも言いましたけど、心の中で「シメシメ」と思っている自分がいるんです。
タウンコレクティブ構想って、なにかようわからんけど、要は助け合いが起こる“一緒くたの暮らし方”じゃないか。それには色んなやり方があるよねって、京都市の人も民間の人もそれぞれ独自に工夫してモデル的な実験をやっておられるわけです。「これはみんなで寄ってたかったら、また色んな事が起こるで!」みたいな、そんな感覚がして仕方がありません。
こうやって菱崎さんに来ていただいたら、「言い残したことがある!」って、次なるワルダクミのアイデアが出てくるわけでしょ(笑)。そして浅田さんみたいな福祉の業界のプロが聞かはったら、それに肉付けしてできるかもしれない。それを聞いた絹川くんは「京都府の府営住宅でもある堀川商店街にも似たようなものがあるで。住宅の下やった」と。「そういえばうちも民間やけど、7戸のコーポラティブアパートの一階がグループホームやった」とか、やっぱり近いのっていいかもしれない。どう思われます?
浅: とってもいいと思います。やっぱり住民にとっても京都市にとっても事業者にとっても、みんなが「これ、できてよかったな」と思えるようなことをアイデアを出しながら考えていけたらいいなと。そういうワルダクミしたいなと思いますね。
絹: ワルダクミという言葉、今日は菱崎さんから出してもらいましたけど、僕も好きです。カッコつきのワルダクミね。ほんまのブラックな悪巧みと違って、なんかにっこりできるような…。今日、菱崎さんが持ってこられたホヤホヤの京都新聞の夕刊のところをもう一回読みますね。
「愛隣館の平田義館長は、利用者には自立心が芽生え、地元の人も新しい仲間という雰囲気で迎えてくれている。空き部屋の活用に役立ててうれしいと話されています。京都市の住宅管理課は向島での運用がうまくいくか見定め、今後の他の地域でもペア住宅の空き室活用に活かせないか検討している」
 

●夢は、言わんと始まりません

絹: と、言っている舌の根の乾かぬ内に、その先のワルダクミまで考えてますやん(笑)。「そんなんラジオで言うていいのか」「いやあ、妄想レベルや、夢や、それでええやん」と(笑)。
菱: 言わんと始まりませんから。
絹: そう、口にすることがいかに大事か。シンポジウムでも言いましたけど、私の妄想を口にしたら、みんなが応援して関係のある人を呼んできてくれて、なんと108人集まったんです。
皆様いかがでしたでしょうか。京都の中には本当に熱い方々がおられます。そうした方々の存在に気が付いた時は「おおきに!がんばってな!」と声を掛けるのも、我々一般市民の役割かもしれません。是非ご注目ください。愛隣館、そして京都市の向島ニュータウングループホームプロジェクトです。
この番組は心を建てる公成建設の協力と、我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。菱崎さん、浅田さん、ありがとうございました。
両: ありがとうございました。
投稿日:2021/07/12

第165回 ・住み続けて1年、本音で語る3L APRTMENT PROJECT

ラジオを開く

三: 三木 俊和 氏(有限責任事業組合まちとしごと総合研究所 グローカル・シンカー)
 3L APARTMENT PROJECT コーディネーター  
悠: 伊藤 悠希 氏(龍谷大学 政策学部4年生)
朱: 伊藤 朱音 氏(龍谷大学 法学部3年生)
杉: 杉山 有紀 氏(京都市 都市計画局 住宅室住宅管理課)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
伊藤 朱音 氏伊藤 悠希 氏三木 俊和 氏杉山 有紀 氏
絹: 皆様こんにちは。こんばんはかもしれません。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。今回は、2月オンエアした「3L APARTMENT」の杉山有紀さんをメインゲストに招聘しての続きです。タイトルは「住み続けて1年、本音で語る3L APRTMENT PROJECT」と題してお送りいたします。それでは本日のゲスト、4方おられます。いつものように他己紹介から行きますよ。まずは龍谷大学の政策学部の伊藤悠希さんと、法学部の伊藤朱音さん、偶然伊藤さんだけど兄妹ではないんだよという方々です。では伊藤朱音さん、伊藤悠希さんとはいかなる人物ぞ、短く述べよ。
朱: 伊藤悠希さんは、一言で言うと、本当にまじめな人という感じですね。
絹: ザ・真面目。政策学部4年生、伊藤悠希さんです。では今度は入れ替わって悠希さんが三木さんを紹介します
悠: 有限責任事業組合まちとしごと総合研究所の三木俊和さん。僕たちの3L APARTMENT PROJECTの行政と大学の間として僕たちのサポートをしてくださっている、とても心強い方です。
絹: 三木俊和さんです。実は私とは今日お会いするのは、リアルでは初めてなのですが、オンラインではモニターの端っこで何度かお会いしております。注目していた方です。
三: ありがとうございます。私が伊藤朱音さんを紹介したいと思います。3L APARTMENTは地域と繋がってやっていくということで、現在の入居者としては男子が多いのですが、伊藤朱音さんは女子の入居者さんということで暮らしていただいています。
絹: 確か今、6名やったっけ?
三: 新しい人が入ってくれて7名になりました。
絹: また増えてるやん!7分の1の紅一点。
三: 学生の間からは、何の話題を振っても笑顔でニコニコしてくれるので、自分がすごい面白い人になったんじゃないかと(笑)。「あかねん」と呼んでいるんですが、「あかねん」と喋っているとこっちが元気をもらえるような、そんな学生さんですね。
絹: ということで、ゲストの紹介は軽くドタバタと(笑)。この番組のヘビーなリスナーの方なら、2月放送を思い出してくださるかもしれません。さりながら一応、過程として「3L APARTMENT PROJECTってなあに?」ということを、三木さんに復習の意味で軽く語っていただきます。
(三木 俊和 氏 有限責任事業組合まちとしごと総合研究所より転載)
 

復習ですー3L APARTMENTとは

三: はい、ありがとうございます。前回、京都市の杉山さんの方からお話していただいているのですが、私の目線から3Lをお話したいと思います。3L APARTMENTという事業では、大学生の皆さんたちが、ともすれば学校と駅、実家との往復で、「大学で伏見に来てくれているんだけど(龍谷大学さんなので)、伏見に触れることなく結局卒業しちゃったな」という声があったりしまして…。せっかく伏見の大学に来たのだから、その地域に住んで、地域の人たちと触れ合うことで、ただそこに下宿したということではなく、そのまちに住んだ、まちで暮らしたということを感じながら、卒業していってほしいなという願いが地域の思いとしてあるわけです。そういうなかで3L APARTMENT事業は、大学生に京都市の市営住宅に比較的安価に住んでいただきながら、地域の自治会の活性化にも寄与していただくというプロジェクトになります。
絹: 短くまとめてくださって、ありがとうございます。3L APARTMENTの存在を最近知りまして、会う人ごとに僕、おしゃべりしているんです。そしたら初めの一言、「安っ!」て(笑)。京都市の市長さんと龍谷大学の学長さんが握手されている写真を見ました。三木さんが「まちに住む」というキーワードをくださいましたが、「キャンパスは大学の中だけじゃない。まちこそキャンパス!フィールドワークやれ!」という感じの大学の後押しを感じてしまいます。さあ、ざくっと3L APARTMENTの概要説明を三木さんにしていただきまして、それではエピソード1に入ります。この担当は実際に住んでいる学生お2人にしていただきましょう。ということでトークテーマはお2人に丸投げしますので、好きにしゃべって(笑)。
3L APARTMENTの舞台「田中宮市営住宅」 ホームページより転載)
 

■エピソード1 3L APARTMENTに住んで – 感じたこと、活動、えとせとら

●住もうと思ったきっかけ
絹: まずは学生2人の自己紹介とか、例えばなんでこんなところに好き好んで住んでいるの?とか、なんでそのパーカー、カッコイイ田中野宮3L APARTMENTのパーカーをお揃いで着てるの?とか、色んなこと話して!
悠: では早速、自己紹介から改めまして、龍谷大学政策学部新4回生の伊藤悠希です。
朱: 法学部新3回生の伊藤朱音です。よろしくお願いします。
絹: いきなり絡んでしまいますが、政策学部ならなるほどと、公共政策勉強するからこういうことに興味があるのかなあと自然に思ったんですけど、法学部で「お、これは珍し!」と。朱音さんの行動についても、後で紐解いていただけたらうれしいです。
悠: 住もうと思ったきっかけですが、ちょうど大学2年生の時、一人暮らしをすごくしたい時期ってあるじゃないですか。で、すごい一人暮らししたいなと思っていた時に、ただやっぱりお金がないので、なかなか住めないなと思っていたら、以前から3Lで住まれている先輩がいるんですけど、その人と共通の知り合いがいて、「3Lていうのがあるんやけど、安く住めるし、何よりも地域で学んだりもできて、政策学部の活動とも合っていると思うねんけど、どう?」みたいな話があって、「面白そうやな」というので…。
絹: そこで乗ったわけやね。ということはその先輩のことをあなたは信用していて、ちょっぴり尊敬していたりして…。
悠: そうですね。すごい尊敬している先輩で…。
絹: 朱音さんはどうして住もうと思ったの?
朱: 私は伊藤さんとは違って全然知り合いもおらずという感じだったんですけど、友人が学校の連絡をちゃんと見る子で、その連絡の中に、3Lの入居者募集がありました。その募集を見た友人から「自分一人暮らししたいって言ってたんなら、こういうのやってみたら?」みたいな感じで言われたことがきっかけなんです。
絹: 連絡をしっかり見る友達がいるということは、あんたはあんまり見ないということやな(笑)。
朱: 恥ずかしながらそうですね(笑)。でもそれがきっかけなんですけど、実際本当に「住みたい!」となったのは、自分は地元が寺内町と言いますか、結構お寺とかが多くて、京都もお寺が多いという土地柄を知っていたので、そこに下宿生としてではなく、本当に地域にいる人としてお祭りとか、催事なんかに関わりたいなと思ったので、そういう取組みをしているのなら「やってみたいな」ということで参加しました。
絹: 地元は寺内町とおっしゃったけど、京都の人ではないんやね?
朱: 京都ではないです。大阪です。
絹: 奇特な人やなあ。今のコメントなんかねえ。催事とか地元の行事に関わってみたいって、かつての学生のステレオタイプのイメージと今ここにお2人おられる方と違っているって、おっちゃんは感じます。「関わらんでええわ」みたいな、もっとクールで、最短距離で卒業だけ、単位だけ取れたらええねんみたいな、そんなタイプが多いのかなと思っていたら、どうやらお二方は違いますよねえ。リスナーの皆さん、学生気質が古いイメージとは変化しているようでございます。というのが私の観察です。
 

●住んでみたら、めっちゃ楽しかった!

絹: さあ、令和2年度の学生さんたちが行った取組みとか、実際に住んでみてどう?
悠: 率直な感想として、住んでみて、めっちゃ楽しいです。何がと言うと、学生同士すごい仲もいいんですよ。7人いるんですけど、学生同士、横のつながりもあるので、実際に地域の活動に参加する時も楽しい雰囲気で、学生同士も地域との関係もその雰囲気が醸し出されて…。
絹: ワンフロアに固まって7人が住んでいるわけ?
悠: そうですね。
絹: 1つの部屋に2人が住んでいるような寮的な感じではなくて、独立した部屋が7部屋あるわけ?
悠: そうですね。
絹: 寮に近いけど、でも周りに大人の人もいっぱい住んでるみたいな。朱音さんはどうですか?
朱: 本当に同じ意見なんですけど、めっちゃ楽しいんです。女の子一人で結構不安だったんですけど、大学生になって部活くらいの仲の良さがあるのは、ただ下宿しているだけでは味わえないかなとすごく思います。
絹: 素朴な疑問で、今、部活という言葉が出ましたけど、部活とか他の活動はやっておられる?
朱: 私は大学生になってはやってないです。
悠: 僕もゼミ活動だけで。
絹: 研究室とか、ゼミとかはあるわけやね。了解です。
 

●火の用心活動をやりました

絹: 令和2年の学生がやった取組みって、結構あるの?
悠: いくつか学生が取り組んだ活動があるんですけど、1つの例としては「火の用心」の活動です。実際に一月の夜、「火の用心!」と言って学生で管内の棟の周りをまわって呼びかけました。
絹: 「火のよーじん!」ポン!みたいなことやるんやね。かつてこのチョビット推進室に、消防局の今の消防局長さんがゲストで来られて、本職の大きな拍子木を持ってきて、ここでバチンとやってくれはった(笑)。その山内さんに成り代わって「京都の防火にお手伝いいただきまして、ありがとうございます。」と言わなあかんな(笑)。ありがとう。他には?
(火の用心! 3L  APARTMENTホームページより転載)
 

●子どもたちとあいさつ運動

朱: 「あいさつ運動」と言って、小学生の朝の登校時間に起きて、自分たちも「おはよう!」「おはよう!」みたいな感じであいさつをするという…。
絹: 朝の何時ごろ?
朱: 朝の7時45分から登校までの時間をちょっとやるという感じです。
絹: ほう。これもごめんね、ステレオタイプで。大学生は夜型、寝坊助、昼過ぎに起きだしてという感じですが。これはいかんね、ステレオタイプで。早起きやんね?
悠: そうですね。朝起きるのはちょっと大変やなと思う時もあるんですけど(笑)。
絹: ほう。見守り活動なんかもなさっていると。それはやっぱり親御さんたちや近所の人たちからしたら評判いいでしょ?
朱: 前までは毎朝子どもたちにお母さんがついていたりしていたんですけど、もうそのまま「大学生がおるからいいや」みたいな感じで、こっちに預けてくれたりみたいなこともあって。
絹: 実は私、自分自身では見守り活動をしたことがなくて、イメージが持ちにくいんですけど、実際に登校時に送り出す、どんなことを見守り活動というのか、もう少し平仮名にしていただけますか?
朱: 見守り活動と言うか、完全にしゃべってるという感じです。来た子たちとしゃべって…。来た子たちは集団登校するんですよ。その集団登校の集まる時間に行って、お見送りするという感じです。
絹: じゃあ集団登校というのも、みんながちょっとずつばらけて集合場所に来るわけやね。それまでに立ち話したりして、朝の子どもたちをほぐしてあげているわけや。精神的に。
朱: 私もほぐされています(笑)。だいぶ。
絹: これも黒子的な動きやけど、すごい精神衛生的にも子どもたちにはいいかもしれませんねぇ。ではエピソード2へそろそろ移ります。エピソード2は、3Lはただ学生が住むわけじゃない!学生と地域を支える三木さんについてということで、お話を進めましょう。杉山さんも入ってください。それでは三木さん、杉山さん、エピソード2をお願いします。
(朝のお見送り風景 3L APARTMENTホームページより転載)
 

■エピソード2 コーディネーターの役割と支える思い

●接着剤としての役割と、全体を見渡してのサポートと
三: 私は京都市さんと龍谷大学さんと自治会さんが取り組んでいる3L APARTMENTのプロジェクトにおいて、三者をつなげ、学生さんの日常の暮らしをサポートする取組みをさせていただいています。
絹: 三木さんは接着剤と言うか、糊と言うか、握手をしていただくのを導いている人、そんな感じですね。
三: そんな風にポジティブな言い方をしていただけると嬉しいです(笑)。
絹: コーディネーターの役割、そういう糊みたいな人がなんで必要なんでしょうねえ。杉山さん。
杉: やっぱり地域が学生に対して言いづらい事が出てきたり、学生も地域に対してどうしていいか悩むところも出てくると思いますし、行政や大学だけではカバーできない範囲というのが、どうしても実際に住むとなると出てきてしまうんですね。そういったところを三木さんにカバーしていただいたり、このプロジェクト全体を支えてくださっているという感じですね。
絹: リスナーの皆さん、今、三木さんと杉山さんにご登場いただいて、なぜコーディネートをする裏方の三木さんが必要なのということをお話しいただきましたけど、ここ、たぶん赤線の二重線を引いていただく所だと思います(笑)。自治会長である岡田会長、アツい方であります。この方もそういう役割、学生を守るというお立場でものすごくお気を遣われたというエピソードをお聞きしておりますが、全くそのカウンターパートとして、三木俊和さん(まちとしごと総合研究所)がいらっしゃいます。もともと京都市内に市営住宅が90前後、増えたり減ったりしておりますが、それに3L APARTMENT的な地域共生型集合住宅、コミュニティ生成型とも説明していいかもしれません。そういうプロジェクトを広げるのが杉山有紀さんの野望ですものね。
杉: そうですね。広げていきたいと思っています。
有限責任事業組合まちとしごと総合研究所 ロゴ)
 

●大学のフィールドワークが増えて…

絹: 最近、地域と学生の連携が増えているらしいぜ、というタレコミがございますが、どうですか?
三: 大学と地域の連携というのが、言われて久しくなってきまして、先ほど絹川さんが言われたように、昔の大学生と比べて、今の大学生って、比較的遊んでいる時間がなくなっちゃったところがあるのかなと思います。僕が現役の大学生だった時は、社会的なことを考えたい学生がNPOとかに電話をかけて、「何か関わるボランティアとか、インターンとかやってないですかね」みたいに相談に行って、「良かったら入力のお手伝いとかしてくれる?」と自分から何とか切り開かないと、そういう所につながれなかったんです。今となってはもはや授業で「この地域に入って、こういうことをします」という連携が行われつつあります。
絹: ああ、大学も変わったんだ。特に龍谷って、そういう雰囲気あるの?公共政策の悠希さん。
悠: そうですね。大学ではそういう授業がいっぱいあります。
三: そういうなかで、かなり地域に大学生たちが出てきてくださっているんですが、プログラムを組んで出てきてくださり、丁寧にやられる所はいいんですけど、やっぱり地域の中に学生がボンと入れば、きっと学ぶんだとか、学生と地域がガチっとやれば学ぶんだというところが…。
絹: そんなわけないようねえというのが、ありますよね。やっぱり糊と言いましたけど、美しいバラ色の話だけではなくて、トラブルの種とか、こんなはずじゃなかったと胸を痛めたりというケースに至らないように、周りの大人たちが学生さんを守る、あるいは地域を守るという立場の人はやっぱり要りますよね。
 

●守り過ぎず、ほったらかし過ぎず

三: そうですね。しかも難しいのは、今度は過度に大学生たちを守り過ぎてしまうと、貴重な経験、例えば地域とある意味良い感じでぶつかる事自体はすごい学びだと思うんです。もちろん取り返しのつかないようなぶつかり方はダメですが…。ですから守り過ぎず、ほったらかし過ぎずという、このバランスを取るということですね(笑)。
絹: ちょっと見守りつつ、痛い目にも遭わせてやると(笑)。
三: 色んな経験が大事だと思いますね。やっぱり。
絹: でもねえ、今のお話を聞いてね。そういうプロセスを通して社会に出てくる学生さん、うちの会社やったら欲しいと思うわ。たぶんね、周りの京都のリーディングカンパニーが企業訪問した時に「3L APARTMENT」と言ったとたん、「ああ、来てください!」とか、役員面接通るんじゃないかと。半分冗談で半分本気ですけど、それってすごく企業側にとっても「うん!」と思う事だと思います。さあ、何か言い残したことないですか?
 

●緩やかに住みながら繋いでいく

三: 地域という文脈の中で言うと、学生のパートナーとして大切な地域の自治会さんたちですね。なかなか難しいと思うんですが、自治会って、おじいちゃんおばあちゃんがやってくれて、ご夫婦は働いて、子どもたちは行事にお客さんとして参加するということがだいぶ増えていると思うんです。もはや自治会と文化とか、あるいはお祭り文化といったものは、あえて教えないといけなかったり、一人暮らしの様子も教えないといけないわけです。これまでは肌感覚で伝わってきたような若い方々への継承みたいなものを、どう肌感覚性を失わずに緩やかに繋いでいくかということを、住みながらやっていくというのが、コンセプトの柱として大事なのではないかと思っています。
絹: リスナーの皆さん、大切なキーワードをいただきました。緩やかに住みながら繋いでいく。ここも二重線引いてくださいね。大切なキーワードをちょうだいしました。リスナーの皆さん、今までお聞きになっていかがですか。何か聞いていてうれしいです。学生たちが地域に入ってそこで学ぶことを良しとする。ただそれを入って一緒に暮らしているのではなくて、サポートしようという大人たちが周りにいる。しかも京都市さんがちゃんと「見守るぜ」というスタンスで、これは実験的なプロジェクトが2年間続いているんですよね。
杉: そうですね。ちょうど2年ですね。
絹: 「だけじゃなくて、この先もあるぜ」と有紀さんは野望として公営住宅に広げていくという話をされています。最後、有紀さんに渡してPVやっちゃってください。
 

●3L APARTMENTのプロモーションビデオ、作成しました!

杉: はい。ここでアピールさせていただきたいのですが、今の3L APRTMENT PROJECTのPVを作成しまして、ちょうど3Lのフェイスブックのアカウントがあるのですが、そこでそのショートバージョンを公開しております。また是非そちらも見ていただきたいです。さらにドキュメンタリービデオでちょっと長編の30分弱くらいの映像も今順次公開に向けて、準備をしていますので…。
絹: 僕、できたてほやほやのそれを見せていただきました。感動的!力が入っています!京都市一生懸命作っています。写っている学生さんたちもかっこいい!ちょっと褒めすぎですけど、本当に素敵です。
杉: 是非是非見ていただきたいので、3L APRTMENTのフェイスブックをフォローしていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
絹: ということで、終わりになっちゃいました。皆さん、さよならあ!
全: どうもありがとうございました。
   
(3L APARTMENTオリジナルストーリーのショートムービーはこちら
(3L APARTMENTロングインタビュームービーはこちら
投稿日:2021/04/09

第164回 ・人とのつながりは、しんどいけど大切や~「ことらいふ東寺」の挑戦

ラジオを開く

増: 増田 二三夫 氏(㈱ことらいふ 代表取締役)
増: 増田 隆子 氏(まちの縁側「よっとーくりゃす」代表)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
  (増田ご夫婦:増田 隆子 氏 ・ 増田 二三夫 氏

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。マスク越しで苦しいです(笑)!ちょっとくぐもった声で失礼します。本日はなんと10年ぶりにかつてのゲストが戻ってきてくださいました。本日のゲスト、10年前の当時は「まちの縁側よっとーくりゃす代表 増田隆子さん」という紹介をいたしました。増田さん、よろしくお願いいたします。ようこそお帰り(笑)。
増: ああ、どうも。帰ってきました(笑)。トシを取りました(笑)。
絹: そして、そのパートナーであらせられます増田二三夫さんです。よろしくお願いいたします。
増: よろしくお願いいたします。
絹: 増田さんは“株式会社ことらいふ”代表取締役でいらっしゃいます。高齢者居住の研究などに興味のある人は注目している人もおられるかと思いますが、株式会社形態を持たれて珍しい成功事例として高齢者のグループリビングを運営されておられます。さて、今日の番組タイトルですが「人とのつながりは、しんどいけど大切や~“ことらいふ東寺”の挑戦」と題してお送りいたします。それでは増田二三夫・隆子ご夫妻、エピソード1はどちらから口火を切っていただけますか?
増: お父さん、どうぞ。
 

■エピソード1 “ことらいふ嵯峨野”の実践

●“ことらいふ”の意味
増: 隆子のパートナーの増田二三夫と言います。よろしくお願いいたします。“ことらいふ”という名前、なかなか珍しい名前だと思います。これはまず古い都の古都と、ライフの生活という意味があるのですが、私どもではグループリビングと言いまして、今は高齢者中心の助け合い、支え合いながらともに暮らしていこうというのを嵯峨野の方で運営をしております。このグループリビングというのは、1人ひとりの性格や考え方、あるいは生きてきた道のりも含め、異なる人たちの集まりであるということ、その間にトライ、挑戦していこうということと、ライフの生活を掛け合わせた造語を、みんなで考えて、こういう会社の名前を付けました。
絹: 古都の暮らしかと思ったら、間にトライが隠れていたわけですね。さらっとグループリビングとおっしゃいましたが、実は大変なはずですし、うまいこといかなかった事例もいくつか聞いております。そやけど、“ことらいふ嵯峨野”は5年間…。
増: そうですね。オープンして丸5年になります。
絹: ここをおじゃましたのが5年前ですけど、あれはお披露目の時でしたか。
増: ええ、絹川さんに来ていただいて、美味しいワインをいただきました。
絹: この頃もう、右向いて左向いたらコロッと忘れてまして、そんなこといたしましたか、生意気な(笑)。でもね、冗談めかして言いましたけど、リスナーの皆さん、ほんまにすごいんですよ。5年間も続けているって。
ことらいふ嵯峨野 企業組合もえぎ設計ホームページより転載)
 

●グループリビングって、何?

絹: すみません、リスナーの皆さんの中にはグループリビングをご存知ない方もおられるかもしれません。ひらがなにしていただけると助かります。お願いいたします。
増: グループリビングは、高齢者の施設でもないし、共同住宅でもない。血縁関係もない、そういう人たちが1つ屋根の下で暮らし合う我が家、そういう中身です。
絹: “ことらいふ嵯峨野”さんの場合は、何人がお住まいになっているんですか。
増: 今、70歳から94歳まで、5人の方々です。非常に元気で、5人とも毎日朝6時に起きて、最初に廊下とかお風呂とか階段などの共用部分の掃除を皆でして、朝は仲間の方が料理を作っていただくという生活で朝が始まります。
 
絹: 5人組の方、長老が94歳、一番若い方が70歳であると。5人だけではなくて、ひょっとして“よっとーくりゃす”さんみたいに“よっとーくりゃすサポートメンバー”みたいな形で周りを支えるような方はおられるんでしょうか。
 

●地域の皆さんに温かく迎えられて

増: 嵯峨野という地域は、たまたまそこに素晴らしい物件があって決めたんですが、私たちにとっては縁もゆかりもない所で、落下傘みたいな形で降りてきたんですが、地域の皆さんが早速「こんな立派なリビングがあるのやったら、是非ここで子ども食堂をしたい」ということで、地域の方々が温かく向かい入れていただきました。毎月そこに子どもたちが集まるのですが、高齢者の方も個食よりも月1回だけみんなの顔を見て食べられるということで、多い時は100人くらいがリビングに三交代で集まったりして、本当にそこに来て地域の皆さんに支えられてよかったなと思っています。
絹: 地域の人が温かく迎えてくれて、「こんな立派なリビングがあるのなら、子ども食堂をやろうや」と声が掛かったわけですよね。これも珍しいなと思うんですけど、増田隆子さんは京都市のOGで水無瀬文子さんて、聞いたことないですか?
増: とねりこの家”ですよね、はい。
絹: “まちの縁側、とねりこの家”です。あそこが始め、地域に信用してもらうまでものすごく時間がかかったという苦労話を聞いたことがあるんです。はじめは「なんやけったいな人が落下傘で来た」と。「ちがいますねん」と言っても「新手の宗教か?」と言われたと。増田さんとこの“ことらいふ”は嵯峨野ではうまく受け入れてもらえたのは、人徳ですか?理解のある人たちだったのかな。
(とねりこの家外観 まちの縁側とねりこの家ホームページより転載)
 

●嵯峨野という地域性

増: 南区と比べてやっぱり意識が高いなというのは感じます。地域性はすごく違いますね。
絹: 増田さんたちがなさろうとしていることに対して、理解が早かった。
増: 絹川さんも来ていただいたオープンの時の竣工祝賀会で、あの狭い所に120~30人集まって、もう地域の方で大入り満員でしたから。その方がこのリビングを見て、「こんなに広いリビングがあるから、ここで何かしたい」ということで、むしろ地域の方々が…。
絹: ということは当該の嵯峨野エリアには地域の人たちが寄って何かをしたいという要望や思いはあったけれども、実際の空間がなかったと。それに対して増田さんたちの空間 “ことらいふ嵯峨野”が、「ワシとこはワシとこだけ」とばかり閉じてなくて、「どうぞ」と開いてはったわけですね。それは“よっとーくりゃす”そのものですね。5年間、今まで成功裏に続いておられる。ということは近所の方々とも仲良く続いているということを意味しますよね。
 

●“よっとーくりゃす”のこと

絹: 嵯峨野の5年間の実践から隆子さんが“よっとーくりゃす”を始められたのが10年前?
増: 13年前です。
絹: 南区の御実家、西九条ですよね。10年前はご自身で「西九条村」とおっしゃってましたが(笑)。結婚して外に出ていて、帰ってきたら街が変質していて寂しかったと。なんとかせなあかんと始めたのが“よっとーくりゃす”ですよね。“よっとーくりゃす”と“ことらいふ”似通ってるけど、ちょっと違うので、その辺の事を復習していただけませんか。
 

●“ことらいふ”の姿勢として

増: “ことらいふ”の場合は、先ほども言いましたように地域性というのがあって、ちょうど建物の空間もすごく良い空間であって、周りの方たちもそういった意識を持っておられる方も結構いらっしゃった。町内会の活動も活発で、あそこの持ち主の方も色んな方を招いておられたようです。
絹: ああ、元々の持ち主さんが…。
増: 祭りの神輿の出発場所になっていたみたいです。
絹: それはみんな知ったはりますわあ。
増: “ことらいふ”という会社が、家の中だけの生活ではなく、地域で住むということで、門戸を広く開いていた。そして定期的に色んな歌声とか、落語会とか、そういうこともやりながら…。
絹: やるべきことをちゃんと外に開かれるべく、自分たちの姿勢はこんなんやと、イベントを丁寧に打ってはったわけですね。
増: それはもう、ずっと定期的にやっていました。
絹: それは元々神輿の発信基地であって、それだけ地道な活動をされていたら、信用力はありますね。
増: それと私どもの会社の理念の中に、今まで培ってきた経験を地域社会に生かしましょうというものがあるんです。それと地域の方の要望がぴったり合ったというのが非常に大きいのではないかと思います。
絹: 高齢者グループリビングと言われていますけど、なんや若い衆が一緒に住んでいるらしいという噂も聞いたんですけど、どないですの?今も一緒に住んではるんですか。
増: いや、去年半年ほど学生さんがそこでおばあちゃんと一緒に暮らすということで頑張っておられましたが、今はもう卒業していないんです。
絹: いたはった時は可愛がられたんでしょうし、役に立ったんでしょうね。きっと(笑)。
増: 役に立ったんかな、あの子(笑)。
 

■エピソード2 “よっとーくりゃす”での実践

●“ちょっとお助け隊”のはじまり
絹: “ことらいふ嵯峨野”の5年間の実践から、今度は“よっとーくりゃす”のそばに、新たな“ことらいふ東寺”という新規プロジェクトを立ち上げられるという噂を聞きました。そこで今回ゲストに再登場をお願いしたのですが、“ことらいふ東寺”は隆子さんの御実家の近所だそうですね。その3軒の町家の地主から「増田さんとこやったら、どうぞ」と借りることになって、改修する話が動いたそうですね。
増: 13年間地域の活動を続けてきまして、1つひとつ思い返すと、地域の要求とか困りごと、それだけではなくスタッフの要求、それからやりたい事、その人たちに合った能力を引き出す活動を地道にずっと続けてきたんです。一方で、うちの町内も非常に高齢化が進んで1人暮らしの人がたくさん出て、例えば隣の人とか、向かいのお兄ちゃんお姉ちゃんに「ちょっと頼むわ」みたいなことが全くできないような状況になってきまして、町内会の役はおろか、町内会自身もやめる、縮小しているような状況がずっと続いていたんです。その中で一人ひとり、スタッフになってくれはりそうな人に声を掛けまして、今は25人くらいいるんですけど、色んな活動をやっています。
絹: リスナーの皆さん、今、えらいことをさらっと隆子さんは言わはるんです。25人、“よっとーくりゃす”という地域の居場所、コミュニティカフェ的な場所でもあります。そこのサポートメンバーが地元に25人、人に恵まれてはりますねえと言うか、それだけの方を育ててきはったと言うのか。すごいなあ。確かに生協さんの共同購入の取次ぎみたいなことをずっとされてきて、お年寄りが「字が小さいし、見えへんわ、書けへんわ」と言ったら、「書いたげよか」と言う小さいお子さんがいたり、そんな人たちの集まりなんですね、きっと。
 

●子ども食堂、ほんとはジジババ食堂(笑)もやってます

増: そうです。だからもう1人ひとりに声を掛けて、1人ひとりのことを考えながら、ずっとやってきました。ものすごく地味な事なんですけど、生協の共同購入は一週間に一回必ず来られる、顔を合わせる、そこで顔を合わして、荷物を渡すだけやなしに、色んな話をする。地域の情報が入って来る。その情報に基づいて色んな事をしてきたんです。例えば、栄養失調で倒れられたおじいちゃんがおられたので、お年寄りの食事状況をちょっと聞くと、非常に劣悪な、お弁当を取っておられて、それを三食に分けて食べるとかね。栄養失調の方がすごく多くなっているんです。それで本当は子どもやないけど、子ども食堂をつくったわけです。それで子どもも呼び寄せてね。
絹: 子ども食堂に来るのは、子どもだけとちゃうと。
増: 違います。ジジババ食堂なんです(笑)、本当はね。子どもの数は少ないんですけど。それから最近やっぱり注目されるのは、“ちょっとお助け隊”。それは先ほど言いましたように、近所の方の助けがなくなってきた、声掛けができないような、そういった状況の中で、例えばブレーカーが落ちたと。一晩中ずっと暗い所にいはったわけです。それで「なんとかして」ということで、そういうような状況になっているわけです。
 
(こども食堂 ことらいふホームページより転載)
 

●“ちょっとお助け隊”最初はボランティアでしたが…

絹: “ちょっとお助け隊”、ニアリーイコール25人の“よっとーくりゃす”のサポートメンバーが相談に乗ってあげはるわけですね。
増: というよりも、うちの方に情報が入ってきて…。
絹: 「増田さん、こんなんで困ってるねん」という第一報が入るわけですか。
増: はい。でも今は包括センターから入って来るんです。施設とか。
絹: 地域支援包括センターでしたっけ。公的な所からですね。
増: そうです。どんどんどんどん入ってきます。だから15分200円です。最初ボランティアでやっていたんですけど、ボランティアですると依頼者がものすごく遠慮をされて、ビールとか何やかんや持ってきはるんです。だからもう15分200円。
絹: 逆にそうした方が気楽やわと。
増: 気楽ですしね、15分200円はものすごく貴重なんです。例えば「洗濯物がちょっと屋根にかかったから取って」とか、夏になったら「簾かけをしてくれ」と。今は「ゴミ出しができないので、してくれ」とか、色んな事があります。それがどんどんどんどん忙しくなってきているんです。
絹: リスナーの皆さん、聞かれました?知らなかったでしょう?南区の片隅で13年間、こういうことを地道に続けてこられた方々です。さあ、それがです。“ことらいふ嵯峨野”に続く“ことらいふ東寺”という新しいプロジェクトを立ち上げようとしておられます。そのことについてお話しいただけますか?
 

■エピソード3 “ことらいふ東寺”の挑戦

●お助け隊が出張?
増: 昔から一緒に住むということは、1つの選択肢だと思っていました。お年寄りだけじゃなくて、今、若い人の家もお金もないという中で、相談は結構入っているんです。だから一緒に住もうと。それと今はもううちの近所はお年寄りが多いので、若い人を勧誘しようということで、第二のグループリビングを考えました。1つ、嵯峨野と違うのは、地域の中での助け合いがあるということです。嵯峨野の方の色んな用事があるとすると、年に何回か私の所が派遣しています。
絹: ほう、お助け隊を出張させてはる?
増: そうです。だからそれは必要な事だと昔から思っていたんです。
絹: “よっとーくりゃす”と“ことらいふ”がええ感じでミックスされていくんですね。
増: 進化してきたんです。お父さんどうぞ(笑)。
 
 

●“ことらいふ東寺”のサロンでやりたいことー地域食堂・地域居酒屋…

増: 実は私は京都生協に三十数年間勤めていて、不動産の開発の関係の仕事もしていまして、昨年は4人、大家さんから「家を取り壊すので出て行ってくれ」といったことがありました。そんな経緯で町内の空家の所に4人のお年寄りと1人はまだ若い40代の方に来ていただきました。そのうち1人は今度“ことらいふ東寺”に入居していただくことになりました。“ことらいふ東寺”というのは、単に入居者(今度4人が住むわけですけど)だけと違って、それプラス長屋風と言うのを考えています。“ことらいふ東寺”のサロンでぜひやりたいのは、地域食堂と言うんでしょうか。地域で特に一人暮らしの毎晩お弁当を取っている方は、そこで温かいご飯をみんなと一緒に食べてもらうようなサロンです。
絹: 共同の、みんなの台所みたいな感じですね。
増: そして月に2回くらいは、安くてうまい居酒屋もやろうかと(笑)。
絹: なるほど。そういう形でご夫妻のタッグを組まれて13年、そして15年とやってきたことが新たな形で船出しようとされています。でも事前の打ち合わせで、「もう、しんどいわあ」「あかん」と思われたことが、二度や三度ではなかったと。それからラジオに一緒に出るのも、「ラジオでケンカしたらどうしよう」と、ものすごく心配してはったそうです。(笑)それも乗り越えてまた新たにやろうとされているわけですが、5月にシンポジウムなどもできたらいいよねと語っておられましたが、そのことについても構想と言うか、野望と言うか語っていただけませんか。
 

●自分に何ができるのか考えてみて、そこに色んな仲間が集まってきます

増: それは何かと言いましたら、本当にしんどいんです。新しい事を立ち上げるということは。お金もすごくかかることなので、だけども色んな工夫と皆さんの努力と知恵でなんとかできるのと違うかというふうに、それを私たちは発信したい。自分に何ができるのかという夢から出発してもいいんです。だからそこを諦めないで追及してほしいし、色んな仲間や色んな人たちが集まってできるのではないかと。で、今はやっぱり色んな意味でも好機やなと思いますので、是非とも皆さん頑張ってください。
増: 私どもがやっている“ちょっとお助け隊”もそうなんですけど、やっぱり地域の方々にちょっとお助けすると「ありがとう」という笑顔で応えていただく。その笑顔と「ありがとう」が何よりも次の励みになるのかなと思います。そういうまちになっていったら、やっぱり地域が変わっていくのではないかと思っています。
絹: リスナーの皆さん、実際にここ13年15年と地道に地域で、そして南区と嵯峨野で実践を積み重ねてこられたご夫妻の言葉だけに重みがあるように聞こえませんか?そしてさらに好機であると隆子さんはおっしゃいました。と言いますのは、同じ思いをしている人たちが京都の中に、南区にお一方、山田木工所の山田さんと言う方、それから山科区にてんぷら屋さんの笑人(わろうど)の盛武さゆりさん、この方も地域の子ども食堂のネットワークの一角を支える方です。同じ思いの方が同時多発的に助け合おう、集まろうという動きすらあります。行政もサポートしてくれるはずですし、京都府も動き始めております。ぜひ、皆さん、ご注目を。この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして我らが京都市・景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。お二方、ありがとうございました。
両名: どうもありがとうございました。

 

投稿日:2021/03/12

第163回 ・3つのLって何のこと?京都が変わり始めてまっせ!~地域で暮らしながら学ぶ

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杉: 杉山 有紀 氏(京都市都市計画局住宅室 住宅管理課)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
  杉山 有紀 氏

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。さて、本日のゲストをご紹介いたします。杉山有紀さんです。お気づきのようにお若い女性です。肩書は少々長うございます。京都市都市計画局住宅室 住宅管理課の杉山有紀さんでいらっしゃいます。よろしくお願いします。
杉: はい、杉山です。よろしくお願います。
絹: まだ今日会って三回目くらいです。杉山さんの上司がおもろいおっさんでね(笑)。岩本剛さん。もうだいぶ前にこのチョビット推進室のゲストに「まちづくりの最終形って何?」というようなタイトルで出てくださった方と再会しまして、「絹川さん、ワシよりも有紀出して!」と仰って、今日の御出演が決まりました。
杉: はい、ありがとうございます。
絹: そんな不思議なご縁に導かれての、本日のタイトル、ちょっと謎みたいなんですよ。「3つのLって何のこと?京都が変わり始めてまっせ!~地域で暮らしながら学ぶ」と題してお送りいたします。では今日のゲストの杉山有紀さん、そもそも3つのLって何か、ひも解いていただけますか。
 

■エピソード1 そもそも 3つのLって、何?

●市営住宅の困りごとと学生さん
杉: 3つのLって何のこと?と書かせていただいたのですが、これは私たち住宅管理課で行っている3Lアパートメントプロジェクトというプロジェクトのお話です。何かかっこいい名前ではあるのですが、何の話やということだと思います。これは大学生に市営住宅で暮らしてもらって、住民として地域の自治会活動に参加してもらうというプロジェクトになっています。私たちが市営住宅を管理している側になりまして、そのつながりで市営住宅の単身部屋に学生さんに入ってもらうようになります。
絹: 京都市って、市営住宅が結構たくさんあるはずですよね。
杉: 88ありますね。
絹: お、さすが本職パッと出てきたね。88か所もある。僕がパッと思い浮かぶのは、洛西ニュータウン、あれは市営住宅ですか?
杉: そうですね。あとニュータウンで言うと、洛西ニュータウンのほかは向島とかもありますね。
絹: 向島もでかいですね。そして素人であります我々が思い浮かぶのは、ああいう市営住宅を管理されている方が、抱えておられる困りごと、あるいは地域が抱えておられる困りごととして、「空いているのちゃうの」とか、「高齢化してお年寄りが増えて、若い人が少ないんとちゃうかなあ」とそんな想像を働かせるのですが、それと関係ありますか?
杉: そうですね。市営住宅、若い人もいらっしゃるのですが、お金をためて持ち家を買うために出ていかれる場合もありますし、どうしても元々住んでいらっしゃる方の高齢化というのも進んでいますので、自治会活動をされている中でも役員の担い手不足で悩んでおられるという声を伺っております。その声を受けて、私たちの方でも何かできないかと考えまして、学生に入居してもらうのはどうだろうという案が出てきました。この学生というのが、京都市の人口の一割を占めておりますので…。
絹: リスナーの皆さん、今大事なポイントが出てきました。京都市の総人口約142万人、それの一割と言うと、14万人から15万人の学生さんが京都にいはると。京都はそれがすごい特徴で、日本中で一番学生比率の高い街ではないかとすら言われているそうですね。 さあ、そんな中で住宅管理の担当をされている有紀さんたちが色々考えられました。それを象徴する手元資料をちょっと紹介してもいいですか?
杉: ありがとうございます。お願いします!
 

●掲載された京都新聞から

絹: 実は隠れて予習しているんです(笑)。 令和2年3月8日月曜日の京都新聞です。見出しが「伏見の市営住宅に龍大生、連携事業1年、自治会活動暮らして学ぶ」とあって、「大学生が市営住宅に住んで、自治会の一員として地域活性化に一役買う。伏見区竹田の田中宮(たなかのみや)」「自治会と地元の龍谷大学、市の連携事業3Lアパートメントが始まって今年で一年を迎える。全国でも珍しい試みで、龍大生3人が行事や防災などの活動に加わって地域に溶け込みつつある。」これが去年の3月の新聞記事です。
3L APARTMENT ホームページより転載)
 

●市営住宅に暮らす学生さん、増えています!

杉: 今、ご紹介いただきました伏見区にあります田中宮市営住宅、こちらに龍谷大学の学生さんに暮らしてもらっていまして、現在は3名だったところから6名に増えておりまして…。
絹: 増えてるやん。ということは先細りじゃなくて、ちょっとずつ広がりつつあると。うれしいじゃないですか。
杉: そうなんです。うれしいことです。元々住んでいた3名の学生の口コミで広がっていったり、後は募集を見て、「全然地域と関わったりしたことなかったけど、興味をもってやってみたいな」と思ってくれた子が参加して、だんだん広がってきているものになります。
絹: 実際に僕は取材していないから門外漢としての想像ですけど、実際に住んでおられる人たち、若い学生さん6人も来てくれたら、すごくうれしいのと違うかしら。
杉: やっぱりパッと明るくなったよねというような声は聴きますね。学生さんたちが自治会活動に参加してくれているだけで雰囲気が変わるという声を頂いています。
 

●学生さんの入居、実は地元の要望でした

絹: 新聞記事には、田中宮市営住宅でも入居約80世帯のうち、高齢者を含む世帯はおよそ半数以上で、防災面などの不安を抱えていたり、単身者用の部屋が空いていることをなんとか活用しなければと、自治会の方から京都市に学生の居住を要望された、とありますが。
杉: そうなんです。元々、田中宮市営住宅には龍谷大学の学生さんがボランティアで一時的に入ったりして、学生とのつながりがあったんです。で、「来てくれている学生たちがずっと住んでくれたらもっと地域とも深く関わってもらえるのに、どうにかそういう仕組みってつくられへんのやろか」というような相談もありまして…。
絹: リスナーの皆さん、その田中宮市営住宅の位置関係ですけど、皆さん土地勘はありますか?近鉄の竹田駅よりもちょっと南…。
杉: 歩いて10分~15分くらいの所ですね。
絹: それから京阪で言うと墨染の駅から西に向かって15分くらい歩いてという感じですか。国道の赤池から歩いて10分くらいかな。そんな感じの位置関係です。城南宮さんの南のほうですね。
 

●「暮らしながら学ぶ」を実現するために

杉: この取組みとしては入居している学生さんが自治会の役員として地域の自治会活動に参加していくというもので、「暮らしながら学ぶ」というのを大きなテーマにしています。
絹: 大学側も全面的に協力されているみたいですね。
杉: そうなんです。地域に学生が入って、それで終わりではなく、大学、自治会、地域、そして京都市、他にも色んな関係機関が集まって学生や地域をサポートできる体制を取っています。
絹: 別の新聞記事には「空き部屋になっていた単身用の部屋、1DK約29㎡を使っている」とあります。入居費管理費は計24800円。これは手ごろですよね。
杉: そうですね。近隣の学生が一人暮らしをするようなお部屋の家賃からすると安く設定されていると思います。
絹: 僕はそんなに詳しいわけではないですけど、例えば息子がワンルームマンションに入ろうとすると5万くらい確保しないといけないのではと…。
杉: そうです。4~5万円くらいがこのあたりの相場とは聞いています。
絹: 学生の経済的負担を軽くするために、事前に京都市がお風呂を改修したり、エアコン、冷蔵庫、家電製品も設置したと。もう至れり尽くせりじゃないですか。
杉: そうなんです。もう身一つで入ってもらえるという状況ですね。
絹: でも地元の方から「学生さんによかったら入ってほしい」という声が京都市に届いて、それを京都市が丁寧に拾わはった。これもなかなかちょっと美しいじゃないですか。
杉: ほんまですか!
絹: それもちゃんとそういう声が届くんですね。
杉: やっぱり頂いた声をどうにか私たちも実現できないだろうかというのは考えてまいりますし、その中でも特に田中宮については、単身部屋が空いたまま、次の募集を待っているような状態だったので、条件としても整っていたというところはあります。
絹: 大学に通うだけでは経験できない色んな世代の住人との関わりを通じての学び、それも京都で学生生活を送る上での大事な学びではないのかと大学でも思われたわけですよね。
杉: 大学の学内では学べないような関りを、市営住宅をフィールドとして学んでもらえる良い機会になるのではないかというところで、龍谷大学さんに賛同いただいたという次第です。
3L APARTMENT ホームページより転載)
 

●3つのL の答えです

絹: さあ、そこで謎のタイトルの答えが出てきます。
杉: ついに申し上げます(笑)。3つのLというのが「local」「life」「learning」という3つの単語の頭文字を取っております。これが「地域に暮らしながら学ぶ」という3Lアパートメントプロジェクトを表している要素になっております。
絹: 「local」「life」「learning」、地域で学んでくれと。
 

■エピソード2 熱くて優しい自治会長さんのこと

●田中宮に自治会を立ち上げる
絹: さあ、次のエピソードです。なんか面白い自治会長さんがいたはるらしいですな。
杉: そうなんです。自治会長さんがとてもインパクトがあると言いますか、個性的な方でして…。
絹: 新聞記事でお坊さんみたいにつるんとした人が作務衣を着て…。結構恰幅のいい人、この人?
杉: そうです(笑)。第一印象はちょっとこわもてな感じもある人なんですが、実際話してみると義理と人情で、とっても優しい熱い方なんです。
絹: お名前は?
杉: 岡田俊秋会長です。
絹: 岡田俊秋自治会長。これは平成31年の時点で御年62となっていますから、今はもっと上ですね。
杉: 63歳ですかね。そもそも田中宮市営住宅には自治会がなかったのですが、平成24年度に自治会を自ら立ち上げられた方です。
絹: どうやら熱い方のようですね。
(左側 : 岡田俊秋自治会長 3L APARTMENT ホームページより転載)
 

●ふれあい祭り、子ども食堂、ソフトボール大会…みんなの喜ぶ顔が見たい

杉: とても熱い方で、地域のことをすごく考えておられて、「ふれあい祭り」という地域のお祭りとか、子ども食堂や、ソフトボール大会など、色んな行事を実施して、「子どもたちの喜ぶ顔が見たい!」「地域の人が喜んでいる顔が見たい!」という気持ちで活動されている方です。学生の事もすごく気にかけて下さっていて、コロナ禍ということもあり、昨年はアルバイトができない学生がいたんですけど、「大丈夫か?」「食えてるか?」と、とてもこまめに声を掛けて下さっていました。自治会としても住人の皆さんに対して色んな策を練っておられて、実行されていて、とても優しくて熱い方です。
絹: 3Lアパートメントのフライヤーと言いますか、三つ折りパンフレットがあります。その中を見ますと、岡田自治会長の人となりを表す、「田中宮名物、岡田会長の粕汁」というのがあって、会長が蔵元から仕入れてくる美味しい酒粕を使って手製の粕汁を振舞ってくださいますと。これまで粕汁が苦手だった方も絶賛と書いてあります。
杉: 冬と言えば会長の粕汁で、めちゃくちゃ美味しいです。
(田中宮名物、岡田会長の粕汁 3L APARTMENT ホームページより転載)
絹: それとともに子ども食堂をやっていらっしゃるんですね。周辺の子どもたちにお声かけをして、学生と一緒にご飯を食べますと。時には夜に地域の大人たちが大人食堂って…。食堂って言ってますけど、当然アルコールとか出そうですよね(笑)?
杉: そうですねえ(笑)。色んなものが出てますね(笑)。
絹: いやあ、面白いですね。それから「ふれあい祭り」。地域で途絶えていた夏祭りが十数年ぶりに復活。
杉: 毎年秋に行っていまして、これが一番、田中宮市営住宅自治会の行事の中では大きな行事になっています。ちょっと今年度はコロナの影響で、規模を縮小しての実施という形で、外ではできなかったんですけど。
絹: それはしょうがないですよねえ。
杉: ただそれも入居している学生が中心となって、「今年もぜひやりましょう」ということで、たくさん動いて実施してくれました。
 
  (第5回ふれあい祭り 2020.10月開催 3L APARTMENT ホームページより転載)
 

■入居している学生さんのこと

●「地域に入ってやってみたい!」
絹: それでは住んでいる学生さんの様子について、教えていただけますか。
杉: 入居している学生は、今は6名なのですが、とっても真面目ないい子たちで、地域のために自分たちも何かしたい、何ができるやろかということを、すごく考えて、志を持って入ってきてくれているんです。
絹: なんかちょっと美しすぎません?僕、以前はね、学生さんは地域にかかわらないとか、ほっといてみたいな、スマートフォンの中身だけ、ネットの世界に没入してというイメージがあって…。ああ、でも運動部とかガンガンやっている人はやっていたよなあ。
杉: 私も最初は失礼なんですけど、そういうイメージを持っていまして、学生さんで地域に入ってやりたいなんて、やる気を持ってくれている子がいるんやろかと思ってたんです。ただ実際、こうして募集してみると、みんな「やってみたいです!」「入ってみたいです!」と言ってくれる子もいて、今年も入居募集はもう既に終えたんですけど、1つの枠に何人もの学生さんが応募してくださって…。
絹: リスナーの皆さん、今のところ赤線引いてくださいね!枠よりも多くの人が応募してきたと。ということは、龍大生のある部分は大学に近いし、条件もいいし、地域のお手伝いもしてという希望があるわけや。
杉: そうなんです。「地域に入って僕もやってみたいです!」と言ってくれるのは、本当にうれしかったですね。
 

●3.11以降、学生気質が変わった?

絹: 3.11って、もう何年前になるんでしょうかねえ。
杉: 2011年ですよね。
絹: そうすると10年ですよね。あの頃から被災地に入る学生さんとかが増えて、何か学生気質が変わってきたような、そんな気も少ししているんです。言葉を選ばずに言うと、「恥ずかしげもなく世のため人のために動く」という人が、少し若い人の中ににょきにょき出ているような気がせんでもないのですが、その辺有紀さんの年代はどう思います?
杉: 私が学生の頃は、そこまで地域にとか、誰かのためにとかいう人、もちろんいたとは思うんですけど、目立ってそういうイメージってなかったですね。
絹: そういう人口比率がちょっとアップしてきた気がしません?3Lアパートメントプロジェクトなんかに関わっていると。
杉: 今の学生さんを見ていると、本当にそうで、龍谷大学の学生さんだけじゃないのかもしれませんが、関わっている学生も自分たちで変えたい、何かをしたいということで、すごく自発的に動くということをしていて…。
 

●住んでいる学生同士もすごく仲がいいんです

絹: 頂いているメモを見ますと、「彼らは何か志を持っているような気がする」というコメントと、住んでいる龍大生同志も仲が良くて、一緒に飯を食ったり、部屋に集まったり、寮みたいな雰囲気も、その田中宮市営住宅にはあるようで。あ、学生さんが集まっているフロアって一緒なんやね。
杉: フロアが同じ階で、隣り合わせになっている部屋もあるので、フラッとみんな集まって一緒にご飯食べたりして、同じ階に住んでいる仲間なので終電とかも気にせずにいられますし…。
 

●学生を守るためのルールが設定されています

絹: でも、一定トラブルを防ぐために、田中宮の一般の住民は彼らの部屋を訪ねるのはやめようというのは、マナーとしてあるみたいですね。
杉: 学生たちも住民さんの部屋の中には入らない、また住民さんも子どもであっても学生の部屋には入らないということを、岡田会長が徹底してされています。
絹: それはやっぱり岡田会長の学生を守ろうというご配慮なんですか?
杉: そうです。この事業を始めるにあたって、学生を守るための方法としてルールを設定されています。
絹: そっかあ。なかなか深いですねえ。さて、時間が残り少なくなってきましたので、これからどうなっていくのだろうという予告編と言うか、展望も含めて、コメントしていただけますか。
(集団登校する小学生の見送り 3L APARTMENT ホームページより転載)
 

●3Lアパートメントプロジェクト、市営住宅以外にも、全国にも広げていきたい

杉: ちょっと私の野望みたいなところも含めての話になるのですが、現在、これは田中宮の市営住宅で行っているのですが、他の市営住宅にも広げていきたいなと思っていますし、それだけではなく市営住宅以外の自治会にも広げていきたい。やっぱり地方から出てきて下宿している子もたくさんいると思いますし、そういった一人で住んでいる学生も地域に関わっていって、サークル活動の一環のように、地域をフィールドとして学生の自由な発想や感性が活かせる場をつくっていけたらと思っています。
絹: そのあたりを運営協議会の事務局長を受けていらっしゃる三木俊和さんあたり、“まちとしごと総合研究所”あたりと話をしてみたいですね。
杉: そうですねえ。これは30分では全然収まらない話なので。
絹: その有紀さんの野望が、京都市だけでなく、全国にもね。
杉: 全国にも広がって、新しい自治の形になってほしいなと。
絹: その前に、京都府さん、なんで京都市さんの真似、できないのと。あ、ひょっとしたらもうされているかもしれませんけど、府営住宅もあるものね。僕は建設屋ですから、民間の立場から田中宮で起きるような共同住宅、3Lプロジェクトが起こりうるようなマンションだとかアパートとかをつくってみたいですね。
杉: 実際に入居学生の中にも、不動産だったり、ハードの部門で3Lみたいなことができないかと思ってくれている学生も住んでいるので、是非学生の声もお届けできたらなと思います。
絹: いやあ、彼らと悪巧みしたいねえ!
杉: 是非、しましょう!
絹: そのためのプラットフォームなんかも、実は京都府の方々と作り始めているんです。ですからそんな話も、連携プレイをしていけたらと思います。リスナーの皆さん、今までの話、お聞きになっていかがだったでしょうか。京都市の住宅室、市営住宅を管理している部門が何やら悪巧み、それも非常に大切な悪巧みを始めて一年以上経っています。これが広がると京都市はより暮らしやすく、学生が元気になる、そんな気がしませんか。一回で終わるような話ではないので、第二弾、第三弾と続けてまいります。またプロモーションビデオもおつくりになっていますので、できた時点でお知らせいたします。この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして我らが京都市・景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。有紀さん、ありがとうございました。
杉: はい、ありがとうございました。

 

投稿日:2021/02/26

第162回 ・大学生のためのアプリ KYO-DENTってご存知ですか?~開発学生のプロジェクトメンバーに直接聞いちゃおう!

ラジオを開く

大: 大久保 忠重 氏(京都市総合企画局総合政策室 大学企画係長)
小: 小尻 真希 氏(京都市総合企画局総合政策室)サポート
園: 園山 倫太朗 氏(京都文教大学 総合社会学部2回生)
松:  松本 彩 氏(佛教大学 社会学部現代社会学科2回生)  
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)

 

大久保 忠重 氏) (園山 倫太朗 氏)    (松本 彩 氏

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は、当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲストはお三方をお招きしております。まずお一方目は京都市総合企画局総合政策室大学企画係長の大久保忠重さんです。
大: 大久保忠重です。よろしくお願いいたします。
絹: よろしくお願いいたします。それからスタジオの外に、やはり京都市からサポートスタッフとして小尻さんに来ていただいています。今日はお声は出されないかもしれませんが。
それからお若いゲストが2人おられます。園山倫太郎さん、よろしく!
園: よろしくお願います。
絹: 島根出身、京都文教大学2回生。今回のプロジェクトチームのリーダーを去年務めたと。
園: おこがましい限りです(笑)。
絹: それからコロナの影響で、スタジオの中に入れる人数を制限していますので、ゲストですけど、もう1人松本彩さんという学生さんもおられます。おーい!
松: はーい!
絹: あとでまた登場します。というゲスト紹介です。
今日の番組タイトルは「大学生のためのアプリ KYO-DENTってご存知ですか?~開発学生のプロジェクトメンバーに直接聞いちゃおう!」と題してお送りいたします。それではエピソード1に入っちゃいましょう。口火は大久保さんから切っていただきましょう。「そもそもKYO-DENTってなんぞや?」行きましょう!
 

■エピソード1  そもそもKYO-DENTってなんぞや 

●京都ならではの大学生のための学びのアプリ、リリースしました! 
大: KYO-DENT、大学生のためのアプリということで、今年の3月にリリースされたものになるのですが、京都市には38の大学があって、15万人の学生さんが学んでおられます。これはいずれも政令都市ナンバー1の数でして。
絹: 京都市民の数、減り気味ではありますが、昔習ったのは140万人、一時は150万人、すると何人に1人が学生さんになるんですか。
大: 10人に1人ということになります。多いです。東京よりもはるかに多くて、学生さんが活躍しているまちということになります。その学生さんに少しでも充実した学生生活を送っていただきたいと、この4年間で京都でしっかりとした思い出を学んでほしいということで、このアプリを開発させていただきました。この京都、例えば世界遺産で学べる授業であったり、今年からは京都鉄道博物館で学べる授業など色んな授業もありますし、地域の町内会さんとかに学生が出向いて、色々交流を深めてもらったりなど、大学のキャンパス以外にも学びを深めるツールがたくさんあります。ところがそれがなかなか伝わっていない、学生さんが知らないということで、それがきっかけで今回このアプリを開発して配信をさせていただいております。
絹: いい試みですねえ。僕らの学生時代って、自分自身もう60を超えていますので40年近く前ですけど、なかなかそういう授業はなかったですものね。
(※京都市ホームページより【広報資料】「大学のまち京都・学生のまち京都」公式アプリ KYO-DENT(キョーデント)配信について※キャンペーンは終了しております)
 

●大学生の皆さんにアプリのもろもろ、考えてもらいました

大: ありがとうございます。京都ならではの学びというところを、どんどん深めているのが私どもの仕事でして、ただ学生のためのアプリなので、大学生に実際に機能とかデザインも含めて考えていただこうということで、先ほどご紹介した園山さんとか、松本さんを中心にプロジェクトメンバーを立ち上げて、今回KYO-DENTの中身を議論いただいたというのが、開発の経緯になります。
絹: 口火を大久保さんに切っていただいたところで、次なるバトンは倫さんですか?
 

●横のつながり、縦のつながりを広げたい

園: 倫さんです(笑)。その当事者としての意見を、ちょっと話させていただきます。
このアプリをつくった目的としては、やはり京都って、市民の10分の1学生がいるにも関わらず、横のつながりがまだうまくできていなくて、大学それぞれの孤立した環境にあるなと自分自身感じていました。また、様々な企業さんがおられるにも関わらず、縦のつながりもあまりできていないなと思ったので、このアプリ開発プロジェクトが立ち上がったことで、横のつながりと縦のつながりをより広げていくためのアプリとして、自分は位置付けています。
絹: それで偶然、すごい迷惑なコロナさんが来てしまって、その中でよけい横のつながりがブチブチに分断されているなかで、ひょっとしてこのアプリを開発されたタイミングって、バッチリ違います?切れているつながりをつなぎなおすのに、いい時期につくってくださいましたよね。
大: そうですね。対面での活動が制限されているなかで、こういったアプリを通じて配信できるというのは、強みかなと。こういうコロナ禍の中では、このアプリは非常に使えるのかなと。学生さんが自分で動けないなかなので、そういった中でも色んな取組みがされており、私どももしていますので、それを届けるツールがこの3月にできたというのは、僕らの心強いものになっていますね。
園: 学校に行かないと、本当にこういう情報を得ることができなかったのが今までだったのですが、アプリとして手元で持ち運ぶことができるようになると、そこから情報を得ることができるようになるので、大変今に合ったものかなと思います。
絹: しれっと大久保さん、今ここに座っておられますが、隠れていい仕事をしていらっしゃいますね。
大: 園山君と松本さんのお陰です(笑)。ほんまに。
園: アプリの機能は、大学生が色々と話し合うことができる掲示板の機能があったり、これまでの学習の積み重ねを記録する機能があったり、大学生なので飲食店などのクーポンが使えるものであったり、歴史の長い京都には文化施設が多いので、そういう所にも安く入れるような機能もついています。
 

●このアプリをきっかけにプロジェクトが立ち上がれば…

絹: さっき、このアプリの本質的なこと、横のつながりができるといいよねと、それから地域とのつながりができるといいよねという話を、打ち合わせでしていましたが、資料に「みんなの掲示板」機能と書いてあります。僕がインタビュアーとして興味があるのは、この掲示板機能がうまく使われると、面白いことが起きるのではないかなと、そんな予感がするんですけど。
園: 横のつながりをもっと増やしていきたいという思いがあるので、学生同士が課題とか、「こういうところを、もっとこうしたらいいのでは」といった議論を活発にできたことの延長線上に、もし何かのプロジェクトが立ち上がったりしたら…。
絹: ここに「大学の枠を超えた、学生だけの居場所とかコミュニティをつくるのに、このアプリがきっかけになるのでは」と書いてありますね。今のミレニアム世代よりも更に先のZ世代の連中は僕らと違って、オンラインでこのアプリがきっかけになって、「おーい、こんなプロジェクトやるけど、集まれ」なんてやりかねないね。
大: この京都の学生だけが使えるというところがミソになっていまして、ツイッターなんかは全世界に発信されるんですけど、京都の学生だけがこのアプリの掲示板に投稿できるように制限を設けています。
絹: いいですね。コミュニティサイズと言うか、スモールシティ京都に特化できると言うか。「あ、すれ違ったアイツ、アプリで会ったヤツとちゃうか」みたいなそんなこともあるかもしれませんね。
倫さん、こういうことにプロジェクトリーダーとして携わって、どの辺がワクワクした?
 
  コトカレ ホームページより転載)
 

●最初の0から1をつくるということ

園: やっぱりこうやって学生同士がつながってプロジェクトを立ち上げることができれば、どこまでできるかわからないですけど、もしできたら、すっごい面白い事が起きる。と言うか、そこから大学のプロジェクトとか、サークルに終わらず、その後の人生においても自分がやりたいことをできるように、やりたいことをそのまま延長線上としてできたらいいなという思いがあるので、それを自分たちがつくる、最初の0―1をつくるというのは、すごいうれしかったですね。すごいワクワクしました。
絹: 今、良いことを言いましたね。0―1をつくるって。倫太郎さんは結構欲張りで、大学の枠を超えていくことを良しとするタイプの人のようです。この辺りはなかなか見どころありと、おっちゃんは思います。
さあ、13分になりましたので、一度外におられる彩さんに交代しましょうか。後で「ちょっと喋らせろ」という時はサインをくださいね。バタバタと交代しますからね。
園: 了解です(笑)。
 

■エピソード2 KYO-DENTのコンセプトとおススメいろいろ

●せっかくの京都。ちょっと覗いてみませんか?
絹: では選手交代で、同じくプロジェクトチームのメンバーであります松本彩さんに声を出していただきます。軽く自己紹介を!
松: はい。佛教大学社会学部現代社会学科2回生の松本彩と言います。よろしくお願いいたします。
絹: 彩さん、エピソード2は何から行きます?やっぱりこの扉ですね。
松: はい。このKYO-DENTのメインとなるポスターの画像を見ていただきたいのですが、是非これを聞いていただいている皆さんも検索して見ていただきたいと思います。
この黄色いポスターの中にスマホが扉になって、「せっかくの京都。ちょっと覗いてみませんか?」という言葉と共にある画像なんですけど、これがすごくこのアプリのコンセプトにぴったりで、やっぱり自分自身もそうだったのですが、大学に入って何をしたらいいんだろうとか、何かきっかけが欲しいとか、そういう人たちって、意外とたくさんいると思うんです。そういう人たちにとってこのアプリがきっかけになれば、たった1つのスマホから大学の色んな選択肢の幅が広がればという気持ちで、このアプリを作ったし、このポスターを作ったんです。
 
絹: リスナーの皆さん、ラジオで画像を想像するのって、無茶言うなという話ですが、イメージしてください。黄色いA4のポスターのところに、KYO-DENT 2020.3.26リリースというタイトルのチラシがあると。背景は黄色い無地なんですけど、その真ん中に扉を開けるところをイメージしてください。扉はスマートフォンなんです。スマートフォンにノブがついていて、それを回してカチャっとやると次なる世界に行くよと。このKYO-DENTは「Kyoto」と「student」を縮めた造語?
松: はいそうです。「Kyoto」「student」を掛けており、京都の学生に使っていただけたらということで、この名前にしました。
絹: 松本彩さんは、アプリのコンセプトと言うか、明示しているものは扉だということに、一番ワクワクされていますね?
 

●大学生になったものの、何をすればいいのか…

松: そうですね。自分自身がこのアプリ開発プロジェクトが扉となったというか、大学生になって、最初何をすればいいのか、何かやってみたいけど、4年間ってあっという間で何をしたらいいんだろうという時に、アプリ開発プロジェクトのポスターを見て、それがきっかけになって、ここに飛び込んでいったんです。その飛び込むきっかけがこのアプリ開発だったので、アプリの中で何かできないかなと思ったのがこういう形でした。それこそアプリの中に色んな学生団体だとか、色んなプロジェクトだったり、色んな京都の学生のための情報が詰まっていて、みんながたくさんある中から選択肢として選べるというのが、このアプリの魅力だと思います。
本当に自分で選択肢を見つけていくって、すごく難しいんですよね。でもたくさんの選択肢が、行政の方たちが私たちに提供してくださるのを一気に見られるというのは、すごくメリットがあるなと私自身思いますし、本当に学生に使ってもらいたいなと思っています。
絹: リスナーの皆さん、お気づきですか?松本彩さん、すっごく力が入っていますよ(笑)。
それでね、利用対象が大学コンソーシアム京都加盟大学に在籍する学生で、しかもこれはニクいなというのは、日本語・英語2か国語対応と、やるじゃないですか。それから構成メンバーは8大学から12名、うち2人が留学生、京都医療科学大学、産業大学、京都大学、文教大学(さっきの倫太郎さんですね)、同志社大学、佛教大学(これが彩さん)、立命館大、龍谷大学ということですね。
ちょっと質問ですけど、プロジェクトチームの活動は12月で終わってますけど、まだまだお2人、このアプリの行く末に関わろうという気持ちはありますか?
松: ありますね。やっと出来上がったところと言うか、ここからまたたくさんの学生の方が使ってくださって、またどんどん改善点が見えてきているところなので、それを自分自身も開発メンバーとして見届けたいところがありますし、最後まで責任をもってやり遂げられたらなと考えています。
 

●安心して使えるアプリです!おススメは…

絹: すばらしい。そしてすごく色んな機能を持っているアプリケーションのようですが、松本彩さんが一番好きな「この機能がお勧め!」みたいなところを紹介していただけませんか。
松: 「京のコト機能」というので、学生向けの情報配信をしている機能があるんですけど、京都市さんだったり、大学コンソーシアム京都さんなど、学生向けのニュースを配信しているんですけど、やっぱり大人の方たちが配信してくださる情報であり、なおかつ行政なので、安心して見られるというところも魅力的で、自分たちで情報を取捨選択していくのって、結構難しいんですけど、安心と言うのは学生にとってすごくいいかなと。
絹: ある程度、総合企画局を中心に、それぞれの部局がスクリーニングして、いい加減な情報は排除して「これいいね」というものが配信されるということですね。
例えばうちの会社、公成建設の「インターンシップでネクスコの高速道路の城陽高架橋の工事を見に行きませんか」とか…。
あるいはバードマンラリーって聞いたことある?鳥人間コンテスト。あれのプラットフォーム、発射台をうちの会社で40年以上つくり続けているんですけど、「その現場、本番前に見ます?」みたいな情報をもし総合企画局に寄せたら、ちょっと見て、「この情報、やめとこか(笑)」なんていうプロセスがあるんやね(笑)。はい、すみません(笑)。どうぞ。
松: このアプリを最初に開発した時に、難しいと感じたのが、行政のアプリだけど学生が魅力的に感じるというのが、意外と結構難しくて、ただそこをいいとこ取りしたんじゃないかなと感じていて、学生が何か情報を求めていて、でも安心した情報を行政だから得られるというところで、これはやっぱり一番使いやすいのではないかなと思っています。
 

●お得情報の発信もあります!

絹: もう1つ、好きな機能は何ですか?
松: お得情報を発信している機能がありまして、「お得!機能」というものなのですが。
絹: おお、やっぱり女の人のお得情報って、うちの嫁さんも好きそうやわあ。
松: キャンパス文化パートナーズ制度とか、学割とか、学生の間にせっかくだから京都をたくさん見て知りたいけど、やっぱり学生なのでお金があんまりかかるのも…というのがここで色んなものを使っていただいて、京都を満喫していただけたらというので、ここは推していますね。
絹: ここでもう一度倫ちゃんに入ってもらいましょうか。
大: じゃあ僕が出て、倫ちゃんに代わります。
 
  (キャンペーンは終了しております)
 

■エピソード3 アプリ開発者としてお伝えしたいこと

●KYO-DENTをきっかけに、新たな一歩を踏み出してください!
絹: さあ、それではリスナーの皆さん、エピソード3という形で収束に向かいますが、さっき2人に喋ってもらって、本当に短い時間だったけど、アプリケーションを紹介してもらいましたね。他にもう少し、リスナーの皆さん、あるいは学生さんに伝えたいこと、地域のおっちゃんおばちゃん、じいさんばあさんに伝えたいこと、それぞれ一言ずついただけませんか。
松: やっぱり私自身がそうだったのですが、大学生活何をしたらいいだろうとか、何を始めたらいいだろうと、すごく皆さんこれから不安になるでしょうし、2回生や3回生の方でも、何かやっていれば良かったかなとか、そういうことがたぶん色々あると思うんです。このKYO-DENTがきっかけとなって、何か踏み出してみようと思えたらいいなと、そういうきっかけがたくさん詰まったアプリだと思うので、これを見てきっかけにして、何か大学生活を踏み出していただけたらと思っています。
 
 

●KYO-DENTを通して、地域の方々とつながりたい

園: 今言っていただいた学生目線としては本当にそうで、後悔して欲しくないです。たった4年間なんですよ。人生の中で。だから僕たちは一年生の時からこういうことに関わる事ができたんですが、早めに色々な事が知れるアプリにしていきたいと思うのと、やはり地域の皆さんとも関わっていきたい、縦のつながりも本当に増やしていきたいと思っているので、人口が減っていく、高齢化していく社会の中で、いかに学生が地域の中に入り込んで、色々共助することができたらなと思っています。
絹: 倫太郎さんは良いキーワードをくれました。共助、共に助け合うと書いて共助と読みます。このアプリケーションを学生さんに伝えるだけじゃなくて、私たちのようなおっちゃんおばちゃん、じいさんばあさん、長く地元にいる大人たちがいかにこのアプリにアクセスして、これを扉にして学生さんたちとつながるかというようなことも大切になってくるね。
園: そうですね。本当にそう思います。僕も地域で色々やっているので、このアプリを通して、このアプリは学生のためなんですが、色々なルートを使えば関わる事ができると思っているので、そういうふうに幅を広げていきたいと思っています。
 

●KYO-DENTと思い描く未来

絹: もしすごくこのアプリが有名になって、色んな事が起こるとして、近く起こりうる未来みたいなことを短く「きっとこんなことが起こるぜ」みたいなことあるかな?
園: 今さっき、僕が0-1という話をしたんですけど、本当にまだ1なんですね。リミッターはないと思っているので、100がゴールとは限らないんですけど、どんどんみんながつくりあげていく過程で色々なプロジェクトが起こって、そういうのが社会課題となっていることであれば、色んな大学の学生と関わる事ができるので、プロジェクトが起業に代わって、起業から事業としてうまくランニングしていくことができるようなことが生まれていくのではないかなと思っています。
絹: いいですねえ。それじゃあ、最後私がまとめを引き取るとして、今、勝手な思い付きですけど、河原町御池にQUESTIONビルという新しいビルがあります。あそこにStudents Labというプラットフォームみたいな学生のたまり場もできています。
園: 行きました!
絹: QUESTIONビルとこのアプリが連携する未来が、なんとなく妄想として私の頭に沸いております。それからコミュニティステップスというでっかい階段教室みたいな面白いセミナールームがありますが、あそこで夜な夜なアプリを介して、リアルとオンラインで学生と地域の人たちがミーティングしているという未来もなんとなく妄想されてきます。
リスナーの皆さん、いきなりよくわからない話をしてしまいましたが、学生たちにきっかけを渡して、京都市の総合企画局 大学政策担当の皆さんは面白い仕事をしています。このスマートフォンが扉になっているという絵に象徴されるように、学生たちはひきこもるのではなく、京都のまちに一歩二歩と踏み込む思いを持っておられます。その受け皿として京都市民はいかに受けるか。これは京都の先人たちがずっとしてきたことです。若い人たちを大事にすることで、新しいものを歴史の上に積み重ねる。それが我がまち京都のはずです。是非KYO-DENT、アプリケーションをダウンロードのうえ、ご協力を賜りたいと思います。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。倫さん、彩さん、そして大久保さん、小尻さん、ありがとうございました。
全: ありがとうございました。
(KYO-DENTアプリケーションのダウンロードは上記よりお願い致します!)
投稿日:2021/01/21

第161回 ・さとのやま保育園ってご存知ですか?~ヤキニク屋が作った保育園って何?

ラジオを開く

遠: 遠藤 久子 氏(さとのやまほいくえん 園長)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
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      (遠藤 久子 氏

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は、当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲストはお一方、妙齢のご婦人をお呼びしております。京都北山、焼肉の南山さんからお越しいただきました「さとのやま保育園」園長先生、通称えんちゃん、遠藤久子さんです。よろしくお願いします。
遠: よろしくお願います。
絹: 遠藤さんには「さとのやま保育園の今」ということを、後々ひも解いて頂きます。
今日の番組のタイトルですが「さとのやま保育園ってご存知ですか?~ヤキニク屋が作った保育園って何?」と題してお送りいたします。
遠藤さんにお話しいただく前に、ちょっと私、露払いをいたします。「さとのやま保育園」、実は2年前に取材に行ったんです。企業主導型保育園に挑戦されて、当時の社長さんが楠本貞愛(くすもと ていあい)さん、たぶん年回りは私くらいか、少し上くらいで、すごく感じのいい方で、企業が主導する保育園をやりたいということに惹かれて取材をして、2年経ってしまいました。その後どうなっているのか、2年ぶりに最近おじゃましまして、遠藤さんとも再会しまして、「なんで楠本貞愛会長じゃなくて、私なんですか?」と聞かれましたけど(笑)。
ではマイクをえんちゃんこと、遠藤さんにお渡しして、エピソード1に移りたいと思います。ご存じの方はご存知、でもまだご存じでない方のために、「ノートルダム小学校の北側に、保育園ってあったん?」という話をお送りします。
 

■エピソード1  そもそも「さとのやま保育園」てなに?

●さとのやま保育園は焼肉屋がつくった保育園です
遠: はじめまして、「さとのやま保育園」園長のえんちゃんです(笑)。「さとのやま保育園」はたぶん日本で1つかなと思うんですが、焼肉屋がつくった保育園です。たぶん色んな企業さんが保育園をつくっているとは思いますが、きっと焼肉屋はうち一軒かなというところですね。
絹: その確率、めちゃめちゃ高いと思います。なんで2年前、楠本貞愛社長はそう思われたんでしょうねえ。
遠: その当時、焼肉南山の職員が結構結婚が多くて、子どもを出産して、当時の社長である貞愛社長が従業員の子どもを子守しながら、従業員に働いてもらっていたという時期が結構あったようで、たまたま従業員の焼肉パーティーを3階のテラスでやった時に、子どもたちが走り回っていて、その姿を見て、「もう絶対にここは子どもが走る姿が一番似合う」と社長が思ったようで。
絹: 手元資料で、京都移住計画の人たちが作ってくれた「食を通じた社会づくり」という記事を読んでいるんですけど、南山さんのレストランの日本家屋の移築したやつ、茅葺の屋根のいい感じのレストランの隣にビルがあるんですよね。4階建てのビルの、「さとのやま保育園」はその3階にある?
遠: 3階と4階です。
絹: だから北山通に面して、ビルの3階と4階に保育園があるんですよ。
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京都移住計画ホームページ「食を通じた社会づくり(前編)」より転載)
遠: その子どもたちの姿を見た時にそう思って、保育園を設計してくださった方が新潟にいるのですが、その方が代表と出会った時に、貞愛代表が思う保育園のコンセプトとすごく近い保育園が鹿児島にあるよということを聞いて…。
 

●お手本は、鹿児島の「ひより保育園」です

絹: 白水さんの保育園、なんていう保育園でしたっけ。
遠: ひより保育園」です。鹿児島にある。
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(鹿児島県霧島市にある「ひより保育園」ロゴ ホームページより転載)
絹: フットワークが軽い社長さんやから、飛んで行かはったらしいですね。
遠: そうです(笑)。それを聞いてすぐに鹿児島の「ひより保育園」さんに見学に行かせてもらって、子どもたちが楽しく料理していたり、楽しく作ったものをみんなで食べていたりということに、代表がものすごく心を打たれて、「私、この保育園やる!」となって、やると決めてから半年間、ずっと走り回っていました。
絹: めちゃめちゃ早いんですよ。鹿児島のその「ひより保育園」を見てそこから半年でつくってしまうんですものね。当時、その話を聞いて、私、口あんぐりしていました。それから視察に行かれた「ひより保育園」の子どもたちの表情がまた…。小さな子どもたちが料理のボウルでまぜまぜしていたり、お味噌を仕込むのを子どもたちが保育士さんたちと一緒にやっていて、にっこにこしている写真がいっぱい載ってるんです。それを当時の社長は見て、「これだ!」と思われたんでしょうねえ。
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「ひより保育園」ホームページより転載)
遠: そうですねえ、もう「これだ!」という思い、1つですよね。
絹: それで2年前に京都北山南山の隣のビルにつくってしまわれましたと。あっという間に。当時その副園長格で白水さんという若い男性が鹿児島の「ひより保育園」から時々出張してきていましたよね。彼の話をインタビューしたのを覚えているんですけど、彼も保育の専門家ではなかったんですよね、確か。それで今日のゲストで来てくださっている、えんちゃんこと、遠藤久子さんも保育士資格を持ってなくて園長になっちゃったんですよね。
 

●実は私、保育士の資格持っていません

遠: そうです。そうです。私は元々北海道出身なんですけど、北海道に住んでいた時に1年間だけ保育園で働いていたことがあったんですけど、ちょっと違う経緯があって、保育業界から離れたんですけども…。
絹: 手元資料によると、北海道旭川市に住んでおられた頃、保育園で働いていたことはあるけれども、そのあとはサーフィン大好き、横乗り系プロショップのオープニングスタッフとか、スポーツ系のところに行っちゃうですよね。で、店長さんとして15年くらい働かれて、結婚をして京都に来られて、それでまたスポーツショップに入られて、すごい売上を上げた経験もあるんでしょ?
遠: そうなんです。へへへ。
絹: だから腕があるんですよ。
遠: 好きなんです。
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絹: それでまた、今度は全く違う「さとのやま保育園の園長をやってよ」と当時の楠本貞愛社長に口説かれて、「いや」と言わずに「やるわ」と言ったのはなぜですか?
遠: 「ひより保育園」の白水園長が「僕も保育資格ないよ」と言うのを聞いて、「ええー」と。保育の世界ではこういうことがあるんだという保育のベテランさんが何年もかけて取得して園長さんになるんだなというイメージがあったので…。
絹: ですからえんちゃんこと、遠藤久子さん自身が型破りのレアケースですよね。さとのやま保育園自身が、焼肉屋さんがおつくりになった企業主導型保育園としてはほんとにレアケース、今日は非常に特異点のゲストがここに来られています。
 

●おかげさまで園児の数はどんどん増えています

絹: 企業主導型保育園のサポーター営業まで、業務は多岐に渡りますと。親子入園面談からスタッフの採用までって、全部これ、遠藤さんが関わっていらっしゃいますよね。
遠:  はい。全てが初のお仕事で。
絹: よう2年間できましたね。
遠: そうですね。もう走り続けています。
絹: 漏れ聞きますと、初年度よりも今3年目ですけど、子どもさんの数、増えているというじゃないですか。
遠: 11人スタートで、今34名になりました。
絹: リスナーの皆さん、ここのところ聞き逃さずにちょっと耳をそばだてていただきたいのですが、それって、周りの地域の人たちが「ええー、焼肉屋さんがそんなんをつくって、保育園できるの?」という評価ではなくて、「ここ、ええわ、おもろいわ」と言うてるのの裏返しでしょ?園長先生に聞きたいのは、親御さんたちのつぶやきをいくつかお耳に届いているじゃないですか。そんなのを1つ2つ紹介していただけませんか。
 

■エピソード2 さとのやま保育園の今 ~ ちょっと変わった保育園です

●0歳から食材に触れています
遠: やっぱり食をすごく大切にしているんですけど、「お家ではあんまり上手に食べさせてあげられないけど、さとのやまの食材を使った給食食べていたら安心」みたいな声だったり…。
絹: ということは、本当に食材なんかも安心・安全であったり、美味しかったり、ひょっとしたら一緒に作ったりするのかしら。
遠: そうです。0歳から食材に触れて、3歳くらいになるともう包丁を持って、0歳から5歳までみんなそうですけど、みんな自分たちが食べる給食のお手伝いを活動に取り入れながら…。
絹: 今、さらっとすごいことをおっしゃいましたよ。3歳児が包丁を持ってと。おままごと用のプラスチックの包丁では、どうもなさそうですね。
遠: 本物のよく切れる包丁ですね。
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さとのやま保育園 Facebookより転載)
絹: それ、親御さんによっては「なに危ない事させてるのよ!」と言うような人も…。
遠: いますね。
絹: でもそういう人もいるけど、全体的には「ええやんか」という声が多いわけでしょ。
遠: そうです。多いですね。逆にお家だとお母さんはハラハラして、一緒に包丁を持って食材を切るなんて、「やめて!」となってしまう。お家ではなかなかできない事を、保育園の仲間と楽しくやる活動を通して、楽しんで調理していますね。
 

●旬のものを食べて元気になる

絹: 今、こういうエピソードを聞かせていただきますと、「さとのやま保育園」は焼肉屋さんがおつくりになった保育園だけあって、「食べて元気になる」ということにすごくこだわっていらっしゃる節がありますね。
遠: そうです。春夏秋冬、季節を通して旬のものを体に取り入れるということをすごく大切にしているんです。旬なものというのは栄養がいっぱいなので。そういうところで免疫力や抵抗力もものすごく高くなるので、去年はインフルエンザになった子が一人もいなかったんです。そういうのもすごくうれしいなって。本当に食べたもので体がつくられているんだなと思います。
絹: 旬なものを食べると抵抗力がついていいと読んだり聞いたりしますけど、実際にそれを平場でやり遂げているというか、インフルエンザが去年は1人もでなかったと、これもさらっとえらいことを言うてはるなと(笑)。
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京都移住計画「食を通じた社会づくり」記事より転載)
 

●今日やることは園児が話し合って決めます

絹: それで手元資料にまた目を落としますと、“初めに九州の鹿児島のひより保育園に行った時に、驚いた”とあります。当時の楠本貞愛社長も、もちろんえんちゃんこと、遠藤先生も「ひより保育園」に行っているでしょ?
遠: はい。何度か研修に行っています。
絹: 一番驚いたこととして…。仮に保育園や幼稚園をイメージします。先生が前に立って、「今日は〇〇のお遊戯します。はい、みんな並んで」というイメージを持ってしまうけど、一番驚くのは“今日何するか、保育士の先生が決めない”と、書いてあるんです。朝の会で子どもたちが話し合って決めていると。「今日は何する?」「〇〇やりたいな」と自分たちの考えを子どもが発言する姿を見られて、ショックを受けて帰ってこられた。
遠: そうなんです。びっくりしました。
絹: ということは、京都の「さとのやま保育園」でもそれは踏襲されているんですか。
遠: そうです。本当に私たちが大切にしているのは、子どものペースを大切にするということです。それを全員でやっているんですけど、大人が先に「〇〇するからね」とか、モノを用意して「これをやります」と、そういうのが決まってしまっているのは、どうしても大人主導じゃないですか。
絹: 教育学の専門家が今の話をお聞ききになったら「おおっ」というふうになるんじゃないでしょうか。実は最新なんです。僕は大学の一般教養くらいしかないですけど、今、日本でなされているような、カリキュラムを組んできちんとお行儀よく座ってというのではなく、モンテッソーリ教育だとか、フリースクールだとか、カリキュラムを作らない、子どもたち、生徒たち、学生たちが学びたいことを自分で学ぶ、それを教師が手助けするというものです。初めはカリキュラムがないからヨタヨタしているけれども、卒業する頃にはものすごいスピードで進んで、カリキュラムのある普通の学校よりも生徒たちの学習レベルが高くなるという学校が、世の中には、特に海外に多いらしいですね。それの保育園版じゃないですか。まさに。
遠: はい。がんばっています。
絹: ですから本当にすごい実験を2年間続けてやっていらっしゃるところが、目の前に、北山通にあります。遠藤さん、もう少し日々さとのやまで起こっているエピソードをご紹介いただけませんか。
 

●大人が働いている姿を見せる

遠: 焼き肉屋のつくった保育園というところで、一番素敵なことは、保育園があるビルの地下1階には「ギューテロワール」という肉職人を育てる施設があって、実際に普段焼肉で出すお肉を、毎日切っている場所でもあるんですけど。
絹: はい、私も行きました。普通、南山さんは、一頭の牛をご自身の所で精肉と言いますか、切り分けて、それは普通は舞台裏でやられることだけど、ちゃんとガラスの見える所で、子どもたちがそれを見て、「あ、牛が、こういう風にお肉になるんだ」と見える空間があるんですよね。
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(「ギューテロワール」の様子。京都北山 南山 ホームページより転載)
遠: そうですね。そこがすごく大切なんですけど働く大人を子どもたちが近くで見れるという、そんな環境がすごく素敵だなと。私も保育園やってみて思うんですけど、普段お父さんお母さんの働いている姿って、なかなか子どもたちは見られないと思うんです。自営業なら見えるかもしれないんですけど。そういうなかで色んな大人が真剣にお仕事をしているところを見られるというのが、もっともっと大人になった時に、選択肢として出てくるとうれしいなって。
絹: 楠本貞愛会長(当時の社長)の思いとして、バックステージもスポットライトを当てて、子どもたちに見せちゃおうと。あんたたちが食べているのは、こういう作業で生まれてきているんだよと。で、子どもたちの目があったら、職人さんたちも「どや!」みたいな気持ちになるじゃないですか。
遠: なりますね(笑)。
絹: 僕はお話を聞いていて憧れてしまいました。やっぱり我々の建設現場でもなかなかわが子たち、小さい子たちにその姿を見てもらうことは難しい。でもなんとか見てほしいという思いは一緒ですものね。
 

●「さとのやま食堂」開催しています!

絹: 今、「ギューテロワール」という南山さんの本社ビルの地下にある所をご紹介いただきましたけれども、ここでのイベント、直近で行われることについて、少し園長先生にお話しいただけませんか。
遠: 毎月第二第四土曜日の11時半から1時までなんですけど、普段私たち大人も子どもも、美味しくいただいている給食を、地域の皆様にも食べていただきたいなと思って、「さとのやま食堂」を開催しているんです。その時には食育チームが作ったお惣菜も並べて、是非お家でも食べていただきたいなというのと…。
絹: 「そこへ行きたい!」「さとのやま食堂へ行きたい!」と言ったら、どうしたら行けますか?
遠: お電話でご予約になるのですが075-711-7511までお電話ください。
絹: 今、こういうご時世ですから、完全予約制です。
遠:  そうなんです。ちょっと席数を減らさせていただいています。
絹: 事程左様に、さとのやま保育園さんは地域に開かれているようです。地域の方たちに「来てね」と。それから12月26日から30日は南山歳末感謝祭でしたっけ。これは地域のお店がマルシェを開かれる?
 ヒトヨシストア
(詳しくはヒトヨシストアインスタグラムへ)
遠: 7店舗のお店が集まって商品が並びますので。またお肉もお安く買える期間になっています。
絹: 第二第四土曜日は特価の日。地下の「ヒトヨシストア」に行かれると、なかなかいいかもしれません。実は取材のために南山さんに1~2度ご飯を食べに行きました。やっぱりこういう子どもたちを育てる保育園のスタッフがそばにおられるというレストラン、なんかちょっと違うなという雰囲気がありました。落ち着いているというのか、本当に色んなものを大切にされているなということがレストランの、あるいはシェフの、あるいはフロアスタッフの行動からも、それから茅葺のあのしっとりした佇まいからも伝わってくる気がいたします。
リスナーの皆さん、是非、「焼肉屋さんがつくった保育園って、どんなんだろう」とご興味のある方はお調べいただき、そして「さとのやま食堂」、これは一見ではなく、一食の価値はありそうです。ぜひ予約のお電話をして、買い物にもいいかもしれません。ということで、終わりの時間になってしまいました。今日は楽しかったです。ありがとうございました。
遠: ありがとうございます。
絹: この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。えんちゃんこと、遠藤久子さん、ありがとうございました。
遠: ありがとうございました。さようなら。
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投稿日:2021/01/14

第160回 ・京都信金さんの新しい建物QUESTIONってご存知ですか?~様々な人の「?」が集まる場所

ラジオを開く

森: 森下 容子 氏(京都信用金庫 QUESTION 館長)
柳: 柳井 秀哉 氏(京都信用金庫 QUESTION)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
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 (森下 容子 氏 ・ 柳井 秀哉 氏

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト紹介から参ります。お近くから来ていただきました。新しいビル“QUESTION”の館長、森下容子さんです。
森: 今日はよろしくお願いいたします。森下と申します。
絹: そして同僚と言いますか、部下と言いますか、奴隷?(笑)
森: いやいや、同僚です(笑)
絹: 柳井秀哉さんです。
柳: 柳井と申します。よろしくお願いいたします。
絹: ここは京都三条ラジオカフェ、三条通寺町かどのスタジオからお送りしておりますが、QUESTIONさんのビルは歩いて3分?5分?
森: 3分くらいでしょうか。河原町御池の南東角です。
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QUESTION Facebookより転載)
絹: 燦然と輝くQUESTIONビル。これが今、私がすごく心惹かれる場所なので、おいおいQUESTIONビルなんぞやというところをお2人に解き明かしていただきます。
そして番組タイトル、テーマを申し上げます。「京都信金さんの新しい建物QUESTIONってご存知ですか?~様々な人の「?」が集まる場所」と題してお送りいたします。
さて、ゲスト紹介の第二弾、例のごとく進行の絹川が手を抜きます。ではまず柳井さんに、メインゲストの森下館長って、どんな人ですか?その人となりをリスナーの方たちに短くお伝えください。
柳: はい、他己紹介と言われて、ちょっと恥ずかしい部分はあるのですが…。今日はラジオということで、気合が入って、ピンク色の服装で来ていただいてまして、QUESTION始まって以来の女性館長ということで、僕たち9名の長としてバイタリティ―溢れて、率先して第一線で僕たちを引っ張っていっていただいております。思ったことは全部、上にも言っていただいて、僕らはすごく助かっております。
絹: 怖そうですねえ(笑)。
柳: 僕らには優しいんですけど、上には結構言っていただくので、有難いです。
絹: 上の管理職にすると怖いかもねという(笑)。今の短い紹介の中でも1つ大切な情報が取れました。QUESTIONのスタッフ、京信さんのプロパースタッフは9名であると。9名のチームがあの大きなビルを動かしているということを、リスナーの皆さん覚えておいてくださいね。
それでは今度は、森下さん、同僚、部下、奴隷(笑)の柳井さんとはいかなる人物か、短く述べよということで、よろしくお願いします。
森: 柳井さんはもちろん京都信用金庫の職員でもあるのですが、2年前から経済センターに出向もしておりまして、今QUESTIONでやろうとしていることを、先陣を切って1年間、外で経験をしてきた実力者でもあります。
絹: ああ、経済センターで僕が初めて柳井さんにお会いしたのを、僕は忘れていて、柳井さんは覚えたはった…。
柳: 覚えてました。はい。
森: 柳井さんは起業家の方や学生のアツい思いをくみ取ることができる方で、さらに剣道の達人でもあるということで、チームのリーダー的な存在で頑張ってくれています。
絹: 棒を持たさないようにしましょうね(笑)。無事、ゲスト紹介が終わりましたので、エピソード1に入っていきたいと思います。
 

■エピソード1  そもそもQUESTIONって?

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●このプロジェクト、4年前から始まりました
森: 河原町御池に、この11月2日に新しくQUESTIONというビルを京都信用金庫のほうでオープンをさせていただいきました。まだ1ヶ月経っていないという状況なのですが、元々はその場所に京都信用金庫の河原町支店がございまして、4年以上前になるのですが、老朽化に伴って建て替えをするということになりました。一時麩屋町の方に移転をして営業をしているさなか、そこの場所で新しい京都信用金庫としての取組みをしたいということになりました。どういうビルを建てるのかというところから、結構信用金庫の中のプロジェクト的に進められてきました。
絹: 先ほど事前の打ち合わせの時に、4年前の時に柳井さんはいなかったという話をしていましたけど、4年って、プロジェクトにしたら結構長いプロジェクトですね。
森: そうですね。私も4年前にはそのプロジェクトには参加していなかったのですが、その当時の若手の職員が河原町御池という場所にどういったビルを建てたいのか、どういったコミュニティを生む場所にしたいのかというところから話し合いをしまして、今の形の原型ができています。
 

●銀行とコミュニティづくり

絹: リスナーの皆さん、お気づきになりましたか?今、森下さんのコメントの中にQUESTIONビルの性格を象徴するような言葉が1つ混じっていました。「どういうコミュニティをつくりたいのか」と。銀行マンの口にする言葉とはちょっとかけ離れているなと、今、びっくりしたんです。「コミュニティをつくりたいか」と若い行員さんたちが話しているわけですよね。
森: 金融業なので、もちろんお金をお預かりしたり、お金をお貸しするということが本業ではあるのですが、今はやっぱり預けるとかお貸しするだけではなくて、人と人とか、事業と事業を繋げるような事が金融機関にも求められていますし、その決済機能だけではなくて、信用金庫がお客様と伴走して課題解決をしていく課題解決機能というのが、やっぱり今は未来型の地域金融機関として求められていることなので、それを体現していく場所としてQUESTIONができているというところです。
絹: 私にはショッキングな発言と言いますか、自分は金融機関は何たるかということについて、常識にものすごく縛られているなと。「あれ、なんか違う」みたいな、「すごい何かをやらかさはるんちゃうか」みたいなワクワク感があって、お2人に是非ともゲストにと思った次第です。まだ2~3度しか会っていないんですよね。リアルで2度、オンラインで1度ですけど、でも面白い。さあ、その私が「なんかすごい」「面白い」と思っているのは何なのでしょうということで、そのQUESTIONの成り立ちについて続けていただけますでしょうか。
 

●QUESTIONのコンセプト

森: QUESTIONというのは、ビルの名前からしてそうなんですが、1人では解決できない問いや課題に対して、様々な分野の人が集まって、みんなで寄ってたかって、その問いや課題の答えを探しにいく場所というのをコンセプトにしています。「何かを始めたいという気持ちを持っていても、なかなか勇気をもって行動することができない」そんな言葉をよく私たちも耳にするのですが、QUESTIONはそれぞれの問いや課題を互いに持ち寄って、そんな思いをぶつけあいながら、課題を解決できるような場所にしたいなということを考えています。
絹: 実現できたらすごいじゃないですか。でも一般のリスナーの方はイメージが想像しにくいかもしれませんので、例えばどんな問いが持ち込まれるのか、あるいは持ち込まれたのか、それを聞いてくださる方たちというのはどんな人たちがいるのか。そのテーブルを囲んで、寄ってたかって「ああでもない、こうでもない」というような知恵者がそんなにいるの?等々、様々な疑問がわいてきますが、それを柳井さん引き取っていただけますか?
 

●こんな人たちがあなたに寄り添います

柳: はい!問いというところで、最初のコンセプトでいくと、起業家さんの課題であったり、何か問題を持ってきていただかないといけないかなというところを想像されると思うのですが、僕らも最初はそうだったんですけど、そこの問いに関しては「なんでもいいよ」ということで、母性で受け止めようということになっています。
で、その問いと言うか課題を持ってきていただいて、私たちコミュニティマネージャーが京都信用金庫で9名、あとはインターン生ですね、現役大学生の2回生3回生が中心になるのですが約5名、あと実は京都信用金庫以外にも外部で関わっていただいているパートナーの方がおられます。株式会社ツナグムさまということで、移住促進をされている団体であったり…。
絹: 田村さんたちですね。
柳: あ、そうです。田村さんです。であったり、NPOグローカル人材開発センターというところで、企業と学生さんの有機的なつながりをやられているところだったり、様々な京都信用金庫以外の外部団体も関わっていただいております。
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㈱ツナグム notoサイトより転載)
絹: 確か、今そうやってパートナー企業の皆さんがツナグムさんに、グローカル人材開発センター、それからクロステック・マネジメントさんなど、その他にも周りに40社くらいでしたっけ?
柳: 一番関わりの深いコアパートナーは私どもも含め4社、それ以外に外枠でパートナーという立ち位置でオペレーションまでは伴わないものの伴走していただく方が4社ほどございます。そのまた大枠にアソシエートパートナーということで、起業家の方を中心に専門家集団ですけど、約50社、協賛と言いますか、サポートいただいています。
絹: あ、増えていますね!
柳: そうですね、はい。200社が目標で、ご協力していただける先を私どもの方でお声掛けをさせていただいている状況です。そのような方々が問や課題のある方々に寄り添っていただいて、一緒に具現化と言いますか、アクションに移せるようなサポートをする場が、QUESTIONかなと思っております。
   

●必ずしも行動に移さなくてもいいんです。気づきを、出会いを、見つけに来てください

柳: ただ、アクションに移せなくてもいいかなと思っておりまして、そのなかで「やっぱりやめとく」となっても何か気づきに代わったり、その中でアソシエートパートナーの方と一般の方とが出会う場が創造できれば、私たちは1つの成果かなと思っております。
絹: 出会いの場でもある。それからコアパートナーが4社、そしてパートナー、アソシエートパートナーと、三重の円をイメージしていただけましたでしょうか。9人のコミュニティ・プロパー・マネージャーは京信マンです。そのそばに学生インターン、その外に三重線の円をイメージしていただくとわかりやすいかと思います。我々一般人は1人で抱えているにはこの問題はデカいと。でもなんとかしたい。これ解決したら京都が住みやすくなる、息苦しさがちょっとマシになるかも…、でも行政に相談するのもなあというのが、もしあったら勇気を出して、「これ私の“?”ですねん」と言って、森下さんや柳井さんに相談したとしましょか。そうすると何が起こるんですか?
 

●まずは「QUESTION POST」という手もあります

森: 私たち運営しているのが、京都信用金庫、ツナグムさん、グローカルさんなどと一緒に協力しながら、その周りにいらっしゃるパートナーさんやアソシエートパートナーさんと一緒に課題解決のためのプロジェクトをつくったり、仲間集め、共感者集めということでセミナーを実施したりといったこともできますし、まず何か人に聞いてほしいというような事があれば、「QUESTION POST」というのがありまして、そこに皆さんご自身の課題とか問いとか好奇心等を投げていただきましたら、48時間以内に何かしらお答えをお返ししますということで、今、取組をさせていただいております。
絹: 私、本職は地元の建設屋ですので、自分の会社を運営するだけでも色んな課題を抱えています。それだけじゃなくて、ラジオのパーソナリティ的な事もしたり、あるいは(だいぶ前に終わりましたが)京都市未来まちづくり100人委員会の事務局もしていたことがあります。あの当時の事を思い出すと、一般市民から百数十名の人を公募で毎月集められまして、色んな課題について自由に話し合ってプロジェクト化していくという実験を京都市の総合企画局が行い、ノウハウを蓄積いたしました。これの民間版、さらにその企業寄り、学生寄りかもしれないなと。たぶん自分はそういう100人委員会で議論した記憶があるので、それで引っ張られたのかもしれませんね。その時は行政とどうするか、総合企画局の方が市民の課題に対して、「では〇〇局の〇〇さん、アドバイザーで入ってよ」と市民の中に呼んできて、法的な事、公的な事、一緒に助け合えることができないかみたいなことで、岡崎公園の辺りがすごく素敵になったことにお気づきではないでしょうか。あれは100人委員会の岡崎ホールディングスというチームが下絵を描いたものに、肉付けされたものだというふうに私は理解しています。一般市民のアイデアがかなり入った計画でありました。そういうものが今、京都では動きますので、十分そういう素地はあると。
   

●市民主導のまちづくり、ポートランドがお手本なんです

森: もちろん行政のお力というのは、すごく強いものだと思いますし、市民の声を聴かれる、情報が集まって来るということもあるかと思いますが、QUESTIONの方でも本当に一個人の方であったり、学生の方であったり、もちろん中小企業の方であったり、そこで働かれる従業員の方であったり、そういった色々な、様々な方のQUESTIONや課題に市民レベルで一緒に解決していきたいという、まちづくりという意味で、うちの理事長の榊田もよく言うのですが、ポートランドを見本にしているんですけど。
絹: すみません、ポートランドってどこでしたっけ?
森: アメリカなんですけど、アメリカ人が一番住みたい街ランキングでポートランドが選ばれた事があるような街でして、まちづくりの中で本当にタウンミーティングというのが市民レベルで行われて、行政主導というよりは、市民で自分たちの住みたい街をつくっていきたいというまちづくりをされるソーシャルな街があるんですけど…。
絹: ということはQUESTIONビルは京都版タウンミーティングの受け皿になるかもしれないということですね!
森: そうですね。そういう場所にしたいなと思っています。
絹: 偶然なんですけど、この小さなラジオ番組の名前が「まちづくりチョビット推進室」なんですね(笑)。昔からまちづくりという言葉に惹かれながらも反発を感じながらも、また惹かれていると。やっぱり自分たちが愛するまち京都を何かいいものにしたいという人とお近づきになりたいわみたいな感じですね。
 

●「QUESTION POST」はオンラインでも可能です

絹: さあ、もう少しイメージを固めていただくために、「QUESTION POST」でしたっけ、例えばこんなものが投げられましたよというご紹介は可能ですか?
柳: そうですね、細かいところまではともかく、ご紹介はできるかなと思っております。「POST」の方は会員の方が課題や問いを投げていただく場となっているのですが、実はオンラインで投げていただけます。なかなかリアルでは現場に来れないけれども、お仕事の合間にネットで書き込んでいただいて、それをお答えするという形です。その第一号は、1人ではちょっとなかなか解決できない、テーマを決めたいということだったので、そのテーマに対して学生さんも一緒にアサインしてもらえませんかというお話をいただきまして、なかなか一般の方で学生さんと繋がる機会というのはあまりないかなと思うんです。そんななか、学生さんも一緒に考えようよというのが第一号で今、プロジェクトとして生まれております。
 

■エピソード2 QUESTIONビルのこと

●5階で学生さんたちが対話の機会を待っています。
絹: そしてこの間始めて視察と言いますか、QUESTIONビルにお邪魔させていただいた時に、グローカル人材センターの人たちがいらっしゃる場所は5階ですかね、あそこはなんと呼べばいいんですか?
柳: STUDENTS LABになりますね。
絹:  学生さんがたくさんおられて、そこへ絹川さんみたいなおっちゃんが来て、色々話をしてくれはったらええんですわと。そういう出会いを学生さんは求めているし、課題を持った大人が寄って、学生と語り合うという場に育つといいですねみたいなことを、グローカルの方と田村さんがおっしゃってましたけど、私の翻訳の仕方が度を過ぎていますでしょうか(笑)。
柳: いえ、間違っておりませんね。そうなんですよ。学生さんが社会人と出会うというのも1つですけれども、学生さんも中小企業の社長さんであるとか、サラリーマンで活躍されている方と対話する機会があまりないと思うんです。そこで学生さんもその対話を通じて、何か気づきであったり、出会いが生まれる場所になればいいので、是非5階でアツく語っていただければいいなと思っています。
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(QUESTION(京都信用金庫)Facebookより転載)
 

●「コミュニティステップス」ではイベントやセミナーをたくさん開催していきます!

絹: 階段教室というと変ですが、京都市役所の方に向いて、ひな壇のような階段のような、すごい素敵な空間がありますね。あれはなんとお呼びになっているんですか。
柳: 名称が「コミュニティ・ステップス」になっています。
絹: 階段だからステップスですね。僕はこの間その上の方に座らせていただいて、階段の下の方の所にご講演をされる登壇者が座られて、オンラインとリアルと両方で発信されていましたね。
柳: ご参加いただいたのが、ちょうどイベントだったのですが、様々な方をお呼びしてこれからも実施していくつもりです。で、ちょうどリスナーの方でしたら、外からQUESTIONを眺めていただければ、その大階段が見ていただけるかなと思います。
絹: 森下さんと柳井さんたちが、もう息も絶え絶えになりながら、「QUESTIONは60%くらいの完成率ですけど、とにかく倒れるまでやります!」みたいな形で、どんどんどんどん夜な夜な悪だくみのイベントを発信し続けているという感じが見て取れますけど。
森: オープニングが11月だったので、11月12月にかけてコミュニティステップスを使った形が多いかと思いますが、イベントやセミナーをたくさん実施していきたいなと。そこで色んな方に参加をしていただいて、QUESTIONをまず知っていただきたいなというのもありますし、そこに参加していただくことで、今まで出会うことのなかった人たちが出会っていただいたり、知らなかったことに気付いていただいたり、そういった機会をたくさんつくっていきたいなと思っているので、京都で、京都府外でも活躍されている方をたくさんお呼びしてトークセッションという形でイベントをさせていただいております。
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(QUESTION(京都信用金庫)Facebookより転載)
 

●ノルマ撤廃―京都信用金庫の思い

絹: 私が初めて参加させていただいたQUESTION Nightには京都信用金庫の榊田理事長もお座りになっていました。実はひそかに尊敬していまして、なんかすごいと。コメントをノートにちょっとだけ書き取ったんですが…、
『「京信さんがやるビルって、これほんまに儲かるんでっか?」と言われるんです。でもね、銀行のミッションは完全に変化しています。京都の中小企業の役に立つことをやりたいし、やらねばならないし、世の中をより良くして役に立つことにこだわりたいんです。あちらもこちらもソーシャルに心が動く仕事ができるかというのを、銀行マンと銀行の中で話をし続けて、もう何年も前にノルマは撤廃しました。』(以上 榊田理事長のコメント引用)
ということでした。うわっと思いましたね。
柳: 私がちょうど営業に出ている時に、ノルマが撤廃されまして、本当にノルマがなくなって、お客様との対話の時間というのがすごく増えまして、よりお客様に寄り添って営業ができて、結果的にはお客様に満足度というのは高くなったのかなとは思いますね。
絹: リスナーの皆さん、30分でまとまるようなテーマではないんです。でもね、河原町御池のQUESTIONビルというのを、ぜひぜひ覗いてみてください。課題を抱えて何とかしようという連中が、特に若い層も、それ以上の層も、集まる傾向がある、ひょっとして京都の特異点と呼ばれる場所になる可能性を十分に秘めています。眼が利いている人は行政の人も既に注目をしておりますし、若い人は入り浸っているような学生さんもいます。ということで、もう一回タイトルを申し上げますと「様々な人の「?」が集まる場所QUESTION」ぜひご注目ください。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。森下さん、柳井さん、ありがとうございました。
森: ありがとうございました。
柳: ありがとうございました。
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投稿日:2020/12/03
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