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第190回 ・延べ15人の子どもが参加!~町家改修・誰でも左官workshp…
投稿日:2023/09/19
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第189回 ・京都に若者子育て世帯が住む!まずは洛西から一気呵成に~「洛西SAIKO Project」
第188回 ・路地の∞の可能性~新たなmain streamとして
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森: | 森重 幸子 氏(京都美術工芸大学 博士(工学)・一級建築士 建築学部建築学科教授) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
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(森重 幸子 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをお伝えしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、本日のゲスト紹介です。妙齢のご婦人をお呼びいたしました。京都美術工芸大学の建築学部の教授であらせられる森重幸子先生をお呼びいたしました。森重先生、よろしくお願いいたします。 |
森: | はい、よろしくお願いいたします。 |
絹: | 手元の資料で、先生の軽いプロフィール紹介をさせていただきます。京都大学工学部建築学科のご卒業です。そして同大学院の工学研究科を終了されて、設計組織アモルフという設計事務所で5年いらっしゃいました。たぶんこの5年間、思いっきりキツイ5年間だと思いますが、図面に埋もれていたという時期を過ごされた後に、もう一度大学に戻っていらっしゃいます。 先ほどの打ち合わせで、「そこで初めて路地の研究に接したのよ」とおっしゃっていました。先生の研究テーマのキーワードですけれども、「居住空間」「町家細街路」「歴史的市街地」「子育て住環境」「建築関連法規制度」等々であります。森重先生、この番組はゲスト使いが荒いと言ってませんでしたね(笑)。 |
森: | 今、聞きました(笑)。 |
絹: | こういう番組です(笑)。今日の番組タイトルとテーマをゲストの森重先生に言わせてしまおうと、今思いつきました。では先生、よろしくお願いします。 |
森: | 先ほどちょっとご相談しながら決めたのですが、今日のテーマ、「路地の再生の∞の可能性~新たなmainstreamとして」というふうにしたいと思います。よろしくお願いします。 |
絹: | ありがとうございます。「路地って、メインストリームになるで」という含意でございます。 それでは森重先生、エピソード1として、先生の研究テーマとか、自己紹介をさらに膨らませて頂きたいと思います。さあ、リスナーの皆さん、どういうお話が聞けますか、ご期待ください。 |
■エピソード1 路地の再発見とその魅力 |
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●歴史的なまちの奥深さに惹かれて | |
森: | ではちょっと自己紹介をさせてもらえたらと思います。私自身、今ご紹介いただいたように、路地や町家の研究を、ここ最近はずっとしているのですが、もともとは北摂の郊外のニュータウンで生まれ育ちまして、ニュータウンですので道と言えば4mはあるような…。 |
絹: | 北摂? |
森: | 高槻市の北の方です。そこに成型の区画がずっと並んでいて、戸建てのお家や団地が建っているような所で生まれ育っていまして…。 |
絹: | 京都で言えば洛西ニュータウンの戸建ての所を想像すれば近いですか? |
森: | そうだと思います。遊ぶと言えば公園か、家の前の道みたいな環境でずっと過ごしてきました。ですので路地に生まれ育ったわけではありませんが、研究しながら改めて、こんな面白いというか、こんな魅力的な場所があるのか、歴史的なまちというのは、本当に奥深いなと思って、惹きつけられたところがあります。 |
●まち歩きを大切にしています |
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絹: | 先生の大学の学生さん向けの研究室紹介でも、僕の好きな言葉が躍っておりまして、「まち歩き」。僕の年代の、まちづくりというキーワードに引っぱられて仲良くなった人たちは、「まち歩き」がすごく好きな人が多いんです。まちを歩くことで得られる気づきというのでしょうか、我がまちの事を歩いてみるまでわからなかったことが、最近でもありました。だから森重研究室は学生さんとともに、実際にフィールドワークと言うか、まちを歩くことから大切にされているようなフシがありますね。 |
森: | そうですね。私自身も振り返ってみると、大学生の時、まだ路地の研究はしてなかったので、京都で大学生活を過ごしていたのに、あんまりまちを歩いていなかったなというのは自分の反省なのです。今、私の研究室に来てもらう学生さんは、住宅に興味のある学生さんが多くて、しかも今私のおります大学は本当にまちなかにキャンパスがあるので、少し歩くと本当にまちの様子が見られるようなまち歩きができるのです。 |
絹: | 京都美術工芸大学は川端七条上がるですね。 |
森: | 川端沿いにあります。でも京阪の駅がすぐ近くですし、京都駅も近いので、電車に乗ってすぐ帰ってしまう学生さんは、本当に周りのことを知らない事もあります。でも特に私のゼミに来る学生さんには、京都のまちがどんな風になっているのか、実態として見られるので、一緒に歩いて回ることをよくやっています。自己紹介のはずが横道に逸れてしまいましたね(笑)。 |
●路地はワンダーに溢れた世界 |
森: | そういう郊外ニュータウンで生まれ育ったのですが、大学で建築を勉強して、設計が好きだったので、設計の実務を覚えたいと思い、5年ほど設計事務所で、本当に先ほどおっしゃっていただいたように、ものすごく充実した、密度の濃い、楽しい5年間を過ごして、その後もう一度大学に戻りました。大学に戻ってから、ずっとお世話になっている高田光雄先生の研究室で、学生さんと一緒に路地の研究をするようになりました。そこでこんなワンダーに溢れた世界があるんだなというのを、改めて気づいたという感じですね。 |
絹: | 改めて気づいたと今、おっしゃいましたが、京都の住人と言うか、長いこと京都に住んでいる人間も実はそのことに気が付いていない人が、一定数どころか、結構たくさんいるかもしれませんね。なんか、ワンダーという言葉が出ましたね。 |
森: | 実際、調査をしていますと、やはり歴史が深いというのもあるので、実際お住まいになっている方自身も、良い面と課題を抱えている面と両方あるんだなということも思っております。 研究としては、まずはそもそもどのエリアにどんな路地があるのかというところ、例えば西陣や田の字地区に袋地が多いと。また西陣や朱雀エリアなどには通り抜けが多いという風な、場所によって少しずつ路地の性質が違うわけです。そういう路地に対して、建築基準法上、元々制限がありましたので、手を入れられずに空き家になったり、老朽化してしまうことも、これまでは問題としてありました。 |
●京都には様々な路地があります |
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絹: | ちょっと復習させてください。袋地が多いのはどこですか? |
森: | 田の字地区はやはり袋地が多いですね。碁盤の目に入っていくような短いものが。 |
絹: | 路地と言っても色々パターンがあるよと。袋地が多い所、それから通り抜けできる路地。 |
森: | 大正や昭和のあたりに京都のまちが拡大していきますけれども、いわゆる御土居から少し外側に拡がっていくエリアに、通り抜けられる道が多かったりしますね。 |
絹: | 路地にもいろいろあるよということですね。 そしてまちなかを歩くなかで、路地を歩いてみて、ワンダーというか、「わあ、すご!」と感じられたと。例えばどんなワンダーをお感じになったか、教えていただけますか。 |
●路地に入ってみると、思いもよらない景色が広がって |
森: | あの狭い道を歩いていると、急に風景が変ったりとか、急に大きな木が突然あったりとか、植木鉢とかそういったものが色々出ているというところや、お地蔵さんはもちろん、お稲荷さんだったり、「あ、こんなところにこんな」というものがあって、そこに普段から人の息づかいがある。入ってみないと気づかないというか、表の道を歩いていたら通り過ぎてしまうような所も、入ってみると思いもよらない景色があるというのが、本当に…。 |
絹: | そうですねえ。市内でも車で移動して通り過ぎているだけだと、細街路の中、空気は肌ではわかりませんよね。入り込んでみて、「えらいここ居心地がいい、こんな道通るの初めて」みたいなことありますものね。 |
●生活空間だからこその魅力 |
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森: | かと言って、外からの人がどんどん入って行っていいわけでもない。やはり生活空間としてある所なので、お住まいの方がいらっしゃって、そういう場所が使われているという状態がまちとして魅力的なところだと思うので、特に今、観光客の方々がたくさんいらっしゃる時に…。 |
絹: | 「ズカズカと入っていい場所ではないのをわかってる?」みたいな空気感と、かつてオーバーツーリズムが危惧された時には、路地の入口に、観光客向けに「ここで写真を撮らないで」というメッセージを出されている所もありました。だから「すみません、こそっと通るので、静かに通るので、通らせてください」みたいな姿勢が要るのかもしれませんね。 |
森: | ちょうど都市空間から繋がっている場所ということで、都市に奥行きを与えてくれる魅力的な場所なのです。一方でパブリックとプライベートの境目と言うか、中間的な場所で、生活空間であることがやはり魅力的なところかなと思うので、そういうのを大事にしながらというのは重要だと思います。 |
絹: | 自己紹介のはずが、私が不規則な質問を発するものですから、横道に逸れてしまいましたが(笑)。手元の資料の膏薬の辻子、私も好きな場所なんですが、ここについて何かコメントありますでしょうか。 |
■エピソード2 路地空間を守るためのルールづくり |
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●膏薬の辻子をご存知ですか? | |
森: | 研究しながら、実際に路地再生の改修のプロジェクトに関わっております。今言っていただいた膏薬の辻子のような路地というか、狭い道、辻子のまちのまちづくり活動にも関わらせていただいて、長く、もう10年以上通っているような所です。 |
絹: | リスナーの皆さん、膏薬の辻子って土地勘ありますか?何て説明しましょう? |
森: | 四条烏丸の少し西側でして、新町と西洞院の間、四条通に直接つながっている、四条から綾小路にかける通りです。狭い道の中でも、特に古い歴史のある平安時代の終わりくらいからあると言われる道です。そこが四条通に直接面しているので、元々高さ制限が31mの区画にすっぽりと含まれている状態だったんです。ただその狭い道に面しては、町家、長屋が軒を連ねて、すごく素敵な町並みが残っている場所だったんです。そこが31mの高さ制限ですと、外側の道と一体になって、31mいっぱいの建物が建ってしまう。元々45mが31mに下がったのですが、それでも31m、10階建てが建てられる区域になっていまして、なんとか二階建の町家が並んでいる所には、それに合わせたまちのルールがなんとかできないかということに取り組んでいまして…。 |
絹: | それが地区計画と呼ばれる手法なのですね? |
森: | そうです。 |
絹: | こういう都市計画の用語をご存じないリスナーのために、あえてこの地区計画というものを説明すると、どうなりますでしょう。 |
●地区計画とは、その地域だけのルールづくりです |
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森: | 建築基準法上は都市計画と連動して高さが決まっているのですが、地区計画のエリアを決め、その地区だけ特別に高さ制限なり建物の形態の制限を変えるということができるのです。 |
絹: | その用件で必要なのは、地域の人たちの合意。 |
森: | 色んな手法があるのですが、京都の場合は地権者の方皆さんに納得いただいてということが必要です。そのうえで京都市が条例を設けて、都市計画審議会で審議をした結果、OKが出ると拘束力がある形でそこだけのルールができるというものです。 |
絹: | それが10年かけてできてきたおかげで大変素敵な膏薬の辻子空間が残っていますし、一般の人たちが入れるような色んなお店もできてきているようです。 |
森: | 31mだったのが、今は12mまで高さ制限が下がったということと、道が前までは4mに広げないといけない状態だったのが、2.7mで3項道路に指定されています。 |
絹: | 3項道路、ちょっと専門的になってしまいますが、押さえておきたいところです。4mに広げなければいけなかったのが、2.7mでオーケーにしようと。 それで私、道路建設業協会の会員の立場から言いますと、膏薬の辻子の舗装について提案をいたしまして、御影石風(タイトルがあまりよくないのですが)、保水性舗装で、アスファルトでつくるのだけれども、セメントミルクを注入して保水材を入れているがために、石畳にちょっと見えるけれども、石ほど高くなくて、保水材が入っているので、打ち水をした水が浸み込んで、それが気化熱を奪って、夏の間少し涼しくなるみたいな、そういう機能の舗装を施した場所なんですよね。 |
森: | そうです、そうです! |
絹: | それに我が道路建設業協会の技術積算委員会がタッチしています。門川市長、好きそうですものね、打ち水(笑)。 |
森: | 舗装記念事業の時も市長が来て下さって、歩き初めをしていただきました。 |
絹: | そういう色んな路地の研究に関わってらっしゃる森重先生ですが、無限の可能性のあたりをお話しいただけますでしょうか。 |
■エピソード3 路地の再生による無限の可能性 |
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●路地の再生とは ― 繋げたり、隣に抜けたり | |
森: | 元々町家は、通り庭があって、部屋が並んでいて、それによってすごくフレキシブルに使えるようになっています。路地再生というのは、路地に沿って複数のお宅を一体的に計画して新しく使うことをそう呼んでいて、そうすると路地を介して複数のおうちを一体的に繋いだり、隣に抜けられるようにしてみたり、本当に色んな使い方の可能性がでてくるわけです。実際にそういったことをされている事例が、このところ増えていて、最近も記事に書いたりしております。本当にどんどん路地や町家がなくなっていくのですが、是非そうしないで、無限の可能性のある資産として、うまく使っていくことができるんじゃないかと思っています。 |
絹: | 色んな可能性を秘めた路地再生の事例、パターンがたくさんあるよと。その中でも代表的なものをご紹介していただけませんか。 |
●“五条坂なかにわ路地”の事例 |
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森: | 私自身が関わってさせていただいたのが、“五条坂なかにわ路地”です。こちらは本当に袋地なのですが、元々環境条件の良い所で、それをうまく使って子育て世帯が新たに住んで、路地の良さを活かしながら子どもが遊んでいてというふうな、世代を超えて繋がっていくという事例ですね。 |
絹: | なかなか言葉で表現しにくい部分があるのですが、かつては袋地の奥や路地の奥は再生はムリ、潰して駐車場にしたらとか、あるいは新しく建て替えるしかないよというのが、我々建設屋の常識だった時代があります。 これ触れるとややこしいのですが、細街路条例という2012年以降の条例が色々整備されていくことで、今先生がおっしゃったような路地の再生に色んな可能性が出てきたよと。それが先生の研究テーマの中心の1つでもある。ですから路地に注目して!というところですよね。 もうちょっとこの辺の無限の可能性について、ご説明いただけますか。路地を伸ばす、繋げるとか。 |
●“もみじの小路”の事例 |
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森: | 例えば『京都だより』でもご紹介させていただいている“もみじの小路”、これは京町家再生研究会の皆さんがされている事例なのですが、単に袋地を繋ぐだけではなく、袋地と町家の通り庭を使って、さらに庭部分も繋げることで、それまで行き止まりだったところが、通り抜けられるようになるというすごい事例があります。 |
絹: | オリンピックの体操競技で言うと、ウルトラCとか、ウルトラDとかそんな感じじゃないですか。 |
森: | やはり行き止まりの不安を色んなやり方で抜けられるようにということです。特に緊急時だけでも抜けられるようにとか、建築計画的に色んな可能性があるなと思います。 |
絹: | 路地には再生の無限の可能性があるよと。そして京都は日本全国どこにも路地はあるけれども、周辺地区に路地があるのが普通で、京都のように政令都市クラスの都市で、その中心部に路地がデーンと大きな顔をして、でも大切な機能を持ったまま現在に至るようなところは他にないというのが、森重先生の御主張の1つかもしれません。 |
●路地サミットを10月7日(土)8日(日)、京都で開催します! |
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絹: | ここで告知です。「京都路地サミット」。 |
森: | “全国路地のまち連絡協議会”さんが、これまで各地で路地サミットを開催されてきましたが、今年は「路地サミットin京都 2023」と題して京都でやりましょうということになりました。10月の7日(土)8日(日)に開催されます。7日(土)にシンポジウム、8日(日)に関連のまち歩きなどを企画しようとしております。そこでは今、お話したようなことも少しお話できたら、また色んな方が関わっている京都のまちの路地の面白さや多様性が見られたらいいかなと思っています。 |
絹: | ちょっと時間が足りなくなってしまいましたが、また森重先生には再度ご登場願うこともあるかもしれません。路地サミットの報告なんていうのもね(笑)。 この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。 |
投稿日:2023/07/24
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第187回 ・住みたくなる京都の町へ「ヒタすら、ヒタむき」に応援します~竹内局長に聴く!
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竹: | 竹内 重貴 氏(京都市都市計画局長) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
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(竹内 重貴 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをお伝えしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、本日のゲスト紹介ですが、前回の坂越副市長さんに引き続き、京都市の都市計画局長であらせられる竹内重貴さんがご登場です。竹内局長、よろしくお願いいたします。 |
竹: | どうぞ、よろしくお願いいたします。竹内です。 |
絹: | ちょっと茶目っ気を出し過ぎまして、竹内さんや坂越副市長に、「コミュニティFMの番組をやっているんです。もしよろしければ」とオーケーされるはずないと思って言ってみたら、えらいことになって、本日の御出演を迎えております。リスナーの皆さん、ご期待ください。 竹内重貴さん、2022年の7月に京都市にご着任されています。もともとは2000年ぴったりに国交省に入省、その後は海外に飛ばれていて、2004年から2006年ニューヨークのコロンビア大学とシカゴのノースウェスタン大学にそれぞれ留学されています。その後、中部地方建設局に2007年から2008年おられて、その次が山形県に出向されています。2010年から2013年、山形県では交通や企画分野の御担当、中部地方建設局ではまちづくりの御担当ということです。 この間番組の準備も兼ねてお部屋にご挨拶に行ったら、時間を取って色々議論に付き合ってくださって、非常に気楽におしゃべりしてくださる局長さんです。びっくりしています。ということで、ゲスト紹介はこれにて切り上げて、さあ、まずは大切な今日の番組タイトルです。この番組はゲスト使いが荒いって、知ってました(笑)? |
竹: | いやあ、そうかなあと薄々感づいてはいたのですけど(笑)。 |
絹: | ではゲストの竹内局長に今日のタイトルコール、まずお願いできますか? |
竹: | はい。では今日のタイトルは「住みたくなる京都の町へ「ヒタすら、ヒタむき」に応援します~竹内局長に聴く!」と、こんな感じでよろしいですか(笑)? |
絹: | ありがとうございます。僕は感心しております。令和5年4月の市長の記者発表を参考データとして持っておりまして、『若者・子育て世帯の「京都に住むっ!」を、「ヒタすら、ヒタむき」に応援します!』という資料です。まあ珍しい記者発表資料だと思いますが、この「ヒタすら、ヒタむき」というキーワードを考えられた方を、じょうずやなあと思っています。 |
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(京都市HP【広報資料】より) | |
■エピソード1 若者・子育て世代への「ヒタすら、ヒタむき」応援メニューとは |
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●若者・子育て世代に住んでほしいから | |
絹: | さて、竹内さんにマイクをお渡しして、まずエピソード1から入っていただきます。このメニュー、京都市さんは全国初の作戦を次々打つぞ、期待してねと坂越副市長が前回おっしゃいました。そのことの概要説明をざっと竹内さんの口からもお願いできませんでしょうか。 |
●エッセンシャルワーカーの方々にも、若者・子育て世代にも、これまでにない住まい方を |
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竹: | これまた興味深いというか、前向きな提案だと受け止めています。市営住宅というのは、元々家にお困りの方のための住宅としてつくったものですから…。 |
絹: | セイフティネット、福祉目的住宅だったのですよね。そもそもが。 |
竹: | ですからそうした福祉目的の住宅、これはもちろん確保する必要があるのですが、ただ一方で今の23,000戸の中でそうした福祉目的で使う分を除いても、やはり現況で1,000戸くらいは市営住宅の本来の目的以外で使える余地があると見ています。そうしたところを、今おっしゃったようなエッセンシャルワーカーの方々のための住宅とか、先ほどご紹介した若い方、子育て世代向けの住宅とか、これまでにない新しい住まい方をして、せっかく市営住宅としてつくった建物があるわけですから、そこを徹底的に有効活用していきたいなと思います。貴重なご意見ありがとうございます。 |
●地域と入居者を結ぶ協定書を |
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絹: | わあ、力強いコメント、ありがとうございました。で、プラスアルファ嶋本弘文先生と議論した続きがあります。 「ただ安く入れるだけじゃだめじゃないですか?」とこれは絹川くんの意見ですが、「公営住宅はどこも恐らくは高齢化が進んだりして、自治会運営がしんどくなったりしていますよね。ですからもし保母さんや看護婦さんだとか、介護職の方などがお入りになったら、それぞれお仕事はしんどいけれども、少しだけ地域のコミュニティに自分たちならこういう貢献ができますよみたいな、そういう一項が保育園連盟と京都市の間で協定書のような形で入り込むと素敵だと思われませんか」みたいな、いらん提案をしたんです。あるいは建設業の人間もエッセンシャルワーカーの端っこの方にいると僕は思いたいのです。というのは災害の時に出動したり、がけ崩れや大水の時に行ったりしますから。そういう職種の人たちも、職住近接で緊急出動しやすい京都市の内側の方にいてほしいなと思うんです。 で、そんな条件をつけて、各団体の長と京都市の市長さんなのか、副市長さんなのか、はたまた竹内局長なのか、協定の文書に調印がされました、新聞記者がフラッシュで、パシャパシャと撮っている場面を、僕は夢想をしております。 |
竹: | 絹川さんの中で、もう話がどんどん進捗していますね(笑)。 |
絹: | でもこれを実際に都市計画局の係長級の若手の耳元に「おっさん、こういう風に思うんやけど、なんとか頑張ってくれへん」みたいなつぶやきを続けております。だから竹内局長にこういうお話をして、実現にちょっとでも近づくとうれしいなと思っております。 |
■エピソード3 洛西“SAIKO”(さあ、いこう)プロジェクトとは |
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●実現する数々のプロジェクトを、一気呵成に進めます |
絹: | 竹内さん、ありがとうございました。 |
竹: | ありがとうございます。 |
絹: | この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。 |
投稿日:2023/06/26
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第186回 ・まちの同級生~「京都をつなげる30人」との出会いから…
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小: | 小野寺 亮太 氏(京都市子ども若者はぐくみ局 子ども若者未来部育成推進課) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
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(小野寺 亮太 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをお伝えしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、本日のゲスト紹介です。お若い方に来ていただきました。“京都市子ども若者はぐくみ局”、変わった名前でしょ?京都市の中にはこういう局を担当している人たちがいるんです。“京都市子ども若者はぐくみ局”から小野寺亮太さんにお越しいただきました。小野寺さん、よろしくお願いします。 |
小: | よろしくお願いします。 |
絹: | 小野寺さんと僕の出会いは、ごくごく最近と言っても年末でしたかね。 |
小: | 年末ですね。 |
絹: | 年末にゲスト交渉に行ったら、産休に入ってしまって、しばらく連絡取れなかったんです。京都市の中でもこうやって、男性で産休を取って、昨日も電話したら在宅勤務でしたね。 |
小: | そうなんです。育児をしながら仕事を頑張っています。 |
絹: | 小野寺さんは、京都市の総合企画局の市民協働担当の相川さんという、市民協働ファシリテーターの元締めに近いところにおられる方にご紹介いただきました。この番組の第181回に熊切さんという方をゲストに「市民協働ファシリテーターってなに?~3人のファシリテーターに聴く」をオンエアしましたが、その時の熊切英司さんに続く、2人目のファシリテーターとして小野寺さんに来ていただきました。市民協働ファシリテーター、今、100何人でしたっけ? |
小: | 150人くらいです。 |
絹: | その中で活きのいいのを3人くらい紹介してと頼んだんです。それでアドバンスドファシリテーターという仕組みもできてきたでしょ?熊切さんはそういう研修も受けていらっしゃいました。で、2人目として来ていただいた小野寺さんということで、是非リスナーの皆さん、ご期待ください。 さて、今日の番組タイトル、テーマです。「まちの同級生~京都をつなげる30人との出会いから…」と題してお送りいたします。先ほどゲストの小野寺さんと打ち合わせして決めました。小野寺さんの思いが入ったタイトルです。 |
■エピソード1 まちの同級生、京都をつなげる30人って、どういうこと? |
●職業も年代も多様な30人が集まって… | |
小: | 私は子ども若者はぐくみ局におりますが、今やっている仕事としては、京都市では青少年活動センターという中学生から30歳くらいまでの方たちの居場所を公的施設として持っておりまして、主にその担当と、成人式の担当をしております。 |
絹: | 青少年活動センターは私もご縁がありまして、山科青少年活動センター(愛称:やませい)に時々行っていました。何年か前のゲストに大場さんと言うセンター長をお呼びして、山科子ども食堂ネットワーク構想について語っていただきました。そういう言わば若い人がたくさんいらっしゃるところですよね。それを7つ束ねる部署にいるのが、小野寺さんです。 |
小: | そうです。今の仕事はそうなんですけど、今日のタイトルである「まちの同級生~つなげる30人」ということで、まずこれがなんぞやというところからお話したいと思います。これは市民、企業、行政、NPOから構成された約30人のまちづくりのプレイヤーが協働する、地域にイノベーションを起こすためのプログラムを繋げる30人となっています。 |
絹: | いやあ、面白そうです。なんとなく想像できるのが、私のような初老のおっさんとかじいさんはメンバーとしては少なくて、ひょっとしたらメンバーは20代、30代、40代くらいまでの人が、30人の中に多そうな気がするなあみたいな、合ってます? |
小: | 意外に錦商店街のお偉いさんの方がいらっしゃったりとか…。 |
絹: | おっさんもいはるんですか? |
小: | そうなんです。本当に年代も幅広く、学生の20代もいれば、60代のバリバリ働いておられる方もいらっしゃいますし、本当に多様なセクターの方から30人が集まりました。 |
●まちづくりのプレイヤーたちがイノベーションを起こす |
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絹: | これは行政が声を掛けておられるんですね。 |
小: | 行政と、京都市と連携協定を結んでいる“スローイノベーション”という、これも市民協働ファシリテーターの…。 |
絹: | スローイノベーション、ゆっくりなイノベーション。ひょっとして京都市の行政マンだったけれど、飛び出しているような人が時々いるじゃない。何かそんな匂いがするけど、違います? |
小: | 違いますねえ(笑)。バリバリ民間の方々ですけど(笑)。スローなイノベーションを提唱されているんです。 |
絹: | 中心人物はどなたですか。 |
小: | 市民協働ファシリテーターの講師でもある野村さんという社長の方が、まちづくりのキープレイヤーとなる方たちを約30名集めて、色んな地域の課題や社会の課題を皆さんの強みを使いながら解決していこうというプログラムです。 |
絹: | 京都をつなげる30人というプログラムは、もう何年か行われているようですね。 |
小: | 僕が入ったのは3期なので、その時点で3年は続いていることになります。私の時は「脱炭素社会をいかに実現するか」みたいなテーマで色々動いたんです。脱炭素社会というと、すごく広い課題なのですが、それをもう少し市民目線に落とし込もうと、30人で対話を重ねながら「本当の課題って何なのだろう」みたいなのを突き詰める作業が、私にはすごく刺激的でした。 |
絹: | まちの同級生というタイトルをお選びになったことからすると、京都をつなげる30人の3期生とのお付き合いが、ひょっとすると卒業しても未だに続いていそうな感じですね。 |
小: | そうなんです。やっぱりそこで信頼関係というか、みんなを尊重しながら1つの課題に向かって走っていくという感じで、本当に仲良く、ざっくばらんに、心から話せる仲間になったような感じですね。 |
●京都市未来まちづくり100人委員会との共通点 |
絹: | 以前、小野寺さんにもお話したことがあるかもしれませんが、私は10年以上前に、京都市の総合企画局が主管で“京都市未来まちづくり100人委員会”、一般の市民を無給で百数十名、土曜日の4~5時間、会議室に閉じ込めてこき使うというとんでもない委員会に所属しておりました。私勝手に自嘲的に「やらずぼったくり詐欺企画」というあだ名をつけてましたけど(笑)。本当に熱心に「京都のために汗をかいてもいいよ」「自分の知恵を持って行ってもいいよ」という人たちがどっと集まっていた、そういう仕組みがあるんですね。僕は1期から3期まで。で、後で聞いたら小野寺さんは4期生だと。 |
小: | そうなんです。そんな繋がりもあって。 |
絹: | 確か7期で発展的解消ですね。で、その時の香りがこの「京都をつなげる30人」というのと、結構だぶっているような気がします。 |
小: | まさしくだぶっていますし、より具体化したようなイベントでもありますね。 |
絹: | ですから100人委員会で醸成された、得られた経験値だとか、ノウハウをさらに30人というところに凝縮して、100人委員会よりもひょっとしたら進化版みたいな気がします。 |
●トートひろばでのイベント |
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小: | まさにそんなイメージです。今回私は阪急・阪神さんと同じチームで、インフラもお持ちで、そこでイベントをさせてもらうことができたのですが、30人の知恵をそのイベントに凝縮させたみたいなことができて…。 |
絹: | その阪急・阪神さんと組んだイベント、内容を聞きたいですね! |
小: | 阪急洛西口の高架下に“トートひろば”というイベントスペースがあるんです。 |
絹: | どんな字を書くんですか? |
小: | カタカナで「トート」、英語なら“TauT”で、Tが高架下みたいな格好になっているわけです。そこは色んなイベントをされていて、イベントを通じて地域を活性化していこうみたいな、そういう思いをお持ちだったのです。今回「脱炭素」ということがテーマでしたが、「脱炭素って、わかりにくいよね」という話がみんなの中であって、環境にいいこととか、地球にやさしいって、どんなことなんだろうみたいなことに落とし込んでいったんです。 まず環境にやさしいことを実感してもらうきっかけをつくるようなイベントをしたらいいんじゃないかという話になって、いろんな切り口からブースを出して、イベントをやりました。 |
絹: | ブースを出すというと、何か学園祭みたいなノリをつい想像してしまいますが、あるいは手作り市とかね。何かトートひろばでまちの学園祭とか、手作り市っぽいイベントが高架下に現れたんでしょうか。 |
●脱炭素を具体に落とし込む |
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小: | 手作りっぽい物もありますね。例えば古着を売るイベントをやったりとか、それも環境にやさしいことだし、あとはリユース食器を使って食品を提供したり。さらに人力で発電するもので、「電力を生むのにこんなにパワーがいるんだ」みたいなことを子どもたちに知ってもらったりとか、本当に様々な切り口で、「環境にやさしいことって、こういうことにも繋がっているんだ」と実感してもらう、そういうイベントでしたね。 |
絹: | 体を使うこととか、古着を見直して、作られ命を得たものを大切に使おうよみたいな、いいですねえ。リユース食器なんかも、ひょっとしたら本当にじゃまくさいことかもしれないけれども、それでもちょっとこだわりたいみたいな形でやられるとね。 ただ、あんまりこういう発言をしない方がいいのかなとも思いますが、僕、脱炭素というと否定的な感覚もどこかにあって、利権に繋がる脱炭素とかSDGSとかいうことを、「うさんくさ」と思う絹川くんもいて…、でも本当にまじめに取り組んでいらっしゃる方たちとそういうものを分けて考えないといけないなと思いつつ、僕実はSDGSのバッジ付けている人、嫌いなんです(笑)。 |
小: | そうなんですか(笑)。でも結構いますよね。 |
絹: | そうなんです。ただ脱炭素ということから、リユース食器だとか、本当に電気を人力で起こそうとするとすごいパワーが要るので、電気はこんなに大切なんだねとか、古着を大事に着ようねみたいなことに、一段分解していただくと、僕にとってはうさん臭くなくなるんです。 |
小: | ほんとですか(笑)。まさにそういうふうに落とし込んでいかないと、人の選択って変わって行かないよねみたいな話が出ましたね。 |
絹: | 上滑りで世論誘導をされて、「ビジネスチャンスに結び付けよう」だとか、「公金チューチュー」って、この頃ネットで流行っている言葉がないですか?地域課題を解決するためではなく、どなたかの懐が豊かになるために助成金を使おうという人たちが世の中にゼロではないので、そういう匂いにはちょっと私は今過敏になっています。 |
小: | 実際に人が動く動機って、やはり納得性や共感だと思うのですが、そういう意味で対話を重ねることによってどうやって共感が得られるのか、動く動機になるのかというのを、30人でとことん話し合いました。 |
●環境と経済はどう成り立つのか - 電力会社の玉石混交 |
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絹: | トートひろばでは、どんなブースでどんなことをやったのか、もう少し教えていただけますか。 |
小: | ブースもそうなのですが、環境と経済がどうやったら成り立つのかというトークセッションをみんなでしました。ゲストにテラエナジーさんという、お寺で電力会社を立ち上げた方がいらっしゃるのですが、なぜ立ち上げたのか、今どういうふうな世の中を目指しているのかという話をみんなで共有しながら…。 |
絹: | テラエナジーさんみたいな感じでやられる方々はなんかすごいなとか、尊敬できるのですが、なかには山の中でメガソーラーなどをやって、土砂崩れを起こしているようなところもあって、似ているけど違うという感覚がしますよね。「後はどうなってもいい」という企業群とテラエナジーさんは行動形態は似ているけれども、似て非なるものだと、その辺がトートひろばで集まって来られた方に肌感覚で伝わるといいですよね。 |
小: | そうなんです。本当に電力を替えるだけで環境に良くなるというところもあって、人の選択1つひとつが世の中を良くしていくんだというふうになっていけばいいなと。 |
絹: | 玉石混交で実は難しいんですけど、色んな情報公開がされてないようですから。すみません、いらん突っ込みを入れてしまいました。 |
●まちの同級生との出会いが私の糧に |
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小: | そうやって対話をしながら、まちの同級生ができた。そういう信頼ができる関係づくりができたというのが、私の糧になっています。 |
絹: | 30人おられたら、本当に色んな専門家が集まられたでしょうねえ。年齢構成も縦にバラエティに富んでいるとおっしゃいましたから。 |
小: | ですから普段の仕事では出会えないような方たちと出会えたということが、私の財産になっているなという感じですね。 |
絹: | 今、パッと代表的にまちの同級生として出会った方のなかで、固有名詞ありで「この人、面白いねん」という人、例示できます? |
小: | それで言うと、“なんかしたい”さんという合同会社があるんですけど、学習支援をやられている起業家で、それも塾みたいな感じですが、塾を通じて子どもの居場所になっていたり、色んな悩み相談を受けたり、親同士の居場所になっていたりとか…。 |
絹: | おいくつくらいの方ですか? |
小: | 私よりちょっと上くらいですかねえ。 |
絹: | と言うと? |
小: | 30代半ばくらいだと思います。 |
絹: | この辺の30代真ん中±アルファくらい、どうやらすごい手練れが集まってそうな年代です。私は60代半ばくらいですが、若い時、「儲けてなんぼ」みたいな教育を受けたじゃないですか。心の中で「世のため人のため」とかって思う部分がないわけじゃないですが、昭和育ちは恥ずかしくてそんなことは言わないわけです(笑)。「まず社員食わせてなんぼや!」みたいな。ところが今、20代30代の人たちは当たり前に世のため地域のためにということを、最初からさらっと言う人、多くなってません? |
小: | あ、多いですね。 |
●サードプレイスという居場所が、今、求められています |
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絹: | だからやっぱりジェネレーションと言うか、人種が変っている気がします。その “なんかしたいねん”合同会社ですか?子どもの居場所であり、親の居場所でもあるって言うでしょ。私も実はその居場所というキーワードを長年追いかけておりまして、サードプレイス、まちの縁側、地域の居場所というのを尋ね歩いていた時期もあります。 そういう居場所が、例えば小学校区にいくつかあったら、それがあるだけでその場所の地縁が良くなったり、地域の課題が少し減る気がしますので、すごいなあと思って、居場所という言葉がパッと出てくるなんて。 |
小: | 私の仕事にも関わって来るのですが、学校でもない、家庭でもない、まさにサードプレイスという居場所は、世の中に求められているなというのは感じますね。 |
絹: | 私自身が子どもの頃からでしょうか、人と人との繋がりを切る方向、分断される方向のベクトルで育てられたという気がしていましてね。今の若い人たちは我々の世代がチョキンチョキン切って来たものを、もう一回繋ぎなおす世代かもしれないという仮説を、私は今持っているんです。 |
■エピソード2 子どももまちの同級生 |
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●「こども基本法」のこと | |
小: | この4月に「こども基本法」という法律が施行されました。 |
絹: | あまり詳しくないのですが、色んな物事を決めていく時に、当事者である子どもの声もちゃんと拾おうぜみたいな、すごい法律らしいですね。 |
小: | そうなんです。これで本当に世の中が変わるなと思っています。国の方も「こどもまんなか社会」と言っていますが、子どもを軸に色んな政策や取組みを進めて行くことが、ほぼ義務付けられてきたということです。 |
絹: | 昨日もお電話で突っ込んでしまいましたけど、理念としては素晴らしいと。でも実際にやるのに、子どもの声を拾うのって、すごい腕が要るんと違いますかと。ということを小野寺さんに議論をふっかけていましたけど(笑)。 |
小: | 本当にそうで、こどもは社会的弱者であるので、そういう人の声を聞くというのはやはり大人側の知性が求められるのかなと。 |
絹: | 知性とともに、場づくりという言葉がありますけど、こどもたちがこの場は安全なんだと、自分の思いを開陳してもいいんだという信用してもらう場をつくれる大人サイド、これはものすごく高度な、敢えてファシリテーションという言葉を使うと、ファシリテーター研修を受けてこられた小野寺さんたちにとっても、これは腕利きじゃないとなかなかできない技でしょう。 |
小: | まさしくそうです。ですから市民協働ファシリテーターのさらにプラスアルファで子ども若者向けのスキルというのは、今後身に着けていかねばならないなと思っています。 |
絹: | そういう研修を受けたりしている行政マンが、特に若い人で育ってくると、世の中変えちゃいそうな気がしますよね。だから小野寺さんみたいな人に「ゲストに来て!」と言って呼んだりするんでしょうね(笑)。 |
●子どもと対等に意見を言い合える関係を |
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小: | 子どもの声を聞く、聞かせる、言わせるというのはナンセンスかなと思っていて、子どもも大人と一緒でまちづくりのパートナーであると認識することで、言わせるだけじゃなくて、子どもと対等に意見を言い合えるような関係になっていくと、僕は理想かなと思っています。まさに子どももまちの同級生だよというふうに思って、これからそういう場をつくっていけたらうれしいなと思っています。 |
絹: | なんか落としどころがばっちり落ちてきましたね(笑)。 市民参加だとか、市民協働というキーワードが京都市の中で語られるようになってだいぶ経ちます。でもワークショップや場づくりを行って市民の声を広く聴きましょうというのが、時が経つにつれてアリバイのようになってしまった。つまりワークショップというタイトルがつくのをやっておけばいいみたいな間違った流れが、一時的に現出していたことも記憶しています。その反省からもう一度魂を入れ直そうとして、市民協働ファシリテーター研修のような制度が6期にわたって行われ、小野寺さんのような方たちが今育ち始めていると、オールドファシリテーター世代と言いますか、一期生の研修を受けていた頃の自分は、今感じています。 聞くにつけ、ものすごく高度なことを国は意識し始めて、小野寺さんの言葉を借りれば「こどももまちの同級生」。これ、さらっと言っちゃったけど、ものすごい難しいことを標榜されていると私は感じています。ということで、市民協働ファシリテーター研修を受けた6期生の100数十名の人たちがそろそろまちに出始めるのではないかと思っています。色んな所で関わって、場をつくって、声を拾って、新しい地域課題解決に向け動かれることに、もし気づかれた方はトントンと肩を叩かれるなり、そばににじり寄っていただけたら最高です。 この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。 |
投稿日:2023/05/31
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