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まちづくりチョビット推進室
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まちづくりチョビット推進室

京都府地域力再生活動
京都三条ラジオ・カフェ(79.7MHz) にて、
『まちづくりチョビット推進室』という番組を下記の予定で放送中です。
放送日時は第3、第4土曜日(15:30~16:00)
(詳細はラジオカフェのページでご確認下さい)
『まちづくりチョビット推進室』は、
「京都市景観・まちづくりセンター」と、平成25年、26年度の間、共同企画で行っておりました。
   
  過去のアーカイブ(第1回~116回)はこちら をご覧下さい。(過去の記事のリンクについては切れている場合があります。ご了承下さい。)
 

最新記事

第145回 ・アートスペースなのになんで探偵社?~寄す処探偵社ってご存知ですか?

ラジオを開く

まちづくり“チョビット”推進室<平成31年2月放送分>

沼: 沼沢 忠吉 氏(寄す処探偵社 President/Investigator)
絹: 絹川 雅則 (公成建設株式会社)
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右:沼沢 氏 (左:絹川)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト紹介ですが、沼沢忠吉さん。この方は実は当チョビット推進室の二度目の御登壇です。平成26年3月放送の「Art Space 寄す処(よすが)」の回で来ていただきました。では沼沢さん、第二回目もよろしくお願いします。
沼: よろしくお願いします。沼沢です。
絹: 本日のタイトルは「アートスペースなのに、なんで探偵社?~寄す処探偵社ってご存知ですか?」で行きます!
 

■エピソード1 Art Space 寄す処(よすが)、覚えていらっしゃいますか?

●地域に開かれたアートスペース兼カフェ兼バーとして
絹: リスナーの皆さん、5年前の事ですから覚えていらっしゃる方はほとんどおられないと思いますけど、ちょっと振り返りをさせてくださいね。
平成26年3月、この時のタイトルは「人を笑顔にするArt Space 寄す処(よすが)って、ご存知ですか?」と題してお送りしました。で、沼沢忠吉さんと僕の出会いは人を介してでありました。僕は五条西洞院という所に仕事場がございます。近所に山植さんという、自らのことをあの当時「地域男」と称していた…。
沼: 今でもたぶん「地域男」です。
絹: 本当に色んな活動を仕事以外にもされる方で、その方が「絹川さん、五条界隈に住んでるんやったら、面白い人がいはるから、是非会いにいかなあかんで」と言われて会いに行ったのが、Art Space 寄す処の沼沢忠吉さんでありました。
沼沢さんはなんと50歳まで、茨城県警で強行犯係の刑事さんをされていたというご紹介でした。で、3.11の震災を機に、京都に移住をされまして、五条西洞院西入一筋目を下がった…。
沼: そうですね。東中筋五条下ルです。
絹: うちの職場からだと、一本西の筋を下がったところが、まあ素敵な名前じゃないですか。天使突抜三丁目。ここでの木造家屋を改修されて、「アート・イン・レジデンス」という、その当時、僕は初めて勉強した言葉ですけど、今、京都ではゲストハウスだとか、民泊とか、花盛りですけど、そんな風になる前、ゲストハウスだけれども、長期滞在型で芸術家を対象にして、ギャラリーと併設するスペースというふうに説明したらいいでしょうか。
沼: ゲストハウスではないですね。旅館業ではないので。
絹: カフェみたいなこともされていたり、夜は地域に開かれたバーみたいな活動もされていて、ご近所さんが飲みに行ったら、そういう芸術家がごそっと出てきて、滞在していてでっかい作品を作っていたりとか。
沼: そうですね。
絹: 沼沢さん自身も、昔、油絵を描いていたという記録があります。
沼: はいはい。そんな記憶が私にもあります(笑)。
絹: 当時私は「まちの縁側」というんですか、いわゆるサードプレイス、男は職場と家庭以外に居場所がない。でも第三の居場所というのは必要じゃないかという問題意識から、自分の止まり木みたいなところを、一生懸命探していた時期でありました。で、沼沢さんところに、「あ、その匂いがする」とばかりに行ったり来たりしていた時期がありました。そういう出会いです。
で、この度、「Art Space 寄す処」さんが新たに行動を起こされました。ということで、タイトルに「アートスペースなのに、なんで探偵社?」と付けましたが、この辺り、沼沢さんからちょっと説明してください。探偵社をやられるんですって?
 

■エピソード2 ちょっと風変わりな探偵社です

●笑顔になってほしいから
沼: そうなんですね。なぜかアートスペースなのに、探偵社を始めようと思い立ってしまって、3月に入って開業させていただきました。
絹: そしてその開業式に私もなぜか参加をさせていただきました。
沼: ありがとうございます。なぜ探偵社を開業したのかについては、元々刑事を長年やっていて、前の放送と被るんですけど、刑事って、人の涙は乾かせても笑顔にできないという宿命を負った職業っていう話を…。
絹: そのコメントがね、5年前ですけど、結構僕、記憶に残ってまして、「なんかすごいなあ」と。当時、「その人を笑顔にするってところに今度、乗り出したい」ということを沼沢さんがおっしゃったなと。それはもう探偵社でも一緒なんですね。
沼: 一緒ですね。基本的に笑顔になってほしいという、一言で言えばそういう思いです。
絹: なんかそれ言っちゃうと結論が出ちゃうみたいな話ですけど(笑)。沼沢さんが目指される探偵社について教えてください。
沼: 京都に来て色んな出会いがあって、色んな勉強をさせていただいた中で、私はスピリチュアル的な活動もしてるんですけど、そんな見方をすると、私自身は闇の人間という…。
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●人の心の闇を引き出して開放してあげるのがお役目だと思っています

絹: 闇の住人なんですか!
沼: そうですね。人の心の中の闇を引き出して、開放してあげるのがお役目という、そんな立ち位置で自分を見ていて、まあ、現実的な闇も請け負うのが僕であるという、ちょっと変な言い方ですけどね(笑)。
絹: リスナーの皆さん、怪しいなと思ったかもしれません。現実に怪しい人なんですけど(笑)、沼沢さんのフェイスブックを時々のぞき見していまして、「あれ?」と思っていたんです。実は。闇の世界の住人だとは知らずに(笑)。
でも去年は特に4月豪雨だとか、台風だとか、すごかったじゃないですか。その後、沼沢さんは京都の色んな所を歩かれて、何かネガティブなエネルギーがある所をずっと訪ねて行って、それを(僕はそういう専門用語を知らないので、あれですけど)お浄めして歩かれた。
沼: そうですね。
絹: そんなもん、誰に頼まれたんやっていう話ですけど、誰に頼まれるわけでもなく、勝手にうろうろして、京都のためにきれいにしたいって、人知れずお掃除ボランティアみたいなもんですよね。
沼: そうですね。お金はもらいませんけど(笑)。
絹: そのへんがスピリチュアルという言葉を使われた、一端のエピソードです。それを見て、「えっ!」って、ただのアート・イン・レジデンスのオヤジさんじゃないのかみたいに思った事が、最近ありました。すみません、補足コメントでした。
 

●ポロポロといつの間にか相談が来るようになって…

沼: ありがとうございました。まあまあ、そんなのが自分のお仕事と考えていて、じゃあ、以前の刑事という仕事を活かして、何かできることがないかなと考えた時に、去年の夏に某探偵社で4ヶ月くらい、見習い研修バイトみたいなことをさせていただいたんです。別にそれを誰に言っていたわけじゃないんだけれど、色々ポロポロと事件がらみの、事件になりそうな、被害にあってそうな相談をちらちらと受け始めていて、だったらもう探偵社をやってしまおうと(笑)。それでまあ、今年の3月、つい先日ですね、開業させていただいたという流れです。
絹: 開所式の時にスピーチで、対談もされてたんですけど、その時の記憶を少しリスナーの皆さん方に開陳いたします。探偵社ですと、興信所みたいなもんですか...と僕が質問したんですよね。「沼沢さん、興信所と探偵社は違うもんですか?一緒ですか?」と、非常にバカな質問をしたんですが、「一緒です。だけど寄す処探偵社は、通常の探偵社に依頼されるような浮気調査はしないつもりです」とおっしゃいました。そのこころは。
 

●探偵社ですが、浮気調査はいたしません

沼: ぶっちゃけ言うと、そういうの、ちょっと苦手なんですね(笑)。ただそれだけです。バイトさせていただいた時に、もちろん浮気調査もやらせていただいたりして、ただ自分が活かせるジャンルって何かと考えた時に、警察時代に数多く経験した捜査というところなので、それを活かせる調査をしたいと思いました。
絹: 茨城県警の強行犯係の刑事さんを二十数年なさった時も、尾行だとか、特殊犯対応の訓練をしたり、実際に捜査に参加されたりして、半年間尾行プロジェクトにおられたけれども、つかまえた犯人は全然沼沢さんの顔を覚えてなかったというか、知らなかったとおっしゃってましたよね。
沼: 尾行されていることすら気が付かれなかったようです。
絹: すごいなあって思って。大変ですよね、尾行って。
沼: いやあ、たぶんね、皆さんやられたらできると思います(笑)。
 

●相談しやすい探偵社でありたい

絹: それでちょっと冗談めかして「浮気調査はしない。ハードボイルドな探偵社ですね」なんて思ったんですけど、事例としてご相談を受けていらっしゃるのは、例えばストーカー被害的なものがあるよと教えていただきました。それから例えば女性の1人暮らしなんかで、「留守の間に誰かが侵入しているような気配がある。すごく気持ちが悪いんですけど、そんな時はどうしたらいいんですか?」というような相談が来るんですか?
沼: そうですねえ、はい。
絹: 自分だったらどうだろうと、僕は娘がいませんけど、もし娘がいて京都に一人暮らしをしていて、そんなことになったら、僕なら誰に相談したらいいんだろうと想像した時に、「あ、僕は知り合いに沼沢さんがいるから、相談できるわ」と思ったんですけど、探偵社として考えていらっしゃるのはそういうことですか?
沼: そうっちゃあ、そうです(笑)。ただ相談しやすいという立ち位置に自分はいつもいたいなと思っているので、初対面の方でも、私の知らない方であっても、来てみたら「あ、変なおっさんがいるけど、大丈夫かな」と思いながら相談していただいたら、「結構頼りになるわ、このおっさん」というね(笑)。
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●依頼が来ないのがベストだと思っています

絹: リスナーの皆さんにお伝えしたいエピソードがもう1つありましてね。
そもそもアートスペース寄す処のバーは、ワンコインでやってるから、乾きものくらいしかなくて、あてが欲しかったら自分で近所のフレスコで買ってきたらいいよみたいな、持ち込み可のバーなんです。それで色んな人が近所から来るんですけど、その常連さんたちも探偵社の開所式にどっとやってきた。その時の彼らに向けた沼沢さんのスピーチがすごかったんですよ。「依頼が来ない探偵社であったらいいなと願います」と、そう言われたんですよね、確か。
沼: そうですね。間違いないです。
絹: それがたぶん「刑事時代、被害者の涙を止める所まではできたけど、ここから先は人を笑顔にする仕事をしてみたいから、京都に来たんだ」とおっしゃったことと繋がるんだなと思って、聞かせていただいておりました。それで、私の話をしていいですか?
沼: どうぞどうぞ。
 

●ストーカー被害は決して珍しい案件ではありません

絹: 私の会社の社員さんのお嬢さんが、以前ストーカー被害に遭っているようだという相談をうちの総務部長が受けて、「自宅まで追跡されている可能性があるので、社宅の部屋をセーフハウスとして提供してもいいですか」という話をだいぶ前ですけど、許可を求めてきたことがありました。「もちろんいいよ」と。でもそこもあぶりだされる可能性もあるので、第二段階のセーフハウスも用意しようと言って、このチョビット推進室繋がりで、同じゲストに来てくださったまちの縁側ハルハウスの丹羽國子さんは宿泊スペースもお持ちですから、相談したら、そのおばあちゃん先生も「いいよ」と言ってくださって。準備までしたけど、結局は使わずに済んで、その相談はなくなったという経験がありますけれども、自分の周りにもそれに類する事ってゼロじゃないんだということを思い出しました。結構あるんですかね。
沼: 結構あると思いますよ。ただ言わない。このくらいだったら大丈夫とか、この程度で誰かに言ったら神経質って思われるから、ちょっと言えないとか、自分の中で抱え込んでいる人って、結構いると思うんですよ。
絹: 告知みたいで変ですけど、リスナーの皆さんの中で、あるいはお友達とかお身内のなかで、ちょっとでもそういう悩みを抱えていらっしゃるようなことを察知されたら、もちろん警察に行かれるのがいいのでしょうし…。
でも元警察官の沼沢さんに教えていただいたんですけど、警察官でもストーカー被害担当者というのは限られていると言うか、マンパワーとしても限界があると。だからすべてに張り付いてガードというところまではなかなかいかないこともあるやろと。
沼: そうですね。なかなか難しいと思いますね。
絹: そんな時に「プライベートアイ」って、探偵さんのことでしたっけ?寄す処(よすが)探偵社にご相談をされると、ちょっと気持ちが安らぐかもしれませんね。
沼: そうですね。話すことで安心するということもあるので、実際に依頼されなくても相談をする。ちょっとアドバイスしてあげる、それだけで安心してもらえたら。
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●寄す処探偵社はこんな仕事をしています

絹: リスナーの皆さんに寄す処探偵社のフェイスブックページから抜き出して少しだけ読ませていただきます。
寄す処探偵社は、ストーカー被害やDVなど、刑事事件等に関係する事案を専門とした探偵社です。
(ここをさして僕はハードボイルドと言ったんです。ちょっとおちゃらけてごめんなさい)
刑事歴二十有余年の捜査経験を活かして、被害回避の方法やセキュリティなど防犯アドバイスだけでなくて、警察との協力体制・連携を有効にするための適切なアドバイスもさせていただきます。「警察に被害届を出したいけれども、取り合ってくださるか心配です」とか、「被害を受けているかもしれない」とか、「事件に巻き込まれて、身に覚えのない罪を疑われている」など、1人で悩まず、まずは相談してみて下さい。相談は基本的に面接のみお受けします。メッセンジャーや電話では、面接相談の日時を決めるなどのアポのみとさせてもらいます。そして信用調査とか、一般の浮気調査などをご希望の方は、信頼できる他の事務所を紹介いたします。
とこのような文面がフェイスブックページにあるんです。皆さんお聞きになってどうですか?沼沢さんがおっしゃるように、依頼が来なくなることがベストだと思われているような探偵さん、探偵はバーにいなくて、アートスペースにいる(笑)。
沼: まあまあ、夜はバーにいますけど。バーで飲んだくれてます(笑)。
絹: 不思議な出会いです。でも沼沢さんの所には人が寄ってきはるという不思議な吸引力をお持ちのスペースを運営されています。そんな中で、ひょっとしたら少し重たい事例もためらわずに相談をされるケースがあるのかもしれません。沼沢さん、何か補足はありますか?
 

●規格外の探偵ですけど…

沼: 絹川さんからもおっしゃっていただきましたけれど、普段の生活の中でそういう悩みも苦しみもなく楽しく生きられるという、そういうお手伝いがしたいという意味で、調査依頼がなくなることを祈って、やっていきたいなと思っています。
絹: さっき、刑事時代のエピソードとして、半年間尾行して逮捕した犯人は、沼沢さんの顔がわからなかったという、このエピソード一つでも腕利きかなあって、思うじゃないですか。
沼: いやあ、その通りではあるんですが、ただ間抜けな犯人だっただけかもしれない(笑)。
絹: もう1つ、取材メモに沼沢さんの思いとして書いているんですが、「SNSに顔出しして探偵なんてありえないかもしれない。それでもやるんや!」と。
沼: もうバンバン顔を出していますけどね。
絹: 隠密で忍者のように諜報活動をするという意味では、顔なんて出してはいけない。だけどちょっと違う探偵さんなんだと。その辺に寄す処探偵社の覚悟の一端が感じられるのかもしれません。そして刑事時代の行動様式についても、面白い聞き込みがありました。「被害者の心をまずよく知らないと刑事なんてやってられるか」とおっしゃいました。「実は思い入れがなければ刑事なんかできませんよ」と。「刑事が感情で仕事をすると言ったら、言い過ぎかもしれまんせんけど。」って、僕、メモってますけど、でもそういうタイプの刑事さんだったんだなと思いました。
沼: そうですね。感情移入しやすい人間なので。
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●尾行、刑事と探偵ではどう違う?

絹: それと探偵あるあるかな、刑事あるあるかな?「刑事さんの尾行は、探偵さんの尾行とどう違いますか?」という参加者からの質問が出ましたね。あれは何が一番違うんでしたっけ。
沼: 写真を撮るか撮らないかですかね。
絹: 面白いことを言われたんですよ。この頃IOTとかICTとかって、色んな機器がいっぱい出ているじゃないですか。うちらの建設屋の世界でも重機のユンボのオペレーターさんのヘルメットのひさしの所に、アイカメラがつけてあって、オペレーターさんが見ている画像が離れた所でモニターで見られるんです。そんな風なことは刑事さんはなさらないんですか?
沼: 基本やらないですよね。
絹: 「事件は会議室の中で起こってない」みたいな俳優さんの青島さんのコメントを引用されて、「キリないからそんなことしたら」「えらいさんに右向け、左向けって、だから刑事時代は状況を的確に言葉で伝えるという訓練をしこたまやりましたよ」と。そんなところから、ああ刑事さんは写真を撮らないんだと。探偵さんは写真を撮るんだと。
沼: 刑事は捕まえてなんぼなんで、写真を撮ってもしょうがないと言いますか。
 

●京都のまちに笑顔を…

絹: 沼沢さん、こないだの開所式、開かれてどうでした?
沼: 思いのほかたくさんの方に来ていただいて、たぶん皆さん、「沼さんだから、おふざけ探偵社かな、イベントとしてやってんじゃないかな」という感覚で来たんじゃないかと思っていて、でも結構本気で真面目にやるんですよっていうのが伝わってくれたかなという…。
絹: 僕もそれで勢いで、沼沢さん、もう一回ラジオやりませんかと言っちゃいましたけれども。
沼: ありがとうございます。
絹: さあ、皆さん、いかがでしたでしょうか。実はすごく重たい問題に関わろうとしていらっしゃる方がここに一人おられます。二十数年の刑事人生の蓄積を、いかに京都のために使えるか。そういうことなのかもしれません。相談がいかないことを望みますと言う不思議な探偵さんではあります。アートスペースを運営されているということで、アートスペース寄す処、そして寄す処探偵社、皆さまの記憶の片隅に置いて頂けたらと思います。
この番組は心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力再生プロジェクト、そして京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。沼沢忠吉さん、ありがとうございました。
沼: ありがとうございました。
投稿日:2019/03/29

第144回 ・あんじょうやります 三条大橋 ~ ふるさと納税で京都のまちづくりを応援しませんか?

ラジオを開く

まちづくり“チョビット”推進室<平成31年1月放送分>

小: 小林 中 氏(京都市行財政局財政部財政課資金調達財源調整担当課長) 
藤: 藤井 豊 氏(京都市建設局土木管理部橋りょう健全推進課長) 
平: 平野 孝明 氏(京都市建設局土木管理部橋りょう健全推進課橋りょう第一係長)
絹:  絹川 雅則(公成建設株式会社)
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左から 小林氏、平野氏、藤井氏

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをお届けしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲストのご紹介から入ります。いわゆる御池城、京都市役所からお三方お迎えしております。まず京都市行財政局財政課の小林中課長、中さんです。よろしくお願いいたします。
小: 小林です。よろしくお願いいたします。
絹: はい、そしてお二方目、我らが京都市建設局橋りょう健全推進課より、藤井豊課長、よろしくお願いします。
藤:  こんにちは。藤井です。今日はよろしくお願いします。
絹: そしてお三方目、同じく橋りょう健全推進課、橋りょう第一係長、平野孝明さんです。
平: 平野と申します。よろしくお願いいたします。
絹: ちょっと行政マンには珍しく、口ひげ、あごひげ(笑)、たくわえかけ始めた平野孝明さんです(笑)。
さあ、リスナーの皆さん、今日の番組のタイトル「あんじょうやります三条大橋~ふるさと納税で京都のまちづくりを応援しませんか?」と題してお送りいたします。
ゲストの自己紹介に代えまして、ゲストの平野孝明さん、たぶん上司だと思いますが、藤井豊課長とはいかなる人物ぞ、短く述べよ。お願いします。
平: 頼りがいのある親分肌の上司です。
絹: 見るからにそうですね(笑)。藤井課長は我々の中でも最高峰の資格の1つである「技術士」をお持ちの方です。コンクリート診断士でもあられます。
平: 後ほどお話しますが、この三条大橋の取組みについて、色んなアイデアを出して頂くアイデアマンでもあります。
絹: 頼りがいのあるアイデアマンの親分肌の上司、藤井さんでありました。では藤井課長、平野孝明さん、どんな方ですか?
藤: 係員の話をじっくり聞いて、相談に乗っている姿をよく見ておりまして、係員さんから非常に頼りにされている係長さんやなという印象が強いです。
絹: でも結構若いですよね。
藤: 若いんです。もちろん平野係長よりも年齢が上の方からのお話についても、よく聞いてあげて「こうしたらええんとちゃう?ああしたらええんとちゃう?」とお話されてますねえ。
絹: 平野孝明さんも技術屋の憧れの技術士というのはすごいですね。
平: ありがとうございます。
絹: それからもう一方、財政課からの小林中さん。実は僕、今日会ったのは二度目?三度目?
小: 三度目ですね。
絹: この番組を収録するにあたって、打ち合わせをしたんですけど、企画案というペーパーを綿密にまとめて下さって、すごく番組の進行がしやすいなと感謝しております。
ということで、ゲスト紹介を終わりまして、小林中さん、エピソード1行きましょか。
   

■エピソード1 ふるさと納税を考える

  ●ふるさと納税、普及してきていますが…
絹: ふるさと納税、概略説明をお願いします。
小: かなりニュース等で有名になっていますので、ふるさと納税ってどういう制度かというのは、だいたいお分かりいただいているのではないかと思うのですが…。
絹:  特に我々の奥さん連中が注目しておられる方が多くて、例えば九州のマンゴーとか、米どころのお米とか果物とか、はたまた何とかビーフとか、いっぱい頼んじゃったみたいな…。ちょっとそれ、軽すぎますかね(笑)。
小: いえいえ(笑)。実際そうですよね。そういった形で各自治体の皆さんが地元の特産品などを、いろいろ工夫して準備されまして、最近になってかなり制度が普及してきた状況になっています。 
絹: だいぶ人気らしいですよね。「絹川さんとこ、やってへんの?」と言われて調べたことがありますけど。
小: ここ3年程でふるさと納税されている金額が全国で10倍くらいに膨れ上がって、非常に利用が増えてきている状況です。 
 

●京都市にとっては、ちょっと困った状況です

絹: ところが我らが京都市にとって、特に財政当局にとって、ちょっと辛い現象があるそうですね。
小:  そうなんです。厳しい状況でして、先ほど全国的には非常に利用が伸びているというお話をさせていただいたんですが、実は京都市のほうは、ふるさと納税でいただいている、京都市に入ってくるお金は、毎年1億円台で推移しているんですが、京都市から流出していくお金が、全国的な増加に伴って増えて行っていまして、30年度で言いますと、30億円分が出て行ってしまっていると。
絹: 30億円対1億円ですか。大赤字ですね。
小: そうなんです。もともと京都市は財政が非常に厳しいなかで、さらに30億円が流出していくということで、本当に我々財政当局としましては、非常に頭を悩ましている状況でございます。
絹: それはちょっと困った状況ですね。京都市民としても、ちょっと気をつけておかなければいけないことなのかもしれませんね。
小: そうなんです。ちょっとそういう状況があるということを、是非皆さんにもお知りおき頂きたいと思います。
絹: だからこれを何とかしなければならないというプロジェクトチームが、御池の市役所の中にできて、ひょっとして小林中さんと、平野さんと藤井課長とが、そういうメンバーでいらしゃるんですか。
小: そうです。我々みんなでふるさと納税をがんばろうと。
絹: その中で、いろんなアイデアを出しておられるのが藤井さんであったりするんですね。
藤: いや、もちろん平野君も一緒に考えていまして、平野君にも助けてもらっています。
絹: この京都市の取組み、ふるさと納税について、京都市にとって少し困った悩み事を解決しようとなさっている工夫について、少し口火を切って頂けますか。
 

●税金の使い道をしっかりお示しさせていただきます

小: ふるさと納税、確かに最初お話がありましたように、お礼があるということで考えて頂くというのも、一つの考え方であるとは思いますが、京都市としましてはふるさと納税というのは寄附金でありまして、寄附金というのは使い道があって、それに対して寄付していただくということが大前提だと思っておりますので、我々京都市としましては頂いた寄附金をしっかりこういうことに使わせて頂きますということを、使い道をしっかりお示しさせて頂いて、その上でふるさと納税をお願いしています。
具体的に言いますと、今日来ていただいている橋りょうの関係では、三条大橋を改修しますとか、あるいは京都の景観で思い起こして頂くと、京町家を守っていきますといったことですとか、あるいは駅伝の聖地である西京極総合運動公園を改修しますとか。
 

●三条大橋は駅伝発祥の地、西京極総合運動公園は駅伝の聖地です!

絹: 西京極は駅伝の聖地だったんですか。
小: そうですね。実は三条大橋もかかってくるのですが、三条大橋のたもとに駅伝発祥の地という碑が建っています。これは102年前、日本最初の駅伝競走である「東海道五十三次駅伝」が三条大橋をスタートに東京まで行われたという史実に基づいております。まさに日本の駅伝がこの三条大橋からスタートしたということで、三条大橋が発祥の地でありますし、西京極につきましては全国女子駅伝ですとか、全国高校駅伝といった全国的な駅伝が西京極からスタートしまして、京都の都大路をランナーが走ります。今では京都の冬の風物詩ですよね。駅伝の聖地であるというのは、そういうことです。
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絹: そうですか。小林中さんに口火を切って頂きましたが、あとお二方、皆さん私の本業を覚えておられますか。建設屋です。そうなるとどう贔屓目に見ても、橋りょう健全推進課、やっぱり一緒に仕事をすることもありますので、応援したいと思います。是非橋りょう健全推進課のお二方から、この三条大橋について、第二弾ロケットを発射してください!
 

■エピソード2 ふるさと納税の使い道 京都の場合

●三条大橋の補修修景にご協力ください!
平: ふるさと納税に関わる分といたしまして、返礼品を京都市から出しているのですが、それとは別に三条大橋の補修修景に応援メニューとしてご協力頂けるという形を取って頂いた方には、追加の特典といたしまして、これから工事を進めていく工事現場見学会への優先招待と三条大橋のニュースレター(手元に持っているんですけど)ということで、これから息の長い事業でございますので、どういった取組みをしているかというのを、定期的に皆さんにお配りさせていただきたいと思っております。
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絹: 三条大橋かわら版創刊号となっております。一万円以上のご寄附の方にはオリジナルの手ぬぐいも用意させていただきますと。
平: この三条大橋をモチーフにしました紫色と緑色の手ぬぐい、二種類あるのですが、いずれか一つをお配りさせて頂こうと考えております。
絹: こうやって工夫されていますけれども、一方、行財政局のペーパーには、ちょっと刺激的な文言が踊っております。吹き出しがありまして、「京都市は返礼品競争には与しません!!」。どこか京都市の気持ち、皆さんの気持ちが現れている言葉だと思うんですけど、「武士は食わねど高楊枝」みたいなのに通じるかもしれません。返礼品よりも、何か参加している、「京都市の何とかが好きやねん」という気持ちを言いたいというのが、このフレーズに溢れていますね。
平: 私どものこの三条大橋の取組み、歴史ある三条大橋なんですけど、古くは室町時代に豊臣秀吉がかけたという歴史もございまして、そこから今に至る橋の事業ということで取り組ませていただいているのですが、私達土木職として、正直申しまして、なかなかラッキーやなと(笑)。こういった事業に参加できるというのもありがたいなと思いながら仕事をしております。できましたら三条大橋の歴史というものに思いを馳せて頂いたなかで、一緒に事業をやっていくんだという形の輪の中に入って頂ければという思いをいつも持ちながら仕事をしています。
絹: ふるさと納税という仕組みを使っての三条大橋プロジェクトへの参加要請でありますから、このコミュニティFM放送京都三条ラジオカフェは一応、京都市内110万人に届く力の電波ではございますが、インターネット放送だとか、「ラジコ」というアプリケーションをお持ちで、ひょっとしたら県外、市外、ひょっとしたらニューヨークまで聴こうと思えば聴ける仕組みを整えております。後で申しますキーワードを検索かけていただきますと、オンエアから二日でインターネット上にデータは上がりますし、テープ起こししてテキストデータには2~3週間頂いて、さらに検索をかけて読んでいただくという仕組みを整えております。普段はお聞きいただけない京都市外の方も是非、駅伝の聖地、それから太閤さんがおつくりになった、「あんじょうやります三条大橋」という京都寄附金を、どこか頭の隅に入れて頂けたらと思います。
藤井さん、補足をお願いします。
 

●返礼品の日本手ぬぐいに込めた思い

藤:  今、返礼品のお話があったのですが、日本手ぬぐいは私ども橋りょう健全推進課のホームページを見て頂いたらわかるのですけど、三条大橋は平野が申しましたように、豊臣秀吉さんが今のような擬宝珠の形をつくられています。でも実は室町時代の書物で『兼宣公記』にも三条大橋は載っておりまして、日本手ぬぐいのデザインには、室町時代から現代までの人が描いておりまして、現代に通じてまたその先、子どもが指差しているんですが、この三条大橋を改修したものは、ずっと未来までこのまま持っていきましょうと言う我々の願いもかなえている、この三条大橋の記念品のためだけに作ったものですので、非常に我々としては価値があると今、推しております。
絹: ラジオですので、残念ながら絵柄は見て頂けませんが、京都市建設局のホームページにふるさと納税三条大橋、「あんじょうやります三条大橋」と検索をかけて頂きますと、面白いですね。
左から右へと時代が移り変わって、橋の上を歩いて渡っている飛脚さんのような人もいるし、駕籠かきさんもいるし、お公家さんも歩いたはる、そんな感じですね。ありがとうございます。
さあ、ここまでお聞きいただいて、ふるさと納税と京都市が何がやろうとしている財政当局とそれから建設局が手を結んでタッグチームを組まれてなさることが少しご想像頂けましたでしょうか。さらに「だいすきっ!京都。寄附金」あるいは「あんじょうやります三条大橋プロジェクト」以外にも目指していらっしゃることがあるそうですね。
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●京町家の保全継承にも、ふるさと納税を使わせていただきます

小: はい。先ほども申しておりましたが、京町家の保全継承につきましても、ふるさと納税で御寄付を募っております。京町家につきましては、年間で平均約800軒、一日当たり2軒ほど滅失してしまっているという現状がございます。京都市におきましては、京町家を守るための色んな取組を、たくさんの予算を投入しまして取り組んでいるところなのですが、やはり京都市だけではなかなか守り切れないという現実がございますので、少しでも皆さまにもご協力いただけたらと思っている次第です。
絹: 私はかつて京都市の景観まちづくりセンターに関係していたことがありまして、その中で京都の町家を守るために東京の篤志家がすごい金額のお金を寄付されて、それが元になって町家の基金のようなものができたと。ここに「京町家関係予算、30年度約3億円?」となっておりますが、その一部は都市計画局系のそういう基金から支出されているのではないかと想像いたしますけれども、当たらずとも遠からずくらいですか?
小: そういったものと、もちろん京都市の税金も使って直接事業をさせていただいておりますし、色んな手法を使いながら町家を守っていきたいと思っています。
絹: もし全国津々浦々に町家のファンがおられるとしたら、ふるさと納税「だいすきっ!京都。寄付金」という仕組みを使ってご参加いただけるということですね。
 

●ご寄付を頂きますと、京町家体験のみならず、京都文化の体験も…

小: はい。京町家の保全継承に寄付を頂きますと、「京町家体験ツアー」というのにご招待をさせていただいております。これも一万円以上とか五万円以上とか、寄付額に応じてあるのですが、単純に京町家を見学していただくだけではなく、京町家で京都文化、例えばお茶や京料理、投扇興という扇を投げて遊んで頂く雅な遊びの体験とか…。
絹: やったことないですけど(笑)。
小: 私もないんですけど(笑)。そういった京都文化も一緒に体験いただけるような特典、返礼も御用意しております。
絹: 今度は橋りょう健全推進課のお二人に、もう一度ボールを投げたいと思うんですけど、このプロジェクトに参加されて、いわゆる市民協働みたいなプロジェクトですけれども、何かお感じになったエピソードがあれば、教えていただけますでしょうか。
 

●三条大橋は京都のみならず全国の皆さんの思いをのせて

平: 今回の「だいすきっ!京都。寄付金」に寄付された方のお声を少し頂戴していまして、その中に昔京都にいらっしゃって、今は遠方にいらっしゃるという方なのですが、チラシやインターネットで見た時に、昔の事を思い出して、「三条大橋を通った時の思い出が蘇った」という思いで寄付いただいたとか…。そういった文面を見させていただきますと、やはりこの三条大橋というのは、京都市にあるんですけど、日本全国の方の思いもいっぱい伝わってくるような、大事な物件だなというのをつくづく感じました。この工事に携わる重責と言いますか、プレッシャーも感じながら、そして楽しみも感じながら、いつも仕事をしています。
絹: ありがとうございます。三条大橋を通った時の思い出、ひょっとしたら鴨川アベック等距離の法則とか(笑)、そういうのを橋の上から見ておられたのかもしれませんね。
藤井課長は何かお感じになったことはありますか?
藤: こういった取組をするということをお話しましたところ、三条小橋商店街さんのほうが先に色々ビラを作って頂いたり、商店街の前に立てる旗なども作って頂いたり、全力で応援していただきまして、やはり地域に根付いている橋だなというのを、今回改めて感じているというところです。
絹: リスナーの皆さん、いかがでしたか。行政の方のお顔というのは普段なかなか見えないし、感じる事はできません。けれどもこうやって実際にそれぞれの御担当で、一般の方々と繋がって、やりがいを持ってという方の生の声をお聞きしますと「あ、すごいな」と正直に思いますし、何よりもうれしいのは、我々建設産業に携わる者として、三条大橋への応援をよく募ろうぜと。
 

●三条大橋の「擬宝珠(ぎぼし)」、よくご覧になってみてください

絹: あ、うっかり忘れていましたが、先ほど擬宝珠という言葉が出ましたが、ひょっとして専門用語に近いところで、一般のリスナーの方にはイメージできないかもしれませんので、擬宝珠についてちょこっと説明をお願いできますか。
藤: 三条大橋で言いますと、欄干にたっている柱、48㎝の直径の大きな柱があるんですが、その上に被さっている青銅製の帽子みたいなものですね。
絹: 擬態の「擬」に「宝珠」と書いて擬宝珠(ぎぼし)と読ませます。橋の高欄の上の部分の青銅製のものであると。幕末の刀傷が残っていると言われています。結構、この高欄の部分や擬宝珠の部分がなくなっているような橋もあったりするんですよね。だから風情のある昔のものに戻したいねというようなお声もあるけれども、やっぱりお金もかかることでもあるしということです。
buzukari
 

●税金の使い道を私たちが決められるということ

絹: 土木遺産とか、インフラ構造物、それからこうやって行財政局、建設局の方々がタッチされている仕事というのは、普段我々市民の目には届きません。あるいは足元にあって、生活のインフラとか、目に見えない大切な血液の流れとして仕事をされています。でもあって当たり前のエネルギー、ライフラインが止まった時、あるいは水道・電気・ガス、それからバスが来ない、橋が通れない、あって当たり前の事がプツンと途切れた時に、我々一般市民は「わあ、困った。どうしよう。いったいどうなってんねん!」と文句を言ったり、「ワシら税金払てんのに、どうしてくれんねん」と言うような人もいるかもしれません。さりながらこの「だいすきっ!京都。寄付金」「あんじょうやります三条大橋」というようなプロジェクトは、我々が市民として義務の、あるいは権利かもしれません。税のお金の使い道を、自分が応援したいことに振り向けられるという画期的な仕組みかもしれません。返礼品に目が行くのは当然なんですが、そういう参加意識、自分の税の使い道のようなものにも目を向けていただけたらと思います。ちょっとかっこいいこと言い過ぎましたか。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。ありがとうございました。
全: ありがとうございました。

 

投稿日:2019/02/14

第143回 ・町にほしいお店をみんなで作る!~ KUMIKI Prj.ってなぁに?

ラジオを開く

まちづくり“チョビット”推進室<平成30年12月放送分>

く: くわばら ゆうき 氏(KUMIKI  PROJECT  株式会社 代表取締役)
小: 小原 亜紗子 氏(KUMIKI  PROJECT  株式会社 コミュニティマネージャー)
絹:  絹川 雅則(公成建設株式会社)
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  左 くわばら氏   右 小原氏
絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト、お二人お招きしております。お若いお二人であります。お一人目はくわばらゆうきさんです。
く:  よろしくお願いします。
絹: くわばらゆうきさんは、KUMIKI PROJECT株式会社。そしてお二人目は同じくKUMIKI PROJECT株式会社のコミュニティマネージャー、小原亜紗子さん。
小: はい、よろしくお願いします。
絹: 今日は若いお二方が日本の各地で、ここ京都でも、何やら面白い動きをしているということを、漏れ聞きました。そのKUMIKI PROJECTさんのことを、少しお話していきたいと思います。
ではゲストの紹介ですが、いつものように手抜きで他己紹介から入らせていただきます。くわばらゆうきさん、KUMIKI PROJECT株式会社代表取締役ですけれども、お隣に座っていらっしゃる小原さんは、いかなる人物ぞ(笑)。短く述べよ。
く: はい。京都生まれ、京都育ちですよね。もともとは車の営業とか、不動産の事務とか、いろんな事をやられながら、三カ月くらい前から、KUMIKI PROJECTをやっていこうということで、今一緒にやっています。
絹: KUMIKI新人、小原亜紗子さんです。さあ、今度は交代で、小原さん、くわはらゆうき氏とはいかなる人物か、短くお願いします。
小: はい、みんなにめちゃくちゃ愛されている若い兄ちゃんやなと思ったんですけど、ものすごく色んな事に目配り、気配りができる青年です。
絹: まだ、ひょっとしたら20代?30代?
く: 30代です(笑)。34です。実は同い年なんです。
小: そうなんです。
絹: おっちゃんは、倍ほどあります(笑)。
それでは番組タイトルを申し上げます。新聞記事で言うと、大見出しにあたるところです。「町にほしいお店をみんなでつくる!~KUMIKI Prj.ってなあに?」と題してお送りいたします。
さあ、ご両人、まだKUMIKI PROJECTについて、京都のリスナーさんは知っている人は少ないと思いますので、そもそもKUMIKI PROJECTって何?というところから教えていただけますか。
 

■エピソード1 そもそもKUMIKI PROJECTってなに?

 ●地域のみんなとお店をつくる
絹: さあ、ご両人、まだKUMIKI PROJECTについて、京都のリスナーさんは知っている人は少ないと思いますので、そもそもKUMIKI PROJECTってなに?というところから教えていただけますか。
く: KUMUKI PROJECTとは、「共につくるを楽しもう」をコンセプトに、お店をつくりたいと思う人がいた時に、そのお店を地域に住む方々と一緒に、素人さんを中心に、みんなでつくりあげるワークショップをやっている会社です。
絹: 普通お店をつくろうとしたら、設計事務所に相談したり、建設会社に相談したりして、大工さんなどいろんな職種のプロの人たちが寄ってたかって工事してしまいますよね。くわばらさん、私の本業、何かご存知ですよね(笑)。
く: 建設会社の大社長ですよね(笑)。
絹: いやあ、”大”じゃないですけど(笑)。ひょっとしたら、あなたたちは建設会社の仕事を奪う危ない人達なんですね(笑)。
 

●その第一歩をお手伝いしましょう!

く: ちがいます(笑)。我々は今の建設会社さんや建築会社さんのお仕事を奪うような存在ではなくて、逆に言うと、例えば予算があまりなく、そのためにお店をスタートしたかったけれども、これまでスタートできなかった人たち。そういう人たちがみんなで空間をつくることを支えることで、初めの一歩を踏み出しやすくするということをやっている会社です。
陸前高田1陸前高田2
絹: リスナーの皆さん、やっぱりこの人たちは危ない人たちかもしれない(笑)。いやいや、冗談です。すごく今、大切なことを教えてくださいました。スタートしたいけれども、資金がなくて、スタートしにくい人が、やりたいお店を始められる可能性を「どうですか?」と出してくださるチームかもしれないと。
小原さんは京都の人ということですけれども、くわばらゆうきさんは神奈川県の住人だと。遠いところから来てくれたんですよね。京都の人だったらもしかしたら(くわばらさんもご存知かもしれませんが)、五条新町という場所に、「つくるビル」という古いビルのリノベーションの事例がありますけれども、ご存知ですか?
く: 今日ちょうど見てきました。
絹: あそこも同じような考え方でリノベーションされたビルですが、リノベーションに関わられた石川さんは、このラジオのゲストにかつてなってくださいました。あそこはアーティストとしてスタジオが持ちにくい、工房が持ちにくい若い人たちを集めてスタートするというアート系のビルですよね。
小: そうですね。
絹: 今のお話で、KUMIKI PROJECTが想像しやすくなりました。じゃあ、もう少し詳しいところを教えてください。
 

●誰もが始めやすい社会をつくりたい

く: 一言でいうと、誰もが始めやすい社会をつくりたいという思いでスタートしてきたんです。その手法として、一般の人も含めてみんなで手を動かすので、愛着のわく空間をつくることで、誰もが始めやすくするというのを掲げてやっている会社です。
絹: 素朴な疑問ですが、僕ら建築工事でしょ。左官屋さんがいたり、鉄筋屋さんがいたり、クロス屋さんがいたり、ペンキ屋さんがいたり、大工さんがいたりするでしょ?色んなプロの技の集合体で、建築工事は多い場合、30種類とか40種類とかの職種の人がいっぱい集まってきて、それを束ねて工程調整をしたり、材料調達をしたりするのが建設会社の仕事なんですけど、結構難しくないですか?
く: そうですね。なので全部を自分たちでやれると思ってなくて、例えば「店をつくりたい」という依頼者の方がいた時に、プロがきちんとやるべきところと、みんなの手がかけられる部分をまず分けます。ですから例えば資格が必要だとか、電気や水道などは当然プロがきっちりやるべきですし、でも仕上げで壁にペイントをしてみようとか、そういうところはみんなでやれるので、ある意味でみんなでやれる部分をきちんと整理して、そこを地域の人とみんなでつくって、愛着のわく空間にするということを言っています。
絹: 面白いですね。そのイメージをリスナーの方々にももっていただくために、具体的な事例をいくつか教えていただけますか。
工夫
 

●京都のブックカフェの事例をご紹介しましょう

く: はい。今、全国でお店づくりをやっていまして、京都なので京都の事例をご紹介します。これは亜紗子さんと出会ったきっかけでもあるのですが、二条城の駅から歩いて5分くらいのところの町家です。
絹: 二条城のどっち側?
小: 東にちょっと入ったところですね。
絹: あの辺って、今ホテルラッシュで、大型のホテルの現場とか、あるところでしょ?堀川通よりも東の辺ですかね。
く: はい。そこで京町家をブックカフェとコミュニティスペースにしたいという方がいて、今年の10月に、まず壁面本棚をみんなでつくろうというワークショップをやりました。で、これからはみんなで中をつくっていくというのをやります。
絹: そのイベントのニュースをフェイスブックを通じて見させていただいて、行きたいなあと思って、「興味あり」とポチっとしたけど、仕事で「参加する」まで行けなくて、残念でした。取材したかったな~。あ、ここに参加者がいるんだ。小原亜紗子さんが…。
小: そうです。私は「興味あり」で、しかも「参加」にポチっとしたので。
絹: どんな経験をされたか、小原さんの口から語っていただけますか。
 

●参加してみてーめっちゃ面白い!

小: 私は木もそんなに触ったことがないし、トンカンしたこともないけど、何か空間づくりをみんなでするって、めっちゃ面白そうやなと思っていて、一回ちょっと問い合わせをしたんです。私は子どももいるし、「子ども連れでもいいですか?」とメールしたら、「全然いいですよ」みたいね。「工具なども一から教えるので、楽しみに来てください」と言っていただけたので、それでいざ参加してみたら、めっちゃハードル低かったんです(笑)。
それで「こんなことをやっている会社があるんだ」とか「みんなでつくるって、めっちゃ面白いな」と。
絹: 株式会社ですよね(笑)。
それでお子さんを連れて、二条城の東側の町家のところに。ブックカフェだから書店とコミュニティスペースというか、カフェが一緒になったようなもの?
く: 本が読めるコミュニティスペースですね。
小: 大きさとしては、四人家族くらいが住めそうな大きさですね。
絹: オーナーさんがいらっしゃいますよね。
く: オーナーさんは東京に住まれていたのですが、京都にお引越しされて、移住されてきた方で、ずっと出版社に勤められていて、独立して、ご自身で今出版社を、京都でやられている方です。
絹: まさに京都移住計画やなあ。
そもそも最初にくわばらゆうきさんを紹介していただいたのが、京都移住計画というチームを率いていらっしゃる田村篤史さんがご縁ですものね。東京から移住してきて、出版社勤務の人が自分で出版社を起こされて…。
 

●本のあるコミュニティスペースをつくりたい

く: で、二階に住まれながら、一階をまちに開いて、皆さんが集まれるような場所にしたいということでした。ずっと本の道で生きてこられた方なので、本のあるコミュニティスペースをつくりたいということで。
絹: 開店されたら、面白い本が集まりそうですね。行ってみたいなあ。コミュニティスペースがあったら、例えばパソコンとか持ち込んで、座り込んでコーヒーを飲みながら、原稿を書いたりもできそうですね。
小: できそうですねえ。
絹: 居場所、サードプレイス、コミュニティ空間、何か人と人をつなぐような機能を、そのオーナーさんはお求めになっているんでしょうか。
く: まちの人が気軽に訪れて、そこで人がつながることで、何か新しい動きとか、化学反応が起きたらいいなという思いをすごくおっしゃられていましたね。
絹: それって、くわばらさん自身にも共通するところがあるんじゃないですか。
く: はい、あります。
 

●僕自身、人と人がつながる機会を増やしたいという思いがとても強いんです

絹: くわばらさんは別の手法というか、職人さん未満の、素人よりはちょっと色んな技術を持った人たちを通して、例えばいろんな訓練だとか、工具だとか、人を集めたり、見つけたり、プロデュースする能力のある人たちの活動を通じて、人と人とのつながりを結果的につくることを目指している…。ひょっとしたらそれがKUMIKIの目的なのかもしれない。
く: そうです。人と人がつながる機会をたくさん増やしていきたいなという思いはすごく強いですね。僕らの「みんなでつくる」という手法で空間をつくることも、出来たら終わりではなくて、お店ができた後に、そこで人が繋がっていってほしいという思いがあるので、お店が完成する前から、みんなで手を動かして、「あそこでお店をつくったよね」と、みんなが戻ってきてくれるような、そんな繋がりができることに意味があるなと思っています。
 

●愛着をつくるということ ー オーナーにとって、参加者にとって

絹: すごい賢いなあと思う部分もあって、例えば小原さんみたいに、ブックカフェのワークショップに出て、実際にベビーを連れて、トンカチやった。そこで一緒になって、本棚をつくったりした人と当然知り合いになりますよね。で、くわばらさんがおっしゃったように、自分がちょっとでも手を入れた場所は可愛いわねえ。
小: それはそうです。
絹: うちらでも例えば自分が建築現場や建設現場へ行って、地図に残る仕事や建物ができたら、終わった後も元気にしているかなとか、こないだの台風で大丈夫やったかなとか、近所でボヤが出たら大丈夫かなと気になって見ていたりするのが建設屋ですから。そういう気持ち、すごくわかる。ということは、お店が出来る前にファンがそこに一定数…。ずるくて賢い方法だなあ(笑)。
く: ずるいですか(笑)?
絹: いやあ、いい意味で!いい意味で賢いというか、オーナーさんにとっては初めからファンというか、サポーターというか、がいるわけで…。きっとこの人は本を買いに来てくれるに違いないとか、コーヒー飲みに来てくれるに違いないとか。あるいは知り合いに「ここちょっと、ペンキの塗り方下手やけど、僕がやってん。見て!」とかあるかもね。
く: オーナーさんにとってもそういう意味もありますし、逆にワークショップに参加される方にとっても、自分のまちとか、自分の住んでいるところに欲しいお店を自分でつくるということは、これまであんまりなかったと思うんです。そこに参加出来るということは、毎日の暮らしをちょっと豊かにすることでもあると思うので、本来は欲しいお店を自分で増やしていくということが、オーナーさんと一緒にできたらなと。
絹: 何かようやくKUMIKI PROJECTの概要が、自分の中で分かりかけてきたというか、「あ、狙いはそこかあ。賢いなあ」と思いました。
く: ありがとうございます(笑)。
絹: 初め田村篤史さんから、「こんなことをやる人物です」とくわばらさんを紹介されて、目が点になって、何のことかチンプンカンプンで、長いことわからなかったんですけど、そういうところは我々と思いは一緒かもしれませんね。我がまち京都を愛する人、「京都って、捨てたもんじゃないよね」と、まちに関わることを良しとする。自分の家に引きこもるだけじゃなくて、なにか他の人に役に立つようなこと、できることをちょっとだけして。それは門掃きかもしれないし、僕がやっているこのコミュニティFMの放送で、京都のまちをちょっとでも暮らしやすくするような人を呼んできて、お話を聞かせていただいているというのも、そういう意味では通奏低音をちょっと感じますね。
く: はい、そう思います。
絹: おう、なんかうれしいなあ(笑)。
 

■エピソード2 KUMIKI PROJECTのいま、そして今後

●京都にKUMIKIの拠点ができました
絹: さあ、そういうKUMIKI PROJECTのくわばらゆうきさんと小原亜紗子さんです。なにやらあちこち日本全国を飛び歩いているご様子ですけれども、京都にも拠点ができたという話を聞きましたので、今後京都でブックカフェ以外にも何か物事が起こりそうなのかとか、京都におけるお仲間、あるいは拠点、それからKUMIKI PROJECTが今後京都で何かやらかしそうという情報があったら教えてください。
く: 今、僕らは京都の五条のウエダ本社さんという会社に、事務所を間借りさせていただいていて、小原さんはそこに基本いるので、京都でも…。
絹: 何ビルのほう?
小: 北ビルです。
絹: 五条通の北側のほうですね。ウエダ本社の北ビル。何回か行っています。素敵な場所ですね。
小: めちゃくちゃきれいな、素敵な場所ですよね。
く: 岡村社長という素敵な社長の御厚意で。
絹: 岡村社長も私の尊敬する経営者のお一人で、このスタジオにも座って下さったことがあります。「京都流議定書」というすごいイベントを長年なさっていて、今年かな、去年かな、一旦閉じるということをおっしゃいました。「なんであんなことができんの?」と思うような動員力というか、ゲストの英断とか、すごい人だなと思って、ここに来ていただいたことがあります。だからうれしいなあ。岡村さんのところに拠点があるというのは。そこにおられるのは小原さんお一人ですか?
小:  そうなんです。基本一人なんですけど、ウエダ本社さんの社員の方と一緒にお仕事したり、雑談しながら「それ、今度やってみる?」みたいな話とか、1人じゃない感じがして、すごくいい空間です。
 

●キーワードは「do it together」

絹: さあ、KUMIKI PROJECT in Kyoto は何かなりそうですか?
く: 大きく2つの事が今、動いていて、これからもやっていくのですが、1つは京都の空き家などでお店を始めたいという人が出てきた時に、地域の人と一緒になってお店づくりをサポートするという、今全国でやっていることを、より京都でもっと形にしていきたいなというのが1つです。あとは今、ワークショップをやる時に、ワークショップで先生をやる人も、できれば地域の人が先生になって、地域の木材を使って、地域で始める人を支えるという循環をつくりたいと思っています。
絹: つまりDIYを、日常大工レベルを超えた、何か新しい言葉をつくっておられましたね。
く: DITと言っていまして、「do it together」、「共につくる」という意味なんですけど。
絹: DIYからDITへ。do it together。
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く: その先生を地域でものづくりが好きな方になっていただいて、地域の中で地域を元気に魅力的に変えていくのを、どんどん進められるような仕組みを、まず京都できちっと形にしていきたいなと思っています。
絹: 先ほど雑談で話した京都建築専門学校があるんですが、そこの卒業生で講師をお務めになっている吉田玲奈さんという方がおられます。日暮手傳舎(ひぐらしてったいしゃ)というチームを率いていらっしゃる女性の設計士さん兼大工さんで、アーキテクトビルダーという領域を切り開いていらっしゃる方です。その方がひょっとしたらKUMIKIさんのお話をすると先生役になってくださる可能性があるかもしれません。
く: ぜひご一緒したいと思います。
絹: また可能であればご紹介したいと思います。
 

●同時多発的に新しい動きが、あちこちで…

絹: また、この間、くわばらさんたちと同じような若い年代の方が、「UNKNOWN五条楽園プロジェクト」を始められたようです。五条楽園というのは、五条河原町東側の辺りなんですが、昔の遊郭の跡地で、地元の人もあまり近づかないと言うか、子どもの時は「近づいてはいけない」と言われた場所でした。そこの空き家で昔のお茶屋さんというか、遊郭の跡地を「コーリビング」という言葉を使って、住むところと仕事するところと遊ぶところと食べるところを一緒につくらないかと、若いチームが発信しています。同時多発的に毛色の少し近い人たちも動いているかもしれませんね。面白いですねえ。今後このKUMIKIの動きはどう発展するのかな。
く: いつもみんなで話している事なんですけど、自分たちで全部できるとは思ってないんですね。で、始める人をまちにどんどん増やしていって、そこからその地域に愛されて、例えばもっと大きなお店にしたいと言った時には、その時にはたぶん出せるお金も増えているから、きちんと建築のデザイン会社にお願いするとかできると思うんです。だから始める人をまちにどんどん増やせたら、それを皆さんと一緒に協力しながらできたらいいなと思っています。
絹: うちの会社でも、五階建ての共同住宅、いわゆるマンションみたいなものを建設した時に、そこの設計士さんが少しくわばらさんと似た思想を持っておられて、全部職人さんにやらせないで、例えばワックスがけだとか、ペンキ塗りだとか、一部だけでも失敗してもいいから、入居する家族でやりましょうというので、アウロのワックスをみんなで無垢のフローリングに塗り込んだりしたんです。そういうことをすると、工程調整が難しかったり、本職に任せた方が早かったりするんですけど、「いや、敢えてやりましょう」という工事をやったことが昔あります。やっぱり関わると愛着が違いますよね。
く: そしてやっぱり職人さんのすごさをちゃんと理解していただく事にも繋がると思うので、あんまり受け身じゃなくて、自分も関わることで、主体的な人も増えていくかなと思っています。
絹: さあ、無理矢理にまとめに入る時間かな(笑)。
リスナーの皆さん、どうですか、お聞きになっていて。前にもお話したことがあるかもしれません。僕たちは1980年代に大学生だったのですが、その頃から色んなものがハサミでチョッキン、チョッキン切られて、くわばらさんの言葉で言うと繋がり、人との連携プレイが注意深く切られているような、そんな育ち方をしたような記憶がございます。それを今、30代の若い人たちが色んな分野で切れたものを、別の回路で繋ぎなおそうとしている。こういう動きが同時多発的に起こっているような気がします。これは有難い。我がまち京都がより元気になる1つのヒントが彼らの動きの中にあるのかもしれません。是非KUMIKI PROJECTの動き、彼らは発信力がありますので、フェイスブックや色んなもので追跡していただけたらなと思います。それでは閉じる時間になってまいりました。
この番組は心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力再生プロジェクト、京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。くわばらさん、小原さん、ありがとうございました。
両: ありがとうございました。
投稿日:2018/12/26

第142回 ・”みんなごと”のまちづくり推進事業 ~ひとごとではなく、「自分ごと」、「みんなごと」としての協力とは?

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まちづくり“チョビット”推進室<平成30年11月放送分>

坂: 坂巻 譲理氏(京都市総合企画局 総合政策室 市民協働推進係長)
牧: 牧野 杏里氏(京都市総合企画局 総合政策室 市民協働推進コーディネーター)
絹: 絹川 雅則 (公成建設株式会社)
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左 坂巻氏  右 牧野氏
絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト、近い所から来てくださいました。いわゆる御池城、京都市役所総合企画局からお二方をお招きしております。ご紹介します。坂巻さん、どうぞ。
坂: 京都市総合企画局 総合政策室 市民協働推進担当の坂巻と申します。よろしくお願いいたします。
絹: よろしくお願いします。坂巻譲理(ゆずる)さんです。そしてもう一方。
牧: はい、私は市民協働推進コーディネーターをさせていただいております牧野と申します。よろしくお願いします。
絹: 牧野杏里さんは、私とは都市計画局系の財団である京都市景観・まちづくりセンター(※通称:まちセン)で、ひょっとしたらすれ違っていたかもしれないという…。
牧: はい、実は5年ほど前にすれ違っております(笑)。
絹: ということで、お二方をお招きしてお送りいたします。
さあ、今日の番組のタイトル、テーマですが、「“みんなごと”のまちづくり推進事業~ひとごとではなく、”自分ごと”、”みんなごと”としての協力とは?」と題してお送りいたします。
ゲスト紹介で、総合企画局の市民協働推進の係長さんとコーディネーターさんということで、「なんか肩書が長くてよくわからん」と、リスナーの皆様は思っていらっしゃるかもしれません。そこでいつものように番組進行者が手を抜きまして、ゲスト紹介に代えて、他己紹介というのをやります。
それでは杏里さん、坂巻譲理さんとは、いかなる人物ぞ。短く述べよ(笑)。
牧: なかなか改まって言う機会がないんですけど(笑)。坂巻さんは、私の目の前に座っている、いかにも行政マンという見た目の感じですけど、話すとすごく女性的な、すごくきめ細かい心遣いが端々にあって、私よりも女性っぽいなと思う瞬間のある(笑)、やさしい人です。
絹:  ほう、フェミニン坂巻(笑)。ありがとうございます。それでは今度は坂巻譲理さん、牧野杏里さんとはいかなる方ですか。
坂: フェミニン坂巻です(笑)。牧野さんは目の前の席に座っているんですが、常にペットボトルとかジュースとかが4~5本あって、だいたいトマトジュースは置いてあるんですけど(笑)、「この人は一日にいったいどれだけジュースにお金を使っているんだろう」と不思議になる感じの方です(笑)。
絹: わかりやすい一面を、ありがとうございました(笑)。リスナーの皆さん、こんな方お二人が来てくださいました。では、エピソード1に入ってまいりましょう。
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■エピソード1 ”みんなごと”のまちづくり推進事業って、なあに?
    ●”みんなごと”と考える市民の皆さんをご支援していきたい
絹:  「”みんなごと”のまちづくり推進事業」って、たぶん知っている方は知っているけれども、知らない方は知らないという用語ですから、まず基本からお願い致します。
坂:  これまで行政は、まちづくりに対して主に補助金を出すというパターンで支援していくことが多いと思うのですが、過去の経過も踏まえて、今、市民の皆さんがそれぞれ、まちづくりを”自分ごと”、”みんなごと”として考えて行動していこうという団体さんが増えてきていまして、それを行政として支援していこうとやっております。
絹: 皆さん、ちょっとイメージしていただきたいんですけど、古いステレオタイプの市民、例えば絹川というおじさんがいたとします。「ワシ、市民税払てるし、街路樹の銀杏の葉っぱ、ワシんとこの家の門の前にいっぱい溜まってるし、臭いし、掃除しに来て」というのが古いステレオタイプの市民Aの姿です。一方で、「僕らは税金払ってるけど、できる事は自分でやるし、なんぼ京都市が大企業で、社員数1万人いたとしても、予算は限られてるやろ。できる事は手伝うわ。行政だけではアイデアもわかへんやろ。これ、一緒にやらへん?」というのが、新しいタイプ市民A’の姿です。どっちかな、皆さんは(笑)。
そしておそらくは「みんなごとのまちづくり推進事業」というのは、そういう新しいタイプ市民A’の声を束ねて、「一緒にやろうぜ」という、言いだしっぺを集めておられるような組織になるんですか。
 
●「まちづくり・お宝バンク」ってなに?
坂:  そうですね。実はこの「みんなごとのまちづくり推進事業」の根幹に、「まちづくり・お宝バンク」という仕組みがあります。例えば家の近所の川が汚れているとか、先ほどお話にあった銀杏の葉が落ちているというようなことがあれば、それをどうやってきれいにしていくか、例えば掃除の風景などをインスタグラムなどにあげたり、楽しくみんなを巻き込んでやろうとか、そういったマイナスのものをプラスに代えてまちづくりに取り組んでおられる団体が、今307件ほど登録しておられます。より清掃活動を楽しくやるとか、建物をもう少しきちんと保存していこうとか、色んな活動をされている団体が繋がって、活動が活性化していくための仕組みが、「まちづくり・お宝バンク」という提案制度になります。
絹:  イメージしていただきやすいように事例をちょっとご紹介したいと思います。フェミニン坂巻さんがおっしゃった、繋いでいくという話について、最近のゲストなんですよ。「七条大橋ライトアップ2018を応援してください」というチーム、これの母体は「七条大橋をキレイにする会」なんです。
坂: はい、お宝バンクに登録しておられます。
絹: でしょう?小林明音さんとか、酒谷宗男さんとか。彼らは毎月7のつく日に七条大橋をキレイにしようとお掃除を始めた。で、なんでか知らんけど、人がわらわら集まってきて、勝手に盛り上がってしまっていると。なんか土木遺産としての七条大橋を大事に愛して下さるというのは、建設屋としては涙が出るほどうれしいんですけど、例えばそういうことですね?
坂: はい、そういうことです。
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●プロから技術的なアドバイスをもらえます!ー市民サポーター派遣制度
坂: この「まちづくり・お宝バンク」というものを根幹に、それぞれの提案が実現できるように、いくつかの制度があります。例えば「市民サポーター派遣制度」というのがありまして、様々なスキルを持った市民の方が、今、70名ほど登録をいただいていまして…。
絹: 市民サポーターって、70名も登録しておられるんですか。杏里さんのコーディネーターとサポーターとはまた別のくくりなんですね。
牧: 私も大きく捉えればサポーターの1人だと思うんですけど、市民サポーター派遣の方たちは、より技術的なスキルや専門的に特化したアドバイスをしていただける方かなと思います。
絹: 市民の中で、専門家としてある種のプロフェッショナルな技能を持っていて、それをもってビジネスとして関わるのではなく、ボランタリーに京都市のまちに対して関わってもいいよと言っている人たちですね?
牧: この「お宝バンク」に関わっている人たちは、「自分たちでやろう」とリーダーシップを発揮したりする人が中心であるのに対し、サポーターの方は、自分が何か思いを持っていると言うよりも、思いを持っている人を手伝いたいという社会貢献の仕方もあるというところで、そのサポーターさんが本業の職能を活かしてコミットしていただけるということです。
絹: ただし、そこに賃金は発生しないと。
牧: そうですね。発生しないです。熱意と思いと(笑)。
写真3
 
●知恵と思いを繋げると…
絹: これを「やらせぼったくり詐欺企画か?」というような陰口をたたく人はいないんでしょうか(笑)。
今のは半分冗談ですけど、京都市は賢いなと思うんですけど、人のボランタリーな思いというのを、ビジネスとして、金銭的に換算するととんでもない額になってしまう。でも「自分たちの玄関先に落ちている落ち葉やゴミを拾って、それでなんで請求せなあかんの?」という人たちも世の中には一定数おられるはずだと。行政が仲立ちになって、そういう人たちを結びつける糊になったら、すごく面白い事が実際に起きているんですよね。
坂: はい、そうですね。お宝バンク同士での繋がりが生まれたり、イベントをやったりといった動きもどんどん出てきています。
絹: 先ほど坂巻さんが、「特徴があるんです」と。「補助金ないんです」と(笑)。
坂: 大見得切って言っていいのかどうかわからないんですけど、お金がありません(笑)。
絹: いやあ、だから知恵と思いとで、京都市全体が、京都市のある片隅がちょっと暮らしやすくなる、生きやすくなるというようなこと、その種が「お宝バンク」の中には、ひょっとしたらいっぱいあるのかもしれませんね。
専門家的な職能を持っておられるサポーターの方が70数名おられて、お宝バンクのネタというか、アーカイブ数というのは結構あるのでしょうか。こんなふうにしたいとか、思いの数はいっぱい集まってきますね。
坂: 思いを提案という形で受け付けさせてもらっているんですけど、現在307件、ご登録いただいております。
絹: その307件が、ひょっとしたら形を変えて、京都市の政策になっていったりするんでしょうか。
坂: そうですね。場合によっては、それが政策に繋がって行ったりすることもあります。自分たちの活動が飛躍するのがメインではありますけれど、そういった部分もあります。
 
●活動進化プログラム「公開講座」・「伴走型支援」をご用意しています
活動が活性化するための支援としては、先ほどお話した市民サポーター派遣のようなスポット支援する制度や、お宝バンクの提案が実現するように「活動進化プログラム」といったものもご用意しています。このプログラムには、まず「公開講座」として、スクール形式の講座型で、企画広報・資金調達等を学べるスクール+ワークショップになります。
また、「伴走型支援」は、お宝バンクの中でも重点的に支援した方がいいという団体を支援する個別団体対象のメニューもあります。

●交流会も開催しています!
また、1年に一回なんですが、来年1月にお宝バンクの交流会を開催する予定です。去年は150人ほど、お宝バンクの提案者と、提案を考えている人たちが集まった交流会を開いていまして、こういった色んなメニューを通じて、それぞれの団体が繋がったり、学んだりしながら、提案を実現していただくという仕組みになっています。
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●3つの支援レイヤを解説しますと…
絹: いやあ、面白いし、よく考えておられますね。150人集まった交流会は濃い面子でしょうねえ(笑)。おもしろそうな人たちが集まりそうですね。
今、3つのレイヤがありましたよね。第一段階の第一レイヤはレクチャーと、「こういうところに入門したいな、どのようにして活動したらいいのかな」という人向け。「何か役に立ちたいけど、やり方わからないし」という人向けですね。 で、伴走型というのはある程度熟達してきて、「一緒に走る人たちがいればカタチになるかもしれない」という次元の人たち向けということですか。
坂: まさにその通りで、伴走型というのはある程度はまちづくりを経験した方が、さらに飛躍していくために個別団体とそれぞれ連携しながら実現していく制度になっています。
 
●まちづくりって、なんでしょう?
絹: また介入してちょっと意地悪な質問になりますが、頭を切り替えるために、まちづくりという言葉、非常に定義が難しいですけれども、杏里さんにとって、まちづくりって、平仮名に言い換えたらどのように言いますか。これ、ものすごく困らせる、大学のゼミなんかで公共政策でよくやられることじゃないですかね。
牧: 本当ですね。もうこれ、私自身も永遠のテーマだなと思っているんですけど(笑)。
私、元々は都市計画系だったので、ハード整備かなと思っていたんですけど、まちセン時代にどんどん学区のまちづくりに入っているうちに、やっぱり結局は人なんだなと思ったんです。なので、「人づくり」と簡単に言ってしまえばそうなるのですが、その人たちの思いが続くようにすることがものすごく大事だなと思っているので、そういう意味で仕組みづくりや環境づくりも入るのかなとも思っています。
絹: ハードもソフトも色々あるけれども、「京都に住んでいてよかったな」「我がまち、京都も捨てたもんじゃないな」という思いだとか、色んなアイデアとか、助けだとか、人とのつながりも含めて、「なんか去年より暮らしやすくなったな、生きやすくなったな」という思いに連なる活動がまちづくりかもしれないと、今なにか勝手に思いつきましたけど(笑)。

■エピソード2 まちづくり・お宝バンク、具体的な事例をご紹介しましょう
  ●駐輪場のアプリ開発から
絹: さあ、そろそろエピソード2に入って行きましょうか。もうだいぶエピソード2のケーススタディについて喋ってしまいましたが、それぞれ「この事例について聞いてぇ」みたいな事例はないですか。杏里さん、どうですか?
牧: 私はこの4月からこの職につかせていただいたので、まだすごく新鮮なんです。学区のまちづくりとはまたちょっと違う形でというと、京都のまちは今すごく観光が盛んになっていて、さらに観光客が来ていると思うんですけど、駐輪場がないという話があります。でも実は駐輪場はあるのに、場所が把握できないだけじゃないかと、ご自身がシステムエンジニアのご経験を持っていらっしゃる若い女性のお二人が…。
絹: アプリケーションをつくっちゃった。
牧: そうなんです。駐輪場の場所がわかる「charip naVi(チャリップナビ)」というアプリをつくられた方がいらっしゃいまして、それを京都市の情報化推進室の方で公開しているオープンデータをアプリに落とし込んで、より市民が使いやすいようなサービスに使ってみたという提案がありました。
絹: いやあ、知らなかったです。すみません。
牧: いえいえ、私も入ってすぐご提案いただいた取組で、すごく衝撃を受けたんです。
 
●行政の縦割り、民間と行政の壁を越えて
牧: しかもそれが単につくって終わりではなくて、駐輪場の運営等、事業者さんにも情報を還元したい、あるいはアプリのサービスを向上するために事業者さんと連携したいということになりました。そこで今は自転車政策推進室とか、情報化推進室とタッグを組んで、情報交流をして、民間事業者さんともやり取りをしながら、具体的に話が進んでいるところです。
絹: タッグを組んでというのは、行政の縦割りじゃなくて、行政の内部でも他の部門とタッグを組んで、そのタッグを組む相手も民間とも組んでということですね。すっごい大事な事をさらっとおっしゃいましたね。
牧: そうですね。今、さらっと言っちゃいましたが(笑)、お宝バンクや市民協働の方に、「どこに相談したらいいかわからない」という課題も持ち込んでいただきますと、その内容に合うんじゃないかという所に、こちらの方が調整させていただきますので、「ちょっとお話を聞くだけでも」という形で、どんどんと懐に入っていければと考えています。
絹: いやあ、ええ仕事したはりますねえ。また、いらんこと言いますが、今、牧野杏里さんがおっしゃってくださったことで、思い出したんですけど、オープンデータという言葉があります。行政は公共がため込んでいるある種のものを、できる限り民間にオープンにすることで、今おっしゃったような色んな連携が生まれるといいよねというふうに考えていらっしゃる節があります。
我がチョビット推進室でも、平成29年の3月放送、第128回で「OPEN DATAの開く近未来」と題して、同じく総合企画局の情報化推進室の清水和孝さんという方に語って頂いた歴史がございます。そこから進んでいるんだと思うと、なんかうれしいですね(笑)。はい、ごめんなさい。どうぞ続けて下さい。
 
●子育て環境を考えていくと…繋げて広げる
牧: もともと子育ての環境をよくしたいと思ってらっしゃる女性の御提案者の方は多くいらっしゃるのですが、その団体さんの先に、京都大学で科学的に親性(母性ではなくて、親性)を研究されている研究室に繋がりました。母性は先天的に持っているものではなく、経験則、経験知で養われる部分も非常に多い(従ってお父さんや近所の人たちも育児に共に携われる)というところを科学的に研究されている先生から、「是非こういった知識を、現場の専門家の人たちに還元したい」というお申し出がありました。この思いを受けまして、「育成推進課」という専門家の方の研修をされている担当部署にお繋ぎしたところ、実際の研修会に先生にご登壇いただくという形で、先日、できたてホヤホヤで連携が実現したばかりです(笑)。
坂: ここで言う専門家というのは、保健師さんとか、助産師さんとかの勉強会の集まりです。
絹: 総合企画局というのは、京都市全体のコーディネート役みたいな感じで、やっぱり企画という言葉が入ると、そんな仕事なんですね。
坂: そうですね。コーディネート役でもあります。
絹: 政策立案の種みたいなものも、耕していらっしゃるんですね。
牧: ダイレクトに政策に繋がるかは、今の段階ではわからないですが、そういう関係をつくっていった先に「やっぱり政策として用意した方がいいよね」という話になるかもしれません。
絹: それが発展していくということなのかもしれませんね。フェミニン坂巻さんは、何かお薦めのケースとか、ありますか?(笑)
 
●車いす点検ボランティアー区役所・支所に繋ぐ
坂: お薦めと言われると、307件全部お薦めしたいんですけど、ちょっとホットな話題で、今日の午前中発表された新しい活動があります。「京都車いす点検ボランティア“スイマルク”」という団体さんの活動で、実はこの団体は昔から病院とか、福祉施設などで、点検されずにそのまま管理されてない車いすが多くありまして…。
絹: 病院の廊下に「どうぞお使いください」と置いてあるけれども、実はメンテナンスが追い付いてないかなというのもあるんですね。
坂: それをボランティアとして点検をしていただくというような活動をされている市民団体の方々です。実は京都市の区役所でもそういった車いすがあるだろうということで募ったところ、今日は南区役所の方で点検活動をしていただきまして、5台の車いすの点検を頑張っていただきました。前職は新幹線の点検をやっていた方とか…。
絹: めちゃめちゃプロやないですかあ。
坂: それはもうリーダーの方でプロなんですけど、逆に染色のお仕事をやっていたとか、畑違いの方も多くいらして、様々な方が引退後もスキルを活かしたいとボランティアに取り組んでおられるので、私はもう涙が出てきそうなくらい、本当に一生懸命やっていただいているなあと思います。
絹: いやあ、ええ話ですねえ。
坂: また明日も伏見区役所と醍醐支所の方も回って点検していただけるということで、ホットな活動をご紹介させていただきました。
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●”みんなごと”のまちづくり推進事業の展望
絹:  ありがとうございます。複数事例を教えていただきました。リスナーの皆さん、これ、ほんの氷山の一角のようです。こういうものが307件あるということで、すごいなあ。
この”みんなごと”の、あるいは”自分ごと”のまちづくり推進事業、展望と言いますか、この先ベクトルとして、あるいは着地点として、こうなったらいいよねみたいなことを、コメントいただけますでしょうか。
坂:  なかなか難しい質問ですが(笑)、基本的には”自分ごと””みんなごと”として、それぞれの団体が頑張っておられるのですが、活動が行き詰まったりとか、伸びて行かなかったりなど、それぞれの課題があるなかで活動されています。お宝バンクの提案がこれからもどんどん増えて行って、それぞれが連携しあって、違う方向性を見出したり、活動が飛躍するなど、課題を解決できるよう、行政としてもサポートできればと思っています。

●捨てたもんじゃないでしょ?わがまち京都
絹: ありがとうございます。リスナーの皆さん、今日お二方のお話をお聞きになって、いかがでしたでしょうか。これは私の率直な感想ですけれども、わがまち京都は、やっぱり捨てたもんじゃないなという思いをまた一段と強く致しました。と申しますのは、なさっていることが本当に地道でしょ?で、潤沢に資金があるわけでもない、予算がついているわけでもない、市民の善意とプロフェッショナリティーと、思いと、それをなんとか紡いで、行政ができるところは既存の行政の持つパワーをそこに少し加えて、何か新しい事が生まれたらいいよねということを、本当に地道に続けていらっしゃいます。実はわがまち京都は市民協働、市民と一緒に汗をかいて、一緒に働くということの、日本の中でも実は先進都市であるということを、研究者から教えていただいたことがあります。市役所の皆さんは、特に総合企画局の市民協働の人たちはそういう人たちとして、ここにおられるんですね。いかがでしたでしょうか。
この番組は心を建てる公成建設の協力と、そしてかつては京都市景観・まちづくりセンターのお助けでお送りいたしました。ありがとうございました。坂巻さん、杏里さん、ありがとう。
両: ありがとうございました。
投稿日:2018/11/19

第141回 ・火の用心お願いします ~多発する地震、水災に備えて

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まちづくり“チョビット”推進室<平成30年10月放送分>

山: 山内 博貴氏(京都市消防局 次長)
絹: 絹川 雅則 (公成建設株式会社)

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左 山内氏   右 勝田氏

⑥本日スタジオにて
絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト、非常にガタイのいい方をお招きしました。ご紹介します。京都市消防局 次長でいらっしゃいます山内博貴さんです。
山: はい、こんにちは。昔から「地震・雷・火事・親父」ということわざがございますが、そのうちの地震と雷と火事を担当しております京都市消防局次長の山内です。
このラジオカフェ、京都三条ということですが、実は私も京都出身でございまして、中京の二条駅の西側辺りで生まれ育ちまして、京都の文化・生活・京都の言葉の中で育った一人であります。子どもの頃に耳にしたのが、「儲かりまっか」と「ぼちぼちでんな」という言葉ですが、「ぼちぼちやったらええがな」「商売繁盛笹もってこい」と、こんななかで、全国の仕事の中で1つや2つ、商売繁盛しない方がよい仕事があるとすれば、私の消防の仕事なんですけれども…。
絹: 今年は忙しいですねえ。
山: 6月18日に大阪の北部に地震があり、この中京も震度5強でした。9月には北海道胆振東部でも地震がありましたし、その間7月最初に西日本の豪雨があり、岡山や広島で大きな被害がありました。そして今年は台風が25号まで発生しまして、京都にも何回も上陸、特に9月の台風21号は最大風速50mで、昭和36年の室戸台風以来ということで、いまだにブルーシートをかけている家をよく見かけます。
②7月豪雨被災地に向け応援出発7月豪雨被災地に向け応援出発
絹: うちの実家も、上京の母の家がやられまして、屋根のスレート板が飛ばされて、押さえ金物も飛ばされて、よくご近所さんの窓を突き破らなかったものだと…。
山: 工事はまだですか?
絹: お陰様で本職なもので(笑)、雨漏りをとめて、足場撤去したところです。
山: それから今年は夏は非常に暑くて、気温が38℃39℃と出ました。お風呂ならば38℃や39℃はぬるま湯で気持ちがいいなと思うんですけど、気温となると熱中症ということで、去年の倍、救急車が熱中症で走りました。24時間365日、災害現場対応をしておりますので、少しそういうお話を今日はさせていただいたらと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
絹: よろしくお願いいたします。繁盛してはいけない仕事、京都のまちを守って下さっている、そこの言わば元締めとも言うべき山内次長であります。
共通の知人にご紹介いただいたのですが、「山内さんなあ、空手三段やし、囲碁三段やし、詩吟の上師範代の腕前やし」とのことで、まあすごい人です。ということで、リスナーの皆さんご期待ください。
山内さんに決めていただいた本日の番組タイトル「火の用心お願いします~多発する地震、水災に備えて」と題してお送りいたします。
ではエピソード1に入ってまいります。山内さん、まずは「火」からですね。

■エピソード1 多発する地震、心配なのは大火事です!

 

●京都に地震が来る恐れは、十分にあります
山: 「火の用心お願いします」ということで、まず地震の話なんですが、地震と言えば、平成7年の阪神淡路大震災、これが我が国の地震対策の大きな転換点になりました。その後、東日本大震災、それから最近では熊本の地震で石垣が崩れたりして、今年も大きな地震が発生しております。
「京都は地震来るのかな」と、皆さん心配されるお声をよく聞きます。これは聞かれたことがあるかもしれませんが、地球は地殻(これは卵の殻に覆われていると思っていただいたらいいんですが)が、マントルの影響でずっと動いております。ちょうど日本列島の南側にその地球の殻が2つ重なっていまして、太平洋から来ている殻が下に、日本列島の殻が上にあるんですけど、毎年それが数センチずつ、下の方が沈んでいって、上の日本列島の方がそのひずみ・圧力で歪んできているわけです。これが100年から150年で跳ね返るのが、よく聞かれる「南海トラフ」ということです。京都は海から遠いので、少し時間がありますけれど、その湾曲している「南海トラフ」のエネルギーがたまっている時に、上にある日本列島の地殻には傷がある所(それがいわゆる活断層)がありますので、それがミシミシと揺れます。ですから「南海トラフ」の前に、直下型の地震が活動期に入っていると言われているわけです。
絹: 皆さん、今、山内さんのたとえ、わかりやすかったですね。卵の殻みたいな所に傷があると。それが断層やと。有名な市内の花折断層、あれは傷ですか?
山: そうです。川のある所、山の裾は、隆起していたので、そこに水が流れ、堆積して、逆に我々はお酒を造ったり、豊かな文化がこの京都で育まれたわけです。いわば裏返しなんですけど、そういう意味でも、京都も地震が起こるかもしれないということは、非常に懸念をされておりまして、備えが必要ということです。

●火事を消す水はどこから?
山: 一番心配されるのは、地震が発生した時の大火事だと思うんです。
絹: この間、山内次長がご登壇になっていたシンポジウムでも、糸魚川大火、あれは2年前ですかね。そのパワーポイントのスライドで話されましたね。あんなことをイメージしなければいけないわけですね。
山: 阪神淡路大震災の時は、長田町が大きく燃えまして、京都市消防局もその時派遣して、その時の水は長田港という港から汲んだんです。
絹: 海の水を運んでこられたわけですね。
山: そうです。糸魚川も港から汲んで、ホースを伸ばしたわけです。京都は内陸都市ですので、海がないということで、大きな火災が起きた時に、消す水は大丈夫なのかということが、心配の種だったんです。我々は阪神淡路大震災以降、火災の段階を3段階にわけまして、火事が発生した時は火事の卵の第一段階、それが1軒燃えたら第二段階、そしてそれが大きくなったら第三段階と火災の大きさを3つに分けまして、まず真ん中の1軒燃えた時が、我々消防の仕事ですので、消さなければなりません。そのための水があるのかというのを、少しだけご紹介したいと思います。

●京都の消火の備え①―消火栓
山: まず水道管というのが走っていて、皆さんのご家庭で蛇口をひねると水が出ますが、その水道管から配管を伸ばして、消防隊が現場で使用する消火栓に繋げています。道を歩いていただくと、30センチ四方くらいの黄色い蓋が消火栓なのですが、だいたい京都の道の辻々にあります。市内でいくつぐらいあると思われますか?
絹: いやあ、「わかりません」と言いたいところですが、この間、事前のヒアリングで教えてもらったんですよね。「24,000以上あるんやで」と教えてもらいました。
山: その蓋を開けて、ホースを繋いで、消防車につけて、消防車のポンプで加圧して、ホースを伸ばすわけです。その水は水道管ですので、ずっと出せますので有効なのですが、少し課題があるとすれば、地震で揺れたらそれが切れて、断水するということがあるわけです。

●京都の消火の備え②―防火水槽
山: そこで、もう1つの備えが防火水槽です。これは地面にコンクリートの塊の水槽を埋めるのですが、そうなると地面と一緒に揺れ、耐震性があるので、地震に非常に強いということです。色んな種類があるのですが、だいたい大きさが40㌧、100㌧という大きな水槽です。それがどのくらい消せるのかと言いますと、プロの消防隊がホースの先から水を出すのが、だいたい分0.5㌧くらいですので、2人の隊員ですと合わせて1㌧、40㌧ですと40分間、100㌧ですと100分間出せるのですが、これの課題は全部出したら水がなくなるということです。

●京都の消火の備え③―川・水路
山: いよいよ第三段階に行った時に、京都では例えば鴨川の水とか、プールの水等を活用しなければなりません。こうした大規模災害への備えについては「京都のまち全体で守っていこう」ということで、今議論をしている最中です。以上のような形で、大規模災害にならないような水の備えをしています。
絹: 堀川に水のせせらぎが復活してだいぶになって、「京の七夕」といったイベントがあったりしますが、注意深く見ていただくと、せせらぎの流れている所々に木の堰板を入れて、非常時に消防隊さんに使っていただけるような工夫がしてありますね。
山: 先ほど防火水槽、消火栓と言いましたが、その他、自然な水路などで、だいたい京都市内で2,000近く消防で指定をしております。最近は田畑が少なくなってきたり、地下に水を埋めたりして、水路が少なくなってきて心配なのですが、そういう備えをしているということです。

●火事は卵の段階で消す!
山: 今日はその中でも第二段階の防火水槽と消火栓のお話をしましたが、何よりも重要なのは、第一段階です。つまり地震で火事が発生した初期、火事の卵の段階で消して頂くことが、大火に至らない一番の方策なのです。
絹: 一般市民である我々自身が卵のうちに消してくれたらということですね。この間教えていただきましたけれども、例えば花折断層が大きく揺れたら、たぶん100軒くらい同時に火事が起きるかもしれないと。
山: これは京都市が地域防災計画で、花折断層が揺れた際、冬の夕方の一番火を使う想定で、100軒近く火事が発生するということです。
絹: 一番ヤバい状況だとしたらですね。
山: まして糸魚川よりも、あるいは神戸よりも、京都は木造の家がたくさんあります。そんな京都で、大火にならないようにするには、消火器や水バケツなどで、何とか各御家庭で消してもらうということです。あるいは火事にならないように住宅用火災警報器をつけていただくなど、色んな対策をしていただくことで、それが大幅に減らすことができるということです。
今日は「火の用心お願いします」と火事の話をしていますが、そのためには日ごろの防火の備えが重要であると思っております。
①文化財での放水訓練文化財での放水訓練

●昭和30年代、京都の意識改革
絹: 先日、山内次長に「京都は誇りに思ったらいいことがある」と教えていただきました。「先達が他都市に比べて防火意識を高めてきたという歴史がある」と。ちょっと教えていただけますか。
山:  京都と言えば、住民自治、地域自治で、明治の初めに番組小学校ができて、そこに火の見櫓があって、地域のシンボルだったわけですが、それが消防団の前身です。
先の大戦以降、消防団は引き続きあったのですが、戦後どんどん経済が発展し、火事もどんどん増えて、昭和30年代には一番多い時で、一年間で756件ありました。当時はまだ竈など裸火でしたので、火事の要素も多かったわけです。時の市長さんも、「人が火を使うので、火事は人災だ」「消防職員は火事を消すだけでなく、防火のセールスマンたれ」と、出初式でも訴えられ、職員は全家庭に行って徹底的に皆さんにお願いして回ったようです。市民の方も、それではということで、町内ごとに防火委員を出していただき、例えば町内で消火器を買う、あるいは水バケツを置く、あるいは昔は貯蓄制度と言って、お金をためて共同住宅の二階の界壁をつくったりしました。京都の袋路地などに行くと、水バケツが置いてある風景がありますが、他都市に行ってもあまりないんです。

●京都の高い防火意識は、大きな誇りです
絹: 皆さん、今聞いてびっくりしはりませんでした?我々は町内に赤いバケツがあって、あるいは町内所有の消火器が置いてあって、時々は交換してと。当たり前だと思っていたのが、他都市ではあんまりないんですって。
山: 行政が置いたりしますけどね。一年に一回詰め替える時に、消火器の訓練をしたりして、そういう皆さんの各家庭、地域の防火に対する取り組みが進んで、昨年、平成29年の火事が1年間で249件でしたので、一番多い時よりも3分の1になったわけです。
絹: 昭和30年代に比べて3分の1になっているんですねえ。
山: よその大きな都市と、人口一万人当たりの火事の件数を比べても、かなり少ない結果になっています。京都は火事が多そうなんですが、実は皆さんが「火事を出したら大変や」と一生懸命火の用心したり、お札を張ったりと、防火意識がとても高いんです。そういうことをしてもらっている事が、結局大きな災害になった時にも、消火器も使えるし、地域でもしもの時は「ここに逃げなあかんな」となるので、まずは地域で火の用心をお願いしたいということです。自分の家の防火管理を、まず進めていただくと。

●今でも響く「火の用心!」
絹: さあ、山内次長が拍子木に③拍子木
手を置かれました!
山: 私は中京の二条に生まれなんですが、子どもの頃に町内で順番に「今日はあんたとこの家やし、子どもやから回り」ということで、拍子木を鳴らして町内を回ったんです。ちょっといっぺん鳴らしていいでしょうか。
絹: どうぞ!
山: 「火の用心!」
こういう声が晩の7~8時に京都のまちで響きます。住民の方が守られているわけです。
絹: うちは上京区ですけど、やっぱりまだ聞こえます。
山: 消防団の方もね。これも地方から来られた方はびっくりしはるんですね。「こんなん見たんは、時代劇の銭形平次以来や。こんなんやったはんのやな」と。
絹: 時代劇か、ここはと。
山: しかも皆さんが自主的にこれを持ちまわって、地域でやっていただく。この地域の防火の意識を継続していただくことが地震に備える非常に重要な事なので、是非皆さんにもお願いしたいなという思いでおります。
絹: リスナーの皆さん、今、大事なことを教えていただきました。誇りに思っていいのやでと。30年代からずっと消防署の人たち、消防局の人たち中心に、我々の先輩たちも京都の火事を3分の1に減らしてこられた。これは他都市ではちょっと珍しいということです。
さあ、まずは火の用心、地震に備えるから行きました。エピソード2は水です。

■エピソード2 水害に備えるー日ごろからの備えが肝心です
●自分の避難の基準を考えておく
山: 近年は異常気象ということで、今年も豪雨があったり、京都も嵐山の渡月橋が水がついたりしたことがありましたが、集中豪雨や台風が頻繁に発生しています。特に今年の7月4日からの豪雨では、広島や岡山で200人以上の方々が亡くなられて、その大変な状況を皆さんご記憶にあると思います。台風21号では市内でも相当の被害がありました。最近は気象庁から避難準備、あるいは避難勧告、避難指示が、テレビで、自分のスマホで、ひっきりなしに、どうなっているんやというくらい出て、いつ逃げたらいいのか、役所にも問い合わせがありますし、皆さんも不安に思われたことと思います。
どういうタイミングで避難していただくのがいいのか、行政でも検証しているのですが、私なりに考えておりますのは、いくら気象庁が避難勧告、避難指示を出しても、まずは自分の避難勧告・指示の基準を持っていないと動けないのではないかと。もしもの時には自分の家の二階に逃げたらいいのか、近所のどこへ逃げたらいいのか、持ち出すものはあるのか、それはご家族で相談していただく、地域の自主防災会に相談していただくということです。気象庁から指示や勧告が出た時、「そしたら自分は何をする」という自分なりの基準・取り決めをもっておかないとどうにもなりません。そのために消防では、「我が家の防災行動シール」というのを皆さんの御家庭にお配りをしております。ハザードマップがあるのですが、地震、水の災害、土砂災害の地域もありますね。その時に地震で逃げる所と、水害で逃げる所の場所が違う(水がつきそうなところは逃げられませんので)かもしれないので、その時にお宅の地域はどこに逃げて下さいということを示したものです。
絹: そうですね。低い所の場合はね。
山: そういう所では、マンションの二階とか、色々ありますので、そうした所を考えていただいて備えるということです。何よりもそういう備えを日ごろからしていただくのが大切です。

●「自分には起こらへん」は禁物です!
山: 先ほど詩吟のご紹介をしていただきましたが、実は私、えらい先生に習っているんです。地震が発生した時、その宗家のご家族に電話して、「非常持ち出し袋どうなってます?転倒防止は?」と聞いたら「いやあ、そんなん。箪笥の上にも物が置いてあります」ということでしたので、「そら、あきません」と、詩吟を教えてもらいながら、防火の話を一生懸命お願いして(笑)。台風の時も電話して、「早くお風呂入ってもらって、充電したはりますか?」と。
絹: あ、充電大事なんですね。
山: そんなことをお願いしたわけです。そんな偉い人でも我がことになったら、「自分には起こらへんな」と思われるものなんですね。1つの例ですけど、皆さんも持ち出し袋やラジオなど、色んなものを点検していただいて、自分の地域はどうなのか、この地域は水がつく、つかない、そうなれば二階に逃げた方がいいのか、隣近所でもしもの時には助け合うということを考えておく。

●災害用備蓄飲料水 京のかがやき疎水物語
山: 地震にしても水害にしても火事にしても、それが重要でありまして、ちょうど私も自分の仕事場に“災害用備蓄飲料水 京のかがやき疎水物語”これは京都市の上下水道局がつくっております。
絹: アルミ製のペットボトルで、④疎水物語なんと
中身は琵琶湖の水を精製した京都市
上下水道局自慢の水道水です。
山: これ、ちょっと私、のどが渇いたので一杯飲みますけど、めっちゃ美味しいです。
絹: どこで売っているんですか。
山: これは例えば京都市役所、あるいは上下水道局の八条口にある本部の庁舎や、地下鉄の烏丸御池構内とか、上下水道局の営業所でも置いていまして、これの良い所は10年保存なんです。
絹: ちょっと長いですね。もちますね。
山: もつんです。
絹: そこに今、黒々とマジックで2028年までもつとありますね。
山: 私は事務所の自分の机にこれを5個くらい置いているんです。家にもいっぱい置いて、とりあえず防災対策は10年くらい先までと。やはり水がないとね。もちろん避難所には備蓄してもらう制度も必要ですけど、それぞれの御家庭で水不足というのも非常に問題になりましたので。また、これを置いておくと、常に意識をしますので。こういうのを1つの例に備えていただくということが大切かと思っています。

●非常持ち出し袋を必ず用意してください!
絹: 山内次長はご自宅に職業柄でしょうが、非常持ち出し袋を玄関用と一階用と二階用の3つ置いていると。何が入っているかというと、例えば古いタオル、手袋、三角巾、それからこういう疎水物語のような備蓄水、あとは自分で非常の時にいるなと思う充電器、ラジオなど、自分で工夫したらよろしいと教えてくださいましたね。
山: 靴もね。ガラスなんかを踏み抜かないように。そしてヘルメットも。
絹: あ、ヘルメット。うちは職業柄いくつも持っています(笑)。
山: ただ自分のヘルメットの方がいいですね。私の家内の両親にはヘルメットを渡して、寝床に2つ置いてはります。親孝行しなあかんと思ってね(笑)。そういうことをしておくことが大切なので、皆さんも今日、家具の転倒防止どうなっているのかなとか、これを機会にちょっと見直してみて下さい。
これだけ災害が起こっている都市ですから、もちろん行政として備蓄をしたリ、備えるべき事は一生懸命やらせていただくのですが、なんと言いましても約150万の市民の皆さん、観光客の皆さん、働いておられる方もおられるし、世帯で70万世帯あるので、そうした方々をしっかりお守りするのに、自分たちでも少しでも備えていただくことが何よりも迅速な安心・安全に繋がります。是非ご検討いただけたらと思っております。

●我が家の防災計画をぜひ考えて下さい
絹: リスナーの皆さん、今、山内次長がおっしゃった事、先ほどの「火事は卵の段階で消したら、それだけ周りが助かる。大火災に発展しなくて済む」というのと一脈通じます。スマートフォンで、避難勧告や指示など、色んな警報がいっぱい出てきますけど、自分事にせなあかんということですね。「もし自分なら、自分の高齢の親なら、息子なら、孫ならどうするのかという話を、非常持ち出し袋を皆で作りながら、家族で相談して」と。まず自助、公助、共助でしたっけ。
山: そうです。防災計画と言えば役所的な言葉ですけど、京都市地域防災計画ってあるんです。我が家の防災計画を、自分らで、できる範囲で考えていただいて、火の用心やもしもの事があった時に備えていただくようお願いできないかなと思っております。
⑤防災行動シール
絹: ありがとうございます。良い機会を頂きまして。実はわが社でもファイルキャビネットの上に、いっぱい書類があるのを、今、総務を中心に「片づけ隊」と称して、おろしてきれいにして、転倒防止の作業中でございます。さあ、リスナーの皆さん、いかがでしたでしょうか。火消だけではなくて、京都のまちをいざという時に守って下さる縁の下の力持ちの元締めにお話をいただきました。自分ごとにいかに引き寄せて、まずは非常持ち出し袋。
山: 古い鞄で結構ですよ。新しい鞄を買わなくても、使わない鞄を用意してもらったらいいと思います。
絹: 山内さんからのアドバイスですけど、「ブルーシートも役に立つで」と。「ロープ一本でもええねん」と。「オーダーメイドでなくても、本当に自分好みの非常持ち出し袋を作ってね」とおっしゃっています。さあ、皆さん、終わりです。是非是非、自分ごとにお願いします。
この番組は心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力再生プロジェクトの応援でお送りいたしました。京都市消防局山内次長、ありがとうございました。
山: ありがとうございました。
投稿日:2018/10/22

第140回 ・鏡山循環バス復活の軌跡~みんなで乗ろう鏡山循環バス

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まちづくり“チョビット”推進室<平成30年9月放送分>

岩: 岩崎 泰夫氏 (鏡山学区自治連合会 相談役)
中: 中尾 力氏  (鏡山学区自治連合会 副会長)
竹: 竹本 武一郎氏(鏡山学区自治連合会 総務)
人: 人見 早知子氏(山科区役所地域力推進室まちづくり推進課長)
絹: 絹川 雅則  (公成建設株式会社)
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左から 絹川  人見氏  中尾氏  岩崎氏  竹本氏
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト、先輩方の男性お三方と、行政から紅一点で女性の方がお一人、都合四人のゲストで盛りだくさんでお送りいたします。
では本日の番組タイトル・テーマを申し上げます。「鏡山循環バス復活の軌跡~みんなで乗ろう(大きく育てよう)鏡山循環バス」と題してお送りいたします。
さて、本日のゲストのご紹介ですが、お一方目、鏡山学区自治連合会、ついこの間まで連合会長を務めておられました、岩崎泰大相談役でいらっしゃいます。
岩: どうぞよろしくお願いいたします。
絹: 岩崎相談役、よろしくお願いします。そして同じく中尾力副会長さん。
中: はい、中尾でございます。よろしくお願いいたします。
絹: そして総務の竹本武一郎さん。
竹: 竹本です。よろしくお願いします。
絹: そして紅一点は、山科区役所から。
人: はい、まちづくり推進課長の人見と申します。どうぞよろしくお願い致します。
絹: 実は陰でもう一人、随行役と言いますか、ボディガードが一人おられますが、今日はおしゃべりにならないそうです(笑)。
さて、山科区鏡山学区という場所がございます。相談役、鏡山学区というと、どの辺になるのでしょう。
岩: 山科盆地は、西・北・東と山に囲まれ、南側が開いている京都盆地と同じような地形でございまして、その山科盆地の西北方面にあるのが鏡山学区でして、当学区は12,400人の人口、世帯数は5800軒ほどでございます。
絹: リスナーの皆さん、三条通がありますね。そして山科駅があります。そして外環状線があります。そして山科駅の前からちょっと下がった所に渋谷街道があります。その渋谷街道が鏡山学区のど真ん中をズボーンと背骨のように繋がっている辺りをイメージしていただけたら幸いです。この辺りで何やらすごいことが起こったというのが、今日の番組のメインのテーマであります。鏡山バスを復活されたというお話を、これから承ります。
エピソード1に入るまでに、人見課長に無茶ぶりしますね。今日のメインゲスト、岩崎相談役とはいかなる方ですか。短く述べよ(笑)。
人: はい、ちょっとラジオで皆さんにお姿を見ていただけないのが非常に残念なんですが、本当に昔ながらのダンディな男性と言うのでしょうか。おそばにずっといたいと言うか(笑)、やさしい感じの穏やかな相談役でございます。
絹: でも少しお身体を壊されて、会長さんからお退きになりましたが、鏡山循環系統バスの復活に際して、本当に中心になられた方と承っております。
さて、次は岩崎相談役に無茶ぶりします。中尾副会長とはいかなる方でございますか。
岩: 自治連合会運営に色んな面で携わっていただき、「あれしてや」「これしてや、頼むわ」というと、嫌な顔一つせず、一生懸命黙々とやっていただいております。
絹: ありがとうございます。それでは次は中尾副会長に無茶ぶりで、総務の竹本さんとはいかなる方でしょうか。
中: はい。わが自治連合会の長老でございまして、竹本部長さんなくしては、鏡山自治連合会が回って行かないというような、全ての事を総務として取り仕切って頂いております。非常に優秀な方でございます。
絹: ありがとうございます。京都のすごい所は、こういうことではないかと思います。それぞれの自治連合会にちゃんとこういう先輩方がいてくださるということが、ひょっとしたらまちの力の基本なのかもしれません。

■エピソード1 お年寄りの足を確保するため、バスを復活させたい!
●バス復活のお話、こんな流れでした
絹: さあ、この先輩方からどんなお話が聞けますか。引き続きまた、岩崎相談役にお伺いしますが、そもそもこのエリアで何が起こったのでしょうか。と言っても事前に新聞記事で、私の予習の記事がありますので、知らないわけではないのですが、リスナーの方々に成り代わりまして、知らんふりをして(笑)、お尋ねいたします。住民要望で、一旦なくなったバスが復活するなんてこと、あり得るんですか。
岩: 私が聞き及ぶところでは、まずないと聞いておりますが、実は私どもの鏡山学区のど真ん中に、先ほどおっしゃられたように、渋谷街道という昔からある古い道路が走っております。これはあまり広くはないです。この道路に平成8年まで山科駅発向日町まで行っている京阪バスが走っておりましたが、この8年に廃止になりました。廃止になったのは、地下鉄ができ、色んな道路がつき、交通網が良くなり、アクセスも良くなったということで、お客さんがなくなってきて、8年の3月廃止になったという流れがございます。
絹: 手元の資料は、2018年(平成30年)8月25日の京都新聞地域版ですけれども、これによりましても、「利用者減少で1996年に一旦廃止。地域の高齢化が進むなか、お年寄りの足を確保しようと、地元の自治連合会が中心になって、4千人以上の署名を集めて要望書を提出し、2013年に復活させた」とあります。
岩: その通りでございます。平成21年からそのような要望書を提出するために、色々と資料を揃え、役所の方へも提出をいたしました。そしてお陰様で平成25年の3月23日に、山科駅発で我々の学区へ、渋谷街道を走ったということが始まりでして、その当時は実証運行でございましたが、最初は本当に苦労をしました。
一便目、人が乗る人が少なく、「どうしようかなあ、どうしたら乗ってもらえるのかな」と、人の集まる所、集まる所へ行き、乗車協力のお願いを兼ねて、案内をしていたというところが、出足でございます。また、27年3月23日から実証運行から本格運行へと切り替わっていきました。
  鏡山新聞junkanbus

●実はうちの学区、高齢化率が高いのです
絹: リスナーの皆さん、今こうやって言葉で聞きますと、非常にスムーズに流れたように聞こえなくもないですが、ただこの要望書、4千筆以上の署名を集めるなんて、想像してみてください。冗談じゃない活動じゃないかなと。そもそも当時、自治連合会の現役の会長でおられた時、バスがなくなった事に対して、「なんとかして!困った」という声が自治連の役員の方に届いたわけですね。
岩: そうですね。京都市、山科区、全市を通じまして、高齢者また後期高齢者がどんどんどんどん増えてきております。当学区におきましても5700世帯で人口は約12500人ですが、その人口の3分の1が高齢者及び後期高齢者ということで30%を超えております。そのような所でどうしてもバスをなんとか復活しなければいけないということで、現在に至っております。
絹: 私は不勉強で、山科は高齢化率が市内の中心部よりも低いのかなと誤解しておりましたけれども、30%というと、結構高いですね。
人: 高いですね。現在、11行政区の中で2番目に高齢化率が進んでおります。
絹: 上、中、下のいわゆる田の字地区も25%以上だったと思います。それよりも進んでいるということですね。そんななか、高齢者の足を確保してほしいという声が寄せられて、4118筆を添えて、京阪バスさんと京都市の交通局に持っていかれたということですね。それは最初は「はい、わかりました」みたいな反応でしたか。
岩: いやあ、なかなか進まなかったですね。そのあたりから苦労の始まりです。
絹: 最初のハードルを越えて、実証実験に持ち込まれるまでが、実は一番しんどかった時期ではないかと勝手に想像するのですが、やはりその中で山科区役所に代表されるような京都市の方というのは、だんだんに寄り添うような、そういう関係が結ばれてきたのでしょうか。
よく署名などを持っていった時に、ありがちな勝手な想像ですけれど、「こんなん持ってきて迷惑や。仕事を増やさんといて」みたいな反応がありがちなように、思わなくもないのですが(笑)。
竹: そうですねえ(笑)。
絹: 今日はでも、山科区役所から「この話(当該バスの話)を聞いてくれ」みたいな話で持って来られてますから、山科区役所の方たちはそういうのはなかったのかもしれませんが、やっぱり地元の要望をきっちり吸い上げて、京阪バスさんも偉いですね。こんなん受けられて。たぶん儲かる路線ではないはずですよね。
竹: そうです。敬老乗車の方が多い路線ですので。
ルート図

■エピソード2 実証運行から本格運行への苦労、色々ありました…
●人が集まる所とあれば、どこにでも出かけて行きました
絹: それで一年間の期限付きで、一日二便の実証運行が決まる所まで持ち込まれました。そこのご苦労も大変だと思いますが、さっき相談役がおっしゃった「実証実験まで持ち込むのも苦労やったけど、持ち込んだらさらに苦労が待ってました」と。最初はあまり乗ってもらえなくて、データが取れない時期があったというのは聞いたんですが、そこからですね。次のご苦労は。
中: はい、そうです。一応、ノルマが掛けられまして、一便あたり20名を超えた人数を確保するというのが、京阪バスさんからの要望でございまして。
絹: そうですね。運行する側にすれば、運転手さんを用意して、バスや機材を用意して、バス停の整備等、色々やることになるけれども、「やったはいいけど、乗ってもらえなければ、せんないわあ」と思われますよね。で、だんだんに利用者さんが増えてきた。そのためにはどこへお出かけになったんですか。
岩: 乗車数を上げるのに、まずは連合会の総会、そして人が集まる所として、社会福祉協議会の「すこやか教室」、また土曜日になれば「公園体操」ということで、午前10時からやっています。そういう所や、ありとあらゆる人が集まる場所には必ず啓発に行きました。

●アンケート調査と啓発活動と
絹: 丁寧ですねえ。地道ですねえ。で、4900世帯を対象にアンケートもとられたと。このアンケートは例えばどんなことをお聞きになりたかったんですか。
岩: まずは、どのようなことを望んでおられるか。時間的に何時ごろがいいかなどですね。最初は山科駅発午前10時22分、午後は3時22分発の2便でした。ところが先ほど中尾さんがおっしゃったように、できたら20人以上乗って下さいということで、20人をオーバーさせるのが大変でした。また、様々な場所へ行き、人の顔を見れば、「乗ってや」「乗ってや」というお願いをしていたということでございます。
絹: お医者さんに行くのに、「できたらこの時間に通ってくれたら、使えるのに」という声が拾えたわけですね。
岩: そうです。お医者さんもそうですが、買い物ですね。やはり生活バスですので、買い物が一番多いですし、お年寄りが多いので、病院に行くという乗客者が多いです。
絹: そして、こういう地道な活動の中には「お試し無料乗車券」付きの広報ビラをおつくりになったそうですね。それからアンケートを取られるということは、それぞれの生活時間帯の中で、この循環バスを使ったら、どんな便利なことが起きるのかいった調査もされた。
その結果、一便あたり約20人の利用者を達成されました。そのために一年間実証運行が延長されることが、26年度に決定されています。すごいなあ。そして本格運行というのが、まだこの先に来るんですね?ということは、さらにハードルが上るんですか。
岩: 27年に本格運行に移行しました。それから現在に至っているのですが、平成29年の10月1日、今9月ですから、もう1年を迎えようとしている時期なんですが、それが1便増えたということで、以前に比べ出かけやすくなりました。その便にもたくさん乗っていただくように、運動をしている最中でございます。

●本格運行とバス停の増設
絹: 実証運行便は一便あたり23から27人の利用者を達成しました。本格運行後の取組としては…。あ、なんか駅が増設されていますね。
岩: はい。当学区を通り、三条通に出て、まもなく地下鉄の乗降口があるのですが…。
絹: 御陵でしたっけ。
岩: そうです。ところが駅がありながら通過をしていたのです。そこで陳情してバス亭をつくっていただいたということです。それまでは地下鉄を乗降しようとすれば、山科駅まで行かなければならなかったのが、当学区を通っている時間から、その御陵駅まで5分前後で行けるという便利なポイントにあるバス停になります。
絹: 地下鉄と連絡して、すごく便利になって喜ばれた方もおられたでしょうね。
岩: 今もずいぶん下りて地下鉄に乗っておられるという事です。
絹: 地道な自治連合会さんの活動として、本格運行になってからも28年の年末、連合会が餅つきをやっておられます。そこにおいて、「鏡山循環バスに乗ろう」とお餅に印刷されたんですか(笑)。
岩: 食紅でね(笑)。
絹: これはインパクトありましたよね。

●陸運局から表彰されました!
絹: 山科区役所で聞いたんですが、この取組が「モビリティマネジメント」というカタカナですけど、地域ですごく目立った成果のある活動だとして、国交省の方から表彰されたり、取り上げられたりしたそうですが、それは皆さんも東京へ行かれたり、あるいは近畿地方整備局に行かれたりしたのですか。
岩: この時の受賞は、大阪までおじゃまさせていただきました。陸運局長表彰ということで。
絹: 陸運局の方でしたか。大変でしたね。でもこうやって、京阪バスさんも頑張られて、循環バスをつくられた。そしてたくさんの人が乗られるようになりました。

■エピソード3 鏡山循環バスのこれから
●ちびちゃんたちの乗車も増えてきました
絹: 今後は「利便性の向上を目指して、みんなで乗ろう鏡山循環バス」とありますが、これが色んな所に貼られているわけですか。
岩: そうです。3つある標語のうちの1つですが、一番その部分を重要視しております。また、いずれにしましても、ここまで我々が力を合わせてやってきた流れの中に、山科区役所さんの色々なご指導、また運営を通じての御鞭撻を頂きまして、今日まで運動ができたと、非常に感謝しているところでございます。
絹: この「みんなで乗ろう鏡山循環バス」には小さいお子さんも乗られているらしいですね。
岩: 95%以上は敬老乗車券の利用者ですが、現金を払って乗っているちびちゃんたちもだんだんと増えてきました。
絹: 小学校へ行かれて、特別授業ですか?「乗ろう」という授業をされたように聞いております。小学生にはあまりなじみがなかったバスですが、3年生が地域学習のテーマとして、自治連のメンバーさんを先生として招かれたと記事にありますが、それもいい感じですね。小さい子が乗ってくれたら…。「バス知らんわ」と思ってた子が、「バスって、くるくる回るんや」なんてね。
shiminban kodomonews

●小学校での特別授業を通して
岩: 今年の6月6日に、鏡山小学校の3年生、全員で77名おりますが、その子たちを対象に「鏡山循環バスとは何ぞや」ということで、当方が学校へ寄せてもらって、半日先生をしてきました。これもまだ3年ですから、難しい言葉が通じないので、非常に苦労した部分もありますが、それをきっかけにまた、総合学習の1つとして体験乗車をするということで、全児童が乗ってくれたという非常に喜んでおりました。また、京都新聞にも掲載されておりますが、一般の乗客と子どもたちが「おばちゃん、どこ行くねん?」「おじいちゃん、何しに、どこ行くの?」というような、聞いてたら「どこ行くの?」が多かったですが、「いつも乗っているんですか」とかそういう質問もしていました。
絹: こういう子どもたちの中から、将来の社会学系統の研究者が生まれるかもしれませんし、それどころか自分のおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に買い物に行くのなら「バスに乗ろう」というような子が出てくるとうれしいですね。
岩: その通りです。バスに乗っている時も、学校へ寄せてもらった時も、子どもたちに持っていった資料がございますので、それを家に持って帰り、「おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、いっぺんバスに乗ろうな」と言ってくれたら非常にうれしいですし、子どもたちがちょこちょこ乗っていると聞きますと、何か効き目があったのかなというような気持もしております。
絹: リスナーの皆さん、今日のお話はいかがでしたでしょうか。鏡山循環バス復活の軌跡と題してお送りしましたが、「軌跡」は「足跡」という意味と、ひょっとしたら「ミラクル」という意味の両方がかかっているのかもしれません。地域の方々がこうやって丁寧になさることで、この先何が生まれるのか。小さいお子さんたちに、地域のことを考えて、「バスの復活の交渉をしたおじいちゃんたち、おじさんたちがいたな」という記憶こそが、ひょっとしたら大きな財産なのかもしれません。
この番組は心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力再生プロジェクト、京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。岩崎さん、中尾さん、竹本さん、そして人見さん、今日は貴重なお話、ありがとうございました。
全: ありがとうございました。
投稿日:2018/09/11

第139回 ・15人の子どもスタッフがやらかしてくれました ~子どもによる子どものための映画祭「キンダーフィルムフェストきょうと」

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まちづくり“チョビット”推進室<平成30年7月放送分>

田: 田中 里奈氏(子どもスタッフリーダー)
小: 小嶋 佑昴氏(子どもスタッフ副リーダー)
勢: 田勢 奈央氏(特定非営利活動法人キンダーフィルムフェスト京都 理事)
絹: 絹川 雅則 (公成建設株式会社)
chobit guest 田中 児島1
左 絹川  中央 児島氏  右 田中氏
絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最前線のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲストですが、今回は比較的お若いゲスト、中学生がお二人とつきそいのお姉さんをお呼びしております。まずは、田中里奈さん。
田: こんにちは。
絹: こんにちは!田中里奈さん、中三です。出身は京都。
そして二番目は小嶋さん。
小: 小嶋 佑昴(たすく)です。
絹: 小嶋 佑昴さんは中二!
小: はい、中二です。
絹: そして田勢さん!
勢: はい、田勢奈央です。42歳です(笑)。
絹: よろしくお願いします。では今日のタイトルに参ります。「15人の子どもスタッフがやらかしてくれました~子どもによる子どものための映画祭“キンダーフィルムフェスト京都”」と題してお送りいたします。
さあ、そのキンダーフィルムフェストについて、子どもスタッフのリーダー、サブリーダーに読み解いて、解説していただきます。メインゲストの田中里奈さん、ゲスト紹介の話したよね?
田:  はい(笑)。
絹: おっちゃんが手を抜くために、他己紹介しましょか。それでは、小嶋 佑昴・中二とは、いかなる人物か、短く述べよ。
田: 佑昴君は、私よりも1つ下なんですが、仕事とかすごいテキパキしてくれて、私がリーダーとして活動する時にも手伝ってくれたりして、とてもすごいなあと、いつも思っています。
絹: はい、ありがとう。リスナーの皆さん、小嶋 佑昴君、見た目ですけど、仕事できそうな子(笑)。
それでは今度は交代です。小嶋 佑昴さん、リーダーの田中里奈さんとは、いかなる方ですか。
小: さっき褒めてもらったんですが、僕自身、まだ全然未熟で、いつも里奈さんに引っ張ってもらってて、あまりまともに仕事も手伝えてないと思うんですけど、いつもやさしく接していただいて、いつも感謝しています。
絹: はい、そつのない答えをありがとう(笑)。そしたらもう1つ、小嶋 佑昴さんに宿題を出します。今日つきそいのお姉さま、田勢奈央さんとはいかなる方ですか。短く述べよ。
小: 田勢さんは、英語とか、外国語がめっちゃできはって、色んな世界事情とか、世間のこととかいっぱい知ってはって、子どもスタッフのアイデアマン、京都国際子ども映画祭のアイデアマンみたいな感じかなと僕は思います。
絹: はい、ありがとう。おっかさんみたいな存在ですか、お姉さんみたいな存在ですか。両方か…(笑)。
それでは本題に入ってまいりましょう。京都国際子ども映画祭2018年8月2日・木曜日から3日・金曜日、4日・土曜日、5日・日曜日の4日間、この京都三条ラジオカフェの本当のご近所さんで、三条通、京都文化博物館の3階フィルムシアターで予定されています。聞くところによると、非常に古いフェスティバルで24年前から、京都と東京で行われているというふうに教えていただきました。さりながら、まだご存知ない方がいらっしゃるはず。まずは最初に、キンダーフィルムフェスト京都とは、どんなイベントなのですか、どんなフェスティバルなのですかということを、お二人に解説していただきます。

■エピソード1 「京都国際子ども映画祭」って、こんなイベントなんです!
●スタッフも子ども、審査員も子ども
田: キンダーフィルムフェスト京都は、タイトルにありましたが、「子どもによる子どものための映画祭」です。私はリーダー、佑昴君は副リーダーというように、子どもスタッフが企画・運営をしています。また、この期間内に上映される映画のグランプリを決めるのですが、それも有志で集まってくれた子どもが審査員を務めていて、「子ども審査員」と呼んでいます。
絹: 子どもスタッフって、何人いたっけ?
田: 子どもスタッフは15人ほどです。
絹: そのリーダーとサブリーダーが今日のゲストのお二人、里奈さんとたすく君ですね。
田: はい。
絹: そして、子どもスタッフ以外に、映画を審査してくれる審査員もおられるようですが、それは何人でした?
田: 12人です。
絹: さっきの下打ち合わせでは、小4から中3の人たちが集まって、福島県からも1人来てくれはるって?
田: はい。
絹: 結構すごいですね。つづきをどうぞ。
田: この映画祭では様々な国の映画が上映されます。私は昨年から参加させていただいているんですけど、子どもが主役の映画がたくさん上映され、とっても感動するものが多くて、すごく心があたたかくなるようなものばかりです。
絹: それは去年の上映作品の思い出やね?
田: はい。そうです。
filmfest2 filmfest1

●こんな映画に感動しました
絹: ちょっと質問していいかな。
田中里奈さんは去年から、小嶋 佑昴君は一昨年からで、一昨年は審査員をやっていたということですね。去年の作品の中で、あるいはたすくさんが審査員をやった思い出の中で、「この映画、すごくよかった!」と言ってたけど、お二人それぞれ1つずつくらい、思い出を聞かせてほしいな。
小: 僕は去年のグランプリだったんですが、『マウンテンミラクル』という映画です。喘息持ちの女の子が、喘息を治すために施設に入って、そこで出会った男の子と一緒に協力して、高い山を登っていくみたいな話です。
絹: ほう、なんかちょっとウルッと来ます。というのは、僕は今、こんなごっつい身体をしているけど、子どもの時は喘息持ちでね、小児喘息でものすごく苦しんでいた時期があるので。そうか、『マウンテンミラクル(奇跡の山)』…。
じゃあ、里奈さんは?
田: わたしは『いっしょの目線で』という映画にとても感動しました。そのお話は、小人症の男性がいて、もう一人、施設に入っている男の子とがメインで、お話が続いていくんですけど、その男の子は、お母さんはわかっているのですが、お父さんが誰だかわからなくて探していくと、その小人症の男性を探し出したんです。容姿が自分と全然違ったりするので、男の子は最初は「えっ」という驚きがあったのですが、一緒に生活することになって、一緒に過ごしていくなかで、お互いを理解しあうという…。
絹: それは外国の映画やった?
田: はい。

●子どもスタッフは吹き替えもします
絹: それが外国の映画ということは、子どもスタッフが吹き替えたの?
田: それは劇団の方がされました。
絹: リスナーの皆さんに、ご説明の追加をしたいのですが、今回上映される作品は12作品ありまして、その中でプロの劇団の方が吹き替えをされるものと、子どもスタッフさんが吹き替えをされるものとに分かれるそうです。お二人、里奈さんとたすくさんは、今年の映画は本番で見るんですね。
両: はい。
絹: 吹き替えスタッフはワークショップで練習しているから見ているけれど、最後にグランプリ作品を決めたりする投票は、さっき言われた福島県から来られる人を含めた小4から中3の12人の審査員の投票で決まるわけですね。投票前の議論は大変そうやね。
田: はい。

●司会進行も、受付も、小さい子たちのサポートも…
絹: 司会進行から受付から、全部子どもスタッフがやるということですが、里奈さんが2年の経験、佑昴さんが3年の経験があると。それぞれ2年と3年でどんな役割を果たしましたか。
小: 例えば場内整備とか。僕は受付はやってないんですけど、去年はキッズコーナーというのがあったので、それをやったりしました。
絹: もっとずっと小さい子、保育コーナーみたいな感じですか?
小: と言うより、映画関連のおもちゃみたいなものが置いてある机の所で、子どもたちに遊んでもらうという場所です。そこでこどもたちのサポートをしたり、今年はオープニングの司会をさせてもらいます。
絹: え、司会をやるの?大役ですね。ご苦労さん。
里奈さんは、どんな役割を今まで果たしてきましたか。

●オープニングビデオも子どもスタッフが撮影します
田: 去年、私の中で一番思い出に残っているのは、オープニングでの司会で、昨年も今年もなんですが、オープニングビデオを子どもスタッフで作成していて…。
絹: あ、例の東と西からやってくるというやつ。
田: はい。その演出があったので、みんなで打ち合わせをして、オープニングを成功させるというところがとても楽しかったです。
絹: ここでリスナーの皆さんに補足説明をさせていただきます。オープニングビデオ、子どもスタッフたちが、京都の東と西に分かれて、何か運んでいるのかな?
勢: 上映作品のDVDを運んでいるというのが去年の設定だったのですが、今年は今年でまた違う設定になっています。で、最近やっと撮影を終えて、一本のVTRになりました。
絹: それも面白そうやなあ。
田: そうなんです(笑)。
絹: ちょっとどんなオープニングビデオになるか、ヒントだけ。
勢: 佑昴君が監督をしたんだよね。
小: 僕はマナー映像の監督です。
田: 今年はマナー映像も…。
絹: ごめん、その専門用語わかりません。マナー映像?
小: 映画で流れる、「前の椅子を蹴ったらダメ」とか「撮影禁止」とか。
絹: そっちのマナーね。マナー映像の編集?
小: その監督をやらせてもらって、ちょっと笑える要素も取り入れながら、お客様にルールを守って映画を見てもらえるようになるようなムービーをつくれたかなと思ってます。
絹: それはでっかいカメラとかでつくるの?
勢: 一眼レフのカメラです。
絹: ああ、カメラが今は動画も撮れるんだよな。
小: 本当の映画の監督さんが手伝いに来てくださって、その人と一緒に撮りました。

●吹き替えはすごく勉強になりました!
絹: 僕一番興味あるのが、吹き替えの部分なんですよね。お二人とも吹き替えの経験したっけ?
両: はい。
絹: 大変やと思うねん。おっちゃん、やった事ないし。口を合わせないといけないし、声の出し方とか、劇団のプロの人が指導してくださると聞いたから、「やりなおし!」とかって、なかった?「ここ、もう一回やろか」とか。
田: そうですね。何回も練習はするんですけど、すごく丁寧に教えて下さって、すごく勉強になりました。
絹: そのセリフと言うか、台本みたいなものを読むんでしょ?台本を読まなあかんし、画像も見ないとあかんし、あっち見て、こっち見て、あっち見て、こっち見て、でも棒読みになったらあかんし、気持ちを乗せるって、難しくなかったですか。
田: そうですね。
小: 難しかったですね。
絹: 例えば、「すごく楽しい!」という時と「なんか辛いわ」みたいな時と、場面によっていろいろあるでしょ?その時の自分の感情の出し分けと言うか、表現の仕方というのは、自分の肌感覚でどういう風にしてつかまれたんですか。しんどい時とか、どうやってたん?楽しい時はどうしてたん?とか、何かそんなコツとかも習うの?
勢: 里奈ちゃんの役の方が、寂しいとか悲しいというセリフが多かったかな。
田: 自分たちが普段よく見ているような映画とは、またちょっと価値観が違ったりとか、そういう海外のものが多いので、そういうところもちょっと難しいなというのを感じました。

●外国の映画って、感覚が違って、難しいけど面白い!
絹: 国際映画フェスだから、日本の常識では考えられないような作り方の、題材の映画も来るわけですね。
田: そうです。ちょっと難しかったです。
絹: 「あれ、僕たちと違う」みたいなのがあるわけ?
田: はい。
勢: 里奈ちゃんは去年、中国の映画の吹き替えをやって、たすく君はイタリア映画の吹き替えで、たすく君が担当したイタリアの映画は、ものすごくテンポが速い。
児: そうなんです。セリフがパパパパパパッと出てくる。イタリア語なので、なんか余計に早口な感じで。
絹: ほんなら早口言葉の練習なんて、目じゃないよみたいな感じになった。
小: そこまでではないですけど、かなり早かったのと、自分の役作りに結構苦労しました。
絹: だって本来の時分とは違う役の場合の方が、きっと多いよね。その時にポンと超えるというか、自分から自分とは違う役の人格にスイッチするって、すごく興味があるなあ。それができたわけやね。いくばくかは。
小: できたかどうかはわからないですけど。
田: それを見つけ出して、当日で発揮するという感じですね。
絹: そういう役柄の人にスイッチするというか、変化するというか、憑依するというか、その時の経験を少し聞かせてほしいな。終わった後、どう感じた?そういう自分じゃないセリフをしゃべってみたり。

●自分の感情と役柄の感情と…
田: 私は中国の小さい男の子の役をしていて、ちょっと貧困家庭の感じで、寂しい感じを出さないといけないということと、あんまり自分の感情を出さないようにしないと。自分はこうなっていたら悲しいだろうなと思っても、その男の子はその男の子で、その場で考えて自分の行動を起こしているので。その男の子自身、役柄的に無表情な感じだったので、自分の感情が高ぶらないようにという感じで…。
絹: 色々頭の中で考えながら、しゃべるんやねえ。イタリア人になったたすく君はどう?
小: 役がサッカーをしているチャラい男の子で、女の子にナンパするという感じの話だったんですけど…。
絹: 結構、イタリア人て、挨拶代わりにナンパするんやてな。
小: その女の子の役の人がかなりベテランで、アドバイスとかもいっぱいいただいて、それで結構役になりきれたかなと自分では思っているんですけど。
絹: 得難い経験だろうなあ。

■エピソード2 今年の映画、私たちのおススメです
●『わたしたち』という韓国映画に、すごく興味があります
絹: 話は佳境に入ってきましたが、今まではメインに私の興味で聞いてしまっています(笑)。すみません。今回の8月2日から5日までのフェスティバルでの上映作品について、ちょっと教えていただけますでしょうか。この中で特にお二人が気に入っている、あるいは見たいなと期待している作品について、少し語っていただけますか。
田: 私は長編映画で『わたしたち』という韓国映画が上映される予定なんですけど、韓国は最近はKポップとか、色々日本でも流行っていて、私も最近韓国ドラマをよく見る機会があって、韓国の映画やドラマに今、すごく興味があるので、見たいなと思っています。
絹: 先ほどの下打ち合わせでお聞きしたら、いつものグループでお友達だと思っていた子が、次の日に行ったらちょっとよそよそしいという経験するような、小学生の女の子たちの物語だよということを教えてもらいました。少女期に誰でもが覚えがあるようなお話で、僕も見たいなと思いました。
さあ、佑昴君はどこに期待しています?

●『Zoo』が冒険ものっぽくて、ワクワクします
小: 僕は『Zoo』という映画にちょっと興味があるなと思っていて。
絹: 動物園の『Zoo』ですね。アイルランド・イギリス、97分、長編ですね。
小: キンダーフィルムフェストのチラシには、映画の観点、冒険ものとか、動物が登場しますよみたいなマークがついています。僕は基本的に冒険ものが好きなので、長編ではこの『Zoo』が実写ですし、冒険ものっぽいなと思ったので、とても興味があります。
絹: 「戦時中、『象さんだけでも助けたい』と思った子どもたちのストーリー」と書いてありますね。「小学校1年から見て」と書いてある。なかなか面白そうですね。
リスナーの皆さん、イメージ持っていただけましたでしょうか。それからお子さんをお持ちの親御さんに申し上げたいのですが、京都でこんなにすごい子どもの夏休みのイベントがあるって、知りませんでした。それも24年も前から。これはおすすめです。このスタッフとして活躍している子どもたちは、すっごい濃い経験ができると思います。お二人のお顔を見ていても、楽しみです。
ここでちょっと「私はつきそいやから、ふらないで」と言っていたお姉さんにふってしまいます。リスナーの方向けに、少しコメントを頂けますでしょうか。

●子どもたちの成長をすごく実感できるんです
勢: 本当に今、田中里奈ちゃんと児島たすく君がお話していたのを、お聞きいただいてわかると思うのですが、子どもスタッフがとてもしっかりしているんです。
小学校三年生の子が最年少なのですが、その三年生の子も本当にお兄さん、お姉さんに混ざって、ものすごく一生懸命やっていて、やっぱり小さい子たちは、お兄さんお姉さんを見て、来年もっと「ああいうことをやりたい」と、みんな毎年やって、どんどん大人になっていく。スタッフで、中心的な役割を担ってくれている、のぞみという女の子がいて、その子も子どもスタッフを5年くらいやって、今、大学生なんです。そういうふうに私たち大人も、彼らの成長をすごく感じられるので、そういう場が京都にあるということは、私も関わっていてすごくうれしいなと思っています。
また、学校以外の場所でこういうふうに遊べる場所、みんなと触れ合える場所があるというのが、すごく魅力的だなと思いますので、是非皆さん会場に来て、雰囲気を味わって頂けたらと思います。
絹: さっき里奈さんが「イベントに参加する側とスタッフに立つ側とで全然違う!」と言っていました。会場に来ていただいて、「これは何かある!」と思ったら、本当にその場で「私もスタッフになれます?」みたいな質問を、子どもスタッフに投げていただいたら、すごくいいんじゃないかなと思います。
田: はい、是非。

●私たち、僕たち子どもスタッフと一緒に参加してみませんか?
絹: 田中里奈さん、小嶋 佑昴さん、あなたたちの言葉で参加を呼び掛けてみてくれませんか。
小: このキンダーフィルムフェスト京都国際子ども映画祭は、子どもが主人公の映画祭です。子どもさんがいるご家庭には、とてもいい夏休みのイベントとなると思うので、是非参加してみてください。子どもスタッフも募集していますので、よろしくお願いします。
絹: ああ、ちゃんと声出てる。おお、やるなあ。里奈さんはどう?
田: さっきも言いましたが、すっごく心があたたまる作品ばかりなので、是非来ていただいて、海外のものだと価値観も全く違ったりして、普段見る様なものとは違う学びを得たりもできるので、是非来てください。
絹: はい、ありがとう。リスナーの皆さん、この子どもスタッフを支える背後には、NPO法人キンダーフィルムフェスト京都という、しっかりした大人たちが、彼女たち彼たちを見守っておられます。どうぞ8月の2日、3日、4日、5日、京都文化博物館へお運びください。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、我らが京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。ありがとうございました。
全員: ありがとうございました。
投稿日:2018/08/13

第138回 ・七条大橋ライトアップ2018を応援して下さい

ラジオを開く

まちづくり“チョビット”推進室<平成30年6月放送>

酒: 酒谷 宗男氏(七條大橋をキレイにする会 共同代表)
明: 小林 明音氏(七條大橋をキレイにする会 共同代表)
は: 小林 はな氏
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
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左:酒谷 宗男氏 中央:小林 明音氏 右:小林 はな氏
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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最新のエピローグをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト紹介です。ゲスト最年少記録が生まれました!なんと小学校4年生の小林はなちゃんをまずご紹介します。はなちゃん、よろしくお願いします。
は: こんにちは。お願いします。
絹: そのお隣はそのお母さん、小林明音さんです。小林さんはご紹介をどんなふうにするのがいいのかな。「七条大橋をキレイにする会」共同代表小林明音さんです。
明: はい、よろしくお願いします。
絹: そしてメインゲスト、もうお一方、私から言うと先輩に当たられる歳回りの方と拝察いたします。同じく「七条大橋をキレイにする会」共同代表、そして京都のまちに関わられる方なら、結構この方のお名前を聞いておられる方多いのではないでしょうか。「朝粥食べて、おシャベリ会」企画・運営者 酒谷宗男さんです。
酒: はい、酒谷です。よろしくお願いします。
絹: 酒谷さんのお名前は、「集酉楽サカタニ」というキーワードや朝粥の会をずっと長いことなさっていることで、どこかでお聞きになっている方、あるは七条大橋のたもとの集酉楽さんの楽々ホールに行かれた方など、ひょっとしたらリスナーの方の中にもおられるかもしれません。今日はゲストの最年少記録更新の小林はなちゃんを迎えて、3人のゲストでお送りいたします。
今日の番組のテーマ・タイトルを申し上げます。「七条大橋ライトアップ2018を応援して下さい」と題してお送りいたします。それではゲストのお三方、よろしくお願いします。
明: よろしくお願いします。
絹: さっき打ち合わせで言うのを忘れましたが、ゲスト紹介をウォーミングアップも兼ねて、「他己紹介」というのをやっています。それでは小林明音さん、酒谷宗男さんとはいかなる人物ぞ、短く述べよ(笑)。
明: 宗男さんに出会ったのは、5~6年前だったと思います。七条大橋をキレイにする会を始めたのは、4年前ですか、宗男さんが「掃除をしよう。まずは掃除からしよう」とおっしゃって、「じゃあ、私もついていきます!」みたいな感じで始めました。その時から本当にまず行動で示すという、まず自らが動いて示すという、その背中を見て、みんながついていくみたいな、行動で示す方です。
絹: 推進エンジン?
明: 推進エンジンだけでもなく、がーッと進まれるわけでもなく、周りを見渡しながら、そうっとそうっと進んでいかれるような…。
絹: ありがとうございます。それでは酒谷宗男さんにお聞きします。いきなり無茶ぶりですみません(笑)。小林はなちゃんとはいかなるお嬢ちゃんですか。
酒: 小林はなちゃんは、いつもお母さんについて、うちの店とか、喫茶ルームにお越しになるのですが、お母さんが七条大橋のミーティングをされている時などは、一生懸命自分の勉強をしたり、趣味のことをとても頑張ってやったりと、非常におりこうさんで、ママを手こずらせないんです。
絹: 舌出してるで(笑)。
酒: それは彼女が気遣い、気配りをしているんです。それはやっぱりすごいなと思いますね。
絹: 小学4年生にして、気配りができると。では最後にはなちゃんに聞きます。小林明音さんて、どんな人?どんなママ?
は: うーん。ふつうの…。
明: ごくごく普通です(笑)。
絹: はなちゃんに助け船を出します。小林明音さん、実はすごい方で、土木系の技術資格を有する人で、富山県庁の技術職としてお勤めになっていた時期があります。そして京都市に来られて、京都市景観まちづくりセンターの職員として数年働いておられました。その時に私と出会いまして、実はこのスタジオにも何度か、コミュニティFMの担当として来てくださったことがあります。ということで、最初のウォーミングアップ、他己紹介でありました。じゃあ、エピソード1に入ります。

■エピソード1  そもそも七条大橋のお掃除が始まったのは、7月7日でありました
●七条大橋100年の渡り初め、盛り上がったけれども…
絹: そもそも七条大橋のお掃除が始まったのは、7月7日だったそうですが、そのあたりから紐解いていただきますか。
酒: 今度の7月7日で4年目に入るんですね。ですから4年前ということになりますか。実はその前に、とりあえずは七条大橋100年の渡り初めをしたけれども、それ自体は盛り上がったんですよ。
明: そうですね。渡り初めをしたのが2013年なので、もう5年前になるでしょうか。
酒: その時は100年目の渡り初めということで、すごく盛り上がったんですよ。門川市長を先頭に、地域住民も一緒にわーっと渡り初めをやって、「七条大橋、やっぱり大事にせなあかんな」と、そういう機運はあったんですけど、ただそういうイベント的なことって、やっぱりぽしゃってしまうわけです。誰かが何かをしんと。
で、私の兄が「100周年で、あんだけ盛り上げてやったのに、草ぼうぼうで、ゴミはあるし、困ったこっちゃなあ」と言ったんです。それを聞いてて、僕は兄よりずいぶん若いので、「お前やれ」ということやなと、プレッシャーを感じてて、「7月7日ころからやろか」と言って…。
絹: それが4年前。

●ゴミと草ぼうぼう、なんとかせんとあかん!
酒: そうです。その時に小林さんが近くにいはって、「私も手伝っていいよ」と言ってくれはったんです。それで流れがパッと変わったんです。2人でとにかく泣きながらやろと(笑)。
一週間口コミだけで、ワーワー言って、「どれだけ集まるかわからへんけど、とにかくやろ」と言って、7月7日にやることになりました。結局12人集まったんです。その12人集まっただけでもね。一週間足らずですよね。それでもう、ちょっと感激して、とにかくやったということで、肩の荷がちょっと下りたわけです。そしたら参加している人が、「ひょっとしたら一回で終わるのとちゃうやろな」と、プレッシャーをかけられてね。で、小林さんが7のつく日に毎月やろうということになって、現在に至るわけです。

●毎月7のつく日に、雨でも台風でも大雪でも
絹: もうそしたら何回くらいになるんですかね。毎月やったはるんですよね。
酒: 次の7月7日で37回目になります。
絹: そやけど、よう続きましたね。その7日というのが、七条大橋の7で、お休みの日ばかりでなく、ウィークデーでも7でやろうと、貫いたわけですね。
酒: そうです。まあ雨が降ろうが、台風が来ようが、雪が降ろうが、やるやらないは現場で考えようと。でも一回も中止になったことがないんです。それがすごいんです。
絹: 雨でも大雪でも。
酒: はい。
絹: 当初から12人という面子は変化していかれましたか?

●参加人数が画期的に増加!
酒: それが回を増すごとに、どんどん増えてくると。画期的に増えたのは、2年くらい前ですかね。近所の有名なホテルが20人、掃除しますと。
絹: あの辺の有名なホテルというと、フォーシーズンズができる前の…。
酒: ハイアットリージェンシーです。総支配人はじめ上から下まで来られて、それをホームページにアップされたんです。「近所の七条大橋、社会貢献の一助として、携わっています」と。それをフォーシーズンズが見られて、すぐに電話がかかってきた。面白いでしょ?
絹: これはハイアットさんに負けてられんと。
酒: かってきて、まさかフォーシーズンズからうちに電話があるなんて、夢にも思ってないし、なんのこっちゃと聞いたら、「うちも七条大橋に掃除に行きたい」とおっしゃった。ウェルカムですよ。
絹: そうすると30回を超える頃には、どっと来てた。先ほどの打ち合わせでは三桁を超えたとおっしゃってましたよね。

●30回目の記念イベントには、三桁超え!
酒: そうです。その時、30回目なんですけど、記念なので色んな所に丁寧に声を掛けたわけです。ハイアットさん、フォーシーズンズさん、それからうちの近所には京女さんがある。それから新しくできた京都美術工芸大学。
絹: あ、新谷さんとこや。
酒: そう、そう、新谷さんとこ。ここにもずっと声を掛けて、来ていただけるようになって。そして私が卒園した名門の、近所にある昭和保育園から園児も来ると。30回目のイベントなので、私が懇意にしている京都タワーのたわわちゃんも来てくれました。
絹: キャラクターですね。
酒: そうです。門川市長も来ていただきました。園児はもうたわわちゃん一色。門川さん、何か被らんと誰も来ないという状態になって(笑)。
絹: はなちゃんも行った?
明: はなちゃんはその日は平日なので、小学校に行ってますね(笑)。
絹: 失礼しました(笑)。

●あって当たり前の橋が、お掃除をしてもらって、注目を浴びて
絹: 明音さん、僕も建設屋ですから、橋をキレイにとか、ライトアップとか、こうした土木構造物、普段は注目を浴びる事もない、あって当たり前、通れて当たり前の道だとか橋だとかに、酒谷さんみたいな一般の方、あるいはそこへ12人から始まって116人?
明: そうです。30回目にはそうなりました。
絹: それをお掃除して下さること自体が、実は無茶苦茶うれしいんです。しかも100年超えた橋が長寿命で、まだ現役で頑張っている。そのことを一般市民が知って下さって、しかもライトアップと。この七条大橋のお掃除を続けておられること、人数が増えたということの、ご近所の五つ星や四つ星の有名ホテルが来てくださったことだけではなく、明音さん自身がすごい賞を取ってしまったということが人を増やすことに繋がったという話も聞いたことがあるんですけど。
明: 恥ずかしながら(笑)。
絹: その賞について、ちょっとお話をしてください。

■エピソード2  すごい賞をいただいて、人がどんどん繋がって
●七条大橋のすばらしさを知ってほしい
明: 今、絹川さんがおっしゃっていただいた通りで、私も土木のことを学んできた端くれとして、七条大橋のすばらしさ、100年以上前につくられた鉄筋コンクリートアーチ橋で、土木構造物としても大変貴重で、こんな素晴らしい橋が身近にあるんだよということを、まず地元の方々に知って頂きたかったんです。知って頂いて、誇りに思って頂きたいと。そうすることで七条大橋だけではなくて、他の橋でも、土木は色々なお仕事をしていますから、そういった事に対する理解に繋げていけたらなと個人的には思って…。
絹: うわあ、そんなこと聞いたら、京都の建設屋泣きますよ(笑)。
明: やっぱりご苦労とか、よくわかりますし、小さな事から、私にできる事からということで、七条大橋に参加させてもらってます。

●京都・eco女グランプリで、受賞!
明: 私がどうのと言える立場ではないんですけど、一応共同代表という肩書を頂いてできることは何だろうと思った時に、たまたま「ミスアースジャパン」のプレイベントの開催を知ったんです。「ミスアースジャパン」は、世界4大ミスコンの1つなんです。
絹: そないにたいそなミスコンやったんですか(笑)。
明: 実は(笑)。ファイナルは世界大会があるんです。
その「ミスアースジャパン」の京都大会が先日行われまして、そのプレイベントとして、第一回「京都・ecoグランプリ」という大会をされたんですね。その「ミスアースジャパン」の方は華々しくて、美貌を含め、年齢条件もありますし、私ごときが出られる大会ではないのですが(笑)、「京都・eco女グランプリ」の方は年齢制限も条件もなく、女の人なら出られるということで、私にできるのはこれかもしれないと、出させていただいたんですね。そうしたら、グランプリは立命館大学の学生さんが見事受賞されたんですが、準グランプリということで、「DO YOU KYOTO ?」賞というのを頂きまして、大変栄えある賞を、準グランプリということで、本当にうれしかったんです。
絹: その「DO YOU KYOTO ?」賞をお取りになるに際して、明音さんはプレゼンをされたわけですよね。
明: そうです。プレゼンさせていただきました。
絹: プレゼンの内容は、この七条大橋。
明: もちろんです。七条大橋を背負って行ってまいりました。
絹: それで「なるほど!あんた、準グランプリ!」という感じだったわけですね。

●土木と環境、相対するもの?
明: そうなんです。「eco女」ですから、環境系の方が多いんですね。主催者の方も、来られる方も。で、きっと絹川さんも同じような思いをされるかもしれないですけど、土木と環境って、結構相対すると言うか、何かすると環境に影響を与えるような…。
絹: いやあ、以前はダム反対運動とかありましたもの。
明: 生態系に何か影響を及ぼすとか、そういった話があるなかで…。
絹: 希少種がある場所で、「サッカースタジアムをつくるのは、よく考えないと…。」みたいな(笑)。ちゃんと環境の影響評価をして、場所を選定したり、工期を変えたりとか、国交省を始め、すごく気を遣ってらっしゃいますよね。
明: そうなんですよ。そういう場で土木の事について語らせていただいて、評価をいただけたと、そのことがまず私にとっては、すごく有難かったんです。
絹: 土木技術者の鑑!
明: ありがとうございます。

●賞をいただいた事より、人が繋がっていくことがうれしい…
明: そしたら事務局の方もどう思って頂けたのかわからないですけれども、次の回に予告なくふらっと来ていただけたんです。やっぱりプレゼンが響いたと確信する瞬間だったと思います。賞をいただいた事よりも、人が繋がっていくことが、すごくうれしかったです。
絹: その「ミスアースジャパン」京都事務局の方が来られたんですか。
明: 事務局の方も来られましたし、見事「ミスアースジャパン」京都大会で賞を取られたような方も、美しい女性の方も…。
酒: 京都代表の…。
絹: フェイスブックに載ってた「なんでこんなべっぴんさんが掃除してるんや」というような、あの写真ですか?あ、そうかあ。そういう影響があったんだ。
酒: 実際、私は応援がてら明音さんのプレゼンをきいたんですけど、やっぱり土木構造的なことも含め、掃除のことも含め、熱い思いをきっちり語られたということが、非常に一緒にやっている者としては、聞いてて涙が出るくらいうれしかったんです。やっぱり熱い思いが波紋を呼ぶと言いますか、まさしく言葉と実績でそういう具合に広がったということ、ものすごく喜んでます。

●七条大橋の魅力と歴史
絹: 資料としていただいた趣意書のなかから、少しだけ読ませていただきます。
七条大橋の魅力:七条大橋は鉄筋コンクリート技術が使われ始めた当時の国内最大規模の土木建造物です。その重厚で力強い構造とリズミカルなラインが放つ魅力を味わっていただきたいと思います。
七条大橋の歴史:七条大橋は京都が明治から大正期に近代都市として脱皮した「三大事業」の一環でつくられました。そこには京都の近代化の物語があります。また昭和10年には鴨川大洪水、戦時中には軍部の金属供出命令によって高覧や照明灯が撤去される受難にも遭いました。
こういうプレゼンをされたわけですよね。
酒: そうですね。

●人が繋がる、その輪が広がる
絹: 小林明音さんのそういうご努力、それから地道に7月7日から始まって、今年で活動4周年のお掃除プロジェクト、どんどん人が増えていきます。そしてさっきびっくりしたんですけど、この動き、拡大しているらしいですね。二条だとか、丸太町、鴨川デルタと、仲間が増えているらしいですね。それもちょっとだけお話頂けませんか。
酒: 鴨川デルタで活動している青年が七条大橋に掃除をしにきてくれて、その熱気をそのまま自分の地元のデルタでやりたいということで、頑張っています。まだ6~7回なんですが、これ楽しみなんです。
絹: 僕は一回だけふらっと立ち寄って、後の反省会や意見交換会出させていただいたんですけど、そういう方が確かに来ておられました。そして酒谷さんとこに集まっていらっしゃる、お掃除した後、お茶を飲みながら意見交換会をなさっている、あれが素晴らしいですね。で、集まって来られている人たちは、何か潜在エネルギーをそれぞれ色々お持ちの方がいらっしゃるから、そういう広がりに繋がるのかなと思っておりました。

■エピソード3 そして今年もやります 七条大橋ライトアップ2018
●七条大橋ライトアップ2017はこんな感じでした
絹: さて、去年のライトアップから、今年も2018と、動きが広がっていきます。手元にすごいキレイなプロの写真家がお撮りになった七条大橋のライトアップの写真、それからセピアの写真、フォトコンテスト2017とあります。「フォトコンテストは今年もやらはらへんのですか?」という問い合わせもあったそうですが、イベントをするって、結構大変ですよね。で、「応援して下さい」というタイトルにもなっています。2018はどうなっていくのでしょうか。この辺りについて、お願いいたします。
明: 去年、初めて掃除だけではないイベントをさせてもらいました。ライトアップとフォトコンテストです。初めての事で、私たちもどうなることかとわからないなかで開催させてもらったのですが、結果としてフォトコンテストの方は77名の方に応募いただきましたし…。
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絹: いい数字ですねえ。それはちょっと調整が入っているんじゃないですか(笑)?

●ただ、ちょっと大変な部分もありまして…
明: いやあ(笑)、入ってないです。で、ライトアップの方も500枚用意したパンフレットがほぼ捌けているという状況で、一定の影響はあったのかなと私たちは思っています。ただ、実施に関しては、たくさんのスタッフの方に、夜、お手伝いに来ていただいたりと、すごく大変だった面もあるので、私も酒谷さんも、これは続けた方がいいんだろうか、どうしようかと悩んでいたところでした。
ところが、意見交換に来られている方が「本当に手伝っていて楽しかったし、今年もやろうよ」と。「せめてライトアップはやろうよ」ということで、今年はライトアップ一本に絞って、是非もう一度あの時の感動を実現したいなと思っています。
絹: ライトアップって、実は照明器具のセッティングとか、めちゃくちゃ大変なはずですよね。
明: そうなんです。素人ができるような代物ではないんですが、やってしまいまして。それに設置に関して資金もやっぱり要るわけで、カンパを今年は早いうちから募りまして。
絹: そのカンパを募るための準備のイベントをやろうと。

●7月7日 応援チャリティーライブやります!
酒: 大橋ライトアップ2018 応援チャリティーライブ」お掃除に来ていただいている方々の中に、ミュージシャンがおいでになるのと…。
絹: 例のフラリーパットさんもそうですね。
酒: フラリーパットさんはスケジュールが合わなくて、今回はできないんですけど、フラリーパットさんがつくってくれた『七条大橋の上には』という曲は、必ずミュージシャンが演奏してくれます。
絹: リスナーの皆さん、フラリーパットというカタカナの、若い二人組のアーティストですけれども、地元京都の方ですか?
酒: はい。東山なんですよね。最初はウクレレとギターのインストユニットだったのが、ここ2年ほどは歌ありの曲も歌うようになって、結構ブレイクしつつあるところです。
絹: 『七条大橋の上には』という曲は、検索していただいたらYouTubeで引っかかると思いますので、もしよろしければお聞きください。

●盛りだくさんなラインナップです。是非いらしてください!
絹: そしてこの応援チャリティーライブの日付等について教えていただけますか。確かやっぱり7のつく日ですよね。
酒: はい。2018年7月7日の土曜日、9時から10時まではいつものように掃除をする。その後やっぱりミーティングをして、その後に応援チャリティーライブをやります。開演が11時50分から15時30分までです。参加ミュージシャンは7ユニットで、それもバラエティに富んだミュージシャンが出てくれます。
絹: フラダンスあり、雅楽あり、篠笛あり、京都美術工芸大学の軽音楽あり、京女も来る。
酒: 「京炎そでふれ」の京小町さんが来てくれます。
絹: そして日舞、これはきっと小林はなちゃんが踊ってるやつやな?
酒: はい。
絹: そしてフォーク&スタンダード ブラブラーナ 佐々木ゆかさんほか。
そしてこちらにお持ちいただいたんですけど、会場では1000円のカンパで京都七条大橋手ぬぐい、それから300円のカンパでフォトコンテストの受賞作品を始めとするはがきセット、または缶バッチ、これは酒谷さんが撮られた写真も入っているとのことですね。「一緒に七条大橋をキレイにしませんか」という缶バッチ、楽しいイベントです。七条大橋の本番のライトアップを応援するという気持ちのあるカンパです。してもいいよという人は、7月7日のできればお掃除から。お掃除しんどいなという人は11時50分から、集酉楽サカタニさんでチャリティーライブです!
この番組は心を建てる公成建設の協力と、京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。酒谷さん、小林明音さん、はなちゃん、ありがとうございました。
全: ありがとうございました。
投稿日:2018/07/03

第137回 ・どっちが本業?~歌手にして僧侶 柱本めぐみさんに聴く

ラジオを開く

まちづくり“チョビット”推進室<平成30年5月放送分>

柱: 柱本 めぐみ氏(明覺寺住職・ソプラノ歌手)
絹: 絹川 雅則 (公成建設株式会社)
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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト紹介ですが、ちょっと今回は緊張しております。というのは、小学校、中学校、高校と全部同級生で、しかもクラスの優等生で、私が「こいつには一生、頭上がらへん」というゲストです。偶然、ご縁がありまして、お呼びいたしました。柱本めぐみさんです。
柱: こんにちは。優等生ではなかったと思うんですけど(笑)、はい。
絹: ええ?優等生でなかったら芸大に行ける?
柱: いやあ、まあまあそれなりに(笑)。
絹: 私は勉強では絶対に勝てないというトラウマを抱えながらの番組進行になります。
柱: いやいや(笑)。
絹: それでは柱本さんのプロフィール、今一端をご紹介しましたけれども、僕の方からもう少しご紹介させていただきます。
柱本めぐみさん、京都市生まれ、京都市立芸術大学声楽専攻卒業、そしてソプラノ歌手と書いてあります。歌を歌われる時は、旧姓の藤田めぐみさんに戻られるんですよね。
柱: はい。
絹: だけど、1490年(延徳2年)に創建された明覺寺の第二十代住職、僧籍にあられるんですよね。
柱: はい。お坊さんなんです。
絹: リスナーの皆さんの中で、柱本めぐみさんのお名前に憶えがあるという方は、たぶん京都新聞の「暖流」というコラムではないでしょうか。
柱: もう3年くらいになりますかね。
絹: 月1で書いていらっしゃる?
柱: 今、2ヵ月に1回くらいでしょうか。
絹: そのコラムに寄稿されています。
今日の番組のテーマですけれども「どっちが本業?~歌手にして僧侶 柱本めぐみさんに聴く」と題してお送りいたします。
megumijuushoku

■エピソード1 古刹の二十代目の御住職、なんでなったん?
●お寺の息子と結婚して…
絹: さて、エピソード1。さっきご紹介しましたけれども、ごっつう古いお寺の二十代目の御住職になんでなったん?
柱: 皆さん、人生、何が起こるかわからないというご経験はたくさんお持ちだと思いますが、私も自分がまさかお坊さんになるなんて、全く考えてなかったんですけどね(笑)。
絹: そりゃあ、同級生、誰も思ってないでしょう。
柱: 同級生でも「え!」と思われたと思うんですけど(笑)、たまたま寺の息子が嫁に来てくれというので、歌を歌っているのも知っていましたから、「歌だけ歌ってたらいいから、嫁に来てくれ」というので。私は一人娘なんですけど、親も「お寺に嫁げば、京都から離れへんやろう」という思いとご仏縁を頂くのもいいだろうというので、寺にお嫁に行ったと言いますか、行った先がお寺だったというだけのことだったんですけどね。
絹: 結婚された当初もコンサート活動は続けていらっしゃって、僕、案内をもらってもほとんど行かなかったんですが、御所の近所のアルティに…。
柱: あそこでもリサイタルしたことありますね。
絹: そこに1回だけ、お花だけ届けて、その時にまだお元気だったころの御主人に1回だけお会いした覚えがあります。
柱: あ、お会いになったんですか。知りませんでした。
絹: おぼろげながら覚えています。もうだいぶ前ですけど。
柱: ずいぶん昔ですね。

●仏教って、お寺って、何かなと考え始めて
絹: 考えてみれば、ご主人が元気ならお坊さんにはならないですよね。
柱: でも、お坊さんにはなったんですね。やっぱり「寺の事は何にもせんでええ」と言われても、毎日寺に暮らしていますと、「仏教って、何かな」「寺って、何かな」と思うようになって、ちょっと勉強したいなという気持ちで、得度だけはしまして。
絹: 結婚と同時にですか?
柱: いえいえ、子どもが小学生くらいの時ですね。
絹: でも、悲しい思い出になるのですけど、ご主人が早くに…。四十代でしたっけ。
柱: 五十になったとこでしたね。

●そして寺に誰もいなくなった…
絹: 若いのにお亡くなりになって、それがご縁で歌手にして僧侶という道に行かれたんですね。
柱: そうですね。その前年に義父も亡くなり、住職も亡くなり、「そして寺に誰もいなくなった」みたいな感じで、「寺、どうすんねん」という感じだったんですけど、何の抵抗もなくねえ…。
絹: そのお義父さん、つまり前住職がお亡くなりになって、翌年にご主人が、またお義母さんも…。
柱: そうですね。二年置いて、義母も亡くなって。
絹: もうバタバタと。なんでこんだけ続くねんという…。
柱: そうです。ですから4~5年はもう看病だけの日々でしたから、歌なんかどっかに飛んでいました。
絹: 柱本さんは同窓会の世話も一生懸命してくださる人なんですけど、私もあんまり行かない同窓会にご一緒した時に、すごくやつれていた時期があったなという記憶があるんですよ。
柱: 自分では一生懸命しているつもりでもね。やっぱりそうだったかもしれないですね。
絹: たぶんその時期だったんだろうなと思います。
そして宗教者として、歌手として、活動を続けておられるんですが、明覺寺にたまにおじゃますると、ちょっと何か違うなという感覚を受けるんですけど、すごく変わったことをお寺でされていません?

●お寺で何か楽しいことをしたい、みんなに来てもらいたい
柱: 私は何も知らなくて、寺を継いだんですけど、元々寺の生まれではなかったですから、お寺ということも、仏教もあまり深く勉強したこともなかったんですけど、手探りでやっているうちに、昔は葬式や法事でお坊さんが来る所というイメージだったんですけど、考えてみたら死んでしまったら宗教って、いらないわけですから。
「宗教やお寺というのは生きている人のためにあるんや」と考えた時に、何ができるのかと思ったら、せっかくお寺という空間があるんやから、何か楽しいことをしたい。そしてみんなに来てもらいたい。そんな気持ちがあったんですよね。

●明覺寺の夕方市のこと
絹: 明覺寺さんて、会社のそばなんです。歩いて5分で行けるところに、彼女、いたはるんです(笑)。行った時に覚えているのは、1490年から続いているお寺の御門前で、市が立っているんです。夕方市が。
柱: お野菜市ね。
絹: これ、読みますね。
「明覺寺夕方市 新鮮なお野菜をはじめ、毎回大好評」
毎月第二水曜って、これ、今でもそうですか?
柱: はい。事情で飛ぶ時はあるんですけど、基本的にそれでやっています。
絹: 14時から、5月からは15時から。NPOの「いのちの里・京都村」の方たちが来られると。
柱: 定期的にやる場所を探しておられたので。過疎地のお野菜を集めて売っておられるんです。それを集めてくるので夕方になるんです。
目の見えないところでもそれをすることで、色んな人たちと繋がるという気持ちもありましたし、実際にそうやって夕方市をすると、顔を知っていてもなかなか言葉を交わす機会がなかったご近所の方とも、お話をする機会もできましたし、すごくうれしいなと思っています。
絹: やるなあ。あんまり遅がけに行くと、売り切れていてないんですよ。安心で美味しそうなお野菜を中心に京都府下の産品が並べられていて、買い物に来た人とおしゃべりをしながらね。
女性で猟銃をぶっぱなすハンターがいらして。
柱: 彼女も命について考えるということで、共通点を見出したというか、そんな感じで始めたんですけど、それと過疎地では色んな工夫をして、ジャムを作ってみたり、お菓子を作ってみたり、お味噌とか、そういうものも販売させてもらっています。
絹: リスナーの皆さん、下京区近辺の人は覚えておられたら、結構掘り出し物ですよ。
柱: 6月は休みなんですけど、7月からまたやりますので。
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●開かれたお寺を目指して
絹: こういうことに象徴されるように、開かれたお寺を目指しておられるなというのが、すごく私の記憶に残っていまして、これだけじゃないでしょ。
柱: そうですね。落語会もしていますし、この頃は若い人たちも集まって、寺という空間を自由な発想、新しい発想で使ってもらいたいという思いがあるんです。
ですからデスカフェだったり…。
絹: デスカフェって、デスノートのデスですよ。「death」、つまり死のカフェ。
柱: そうです。死について語り合うっていう。入棺体験、棺に入る体験をしてみたりとか。
絹: 若い人は無茶しますねえ(笑)。
柱: 私も入ってみましたけれども、そういう発想を応援したいという気持ちもありますし、そういうことで、やっぱり本堂の前に靴がたくさん脱いであるというのは、私、すごくうれしいんです。まちなかの小さな小さな寺なんですけど、そこから人の声が、笑い声がする、それがすごく大好きなんですよね。
絹: 御本山も龍谷大学も近いし、若いお坊さんがよく集まってきはると。その中には息子さんも当然いはる。
柱: そうですね。息子も皆さんに育てていただきました(笑)。

●住職も歌も、私の生きている基本なんです
絹: いい感じですね。あ、今気が付いたんですが、これ、BGMで流れているの、目の前でしゃべってくれている柱本めぐみさんの声ですよ。ちょっと一回、音量を上げて聞いてみましょう。
同級生の中に、こういうプロの歌手がおられるというのが、驚きではあります。二足の草鞋、どっちが本業、どっちも本業という柱本めぐみさんです。
柱: そうですね。私の中ではどっちが本業と言われても答えはなくて、どっちも仕事ではなくて、生きている基本みたいなところがあるんですね。
元々クラシックをやっていたんですけど、ちょっと話があって、ホテルのディナーショーみたいなのをするようになって。
そこでも人の縁ができて、「ジャズが好き」「シャンソンが好き」「こんな映画音楽が好き」と、皆さんリクエストを下さって、それでこういう歌も歌うようになりました。
それも皆さんに教えていただいたことですし、私、毎日毎日皆さんに色んな気づきを頂いて、生きている感じがするので感謝をしておりますし、やはり人の繋がりって大事やなというのは、毎日色んな所で思わせてもらっています。

■エピソード2 唱歌との再会、そして…
●きっかけは海外コンサートでした
絹: 海外でもコンサートされた経験が何度かあって、そこからチョイスされる歌が変化していったと、さっき教えていただきましたけれども。
柱: やっぱり家族を見送ったなかで、命を考える歌って何かなと考えたことも、1つのきっかけなのですが、クラシックをずっとやっていましたし、現代音楽もやっていまして、その中で海外でコンサートをしていたんです。その後のパーティーでお国自慢が始まって、「めぐみも日本の曲歌ってよ」と言われたら、はてと(笑)。
「私は何を歌ったらいいんやろと思った時に、かろうじて「赤とんぼ」を思い出したんです。そこで「赤とんぼ」をアカペラで歌ったら、すごく静かで、すごく単純で…。その時、会場がシーンとなってしまって、それまでワーッと騒いでいた人が「なんと美しいメロディーなんだ」と、みんなが口を揃えて言ってくれて。
もちろん日本語も通じないですし、初めて聞く曲のはずなんですが、「えっ」と思った時に、「あ、私は日本人やった」と。それと「日本の音楽を大事にせなあかん」と思ったのをきっかけに、唱歌・抒情歌というものを歌い始めたんです。
最初は手探りでしたけど、歌うにつれて、色んな事を考えるようになってきて、色んな唱歌を今、歌わせていただいています。

●唱歌、なんだか懐かしい感じがしませんか?
柱: ちょっとここで、唱歌を一曲聞いて頂きたいなと思います。

卯の花のにおう垣根に
ほととぎす 早も来鳴きて
忍び音もらす 夏は来ぬ
さみだれの そそぐ山田に
早乙女が 裳裾ぬらして
玉苗植うる 夏は来ぬ

絹: すごい。同級生が歌っているって、信じられない…。
柱: こんな曲があったんやって、思わはったでしょ?懐かしい感じがしません?
絹: 「夏は来ぬ」って、プロが歌うと、こんななるの?
柱: 色んな歌い方があると思うんですけど、これは景色を歌っていますけど、日本の四季ですね。
絹: 効果音の鈴ですか?たまらないですね。
柱: これをみんなでバンドのメンバーと一緒につくり上げたんです。
絹: やっぱりプロなんですねえ。いいなあ。僕の死んだ弟もミュージシャンをやっていたので、音楽ができる人はすごいなあと本当に思う。
柱: こうやって、仲間で1つのものを作り上げる喜びというのも感じさせてもらっていますし、こういうのをできたらおじいちゃん、おばあちゃんがお孫さんと一緒に聴いて下さったり、仕事で疲れた時に、ふっと寝る前にでも聴いて、リラックスしてもらったらいいかなというイメージで作らせてもらったんですけど。

●父の日コンサートの始まり
絹: 唱歌に目覚められたという動きが、おそらくは次なる父の日のチャリティーコンサートに繋がっていくのだろうと拝察しますが、父の日のチャリティーコンサートって、そもそもどうやって始まったんですか。
柱: ずっとディナーショーをしていまして、ジャズやらラテンやらを歌っていたのですが、そのホテルが建て替えになるのを機会に、元々はホールでコンサートをしていましたから、ちょっとそこへ戻ってみようかという気持ちで始めました。
そのホールというのが抽選で日が決まるんですけど、それに当たったのが父の日だったんです(笑)。実はその会館が出来た時に、うちの父が関わっていたというのがありまして…。
絹: 父上は京都府の職員であられて…。
柱: そうなんです。そのホールで父の事を覚えていてくださった方もいらして、ちょうど父の三十三回忌であったこともあり、色んな事が重なって、「これは父の日コンサートにしよう!」と思い立ちました。
絹: 世の中には不思議な偶然がありますねえ。

●チャリティーコンサートにしたい…
柱: せっかくなので広告掲載をしていただこうかなという動きの中で、寄付しようかなという…。
絹: その寄付先がライトハウス?
柱: ライトハウスというところでお手伝いをさせていただくなかで、皆さんがすごくイキイキ生きておられるお姿を見て、お歌もお好きだと聞いたので、ちょっとそこにも寄付させていただこうと。コンサートにも招待させていただいて、コラムも書いているので、京都新聞を通じて、福祉施設に寄付させていただこうという活動も始めたんです。
絹: 今年は6月の16日の土曜日に、その亡くなられた父上がご縁のあった京都府立文化芸術会館、御所の東側ですよね。
柱: 府立病院の向いですね。
絹: これは小さい時から、よく出てたって?
柱: そうですね。小さい時はピアノの発表会もここでやったりしましたし、手ごろなホールって、京都にそんなにないので、本当に足しげくコンサートに行ったホールですね。
絹: 私も落語を聞きに行ったり…。
柱: 落語もやっていますよね。お芝居もやっていますし。

●父の日コンサートのご案内
絹: 6月の16日、午後3時開演。前売りが5,000円、当日が5,500円ですけれども、そういうチャリティーの要素を強くお持ちになっているコンサートです。もちろんボーカルは柱本めぐみ、歌手の時は藤田めぐみに戻られて、このメンバーさんをご紹介願えますか。
柱: はい。ピアノは作曲家でもある釋恵一さん。これも不思議でずっと離れ離れで活動していたんですけど、ディナーショーをやっていた時に、隣の部屋でしゃっくんがピアノを弾いていて、「うわ、何年ぶりやろ」と言ったのが初めで、「ほんなら一緒にしよか」となりました。もうウン十年も離れてたのに。
絹: ピアノって、めぐみさん、自分で弾けるやん。
柱: 弾きますけど、こういうバンドで歌う時は、自分で思いっきり歌うにはまた違うので…。
他のメンバーはその時によって違うんですけど、パーカッションのあゆちゃんとか、ヴァイオリンのYu-Maくんとか、常に一緒にやってくれて、先ほどのCDも一緒につくり上げた仲間です。
諏訪ミュージカルスクール生の子どもたちが一緒に歌ってくれて、今年はサウンドオブミュージックをしますけど、去年はそれこそ浴衣を着て唱歌を歌ってもらったんです。子どもたち「この曲、全然知らん」とか言いながら、それでも一生懸命やってくれて、そういう舞台もありますし、皆さんご存知のラテンとかジャズとか、欲張りのコンサートになっています。
絹: 6月の土曜日の昼下がり、ご家族で、もしよろしければいらっしゃってはいかがでしょうか。そして視覚障碍者の方々には親子ペアで5組をご招待されていると。そしてその収益を寄付されているという企画です。
歌手にして僧侶、僧侶にして歌手。
柱: どっちもです。
hujitamegumi

●人の輪をつくりたい
絹: どっちも本業。今日は柱本めぐみさんをゲストにお招きして、このチョビット推進室で音楽をかけることって、めったにない事なんですけど…。
注目している同級生のお一人であります。また、地域に開かれたお寺を運営されていることに、すごく感銘を受けておりまして、ちょっと刺激的なフレーズですけど、さっき番組の打ち合わせをしていて、「観光寺院行っても、手を合わせへんやん?」という話(笑)、これは石が飛んでくるかもしれませんが。でも、お寺で手を合わせる、先ほど言われたように、お寺の玄関先に多くの脱がれた靴が集まる。人が集まる、「一堂に会する」は本来仏教用語だったと教えていただきましたけれども、「一堂に会する」ために歌というツールも十分にお使いになっているわけですね。
柱: だから私にとっては、人の輪ができる、今日一日を楽しく過ごすのが、音楽であろうと、仏教であろうと、食事であろうと、私ができることで人の輪ができればいいなという思いでやっています。

●日曜学校も始めました
柱: 今、日曜学校も始めましてね。月に1回なんですけど。最終日曜日の1回だけなんですけど。
絹: 僕ら、日曜学校というとキリスト教の教会イメージがあったけど、ちゃんと明覺寺さんでやったはるんや(笑)。
柱: それも玄関に子どもの靴が脱いであって、子どもの声がすると、また一層うれしいんですよ。走り回る子どもを抑えんならん時もありますけど(笑)。
絹: 原則、毎月最終日曜日。9時半から11時頃。なんと1年間で1,000円。ほぼボランティアで…。
柱: そうなんです。お念珠とお経本をプレゼントします。それ込みで(笑)。
絹: リスナーの皆さん、いかがでしたか。下京区の古いお寺、明覺寺をあずかられるご住職、柱本めぐみさん、歌手になられる時は藤田めぐみさん。もしご興味のある方は、YouTube始め、色んなもので検索して、個性・肉声に迫っていただければと思います。うーん、おもろい人が下京区にはおる。。。
柱: ありがとうございます。御興味のある方、ファックスとかメールとかでご連絡いただければと思います。音楽の方も、お寺の方も、ファックスが 075-371-7996 で、メールは meg.fjt.office@gmail.com です。
絹: リスナーの皆さん、いかがでしたか。少し毛色の変わったゲストでしたが、京都ではこういうタレントを有した人が、そこかしこで一隅を照らす活動をされています。気が付かれた時は、サポートよろしくお願いします。
柱: よろしくお願いします。
絹: それじゃあ、めぐみさん。ありがとうございました。
柱: ありがとうございました。
※関連リンク
藤田めぐみ様オフィシャルサイトhttp://meg.main.jp/
藤田めぐみ様オフィシャルブログhttp://blog.meg.main.jp/
投稿日:2018/05/21

第136回 ・「京都国際子ども映画祭」ってご存知ですか? ~キンダーフィルムフェスト 子どもによる子供のための国際映画祭

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まちづくり“チョビット”推進室<平成30年4月放送分>

植: 植田 真由氏(特定非営利活動法人キンダーフィルムフェスト京都 理事長)
田: 田勢 奈央氏(特定非営利活動法人キンダーフィルムフェスト京都 理事)
絹: 絹川 雅則 (公成建設株式会社)
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左:植田 真由氏 右:田勢 奈央氏

 

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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最前線のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト、お二方、今日は女性比率が高いです。女性お二人にお越しいただいております。まずお一人目。NPO法人キンダーフィルムフェスト京都の理事長でいらっしゃいます植田真由さんです。
植: 植田真由です。よろしくお願いします。
絹: ようこそ!
そして同じくNPO法人キンダーフィルムフェスト京都の理事でもあられます田勢奈央さん。
田: はい、田勢です。よろしくお願いします。
絹: 田勢さんは、古くはないけど、私はよく知っているというか。
リスナーの皆さん、Impact Hub京都って、聞いた事ないですか?すっごく面白い場所が京都にもあって、府庁の近所なんですけどね。Impact Hubって、世界に何十か所かあるんですよね。
田: そうですね。90か所ちょっとでしょうか、世界の色んな都市にインパクトハブという団体がありまして、コワーキングのネットワークを広げていこうというコミュニティなんです。
絹: そこのスタッフをされていた時期に知り合いました。「Dojo for Change」って、なんかすごい名前でしょ?楽しい場所なんです。また、気にかけていただけたらと思います。

■エピソード1 そもそも「京都国際子ども映画祭」って、なんやねん
●京都子ども映画祭のはじまり
絹: さて、本日の番組タイトルですが、「京都国際子ども映画祭って、ご存知ですか?~子どもによる子どものための国際映画祭」と題してお送りいたします。この京都国際子ども映画祭、この夏の8月の2日から5日、ラジオカフェのお近くの京都文化博物館で(地元の者は「文博」と呼んでいますが)開催されます。そしてご縁がありますね。偶然、わが社があの工事に参画しておりました!
両: あ、そうなんですか(笑)。
絹: 現場へ何人か行っておりましたし、改修工事にも参加しております。いい場所ですね。
さあ、この京都国際子ども映画祭について、メインゲストの植田真由さんと田勢奈央さんとともに、じっくり読み解いてまいります。
京都国際子ども映画祭、ご存知ない方も多いかと思いますので、植田さん、ざっとその来し方と言いますか、古いそうですね、実は。
植: 京都国際子ども映画祭は、毎年1回開催と考えて20年以上、今年で24年目になります。
絹: すみません!知らんかったあ!
植: 知られてないんです。これだけ長い事やっているのに。
絹: すごい良い事やってらっしゃるんですよね。
植: 1994年から始まったんですが、キンダーフィルムフェストという名前から、ちょっとピンと来られる方もいらっしゃるかもしれません。元々はドイツでやっているベルリン国際映画祭という大きな映画祭があるのですが、そこの子ども部門でキンダーフィルムフェストという、子ども向けに作品を上映しているセクションがあって、そこに行った映画人が日本でもこういうふうに子どもに向けた映画祭をやりたいということで、最初東京で始まって、その次に京都でやったのが、今まで続いているということです。
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●今さらですが、ゲストの紹介です
絹: 東京で始まって、京都で…。すみません、1つ僕、何か忘れているような気がします。えっと、ゲスト紹介をちゃんとやるのを忘れていました(笑)。こんな感じでゆるゆるどころか、低空飛行でやっている番組ですが(笑)。
ちょっと戻して頂いて、理事長の植田真由さん、先ほどの下打ち合わせで、専攻が映画でずっとご研究されていて、博士課程まで行っちゃったと。無茶苦茶映画の世界にどっぷりという感じの方ですが、リスナーの方にその人となりの一端をお伝えするのに、いつもの手抜きの他己紹介というやつを、田勢さんにお願いします。田勢さん、植田真由理事長とは、いかなる方ですか。
田: 植田さんは、ラジオだと声しか伝わらないので、あれですけど、見た目はすごく若い、もちろん年齢も若いのですが(笑)、2歳9か月の男の子を育てているママさん理事長なんです。
元々は映画を専門にしていることもあって、このNPOで、映画祭のための映画を選ぶ仕事をずっと担当されていて、そこからどんどん上がって行って、今、理事長を務めているという方です。
絹: おお、ご苦労様です。いやあ、映画関係者とお知り合いになるのは初めてです。
それじゃ交代で、今度は植田さん、田勢奈央さんとはどういう方ですか、短く述べよ。
植: 田勢さんは去年から映画祭に関わっていただいたんですけど、ものすごくパワフルな方なので、このパワフルさとエネルギーで、去年の映画祭は田勢さんがいなかったらできなかっただろうなというくらい貢献していただきました。私にとってもキンダーにとっても心の支えと言うか、全てにおいて支えになってもらっているような、頼りになる存在です。
絹: ありがとうございます。こそっと田勢さんのエピソードを追加しますと、テレビ人で以前TBSにおられて、番組制作にもということで、そういう世界にお詳しい方で、僕はインパクトハブで田勢さんに英語を習いました(笑)。
田: そういえばそんなこともありましたね(笑)。
植: 英語も堪能でいらっしゃるので…。

●子どもが中心の映画祭-見ることはもちろん、審査もします
絹: すっごくわかりやすい英語を使われます。
さて、元に戻りまして、このキンダーフィルムフェストについて、もう少し続きをお願いします。
ベルリン国際から始まって、東京、京都で日本版が始まった。内容はどんなことをやるんですか。
植: 本当に子どもが中心になっていて、子ども向けの作品を上映するのはもちろんなんですが、子ども審査員が上映される作品を全部見て、審査をしてグランプリを決めます。
絹: 何本くらい参加されるんですか?
植: 長編3本、短編7~8本をそれぞれ2回ずつ見ます。
絹: それって、見る方もすごい体力要りますよね。
植: すっごいハードスケジュールですね。

●今年は京都文化博物館でやります!
絹: 今年の会場は文博とのことですが、確か文博って、映画の資料が古い日本映画からずっとアーカイブがあるところと違いましたか。
植: はい、そうです。ポスターから雑誌からフィルムまで。
絹: だから映画資料を見るブースだとか、しつらえとか、ちょっと大きめのつくりのシアターとか…。いい場所を選ばれましたね。
植: 本当にお世話になっております。
絹: 24年前からでしょ?
植: 会場は結構色んな所を転々としていまして、文博さんでやらせていただいているのは、ここ7~8年なのですが。
絹: でも文博さんとしても、ようこんな企画をもってきてくれはったと喜んでおられるのではないですか。
植: そうですね。最初の頃は本当に「うちにこんなに子どもが来てくれるなんて…」と館長さんが喜んでおられたという話は聞きました。

●子どもたちが議論しながらグランプリを決めます
絹: 長編3本と短編7~8本を2回ずつ見て、審査員さんも子どもがいるんでしょ?
植: そうです。
絹: 結構な時間と体力を使うから、一日何時間くらい見るんですか。
植: 1日3本ですね。
5時間くらいシアターに座っていることになります。
絹: だから8月の夏休みなんですね。でも夏休みの自由研究としては、最高じゃないですか。
植: そうですね。去年は東京からおばさんが京都に住んでいるというので、夏休みを利用して、京都にわざわざ来て、映画祭に泊まりながら参加してくださったお子さんもいたりして…。
でも子どもたちはどの映画がいいかという議論を通じて、ほとんど初対面の子たちなのですが、どんどん仲良くなっていくんですね。それが大人としても、見ていてうれしいなと思いました。
絹: その長編3本と短編7~8本を見て、「私はこれを推します」みたいなのを、みんなで…。
田: そうです。「これのこういう所が良かった」というのをみんなで言い合って、みんな意見は違うのですが、多数決はせずに話し合いでグランプリを決めるわけです。
絹: その時に植田さんや田勢さんはその議論に加わって、ファシリテーションと言うか、議長と言うか、何かするんですか?
田: できるだけ口は出さないようにしています。「時間ないよ」とか、そういうことは言いますけど。

●子どもたちは感想文も書いて、公開します
植: あとみんな最後に感想文を書くんですね。感想文をグランプリ作品発表の時に、全員お客様の前でそれを読み上げるんです。自分たちが感動した映画について書く子もいれば、映画祭を通じて、どういう事を学んだかということを書いてくれる子どもたちもいて…。
田: 結構、常連さんはその作文を楽しみに見に来るみたいな方もいらっしゃって、子どもたちの成長っぷりがすごくよくわかるので。
絹: その2日から5日までの、映画祭の水面下の作業と言うか、ワークショップが大変で、一般に公開されて「グランプリ作品はこれだ」と、上映されますよね。子どもたちの感想文の発表もある。それは一般人に公開されるのですか。
植: もちろんです。
絹: それはいつですか?
植: 作文を読むのは4日で、グランプリ作品の上映は5日です。
絹: リスナーの皆さん、8月の4日5日は空けといていただけませんか。これは面白いですよ。子どもたちがどんな感想を持って、どんな作品を選んだか。ちょっと自分の手帳に書いておきます(笑)。
植: やはり大人が見る視点と子どもが見る視点が、微妙に違っていて、私も同じ映画を何回も見ているんですけど、子どもたちの感想を聞いて、「あ、そういう見方があったんだ!」というふうに気づかされることもあったりして、それは本当にこの子ども映画祭でないと味わえないことだなと思いますね。
絹: 今、僕の手帳を開けて、8月の4日5日に「キンダーフィルムフェストat文博」と入れておきました(笑)。
両: ありがとうございます!!
絹: いやあ、本当に外せない仕事さえなければ、絶対に行きたい!面白そう!
さて、リスナーの皆さん、だいたいどんなことが行われてきたか、概要をつかんでいただけましたしょうか。

■エピソード2 「京都国際子ども映画祭」、もっとズームしてみると…
●吹き替えワークショップって、どんなことするの?
絹: さらに、エピソード2でその内側をもうちょっとインタビューしようと試みますが、先ほどワークショップのことを少しだけ教えていただきましたが、子どもたちが吹き替えをやると。それもその場で。
植: はい、生でやります。
絹: 活動の弁士さんみたいな感じで合ってます?あんなイメージですか?
植: そうです。
絹: ちょっとその吹き替えワークショップについて、もう少し教えていただけますか。
田: うちで上映する映画は、海外から直接持ってくることが多いので、字幕も吹き替えもついていない作品を上映するんですね。でも、それだとちょっと子ども向けの映画祭としてはわからない。、じゃあどうやったらみんなにわかってもらえるのかということで、生吹き替えというのがつくようになったんです。子どもスタッフと去年から大人の方にも開いて、全6回の映画吹き替えワークショップというものを開講しております。
そこで劇団のプロの方から、最初は発声練習や、身体の動かし方といった基礎的な事から、後半は吹き替えをする映画を見ながら、アテレコをしていくみたいなワークショップです。
絹: と言いますと、8月の2日から5日までの4日間の中でその吹き替えワークショップも、同時進行なのですか?また別ですか?
田: ワークショップ自体は、映画祭が始まるまでに完了するようにして、そこで学んだ方たちが、映画祭当日に短編の生吹き替えをするという、本番が映画祭という感じですね。
絹: もし子育て最中の親御さんがいらっしゃったら、これは子どもさんの訓練プログラムとしては、夏休みに最高の部類じゃないでしょうか。吹き替え、声の出し方、ボイストレーニング、植田真由理事長が選んでこられた良質な映画を繰り返し見て、その場で吹き替え、自分の声であてるわけです。

●吹き替えワークショップを通じて、子どもたちが学ぶもの
田: 去年はチェコの映画や韓国の映画、中国の映画など、特に子どもだと、映画館ではなかなか見ない国の映画を、子どもたちが何回も何回も見て、やはり国が違っても笑うところは同じだったり、悲しいと思ったところは同じだったり、そういうことを子どもたちも映画を通して学びます。
私が去年初めて参加して感動したのは、吹き替えワークショップに参加されている方、去年は小学校3年生から70代の女性までいらっしゃったんですね。親子でも家族でもなく、全然年代も違う人たちが、すごくお互い励まし合って練習していて、やっぱり本番になると、皆さん素人の方たちなので、すごく緊張されるんです。でも、それを乗り越えていく様というのが、すごい見てて感動します。
やはり何回も何回も練習してきているのもありますし、映画祭の場でお金を払って来ていただいているので、それ相応のクオリティのものを出さなければいけないので、私たちも結構厳しくやっていきますし、劇団の指導してくれる先生も、そこはちゃんとクオリティを保つために色々教えて下さっています。
絹: プロの劇団の方が指導してくださるんですか。「やり直し!」とかって、やるんですか。
田: 結構、何回も何回も練習しますね。
植: 「もうちょっと今の所、やってみよか」みたいな感じで。
絹: その吹き替えワークショップは5月27日スタートで、これの期間と言いますか…。
田: 日程はホームページとフェイスブックの方に上げています。
絹: 興味のある方はぜひアクセスしてみてください。検索ワードは「キンダーフィルムフェスト京都」。さっきフェイスブックページだけちょっと眺めてきましたが、本当にいい表情をした子どもたちと、大人たちの画像が踊っております。いいですねえ。これは面白い。

●繋がる、広がる、吹き替えワークショップの輪
絹: さらにもう少し聞いてみたいのですが、吹き替えワークショップの中身、劇団の方が指導されている様子をもう少しお話いただけませんか。一番最初にやるのは、どんなことですか。あるいはどんな方が申し込んで来られたのですか。先ほど京都市さんを通じて、小学校にチラシをまくとおっしゃっていましたよね。
植: 小学校とかにまくのと、あとは口コミかフェイスブックを見て申し込んで来られる方が多くて、今年に関しては去年やった人がリピートされる方も結構いますし、あと小学校三年生の子が本番をやるのを、友達が見に来ていて、それを見て自分もやりたいと今年申し込んでくれる子が2~3人いますね。
田: みんなお母さんに連れられて映画祭に見に来たわけですが、吹き替えに関しても、子どもスタッフに関しても、子ども審査員に関しても、どの子もみんな楽しそうなので、たぶん子供の眼からそれを見て、「なんかあのお姉さんいいなあ」とか「あのお兄さん、楽しそうだな」と憧れて、入りに来てくれる人も結構いて、私たちが宣伝する力よりも何よりも、子どもたちの生き生きした顔が、お客様と翌年の参加者と言うか、子どもたちを呼んできてくれているんだなと思いますね。

●NPO自体が世代交代して、ドキドキワクワク、皆で作り上げている最中です
絹: 今、お話になっている田勢さんの表情を見ていて、田勢さんだったら、ドキュメンタリーとか作る能力があるから、ひょっとしたらキンダーフィルムフェストのドキュメンタリーをどこかで作ってやろうと構想しているんじゃないかと思っているんですが(笑)。
田: それ、すごいしたいんですけど、私がそれをしちゃうと、ちょっと回らなくなるところもあって(笑)。
絹: さっき植田真由理事長が、「田勢さんの加入ですごく助かった」とおっしゃっていましたね。いろいろ回してくださったと。
植: そうなんです。私、理事長になったのが、去年度が初の年度だったので、初めてで「どうしよう、何にもわからない」という状態だったんです。ずっと映画祭にはかかわっていたのですが、トップとして回すのが、去年が初めてだったので、パニック状態だったのを、田勢さんがすごくフォローしてくださって、そのお陰で…。
田: 去年から色々体制が変わって、新しいメンバーが出てきて、結構世代交代したんです。なのでみんなにとって去年は元からのスタートだったので、今も手探りで、本当に毎日のように色んな話をしながら作り上げているんですけど、今年も海外からゲストをお呼びするんですね。

●あの俳優さん、監督さんが来てる!!
田: 去年は、映画に出ていた俳優さんをドイツからお呼びしました。それから日本の上映した映画の監督さんや子役さんにも来ていただきました。
絹: なんかすごい大規模ですね!
田: 結構盛沢山なんです。
植: 子どもたちにしたら、映画に出ている人が来てる、監督さんが来てるというので、そういう方に直接会うことは、普通に過ごしているとないことなので、すごく貴重な時間なのだろうなと思います。
絹: いやあ、世の中知らないことがいっぱいあります。

●映画をつくる気持ちも体験してもらいたい…
田: だから映画を見るという機会だけではなくて、つくる側の気持ちも体験してもらいたいと思っています。
そこで映画の子どもスタッフたちが、上映前にちょっとした本当に短い動画をみんなで作るんです。それは毎年ちょっとずつテーマが違っていたりするんですけど、去年は映画が始まる前のプレビューとして、映画のDVDが文博に届く前の色んなシーンを、京都中を走り回って、嵐山に行ったり、二条城の前を走ったり…。
植: 京都の名所をそれぞれ撮影して、西からバージョンと東からバージョンでこう…。
絹: ひょっとしてそういうのって、YouTubeで検索したら見られます?
植: ホームページにあるんです。
絹: これちょっと見ましょう。リスナーの皆さんもご覧になったら、イメージしやすくなりますよ。
田: 子どもたちもやっぱり作る楽しさ、私も元々ずっと映像を作っている人間なので、作る楽しさも味わってほしいし、見る楽しさも味わってほしいという、その両方をなるべくできるようにしたいなと思っています。

●我々、建設業界にも映画振興に力を入れていらっしゃる会社があります
絹: いやあ、ご縁ですね。こういう生の情報を直接お持ちいただけるなんて。
さっきもちょっとお話しましたけれども、我々の建設業界の中でも舞鶴の志摩機械さんという建設機材をあちこちにご用意されたりする会社がありまして、とても映画に造詣が深いんです※。舞鶴でクローズされる映画館を私財で買い取られて、映画振興に力を入れていらっしゃったり、この京都三条ラジオカフェのように舞鶴にもコミュニティFM局がありまして、そちらのサポートをされたりしています。この間、エクスカーションに行かれた…。
※シマフィルム(株)リンクhttp://shimafilms.com/
植: 映画遠足ですね。
絹: 出町から行かれたんですよね。その出町座にも志摩機械さんが関わっていらっしゃるんです。

●映画遠足で出町座さんに行ってきました
絹: その映画遠足のこと、ちょっとだけ教えていただけませんか?
植: せっかく映画にまつわる団体に子どもたちに参加してもらっているので、もっと映画のことを知ってもらいたい、映画をみんなで楽しみたいと思って、企画したのが映画遠足です。
去年オープンしたミニシアターの出町座さんという所にみんなで行ってきました。やっぱりシネコンしか行った事のない子たちなので、初のミニシアターに行って…。
絹: リスナーの皆さん、出町の枡形商店街と言って、良い感じの商店街が残っているんですよ。その空き店舗を改修されてミニシアターですね。
植: 書店とカフェも併設されているミニシアターです。
絹: 書店もいい感じの書店で、カフェもいいし、中へ持ち込めそうですね。
植: そうです。買ったものをシアター内に持ち込めます。
絹: 2階と地下と2つスクリーンがありましたっけ。
植: そうです。
絹: 京都は映画の発祥の地でもあります。ですから立誠小学校でそういう映画に関わることを丁寧にされていた方もおられますし、その流れが出町座に来ているということをお聞きしたことがあります。
さあ、皆さんどうでした?今日のお話。もうただただ面白かったです。
子どもたちに映画に触れてもらって、しかも吹き替えワークショップ、それからみんなで審査員もやっちゃおうぜと。それに大人たちがサポートして、24年前のベルリン国際映画祭の流れをくむ京都国際子ども映画祭です。これを機会に、もしお耳にかけられた方はホームページ、フェイスブックページをご覧いただくとともに、小さいお子さんとか高校生でも、大人でも、このワークショップに参加してみてはいかがでしょうか。まさにこれは京都らしいプログラムだと思いますし、夏休みに最高のイベントになると思います。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。田勢さん、植田理事長、ありがとうございました。
両: ありがとうございました。
投稿日:2018/05/11
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