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まちづくりチョビット推進室
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まちづくりチョビット推進室

京都府地域力再生活動
京都三条ラジオ・カフェ(79.7MHz) にて、
『まちづくりチョビット推進室』という番組を下記の予定で放送中です。
放送日時は第3、第4土曜日(15:30~16:00)
(詳細はラジオカフェのページでご確認下さい)
『まちづくりチョビット推進室』は、
「京都市景観・まちづくりセンター」と、平成25年、26年度の間、共同企画で行っておりました。
   
  過去のアーカイブ(第1回~116回)はこちら をご覧下さい。(過去の記事のリンクについては切れている場合があります。ご了承下さい。)
 

最新記事

第175回 ・子ども食堂からグループホームへ~まだまだ模索中 子ども食堂・どんげねの挑戦

ラジオを開く

盛: 盛武 政裕 氏(天ぷらや 笑人 Wa-Road 笑主)
さ: 盛武 さゆり 氏(天ぷらや 笑人 Wa-Road 女将・夫人)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
       (右:盛武 政裕 氏 左:さゆり夫人)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト、ご夫婦をお迎えしております。皆さんは山科の土地勘はありますか?京都市山科区の日ノ岡の交差点の近所に天ぷら屋さんがあります。その名も「笑う人」と書いて「わろうど」。「てんぷら屋笑人(Wa-Road)」。普通は店主と言うのですが、ここでは「笑主」と書いてあります。盛武政裕さんです。よろしくお願いいたします。
盛: 僕からなんですね(笑)。どうも、初めまして。初めてのラジオの収録ということで、珍しく緊張しておりますけれども。よろしくお願いいたします。
絹: 次はその奥さま、盛武さゆりさんです。同じく「てんぷら屋笑人(Wa-Road)」。ホームページを見たら、口だけ番長(笑)&女将と書いてあります。
盛: 結構激しめですけどね(笑)。
絹: さゆりさん、よろしくお願いいたします。
さ: はい、よろしくお願いいたします。口だけなんですけど、他にも色々就労支援の事業所「すぴん」もやっております。今日はお願いいたします。
絹: 口だけ違うやないかい!と、言いたくなりますね(笑)。
ということで、リスナーの皆さん、京都にはこういう凄いことをしているご夫婦がおられますよというのが、今日の番組の趣旨です。おいおいと紐解いてまいります。
今日の番組タイトルをまず、申し上げておきましょう。「子ども食堂からグループホームへ~まだまだ模索中 子ども食堂・どんげねの挑戦」と題してお送りいたします。皆さま、どんなお話が飛び出しますかご期待下さい。
ゲスト紹介、もうちょっと深めたいので、笑主の盛武政裕さんに質問です。パートナーであらせられる盛武さゆりさんとは如何なる方ですか、短く述べよ。
盛: 簡潔に言うと、生命力と生活力に溢れた人。まあ無駄のない、すごい生き方をされる方でね。知っている人はその通り!と思うと思います。まあ、グイグイいかはります。
絹: では奥さまの盛武さゆりさん、御主人、笑主の盛武政裕さんとはいかなる人物ぞ、短く述べてください。
さ: 気性が激しいんですけど、とってもわかりやすく心根は熱き男やと思っています。また歌が好きなもので、ライブとかも精力的にやっていて、趣味にも生きていますという感じです。
絹: はい、ありがとうございます。確か九州男児です。「どんげね」という子ども食堂の愛称は、九州のどの地方の言葉でしたか。
盛: 僕は生まれが宮崎なんです。宮崎でも北と南と西と東では結構方言がバラバラなんですけど、僕の生まれ育った宮崎市では「どんげね」というのは、こちらでは「どない?」という声掛けの時に、「元気か?」とか「ご飯食べてるか?」とか、そういう優しい声掛けなんですね。
絹: 「調子どう?」みたいな。
盛: そうそう。だから例えば親戚の家に行って、「どんげね?」と言うと、「うん、がんばっちょるよ」とか、身体の調子から色んな事から気遣う言葉なんです。すごい優しい言葉です。
 
         (「天ぷらや 笑人 Wa-Road」HPより)
 

■エピソード1 てんぷら屋笑人が、なぜ子ども食堂を始めたのか

●ハンデのある人にも気軽に入っていただきたい
絹: さあ、本題に入りましょう。そもそもなぜ日ノ岡で、てんぷら屋さん、笑人さんが子ども食堂を始められたのですかというあたりから紐解いて行きましょう。
さ: 実は自身の子どもに障害がありまして、外食する場所にもすごく気を遣う時期がありました。そこで自分の店にそういう障害のある方でも気軽に入っていただきたいという思いを持っていたところ、山科青少年活動センターさんが「子ども食堂を始めませんか?」という講演会をされました。それに参加したのがきっかけで、子ども食堂という形で色んな方に来ていただけるのではないかと始めました。
 

●“やませい”の大場さんとの出会いから

絹: 実は山科青少年活動センター(愛称:やませい)の大場孝弘さん(第126回131回放送出演)は、この番組のゲストに2回もお迎えした方なんです。あの人に出会ってしまったんですね?
さ: 出会ってしまったんです。「盛武さん、これはやらねば!」みたいになって。
絹: 当時のことを思い起こしますと、大場さんは山科に子ども食堂のネットワークを築きたいとの思いを持っていらっしゃった。「一人で何もかもやろうと思ったら大変だけど、月に一回くらいなら私とこでもやれるという人が、山科じゅうで1ダース集まったら、両手集まったらすごいことが起きる」と言っておられて、その一角として引きずり込まれたのが盛武さんなんですね?
さ: はい(笑)。飲食店がやる強みがやっぱりあるかなというのがありました。皆さんまず場所がネックになってくるのですが、うちは飲食店なので、衛生面から設備的な面から整っているので、非常にやりやすかった、始めやすいかなとは思いました。
絹: この間、ズームの会議で大人カフェという所で、盛武さんが登壇されて、「笑人カフェどんげね」について、喋っておられたのですが、そこでのメモをちょっと読みますね。
笑人どんげね、これは宮崎弁です。
子ども食堂は毎月第二土曜日、12時から14時
子どもさんは200円
友達が友達を呼んでくるという形になっています。
どんげねさんの特徴は(お嬢様が障がいをお持ちですので)、ハンデのある人たちも気兼ねなく来てほしいと、ハンデのある人の予約限定で行っています。
それが特徴なんですね。唯一無二なんですね。他の所はそんなのはなかなかないですよね。
ということで始まりました。いつ頃からでしたっけ?
さ: 2016年の11月からです。
絹: 2016年と言うと、もう長いですね。6年目ですか。よう続かはりましたねえ。
盛: 止めずにきたから続いているという感じで。
 
 
 
  (笑人カフェどんげね?~子ども食堂~の様子 「天ぷらや 笑人 Wa-Road」Facebookより)
 

■エピソード2 就労支援施設「すぴん」のこと

●ハンデのある子の就労って、どうなるんだろう…
絹: ホームページを見せていただきますと、てんぷら屋さんをなさって、子ども食堂をなさって、その他に奥さまが平仮名で「すぴん」という就労継続支援B型事業所という所の代表も務めていらっしゃいます。その就労継続支援B型は昔で言う作業所と、子ども食堂ではどちらが先ですか?
さ: 子ども食堂が先です。で、やはり子ども食堂、18歳までは守られていますが、18歳以降、就労ってどうなるんだろうと考えたわけです。自身の子どもの事を考えた時にやはり障がいのある方の就労先はすごく限られているし、かといって自分がわかっているわけではないので、「よし、自分でやってみよう」と決意しました。子ども食堂がベースになり、「すぴん」が開所できたということです。
 

●施設外就労先「笑人」 - 飲食だからって特別なことはないんです

絹: それでまたホームページを斜め読みの浅い知識ですけど、「すぴん」さんの所に施設外就労先が「笑人」であると書いてある。ということは、御主人と一緒になさっているてんぷら屋さんで、就労支援施設に勤めていらっしゃる障がいのある人が実際に働いておられるということですね。
盛: そうです。はい。
絹: 食べ物屋さんでどういう形で働かれるのかなと、たぶんリスナーの方もはてなマークが出てくると思うのですが、そこのところを説明していただけますか。
盛: 時間的には午前9時半くらいかな。もう1人スタッフが手伝ってくれているんですが、多い時は3人くらい、利用者さんが来られます。飲食だからと言って特別なことはなく、まず基本的に一番大事なのが掃除ですね。トイレからオモテもしなければならないし、割合バリエーションがあるんですね。
絹: 門掃きしたはる写真、載ってました!
盛: そうですね。厨房の中はタタキですし、床はフローリングですし、トイレがあったり、たまには裏の庭の掃除もあるんですけど、掃除だけでも結構楽しめます。それから片付け、洗い物、下ごしらえですね。野菜を洗って皮をむく、切る、あとは盛り付けとか。また弁当の配達が週に何度かあるんですけど、一緒に…。
 

●達成感を味わってほしい…

絹: そうなんですよ。盛武さんとこのお弁当が結構人気で、配達も受けておられるんですね。
盛: そうです。それもスタッフと一緒にお届けして、お客さんの顔を見て、ちゃんと配達するという、やはり作ったものがどういう風にお客さんの所に届くのかというところまで見てもらう。そこに携わってもらうという、職を通じて達成感を味わっていただければと思いがあります。
 
 
       (「天ぷらや 笑人 Wa-Road」のお弁当)
絹: ご主人が多岐に渡る趣味と言うか、歌が好きでライブをやったりとか、料理塾を主催したりとか、色んな事をされます。で、行ったら楽器が置いてあったりとか。
そしてこれもホームページでちらっと見た画像ですが、メンバーさんと一緒にピザ窯を自作したり、フローリングをはって、ペンキ塗りみたいな画像もなかったですか?
さ: ウッドデッキ作りをしましたね。
 

●静原で農作業もやっています

絹: それから静原応援隊農作業、これなんかちょっと惹かれるものがあるんですけど、これも「すぴん」さんの活動ですか?
さ: そうです。京都産業大学さんとのコラボです。「静原応援隊」という静原の町おこしと言いますか、農地の活性化で産大の学生さんがやっていることに「すぴん」が参加させていただきました。
農園をお借りしてジャガイモを植えて収穫するというところを去年はやって、今年はもうちょっと広い区画をやろうかなと思っております。
盛: ちょっと作物を増やしていこうかなと。
さ: 自給自足を(笑)。
盛: なんかこれ、行けるんじゃないかと思ったら、どこからでも行けますからね。
 

●市が立つと出店もしています!

絹: 気になったのは、その静原応援隊の作業だけではなくて、どこかのイベントに市が立つと、物を売りに皆さんで出かけていく写真が1つや2つやなかったと思いますが(笑)。
さ: 行商に(笑)。無印良品さんは子ども食堂にお野菜を提供していただいたりするので、無印さんに繋がる市というのに出店させていただいたり、やはり子ども食堂つながりで「すぴん」は今あるようなものなので、そこは大事に縁を頂いて、出店場所としてご提供いただいております。
絹: 無印さん、やらはりまんなあ。
さ: はい!それから毘沙門市も4月2日、3日にあるんですけど、こちらにも出店させていただく予定でございます。
 
  (「無印良品 京都山科」での出店 「天ぷらや 笑人 Wa-Road」Facebookより)
 

●様々な企業や行政とご縁をいただきながら

絹: そもそもは山科青少年活動センターの「子ども食堂やりませんか」という問いかけで発進された子ども食堂と、「すぴん」という就労支援、昔で言う作業所を動かしていかれるなかで、今さゆりさんから無印さん他からご縁を頂いてということですけど、色んな人から「こんな助成金とかサポートの仕組みがあるから、やってみたら?」と、入れ知恵しに来られたそうですね。
さ: そうなんです。オムロンさんのご協力もいただきましたし、京都府の方の「こどもの城」という助成金とか、「こんなんもあるよ」ということで助けていただいております。
絹: それが不思議なねえ。山科では盛武さんとこの「どんげね」さんみたいな子ども食堂をやっている人が片手で収まらないくらい…。
さ: そうですねえ。増えましたね。
絹: 今、両手くらいあるんですか。
さ: はい、あると思います。
 

●実は公成建設、子ども食堂にちょっとかすっています

絹: 山科子ども食堂ネットワーク(愛称:ちゃぶ台ネットワーク)、あるんです。そしてうちもちょっとだけかすっていまして、建設会社ですから独身寮が山科にあるんです。そこの寮監さんで服部さんという方が自分でも子ども食堂っぽいことをやりたいと言って、盛武さんたちと交流があるそうです。
さ: はい、最初はボランティアでご一緒させていただき、自分でもやりはじめられて、すごいなと思っておりました。
絹: 寮監さんは普段料理をされますから。若い社員さんに弁当をつくったり、夕食を出したりと、メニューを作るのはお手の物らしく(笑)。
さ: お上手だと思います。
絹: 山科って、非常に面白い土地柄でそういう助け合いの風土と言いますか、「家庭菜園で野菜を作ったけど余ったから使って」とか、フードロスに取り組んでいらっしゃる方が協力に来られたりするんですって?
さ: フードバンクさんからのご提供だったり、社協さん(社会福祉協議会)からのご提供で、「フードロス、今関心を集めているんですけど、賞味期限間際のものを有効活用してください」と子ども食堂に助成してくださっています。
盛: ご近所さんもいただいたお菓子とかを、ちょこちょこと頂いております。
絹: リスナーの皆さん、いい話でしょ?きっと知らなかった人もおられると思うんです。ですから一見てんぷら屋さんだけど、色んな事をしておられると。日ノ岡の交差点、左に入ったところを、ちょっと見に行かれたらいかがですか。
さ: なんてことはないので、入ってください。
 

■エピソード3 障がい者のグループホームを立ち上げました

●障がいのある方が地域で一人暮らしをしていくために
絹: それがまた、今度は新しい事を始められたという噂をききまして、盛武さんにラジオのゲストに来て、その話を来ていただけませんかとお願いしたのは、グループホームまではじめてしまおうという…そのグループホームとはどういうことか、説明をお願いしたいんですが。
さ: 障がい者のグループホームを立ち上げました。3月1日に開所したのですが、やはり障害のある方が親元を離れ、一人暮らしをするのは、いろいろな壁がある。そのサポートを手厚くして、一人暮らしを手助けするというホームになっております。私どもがやっているのはマンション型と言って、マンションを何部屋かご提供するという形を取らせて頂いていますが、一軒家タイプのものをやっていらっしゃる所は多いです。
絹: 世の中にはそういうグループホームがもう既に何軒もあるわけですか。
さ: そうです。もう満床状態が続いていて…。
 

●家主さん・地主さんのご理解があってこそ

絹: ところがですよ、例えば地主なり家主の立場に立ちましょうか。仮に私がお金持ちで借家を持っておりましたと。あるいは賃貸マンションを経営しておりましたと。「障がい者のグループホームをやりたいので、貸してください」と来られると、「んんん、ちょっと…」と躊躇うかもしれません。今回、成功裏に3月から発進されたということは、「いいですよ、借りてください」とおっしゃった家主さんは確実にいらっしゃったということですね。
さ: はい、いらっしゃいましたね。
絹: その方もすごい方ですよね。
さ: そうですね。何回か見に来られて「いいですよ」と言っていただけましたね。
絹: そこではやっぱり色々悩みだとか、交渉だとか、もっと言えばドッタンバッタンあったんですか?
さ: ありましたね。今も続いているんですけど。
絹: あれ、聞いてよかったかしら(笑)。
さ: いやあ、ちょっとね、がんばります(笑)。
絹: 僕は本当に奇特な家主さんがいてくださって、本当に良かったなと思います。世の中捨てたもんやないなと思いますね。
盛: 本当にそうなんです。ありがたいんです。今、2人入居が決まりまして、あとは順々に体験していただいて入居にいくという手順なんですけど。
絹: 世の中にはSDGsだとか、多様性だとか、かっこいい言葉が流れてますけど、そうやって賃貸型マンションで障がい者のグループホームをやるって、そっちの方がストンと腹落ちしますよね。現実にそういうことなんやと。たぶんご近所の方や大家さんは不安に思われたかもしれないけれども、盛武さんたちのなさっている事をご覧になって、きっと「ここやったら」と思われたに違いないというのは、なんとなくわかります。
 

●公営住宅の空き室でグループホームを

絹: 本当にその辺がすごい事に手を出されたなという感覚がしたもので、是非ここに来ていただいてお話を聞きたかったんです。私の知人の中にも障がいをお持ちの御子息がいらして、山田木工所という会社を経営されている山田さんが同じ思いをお持ちになっているというのをかつて知ったことがあります。障がい者のグループホームを色んな所で自前で建てたくて検討したけれども、なかなかうまいこと行かないと。今、山田さんが京都市の都市計画局の住宅室の公営住宅管理の人たちに交渉しているのは「市営住宅空いているでしょ、そこを貸して」と。そこで障がい者のグループホームをやりたいということを申し入れておられます。たしかさゆりさんはどこかで山田さんのことをご存じで、意識していらっしゃったということを、前おっしゃってましたよね。
さ: そうです。ココネット会議というのがあって、就労支援のための会議なんですけど、そこでハンデのある方の就労受け入れ先として山田木工所さんが紹介されていて、私は一方的に存じ上げているだけなんですけど、素晴らしい取組をされているなと注目をさせていただいてました。
絹: 色んな方々が色んな思いで活動されていて、その後姿を横目で見て、「この人すごいな」と思っている人は、例えば盛武さんのようにおられます。山田さんの活動も京都市の人たちが向島ニュータウンの中で空いている部屋を、愛隣館という障がい者のための社会福祉法人のグループホームに使ってもらって立ち上げたという事例が最近成立しました。これもまちづくりチョビット推進室の最近のゲストにお呼びしたのですが、京都市もただ何も仕事をしてないわけじゃなくて、公営住宅市営住宅の目的外使用という法律の壁があるらしいです。行政の方は今までと違う事をするとすごく抵抗があるみたいで、でも意味のあることだからと挑戦した行政マンたちが実際におりましてね、まずは社会福祉法人に対して空き室を使ってもらいましたと。「民間の山田木工所のような所にも開放したらどうやねん」と僕はそばでつぶやきますでしょ(笑)。すると「いきなり絹川さん、そこまで行けますかいな。そっちへ向けてちょっとずつステップアップしていきます」と今、頑張っておられます。
 

●もっと、もっと、ネットワークを広げたい

絹: 洛西ニュータウンの中にも京都府さんと京都市さんがコラボして空き室に障がい者グループホームの第二弾を計画されているという噂は聞きます。
ですから福祉法人の方は福祉法人で、全く民間からこうやって盛武さんのように一般のマンションを借りて動かしていかれる、そういう方が緩やかなコラボをして、「自分はこんなことをやったらうまくいったよ」「こんなこと困っているから助けて」という助け合いが起こって、行政と民間の交流が生まれるといいですね。
さ: はい。ネットワークいただきたいと思います。
絹: この間笑人にふらっといらっしゃったという徳永室長のこと、ちょっと教えていただけませんか。どんな人でした?
さ: すごく柔らかくて感じのいい人でしたね。
絹: 僕はあまり保健福祉局のことは知らないのですが、障がい者保健福祉推進室の徳永さんという方がふらっと笑人さんに訪ねて見にこられたと。ということは注目されているんですね。
さ: いやあ、たまたまじゃなかったですかねえ。
絹: 民間で頑張っている人、行政でサポートしようとしている人は探せばいます。そういう人たちを結びつけることができたら素敵だなと皆さん思いませんか?京都の中には黙ってこういうことをされている方がまだまだおられます。是非山科をお通りの際は、日ノ岡の交差点、てんぷら屋さん、どんなんかなと覗いてみていただけたらと思います。
両: よろしくお願いいたします。
絹: 是非応援を、サポートをお願いいたします。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。リスナーの皆さん、てんぷら屋さん、笑人、どんげね。覚えてくださいね!ありがとうございました。
両: ありがとうございました。
投稿日:2022/04/22

第174回 ・鹿谷ワンダービレッジって何?~亀岡を有機農業の町にするムーブメント

ラジオを開く

玉: 玉山 久高 氏(株式会社玉山工業 代表取締役)
る: 玉山 るりこ 氏(夫人)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
       (左:玉山 久高 氏  右:るりこ夫人)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲストのご紹介です。思いっきりご近所さんなんです(笑)。この方をゲストにお呼びするというのは、最初予想もしておりませんでした。偶然、次のゲストの方が私の自宅の真ん前に引っ越してこられたと(笑)。こんな事件もそうないと思いますが…。
ご紹介申し上げます。株式会社玉山工業代表取締役玉山久高さんです。玉山さん、よろしくお願いします。
玉: はい、よろしくお願いします。
絹: そしてその奥さまのるりこさん。玉山るりこさん、よろしくお願いします。
る: はい、よろしくお願いいたします。
絹: 番組の中ではお二方のなれそめはなんてことは、聞かないようにします(笑)。リスナーの皆さん、このお二方、とんでもないことをしているんです。おいおいお話をしてまいります。では玉山さんご夫妻と決めました番組タイトルを申し上げます。「鹿谷ワンダービレッジって何?亀岡を有機農業の町にするムーブメント」と題してお送りいたします。
玉山ご夫妻とはまだ本当にお付き合いが浅いんです。この間ゲストの出演交渉に会社に行って、少しお話をさせていただきました。まあ、なんというか面白い方みたいです。玉山久高社長は、武闘派でもあらせられて、芦原空手ってマニアの人ならご存知かもしれませんが、フルコンタクトの空手を若い時にやっておられて、奥さんに「怪我が続くし、そろそろやめたら?」って、今おとなしくされていると(笑)。
る: そうです(笑)。
絹: ご本業はものづくりと申しますか、プロの職人さんたちをネットワークして、京都の中小企業の先駆けと言いますか、新たな生産ネットワークに挑戦されているというところと、「セブンシー」というチームも率いていらっしゃいます。が、今日は全然それとは違うんです。
この番組のヘビーリスナーの方々でしたら、進行役の絹川君が手を抜いて、自己紹介の代わりに他己紹介をやるということをご存知だと思います。今日はまずウォーミングアップの代わりに玉山久高さん、質問です。奥さまのるりこさんとはいかなる人物ぞ、短く述べよ。
玉: 体温も高いんですけど、心も温かく、温かみのある女性だと思います。
絹: 合格!では奥さまのるりこさん、パートナーの玉山久高さんはいかなる人物ですか。短くお述べくださいませ。
る: 夫であり、兄であり、友人であり、とても信念が強くて、懐が深くて、思いやりがあって…、ほめ過ぎやね(笑)。帰りにご飯を奢ってもらいます(笑)。
絹: はい(笑)、今日のゲストはこういう方々です。
 

■エピソード1 鹿谷ワンダービレッジって、そもそもなに?

●25,000㎡の原っぱ?
絹: 皆さん、鹿谷ワンダービレッジって、ご存知でしょうか。私は人に誘われてまいりました。僕は亀岡にあまり土地勘がないのですが、直近のインターチェンジどこでしたっけ?
玉: 一番近いのが大井インターですかね。
絹: 車で行きました。京都市内から縦貫道を使いますから、僕の家は上京区で、そこからだと40~45分で着きます。そういう距離になんと25,000㎡の広大な原っぱと言いますか、耕作放棄地があります。私の知人が「絹川君、悪い事言わんから一回覗いてみいひん?」と言われて、仕事をさぼって覗きに行きました。ところが耕作放棄地と言うから、ボロボロの所かと思ったら、スタッフの方々が湿地帯を畑などに戻されて、日本の原風景みたいな形になって、「誰が来てもええよ」という原っぱがドーンとあるんです。それが「鹿の谷」と書いて鹿谷ワンダービレッジという愛称で、サポート会員は今、180人とおっしゃいましたよね。
そんな広い所、畑にもなるし、遊び場にもなるし、温室もあるし、拠点のハウスもありました。ここでちょっとだけホームページの一部を読みます。
 

●鹿谷ワンダービレッジのホームページから

鹿谷ワンダービレッジ
約25,000㎡の広大な土地と田畑。
この地をみんなで手作りしていく。
それが鹿谷ワンダービレッジです。
私たちが目指すのは
「自然とともに生きるこれからの暮らし」を
みんなでつくること・

・滞在/宿泊もできる自然栽培農園
「Wonder Farm」
・移動式キッチンカーカフェ
「Wonder Café」
・プレハブ小屋の宿泊施設
「Wonder Guest House」
竹/木で作る子どもの遊び婆
「Wonder Kids Fields」
ヤギやポニーとふれあう
「Wonder Animal Park」
……

       (鹿谷ワンダービレッジHPより)
 

●オーナーはうちのお向かいさんだった!

絹: これは将来計画も現在できているのも含まれているようですが、こういう所の存在を知って、絹川君はショックを受けました。無茶苦茶居心地ええやんかと。このオーナーどんな人?って、スタッフの人たちに聞いたら、「偶然、絹川さんのご自宅のお向かいに越してきましたよ、オーナー」と(笑)。こんな偶然あるかいなということで、ご無理を言って、ゲストに来ていただきました。ではここでマイクをゲストのお二方にお渡しして、僕の言葉では伝わりきらない、ワンダービレッジ、なんでこんなんしはったん?というところから、口火を切っていただけますか?
 

●コンセプトは“フィンドフォン”というスコットランドの不思議な村

絹: この鹿谷ワンダービレッジのホームページの最後には、「Presented by 風韻土本(ふぃんどほん)」と書いてある。この「風韻土本(ふぃんどほん)」って、マニアの人というか、ある種の人はよく知っている言葉なんです。僕、実はそれに引っかかったわけです。ピーンときて、「え、フィンドフォンって、こんなとこに?」って。その辺りも含めてお願いします。
る: いえいえ、漢字は当て字なんですけど、コンセプトはフィンドフォンをモデルに考えているんです。
絹: スコットランドにあった不思議な場所で、そこで色んな人たちが集まって、荒れ地なのになぜか巨大な作物が育ち始めたという、色んな現象が起きたという文献はかつて読んだことがあります。
る: とても特殊な能力のあるヒーラーの方がいらっしゃって、数々の方の病気を瞬時に治したりとか、そういったことを、私も文献で読みました。
絹: 日本からもフィンドフォンに訪ねに行かれた方が何人かおられたり、そこはそういう不思議なことだけではなくて、ちゃんと精神科医や心理学者など、学術的な背景を持った人たちもそのコミュニティにたくさんおられたということを読んだことがあります。
     (facebook“風韻土本~ふぃんどほん~”より)
 

●農業を中心に自由に楽しんでもらう 子どもも大人も

絹: さあ、そのフィンドフォンという名前を冠された方々、イコールこのオーナーであるお二方ですが、このワンダービレッジでは今、何が起こっているのでしょうか。
玉: 始めたのが2015年ですからちょうど7年前ですか。
絹: 2015年の3月にオープニングイベントがあったのよ、と教えていただきましたよね。
玉: 志は高く、頑張ってやってきました。今、プロデューサーとして持田さんという方を中心に企画運営をしていただいています。元々彼はイベント屋なので、みんなに来てもらって、自由にというか、農業を中心に楽しんでもらいたいと。自然の中で子どもたちは遊び、大人たちも癒されながら活動して、週末は特にイベントが多いので、また月曜日から日常の生活に戻って頑張ってもらうという形でやっております。
絹: 先日二度目の訪問をさせていただいた時に、寒い日でした。焚火を焚いていただいて、焚火の周りにコアメンバーと言うか、寒いのにわざわざ来る物好きな連中(笑)、色んな男性も女性もおられました。鹿谷ワンダービレッジのスタッフの方たちもおられて、「さあ、みんな今年は何をしたい?」という相談事から始まる輪の中に、私も座らせていただいて、オーナーである玉山ご夫妻はお話を聞いていますと、「好きにして」と(笑)。
玉: そうですね。みんなが楽しめるように。
 
                (鹿谷ワンダービレッジHPより)
 

●食の大切さを伝えたい

絹: 本当に里山の日本の原風景と言える場所です。ちょっと歩いたらバッタが飛び出す、色んな野草も摘み草をして、野草料理の専門家の西本方さんを呼んで、一緒に野草料理を楽しんだり、鯉こくを作ったり、お汁粉を作ったりというイベントを丁寧に積み重ねて、「みんな来て」と。
「ここへ来ると何かちょっと元気になれるかもよ」というオープンデーという仕組みをつくっていらっしゃいますよね。そこに180人の登録者がいる。今で180人ですから、これからどんどん増えていくような気がしますね。オーナーご夫妻も時々はお顔を出しに行かれるんですか?
玉: そうですね。
る: 時々は時間の空いた時に参加しますし、皆さんが食の大切さということに気付いていただいて、今日食べた野菜は自分の体の細胞になっていくということを、本当にその根本的な大切さに気付いていただけたらと。ここで作った美味しい野菜を食べて、元気になっていただけると思いますし。
 

■エピソード2 農業学校構想のこと ~有機農業のプロを育てたい ~

●元々の発想は学校で、そこから村づくりへ
絹: 私はそのオープンデーに、「スタッフの方々、コアメンバーの方々、好きにここでやってもいいよ。色んな事を発想して」というフィールドに、何か引っ張られるような形で覗きに行ったのですが、オーナーご夫妻の思いの中にはそういう鹿谷ワンダービレッジという広大な場所を通じて、農業学校構想というのがあるそうですね。そのことについて少しお話しいただけませんでしょうか。
玉: 元々の発想は学校なのですが、農業を亀岡だけでなく、日本全体で健全な形で引き継いで行こうと思うと、どうしても村づくりをしていく必要がありまして…。農地もあって、山もあって、そこが循環しているなかで、村づくりをしていかないと、農業だけを考えてもなかなか難しい。また、農業をコアに生活をしていただける人を育てていくというのが、社会的な課題でもありますので、学校をやっていても、亀岡で目指したいのは本当のプロの中規模以上のプロの農家さんを、有機農業者を育てられるような学校を目指して構想中です。
 

●25,000㎡の土地、お貸し頂いている部分が多いんです

絹: 広大な25,000㎡という耕作放棄地をポンとお買い求めになって…。
玉: そこはちょっと微妙で(笑)、何分の1かは私の所有になっているんですが、あとは村の方々に無償でお貸し頂いてます。
絹: そういうことなんですか!要は耕作放棄地として置いておかなければならなくなってしまっていたのを、玉山さんご夫妻が来られたことによって、放っておかなくても済むと。世話してくれたら助かるんやけど、借りてくれる?無償でと。
る: 放っておけば土地は荒れますし、草もぼうぼうに生えてきて、ひどい所は葦みたいな、もうどうしようもない状態になっていくのですが、スタッフの皆さんに(本当にご苦労なのですが)、いつも暑い中も草刈りをしていただいて、丁寧に管理してもらっているおかげで、あんな風に蘇ったという。貸していただいている方もそれを見て、喜んでいただいていますし、それは良かったなと思っています。
 

●亀岡市役所としても有難い話で

絹: すごいことを、今、奥さまはさらっと言われましたけど、実は亀岡市の市長さん、桂川さんという顔の濃い市長さんがいらっしゃるんですけど(笑)、亀岡市役所にとってもなにかすごいうれしいらしいですね。あんな事をしてくれる人が来たと。耕作放棄地が知らんうちに蘇っているやんかと。そこで「子どもたち来てもいいよ」とか、「一緒に遊び場つくろう」とか、「ええー、この人何者?」と思っているに違いないけど、でもうれしいというところでしょうね。地元の役所の人にしたら。
そういう遊び場だけでなくて、農業学校をつくっていきたいと。プロの中規模農家養成というのは、有機農業専業で食べていける人たちを養成するためにということですよね。リスナーの皆さん、めちゃくちゃ奇特だと思いません?
 

●専業農家を育成する意味でも、食生活の啓発の意味でも

絹: 玉山さんに教えていただいたんですけど、今も農家さんはおられるけれども、兼業農家さんがほとんどだと。専業で食っていける、年収で1000万円くらいあって、家族で食っていけるというような人はなかなかいらっしゃらないと。えらい難しいテーマに挑戦しておられますね。
玉: これは一番難しいビジネスじゃないかと思いますね。
る: でもやっぱり何はなくとも健康が一番じゃないですか。私もたまたま昨日、刀根健さんというステージ4の癌から生還された方の『僕は、死なない。』という本を目にして(まだ途中までしか読んでいないのですが)、そういった方々がまず考えられるのが、食生活の見直しからなんです。皆さんが普段色々悩んでいらっしゃる病気の数々は、やはりそれが起因していることもたくさんあると思います。それの啓発になれればいいと思いますし、子どもたちのためにも、最近は昔にはなかった病気が多いじゃないですか。やっぱりそれも食生活から来ている所が多いと思いますので、皆さんにそういうことの大切さというのを知っていただくことに繋げていくためにも、農業学校というのは大事だなと思います。
 

●オーガニックnicoの中村社長が農業学校の校長に?

絹: 一見聞くと、堅苦しいように聞こえるけれども、全然そんなこと、鹿谷ワンダービレッジに行ったら感じないんですよね。大きく手を広げて「おいで!」って、言ってもらっている。
その実、非常に大真面目にオーガニックnicoという会社の中村社長(この分野では有名な方らしいです)を校長に招聘するというような準備を進めていらっしゃるとお聞きしました。この方はなんと10年くらい前から有機農業に取り組んでいらっしゃって、元オムロンのレーザーの研究者であられると。この中村社長のお父上が京都大学の農学部で土づくりの研究をされていたり、シュタイナー教育の本を翻訳されていたりするという方です。ある種の方には「えー!シュタイナー!」とかっていう感じになるかと思います。
そして非常に居心地のいい、みんなが寄るとホッとする鹿谷ワンダービレッジでありながら、その実、ちゃんと食っていける有機農業のプロを育てたいという壮大な構想も、「一般社団法人一宇」をおつくりになって支えていこうとするご夫妻がここにおられます。そしてみんなで野菜づくりにチャレンジと。ホームページを見ますと子どもたちが田植えしている姿があります。
時間も押してきましたので、今後予定されているこんなイベントがあるよというのを、告知いただけますか。
        (鹿谷ワンダービレッジHPより)
 

●鹿谷ワンダービレッジ、3月のイベント告知です!

る: 今のところの予定ですが、3月の12日(土)と13日(日)にピザ窯づくりを予定しております。そのあと3月27日(日)にお米作りの準備のために、苗づくりをイベントとしてする予定です。
絹: 進行役の絹川は下心がありまして、私の初孫が今3歳でございます。息子夫婦が亀岡に住んでおります。わが初孫が育っていく時に、田植えの真似事、それから里山の日本の原風景の中で駆け回ってトンボと遊ぶ、そういう風にならへんかなあというスケベ根性をもって(笑)、取材をしております。
私と同じような思いを持っている親御さんや爺さん婆さんはたくさんいると思いますので、もし鹿谷ワンダービレッジの存在をお知りになった方々は、是非一度覗いてみられることをお勧めします。本当に癒されると言いますか、また来たいなと思わせる場所です。そこは日々、どうやら進化しているようでございます。
る: なんの垣根もありませんし、お子様だけでなく、仕事に疲れた方でも、いつでもどなたでも覗いていただいて、普段の仮面を脱いで、本当に自分らしく生き生きと過ごしていただける、みんなウェルカムで迎えてくれると思います。あったかい人たちばかりなので。
絹: 25,000㎡をポンと玉山さんが買わはった!なんと剛毅な人や!と思っていたら、違ったみたいです(笑)。一部その土地をお買い求めになったことで、周りの方がそんな奇特な方がいるのなら、この土地も、この土地もと寄って寄って寄って25,000㎡になったと。これ、奇跡みたいな話ですよね。
る: 最初はなかなかね、外から来た人たちなので、「ちゃんとできるの?」と思っていらっしゃった方もいらっしゃいましたけど、だんだん信頼して頂いて、「うちも借りてください」って、どんどん名乗りをあげていただいている感じです。
 

●古い家をシェアハウスに そして温室も

絹: それで宿舎と言いますか、古いお家も借りて、シェアハウス的に運用をしようという実験的な事もされていたと聞きますし、温室も立派な温室を持っていらっしゃるとか。
玉: それはnicoさんと一緒につくったんです。
絹: リスナーの皆さん、本当に奇特なご夫妻がここにおられます。でもこんな方々が自分たちの周りにおられるということが1つの救いだと思いますし、是非お気づきになられた方は、亀岡の鹿谷ワンダービレッジ、検索するだけではなくて、覗いてみられてはいかがでしょうか。
この頃、若い方の中には、農を求めて、農への回帰を果たそうとする人たちが増えてきています。また、そういう方だけではなくて、実際の兼業農家の跡継ぎさんの中でも悩んでいらっしゃる方、「農業をやりたいけれども、やればやるほど赤字になる。でも先祖伝来の田畑をなんとか守りたい」という方々に1つの回答を提出できないかと模索していらっしゃるのが、このご夫妻だと感じております。是非鹿谷ワンダービレッジ、そしてオーナーである玉山久高・るりこご夫妻、ご記憶の片隅に入れていただければと思います。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。玉山久高さん、るりこさん、ありがとうございました。
ありがとうございました。
投稿日:2022/02/10

第173回 ・藤ノ木セカンドハウスはじまるよ~市営住宅の空き室利用、福祉活用では第一号事例?

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山: 山内 忠敏 氏(向島藤ノ木学区民生児童委員協議会 会長/藤の木子どもキッチン 代表/藤の木セカンドハウス 代表理事)
大: 大下 宗幸 氏(公益社団法人 京都市ユースサービス協会 京都市中央青少年活動センター チーフユースワーカー)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
     (左:山内 忠敏 氏  右:大下 宗幸 氏)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲストでありますベテランの男性とお若い男性のお二方、今日は色気がないですねえ(笑)という感じです。失礼いたしました(笑)。ではご紹介申し上げます。藤ノ木セカンドハウス代表理事をお務めになっております山内忠敏さん。
山: はい、よろしくお願いします。
絹: お願いいたします。そしてもうお一方、同じく藤ノ木セカンドハウスの事務局長をされています大下宗幸さん。
大: はい、よろしくお願いいたします。
絹: 番組のヘビーリスナーの方でしたらご存知の通り、絹川は手抜きを行っております。ゲストのご紹介を他己紹介という形で、まずは大下さんにお手伝い頂きます。大下宗幸さん、藤ノ木セカンドハウスの山内代表理事とはいかなる人物ぞ、短く述べよ。
大: 山内さんは、僕の約倍くらいの年齢を重ねておられるベテランの方なんですけど、すごくエネルギッシュで負けてはならないと、いつも活力を頂いております。
絹: ちょっとすると師匠筋に当たる方ですか?
大: いや、師匠というよりも仲間みたいなところがありますね。仲間でもありますし、人生の大先輩でもありますし(笑)、そのエネルギーにいつもあてられて、こっちもがんばらんと!と、いつも思っています。
絹: ああ、いいですねえ。そうありたいですねえ。
それでは山内代表理事、大下さんは仲間だと言ってくださった、大下さんとはいかなる人物ぞ、その人となりをお願いします。
山: はい、まさに仲間の一人で、4年前くらいに初めて知り合ったのですが、こんだけ頑張っている若者がいるんかと、びっくりしました。
絹: 新しいですね。4年前ですか。
山: もっともその前に若干知っていたかもしれませんが、深く付き合うようになったのがそのくらいで、私がこの仕事を始めるにあたっての一番の理解者ではないかと思いますね。わからないことを聞きに行ったり、「ここはこうしたらいいぞ」ということを教えてもらえるので、良い仲間であり、だから先輩後輩とか関係ないですよね。
絹: ほう、心強い。ありがとうございます。リスナーの皆さん、こういうお二方です。
それでは本日の番組タイトル、テーマを申し上げます。「藤ノ木セカンドハウスはじまるよ~市営住宅の空き室利用、福祉活用では第一号事例?」と題してお送りします。
さて、まずエピソード1ですけれども、そもそも藤ノ木セカンドハウスって何?みたいなところを紐解いていただけたらと思います。
 

■エピソード1 そもそも藤ノ木セカンドハウスってなに?

●一言で言いますと、それは居場所です
山: 一言で言いますと、子どもから大人までそこへ来て寛げる居場所になるような場所。
絹: 居場所!いいキーワードですねえ。
山: はい。もうこれしかないんですよ。
絹: 私自身も地域の居場所、まちの縁側、サードプレイスという言葉に、何か知らんけど異様なこだわりがありまして(笑)、その辺是非お聞かせいただきたいです。セカンドハウスは居場所であると。
 

●下校後の子どもたちが気になり始めたんです

山: その手始めが子ども食堂なんです。夕方5時くらい、今ですと真っ暗になってますね、例えば児童館を5時に終わった子どもたちが、家に帰ってもお父ちゃんお母ちゃんがいない家庭があるんですよね。その子たちの居場所、どないしてるんやろと。晩飯食っとるんやろかと。勉強しとるんやろかというのが気になりましてね。それがこの春ごろ、ぐっと思いが募ってきたんですよ。それを仲間である大下さんあたりに「どないしたらええんやろ」という話を持って行ったところ、たまさかその時期に同じ向島でグループホームができたんですよね。
絹: 例の愛隣館ですね。愛隣館の浅田さん(浅田 将之 氏:社会福祉法人イエス団 愛隣館研修センター インクルーシブ社会実現部 愛隣グループホーム 主任・第166回放送出演)もこのスタジオに座ってくれた時期があります。でもそれとはまたちょっと一味違うセカンドハウスなんですね。
山: はい。これは福祉目的としては京都で第一号になるんです。福祉目的ですから、子どもたちからは1円もお金は徴収しないんです。だから全部持ち出しになりますので、「家賃払ってたらやっていけへん」になるんです。それで京都市の担当の方に、「まずお部屋を貸してください。」と。「え?」という話から始まったんですけど、その辺の所は一番よく知っておられる大下さんにお願いしたいと思います。
絹: その前にリスナーの皆さんのためにちょっとだけ整理をしたいと思います。今、山内さんがおっしゃっているのは、向島市営住宅の8街区3棟116号室、空いていた部屋を京都市に対して、「貸して、子どもたちの居場所がないやんか」と。というのを大下さんに「どうしたらええ?」みたいな相談をかけられたと。
(場所:向島市営住宅8街区3棟116号室(京都市伏見区向島丸町4-7))
 

●相談した京都市にも「いいね!」と言ってもらえて

大: いや、相談されましたっけ(笑)という感じですけど。たぶん一緒の場にいて「ええやん、ええやん」と言っていたんですよね。それが今年の4月くらいですね。で、大阪などにそういう事例がいっぱいあるんですよね。大阪の公営住宅を使った子どもの居場所だったり、若者の居場所だったり。当初、この一年間はそういった事例とかを勉強しながら、色々呼びながら、言葉で選ばないで言うならば、それで京都市に圧力をかけていこうと(笑)。これは必要なんだと。子どもや若者という状況もあるし、大阪はやっているやないかと。京都は何をやっているのやと。まちづくりの政策も終わって(まちづくりの政策は前の4年間あったのですが)、その助成金も終わってしまって、放っておいたらどんどん活動が縮小していくんですけど、子ども・若者ニーズは、僕らが関わっている中で見えている。そこで「あかんやろ」というのをこの一年間でやろうと思っていたんです、実は。僕らは圧力団体みたいになって、ワーッと言っているのかと思っていたら、京都市の人が意外に「いいね!」と言ってくれたんですよね(笑)。めちゃくちゃいい人で(笑)。
絹: そのめちゃめちゃいい人のお名前を、よかったら…。
大: 長谷川さんとか、松村課長(松村 亙(わたる) 氏:京都市 都市計画局 住宅室 住宅政策課 ニュータウン企画調整担当課長)とか、めちゃくちゃいい人で。
絹: 長谷川さんて、京都市都市計画局の住宅室の課長補佐の長谷川 源太さんですね。
大: そうですね。全然話がわからへんヤツかと思っていたら、めちゃくちゃいい人で(笑)。
山: めちゃくちゃというよりも、我々が大きな風呂敷を広げてるんですけど、それに感動していただいたような感じで。
大: 仲間という意味では京都市の方々もまさにそうで、最初は仲間と全く思ってなくて、どうやったら説得できるのかみたいな感じで(笑)。
 

●ぐるっと回って繋がりました

絹: 今、そのエピソードをお聞きして、大きな偶然が働いていたことに気が付きました。圧力団体という誤解を受ける言葉ですけど、いい意味で京都市に対してプッシュしていらした。時期を同じくして、ここに座っております絹川くんも同じ圧力を多方面からかけておりました。長谷川補佐の傍に座っている住宅室の課長さんで、菱崎さん(菱崎 裕之 氏:京都市 都市計画局 住宅室 住宅管理課 課長・第166回放送出演)という方がおられて、そこの若い杉山さんもこのゲストに来てくださった方なんですけど、菱崎さんが松村さんを連れてこられて、この山内さんと大下さんを紹介したいと。
大: あ、そういう事だったんですか(笑)。理解できました。
絹: 僕は公営住宅の空き室で愛隣館の障害者グループホームができたと。それを1つで終わらせるつもりじゃないですよね、皆さん。というそういう優しめの圧力を、つぶやきを(笑)。
山: うれしいですねえ。色んなところから助けてもらっているんだ。
大: 本当にそうですね。
絹: 僕は本当に空室を、公営住宅だけじゃなくて、民間の空家も地域課題の解決のために使うことができればと思っているんです。僕は本職が建設屋ですから、大きい工事が出なかったら自分の首が絞まるんですけど(笑)、でもリノベーションで工事の費用を抑えてでもやらなあかんことができたらいいじゃないですかという話を、都市計画局の若手の人としていたんです。そしたら同じ思いの人がおられたと。すごい偶然!
山: こんな偶然て、あるんですね!
 

●居場所づくりに家賃は大きな問題でしたが

絹: それで大下さん、セカンドハウスが始まっちゃうわけですね。子どもたちからはお金は取れないよと。家賃安くしてねという交渉はされたんですよね。
大: それは山内さんがいつの間にかしていて、「0にならんやろか」と(笑)。「いや、0はさすがに…」みたいな話で(笑)。
山: 長谷川さんと杉山さん(杉山 有紀 氏:京都市 都市計画局 住宅室 住宅管理課 主任第163回放送第165回放送出演)とは、ある時期週一くらいに会っていたんです。会うたんびに「家賃、安うしてね、安うしてね、0にしてね」という話をしたんですが、「いいや、それはムリ」という話はあったんですが、でも最終的にはほぼほぼ一致する金額になってきたし、それからさらにいざ納付書をもらった時に、「わ、ここまでしてくれはったんや」というのは思いましたね。ですから我々は少ない資金の中で、家賃にかなり取られると辛いものはあるのですが、少なくなりましたね、だいぶ助かりました。
 

●色んな人や団体に協力をいただいて

絹: まちの縁側や地域の居場所を運営していらっしゃる先達を訪ね歩いた日々もかつてはあったんですけど、皆さんその運営の資金に苦労され、「私はいつも金欠病よ」とおっしゃっていますけど、なぜかそういう人の集まる場所と言いますか、縁側とか居場所、子どもたちの居場所、高齢者の居場所、若者たちの居場所をやっている人たちの所には、人がまず集まる。それと情報も集まる。助け合いが自然に起こるという、不思議な異空間が顕れている場面を幾度か見ました。藤ノ木セカンドハウスがそうなっているわけですね。
今のところはまずは子ども食堂を、第一回がいつ頃始まったんでしたっけ。
山: 12月の8日が第一回です。
絹: じゃ、ほんとのほやほやじゃないですか。
山: 実は「使えるよ」と聞いたのが、9月の頭です。それから1年かけてやろうと言っていたのが、1年先取りしたわけですから、大慌てで「まずお金が要るやん」ということで、資金の調達も始めましたし、びっくりしました。なんとかそれでも…。
絹: 9月に「ええよ」と出て、よく3月で…。
山: まあ、自分でもびっくりするくらい走り回りました。お陰様で予定している全額ではないんですが、3分の2は集まりました。
絹: それはやはり浄財が集まると言いますか、寄付を呼びかけられたとか、助成がついたとか…。
山: 助成がつきましたね。
絹: やっぱり天は我を見捨てずという感じですね。
山: まさにその通りで、なければ12月のオープンは考えられなかったでしょうね。
大: よくやりましたよね。物を集めて、理事会してみたいな。色んな理事になってくれませんかとか、協力してくれませんかみたいなことを色んな団体さんにも呼び掛けて、「しっかりつくってみたんです」と言っておられたんですけど、任意団体なんですけど、色んな事業者、色んな地域の方に入っていただいて。
絹: 食器も要るでしょうし、組織固めもいるでしょうし、会社で言う定款みたいなものもいるでしょうし。
山: 規約と組織については大下さんが頑張ってくれました。私は食器集めを(笑)、それこそもうあっちこっち電話をかけて(笑)。
絹: それは大事!紙皿で食うわけにはいきませんから。
山: 私の思いは、ほんまもんを使いたい。プラスチックは嫌やと。そして紙皿は今のSDGSに合わないと。なので食器は陶器、割れたら割れた時のこっちゃ、割れるのが当たり前やと。子どもたちにも割れた時の処理の仕方も知ってもらいたいというので、私はもう絶対に陶器にこだわるということで、知り合いに「陶器でちょうだいね」ということでお願いしました。
 
 

●民生児童委員って、ご存知ですか?

絹: ここで手元資料からちょっとだけ読みます。
当団体は、平成29年10月から児童館にて子ども食堂を開催しており、こうした取り組みが評価されて、令和元年10月に「第1回食プロジェクトSDGS Food ACTION AWARDSにて月桂冠賞を受賞」とあります。当団体というのは藤ノ木子どもキッチン実行委員会さんのことです。という伏線があったんですね。
山: はい、お陰様でいただきました。今年度は子ども育み憲章で賞をいただきました。
絹: やはり地道に活動を続けてこられた延長線として、今回の藤ノ木セカンドハウスを行政の都市計画局の面々に交渉されて勝ち取られたというわけです。リスナーの皆さん、これも補足情報ですけど、山内代表理事の別の呼び名と言いますか、背景として向島藤ノ木学区の民生児童委員協議会の会長さんであられると。ということは民生委員さんをごっつう長いことやっておられるに違いないと。
山: いやいや、実は10年ほどなんです。言い方はナンですが、騙されまして(笑)。「名前だけでええよ」と。
絹: 人はよう言わはります(笑)。結構、ええ人が騙されます。
山: で、だんだんだんだんとのめり込まされまして、今はこんな状態なんです(笑)。
絹: リスナーの皆さん、民生児童委員さんて何をしたはるんやろって、ご縁のない方はご存知ない方も多いと思います。今日のエピソード、子どもキッチン藤ノ木セカンドハウスに類することまで、実は民生委員の方々は地道に活動されているようです。
山: これもみんな仲間がおりまして、私が会長やから「おい、やるから」と言ってできるものではありません。「こんな話があるんやけど、できるやろか」と言ったら「やろうやないか」ということで、委員のメンバーがみんな、「私にできることがあったら手伝うよ」と言ってくれたので、たぶんできたんやと思います。
 

●京都市ユースサービス協会と子ども食堂と

絹: 良い関係ですねえ。で、大下さんはその盟友と言いますか、仲間。その大下さんについても補足を入れますと、公益財団法人で京都市ユースサービス協会というのがありまして、大下さんは京都市中央青少年活動センターのチーフユースワーカーでもいらっしゃいます。青少年活動センターについては、私は山青こと、山科青少年活動センターの大場さん(大場 孝弘 氏:公益財団法人  京都市ユースサービス協会 京都市山科青少年活動センター 参事・第126回放送第131回放送出演)というベテランを存じ上げております。大間さんも山青も、山科で子ども食堂ネットワーク構想を立ち上げて、たぶん十指に余る子ども食堂を山科で繋いでいらっしゃるはずです。
大下さんの活動にはそういう背景があって、だからこそ定款はじめ、色んな準備が着々とできたんですね。
大: 私は前職で環境のNPOをずっとやっておりまして、それもあったのだと思います。
絹: いやあ、集まるべき方が集まられたという感じですね。セカンドハウスについて口火を切っていただきましたが、公営住宅、具体的には藤ノ木団地の空き室を用いて、こういう活動に着手されました。セカンドハウスは子ども食堂で恐らくは終わらないであろうという噂がちらほらと私の耳にも届いております。この先、セカンドハウスはいかなる形にという話を、次のエピソード2と言いますか、もう終わりに差し掛かっているんですが(笑)、どうですか?
 

■エピソード2 藤ノ木セカンドハウスのこれから

●子どもだけでなく、若者も、地域も…、夢は次々ふくらんで
大: 今は子ども食堂だけなんですが、子どもだけではなく、私もいますので、若者みたいなところ、プラス地域みたいなところの関係が紡がれるような場所になったらいいな、そのための拠点にしたいなと思っています。例えば来年1月以降ぐらいから、今は子ども食堂は小学生ぐらいなのですが、私たちの活動の主な対象である中学生以上に向けた若者食堂をやろうかと思っていますし、来年度以降は地域の住民の方と子どもや若者が交流できるような事業であるとか、子どもや若者がまちに参画するような機会をつくりたい。そういった活動を藤ノ木セカンドハウスを拠点としてやれたらいいなと思っております。それ以外にも外国にルーツを持つ方が多く住んでいるエリアでもありますので、多文化共生に関するような居場所機能などもやれたらいいなと夢を語っています。プラスそれをどうやってやるのか、人財や資金など課題ではあるのですが、つくる楽しさと言いますか、今日もラジオが始まる前に山内さんとヤイヤイ悪だくみをしていたところです。
 

●3L APARTMENTプロジェクトのこと

絹: そういう野望と言いますか、次なる夢をお持ちのお二方ですから、おそらくはご存知の情報とは思いますが、伏見区での田中宮市営住宅での龍谷大学と京都市の握手、お耳に届いていますか?
大: そうですね。三木さん(三木 俊和 氏:有限責任事業組合まちとしごと総合研究所 グローカル・シンカー・第165回放送出演)とはものすごく仲良くさせていただいています。
絹: なんてプロジェクト名でしたかね。
大: 3L APARTMENT”ですね。
山: 昨日も会ったのですが、そこの学生さんが来てくれていました。また違う取組なので、学生さんが見に来てくれまして、めいっぱいお手伝いをしてもらいました。
絹: その“3L APARTMENT”プロジェクト(第165回放送)は、龍谷大学の学生さんが3年間に渡って田中宮市営住宅の空き室に京都市が少し補助をされて、確か25,000円の月額家賃で安く入れる。だけどそれだけじゃなくて、地域活動だとか、地域のお祭りだとか、子どもの見守りだとか、地域のために学生の知恵で考えてやってねというのが、すごくうまくいったというプロジェクトでしたね。それと大下さんがおっしゃっていることって、すごく一脈も二脈も通じますよね。
大: ほんとそうなんです。その“3L APARTMENT”にも京都市の長谷川さんも尽力されていて、同じような事を語っていますね(笑)。
絹: 京都市がつくった“3L APARTMENT”のプロモーションビデオを見せていただいて、感激して、勝手にコピーしてあっちこっちに配っているんです(笑)。
 

●私の大きな構想として

山: 行政らしくない動きをしていただいたので、今、私たちはこうしたこともできるし、当初食堂だけだと言っていたのを、だんだん広げた話をしていっても、「うん、いいよ、いいよ」という話になってきて、今、私の方として考えているのは、高齢者の居場所をお昼にお茶と200円か300円でうどんかカレーが食べられる、2時間か3時間いてもらえるような場所づくりにしていきたいと。そうすると昼間の時間が使える、夜は夜で子どもたちが来て、あるいは学生、中学生や高校生が来て、そこで食事をする。そしてもう1つ言えば、今、藤ノ木の子ども食堂を卒業していった子が、今度は中学生高校生の食堂へ行って、そしてそれが帰ってきてボランティアとして食堂を支えてくれるというのが、私の大きな構想なんです。死ぬまで頑張らないけません。
絹: はあ、いいですねえ。いやあ、死ぬまで頑張っても足らんかもしれません(笑)。と言いますのは、京都市の市営住宅はたくさんあるので。でもまずはここの藤ノ木団地で、これは素晴らしいです。
リスナーの皆さん、これまでお聞きになっていかがでしたか?我々の知らないところで、行政らしからぬ動きを引っ張り出したお二方がこの目の前におられます。地域の課題、公営住宅・市営住宅が空いて困った。家賃取れないし困った。子どもたちの居場所がなくて心配や。と相談されたら「いいよ」と言った長谷川さんたちという行政マンが実際におられます。どうです?京都市は変わって来たでしょう?
山: 昔の行政マンらしからぬ人たちと会えたので、私は今もう最高と言っていいくらいうれしいですね。
絹: 無責任な民間人の第三者ではありますが、こういうちゃんとした仕事をする前向きな行政の方に出会った時には、是非皆さん、拍手するなり、握手するなり、ハグするなりしてあげてくださいね。
ということで、本当に短いあっという間の時間ですが経ってしまいました。この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。お一言ずつどうぞ。
山: できればご支援をお願いしたいです。もうその一言です(笑)。
大: ご支援お願いします。
絹: リスナーの皆さん、ありがとうございました。
投稿日:2021/12/27

第172回 ・みんなで作るお祭り「ツクル森」の紹介~京北でスゴイ化学反応が起きてます!

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フ: Feilang Tseng 氏(株式会社ROOTS 共同代表 ソーシャルデザイン)
熊: 熊澤 洋子 氏(バイオリン奏者)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
      (左:Feilang Tseng 氏  右:熊澤 洋子 氏)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト、妙齢のご婦人お二方をお呼びしております。発音が難しいと言いますか、間違ったらごめんなさい。フェイランさん。フェイラン・ツェンさん。
フ: はい、フェイラン・ツェンです(笑)。
絹: 11月の初旬に初対面です。よくわかりません。よくわかりませんがなぜか「出ていただけませんか」と言っちゃったという方です(笑)。そしてもうお一方、フェイランさんのお友達、熊澤洋子さん。
熊: はい。よろしくお願いします。
絹: どうやらバイオリニストらしいということで、お二方をお招きしてお送りいたします。それではほぼ初めて、二度目にお会いするという方々ですので、自己紹介からお願いします。フェイランさん。
フ: はい、改めましてフェイランです。私は元々サンフランシスコという場所で、インダストリアルデザインというお仕事の勉強をして、その後某大手企業で働いた後…。
絹: え、某大手企業って、京都?
フ: はい、京都の健康機器のメーカーで、11年くらいお仕事をさせていただいた後に、そのオムロンで仕事をしながら、京都の京北町という場所で、250年くらいの茅葺の家屋を見つけ、そこに移住をしながら徐々に地域の事業創生とか、イベントづくりというところに携わっていきました。現在はオムロンを卒業させてもらって、コミュニティデザインという名目でお仕事をさせてもらっています。
絹: たぶんそういうことをよく知らずに、でも魅力を感じてしまったのは、たぶんそのコミュニティデザインというキーワードだったと。なんで惹かれたのかは、たぶんそこですね。はい、それでは熊澤洋子さん、自己紹介をお願いします。
熊: はい。先ほどもお話がありましたが、バイオリンを弾いています熊澤洋子と申します。普段はバイオリンの中でもクラシックの演奏ではなくて、ルーマニアとかハンガリーとか東ヨーロッパの地域に根差した民族音楽が大好きで、そういうものを取り上げて演奏する演奏活動や、バイオリンを皆さんに教える講師みたいなこともさせていただいています。
絹: さっきも「意地悪しますね」と言っていたのですが、進行の絹川はよく手を抜きますので、ゲストの方にゲスト同士を他己紹介していただくというコーナーが自然にできてしまっています。さあ、洋子さん、フェイラン・ツェンさんとはいかなる人物ぞ、短く述べよ。
熊: 短く言うと、すごく愛に溢れた彼女です。もう本当に。それからつくりたいものに対して、とても明確にビジョンがあって、それを大事な人、大切な人とつくっていきたいという思いを持っている彼女だと思います。
絹: ありがとうございます。リスナーの皆さん、今の情報で想像を逞しくしてくださいね(笑)。それじゃあ、フェイランさん、洋子さんはいかなる人物ですか?
フ: 洋子ちゃんは本当に、私がデザイナーという領域の中でお仕事をしてきたのとは、また新たな形で想像力があるというか、クリエイティブなミュージシャンです。今までミュージックというものを、ジャンルとか好き嫌いで見ていた自分が恥ずかしくなるくらいなんです。
洋子さんと、旦那さんのきしもとタローさんという笛の演奏家のご夫婦なんですけど、音楽というものを解体していくというか(笑)。音楽というものを理解していく時に、色んな文脈があるんですよね。「ツクル森」というイベントを通してお二人とお仕事をさせて頂いているんですけど、例えばリズムというものが、ダンスとセットとなっているんだなということを改めて感じ入ったり、民族と民族同士の対立があった時に、音楽がどういう風に変化していくのかみたいなこととか、本当に地図の上でも歴史的にも、色んな角度から音というものを、多角的に学ばせてもらっているという感じですね。
絹: ありがとうございます。すごく貴重な情報を。ご主人のきしもとタローさんの話も出てきましたが、ぐいぐいと興味を惹かれます。それではゲスト紹介を終わりまして、大事な番組のタイトル、テーマですが、いただいたテーマが「みんなで作るお祭り“ツクル森”の紹介~京北でスゴイ化学反応が起きてます!」と題してお送りいたします。
実は11月の6日に、“あうる京北”、古い人は京都府立ゼミナールハウスと言った方が通りがいいかもしれません。そのお隣に広大な原っぱがあるのですが、そこで「新しいつながりへのお祭り」と題して“ツクル森”プロジェクトというのでしょうか。イベントがありまして、なぜか引っ張られて、よくわからずに紛れ込みました(笑)。スーツにネクタイで行っているおっさんは唯一1人で、浮いてたと思いますけど、すっごく居心地のいいお祭りで、京北でこんなことが起きているんだということを、今まで知らなくて、たぶん初めてじゃないですよね。3回目?
(“ツクル森”HPより 令和3年11月6日 あうる京北(京都府立ゼミナールハウス)にて)
熊: 4回目ですね。
絹: 私は京都府の色んなエリアに移住ということが起きることがすごく大切だと思っている部分がありますので、大切なところを担っている人たちがこんなに面白くて、楽しいことをやっているというので、「このプロジェクトの中心メンバー、キーマンは誰?教えて」と声を掛けたのが洋子さんです(笑)。
熊: そうです。そうです。はい!(笑)
絹: ということで、そもそも「みんなで作るお祭り“ツクル森”ってなに?」というところから、フェイランさんに口火を切っていただきます。
 

■エピソード1 みんなで作るお祭り“ツクル森”って、なに?

●木材が、マテリアルが、つくる人が集まると、どんなお祭りができる?
フ: 私が11年前に京北町という場所に、京都市内から移住したのですが、その時に里山の知恵みたいなものに触れまして…(笑)。色んな方がいらっしゃるんですよね。京都市内だとあんまり見ないかもしれないんですが、京北だと鹿がすごい出たり、イノシシがすごい出たりとかするんですけど(笑)、それを仕留めるハンターさんみたいな猟師の方がいらっしゃって、そのお肉を使ってジビエ料理を作るよというようなケータリングをされている方がいらっしゃったり、はたまたタローさんと洋子ちゃんのようにミュージシャンとして、京北町という場所に住みながら、ご自身の創作活動をされているような方もいらっしゃる。ミュージシャンだけじゃなくて、絵画を描かれている方もいらっしゃいますし、音楽家さん、陶芸作家さん、クラフト系の方たちですよね。また、京北は木材が豊富な場所なんです。千本丸太町という場所があると思うんですけど、あそこは桂川の上流に当たる京北から千本の丸太がやってきた場所と言われていて、それぐらい京北町は木が豊富なんですね。木材が豊富、マテリアルが豊富、つくる人たちがたくさんいる。そういう人たちが集まった時に、どんなお祭りができるかなというような、ある種、つくる人たちのサロンとか、ギャザリングみたいな感じでスタートしたのがきっかけになります。
絹: 元々つくる人たちの集まり、クラフトマンと言うか、陶芸家も含めてミュージシャンも含めて、そういう人たちがぎゅうっと集まってきたのが第一回だったんですね。
 

●つくる人とローカルの人との交わりでケミストリーが生まれる

フ: そうですね。いわゆるその人たちIターンと呼ばれる新しく住み始めた人たちもいるんですけど、ツクル森には元々のローカルの方たちも参加してくださっていて。
絹: あ、それ大事!
フ: 例えばアイガモ農法をされていて、昔からちゃんとオーガニックをされている方だったり、鮎釣りの名人で、鮎を焼きますよという方だったり。
絹: ごちそうさまでした。一口いただきました。美味しかったです。
熊: 召し上がっていただけたんですね。上桂川が鮎の名産地で本当にたくさんの釣り人の方がいらっしゃるんですけど、地元で名人ですごく良い鮎を釣っておられます。
フ: そういう方たち、ローカルの知恵を引き継いでおられる方たちというのも、非常に創造的で、ゼロから1を生み出すような人たちというのがたくさんおられて、その人たちを交わらせることで、新しいケミストリーが生まれるんじゃないかという、割と実験的につくりだしたところがあるんですけど(笑)。
絹: Iターンで移住してきた人たちだけがやっているのかと思ったら、ちゃんと地元の知恵の伝承者が一緒にやっているというあたりが、「ああ、これやわ」と。ちらっとしか行ってないけど、“ツクル森”のイベントと言うか、お祭りがなぜこんなに居心地がいいのかという空気を、還暦過ぎのおっさんが感じてしまったのは、1つはそこにあったのかもしれない。
    (“ツクル森”HPより抜粋)
 

●“ツクル森”のブースは、美味しくて安全なものばかり…

フ: 最近はSDGSとか言われていて、環境の意識の高い方たちがIターンの中にも多いんですが、別に最近に限ってではなく、地元の人たちはそんなことを言われなくてもやってるよと(笑)。そういう一周回って新しいみたいなところというのが、すごく味わえる場所じゃないかなと思います。ビーガンの方でも楽しめるようなお店もあり、フードのお店だけで30店ほどあります。
絹: 今、さらっとすごいことを聞いたような気がするけど、京北町に30店舗?
熊: いえいえ、“ツクル森”にです。
絹: ああ、“ツクル森”のブースですか。そういえば、食べる物がいっぱいあったわ!
フ: そうなんです。一軒、一軒、こだわりの、とても美味しくて安全なものというのを、気を付けてくださっている方を、できるだけお呼びしているんです。
絹: 皆さん、これ、本当にまだ続きますから、行かれるといいですよ。掛け値なしに楽しい。そして一泊二日じゃなくて、二日間の連続で、テントサイトに泊まり込む親子もいたし、音楽のイベントもあって、洋子さんが演奏するのは聞けなかったけど、メインステージと言うか、メインテントはサーカス小屋みたいなでっかいテントがあって。
         (“ツクル森”HPより抜粋)
 

●今回は「火をつくる」ことから始めました

熊: はい、とんがりテントを今年はステージに立てたんですけど。
絹: ステージの前では子どもたちを集めて、大人たちがサポートして、みんなで火起こし。あんな大きな丸太をくるくる回して、火が付くのかみたいなことを、一生懸命やったはりましたね。
フ: 本当に今回は「火をつくる」というところから始めさせてもらって、あとタローさんと洋子さんが中心になって、世界の音楽会というのをプロデュースしてくださっているんですけど、そこでもただ単にバンドのミュージシャンが前で演奏して聞くということではなくて、できるだけお客さんにツクルという体験をしてもらいたいと思っていて、その辺りをちょっと洋子ちゃんからも説明してもらいたいなと。フォークダンスなんかもやらせてもらっているんですけど。
 
 
           (“ツクル森”HPより抜粋)
 

●「世界の音楽会」のこと~みんなでその瞬間を共有したい

熊: まず「世界の音楽会」というふうに銘打って色々企画しているんですけど、本当に知らないものに出会うって、すごく素敵なことですよね。あのワクワクというのは、私自身もそういうのを経験して今に至っているなと思っていて、そういうのを皆さんにも経験していただきたいという思いがすごくあるんです。
なので1つは全然知らない国の音楽を聴くとか、そういう場に“ツクル森”をしていきたいというのがありますね。あと、ダンスのワークショップ。私は東ヨーロッパの音楽を生演奏で弾いて、その生演奏に合わせてフォークダンスを踊るというスタイルでワークショップをやらせてもらっているんですけど、最初の方でランちゃん(フェイランさんのこと)が言ってくれたように、音楽と踊りはすごく密接なんです。踊ってもらうと音楽がどうしてこのリズムなのかがわかりますし、細かいところを超えて、パッとその国にいる人たちの気持ちがわかったりとか…。フォークダンスはみんなで輪になって手をつなぐんですけど、その時の輪になった感じというんでしょうか、そこがその場を共有しているエネルギーをすごく高めてくれるなと思っていて、そこに音楽が生で奏でられて、みんなでその時間、かけがえのないその瞬間をつくっているというのが、すごく素敵だなと思っているんですね。なのでそこが“ツクル森”の大事なところかなと思っているんです。
絹: “ツクル森”はカタカナでツクルと書いて、木が3つの森なんですけど、今お二方のお話を聞いていますと、ツクルという言葉を非常に大切にされていて、音楽も聴衆と演奏者を分けるのではなく、一緒にツクルみたいな。それもリズムを感じて、自分の体が、背中が、お腹が、どんな風に感じるの?みたいなのを、一緒にダンスまでやっちゃおうと。なんかコンサートというよりも、ワークショップみたいな感じですよね。
フ: そっちがメインですよね。ガムランというインドネシアの音楽も演奏いただいて、お客さんにもはじめての楽器にふれて演奏してもらいました。また子ども達に身近な竹を使って楽器を作ってもらい、演奏会に参加してもらったり…。
 
                      (“ツクル森”HPより抜粋)
絹: 小さい子たちが竹を切っている写真が、ここにある!これですね。
フ: 日本だと楽器を買って、どこかクラスに通って、そこから何年もかけて、ピアノとかね(笑)。なんでも練習してやっと獲得するという感じがあると思うんですけど、“ツクル森”ではすごく身近な物を簡単に演奏というところまで一緒にやれちゃうという…。
絹: エピソード1で際限なくなってしまうんですけど(笑)、実はエピソード2で流していただきたい音源があるんです。そちらへの導入をちょっとお願いできますか。『家守(やもり)の木』という絵本があるんです。素敵なヤツが。
 

■エピソード2 “ツクル森”プロジェクトのこれから

●『家守(やもり)の木』という絵本のこと
熊: この『家守(やもり)の木』は、ランちゃんが文章を書きまして。
フ: 家の守と書いて『家守(やもり)の木』と言うんですけど、先ほどお話した千本丸太町まで木が行っていたよという歴史があるんですけど、その京北町の木を題材にして、小さな杉の小杉くんという子がメインに出てくるんですけど(笑)。京北の色々な事、獣害とかも色々あるんですけど、かわいいお話の中に、そういった課題なども含めて、ほっこりするような絵本になっています。
これを作っていたら、タローさんと洋子さんから…(笑)。
熊: まず先に曲?歌の方だっけ?この『家守の木』の主題歌を作ろうということになりまして、それで歌詞を夫のタローさんが書いて、曲をつくったんです。それをたぶんかけていただけるかと思うんですが(笑)。
 
 

●主題歌です!ここでちょっと流します…

絹: それではこのタイミングで、エンジニアさん、行ってください!
 

山の向こうに光が差したら、
ながめてごらん、
僕らがそこにいるよ。
誰も来ない森で、
さびしかったけれど、
家守の木々たちがそっと教えてくれた。
伸びて、伸びて、伸びて根を伸ばして、
光集めて
伸びて、伸びて、伸びて時を超えて
君を待ってる…

 

絹: ありがとうございました。1番だけですけど、これきっと笛?フルート?たぶんダンナですよね。
熊: はい。そうなんです(笑)。
フ: 京北の子どもたちもね、一生懸命な声で(笑)。
熊: みんなに歌ってもらったんです。
 

●京北とのつながり、皆さんに感じていただきたくて

絹: 今、ほうっとしてますけど、家守の木、その絵本を、というか小冊子をおつくりになったその心について、また少し続けていただけますか。
フ: やっぱり京北町は平安の時代から京都市とつながりがあったので、都に寺社仏閣を建てるために木を送っていたというところがあって、今まで流通が変ったりして、そういったつながりがなくなって、京都市の方たちが「京北って、どこなの?」ということが結構増えているんですけど、この『家守の木』の本を見ることで、私たちの長いつながりというのが感じてもらえたらいいなと思っています。
絹: 「みんなで作るお祭り“ツクル森”」の紹介というタイトルのラジオ番組で、ここまで家守の木の絵本のお話まで。この人たちすごい壮大な事をやっているぜみたいなことが、改めて、なんかスゴ!
本当に30分番組で収まるはずもないような内容です。“ツクル森”のプロジェクトだってもう4回やられて、この先もジモティと言いますか、里山の知恵をずっと伝承してきた人たち、ローカルの人たちとIターンの人たちが良いミックスと言うか、ランさんの言葉で言うと、ケミストリーが起こっているという。この先どうなるんでしょうねえ。楽しみですねえ。
熊: そうですね。ますます豊かになっていくと思います。
フ: こういう連携した創作物というのが、もっともっと増えて行ったらいいなと思っています。
絹: リスナーの皆さん、京北と言うと、なにかすごく保守的で頑固で、なんも変わんねえみたいな、京都市内の人間には変な、間違った思い込みがある部分も少しあると思うのですが、起こっていますよ、変化(笑)。だから本当に行ってほしいなあと思います。
 

●“ツクル森”イベントは続きます 今度はぴゅーんと飛びますよ!

絹: そして告知情報として、これは“ツクル森”の新しい変化を象徴するイベントかもしれません。さきほど教えていただいたのは何でしたっけ。
フ: “ツクル森”は、大きな原っぱをお借りしてつくっているんですけど、二日間のお祭りだけではなく、継続的に色んな方たちにその原っぱを、ツクルフィールドとして使っていってほしいなと思っています。
絹: あのフィールド、アウルの原っぱは、使っていいんですか。
フ: そうなんです。“ツクル森”クラブ的に使っていいよ、という感じになっておりまして(笑)。
絹: 堅苦しい言葉で言うと、指定管理者になっているという、そんな感じ?“ツクル森”チームが管理をまかされているような…。
フ: そこまでカタく考えなくてもいいんですけど(笑)、今回のお話で行くと、「ボウケンノモリ」という会社さんたちと連携しまして、“ツクル森”の原っぱの上空をジップラインでぴゅーんとスーパーマンのように飛べるような、そういうようなものを一緒につくろうというイベントをやらせていただきます。
 
  (Facebook“ツクル森 アート・クラフト・世界の音楽会”より抜粋)
絹: お願いがあります。できれば体重制限を95㎏ぐらいまでに上げておいていただけませんか(笑)?
熊: 大丈夫だと思います。大人も普通に乗れますので。
フ: 3回に分けて行うのですが、1回目はこの放送中にはもう終わっていまして、2回目が1月15日の土曜日にジップラインのログステアというものを行います。丸太カットとか丸太の皮むきとか、丸太の設置とかを行う10時から3時くらいまでのイベントになります。そして2月12日にジップラインを張って飛ぶというようなイベントをやります。ご興味がある方は京都府立ゼミナールハウスの“あうる京北”さん、075-854-0216にお電話いただいて、予約していただけたらなと思っています。
絹: 今日は本当に、お二方、ランさんと洋子さんに来ていただいてよかったです。本当に京北で何かすごく大切なことが起きています。Iターンの方と地元の方とが融合し始めています。ああ、終わり?みんな来てねえ!
両: お願いします!
絹: ということで、この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクトの応援でお送りいたしました。フェイランさん、洋子さん、ありがとうございました。
両: ありがとうございました。
投稿日:2021/12/16

第171回 ・宝池北公園で何やら面白い事が…~地元と京都市が公園でつながる社会実験~又は、ドSとドMの戦い

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山: 山内 成介 氏(岩倉南自治連合会 副会長)
葉: 葉山 和則 氏(京都市建設局 みどり政策推進室 公園利活用企画課長)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
      (左:山内 成介 氏  右:葉山 和則 氏)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト紹介です。早速打ち合わせとは違うことをやってみようかなというイタズラ心がムクムクっと頭をもたげてきましたが(笑)。では、まずはお一方目、岩倉から来ていただきました。岩倉南自治連合会の副会長をなさっています山内成介さんです。
山: はい、山内です。本日はよろしくお願いいたします。
絹: もうお一方は、ご近所さんです。市役所のみどり政策推進室 公園利活用企画課長でいらっしゃいます葉山和則さんです。
葉: 葉山です。よろしくお願いします。
絹: では早速いたずらを仕掛けます。葉山さん、進行役の絹川は手を抜くことが多くありまして、ゲスト紹介をゲストにやらせてしまう、いわゆる他己紹介です。自己紹介ならぬ他己紹介というのを、時々やります。葉山さんに問います。岩倉南自治連合会の副会長さんの山内成介さんとはいかなる人物ぞ、短く述べよ。
葉: 自分と考え方がすごく似ている人なんですけど、すごく前向きと言うか、未来を見据えて、楽しく面白く物事を進めて行こうというような、企んでいらっしゃりそうな感じの方です(笑)。
絹: 葉山さんと似たタイプということは、倒れる時は前向きにというタイプですか(笑)?
葉: そうですね。まず行動するというところで、今回お付き合いできることになりましたので。
絹: ありがとうございます。それでは山内さんの番です。山内成介さん、みどり政策推進、葉山和則さんとはいかなる人物ぞ、短く述べてください。
山: 葉山さんは京都市電みたいな人やと思っていますね。
絹: 懐かしいなあ(笑)。市電ですか。そのこころは。
山: 葉山さんは今、公園をガラッと変えようとしておられる先駆者なわけですね。以前の職場でも京都の市民新聞の紙面もガラッと変えて、すなわちガラッと変える先駆者!
絹: 市電も先駆的なものでしたと。
山: あれも日本で初めての前例のないところを、皆で色んな事を考えて、それをどんどん広げていくと。まさに葉山さんは京都市電そのものやないかなというふうに思っております。
絹: リスナーの皆さん、今日のゲストの人となりの一部、少し透けて見えたでしょうか。ということで、このお二方と進めて参ります。
さあ、本日の番組タイトル、テーマです。「宝が池北公園で何やら面白い事が…~地元と京都市が公園でつながる社会実験~または、ドSとドMの戦い」と題してお送りいたします。さあ、いったい何が起こっているのか、葉山さんに口火を切っていただきます。お願いします。
 

■エピソード1 そもそも何が起こっているんですか

●今までの公園の使い方、本当にそのままでいいの?
葉: 宝が池公園で今行っているのは、社会実験です。公民連携公園利活用トライアル事業という、ちょっと私も時々忘れるような名前でやっているんですけど(笑)。名前の通り、公園でちょっと色んなトライをしてみようよということで、今までの公園の使い方が本当にそのままでいいのかと。公園それぞれで大きさやポテンシャルが違うものですが、それを今の公園は全国的にどこも同じような禁止だらけの公園になっています。でもそこに住んでいる人の思いによっては、禁止事項でも本当はやりたいと思っている方もたくさんいらっしゃったりするんじゃないかと。そういった事を公園それぞれで地域の方々と一緒に使い方を考えて、試しにやってみましょうと。で、失敗した場合は、ドMのようにしばかれましょうと(笑)。そういうようなチャレンジ精神で、色んな方と連携してやっております。
 

●公園であんなこと、できたらええなあ

絹: 広報資料を私の手元資料として持って来ておりますが、京都市建設局のみどり政策推進室でいただいたものです。
公民連携 公園利活用トライアル事業公募開始!!
本格的な人口減少、環境保全、災害対応、新型コロナウィルス感染症等、本市を取り巻く様々な課題の克服に向けて、都市の魅力、活力、憩いを生み出す貴重な空間である公園を最大限に利活用していくために、来園者層や規模の異なる3箇所の公園において、柔軟な発想のイベント・サービス等の企画により、試行的利用を行う民間企業等を募集・選定します。
で、広報資料のくせに、「公園であんなことできたらええなあ」という吹き出しが踊っています(笑)。これの元締めに近い所におられるのが葉山さんです。という捕捉を入れさせていただきました。
(京都市HP 【広報資料】公民連携公園利活用トライアル事業公募開始!! より)
葉: ありがとうございます(笑)。
その大きい公園、小さい公園、具体的には宝が池公園とこのラジオカフェの近くにある新京極公園と御所の近くにある竹間公園の三ヵ所で、それぞれの公園に合わせて、やりたいことを募集しました。民間企業さんと一緒に組んでもらうというのが前提になっています。というのは京都市は今、大変な財政難なので、この取組を進めて行くのに予算がないんです。
絹: 存じ上げております。コロナの影響でなんと五百数十億の税収不足という、京都市の悲鳴が聞こえてくるような気がいたします。そんななかで新しい事をやってしまおうというとんでもない人たちがこのお二方です。
 

●岩倉南自治連合会さんからびっくりするような、多彩な提案をいただいて…

葉: 民間企業さんが参画することで、地域で何かやりたいと思った時に、民間企業にバックアップしてもらう形で、やりたいことを実現していくというものです。募集したところ、想定以上にたくさんの企業に応募いただいて、その中の1つとして、宝が池公園で岩倉南自治連合会の皆さんと、いくつかの民間企業さんがタイアップして、宝が池公園でアウトドアのイベントであったり、地域交流のイベント等、具体的にはバーベキューや魚のつかみ取りやカフェ、フラダンスなどちょっと変わったものまで、色んな提案を頂きました。しかもイベントで単に楽しくやるというだけではなく、地域に貢献してもらうというお題も挙げていたのですが、公園の美化活動はもとより、樹木で危険木のようなものもあったりするので、そういうものを手入れしていただいたり、あるいは森林の保全に向けて学習するような機会を設けたり、そういった様々な、本当にびっくりするくらいの多彩な提案を頂いて、有難く採択させていただきました。
絹: 実は宝が池北公園にこの間お邪魔してきました。山内成介さんとも初めてそこで出会ったわけですが、本当に素敵な居心地のいい空間やなと思いました。
さあ、ここで山内さんにご登場願いまして、そういう企画の中心におられて、なぜああいうことをやろうと思ったのか、あるいはご苦労などエピソードを開陳していただければと思います。
 

●岩倉南、そもそもモチベーションの高い地域なんです

山: 岩倉南学区の自治連合会の副会長をやっているのですが、岩倉南学区は地下鉄の国際会館駅の周りの学区なんです。宝が池公園もその中に入っていて、学区内には住んでおられる方が15000人弱おられるのですが、非常にモチベーションの高い地域で、例えばノーベル賞が2人出ているんですね。たぶん世界的にもそんな地域はないのではないかと思うんですが。
それからこの前のパラリンピックにも1人、競泳の選手が出ていたり、本当にモチベーションが高くて、未来志向で、みんなどんなふうな未来がいいのか、そして今はどういうふうにしたらいいのかということを考える方がすごくたくさんおられるんです。実はこの話がある前から、どういった取り組みがいいのだろうとか、どういうふうにしたら次の世代にいいものを残せるのかということで、公園に関しては勝手に「宝が池セントラルパーク構想」というのを、我々の中で練っていたりとかですねえ(笑)。
 

●宝が池セントラルパーク構想、考えてたんです

絹: セントラルパークって、あのニューヨークの?あれみたいにワイワイ使おうぜみたいな感じ?
そうなんです。「宝が池セントラルパーク構想」って、これ、商標取ってないんですけど(笑)、そういうのも色々考えていたところに、宝が池公園をどんどん今の人たちが楽しめるような形で、トライアルでやってみませんかという話が京都市さんの方から出てきまして、「これはめちゃくちゃええ機会やなあ」と思って、我々は企業じゃないんですけど、自治連合会として何か参画して今まで考えていた事を、最初の第一段階として具現化できる、それを積み重ねていける最初の第一歩にしたいなと思ったわけです。
絹: 葉山さん、自治連合会さんが乗り出してくるのって、珍しくないですか?
葉: そうですね。正直それはやりながら巻き込んでいけたらなと期待してたんですけど、最初から前のめりで来ていただけるとは、ちょっと思っていなかったですね。
絹: これは自分の単なる思い込みですけど、自治連合会の副会長さんと言うと、ごっつい長老で、高齢の方だとイメージとして持ちますよね。山内さん、バリバリやないですか(笑)。なんか噂によるとPTAも熱心に活動されていると聞いていますけれど、おそらくは40代の方が推進エンジンとして、この間も社会実験の所にいっぱいおられましたものね。あれが全部地元の方々ですか。
 

●PTAの活動がベースになって

山: そうですね。PTAの会長を2年間やらせていただいて、その後もずっと皆仲良くやっているのですが、やはりPTAをやっていると、地元の問題点や誰がどういうふうなことを欲しているとか、色々わかってくるんです。今回参加させてもらっているスタッフや児童もPTA関連の人が結構多くて、会長をやっていたのは5~6年前なんですけど、それからも非常に仲が良くて、コロナの前は月に一回必ず飲み会があると(笑)。そういうことをしていると、色んな事を話し合ううちに、地元をどうしていったらいいのか、公園も含めてどういうふうにしていこうというような話ができるわけです。
絹: 月に一回の飲み会で「宝が池セントラルパーク構想」が生まれてきたわけですね。リスナーの皆さんにそのセントラルパーク構想の一部をイメージして頂くために、私が直接見聞きした当日の社会実験の一部をご紹介します。
 

■エピソード2 宝が池北公園の社会実験、ちょっと覗いてみましょう

●バーベキューも、キッチンカーも、フラダンスも、そして鮎すくいも
絹: デーンと写真を僕、撮りました。公園利活用トライアル事業、デカデカと京都市社会実験中と、カラーコーンの所に書いてあります。このカラーコーンより内側は毎週土曜と日曜、社会実験をしていますと。イコール「ここは特別な空間ですよ」と宣言してあるわけです。普通、公園でバーベキューをしたら怒られますよね。堂々とやったはりますし、それからキッチンカーの素敵なものが並んでいたり、フラダンスの雰囲気のある方々が踊っていらっしゃったり…。
(公民連携 公園利活用トライアル事業 宝が池公園より)
山: 映えますよね、本当に公園に。
絹: それを遠巻きに観客が見ておられる姿、そして岩倉川の中に鉄筋の柱を4本打ち込んで、ブルーのネットで囲んで、その中になんと地元の漁協の協力を得て、鮎が放してある。子どもたち、小さい子と親子連れがそれを手で掴もうとしてワイワイやったり、網ですくったりして、それを取って来ると、土手に上がると炭火が熾っていて、職人さんが串を打って塩焼きにしてくれる。なんちゅう企画ですか(笑)。
(公民連携 公園利活用トライアル事業 宝が池公園より)
 

●各方面との調整に、押したり、引いたり、それでも…

葉: これのすごいところは採択してから数カ月しかないのに、そこでここまで漕ぎつけたというところの皆さんの熱量が本当に素晴らしいなと思います。
絹: 本当にびっくりしました。先ほどもおっしゃいましたように、ドSとドMの戦いというのがあったそうで、行政はやはり「これはルールやで、あかんものはあかんがな」というのと、「いやいやヤレ!」というのと、それの交渉が結構きつかったんですか?
葉: ドSとドMというのはたぶん私と山内さんが、時にはドSになり、ドMになりみたいな、どっちも嫌いじゃないみたいな感じでやっていたところもありますし(笑)、周りの関係者の方々も、例えば岩倉川は実は公園の施設ではなくて、京都府さんの管理なんですね。そこにまたこういう、向こうも未経験の相談をいきなりしに行って、相当難色を示されたわけです。とは言え、封鎖も何とかしてあげようとなったところで、厳しいことは言いつつも何とか合意に達したりして…(笑)。
 

●地元の方々の熱量、すごいんです!

絹: 手元に証拠写真がありまして、宝が池公園利活用推進運営委員会スタッフと、背中にビブスを貼り付けた親父さんがおられました。この方が「たまにこうやって岩倉川の中に人が入って、子どもたちが足で藻を剥がしたりするのは、川の環境のためにもいいんです」と力説されるんです。「漁協の方々の協力、すごい得たんです」と、この方確か造園屋さんでしたよね。この方もPTAの?
山: はい、僕が会長をやっていた時の副会長さんです。めちゃくちゃ男気のある方です。
絹: もう走り回ってはりました。子どもの世話に。
葉: びっくりするのは、やっている前の日と次の日も掃除に来てはるんです。やる前とかも、大規模に草刈りとかもしてくださったりして、正直そこまでやって、自分の余暇まで使って、お金も使ってやるわけですから、そこまでやってくれるんだというのは…。
絹: 地元の方の熱量と言いますか、今ある公園のルールを超えたところで、「何か行動を起こしたら、きっとワクワクするぜ」みたいなことを思っていらっしゃるのでしょうね。
葉: たぶんそうだと思いますね。やはり公園というのは本来楽しい場所であるはずなので、楽しいことを考えたりする、そしてそれが実現するということは、やはり満足感が高いのかなという気がしますね。
 
  (宝が池公園利活用推進運営委員会スタッフ様より)
 

●地域の循環を生むために考えていること

山: あと我々が基本として置いているのが、業者さんとそれを受ける人、作る人と食べる人の関係ではなくて、作る人が食べる人にもなり、食べる人が作る人がにもなる、それがすごく大事なんじゃないかと思っているんです。だから業者さんのキッチンカーに地元の人が食べに行く、ただそれだけの関係ではなく、自分たちでキッチンカーをつくろうやないかと。地元の方がサービスする側に回って、地元の人を迎え入れようやないか。それを見た地元の人が、「私らもやる方に回れるんやな」「こういうことをやりたいわ」と思ってくれる。そうしたら次はその人の企画を採用して、また地元の人がそれを楽しみに行く。そういうふうな循環があるのがいいんじゃないかというのが、基本的な考え方なんです。
葉: まさに我々の方も、同じ思いを持っています。公園を単に使う側だけじゃなくて、自分たちが何か楽しみをつくって提供する側に回るという人が増えていったら、公園のルールもどんどん変えていけるんじゃないかと思うんです。行政が何かサービスを提供していって、それを単に受け取るだけであれば、行政に対して権利を主張するというだけになってしまうと思うんですけど、自分たちがマネジメントして、自分たちが企画するということがあれば、もっと愛着もわくでしょうし、地域の居場所として機能していくでしょうし、そういう公園になっていけばいいなと思っていたら、いきなりそれを岩倉南自治連合会さんがやり始めているという、僕らからしたら話が出来過ぎているという…(笑)。
絹: リスナーの皆さん、今、葉山さんから良いキーワードを頂きました。地域の居場所として公園が機能すべきだと。この番組のヘビーリスナーの方でしたら、私自身が「まちの縁側」と呼ばれる居場所を追い求めていたというのを、覚えておられる方がいらっしゃるかもしれませんが。いいですねえ。岩倉で本当に素敵な事が起こっています。そして行政の方は制限をしたり、ルールで縛ったりするというところから、リスクをとって今、踏み出しかけておられます。その踏み出して勇気のある人をとっつかまえたのが、山内自治連合会副会長のようです。そんな風に見えてきました。
 

■エピソード3 公園から山へ 新たな社会実験

●山の荒廃をどうにかしなければ
絹: 宝が池公園の航空写真を見せていただいた時に、宝が池周辺は1つの里山エリアを構成していると。その山自体が鹿の害とか、楢枯れ、松枯れの害で、だいぶ傷んでいると。山の健康状態が良くないよということもみどり政策推進室の問題意識ですね。その辺りを少し触れていただけますか。
葉: 今、ご紹介いただいたように、色んな課題に直面して、森がどんどん荒廃していっています。昔の里山のように、たくさんの人が入って利用する機会がなくなってしまったので、鹿などもどんどん生息して、食害を起こしている状況です。これを本当に熱量のある方々が保全・再生の活動をされているのですが、それでも問題が大きすぎるんです。その人たちがいつまでも手弁当でやっているという状況だと、やはりこの問題は抑えきれない。となった時に、色んな人が公園という楽しみを通じて、もっと森に興味を持ってもらったら、その中で先ほど山内さんがおっしゃったように、守る側に自分たちが楽しみながら立とうじゃないかみたいな人たちが増えていくきっかけができると思うんです。だから今回のトライアル事業を通じて、そういう公園を好きになる、公園イコール山を好きになるという人を増やしていって、その中で現代的に山や森を使っていくというアイデアをどんどん出してもらって、それをまた社会実験としてやっていったりできると、この取り組みがどんどん意味を成していくんだろうなと思っています。
 
  (グーグルマップ 航空写真 宝が池公園周辺より抜粋)
 

●お医者さんと組んで山のアウトドアジムなんて、面白いでしょう?

山: 実は山の整備についても、年齢が多世代で、地元の人がそれに参画できるようなことを色々考えていまして、例えば人生100年社会になっていますので、高齢者の方がジムに行く代わりに山の木を切ったり、山道をつくったりするなどということもあるのではないか。全身運動になりますので、それを例えばお医者さんと組んで「こういう動きをしたら、非常に膝にもいいよ」とか、「3回に1回は背筋を伸ばしてください」とかサジェスチョンしてもらいながら、青空の下で、アウトドアジムをやっているというようなことをやっていければと思っています。
葉: 発想が面白いなあ。
絹: かつてのステレオタイプのお話ですが、街路樹の落葉するシーズン、ギンナンが匂う、落ち葉が自分の家の玄関に降り積もると、京都市に電話して「おい、掃除しに来んかい。わしは税金払てんねん」というのが、ある種市民の悪いパターン像でしたけれども、それとどうも一線を画す市民が、特に岩倉南自治連合会には多そうですね。
葉: そうですね。内部でもそんな相手っていないんじゃないかというのが、このトライアルをする時に課題として出たんですけど、それも含めてやってみようと思ったら(笑)。
絹: 企業は申し込んでくるかもしれへんなあと思っていたところが、企業を飛び越えて自治連のジモティーの皆さんが食いついた。大物が食いつきすぎて、びっくりしはったでしょう。
葉: びっくりするのは、実は新京極もそんな感じになりつつあるんです。地元の方が熱量を出してきて、「この公園、どういうふうに過ごすようになったら自分らは楽しいか」と考えるようになってくださって、本当にトライアルという感じでやったものが、思った以上に成果が出ていて有難いですね。
 

●「こんなことできたらええなあ」を皆さん、語り合いましょう!

絹: リスナーの皆さん、お気づきでしょうか。本当に行政と市民の関係が変わりつつあります。宝が池公園だけではなくて、新京極でも、船岡公園でも色んな所で熱量の高い市民が、「行政の資金力がなくなってきたらやれることを助けたるで」とばかりに口も出すけど、手も出すと。そういう人たちが我が京都には、ひょっとしたら数多くいらっしゃるようです。こういう方々が京都を住みやすく、風通しのいい都市にしていくという期待を感じてしまいます。ぜひ、皆様も公園で起こっている社会実験に覗きに行ったり、参画したりしていただけたらと思います。
山内さん、本当は冬用のやりたいことも温めてはるんですよね。
山: そうですね。冬はジビエにホットワイン…。
絹: いいなあ、公園でね、やってみたいですよね。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。最後に一言どうぞ。
葉: 公園の利活用というものを、このラジオを聞いた方も柔軟に考えて頂いて、「こんなことできるのかな」ということがあれば、ぜひ我々の所に来ていただいて、もちろん行かせていただきますし、夢を語り合えたらいいなと思います。ありがとうございました。
絹: 山内さん、ごめんなさい。タイムアップ。また来てね!さよならあ!
投稿日:2021/11/24

第169回 ・京都市初の「市民緑地」整備ってなに?~にぎわい・いこいの空間で何が起きるのだろう?

ラジオを開く

朝: 朝山 勝人 氏(京都市建設局 みどり政策推進室 事業推進担当部長)
岩: 岩村 謙次 氏(京都市建設局 みどり政策推進室 緑化推進課長)
水: 水江 勝  氏(京都市建設局 みどり政策推進室 担当係長)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
       (左から朝山氏、水江氏、岩村氏)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲストはお二方お呼びしております。正確にはお三方で、コロナの状況下でスタジオ入りできるのはゲストの方お二方までなのですが、外にもお一方。ご近所さんです。ここは三条寺町ですけど、京都市役所から来ていただいています。
ご紹介いたします。京都市建設局みどり政策推進室緑化推進課長であられる岩村謙次さんです。よろしくお願いいたします。
岩: よろしくお願いいたします。
絹: そしてもうお一方。担当の係長さんです。水江勝さんです。
水: よろしくお願いします。
絹: それから部屋の外におられる朝山部長~!
朝: はーい。よろしくお願いします。
絹: まずは今日のタイトルです。「京都市初の“市民緑地”整備ってなに?~にぎわい・いこいの空間で何が起きるのだろう?」と題してお送りします。さあ、どんなお話になりますか。岩村さんと水江さんに徐々に紐解いていただきます。
それでは先ほどご紹介しました岩村謙次さんと水江勝さん、この番組のヘビーリスナーの方なら絹川が時々手を抜くというのを知っておられます。いつもの他己紹介でまいります。
岩村謙次さん、水江勝さんの人となりを短く述べよ(笑)と、無茶ぶりをさせていただきます。
岩: 打ち合わせになかったですよね(笑)。水江係長は東本願寺前の市民緑地の事業を担当しておりまして、係員も一名、二名でこの事業を担っていただいています。大変しんどい仕事だと思うんですけど…。
絹: ほんまですねえ。二名でこんなでかい事をやらはるとは、ちょっとびっくり!
水: そうなんです。私もびっくりしてます(笑)。
岩: 日々残業が続いているなかで、一生懸命頑張って良いものをつくっていこうと奮闘しているところです。
絹: 残業と聞くと、我々建設屋は今もう、背中がゾクッとしてしまいます。働き方改革と言われていますが、お互い気を付けましょうね。岩村さんありがとうございました。
水江勝さん、右隣に座っていらっしゃる上司、岩村謙次とはいかなる人物ぞ、短く述べよ!
水: 私も4月からみどり政策推進室の方に着任させていただきまして、最初課長を見た時には、「すごい目力のある方やな」と思って、すごい心配やったんですが(笑)、いざ話してみると、すごく部下想いと言いますか、色んな細かいところから気を遣っていただきまして、課長としてはうちでは一番部下の多いラインにはなっているのですが、非常にみんなに対して気を配ってくださる上司です。
絹: はい、ありがとうございます。よいしょ(笑)。これも打ち合わせになかったですけど、外に今来て下さっている朝山部長についても、人となりについて一言どうですか?
水: 我々にとって上司というのは、普通は話しにくい部分とかあったりするものですが、部長については普段からこちらに声かけとかしていただきまして、非常にこちらとしても話しやすい環境づくりをしていただいています。
絹: ありがとうございます。私もこの番組をつくるために、1~2度お会いして、みどり推進に行ったのですが、気楽に来てくださって、電話でアポイント調整等、自ら乗り出して下さって、本当に助かってます。朝山部長ありがとうございます。
ということで、本題に入ります。まずエピソード1として「そもそも初の市民緑地ってなに?」というところから入っていこうと思います。リスナーの皆さん、これから説明が始まりますが、どうやら東本願寺さんの前に何か素敵な空間ができるということで、そのご担当にお二方に来ていただいています。岩村さん、まず口火を切っていただけますか。これ、そもそも何が起こるんですか?
 

■エピソード1 そもそも初の市民緑地って、なに?
●市民緑地と都市公園、どう違うの?

岩: 今、東本願寺の前には、東本願寺さん所有の緑地と、その間に京都の市道が走っています。この市道を閉鎖して一体型の市民緑地として整備していこうという考えで、今事業を進めております。市民緑地というのは京都で初ということなのですが…。
 
      (京都市ホームページ 広報資料より)
絹: 今まであったような響きの言葉ですけど、なかったんですね?
岩: 市民緑地って、どこにでもあるようなネーミングですけど、京都市にある公園は全部「都市公園」と呼んでいるんです。ちょっと難しい話になるかもしれませんが、都市公園というのは都市公園法に基づいて整備された公園であるのに対し、市民緑地は都市公園法に基づかない、都市緑地法ということで法律が違うんです。
絹: ほう、よって立つ法律の建付けが違うと。そこでは何かえらい違いがあるんですか?
岩: 法律自体が、もとからある緑を保全しましょうという目的の市民緑地整備であるので、本願寺さんの敷地にあります大きな銀杏とか欅を保全しつつ、緑地として道路も含めて整備していこうということです。
絹: ということは、市民緑地ができるからと言って、「賑わい景観できるから、銀杏や欅がじゃまになるし、一本切ってもいい?」となると、「こらー!」という話になるんですか?(笑)
岩: でも数本は切ることになるんですけどね(笑)。ちょうど本願寺さんの緑地の真ん中に噴水がありまして、これが調べてみますと、武田五一という有名な建築家が(デザインは別の方ですけれども)設計をされたと。そこを一回り広げて、噴水広場の中でもイベントができるようなにぎわいの創出をしていきたいなと考えています。
絹: 武田五一先生と言えば、私みたいにあまり勉強したことない者でも、ちょっと建築をかじった人は「はああ」と思いますよね。
岩: 京都市の本庁舎も武田五一の設計です。
 

●東本願寺と京都市が協働してつくる緑地空間として

絹: そもそも市民緑地がよって立つ法律が違うと。緑を大事にしましょうという足がかりで整備していくことが起こりそうです。リスナーの皆さんに念のため、手元資料を一部だけ読ませていただきます。
東本願寺前は緑豊かな空間のもと、「下京・京都駅前サマーフェスタ」など、地域の方々と共に京都市東本願寺を始めとした関係者が協働して、地域の活性化に向けた取組や活用が展開されています。そのようななか、京都駅周辺の活性化に取り組む京都市と地域に開かれた門前を目指す本願寺さんの想いが一致して、京都市道と東本願寺所有の緑地を一体的な緑として活用できる整備を行うことで、市民緑地として整備することになりました。
と書いてあります。リスナーの皆さん、東本願寺さんの前に道が二本走っている部分、あそこです。武田五一先生の噴水があって、緑は東本願寺さんの所有、市道は京都市の所有で、それを一体化してどんな風になるのでしょうねえ。今度は二人だけでこれを料理しようとしている水江さん、もうちょっと補足いただけますか?
 

●石畳風舗装って、覚えておられますか?

水: 今回の整備は、緑地部分と京都市の市道部分を一体とした市民緑地という形でさせていただきます。その中でも今回、緑地の部分については、今も現状木はあるのですが、新たに桜等を植えさせていただいて、四季折々の緑が見られるという空間をつくり、市道部分の所は石畳風舗装と言いまして、石畳のような舗装のしつらえにさせていただき、そこではイベントなどもできるようにさせていただく予定です。
 
        (京都市ホームページ 広報資料より)
絹: 石畳風舗装って、リスナーの皆さん、覚えておられますか?ここで特集番組(第85回放送:平成24年7月24日)をやらせていただいたこと、あるんですよね。平安神宮の前の整備も確か石畳風舗装ですし、裏千家さんの今日庵さんの前の小川通も石畳風舗装、それから天神さんの東側もだいぶんと拡がっていましたよね。
身びいきの発言かもしれませんが、「ええ感じやな」と思っております。実は同業者と言いますが、私もそこのメンバーですけれども、京都道路建設業協会という舗装屋さんたちの集まりと京都市の建設局さんが共同研究で新しい工法を実験しながら編み出したものです。広く使ってくださいという工法なんです。
本当の石を使うと高いですけれども、本当の石ではないけれども、色々工夫をして、ショット・ブラストをかけたり、カッターで目地を入れて、石に見えるようにしたり、さらには保水性を高めるようにしたりと…。お水を撒いたら、夏の暑い日、ゆっくり蒸発するような工夫です。例えばパンパースの中身のような、水をためるような材質を中に混ぜるわけですが、その比率があんまり高いと舗装が弱くなるし、みたいな実験をかつて繰り返した覚えがあります。そんな地元の建設屋の目から見ても、この工法が取り入れられるとうれしいなと思えるような工夫が組みこまれているようです。
 

■エピソード2 市民緑地の将来像を考える
●イメージは神宮道、でももっと高いポテンシャルがあるはずです!

絹: お二方はこの市民緑地で何が起こってくるとうれしい、どんな風になったらいいのになと思っていらっしゃいますか?
岩: 先ほど絹川さんもちょっと触れられた岡崎ですね。神宮道。あそこも市道を廃道にして、公園と一体整備して、今はコロナでちょっとダメですけど、コロナ禍の前はあそこでイベントをして、色んな食べ物屋さんが来て、賑わいがすごくあったわけです。
今回のここの場所は、京都駅から歩いてすぐ5分以内で来られますので、すごく便利がいいんです。ここがイベント会場になれば岡崎以上の賑わいの創出ができるのではないかという、そういうポテンシャルはすごく高いと思っています。
絹: リスナーの皆さん、神宮道、平安神宮の鳥居の辺り、今、岩村さんは行政マンらしく廃道という漢字を使われましたが、要は車が入れなくしたわけです。そして公園と一体化した。「あれ、前は鳥居の所まで車で走れたのに、右左にハンドルを切らなあかん」と思われていると思いますけど、あそこ僕も何回か行ったんですけど、ええ雰囲気でしてね。
ちょっと誤解を恐れずに言いますと、中学高校の文化祭みたいなのを、ええ大人がずっとやったはるみたいな感じで。例えば手作りの小物やお菓子を売っておられたり、骨董だのなんだの、おまけにあっちこっちでおしゃべりが起こっているんですよね。本当に大学祭や学園祭の市民版みたいなことが起きていて、小さい子も、バギーに乗った赤ちゃんを連れたお母さん方も、家族連れでいい雰囲気でした。ああいうことを考えていらっしゃるんですね。
岩: はい。
 

●イベントではキッチンカーやテントが並んだりして…

絹: それがまた、京都駅に近いとなると、あれのパワーアップ版にならへんかと思っておられるわけですね。ひょっとして、この石畳風の所、本願寺さんの前、市民緑地やから、例えばキッチンカーの列がダーッと並んだりするのは許されへんのですか?許されると思います?
水: イベントについては、そういうキッチンカーを並べていただくとか、あとはテントですね。テントで飲食店を出していくというところも、今後ルールとして考えて行こうと思っているところです。
絹: そぞろ歩きしながら、休みの日にアテを仕入れてビールでも噴水の前に腰かけてと。多分座れるベンチ的なものも今後考えていかれるんでしょうねえ。
エピソード2で私がお聞きしたかったのは、京都市と東本願寺さんの想いが一致した、握手しはったというのは、どのあたりですかというのを聞きたかったんです。それと毎年サマーフェスタとか前夜祭とかもやっておられて、今でも結構ええ感じの場所なんですよねというのも、併せて一緒にお聞きします。どうですか?
        (京都市ホームページ 広報資料より)
 

●東本願寺さんとの協働のきっかけ

水: 東本願寺さんとはこれまでから京都市の市道を挟んで緑地がありますから、これまでもサマーフェスタや普段地域の方がそこに遊びに来たり、散歩されていた場所になっています。ただ今は実際には普段平日とか見ると、人が少ないのかなという日も見受けられます。
今後、東本願寺さんとしては地域に開かれた門前、京都市としては京都駅から近く、京都周辺の活性化という目標に挙げていますので、そちらが両方とも達成するということで、今回市民緑地という考えが一番だということで思いが一致しました。さらに区役所の方も、この東本願寺市民緑地の前を今後利活用していくために盛り上げていこうと、事業をさせていただいています。そこで色んな意見が出て、どういった形で市民緑地を使っていくのか、今後詰めていきたいなと思っています。
絹: 素晴らしい。どうもお寺さん側から言うと、「敷居が高いと思われているのでは」という思いがあったんですよね。「もっと来て」と。前でこれだけ賑やかなイベントなどがあったら、東本願寺に来てくれる人、何か相談に来る人、もっと来てほしいという思いと京都市の狙いと一致しているということですね。
 

●市民緑地の取組、区役所も働きます!

絹: それから区役所というキーワードが出ましたね。この頃京都の区役所って、以前に比べて元気と違います?
岩: そうですね。元気ですね。
絹: 僕もお世話になったことがあるんですよ。下京区役所の下京町衆倶楽部というところのメンバーでして、一般市民にアイデアを募って「区長権限で活動助成をするぜ」という取組みがありました。「助成するだけじゃなくて、知恵を出せ」みたいな人をチームで集めて、とにかく下京区が元気になる、何か困りごとを解決するというワークショップを結構丁寧にやっておられました。今もたぶんそういう動きが残っているのでしょうねえ。
 

●是非、皆さんも興味をもって、お知恵を貸してください

絹: で、ここの初の市民緑地、まだ愛称とかもついてないんですよね。そういうのも周りの市民にも「知恵貸してな」ということがたぶん起きてくるでしょうね。今日、こうやって岩村さんと水江さんが担当して、「市民緑地、初なんですよ、やるんですよ」と言いに来てくださいましたが、我々一般市民の側は、実は知っているようで、色んな事を知らないんですね。リスナーの皆さんにも言っておきたいんですけど、行政の人って、奥ゆかしいんです。「わしら、こんなすごいこと、やってるねんぞ」とは、まず言わはりません。だけどこれ、結構すごいはずですよ。だって初ですもん。それで人が寄って、例えばキッチンカーが活躍する場所ができるだけでも、そこは雰囲気明るくなりますよね。行政が勝手にやっているだけではなく、知恵も出せよと言ってくれているところに、京都市民というのは、ある人に言わせると「おせっかいが多い」とか「民度が高い」らしいんです。「こんなアイデアどうですか?」なんて、結構言ってくる人いますよね。そういう声を拾う立場と言いますか、私の知る限り、他都市に比べて京都市はだいぶ取っていると思っています。ですから是非、この京都市さんと東本願寺さんの初の取組み、リスナーの皆さんの応援をお願いします。面白いことが起きて、楽しい場所、京都にまた新しい名所が1つできて、市民が集えるという所ができると、何かうれしいじゃないですか。
          (京都市ホームページ 広報資料より)
 

■エピソード3 ふるさと納税と市民緑地
●朝山部長、飛び入り参加していただきます

絹: ということで、朝山部長にもちょっとだけ飛び入り参加していただきたいんですけど、頼んでもらえませんか。ふるさと納税とか、寄付とかについて、部長と喋れそうですか?
今、岩村課長と朝山部長が今交代されます。ご紹介いたします。建設局みどり政策推進室事業推進担当部長であられます朝山勝人さんです。残りの時間で、ふるさと納税、それから寄付のお知らせについて少し語っていただけると嬉しいのですが。
朝: はい。今回の京都市の東本願寺前の市民緑地なのですが、本来でしたら当然行政の方が費用を負担して整備をしていくということなのですが、皆さんご存知のように、京都市の財政状況も非常に厳しいなかで、なおかつここの部分が9800平米ほどの広さのオープンスペースができることになります。また東本願寺さんが観光客の緊急避難場所という形になっていまして…。
絹: これ、大事なポイントです!
 

●防災の機能も併せ持つ市民緑地として

朝: そことこの市民緑地とを一体的に活用することにより、災害時などの緊急避難場所の支援ができるという防災の機能にも非常に役立つ公園、市民緑地になります。そういう整備を進めて行くということで、できましたらふるさと納税として、企業さんや個人さんから募集を募っています。10万円以上寄付をいただく場合は、市民緑地の芳名板にお名前や企業名を記載させていただきますので、是非ともご協力をお願いしたいということです。よろしくお願いいたします。
 

●但し書きにかえてーご寄付について

絹: リスナーの皆さん、「名前なんか出さんといて、お金だけ出すし」も大歓迎でございます(笑)。ただし、私のような地元京都に本社がある企業が法人寄付をしても、税金は安くなりません。できれば京都市外の、例えば滋賀県の企業が寄付してくださるとなると、減税措置があります。
減税になる、ならない。それから個人の皆さんでご寄付いただいても、京都市は「そんな返礼品で釣ろうなんて…。仕事の結果で見てください」というスタンスを取っておられますので、京都市民に対しては返礼品は用意されておりません。ただ、市外の人たちには「京都市はたしなみとして返礼品をお送りします」というスタンスを取っていらっしゃいますので、一言申し添えます。
ということで、必要な情報は行きましたでしょうか。
朝: ありがとうございます。
絹: 水江さん、言い残したこと、ない?
 

●工事が間もなく始まりますが、ご協力をよろしくお願いいたします。

水: 市民緑地の整備の工事を間もなく始めさせていただく予定ですので、その時には近隣の方はじめ、その前を通られる方に非常にご迷惑をおかけすることがあるかもしれませんが、ご協力をよろしくお願いいたします。
絹: 「こんな所で埃をたてやがって」とか、「車を止めやがって」とかって、怒らないでくださいね。私の本職知っておられますよね、建設屋です。できてくるものを期待して、「不便やけど、頑張れや」と言っていただいたら、建設屋はもう本当に舞い上がりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
皆様、いかがでしたでしょうか。東本願寺さんの前に京都市初の市民緑地が整備されてまいります。是非ご期待ください。
この番組は心を建てる公成建設の協力と、我らが景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。朝山さん、外に出ていただいた岩村さん、それから水江さん、ありがとうございました。
投稿日:2021/10/07

第168回 ・山に道を作る~林業からの6次化ビジネスへ

ラジオを開く

今: 今西 恵一 氏(株式会社 志賀郷杜栄 代表取締役)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
        (今西 恵一 氏)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。コロナのせいでマスク越しで、しゃべりにくく御聞き苦しいのを許してください。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト紹介でございます。私にとっては建設業界の兄貴分、先輩であらせられます。今西恵一さんです。先輩よろしくお願いいたします。
今: こちらこそ、よろしくお願いします。
絹: 今西さんとの出会いをちょっとだけ語らせていただきますと、だいぶ前なんですけど、建設業協会に私がペーペーで出入りして、その時に先輩でおられました。伏見に協栄建設さんという土木系がお強い会社があります。そこで現在も専務さんですね。
今: もう専務はリタイアしました。去年無事全て年季奉公が終わりまして、今は完全に別会社の志賀郷杜栄の代表取締役一本に専任しております。親会社に協栄建設がまだ入っていますので、その関係はまだ続いています。
絹: 志賀郷杜栄(しがさともりえい)。面白い字を書くんです。「しが」は滋賀県の滋賀ではなく、志賀高原の「志賀」です。「さと」はふるさとの「郷」、「もり」は杜の都の「杜」。「えい」は栄えるの「栄」と書いて、志賀郷杜栄の代表取締役をされております今西恵一先輩であります。
大昔、僕はとんでもない妄想レポートを書いて、今西さんに渡していたという事実があります。なんと2007年2月14日、「森からの大風呂敷」というレポートを恥ずかしげもなく、今西先輩に渡しておりました。それが今、今西さんが志賀郷杜栄という会社を興されて、山の中に入って動いておられるということに、何かちょっと影響を与えたというと、口幅ったいですし、えらそすぎますけど(笑)、「関係あるねんぞ」と以前言っていただいた、その辺りからエピソード1を始めましょうか。
 

■エピソード1 『森からの大風呂敷』から始めましょう
●絹川さんにちょっと背中を押されました

今: 2007年ですから、今から14~5年前になりますけど、建設業がもう本当に疲弊していた時代がありまして(今は結構息を吹き返して、それなりに目立った存在になっていますけど)、当時は国交省から会社を解散するか、もしくは異業種に参入するかに補助金が出ていた時代でした。
絹: あれってリーマンショックでしたっけ?
今: いや、それよりも前で、小泉政権が始まったくらいに、公共投資が一気に蓋をされた時でしたね。
絹: コンクリートから人へという辛い時代のまだ前ですよね。もう一回その前に辛い時代があったと。
今: 日本道路公団が民営化されるとか言っていた頃ですね。その頃にうちの選択肢の中に異業種参入があって、林業に行こうか、まだ私も自信がない時に(模索していた時期でもあったのですが)、絹川さんが「林業に興味を持ったはるらしいですよね」と、うちに来ていただいて『森からの大風呂敷』を見せられた時に、「あれ、結構絹川さんも興味あるやん」と(笑)。
内容を見させてもらうと、森に入ると心地よさとか、人間の原点に帰れるみたいなことが色々数ページに渡って書いてあるわけです。「人間の原点の中にある自然環境に携わるということを、もう一回考え直した方がいいかな」という思いに、ちょっと背中を押された。きっかけになったというのが本音の話です。
 

●絹川が森の中で考えたこと

絹: いやあ、光栄です。本当に駄文と言うか、妄想レポートを書いて、ちょっとお借りしますね。もう自分が何を書いたか、忘れているんですけど。
今: 最初、木を切った時の醍醐味とか、伐倒した時の達成感とかを、ものすごく赤裸々に書かれていて…。
絹: ちょっとリスナーの皆さん、共有させてくださいね。ちょっとだけ読みます。
森の中で考えたこと。
平成18年12月のある日、人づてにモデルフォレスト協会事務局長に会ってみるとよいと助言を受けて、京都府庁を訪れた。コミュニティFMで自主製作している番組(まちづくりチョビット推進室)のゲスト出演依頼のためであった。
その事務局長から突然「絹川君、次の日曜日空いてるか?」と聞かれて、思わず「はい」と言ってしまいました。で、行った先は府立大学の演習林で、間伐枝打ち体験に参加することになりました。
私らは素人ですから、チェーンソーとか使わせてもらえません。
今: そうですよね。よう、手のこで切ったなという感じで(笑)。
絹: 昼でも薄暗い檜の森の中、その日初めて出会った人たちが8人1チームになって、専門家の指導のもと、直径20~30㎝のそんなに大きなものではないのですが、手のこで切ったんですよ。高さは大きい物で8mくらい。でもね、ボランティアの間伐と言っても、「しくじったら、大腿骨骨折くらいあるぞ」と脅かされて(笑)。
今: いやぁ、あるあるある!
絹: それをみんなで汗かきながらロープを引っかけて、切り倒して、そうしたら薄暗い森の天井に、パッと明るい所ができるんですよね。そして切り株から檜の香りがワッと立ち上って、安堵感と、わあっと思ったというのが、このレポートの書き出しです。
ちょっと臨場感を共有していただけましたでしょうか。
 

●タイトルコール忘れてました(汗)

絹: 今西さんはこういうお仕事を今、間伐ということだけじゃなくて、路網整備を行っておられます。間伐するために必要なのは、道やないかと。
今: そうそう、それが一番のキーワードになってくるんです。
絹: 今、えらい事を思い出しました。タイトルを言うのを忘れてます(笑)。今西さんと一緒に考えたタイトル行きます!「山に道をつくる~林業からの6次化ビジネスへ」。これが今西先輩が志賀郷杜栄を率いてなさろうとしているところです。
(株式会社 志賀郷杜栄 HPより抜粋)
今: 私も1つ言い忘れていました。今日、MCをされている絹川さん、私を「先輩、先輩」とおっしゃっていますが、実は歳は1つか2つしか変わらないので、高齢ではないということをご理解いただきたいのがまず1つ(笑)。
絹: でも業界経験年数はかなりあいていると思うんですよ。僕は社会に出るのが、人より遅れていますので(笑)。
 

●志賀郷杜栄という会社名について

今: それから会社名で、変わった呼び名になっているのは、基本的に我々が最初の取っ掛かりとして山に本格的に道をつけさせていただいたのが、京都府の綾部市の志賀郷地区の共有林を預かった事が始まりだったんです。
絹: 志賀郷というのは固有名詞から…。
今: 志賀郷地区という所があるんです。綾部にはほかにも神林地区とか色んな地区があるのですが、その中に大きくまとまった志賀郷地区という所がありまして、そこの共有林の約200ヘクタールを預からせてもらったのが始まりでした。
絹: 200ヘクタールもいきなりですか?
今: 200ヘクタールの中に現状は40㎞ほどの道が入っています。これは全部うちの林オペレーターが完成した道です。うちも一歩目が志賀郷だったので、できたら志賀郷地区のこの共有林の貢献度を高くしたいと思って、名前を入れたというのが1つと、次の「杜」ですが、普通の木が3つの森ではなくて、「木へんに土」にしているのも、元々私は土木屋で、土木が結構好きだったので、土と木を横に並べたら「杜」になるでしょう?(笑)。
絹: 未だに僕は建設業の先輩という意識でおりますが(笑)。
今: それに僕が元々在籍していた協栄建設の「栄える」という字を合わせて、志賀郷杜栄という名前を付けさせてもらったわけです。
絹: いやぁ、こだわり満載のしゃべりでございました(笑)。
 

●人間が伐倒することで、光が入り、風が入り…

今: というのを冒頭付け加えさせていただいて、エピソード1に入らせていただきたいのですが、その中に先ほど絹川社長が言われていたように、やはりその当時はまだ右も左もわからない状態だったのですが、やはり人間が伐倒することによって、木が倒れ、そこに光が入り、風が入り…。
絹: 今西さん、「伐倒」と言われましたが、刀を抜く「抜刀」ではないですね(笑)。
今: 我々は今チェーンソーでやってますが、今頃手のこでやっていたら大赤字になります(笑)。そこでやった時の達成感、自然に携わっているということが、たぶんその当時、絹川社長も受けられた感受性と同様なものだったのではないかと感じたわけです。
絹: 本当にそれを覚えましてね、チェーンソーのガードをするためのチェーンソーパンツを着こなしている若い方、あれを見て「かっこええな」と思いましたね。
今: あれ、一本2~3万するんですよ。
絹: 地下足袋をきりっと履いている人、それから穴を掘って、おがくず埋めて「ここでおしっこしい」と、トイレも作ってくださる。その当時の京都府の副知事さんが、小石原さんで隣で木を切っておられたんです。私の事ですから、えらいさんの顔を忘れていて、「絹川さん、立場上、ご挨拶に行かれたほうがいい」と周りの人に言ってもらって(笑)、ご挨拶に行って、当時の副知事と一緒に握り飯を食べさせてもらいました。
 

●若い人に思う事と“租庸調”

絹: 当時僕の息子は中学生くらいだったのですが、その年頃の子どもたちがこういう森の中に入って木を切って、危ないけれどもきちんと林業の専門家に指導を受けたら、夏休み、冬休み、春休み、いいなあと。その時には2つアイデアが浮かびまして、昔歴史の授業で、「租庸調」という古代の税制が浮かんだんです。そこで「絹川くんとこの息子二人、今年は夏に10日間、春に3日間、山で汗を流して、木を切ってきたと。そしたらその分、親父の税金まけたるわ」と(笑)。
今: 賦役みたいなもんですな(笑)。
絹: その後、副知事に挨拶に行ったんですよ。そしたら秘書官の人が「絹川さん、副知事室どうぞ」と言われて、初めてそんなところに入ってびっくりしたんです。で、その時のものすごい達成感で、「こういうことに参加する子どもたちができたらいいですね」と。それどころか租庸調の話までしてしまって、そこのレポートにも書きましたよね?
そしたら副知事が、「これ、村仕事と言うねん。昔はどんな偉い庄屋さんでも、わしらの田舎では人を出さなあかんかってん(賦役)。絹川くんは現在にそれを蘇らせたいんやな」と言って、意気投合してしまって、それでレポートを書いたんです。
 

■エピソード2 持続的な森林整備のために
●会社の平均年齢は30歳

絹: 今西さんが今、山に道をつくるという志賀郷杜栄の林業からの6次化を目指す中で、ひょっとしたら若い衆をはじめ色んな人を山に導こうとしておられるに違いないと踏んでいるわけですけど、そのあたりはいかがですか。
今: その若い人ということについて、うちの会社自身、社員が10人おるのですが、平均年齢は30歳です。
絹: 若い!
今: 林業の場合、若い子でないと難しいのは、スパンが20年ごとに変わっていくためです。そうすると今、60代の我々が繋ぎ役で、その下はもう50代でも繋ぎ役としての役目しかないわけです。
絹: 木が育つのに時間がかかりますものね。
今: 伐期が約15~20年かかるから、少なくても30代、もしくは40代で、しかも50手前くらいの人間は自分の息子までをうちの会社で動けるように考えてもらいたい。そのくらいのスパンで山というものを考えて、働くときには長期プランで仕事をしないことには最終的な形が残らない。そうするとどうしても若年層の方にまず入ってもらうことが最優先になるわけです。
絹: 平均年齢の30歳ということですが、やたら高学歴の若い人がいるみたいですね。
今: 高学歴もいますし、普通のもいますし、まあ国立大学は4人ほどいますけど(笑)。
絹: 山に道をつくると言っておられる林業の会社で、院卒がゴロゴロいるというのはどういうことですか。
今: 院卒は3人いますね(笑)。阪大と府大と新潟大学やったかな。
絹: それをお聞きしてね、何か救いがあるなと。若い人たち、目が曇ってないなという気がしてね。そういう所へ行こうと。山の中じゃないですか。下手をしたら移住みたいな感じでしょ?
 

●若者の移住とイノベーションと

今: 移住を好む若者が逆に多いんです。今は。
絹: 捨てたもんやないあなあ。大したもんやなぁと思ってます。
今: ええ、全然ないです!だから余談ですけど、綾部から会社をこちらに向かう時に、その阪大卒のヤツは、うちの事務所で草刈りをドロドロになってやってましたけどね(笑)、そういうことを結構平気でやるんです。なぜかと言うと、移住しに来ているんだから、草刈りや道の普請をするのは当たり前やと思っていますから、却ってそこには何の隔たりも起こらないわけです。ですから市街地にいる若い子がどうのではないですけど、そこにいることによって彼らは高い教育水準をある程度受けているから、そういう仕事を繰り返すことによって、勝手な単調なイノベーションを繰り広げていくわけです。そのイノベーションから生まれた段取りや作業メニューは、今後有効な手立てになるということを、上の方がガバナンスしてやる。それが今後の移住者には必要かなと思って取り組んでいるところです。
 

●なぜ山に道が必要なのか

絹: その路網整備、土木屋としての誇りをもって技術をお売りになっている。でもリスナーの方々は「なんで山に道がいるの?」というところから説明しないと、ひょっとしたらお判りにならないかもしれません。かつてこの番組で「山が病んでいるんやない、人が病んでるんや」という番組を作ったことがあるのですが、私も建設屋の端くれでございますから、災害のあと地の視察などに入ります。京都府北部の土石流、大雨の後の倒木の現場などに入った時には、可哀そうに新築の家に細い杉が突き刺さっていて、一階が泥だらけになっていましたし、あたりには間伐体験の時の杉のような、ひょろひょろの杉が埋まっていて、「山に生えているんやない。杉畑や」という言い方をされる林業の専門家がおられたほどです。ですから大雨が降ったら、表土と共に流れてしまって、大変なことになる。そうならないようにヒョロヒョロのもやしの杉にならないように、間引いてやらなければならないのに、近づける道がない。そもそもそれが間違いなのだと。
今: ああ、一緒です。
絹: 路網と言うのですが、我々建設屋の世界で、コンサルさんがきちんと設計した高規格林道となると、めちゃくちゃ高いので、現地に即さない。そんなことをするとお金がかかるので、道がつくれなくて、大掛かりなワイヤーロープを張って、そこでケーブルカーみたいに…。
今: 架線集材ですね。
絹: リスナーの皆さん、イメージしてみてください。山の上の高い所から集積所にワイヤーをはって、ロープウェイのようにぶらぶらと下まで行くわけです。ところがそんなことをしていたら、高くてやってられません。0の数がいくつか違うようなノウハウを持っていらっしゃるのが、志賀郷杜栄の皆さんと言うか、具体的に言うと林さんというオペレーター、手練れがいらっしゃいます。
 

●路網整備、四万十方式という技術

今: 彼の存在が一番でかいということですね。
絹: 見ている間に道が40~50m?
今: 今なら50~80mくらい行きますね。場所によりますけど。
絹: 本当に建設屋の一般常識から言うと「ええ!」と言うような技術です。道をつくって残土が出ない。現地の材料、それから現地の表層土、植生を活用するがために、コンクリートで固めてないのに長持ちをする。それは水の処理の仕方やカントのかけ方などノウハウがどんどん蓄積されているそうですが、そもそもは四万十方式というのを、田邊由喜男先生に学ばれたと。
今: そうです。山に道をつくるというのは、一般の建設業と全く一緒で、インフラになる。道があることによって我々は高度成長を支えたわけです。高速道路しかり、国道しかりで、建設業をやっていたら、道というもののウエイトは非常に高いわけです。下水道も、上水道も…。
絹: 動脈、静脈など血管に当たると。
今: その中に細部的な毛細血管ができてなかったのを、構築することによって、経済性に優れた搬出方法ができるはずだというのが、うちが道を大事にしている所以なのです。
絹: それが志賀郷地区で200ヘクタールの共有林に既に…。
今: 40㎞。
絹: つけまくってはるやないですか!
今: ヘクタールにだいたい200mになるんですよ。
絹: すごいなあ。是非リスナー皆さんにも現地を見ていただきたい。見ている間に道ができていく。しかも建設残土が外へ出ない。現地にある材料で長持ちをする。どんどん植生が回復していく。表土と芯の土をうまくサンドイッチされたり、これは一言では説明がしにくいので、百聞は一見に如かずです。それを見てもらうためにもイベントが用意されているということです。
 

●8月28日にイベントをやります!是非、ご参加ください!

今: 8月28日です。うちの使命としては人間が入れずに荒廃していった森林を、道をつけることによって、人を呼べるようにしていく。人が入ることによって、持続的な森林整備をしていくなかに、どうしても観光資源的な役割が必要なのですが、それをどうつなげていくかを、今考えています。その観光資源の中に桜を植樹していこうというマスタープランがありまして、その前段階として、どうしても桜を植える場所を整備しなれければならないわけです。やはり小汚い所に桜を植えたところで映えませんので。そこで少しでも多くの人に来てもらい、軽い作業で、ある程度の整備を行うことを、皆さんに募りたいと考えました。「森林整備とジビエカレー」というテーマで、8月28日にイベントをする予定になっています。
絹: ここにフライヤーを用意していただきました。「志賀郷奥山、山桜と松茸の山をみんなでつくろうぜ!森林整備とジビエカレー」というイベントです。
今: そうです。松茸ですよ!
絹: 8月28日土曜日、10時受付開始。森林整備とネイチャーゲーム、いいですねえ。森林整備と薪づくりというのは、不要な木を切って、薪として持ち帰ってもいいですよとか、山の植物や動植物に詳しくなる子ども参加のネイチャーゲームの専門家コーチがゲームを教えてくれます。そして夏野菜とジビエ、たぶん鹿ですよね。
今: 鹿のエキスで出汁が出ているんです。
絹: それを食べて午後の2時に解散。軽作業ですけれども、山の中で山を感じてもらいたいと。今西さんとこの志賀郷杜栄さんが路網整備をされた技術についても見せていただけるかもしれません。
今: 是非見てもらえるとありがたいですけどね。
絹: 綾部市志賀郷奥山府道二股。
今: QRコードで見ていただければと思います。
絹: 検索していただいたらいいと思います。今日はボロボロ乱れてしまいましたが(笑)、時間ですので、この辺りで閉じたいと思います。また来てくださいね。
今: はい。このイベント、お待ちしておりますので、是非。
絹: この番組は心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力再生プロジェクトの応援でお送りいたしました。
投稿日:2021/08/25

第167回 ・起業家育成シェアハウスってご存じですか?~30名の起業家たちが切磋琢磨

ラジオを開く

内: 内野 匡裕 氏(株式会社 彩ファクトリー 代表取締役)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
                (内野 匡裕 氏)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト紹介でございます。起業家育成シェアハウスの企画運営をされています内野匡裕さんです。よろしくお願いします。
内: よろしくお願いします。
絹: 今日会ったのが、まだ2度目です。そして番組タイトルを「起業家育成シェアハウスってご存知ですか?~30名の起業家の卵が切磋琢磨」といたします。
さあ、リスナーの皆さん、このタイトルで何を想像されますか?実はワクワクドキドキしております。内野さんとの2度目の出会い、番組の収録に入っていきます。それでは内野さんの言葉で自己紹介をやってみていただけますか?
内: 株式会社 彩ファクトリー代表の内野匡裕と言います。僕たちは不動産にソフトの付加価値を追加することによって、特別な体験を提供したいと思っています。例えば起業家だけが住むことができて切磋琢磨できる起業家シェアハウスですとか、日本にいながら完全に留学と同じ環境に身を置くことで英語が身につく英会話のシェアハウスなどといった、あえて非日常環境を意図的につくりだすことによって、特別な体験を得ていただいて、住んでいただく方の人生が変わる機会を提供したいという会社です。
絹: ね?聞いたでしょ。変わっているでしょ?「英語漬けシェアハウス」なんてのが世の中にあることすら知りませんでした。そしてもう1つ頂いた名刺でびっくりしたのは、「シングルマザーシェアハウス」です。ほーっと思いまして、実は京都に内野さんが手掛けていらっしゃる「起業家シェアハウス Fespa 京都」というのが向日市にあるのですが、そちらを先日視察させていただきました。目から鱗の嵐でありましたけれども、まずはエピソード1として、内野さんから「起業家シェアハウス Fespa京都 in 向日市」というのはどんなんですか?というところから紐解いていただきます。
 

■エピソード1 起業家シェアハウス Fespa 京都ってどんなんですか?
●Fespa京都は向日市にあります

内: 起業家シェアハウスは、元々社員寮だった4階建ての建物を1棟まるごとリノベーションしまして、起業家専用のシェアハウスに変えたというものになります。全部で現在32名が住んでおりまして、本当に子どもたちから60代のベテランの方まで、非常に様々な方々が住まれています。
絹: リスナーの皆さんは向日市、土地勘ありますか?最寄りの駅はどこでしたっけ?やっぱり向日市?
内: 阪急線の東向日駅です。
絹: 東向日駅から出まして、坂道をテクテクと20~25分くらい歩く。暑かったら大変です。周りには鬱蒼とした竹林があらわれてきます。決して物件としては「ああ、かなりいいわあ」というんじゃないんです。キリンビールさんの京都工場が昔ありまして、京都工場がなくなって、社員寮だった建物、4階建てのRCの昭和40年代竣工だったとお聞きしました。ちょうど私どもの会社にも同じような社員寮があるんですが、昭和の匂いがプンプンする、階段室中心、外廊下なしというタイプですね。
(「起業家シェアハウス Fespa京都 in 向日市」)
 

●条件の良い物件、というわけではありませんが…

内: そうですね。やはり入居者の方々が成長のために入居しているというのが大きな特徴でして、入居者同士が常にコミュニケーションできる仕組みが整っています。例えばフェイスブックの専用のグループがありまして、日常的に「こんなことで今、困っていて、誰かやったことある人ありませんか?」「それだったらこないだやって、こうこうこうだったよ」というように、常に事業相談をし合いながら、お互いを助け合ってお互いの事業を成功に導いていくというテーマになっています。
絹: 建物としては、昭和の香りがする古い建物なんですけど、今、32名とおっしゃいましたよね。確かこの間見せていただいた時は、1階2階が1DK?
内: そうですね。60平米です。
 
  (起業家シェアハウス Fespa京都の一室 株式会社 彩ファクトリーHPより)
絹: そんなに広くない60平米で、なんとかペアや家族がギリ住めますよと。キッチンもお風呂もトイレもプライバシーがちゃんと保てますよ。それが1階2階ですよと。それから3階4階が1ユニット、5名が入るシェアルーム、ですから5人の共同生活、それも決して大きなお部屋ではないけれども、一応鍵がかかりますと。そういう所に共に住んでいらっしゃって、お邪魔した時に素敵だなと思ったのは、コモンルームと言うか共用リビングが素敵でしたね。
内: 皆さんが自由に集まって、交流ができるスペースがあるんです。
 

●成長のためのシェアハウスとして ①ベテラン経営者メンターにいつでも相談できます

絹: ハードのみならず、ソフトウェアとしてコミュニケーションツールがバッチリありますよというのが、今のご説明でしたね。フェイスブックグループがあって、240名の起業家にいつでも相談できますよと。この中には11名のベテラン経営者メンター、実際に起業して自分の会社をやっている社長さん連中がメンターとしてついておられたり、東京と京都の入居者と過去の入居者、いわゆる先輩方とも繋がれるということで、これは心強いですね。
内: やっぱり240名に相談すると、色々な切り口のヒントが集まってきますので、すごく助かっていますね。
絹: 起業家シェアハウス、起業家育成道場、虎の穴みたいな形で32名の人たちが今、生活をしている。これはできたのはいつですか?
内: ちょうど6年前ですね。
絹: と言うと、内野さんが京都に越してこられて、向日市に6年もおられた?
内: 実は4年なんです。最初はリモート管理で、現地のハウスマネージャ―さんが現地に住みながら、私は東京にいました。当時は東京で事業をしていましたので、リモートで運営させていただいたのですが、あまりにも良い環境でしたので、私たち夫婦も京都についつい移住してきてしまったという感じです。今は夫婦で住んでいます。
絹: これは新たな情報が取れました。はじめはリモート管理をしていたけれども、ご自身が企画された案件について、「ここええやん!」みたいな、これはなかなか面白いエピソードですね。
ところで、Fespa 京都の“Fespa”って、ネーミングの由来はあるんですか?
内: “festival and passion”なんです。色々な刺激のシャワーを浴びて、お祭りのようにエキサイティングな日常を送ろうというネーミングです。
絹: 今、32名の方々が住んでいらっしゃいますけど、結構エキサイティングな毎日を送っていらっしゃると。他にもソフトウェアがありそうですね。
 

●成長のためのシェアハウスとして ②先輩経営者によるケーススタディ

内: 皆さん、積極的にイベントを開催していまして、先輩経営者の方が来てくださって、自分が0から1の一番難しい立ち上げの時期に自分がどんなアクションを起こして、どんな苦労があって、その時にどう考えて、どう選択して、今に至ったのかということも赤裸々に語っていただいています。やはり一方的に知るだけなら、本でもインターネットでもいいわけですが、納得するまで質疑応答して、なんでも聞いて、「そこがわからなかったのでもっと具体的に教えてください」みたいに、腹に落ちるまで質疑応答できるという勉強会を毎月やっているんです。
絹: リスナーの皆さん、これどっかで聞いた話じゃないですか?海外の、例えば米国のビジネススクール、経営学大学院なんかでケーススタディと呼ばれる手法で、僕自身はちゃんとした留学経験はないので、先輩経営者から聞いた話ですけど、留学すると日々叩き込まれるというやり口にそっくりではないですか(笑)。それを京都のシェアハウスでやっていると。
内: そうですね(笑)。
絹: 大学のゼミと言うか、しかもモノホンの経営者がケースを語って、「俺、失敗した時、こんなんやったんや」と。ようしかし、そんな人、連れてきましたね(笑)。
内: OBの方々はすごくこの環境を愛してくださっていて、後輩のために一肌脱ぐよと、皆さんご快諾いただけるんですよね。
絹: 32名、今住んでいらっしゃるけれども、240名超の人がコミュニケーションツールで繋がっていると書いてありました。そしてそれが月に一回の勉強会と言うか、道場と言うか、ケーススタディのゼミで切磋琢磨、ほんとにしてはりますね。
(先輩経営者による勉強会 株式会社 彩ファクトリーHPより)
 

●切磋琢磨し合った仲間との絆

内: なので本当にそこで切磋琢磨しながら、一緒に過ごした仲間というのは非常に強い絆になっていまして、そこから事業が成功して旅立った後も、一生の仲みたいになっているんです。本当に損得関係なく助け合う仲間になっていると、それが退去した方々も一番貴重な価値だったとおっしゃっていただけます。
絹: リスナーの皆さん、イメージしていただけますか。1階の外のガーデンと言うか、デッキに接続した少しだけ広めの大きなテーブルがあって、何人かが一緒に食事ができたりする共用の居間みたいな所が切磋琢磨の場になるわけですよね。その場では勉強会もあるけれども、そこでビールを飲んだり、外部の起業家と接点を持つために、手作りっぽいピザ窯もある!そしてかつてのウッドデッキは腐ってなくなったので、パレットを敷き詰めて、材料代は節約しているけれども、雰囲気は逆にいいという素敵なデッキがあります。そこで交流パーティーの画像もありますし、投資家の方やベンチャーキャピタルの方を招いて、ピッチイベントって何ですか?
(ピザ窯のあるウッドデッキでの交流 株式会社 彩ファクトリーHPより)
内: いわゆるプレゼンテーションを若手起業家がして、見込みがあれば投資していただくみたいな機会もつくっています。
絹: 6年も前から京都の向日市にこんな32名が共に暮らすシェアハウスがあるんですって。本当に知りませんでした。ごく最近まで。
そして中を見せて頂いたら、お世辞にも豪華できれいでピカピカというんじゃないんです。古い寮の、それもできる限りお金をかけないで改修してというリノベーションの上手なやり方ですから、私、建設屋の端くれですから、「こんな仕上げでお客さんに引き渡してええの?」みたいなことを思わないでもないけれども「なんかここやったら、居心地ええやろな」と思える不思議な空間なんです。
 

●他府県から海外から人を吸い寄せる場として

内: 価値観の問題ではあるんですが、やはり皆さん、設備のためというより、成長のため、どんな人と出会って、どんな会話をして、どんな刺激をもらって、自分がどう変わるか。ここに関心があって、わざわざ他府県から、人によっては海外から移住されている方も含め、この6年間で100名以上の方がお住まいになっています。
絹: 6年で100名。ちらっと伺いましたけど、海外の方の比率って、100名のうちのだいたい20%くらいとおっしゃってましたよね。
内: はい。今はコロナで来日が止まっているんですけど、その前は20%は外国人でした。外国人起業家の方は、定住せず、住所を持たずに、観光ビザの期間約3か月で、色々な国を転々としながら仕事をされる方が非常に多いんです。その方々が日本に滞在するなら、面白い起業家と交流したいということで、わざわざFespa 京都を選んで3カ月間入居いただいていました。
絹: そういう人が5人に1人いるわけですよね。そうすると交流しますやん。自然と英語使いますよね。
内: そうなんです!それがまた日本人の若手の楽しみになっていて、すごく自然な形で英語に慣れることができているんです。
絹: ですから外国の方にとっては、駅から坂道テクテク25分であろうと、周りが竹林であろうと、却ってええわということが起きています。非常に不思議な空間ではありました。
中を実際に見せていただきましたら、共同生活のためのさらに細かいノウハウがいっぱい観察できます。皆様も是非、視察を申し込まれるといい、お勧めのスポットではないかと思っています。
さて、エピソード2に入りますが、住民の横顔という形で紐解いていただけますか。
(国際色豊かな交流 株式会社 彩ファクトリーHPより)
 

■エピソード2 住民の多様な横顔と、その繋がりから広がる可能性について
●メンバーいろいろ

内: 家族で住まれている方もいらっしゃいますので、子どもたちも何名かいらっしゃって、次に大学生ですね。学生のうちに起業してみたいという方もいますし、良い就職活動をするために起業家という生き方も知ってから、会社に就職するのか、起業を選ぶのか決めたいという社会勉強の目的で入居される方もいます。若手で起業するために今準備中という方もいらっしゃいますし、起業後にまだ軌道に乗る前で死に物狂いで模索をしている方もいます。それから軌道に乗って、自分らしいライフスタイルを確立して、とても自由な生活をつくっている方もいます。上場し、従業員が1000名以上いらっしゃって、もうこの先は自分自身は成功しているので、自分が培ったものを若手に授けることが第二の人生の生きがいとして関わっていただいている、セカンドハウス利用していただいているようなベテランの経営者の方々もいらっしゃいます。
絹: なんかちょっとかっこいいなあ。セカンドハウス的にそういう所に来て、月に何回か、若い自分のかつての姿である、模索している、あがいている人たちと交流する。すごい人たちがおられますねえ。この間教えていただいたのですが、これは向日市を中心に活躍されています“LIV”さん、不動産を中心に手広くなさっている波多野さんという方がお買い求めになった。それを内野さんとの出会いで「内野さん、任すから料理してください」という形ですよね。
 

●LIVの波多野社長との出会いから

内: そうです。波多野社長が京都の若手の方々に、もっと夢を持ってチャレンジして、自分の人生を切り開いてもらいたいという強い思いがありまして、当時東京で事業をしていた私にお声掛けをいただきまして、その情熱に押されて、「私も京都でやります」と、手を挙げさせていただきました。
絹: 今、波多野社長というお名前が出ましたが、“LIV”と書いて「リブ」と読みます。波多野賢社長は、「賢」と書いて、「サトシ」さんとお読みするそうです。53歳でいらっしゃいます。本当に面白い、熱い方です。若手を育成する、野球少年たちのサポートなども一生懸命される方で、うちの会社の中堅の人物と野球での繋がりを持つ方で、存在を知ることができましたけど、“LIV”さんというのも、是非注目していただけたらと思います。
 

●Fespa京都と京都の公営住宅と

絹: この間の視察で、私自身もすごく刺激を受けたんです。実はこの時一緒にお邪魔したのは、京都市の都市計画局公営住宅管理担当課長の菱崎さんと言って、この番組のゲストとして来てくださった方でもあるのですが、菱崎さんとその部下の長谷川補佐と住宅政策課長の関岡さんという方と、あと若い方お2人だったのですが、もう質問が止まらなかったですよね。内野さんに対して。
内: そうですね。すごい情熱でうれしかったです。
絹: 公営住宅だとか、京都市の都市計画局の人がFespa 京都に魅力を感じられて、矢継ぎ早に内野さんに質問を投げかけられた。「なんでなのだろう」と不思議に思われませんでした?
内: お話をさせていただきまして、今回は起業がテーマだったのですが、それはたまたまで、やはり集まることによって、豊かさが生まれる、パワーが生まれる。そういったことが今後の環境に活かせるんじゃないかということをすごく感じました。
 

●人と人が織りなすことで生まれる可能性を考えたい

絹: 京都市は決して起業家シェアハウスというパターンを、そのまま真似しようとしているのではないようです。洛西ニュータウンだとか、公営住宅でフロアが空いてきたり、部屋が空いてきたりする。その中でFespa京都で起こっているような、ある意味切磋琢磨、助け合いみたいな、人と人が織りなすことで接触することで、良い効果が生まれるような、そんな公営住宅運営ができないかと気が付いたみたいです。
内: すごく可能性を感じるテーマだと思います。
絹: 「また内野さん、相談乗ってねえ」と言いながら、ニコニコしながら帰っていきましたね。
内: 光栄です。
絹: リスナーの皆さん、今僕、図らずも大事な事を言っちゃったかもしれません。京都市の公営住宅、あるいは京都府の公営住宅、URさんにも部屋があると思います。そして私のような中小企業、地元の建設会社も社宅・寮の古いようなもの、似たような社有財産を持っております。それの空き室を上手に活用して、ただ家賃を頂戴するのではなく、何か意味のある地域課題の解決につながらないかというようなことを、本気で行政マンが考え始めています。そしてその刺激となったのが、6年前から京都の古い寮を料理して運営している内野さんです。内野さんは京都だけではなく東京、横浜、京都、福岡に19棟476室のプロデュース実績がありますよと、内野さんの彩ファクトリーさんの御名刺には書いてあります。起業家シェアハウスだけじゃない、シングルマザーシェアハウスもあり、交流提供型のホテルもあり、英語漬けのシェアハウスもあります。
リスナーの皆さん、実は私自身もワクワクしております。同時多発的に内野さんのような存在を魅力的だと考える人たちが京都に増えてきています。ご存知のように京都市も色んな所で空家が生まれています。その空家を上手に活用することでまちが元気になるに違いない。内野さんが手掛けてこられた起業家シェアハウスFespaで蓄積されたノウハウを色んな人が真似したい。そのためにはどうしたらよいでしょう。先行している一企画者として、京都市に何かアドバイスとかないですか。
 

●キーはファシリテーションできる人の存在です

内: 今後、現場でファシリテーションできる方がいるかどうかが重要になってくると思いますので、そういった方をいかに育成していくのかだと思います。
絹: 人育てというのは難しいですよね。僕らみたいな建設屋は箱をつくりますけど、なかなかソフトウェアは苦手とします。人材を育てるには、京都市はどうするべきでしょうか。
内: 既に運営されているような環境に、教育の一環でそういった人物に住んでいただいて、肌で感じていただくことがすごく効果的だと思います。
絹: そうですね。まず住まわせろと。そして切磋琢磨の状況を肌で感じろと。あるいは助け合いの部分を。京都市は、あるいは民間人も、内野さん、波多野さんの後を追おうとしていますよ。是非リスナーの皆さんも覚えておいてくださいね。
この番組は心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力再生プロジェクト、我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。起業家シェアハウスfespa京都、ご記憶ください。そして向日市に訪ねてみる価値はあります。ワクワクドキドキできます。それでは内野さん、ありがとうございました。
内: どうもありがとうございました。
投稿日:2021/08/12

第166回 ・レンケイプレーがあたりまえに生まれるワルダクミって何?~例えば向島ニュータウン

ラジオを開く

浅: 浅田 将之 氏(社会福祉法人イエス団 愛隣館研修センター インクルーシブ社会実現部 愛隣グループホーム 主任)
杉: 菱崎 裕之 氏(京都市 都市計画局 住宅室住宅管理課長)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
    (左:浅田 将之 氏、右:菱崎 裕之 氏)
 
絹: 皆様こんにちは。こんばんはかもしれません。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
ではゲストの紹介からです。今日はお二方お招きしております。お1人目は、近くの京都市役所から来ていただきました。京都市都市計画局住宅室住宅管理課、菱崎裕之課長。菱崎さんです。よろしくお願いいたします。
菱: どうぞよろしくお願いいたします。
絹: そしてお二方目、社会福祉法人イエス団愛隣館研修センター、浅田将之さんです。
浅: よろしくお願いします。

 

■エピソード1 シンポジウムとゲストのお2人と
●タウンコレクティブについてのシンポジウムを開催しました
絹: 簡単にお2人と私の出会いをご紹介いたします。ごくごく最近、一番記憶に残っていますのは、この間の5月29日、クエスチョンビルという所で、あるシンポジウムをいたしました。「京都タウンコレクティブ化構想の実現を目指す…」という何やらややこしいタイトルのシンポジウムです。でも、このご時世で、実際に30人、ネット上で70人強、全体で108名の方が来てくださいました。その時わざわざ現地にお越しになったのが、愛隣館の浅田さんと、それからゲストスピーカーの一角でしゃべってくださったのが、ここにおられる菱崎さんです。さあ、5月29日の感想をちらっとまず菱崎さんから、お口のウォーミングアップということで、よろしくお願いいたします。
菱: はい。いやあ、当日は緊張しました。多くの人の前でしゃべるのが、あまり経験がないので…(笑)。
絹: 「いやや、いやや」言うてるのに、無理やりやらしてすみませんでした(笑)。
菱: いやあ、でもいい経験になりました。癖になりそうです(笑)。
絹: という形で軽く触れていただきましたけど、その時にそれをじっと聴衆席からご覧になっていたのが、愛隣館の浅田さんです。浅田さん、何か覚えてはること、あります?
浅: はい、まずタイトルが「タウンコレクティブ」というのに関心を持って、参加してみたいと思いました。行ってみると発表されている内容が、市営住宅を使った学生さんと地域の自治会との取組ということで、すごく勉強になりました。それともう1つ、高齢者の方へのちょっとしたお手伝いを、地域の中で支え合っておられるという取組みについても、今、自分がフィールドとしている場所でも取り組んでいけたらいいなと感じました。
 
 

●シンポジウムの、そもそものきっかけ

絹: 民間の事例は「ことらいふ」さんでしたね。
さあ、リスナーの皆さん、5月29日のシンポジウムの事をご存じない方にとってはわからなかったと思います。そこでバクっと復習を兼ねてお話しますと、企画をしたのはほとんど私でした。
京都市さんが田中宮市営住宅という伏見の市営住宅で、『空いている部屋を使って龍谷大学の学生さんに住んでもらったら自治会が元気になるのとちゃうか』という非常に面白いプロジェクト、実験的な事に取り組まれました。だからそれをすごいなと思ったんです。面白いこと、凄いことが起こっているんです。でも役所の人はおとなしいし、紳士的ですから「どうや、俺ら、すごいことやったやろ!」みたいなことは言わはりません。そこで代わりにみんなで「すごいやろ!」と言おうという会でもありました。
そしてさらに田中宮市営住宅の次に、京都市の都市計画局住宅室の連中が、勇気あるモデル実験をしたのが、ここにおられる浅田さんが関わっておられるプロジェクトです。偶然ではありません。浅田さんにも「できたら会場に来て!ネットでもいいし」とお願いしていました。
この浅田さんも熱い人で、元は上京区の福祉会で活動されていて、ものすごく地域に信用がある人です。その後、愛隣館に移られて、今度は向島ニュータウンの中の親子ペア住宅を2戸、空いている所を使って、障がい者のグループホームの運営の最前線に立っておられます。
(2021.5.29 京都タウンコレクティブ化の実現を目指すシンポジウムより)
 

●京都新聞の記事から ~ 向島ニュータウンの障がい者グループホームについて

絹: だからご両人とも縁のある人ですよね。ということで、後ほど浅田さんにも熱く語っていただきますが、手元に京都新聞6月11日金曜日、夕刊ほやほやのを持ってきていただきました。この新聞記事がなんでこんなところにあるのか、説明してください。
菱: 浅田さんも取材をたぶん受けておられまして、私も京都新聞から取材を受けております。
絹: 大きな見出しが「市営ペア住宅にグループホーム 伏見向島ニュータウンNT」と書いてあります。「空き部屋解消の一手になるか」と。これはどちらかと言うと好意的な記事ですね。
菱: そうですね。
絹: この記事の読みどころみたいな、解説を加えていただけませんか。
浅: この記事の横に「家族のように暮らせたらいいな。市営二世帯住宅グループホームに転用の妙案 ベランダで行き来できて安心」と書いています。片方では空き部屋という問題にもなってきますが、その空き部屋問題をニーズの高いグループホームへ転用ということで、ニーズを満たすためのマッチングができたのかなというところで、次の取組みへと広がっていけばいいなとは感じています。
絹: やっぱり目の付け所が違いますね。僕、記事の方ばっかり見ていて、横を見てませんでした(笑)。リスナーの皆さん、もう一回読みますね。「家族のように暮らせたらいいな。市営二世帯住宅グループホームに転用の妙案」グッドアイデアやないですか。しかもベランダで行き来ができるから安心やわと。
菱: 市営住宅の空き家を活用して、地域の課題が解決できる。本当にありがたいなと思っています。
絹: 記事を一部分だけ抜粋して読みます。
「市営住宅の空き部屋が問題となっている向島では、行政と住民、地元の福祉事業者で対策を検討、親の高齢化や死去に伴い、障がいのある人が遠方の施設に移らざるを得ないケースがあり、グループホームへの転用が提案された。」
これがいわゆる向島ニュータウンのまちづくりビジョンですね。
「向島でのペア住宅は24組中23組が空き部屋だったことに加え、部屋同士の独立性など、行き来のしやすさを兼ね備えた構造がグループホームに向いているのではないかとされた。ペア住宅を福祉住宅に転用するのは市内初となる。」
おおー、誰や、こんなことを思いついたのは。知恵者がいたんですね。そこのところにお2人とも関わっていらっしゃった?
浅: 僕は少し関わっていました。
絹: 次のエピソードでは、この市営住宅にグループホームができて、これからどうなるのか、そして実際の運営、浅田さんはビジョン委員会の時から関わっていらっしゃるので、生のエピソードをいくつか紹介いただきましょうか。
 

■エピソード2 障がい者グループホームと地域
●空き部屋活用プロジェクトの経緯

浅: 空き部屋が増加しているのは京都に限らず、日本全国で住宅の数が世帯の数より既に多くなっていると言われています。今後さらに人口が減っていくなかで、空き部屋が増えていくのではないかという危惧が一方ではありまして、向島ニュータウンにおいても例外ではなかったというところから、活用を考えられたというのが社会的な経緯になります。
絹: 僕の本職は何かご存知だと思いますが、空家空き部屋が増えて、建設屋はどうしたらいいでしょうねえ(笑)。それこそちょっと涙をにじませながらお話をお聞かせ願います(笑)。
 

●まずは地元の方々への説明会を行いました

浅: グループホームを開所するにあたって、昨年の11月ぐらいに地元の自治会の役員の方への説明をさせていただき、12月に実際にグループホームをやる1街区の中の当該の棟の住民の方への説明会を行いました。その会場に来られていた方の中にも「手伝えることがあったら言ってね」とか、「私もヘルパーの仕事をしているから頑張ってね。応援してるよ」という声もいただきながら、すごく開所に向けて励まされまして…。
絹: ええー、外野の絹川としては、今のコメントを聞いて「おおー」とか「へえー」とか、「そのエリアって民度がめちゃくちゃ高いじゃないですか」とかって思ってしまいました。
 

●あたたかく迎え入れてくださって、本当にありがたくて

浅: 必ずしも皆さんが皆さん、そのように思っていらっしゃるとは限らないのですが、中にはそういう声を掛けてくださった方があったということは僕らが勇気づけられたところです。
4月1日に開所したのですが、3月ごろに棟の周りの雑草を抜いておられる高齢の男性の方が一人いらっしゃって、「暑い中ご苦労様です。ありがとうございます」とお声を掛けましたら、「いや、4月からグループホームができると聞いたから、ちょっと気持ちよく迎えられるように、きれいにしておいてあげようと思って」と言ってくださって、グループホームのお部屋のちょうど真ん前に花壇をつくってくださって、今はきれいな花が色々咲いているんです。そういう迎え入れようとしてくださる気持ちを持って頂いている方がいるのはすごく有難いし、あたたかいなと感じました。
 
(愛隣グループホームの花壇より)
絹: なにか勇気が出ますよね。僕は建設屋の端くれとして、かつて北区で、アルツハイマーの中期くらいのお年寄り1ユニットのグループホーム併設のコーポラティブ住宅を請け負ったことがあるんです。7戸だけの小さいものですけど、無茶苦茶周りから反対されました。
わかるんです。お気持ちは。徘徊が起こったら、自分らの商店街の店の前で交通事故が起こったらどうするんだろうとかって。でもある種そういう施設は、ある層のご近所さんにとっては迷惑施設なのだなあということを思い知らされました。でも浅田さんたちの場合は、向島ニュータウンの場合はそうじゃなかったと。これはなんか素晴らしい感じですね。
浅: 本当に有難いことです。
絹: 障がい者本人さんも決定権を持って、慣れた所に暮らし続けたいという企画を京都市さんもつくってしまわれたのですものね。
菱: そうですね。地元の皆さんから非常にご理解いただいたのがありがたいですね。先ほど浅田さんからお話されたように、現地にお邪魔した時に花壇の話を聞きまして、正直、今もなんですけど思い出すだけで鳥肌が立ちました。
絹: そうですよね。鳥肌ものだし、何かゾクッと来ますよね。やっぱりうれしかったやろなあ。
浅: 本当にうれしかったですね。
絹: 僕らの世界で言うと、舗装工事って、匂いはきついし、埃も立ちますよね。でもちょっと昔の話ですけど、先輩たちによると、舗装工事をしに行くと、近所のおばあちゃんが「うちの前の道、きれいにしに来てくれてありがとう」とやかんに麦茶を入れて持って来てくれはったという、そんな時代があったそうです。そういうエピソードを思い出します。やっぱりそうなってくると建設屋冥利ですわ。すいません、いらんことを。
で、浅田さんは二ノ丸学区で自主防災?
 

●だからこそ、地域のためにお役に立ちたい…

浅: 自主防災と、あと学区の社会福祉協議会の仲間にも入れさせていただいています。地域の色んな活動を、できる範囲ではありますが協力させていただいて、僕自身が何かできることを地域に返していきたい。愛隣館としてもやっぱり地域のために喜んでいただけることを、障がいのある方だけではなく、地域住民の方に喜んでいただける活動をという思いでやらせていただいています。
絹: 浅田さんはこうやって、やることをやっておられるから反対もされへんし…。だから浅田さんだけでなく、今まで愛隣館の先輩の人たちがきっと地域でものすごい信用力を持っておられるということですね。
菱: そうですね。愛隣館さんの信用があったからこそ、皆さんもご理解いただいたのだと思います。
あ、わたし、しくじりました!番組タイトルを入れるのを忘れてました(笑)。この頃還暦を超えたら、右向いて左向いたらすぐ忘れる(笑)。
今日の番組タイトルですが、「レンケイプレーがあたりまえに生まれるワルダクミって何?~例えば向島ニュータウン」と題してお送りしております。
 

■エピソード3 タウンコレクティブのこれから
●住宅供給公社での経験から

絹: ここでもう一回、菱崎さんに5月29日にまだ言い足りなかったことがあるそうですので、お話しいただきたいと思います。実は土曜日にシンポジウムがあって、休み明けの月曜日朝いちばんに菱崎さんから電話をもらいまして、「絹川さん、テンションあがったわあ!寝られへんかったわあ」とおっしゃって、その後「もうちょっと言い足りないことがある」と。ほな、ラジオ行きましょかということで、来ていただきました(笑)。
菱崎さんの言い足りなかったことというのは、市営住宅の空き室のみならず、さらなる使い道を考えたいというワルダクミ第三弾のようです。では菱崎流のワルダクミをどうぞ!
菱: 当日、やっぱり興奮していたんでしょうねえ。ちょっとビールは飲んだんですが、やっぱり寝られなくて…(笑)。
絹: 2時ごろまで寝られなかったとおっしゃってました(笑)。
菱: 『言うことを考えてたのに、言えないで終わってしもた…』というのがありまして(笑)。というのは、これも僕もだいぶ絹川マジックにはまっているんですけど(笑)、感化されまして、私のワルダクミですけど、今、住宅管理課長として2年目なんですが、その前は住宅供給公社の調整課長ということで2年、向こうに出向していました。その時の経験からなんですけど…。
絹: ちょっとごめんなさい。リスナーの皆さんのために、菱崎さんの前職である住宅供給公社って、どんな仕事をするとこかご存知でしょうか。ちょっとだけ解説していただきましょう。
菱: 市営住宅の管理や入居の募集などを京都市から委託されて、実際にやっているところです。
絹: そういう公的な住まいに関する募集とか、管理とか。でも公営住宅の中でもバラ色だけで、何の問題もなくてというのではなくて、色々心配事も生まれるんですってね。
菱: はい。調整課長なので、苦情の対応とか、お困りごととか、そういうのがあるんですけど…。
絹: しんどい部署ですね(笑)。
 

●市営住宅の空き部屋でデイサービスとか…

菱: 地元の自治会の会長さんとお話している時に聞いた、ちょっと困ったことなんです。市営住宅も高齢化がだいぶ進んできたというので、デイサービスを利用される方が非常に多くなっています。「朝は結構多くて、いっぱいなんやわ」という話、そこにちょっとヒントがあったんです。
色んな会社が迎えに来てくれるんですけど、例えば市営住宅の空いてるところがあって、土地が空いていたら、事業者さんに来てもらったらどうなんやろうと。それなら利用される人も車に乗って行かなくても、すぐ近くなので行けるし、事業者さんも色んな所に迎えに行かないで済みます。それに例えば車のガソリンの使用量も減るし、地球にも優しいしという形で、何か空いている土地で、市営住宅の入居者の方はもちろんそうですが、市営住宅の周りの近所の方も利用していただけるような、みんなに喜ばれるような、何かできひんかなというのを、ちょっと思っています!
絹: これが菱崎さんのワルダクミ第三弾で、当日のシンポジウムで言えなかったことの一端であります。さあ、そのお話を聞いて、社会福祉法人で実際に働いていらっしゃる浅田さんはどう思われますか?
 

●通所も車を使わず、色んな送迎手段が考えられるはず

浅: ニュータウンですからたくさん空き部屋があるとは言っても、住民はたくさんいらっしゃるはずです。ところが病院であるとか、福祉施設などはニュータウンの中には限られた数しかない。そういう意味ではたくさん住民がいらっしゃる所に医療機関や福祉施設があるというのは、本当に安心できる材料になると思います。また先ほどガソリンを使わなくても済むようになるとおっしゃいましたが、別の形で何か送迎手段、徒歩で行けるとか、住民の人がそれをお手伝いすることで通所できるというのも考えて行けると楽しいなと思いましたね。
絹: 打ち合わせなしの思い付きですけど、2つの連想が、今わきました。
府庁の近所の堀川商店街、あそこも何かありましたよね。七野会さんのデイサービスセンターできてますでしょ。商店街の中に。あれや!と思って…。それと上賀茂の御園橋の西側の商店街に三輪車の自転車タクシーが、以前あの辺を走り回っていたんですが、今どうなっているのか。理事長さんがすごく頭の柔らかい方で、そんなんを導入されたわけです。そしたら向島ニュータウンの中でデイサービスの送迎の代わりに、三輪車のタクシーというのも面白いなと。
実は私のお袋も当年とって87歳で、週に一回デイサービスにお世話になっていますが、ちゃあんと迎えに来てくれはるんです。送迎の手間は大変やと思います。それから訪問看護師さんが毎朝来てくれはるんです。ラッタッタで走り回って(笑)、来て下さるので、エリアがもし集約できたら、菱崎さんがおっしゃるように、色んな事が楽になるかもしれませんね。
 

●配食サービスと安否確認…エトセトラエトセトラ

菱: 例えばですけど、配食サービスがあるとお昼、夜、行った時に食事に手を付けられてなかったら、何か異変があるのかというので、すぐに管理事務所と一緒に対応したりとかいうのもできないかなとか、そういうことを思っています。
絹: 僕、こうやって今日、菱崎さんと浅田さんに来ていただいて、こんな色んなことが飛び出すとは、実は思ってなかったけど、ある部分、5月29日にも言いましたけど、心の中で「シメシメ」と思っている自分がいるんです。
タウンコレクティブ構想って、なにかようわからんけど、要は助け合いが起こる“一緒くたの暮らし方”じゃないか。それには色んなやり方があるよねって、京都市の人も民間の人もそれぞれ独自に工夫してモデル的な実験をやっておられるわけです。「これはみんなで寄ってたかったら、また色んな事が起こるで!」みたいな、そんな感覚がして仕方がありません。
こうやって菱崎さんに来ていただいたら、「言い残したことがある!」って、次なるワルダクミのアイデアが出てくるわけでしょ(笑)。そして浅田さんみたいな福祉の業界のプロが聞かはったら、それに肉付けしてできるかもしれない。それを聞いた絹川くんは「京都府の府営住宅でもある堀川商店街にも似たようなものがあるで。住宅の下やった」と。「そういえばうちも民間やけど、7戸のコーポラティブアパートの一階がグループホームやった」とか、やっぱり近いのっていいかもしれない。どう思われます?
浅: とってもいいと思います。やっぱり住民にとっても京都市にとっても事業者にとっても、みんなが「これ、できてよかったな」と思えるようなことをアイデアを出しながら考えていけたらいいなと。そういうワルダクミしたいなと思いますね。
絹: ワルダクミという言葉、今日は菱崎さんから出してもらいましたけど、僕も好きです。カッコつきのワルダクミね。ほんまのブラックな悪巧みと違って、なんかにっこりできるような…。今日、菱崎さんが持ってこられたホヤホヤの京都新聞の夕刊のところをもう一回読みますね。
「愛隣館の平田義館長は、利用者には自立心が芽生え、地元の人も新しい仲間という雰囲気で迎えてくれている。空き部屋の活用に役立ててうれしいと話されています。京都市の住宅管理課は向島での運用がうまくいくか見定め、今後の他の地域でもペア住宅の空き室活用に活かせないか検討している」
 

●夢は、言わんと始まりません

絹: と、言っている舌の根の乾かぬ内に、その先のワルダクミまで考えてますやん(笑)。「そんなんラジオで言うていいのか」「いやあ、妄想レベルや、夢や、それでええやん」と(笑)。
菱: 言わんと始まりませんから。
絹: そう、口にすることがいかに大事か。シンポジウムでも言いましたけど、私の妄想を口にしたら、みんなが応援して関係のある人を呼んできてくれて、なんと108人集まったんです。
皆様いかがでしたでしょうか。京都の中には本当に熱い方々がおられます。そうした方々の存在に気が付いた時は「おおきに!がんばってな!」と声を掛けるのも、我々一般市民の役割かもしれません。是非ご注目ください。愛隣館、そして京都市の向島ニュータウングループホームプロジェクトです。
この番組は心を建てる公成建設の協力と、我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。菱崎さん、浅田さん、ありがとうございました。
両: ありがとうございました。
投稿日:2021/07/12

第165回 ・住み続けて1年、本音で語る3L APRTMENT PROJECT

ラジオを開く

三: 三木 俊和 氏(有限責任事業組合まちとしごと総合研究所 グローカル・シンカー)
 3L APARTMENT PROJECT コーディネーター  
悠: 伊藤 悠希 氏(龍谷大学 政策学部4年生)
朱: 伊藤 朱音 氏(龍谷大学 法学部3年生)
杉: 杉山 有紀 氏(京都市 都市計画局 住宅室住宅管理課)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
伊藤 朱音 氏伊藤 悠希 氏三木 俊和 氏杉山 有紀 氏
絹: 皆様こんにちは。こんばんはかもしれません。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。今回は、2月オンエアした「3L APARTMENT」の杉山有紀さんをメインゲストに招聘しての続きです。タイトルは「住み続けて1年、本音で語る3L APRTMENT PROJECT」と題してお送りいたします。それでは本日のゲスト、4方おられます。いつものように他己紹介から行きますよ。まずは龍谷大学の政策学部の伊藤悠希さんと、法学部の伊藤朱音さん、偶然伊藤さんだけど兄妹ではないんだよという方々です。では伊藤朱音さん、伊藤悠希さんとはいかなる人物ぞ、短く述べよ。
朱: 伊藤悠希さんは、一言で言うと、本当にまじめな人という感じですね。
絹: ザ・真面目。政策学部4年生、伊藤悠希さんです。では今度は入れ替わって悠希さんが三木さんを紹介します
悠: 有限責任事業組合まちとしごと総合研究所の三木俊和さん。僕たちの3L APARTMENT PROJECTの行政と大学の間として僕たちのサポートをしてくださっている、とても心強い方です。
絹: 三木俊和さんです。実は私とは今日お会いするのは、リアルでは初めてなのですが、オンラインではモニターの端っこで何度かお会いしております。注目していた方です。
三: ありがとうございます。私が伊藤朱音さんを紹介したいと思います。3L APARTMENTは地域と繋がってやっていくということで、現在の入居者としては男子が多いのですが、伊藤朱音さんは女子の入居者さんということで暮らしていただいています。
絹: 確か今、6名やったっけ?
三: 新しい人が入ってくれて7名になりました。
絹: また増えてるやん!7分の1の紅一点。
三: 学生の間からは、何の話題を振っても笑顔でニコニコしてくれるので、自分がすごい面白い人になったんじゃないかと(笑)。「あかねん」と呼んでいるんですが、「あかねん」と喋っているとこっちが元気をもらえるような、そんな学生さんですね。
絹: ということで、ゲストの紹介は軽くドタバタと(笑)。この番組のヘビーなリスナーの方なら、2月放送を思い出してくださるかもしれません。さりながら一応、過程として「3L APARTMENT PROJECTってなあに?」ということを、三木さんに復習の意味で軽く語っていただきます。
(三木 俊和 氏 有限責任事業組合まちとしごと総合研究所より転載)
 

復習ですー3L APARTMENTとは

三: はい、ありがとうございます。前回、京都市の杉山さんの方からお話していただいているのですが、私の目線から3Lをお話したいと思います。3L APARTMENTという事業では、大学生の皆さんたちが、ともすれば学校と駅、実家との往復で、「大学で伏見に来てくれているんだけど(龍谷大学さんなので)、伏見に触れることなく結局卒業しちゃったな」という声があったりしまして…。せっかく伏見の大学に来たのだから、その地域に住んで、地域の人たちと触れ合うことで、ただそこに下宿したということではなく、そのまちに住んだ、まちで暮らしたということを感じながら、卒業していってほしいなという願いが地域の思いとしてあるわけです。そういうなかで3L APARTMENT事業は、大学生に京都市の市営住宅に比較的安価に住んでいただきながら、地域の自治会の活性化にも寄与していただくというプロジェクトになります。
絹: 短くまとめてくださって、ありがとうございます。3L APARTMENTの存在を最近知りまして、会う人ごとに僕、おしゃべりしているんです。そしたら初めの一言、「安っ!」て(笑)。京都市の市長さんと龍谷大学の学長さんが握手されている写真を見ました。三木さんが「まちに住む」というキーワードをくださいましたが、「キャンパスは大学の中だけじゃない。まちこそキャンパス!フィールドワークやれ!」という感じの大学の後押しを感じてしまいます。さあ、ざくっと3L APARTMENTの概要説明を三木さんにしていただきまして、それではエピソード1に入ります。この担当は実際に住んでいる学生お2人にしていただきましょう。ということでトークテーマはお2人に丸投げしますので、好きにしゃべって(笑)。
3L APARTMENTの舞台「田中宮市営住宅」 ホームページより転載)
 

■エピソード1 3L APARTMENTに住んで – 感じたこと、活動、えとせとら

●住もうと思ったきっかけ
絹: まずは学生2人の自己紹介とか、例えばなんでこんなところに好き好んで住んでいるの?とか、なんでそのパーカー、カッコイイ田中野宮3L APARTMENTのパーカーをお揃いで着てるの?とか、色んなこと話して!
悠: では早速、自己紹介から改めまして、龍谷大学政策学部新4回生の伊藤悠希です。
朱: 法学部新3回生の伊藤朱音です。よろしくお願いします。
絹: いきなり絡んでしまいますが、政策学部ならなるほどと、公共政策勉強するからこういうことに興味があるのかなあと自然に思ったんですけど、法学部で「お、これは珍し!」と。朱音さんの行動についても、後で紐解いていただけたらうれしいです。
悠: 住もうと思ったきっかけですが、ちょうど大学2年生の時、一人暮らしをすごくしたい時期ってあるじゃないですか。で、すごい一人暮らししたいなと思っていた時に、ただやっぱりお金がないので、なかなか住めないなと思っていたら、以前から3Lで住まれている先輩がいるんですけど、その人と共通の知り合いがいて、「3Lていうのがあるんやけど、安く住めるし、何よりも地域で学んだりもできて、政策学部の活動とも合っていると思うねんけど、どう?」みたいな話があって、「面白そうやな」というので…。
絹: そこで乗ったわけやね。ということはその先輩のことをあなたは信用していて、ちょっぴり尊敬していたりして…。
悠: そうですね。すごい尊敬している先輩で…。
絹: 朱音さんはどうして住もうと思ったの?
朱: 私は伊藤さんとは違って全然知り合いもおらずという感じだったんですけど、友人が学校の連絡をちゃんと見る子で、その連絡の中に、3Lの入居者募集がありました。その募集を見た友人から「自分一人暮らししたいって言ってたんなら、こういうのやってみたら?」みたいな感じで言われたことがきっかけなんです。
絹: 連絡をしっかり見る友達がいるということは、あんたはあんまり見ないということやな(笑)。
朱: 恥ずかしながらそうですね(笑)。でもそれがきっかけなんですけど、実際本当に「住みたい!」となったのは、自分は地元が寺内町と言いますか、結構お寺とかが多くて、京都もお寺が多いという土地柄を知っていたので、そこに下宿生としてではなく、本当に地域にいる人としてお祭りとか、催事なんかに関わりたいなと思ったので、そういう取組みをしているのなら「やってみたいな」ということで参加しました。
絹: 地元は寺内町とおっしゃったけど、京都の人ではないんやね?
朱: 京都ではないです。大阪です。
絹: 奇特な人やなあ。今のコメントなんかねえ。催事とか地元の行事に関わってみたいって、かつての学生のステレオタイプのイメージと今ここにお2人おられる方と違っているって、おっちゃんは感じます。「関わらんでええわ」みたいな、もっとクールで、最短距離で卒業だけ、単位だけ取れたらええねんみたいな、そんなタイプが多いのかなと思っていたら、どうやらお二方は違いますよねえ。リスナーの皆さん、学生気質が古いイメージとは変化しているようでございます。というのが私の観察です。
 

●住んでみたら、めっちゃ楽しかった!

絹: さあ、令和2年度の学生さんたちが行った取組みとか、実際に住んでみてどう?
悠: 率直な感想として、住んでみて、めっちゃ楽しいです。何がと言うと、学生同士すごい仲もいいんですよ。7人いるんですけど、学生同士、横のつながりもあるので、実際に地域の活動に参加する時も楽しい雰囲気で、学生同士も地域との関係もその雰囲気が醸し出されて…。
絹: ワンフロアに固まって7人が住んでいるわけ?
悠: そうですね。
絹: 1つの部屋に2人が住んでいるような寮的な感じではなくて、独立した部屋が7部屋あるわけ?
悠: そうですね。
絹: 寮に近いけど、でも周りに大人の人もいっぱい住んでるみたいな。朱音さんはどうですか?
朱: 本当に同じ意見なんですけど、めっちゃ楽しいんです。女の子一人で結構不安だったんですけど、大学生になって部活くらいの仲の良さがあるのは、ただ下宿しているだけでは味わえないかなとすごく思います。
絹: 素朴な疑問で、今、部活という言葉が出ましたけど、部活とか他の活動はやっておられる?
朱: 私は大学生になってはやってないです。
悠: 僕もゼミ活動だけで。
絹: 研究室とか、ゼミとかはあるわけやね。了解です。
 

●火の用心活動をやりました

絹: 令和2年の学生がやった取組みって、結構あるの?
悠: いくつか学生が取り組んだ活動があるんですけど、1つの例としては「火の用心」の活動です。実際に一月の夜、「火の用心!」と言って学生で管内の棟の周りをまわって呼びかけました。
絹: 「火のよーじん!」ポン!みたいなことやるんやね。かつてこのチョビット推進室に、消防局の今の消防局長さんがゲストで来られて、本職の大きな拍子木を持ってきて、ここでバチンとやってくれはった(笑)。その山内さんに成り代わって「京都の防火にお手伝いいただきまして、ありがとうございます。」と言わなあかんな(笑)。ありがとう。他には?
(火の用心! 3L  APARTMENTホームページより転載)
 

●子どもたちとあいさつ運動

朱: 「あいさつ運動」と言って、小学生の朝の登校時間に起きて、自分たちも「おはよう!」「おはよう!」みたいな感じであいさつをするという…。
絹: 朝の何時ごろ?
朱: 朝の7時45分から登校までの時間をちょっとやるという感じです。
絹: ほう。これもごめんね、ステレオタイプで。大学生は夜型、寝坊助、昼過ぎに起きだしてという感じですが。これはいかんね、ステレオタイプで。早起きやんね?
悠: そうですね。朝起きるのはちょっと大変やなと思う時もあるんですけど(笑)。
絹: ほう。見守り活動なんかもなさっていると。それはやっぱり親御さんたちや近所の人たちからしたら評判いいでしょ?
朱: 前までは毎朝子どもたちにお母さんがついていたりしていたんですけど、もうそのまま「大学生がおるからいいや」みたいな感じで、こっちに預けてくれたりみたいなこともあって。
絹: 実は私、自分自身では見守り活動をしたことがなくて、イメージが持ちにくいんですけど、実際に登校時に送り出す、どんなことを見守り活動というのか、もう少し平仮名にしていただけますか?
朱: 見守り活動と言うか、完全にしゃべってるという感じです。来た子たちとしゃべって…。来た子たちは集団登校するんですよ。その集団登校の集まる時間に行って、お見送りするという感じです。
絹: じゃあ集団登校というのも、みんながちょっとずつばらけて集合場所に来るわけやね。それまでに立ち話したりして、朝の子どもたちをほぐしてあげているわけや。精神的に。
朱: 私もほぐされています(笑)。だいぶ。
絹: これも黒子的な動きやけど、すごい精神衛生的にも子どもたちにはいいかもしれませんねぇ。ではエピソード2へそろそろ移ります。エピソード2は、3Lはただ学生が住むわけじゃない!学生と地域を支える三木さんについてということで、お話を進めましょう。杉山さんも入ってください。それでは三木さん、杉山さん、エピソード2をお願いします。
(朝のお見送り風景 3L APARTMENTホームページより転載)
 

■エピソード2 コーディネーターの役割と支える思い

●接着剤としての役割と、全体を見渡してのサポートと
三: 私は京都市さんと龍谷大学さんと自治会さんが取り組んでいる3L APARTMENTのプロジェクトにおいて、三者をつなげ、学生さんの日常の暮らしをサポートする取組みをさせていただいています。
絹: 三木さんは接着剤と言うか、糊と言うか、握手をしていただくのを導いている人、そんな感じですね。
三: そんな風にポジティブな言い方をしていただけると嬉しいです(笑)。
絹: コーディネーターの役割、そういう糊みたいな人がなんで必要なんでしょうねえ。杉山さん。
杉: やっぱり地域が学生に対して言いづらい事が出てきたり、学生も地域に対してどうしていいか悩むところも出てくると思いますし、行政や大学だけではカバーできない範囲というのが、どうしても実際に住むとなると出てきてしまうんですね。そういったところを三木さんにカバーしていただいたり、このプロジェクト全体を支えてくださっているという感じですね。
絹: リスナーの皆さん、今、三木さんと杉山さんにご登場いただいて、なぜコーディネートをする裏方の三木さんが必要なのということをお話しいただきましたけど、ここ、たぶん赤線の二重線を引いていただく所だと思います(笑)。自治会長である岡田会長、アツい方であります。この方もそういう役割、学生を守るというお立場でものすごくお気を遣われたというエピソードをお聞きしておりますが、全くそのカウンターパートとして、三木俊和さん(まちとしごと総合研究所)がいらっしゃいます。もともと京都市内に市営住宅が90前後、増えたり減ったりしておりますが、それに3L APARTMENT的な地域共生型集合住宅、コミュニティ生成型とも説明していいかもしれません。そういうプロジェクトを広げるのが杉山有紀さんの野望ですものね。
杉: そうですね。広げていきたいと思っています。
有限責任事業組合まちとしごと総合研究所 ロゴ)
 

●大学のフィールドワークが増えて…

絹: 最近、地域と学生の連携が増えているらしいぜ、というタレコミがございますが、どうですか?
三: 大学と地域の連携というのが、言われて久しくなってきまして、先ほど絹川さんが言われたように、昔の大学生と比べて、今の大学生って、比較的遊んでいる時間がなくなっちゃったところがあるのかなと思います。僕が現役の大学生だった時は、社会的なことを考えたい学生がNPOとかに電話をかけて、「何か関わるボランティアとか、インターンとかやってないですかね」みたいに相談に行って、「良かったら入力のお手伝いとかしてくれる?」と自分から何とか切り開かないと、そういう所につながれなかったんです。今となってはもはや授業で「この地域に入って、こういうことをします」という連携が行われつつあります。
絹: ああ、大学も変わったんだ。特に龍谷って、そういう雰囲気あるの?公共政策の悠希さん。
悠: そうですね。大学ではそういう授業がいっぱいあります。
三: そういうなかで、かなり地域に大学生たちが出てきてくださっているんですが、プログラムを組んで出てきてくださり、丁寧にやられる所はいいんですけど、やっぱり地域の中に学生がボンと入れば、きっと学ぶんだとか、学生と地域がガチっとやれば学ぶんだというところが…。
絹: そんなわけないようねえというのが、ありますよね。やっぱり糊と言いましたけど、美しいバラ色の話だけではなくて、トラブルの種とか、こんなはずじゃなかったと胸を痛めたりというケースに至らないように、周りの大人たちが学生さんを守る、あるいは地域を守るという立場の人はやっぱり要りますよね。
 

●守り過ぎず、ほったらかし過ぎず

三: そうですね。しかも難しいのは、今度は過度に大学生たちを守り過ぎてしまうと、貴重な経験、例えば地域とある意味良い感じでぶつかる事自体はすごい学びだと思うんです。もちろん取り返しのつかないようなぶつかり方はダメですが…。ですから守り過ぎず、ほったらかし過ぎずという、このバランスを取るということですね(笑)。
絹: ちょっと見守りつつ、痛い目にも遭わせてやると(笑)。
三: 色んな経験が大事だと思いますね。やっぱり。
絹: でもねえ、今のお話を聞いてね。そういうプロセスを通して社会に出てくる学生さん、うちの会社やったら欲しいと思うわ。たぶんね、周りの京都のリーディングカンパニーが企業訪問した時に「3L APARTMENT」と言ったとたん、「ああ、来てください!」とか、役員面接通るんじゃないかと。半分冗談で半分本気ですけど、それってすごく企業側にとっても「うん!」と思う事だと思います。さあ、何か言い残したことないですか?
 

●緩やかに住みながら繋いでいく

三: 地域という文脈の中で言うと、学生のパートナーとして大切な地域の自治会さんたちですね。なかなか難しいと思うんですが、自治会って、おじいちゃんおばあちゃんがやってくれて、ご夫婦は働いて、子どもたちは行事にお客さんとして参加するということがだいぶ増えていると思うんです。もはや自治会と文化とか、あるいはお祭り文化といったものは、あえて教えないといけなかったり、一人暮らしの様子も教えないといけないわけです。これまでは肌感覚で伝わってきたような若い方々への継承みたいなものを、どう肌感覚性を失わずに緩やかに繋いでいくかということを、住みながらやっていくというのが、コンセプトの柱として大事なのではないかと思っています。
絹: リスナーの皆さん、大切なキーワードをいただきました。緩やかに住みながら繋いでいく。ここも二重線引いてくださいね。大切なキーワードをちょうだいしました。リスナーの皆さん、今までお聞きになっていかがですか。何か聞いていてうれしいです。学生たちが地域に入ってそこで学ぶことを良しとする。ただそれを入って一緒に暮らしているのではなくて、サポートしようという大人たちが周りにいる。しかも京都市さんがちゃんと「見守るぜ」というスタンスで、これは実験的なプロジェクトが2年間続いているんですよね。
杉: そうですね。ちょうど2年ですね。
絹: 「だけじゃなくて、この先もあるぜ」と有紀さんは野望として公営住宅に広げていくという話をされています。最後、有紀さんに渡してPVやっちゃってください。
 

●3L APARTMENTのプロモーションビデオ、作成しました!

杉: はい。ここでアピールさせていただきたいのですが、今の3L APRTMENT PROJECTのPVを作成しまして、ちょうど3Lのフェイスブックのアカウントがあるのですが、そこでそのショートバージョンを公開しております。また是非そちらも見ていただきたいです。さらにドキュメンタリービデオでちょっと長編の30分弱くらいの映像も今順次公開に向けて、準備をしていますので…。
絹: 僕、できたてほやほやのそれを見せていただきました。感動的!力が入っています!京都市一生懸命作っています。写っている学生さんたちもかっこいい!ちょっと褒めすぎですけど、本当に素敵です。
杉: 是非是非見ていただきたいので、3L APRTMENTのフェイスブックをフォローしていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
絹: ということで、終わりになっちゃいました。皆さん、さよならあ!
全: どうもありがとうございました。
   
(3L APARTMENTオリジナルストーリーのショートムービーはこちら
(3L APARTMENTロングインタビュームービーはこちら
投稿日:2021/04/09
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