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まちづくりチョビット推進室
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月別アーカイブ 2024年2月

第194回 ・住まう 働く まざる~団地を中心とした共生のまちづくりって何?

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池: 池田 英郎 氏(社会福祉法人 京都福祉サービス協会 児童福祉部 / 地域共生社会推進センター事務局長)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
         (左:池田 英郎 氏  右:絹川)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト紹介です。最近の出会いなのですが、お迎えしておりますのは、社会福祉法人 京都福祉サービス協会からお越しいただきました。池田英郎さんです。
池: よろしくお願いいたします。
絹: 池田英郎さんは、地域共生社会推進センター事務局長という二つ目の顔もお持ちで、どちらにしても長くてカタいのでおいおい説明していただくことにしまして、私と出会ったのは、たぶん西野山市営団地が初めてでしたか。
京都市には市営団地がたくさんあります。西野山市営団地は土地勘のない方もおられるかもしれませんが、住所は山科区勧修寺堂田というところです。そこで時々面白い、変わった現象が起きていることを、この絹川くんのあまり利かない鼻が嗅ぎつけまして、ちょくちょくお邪魔していたところに、この赤いタコの被り物をしておられた人が池田さんでした(笑)。そこで「この人だ!」とばかり無理やりゲストに来ていただいたわけです。
さて、本日の大事な番組タイトルを申し上げねばなりません。先ほど池田さんと打ち合わせをして決めました。本日のタイトル、「住まう 働く まざる~団地を中心とした共生のまちづくりって何?」と題してお送りいたします。
さあ、池田さん、このタイトルを時系列に沿って読み解いていただきます。よろしくお願いします。
池: なんのこっちゃわからないですよね、この流れは(笑)。なるべく分かりやすく経緯を説明したいと思います。
絹: リスナーの皆さん、是非ご期待ください!本当に不思議なというか、おもろいというか、すごい挑戦が山科の西野山で起こりつつあります。あるいはもう既に起こっています。どうぞ!
 

■エピソード1 地域共生社会推進センターの立ち上げ、そもそもの思い

●京都福祉サービス協会は、京都市内で事業を展開する社会福祉法人です
池: カタい肩書ばかりなので、まずは社会福祉法人 京都福祉サービス協会を説明しないといけないですね。
絹: 私は門外漢ではありますが、理解しているところだけ申し上げますと、もともと京都市の外郭団体であった歴史が長い福祉法人さんだと聞いています。市内に27拠点、事業所という呼び方が正確なのか、特別養護老人ホームを始め、比較的大型の施設を展開されておられまして、元々はホームヘルプ、訪問介護からスタートされています。私も個人的にですが、小川にある施設と言えばいいのでしょうか…。
池: そうですね。特別養護老人ホーム小川がありますし、そこから居宅のサービスも行っています。
絹: そこから私の齢90歳のお袋様も、訪問介護のお世話にずっとなっております。ありがとうございます。
池: ありがとうございます。
絹: というので、その福祉サービス協会さんの何たるかは、ざっとした紹介になりますけれども、あと詳しいご紹介を池田さんからお願いします。
池: 社会福祉法人京都福祉サービス協会は、大きな社会福祉法人で、京都市内で事業を展開しております。その中でもう1つ、地域共生社会推進センターというのを立ち上げたというところです。法人そのものは特養とか訪問介護などの事業所で、児童館も4つ運営していまして、私自身は児童館の職員として二十数年間働いていました。
 

●児童館って、どんなところ?

池: そういう意味では私自身、高齢福祉専門ではもちろんなく、児童福祉の専門ではあるかもしれませんが、流れの中で児童館で働いていたという経緯があります。
児童館というのは、まちの中に子どもなら誰でも来れるという場所ですので…。
絹: うちの近所でしたら、上京ですので、室町小学校の所に児童館がありますけど、あれも…。
池: そうですね。児童館ですと市内に130か所あって、色んな法人が運営しているのですが、対象が0~18歳と幅広くて、赤ちゃんから高校生、高校中退の子なども来れるという場所なんです。
絹: 私個人的に言うと、児童館というのは入った事がないので、自分の子どもが小さい時もお世話になってなかったので、どういうところなのか実はよく知らない、そういう人も結構おられますか?
池: その辺がすごく課題で、子育て中のお母さんたちも気軽に来られるよう、もっとピーアールしないといけないと思っています。放課後児童クラブという学童クラブは誰が聞いてもわかるような、子どもを預かっている場所というイメージがあると思うのですが、児童館はそうではなくて、まちの中にあって、第三の居場所のように、誰でも来れる。その児童館の要素ももっと出したいなと思いながら、ずっと仕事をしてきていました。
 

●児童館とサードプレイス

絹: 今、さらっと第三の居場所というキーワードをお使いになりましたけれども、それに僕は激しく反応するタイプでして、私自身京都にあるサードプレイスを訪ね歩いていた時期がありました。
池: すごい、何でも興味があるんですね!
絹: “まちの縁側”という言葉を、日本でごく早い時期に使われて、名古屋と京都にご自宅を住み開いて“まちの縁側クニハウス”“まちの学び舎ハルハウス”という二つを展開していらっしゃる80超えのおばあちゃん、佛教大学の退官教授の丹羽國子先生です。私の師匠筋と言いますか、このラジオの番組にも数回、ゲストでお呼びしております。
私はそのサードプレイス、誰でも来れる場所、居場所というのが、今ものすごく必要だなと思っている者の1人でして、とにかくあの居心地の良さが大好きなんです(笑)。
池: そうなんですよね。何をしてもいいし、何もしなくてもいいみたいな。これを伝えるのが難しかったりするし、色んな人が本当に集えるためには、どんな工夫がいるかなということを考えていかないと、そういう場所になりえないし、ただ単に管理する場所になってしまう可能性もあるわけです。
絹: もともと長く勤めておられた児童館は、「本来そういう場所なんですよ」とおっしゃったわけですよね。でも僕らはあまり知らない…。
 

●まち全体で子どもを育てるまちづくり

池: そこがすごく課題で、児童館をやりはじめたと言いますか、勤めはじめたのも、そういう経緯でした。児童福祉がやりたいとかでは実はなくて、子どもが好きでとかでもなくて、どちらかというとまちづくりと言うか、人が出会う環境に興味があったのかなと思っています。
絹: 今日、ゲスト出演されている番組の名前が、まちづくりチョビット推進室で(笑)。
池: たぶん元々関心のある領域なんです。児童福祉の専門家のみが子どもに関わって、子育てを支えるのではなくて、本来、まちの色んな人たちが関わりながら、子どもが育つという、そういう意味では児童館だけではなく、児童館が拠点となって、まち全体で子どもが遊んだり、育ったりする。そんな発信をする野望も持ちながら、法人内でやってきました。
 

●福祉全般同じ発想でと、地域共生社会推進センターを立ち上げました

池: そういう発想って、福祉全般に言えることだと思うんです。高齢福祉の中でも特養に入居されたら見えない世界なのかというと、全然そんなことはない。元々まちで暮らしていた人が施設で暮らしているわけです。そこは地域の関りと言うか、地域の方が関わって当たり前だし、施設も地域と関わるのが当たり前だし、そういった活動をもっともっと拡げようよというコンセプトで、地域共生社会推進センターを立ちあげました。ちょっと大きな法人の中で皆、私も児童館をやりながら兼職でやり、代表は河本代表が特養の施設長を兼任しながら、副代表も特養の施設長の森副代表で、事務局も訪問介護をやっている兼任職になります。センターと言っても建物があるわけではなく、私たちが一部署を兼職しながら、そういうチームを作られたという感じです。
絹: その河本歩美代表兼紫野施設長さんもユニークな方で、本当にお話が通じるというか、私みたいな素人が議論をふっかけに行っても、ちゃんと聞いてくださって、池田さんとか宮路理事長に繋いでくださった、本当に珍しいタイプの方です。NPOなんかもなさっていて、「認知症とともに生きるまち大賞」を受賞されました。本業から少しかすっているかな、かすってないかな。お年寄りがまな板を磨くお仕事をされて、そのまな板を無目的カフェで販売されて、その活動がすごく評価されたという経歴の持ち主が、地域共生社会推進センターの代表であられる。
 

●「働く」というキーワード

池: たぶん代表のお話は、それはそれで1つ番組ができてしまうんですが…。児童館をやっている私から見て、「一緒やな」と思ったのは、単にご利用者さんのためにサービスをやる場所ではなくて、来ているお年寄り自身も役割を持つというか、誰かのために働くということ。そのまな板を磨くのもそうですし、男性の方は洗車をしていると、最近おっしゃっていましたが、とにかく何かをしてもらうだけの対象ではないということです。福祉って、上からしてあげるという支援ではなくて、利用者の持っている力をちゃんと引き出しながら、その人の主体性を大事にしながらやっていく。これは児童館の支援も一緒だなと思いました。子どもも何かをしてもらうだけの存在ではなくて、しっかり意見を言ったり、子どもたちのやりたいこと、例えばお店屋さんを自分たちでつくったり、祭りの参加者で行くのも楽しいけど、祭りを一緒につくっている実行員会の中の方が、もっと楽しいみたいな、そういう実践を私もやっていたので、「お年寄りでもそこは一緒やん」という思いはありました。そういう意味で「働く」というキーワードも出てきているので…。
絹: 「住まう、働く、まざる」ですね。社会実験的な要素も見え隠れするのですが、西野山市営団地で本当に何かすごいことを、素人の目から見るとすごい挑戦が起こっているように見えるのですが、その辺り紐解いていただけますか。
 

■エピソード2 西野山市営団地での挑戦―実践の場として

●地域ともっと関われる事業をやっていきたい
池: 地域共生社会推進センターは、児童館も含め、特養や訪問介護など色んなサービスを展開しているなか、福祉、ケアの仕事に携わるたくさんの従業員が、地域と関わりながら、地域の人たちと利用者も含めて一緒に楽しく価値をつくっていける後押しをする事業を、ずっと展開してきました。具体的には法人内の職員が集っておしゃべりできるカフェとか、ちょっと勉強できる、横糸を繋ぐカフェ、外に発信するフォーラムや、色んな人を繋ぐファシリテーションの技術を学ぶ研修など、いわば法人内の働きかけをセンターとしてずっと行ってきたのですが、もう少しわかりやすい地域との関わりの事業をやった方がいいのではないかという話になりました。
ただ地域と言っても京都市中となると広すぎるので、市営住宅を拠点としてグループホームをやったり、その地域の課題に入ってそこで実践できる可能性があるのではないかと、法人の中で話をするようになりました。そこで京都市の住宅管理課に、市営住宅で空き部屋を使いながらまちづくり実践ができるような所はないだろうかと相談したところ、西野山市営団地を紹介してもらったのがスタートでした。
絹: 不思議な偶然ですね。なぜか私も時期を同じくして、都市計画局住宅室住宅管理の(今は異動されましたけど)菱崎課長の耳元でぶつぶつ呟いておりました。「空いてるでしょう、公営住宅」と。
池: 私たちも事業拠点を共生推進センターとして持っているわけでもないので、拠点が欲しかったわけでもないのですが、課題は絶対あるだろうし、そこに福祉をやっている我々がまず入っていくと面白いんじゃないかと
 

●公営住宅にケアワーカーが「住む」ということ“まちソリデール”

絹: 私は菱崎さんにふっかけていた議論は、「財政非常事態宣言だと、市長さんが青い顔したはるのに、空き室がいっぱいあるのを、なんで放っているのですか」と。「例えば保母さん、高齢者介護施設の職員さん、看護師さん、安くで入れなはれ」とずっとふっかけてました。
池: それ、考えてます!
絹: そしたらそれを聞く耳を持つ人が出てきまして、今、動きつつあります。そこへ池田さんが「空いてるでしょ?使わして」と言ってこられたのと、たぶんタイミング的にピタッと合っているはずです(笑)。
池: そうなんです。京都で卒業した若いワーカーが安く住めて、その近所にお年寄りもいたりすると…。
絹: 「いわゆるケアワーカー、エッセンシャルワーカーと目される方々が“住まう”というところでサポートされるのであれば、地域に残ってもらえるでしょう」と。「元々ケアマインドが高い方なのだから、そういう人が高齢化率68%という西野山市営団地で活動されたら、きっと何か起こりまっせ」と、菱崎さんとかにガンガンふっかけていました(笑)。
池: でも本当に空想ではないですけど、団地を拠点にしたらどんなことができるだろうみたいなことを言いながら、たまたま紹介いただいたのが西野山市営団地だったんです。本当に職員が住むというのも面白いんじゃないかと。
“ソリデール”のように、学生とおじいちゃんおばあちゃんが一緒に住むなら、一軒家でなくても、まち中でそれをやればいい、“まちソリデール”でいいんじゃないかと言っていました。そんなことをワーワー言いながら、まずは団地の現状がどんなことになっているのか私たちも知らなかったので、菱崎さんにご紹介いただいたわけです。
たぶん会長さんの強い思いも感じたので、ここをご紹介いただいたのだと思うのですが…。
 

●まずはタウンミーティングをやろう!

絹: 松尾自治連合会長ですね。熱心な会長さんですよね。
池: 団地に行ってお話をお聞きすると、本当に篤い思いで語っていただいて、「このままでは大変だ。京都市にいっぱい要望しているけど、難しい。ただ、ここに住んでいるお年寄りに温かい物を食べさせてあげたいんや」とおっしゃっていたんですね。温かい物というのは、単純にあついご飯だけでなく、人の温もりもあるんじゃないかと、勝手に私たちも思いながら…。
絹: ひょっとしてその思いが“たこ焼きタウンミーティング”に繋がるのでしょうか。
池: そうなんです。そんな思いの会長さんもいらっしゃるので、ここで何かできるんじゃないかなと感じました。ですから僕らがこの場所を使ってグループホームにというような事業だけじゃない、何か住民さんの気持ちを聞きながら、まちづくりにつなげる活動ができたらと考えました。そこでまずは住民さんの意見を聴くためのタウンミーティングをやろうということになりました。
タウンミーティングとは言うものの、ただ単に最初は焼き芋をみんなで焼いて、食べて、住民さんの困りごとを聞き取るというのをやったんですね。
絹: 本当に地道な活動ですね。
池: そうなんです。焼き芋の芋はうちの職員の「畑の芋をあげるよ」と言ってもらったので、みんなで掘りに行ってみたいなことで(笑)。今もちょいちょい掘らしてもらってるんですけど。
 

●移動販売車が来るようになりました

池: 焼き芋で話をしていると、先ほど団地の高齢者率68%ということでしたが、調べると68.8%だったんですね。市内でも23%とかですので、非常に高いわけです。本当にお年寄りが多いというところで、買い物なども近所にあるにはあるけれども、やはり重たい物を買いに行くのが困るという話だったので、移動販売車を呼ぼうということになって、これに社協さんとか、京都市さんにももちろん協力をいただいて、イオンの移動販売車が週二回来るような手配が整ったという感じです。
絹: イオンの店長さんとも話をしました。いやあ、篤い人でしたね。
池: そうなんです。そういう連合体で関わる人がどんどん増えて行って、包括支援センターなどもそうですけど、移動販売車を呼んで毎週来てもらえるようになりました。
 

●団地カフェもはじめました

池: 見に行くと、おばあちゃんたちがブロックとかに腰かけて来るのを待っておられたりしたので、集会所があるので、そこでお茶を飲むようにしましょうかと。僕らは火曜日なら行けるかなと、火曜と金曜、移動販売車が来ているのですが、火曜日行って、一緒にお茶を飲もうよと。
絹: ああ、それが団地カフェになったんですか。
池: そうです。で、お茶でいいかなと思っていたら、「コーヒー、飲みたい」と。「ほんなら淹れましょか」と言って、何の気なしにコーヒーを淹れだしたら、それがやがて毎週のカフェに(笑)。そしたら会長も何か温かい物を作りだしたりして、今は週一回、団地の集会所でカフェをやりながら移動販売して、“タウンミーティング”をやっています。
 

●夏祭りは、周辺の子どもたちも来られるイベントにしています

池: 夏は夏祭りっぽくして、近所の児童館とか保育園にも協力いただいて、子どもたちはほとんど住んでいないのですが、周辺の子どもたちも来られるようなイベントにしていきました。
絹: “たこ焼きタウンミーティング”略して“TTM”。そこでたこ焼きだからタコの被り物をしておられた池田さんと初めて出くわしたのが、絹川くんでしたと。
池: はい。そういう流れなんです。
絹: いやあ、僕、京都市さんが中心になって引っ張っていかれたのかと思ったら、実は池田さんたちが京都市に議論をふっかけてはったわけですね。
池: 連携してという感じですね。やりだすともちろん京都市の動きがないと一緒にできないですけど、本当に色んな団体と大学とかも連携していって…。これ、おさまらないですね(笑)。
 

●京都芸大の学生さんも住んでくれるようになって

池: また会長が、「芸大が京都駅の近くに移転するけれども、バスで20分ほどで来られるんや」と。「住んでくれへんか」と。
絹: 稲荷山トンネルをバスで通ると20分で芸大まで来れるやんかと。
池: 京都市も一緒に動いて、目的外使用で芸大の学生に安く住んでいただける。今6名住んでいただけるようになって、急に進んでいったんです。
絹: リスナーの皆さん、去年の10月28日の6人の学生さんを迎えるイベント、私も出席したんです。無茶苦茶感激しました。
池: 住んでくれないと思っていたんですけどね。
絹: 「よう来てくれた!」と大拍手でみんなが迎えてね。
池: 50年くらい経っている団地なので、なかなか見た目は古さを感じてしまうところですけど、学生は楽しく住んでいただいているようで。
絹: 京都市も本当に太っ腹というか、安い月額を設定したみたいですね。
池: そうですね。それに声楽科の人が集会所を使って歌の練習をさせてもらっているとか。
絹: 「全然かまへんでえ」と、地元の人たちが。
 

●空き部屋をお借りして新たな拠点、サードプレイスをつくります!

池: そんな感じで発展していって、今、ボランティアで関わる学生もいますし、今度は空き部屋をお借りして新しい拠点をつくろうと考えています。最初におっしゃっていた“サードプレイス”で(笑)。
絹: その計画の京都女子大学の是永研究室の人たちが図面をひいてデザインした模型、その画像は貼り付けておきますので、是非リスナーの皆さん、また見て頂けたらと思います。
池: 盛りだくさんでしたが、新しい拠点もまたつくっていくので、どうなっていくかはわからなくて、色んな人が色んな意見を出しながら、一緒にまちをつくっていくみたいな実験になりつつあるかなと思っています。
絹: リスナーの皆さん、是非西野山市営団地の“たこ焼きタウンミーティング”から拠点づくり、福祉サービス協会の皆さんの挑戦をご記憶ください。これが標準装備されると、京都市の色んな問題が1つずつ消えていく可能性があります。期待を込めてフォローしていきたいと思います。
この番組は心を建てる公成建設の協力でお送りいたしました。池田さん、ありがとうございました。
池: ありがとうございました。
投稿日:2024/02/28

第193回 ・京都祭コインcomoって何?~お金のフリをした何か…

ラジオを開く

中: 中田 俊 氏(株式会社 夢びと 代表取締役)
堀: 浦井 陽向 氏(京都女子大学)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
      (左:浦井 陽向 氏  右:中田 俊 氏)

 

絹: 皆様こんにちは。そしてこんばんはかもしれません。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト紹介です。飛び入りで、なんと妙齢のお嬢さんが来て下さりまして、ちょっともたついております(笑)。ではメインゲストです。株式会社 夢びとの代表取締役社長の中田俊さんであります。中田さん、よろしくお願いします。
中: よろしくお願いします。
絹: そして「さっきまで一緒にいたから連れてきた」というセカンドゲスト、浦井陽向さん、どうぞ。
浦: はい、よろしくお願いします。
絹: 浦井さんは、京都女子大学、女坂を上がったところにある、いうわゆる京女の三回生であります。なぜ中田社長に引っ張って来られたかは追々語られると思います。
さて、今日の番組タイトルですが、先ほどお二人と相談して決めました。「京都祭コインCOMOって何?~お金のフリをした何か…」と題してお送りいたします。
さて、ではゲストの中田俊さん、エピソード1「そもそもなんでんねん、これ」というところからお願いいたします。
 

■エピソード1 そもそもなんでんねん、京都祭コインCOMOって…

●祭コイン、3つの特徴
中: 地域通貨をイメージしてもらえると、若干わかりやすいかなと思うのですが、2023年の2月から京都のまちで使えるまちづくり通貨というので、“京都祭コイン”という地域限定の通貨を始めました。
普通皆さん使うお金だと“円”とか“なんとかpay”だとかイメージがわくかと思うのですが、この“祭コイン”は、特徴として大きく3つあって、1つは三ヶ月で期限が切れてなくなってしまう。
絹: はい、三ヶ月で腐るとおっしゃっていますし、通貨っぽい言い方をすると利子が付かない、マイナスの利子。
中: 利子どころか、本体そのものが三ヶ月で消えてなくなりますので…(笑)。
もう1つの特徴が、普通例えばお店で商品を買われた時は、商品とお金を交換して商品を受取ると思うのですが、この通貨の場合は、ギフトを載せられる機能がついていて、本体価格、定価以上にこの店を応援したいと思ったら、ギフトを載せて払える機能がついています。
絹: はい、太っ腹機能とも言いますね。
中: 海外とかに行くと払うチップをイメージしてもらえるとよいかと思います。
そして3つ目の特徴が、先ほど三ヶ月で期限が切れて腐るという話をしましたが、期限が切れた後どうなるかというと、個人のお財布からは消えてなくなりますが、それらのみんなの消えたお金が、一旦運営元であるうちの会社に入ってきて、それが自動でもう一度ユーザーに再配布される機能がついています。普通今の資本主義の世の中では、銀行の通帳にたくさんお金が入っている人ほど、利息がつくのですが、“祭コイン”では、持っている人ほどたくさん再配布があるわけではなくて、幸せ度高く応援好きな人にたくさん再配布が回ってくる機能がついています。
 

●京都のまちが良くなる使途で使える通過

絹: ほう、ユーザーにということですね。去年の2月から始められたとおっしゃっていました。今、“祭コインCOMO”の関連ページを覗きに行きますと、何人ユーザーがいるとか、600人台でしたっけ?そういうのも見られるわけですね。
中: そうですね。今、だいたい600何十人かいたと思います。
絹: ここで言うユーザーというと、学び場とびらに集まっている企業群は、出資をする人、応援する人であって、ユーザーじゃないんですね。
中: そうですね。企業さんは今20社くらいでして、皆さん地域企業の方なのですが、お金を出していただいた円を“祭コイン”に変換して、まち中で配っているんです。それは円やpaypayのようにどこでも使えるわけではありません。使途を限定できるので、それを地域のユニークな企業に繋がる場面でしか使えないとか、自分たちでどういうお金が社会にあったら、京都のまちがよくなるかを考えて使途を今順番につくっていっているようなところです。
絹: 地域通貨という呼び方を先ほどされましたし、今の「使途をみんなでつくっている」というコメントから、ひょっとしたらこれは実験通貨とも呼べるかもしれないという気がしました。
中: やってみてから思ったのですが、地域企業の皆さんでお金を出し合って、“祭コイン”にして配ったものの、使い道がなかったんですよ(笑)。配るのはいいけど、三ヶ月でなくなるのに、使い道がないって、まあまあ危ない通貨やと思ったんですけど(笑)。それでどういう使い方なら、まちが良くなるのかというのをみんなで考えました。色んな業種の企業さんも参加して下さっていたので、使いやすい業種、使いにくい業種はもちろんありますし、もっとまちの中で人が繋がって、面白い反応が起こるようなことに使えたらいいよねというので、最初の方は繋がる機会の方に“祭コイン”を使えるようにしていました。
 

●顔の見える関係性の中で循環するお金

絹: インタビュアー絹川からの質問です。まず20社ほどの企業群は、地元の企業ですよね。この“祭コイン”を面白がって出資しているというか、いくばくかのお金を払って、「まち中で配って」と頼んでおられるわけですよね。どんな人たちなんですか?
中: 最初は僕も「ちょっと怪しいお金やな」と半分くらい断られるのではと思っていたのですが…。特に今、世の中にあるお金って、どこでも使えるじゃないですか。地域の外に出てようが、顔の見えない所で課題を生んでいようがわからないみたいなお金の使い方ではなくて、地域の中で顔の見える関係性の中で、お金がぐるぐる循環するみたいなことができたら、地域の活性になるのではないですかみたいな話をさせてもらいました。
絹: リスナーの皆さん、実は私、中田さんという人に出会って、ここのところにビビッときたんです。というのは私、20年かもっと前かもしれません。地域通貨に興味を持っていた時期があるんです。というのは、京都のリーディングカンパニーの、例えば京セラさんなど、経営者協会に入っている有名どころの経営者が自分の所の企業の給料の5%を地域通貨で払うというようなことが起きたら、しかもその地域通貨は京都でしか使えないとなったら、どんな世の中が来るだろうと妄想していたわけです。ところがその当時、“eumo”のような電子マネー的な土台がなかったので、それはただの妄想で終わって、私のパソコンの中で朽ち果てていったのですが(笑)、「それをさらに進化させておもろい事をしている人がいる!え!何!この人!」みたいな感じでびっくりしたんです。
中: いえいえ、初めて絹川さんが来ていただいた時は、こちらもびっくりしたんですけど。「20年前、考えてたんや!」と言われて来られたので(笑)。
 

●祭コインの趣旨に共感してくれる人は多いです

絹: 考えていただけだったのですがね、専門分野でもないし。でも京都の中でぐるぐる動くと、変な所に飛んで行って、お金も良い使い道もあれば、しょうもない使い道もあるわけです。しょうもない方だと、人に迷惑をかけたり、例えば京都のためにならない使い方をされたら、たまらんやんかみたいな思いがちょっとあった。でも今やそれが本当に形になろうとしていて、20社の人たちは僕と似たようなことを言っている人はいませんか?
中: 絹川さんの考えておられることに共感する方はめちゃくちゃ多いのではないかと思います。お金って、世の中に当たり前にあり過ぎるので、誰もお金の機能を変えたり、ルールを変えようとはなかなか思わないものです。でもそれが現れた時に、「ああ、こういう使い方なら世の中良くなるかもね」と共感して下さっている方は多いのではないかとは思います。
絹: 中田さんから聞いてびっくりしたのは、「応援したいお店でしか使えないと、使い道を限定しようと思うんです」ということです。「この店はあんまり知っている人はいないけど、こういうことをやっている人が京都からいなくなったら悲しいですわ」みたいな説明を、陽向さんは聞いた?
浦: いや、私はまだあんまり“祭コイン”について詳しくなくて…。
 

●祭コインのフリースクール、やってます

絹: “祭コイン”を使ったフリースクールについて、少しコメントいただけますでしょうか。先ほど「お金の使い道、決まってなかったんですわ」とおっしゃっていたところに絡みますか?
中: 今のところ、日本のお金の教育って、資産運用などはありますが、お金の本質的なことを考える教育は、皆無と言ってもいいと思います。実際“祭コイン”で使い道がない状態になった時に、結構みんな考えるんですよね。「配られたけど、三ヶ月で腐っちゃうからどう使うねん」みたいな。色んな業種の方が集まっていたので、「この業種にはいける!この業種にはどうやねん?」と色んなことを考える、すごく良いきっかけになっていると思っていて、これをできれば学校教育のなかなどでやれないかと思ったわけです。小さいうちからお金の使い方として、円もあるしpaypayもあるけど、“祭コイン”もあるよねと、色んな選択肢の中で使いたい使い方をしていくみたいなことを学べたらいいかなというので、今、高校や大学で“祭コイン”のことを話す機会もあります。
絹: 「高校や大学で“祭コイン”の事を話しする機会がある」と、今サラッとおっしゃいましたが、ということは、例えば橘大学だとか、洛西高校とかで、硬い言い方をすれば、教鞭をとっておられると。
中: ちょっと先生っぽくはないですけど(笑)、一応学生のみんなと一緒に、新しいお金を使って、使い道を作ったり、どんな使い方ができたら自分たちにとってもいいだろうみたいなことを考える機会づくりみたいなことをさせてもらっています。
絹: だからゼミと言うか、講義枠をちゃんと持っている人なんですよ。リスナーの皆さん、「アヤしい」と初め思われたかもしれませんが(笑)、そういう教育者の一面もあります。
 

■エピソード2 祭コイン、実例をご紹介しましょう

●例えば、京都の文化的な未来に残していきたい仕事に対して
絹: とは言え、初めて“祭コイン”、地域通貨COMO、お金のフリをした何かを聞かれた方にとっては、なかなかちょっとハードルが高いテーマではありますので、実例をご紹介いただけますでしょうか。
中: 最初に申し上げたように、面白い人や会社と繋がるために使うというのが、まず1つ。あと今の経済のルールでは、アマゾンでポチっとしたら何でも届くわけですが、便利で人が使いやすいところにお金が集まりやすくなっていたりします。
でも京都だったら色んな文化的な未来に残して行きたいお仕事をされている方がいて、そういうところが今の経済のルールに乗っかりにくいから、例えば後継者が見つからないなどの色んな問題を抱えているわけです。それならば極端な話、そこしか使えなくしたら、“祭コイン”のユーザーはみんなそこに払いに行くみたいな感じで、今のお金のルールだけでは解決できないようなところに流れるようなお金であったらいいなというので、例えば大正時代に廃れてしまった京藍を復活させている藍染の工房で使えるようになっていたり…。
絹: ああ、洛西で出会った、あのお兄さんだ!
 

●例えば、若い起業家に対して

中: そうです!そうです!あの方は使えるお店の1つです!
まだこれはオフレコで言っていいのかどうかわからないですけど、例えば陽向ちゃんみたいな、若い人たちが新しいチャレンジをする時に、“祭コイン”ユーザーが使えるお店として登録をしたら(実は今登録準備中なんですけど)、「こういう子がこういう思いで自分でこんな仕事を立ち上げたんだ」と、一気に“祭コイン”ユーザーの目に入るので、そういう若い人たちのチャレンジの応援もできるかなと考えています。
絹: “祭コイン”の動きに賛同して出資をしている地元のユニークな企業群、今のところ20社ですが、そのそれぞれの経営トップが「この人なら応援したい」というふうなところに、“祭コイン”をギフトとして持っていける。応援したい若い人を見付ける機能が、“祭コイン”にくっついてくるかもしれないよという話でした。
中: そんなにたくさんお金を出し合って、経済の循環をめちゃくちゃ大きくするというのは、今のところはあまり目的としていなくて、これで経済活動もできるのですが、“祭コイン”で繋がった後に、円でファン同士応援し合うみたいな形が作れたら別に経済的には問題ないと思っています。経済が回りにくいけど、ここは応援したいよねとか、今始めたばっかりで、ここはみんなで応援しましょうみたいなところが、“祭コイン”きっかけで色々繋がったらいいかなと思います。
 

●市の職員とのブレインストーミングでは、色んなアイデアが出ていました

絹: この間、中田社長と京都市のふるさと納税の担当者さんとか、京都市全体の都市経営企画を考える行政マンたちと、ブレインストーミングをやっていたのですが、その時にちらっと聞いたお話です。
例えば洛西ニュータウンの中に、起業したい人など、若い人ばかりのシェアハウスと言うか、住める場所をつくって、“祭コイン”を使って相場よりも安く住めるような、そんなサービスに繋げられないかみたいなアイデアが出ていましたよね。
さらには、なぜかそこにふるさと納税の担当者が座っていて、京都に来る学生さんの御実家の方から“祭コイン”に対して、ふるさと納税で何か応援ができないかなど、そんな計画すら出ていました。ブレインストーミングですから、いっぱい色んなアイデアが出ていましたね。
私は本職が建設ですから、住居系のことにすごく興味があって、公営住宅、市営住宅、洛西ニュータウン、向島ニュータウンなんかで、いっぱい空き室がある。その活用などに “祭コイン”の持つ性質がどこか影響が与えられるのではないかと勝手に思い込んでいます。
 

■エピソード3 洛西ニュータウンの再生に関わらせてもらっています

●“ACWA BACE”さんのこと
中: 今、洛西ニュータウンの活性化と言うか、再生みたいなところに関わらせてもらっています。その大きな枠として2つあって、今いる人たちとどう関係性をつくっていくのかということ、もう1つは若い人たちが住みたくなるとか、チャレンジしたくなるまちにどうシフトしていくのかだと思っています。
“ACWA BASE”さんは、地域循環ワークシェアリングとして、クリーニングしたものをたたむお仕事をされている会社です。誰がいつ来てもどれだけ仕事をしても、仕事をせずにコーヒーを飲んでいるだけでもいい職場という、かなり新しい働き方をする場所を、実験的に久御山の方で展開されています。これだけ人口が減って、労働力不足のなか、広告も何も出さずに、地域の人が勝手に来たい時に来て働くので、こんなに仕事が回るの?みたいなことをされているので…。
絹: リスナーの皆さん、ものすごい実験的な企業が“ACWA BASE(あくわべ~す)”さんというクリーニングを生業とされる方です。僕は現地には行ってないですけれども、洛西ニュータウンの中にある集会所でその実験を、陽向さんも目の当たりにした?
 

●“ACWA BACE”さんとミニカフェと

浦: はい、今日まさに行ってきたところです。今日はその“ACWA”さんがやっておられる、同じ室内に、小さな屋台を出して、ミニカフェをやっていたんです。「終わった後に、ちょっと休憩がてら、お茶でも飲んで、私たちとお話しませんか」みたいなことです。「好きな曲とかありますか?」とお聞きしたら、古い歌をたくさんリクエストされて、なんやかんや言っているうちにカラオケが始まって、すごい盛り上がったんです(笑)。
絹: フェイスブックで、「お仕事の後はカラオケ大会になっちゃった」と書いてあったのはあれか(笑)。
浦: そうです、そうです(笑)。
絹: 洛西ニュータウンの東竹の里集会所でクリーニングを生業とされる“ACWA BASE(あくわべ~す)”さんが「誰が来てもいいよ、洗ってきれいにした洗濯物をたたむのを手伝って」と。そうすると地域のお年寄りが来て手伝ってくださる、そして別に手伝わなくてもいい、喋っていてもいい、カラオケを歌っていてもいいと。要はサードプレイスと言うか居場所で、浦井陽向さんみたいな若い人たちもいる。高齢者にとっては「若い人と話せる、すごいうれしい」と、別に“祭コイン”もらわなくてもうれしいかも(笑)。
中: “祭コイン”の参加企業に“ACWA BASE”さんも入ってもらっていて、陽向ちゃんも陽向ちゃんで今、洛西の中でやろうとしていることがあるので、ちょっと紹介を(笑)。
 

●コミュニティスペースをつくって、「みんなでやろう」を実践したい

浦: コミュニティスペースを作って、いつ、だれが来てもおしゃべりができたり、みんなでご飯を食べようとか、そういう思いついたことがすぐ「みんなでやろう」とできる場所をつくりたいと思っています。
絹: 私はまちの縁側とか、地域の居場所とか、サードプレイスなど、民設民営の場所をずっと追跡していた時期があるんです。大好き!そういうの(笑)。
居場所ができると、特に私みたいな男性は、仕事場と居酒屋くらいしか居場所がなくて、嫁に追い出されたらどこに行ったらええねんみたいな(笑)、そんな人でもパソコンを持ち込んで原稿を書いていても怒られないし、おしゃべりしててもいいし、コーヒーを屋台で飲んでいてもいいしね。そんなんやりたいの?
浦: そんなのをやりたいなと思ってます。
絹: 洛西でできるのとちゃいますのん?
中: そうなんです。なので今、それの実験的なもので、集会所で色んなものを混ぜながら、どんな反応が起こるかなみたいな実験を3月までやっていて、それが本格的にもうちょっとしたら動き出すかなという感じです。
 

●洛西ニュータウンの今後に向けて、大きな実験が進んでいます

絹: 今、京都市が全庁を挙げて、「洛西“SAIKO”(さあ、いこう)プロジェクト」というものに取り組んでおられます。洛西ニュータウン、さあいこう、最高、再考(もう一回考えよう)と色んな意味を掛けていますが、空き巣が増えたり、高齢化したり、コミュニティの元気がなくなったりするところ、行政さんですから色んな硬い仕組みを用いてやろうとしていますけど、実はその水面下で京女三回浦井陽向さんとか、祭コインを追い求めるアヤしい(笑)、夢びとの中田社長みたいな人が、ソフトウェアの部分で裏から支えに入っていると、私は勝手に仮説を立てております。ですから京都市の人たちになり代わりまして、洛西ニュータウンの今後に向けての大きな実験が進んでいると。その結果、東竹の里の集会所で今日、えらいことが起こっていたという、そこにまさに居合わせたお二人に来ていただきました。お2人、何か言い残したことがありましたら、どうぞ!
中: 洛西だけじゃなくて、京都も人口が減って行ったりと色んな問題がありますが、それをみんなで知恵を出し合って、みんなでつくるみたいなことを、“祭コイン”でも洛西ニュータウンでも京都のどこでもできたらいいなと思っているので、アヤしがらずに声を掛けてください(笑)。
浦: コミュニティスペースをつくるのにクラウドファンディングを始めようとしているので、ご支援をお願いします!まだできていないのですが、頑張ってつくっていますので、よろしくお願いします!
絹: リスナーの皆さん、すごくアヤしく見えるけど、すごくまともな試みが動こうとしています。“京都祭コインCOMO”、是非意識してください。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。
投稿日:2024/02/01

第192回 ・だんだんテラスってご存じですか?~気軽に集まれる地域の居場所がある団地…

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藤: 藤本 恭輔 氏(一般社団法人カンデ 男山地域コーディネーター)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
        (藤本 恭輔 氏)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト紹介です。ごくごく最近の出会い、11月の17日でしたか、始めてお会いしました。お若い方です。一般社団法人カンデ 男山地域コーディネーターという名刺を頂戴しました。藤本恭輔さんです。藤本さん、よろしくお願いします。
藤: よろしくお願いいたします。
絹: 藤本さんは八幡市の男山団地、URですね。今はURになっていますけど、昔は住都公団、住宅都市整備公団と言っていました。
この間、初めてお会いして、意気投合して「ゲストに来て下さい」と無茶ぶりをして来ていただきました。
僕が知っている限りの藤本恭輔さんの情報をちょっとだけ紹介します。関西大学の建築系の学生さんで、ごく最近大学院卒業したて?
藤: したてですね。
絹: 俗にいうM2の卒業で、その後一般社団法人カンデというところの男山コーディネーターという職を選ばれました。後々これを紐解いていだだきますが、まずは番組タイトルとまいりましょう。今日の番組タイトル、先ほど二人で相談しました。「だんだんテラスってご存知ですか?~気軽に集まれる地域の居場所がある団地…」と題してお送りいたします。
この“だんだんテラス”、平仮名で「だんだん」と書きます。実はすごく注目している人(多くはないかもしれませんが)、特に都市計画系だとか、まちづくりだとか、地域を元気にしようという研究者の間ではよく知られた場所です。
そこへ私は2023年11月の17日、初めて視察におじゃましまして、藤本恭輔さんと出会いました。ではマイクを藤本さんにお渡しして、そもそも“だんだんテラス”って、あるいは男山団地って何?というところからお願いいたします。
 

■エピソード1 そもそも、“だんだんテラス”ってなに?

●男山団地のこと
藤: 男山団地は大阪府と京都府の府境に位置する団地でして、URの賃貸が約4600戸、分譲が約1400戸の合計6000戸の大規模団地です。そこを舞台に今、まちづくりをおこなっております。男山団地の商店街の空き店舗をお借りして、“だんだんテラス”というコミュニティ拠点でありながら、緊急拠点であるものを設けております。
絹: この間、チラッと教えていただいたのですが、やはり関西大学の江川研究室がメインになっている感じですか?
藤: そこが発端で始まって来たという感じで、今は別の方にバトンタッチしている段階です。
 

●なぜ“だんだんテラス”?

絹: 平仮名で“だんだんテラス”、このネーミングの由来ってありましたか?
藤: これは『団地で談話する』とか、『だんだん変わって行く』という意味を込めて、“だんだんテラス”ということです。
絹: これは掛詞ということですね。「だんだん」って、どこかの方言で「おおきに」みたいな意味、なかったっけ?
藤: それは知りませんが、他に視察に来られた方に「男山やから、男のだんだん。すごい男男しいね」と勘違いされたエピソードはあります。
絹: だんだん変わって行く、団地で談話する、そういう場所ということですね。
藤: 「まちについて考え、話す」ということです。
 

●“だんだんテラス”、イメージしてみてください

絹: これはラジオですので、残念ながら映像は付いてこないのですが、リスナーの皆さんに画が浮かぶような状況説明って、できますか。
藤: 1つは開口がガラス戸3枚ありまして、外からでも中が見やすいように、中からでも外が見えるような設えになっています。
絹: 商店街の空き店舗とおっしゃっていました。だから一階にあるんですよね。グラウンドレベルと言うか、本当に「何やってるの?」と、すっと覗ける感じ。この間も私が行った時、「すみません、トイレ貸してください」と、パッと入れましたし(笑)、二部屋あったのかな?
藤: そうです。今、二部屋お借りして、コミュニティ拠点と地域工房でやらせてもらっています。
絹: 靴を脱いで上がり込む場所と、靴のまま入れる場所があって、ピカピカというのじゃない。なにか手作り感満載で、ペンキを塗ってある所もわざと下手に塗ってあるみたいな(笑)。
藤: 当時の学生がDIYで赤色の壁を塗ったとは聞いていますね(笑)。
絹: それから木の棚があって、何か色んな大工道具っぽいものとか、役に立ちそうな物が置いてあったり、色んなチラシがいっぱい置いてあって…。
藤: そうですね。地域で行われる情報発信の場になっています。
 
           (“だんだんテラス”内装写真)
 

●毎朝10時にラジオ体操やってます

絹: 打ち合わせなんかもすぐできる…。それから視察に行った時、すでに何人かの住民さんがおられて、「ここで毎日ラジオ体操やっているの!」というおばさんがおられました。
藤: 毎朝10時からラジオ体操をやっています。
絹: 「“だんだんテラス”大好き!」みたいな空気を出している比較的高齢の住民さんが、わらわらとおられましたね。
藤: だいたいラジオ体操にも、平均で20人前後は毎朝来ていただいて、「毎日の健康のきっかけにもなっている」との声も聞いています。
 

●地元産の野菜の販売もやっています

絹: それだけじゃなくて、だんだんテラスの説明で、「学生が中心となって、年中無休で運営しています」と。そして「週三回、火・木・日と、地元産の野菜販売を行い…」
藤: ちょっと今は火曜日と木曜日の週二回でやっているのですが、地域の農家さんを三軒回って、お野菜を預かり、だんだんテラスで販売しているということも行っています。
絹: さらに「まちづくりに関するグループの会合にも利用できます」と。だから本当に予約もなしに、朝、開けておられるのは何時ですか?」
 

●365日、10時から18時まで開いています

藤: 朝10時です。ラジオ体操とともに“だんだんテラス”も開くという感じです。
絹: 10時から18時。(お昼休憩を取っていることもあります)と。
藤: そうですね(笑)。会議に出ていたりもするので。営業時間というよりは、「だいたい10時から18時に誰かいますよ」みたいなイメージでやっています。
 

●“だんだんテラス”とわたし、そして学生たち

絹: 藤本恭輔さんご自身は現役学生時代から関わっていらっしゃったんですよね。
藤: そうです。学生の時から関わらせてもらっています。
絹: 四年生から常駐を始めたとのことですが、結構大変じゃないですか?
藤: 大学からだと1時間から1時間半くらいかかるので、朝8時半に出て、帰ったら19時半、20時とかになる感じです。
絹: 噂によると、関西大学のゼミ学生や院生だとかが中心になって運営されていると。“だんだんテラス”の運営サポートスタッフと言いますか、大学側は何人くらいの人がおられたんですか?
藤: 今年度は大学院二年生の人がだいたい4人いますね。その方は有志という形で男山団地に関わってもらっています。
絹: 学生さんがこうやってお当番みたいな形でいてくれるわけですよね。あ、スマートフォンのエピソードを思い出した!「スマートフォンの設定がわからへんの。と行くと、この子らはちょっちょっとやってくれるのよ」と言っていたおばさんがいました。
藤: そうですね(笑)。ちょくちょく聞きますね。最近ならコロナの予防接種もネット予約しか無理みたいで、その話を聞いたりしますね。
 

●“だんだんテラス”は出来て10年が経ちました

絹: その辺が“だんだんテラス”が機能しているのがよくわかるエピソードですよね。“だんだんテラス”て、できて何年でした?
藤: 今年の11月16日で10年になります。
絹: 10年やっていらっしゃる地域の居場所、6000戸ある巨大UR団地の中で、予約なしに10時から18時まで大抵開いている。しかもお当番の学生さんたち、顔の見える関係の人たちがいてくれたりする。お話相手にもなる。あるいは相談事にも乗れるし、大工道具なども置いてある。
藤: そうですね。工房もあるので。
 

■エピソード2 まちの人にとっての“だんだんテラス”

●まちの居場所として
絹: リスナーの皆さんにさらに理解してもらえるように、「ある日のだんだんテラスでこんな事が起こりました」みたいなの、ありますか?
藤: 日常で言いますと、朝、ラジオ体操をした後は、住民さんでコーヒーを淹れて、30分から1時間くらい4~5人でコーヒーを飲みながら話して解散されるというのが、日常ですね。
絹: 常連さんはどれくらいなんでしょう。“だんだんテラス”をよく利用する人、たまに利用する人、それからほとんど利用しない人みたいな形で、層別ができるとしたら、時々でも来て、“だんだんテラス”に優しいまなざしを向けている住人というのは、どれくらいおられるんでしょうねえ。
藤: どれくらいいるんですかねえ…。
絹: 「あってよかった!」とか、「“だんだんテラス”やっててくれて、ありがとね」みたいな、時々「これ、差し入れのみかん」とかって持ってきそうな感じの人もいる?
 

●まちの灯りとして

藤: いただきますねえ、差し入れとか…。あと、18時までなんですけど、ちょっと作業していて19時くらいまでなった時、ガラス戸なのでまちから見えるんです。そうなるとおっちゃんが来て、「ようがんばってるなあ、元気もらえるわ」とかって、思わぬところに影響を与えているというか。
それから“だんだんテラス”は、真ん中に和紙照明があるのですが、常時点灯していて、それは「まちの灯り」というコンセプトで常に点けているのですが、やっぱり夜になると商店街のシャッターが閉まってしまうので、お仕事から帰って来た時に、「“だんだんテラス”の柔らかい灯を見て安心する」という声もあります。
絹: ということは、夜暗くなっても、18時を超えても消さないという不文律が、「まちの灯り」としてあるんですね。
藤: そうです。それも10年間続けてきたというのを聞いています。本当に思わぬところに影響が出ています。
 

●先輩方から学ぶこと

絹: 藤本さん自身は大学四年生の時から常駐を始めたとのことですが、その前の先輩方から10年間やられていたわけですよね。「こういうこと、気を付けてやれよ」みたいな、先輩方からの申し送りみたいなものはありますか?
藤: 住民さんによって特色があるので、こういう方はこういう対応をした方がいいといったことをお聞きしたりします。それから住民さんも仲良くなると、おうちでご飯を頂く時とかあるんです。例えば「お昼ご飯うちで食べる?」みたいな。「おいでよ」と言っていただけるのですが、極力住民と学生が1対1にならないようにとか、その辺の分別は色々学びました。
 

●学生が入るということ

絹: これは私の経験ですが、京都市営住宅で山科区に西野山市営団地という所があります。市立芸大が京都駅の近所に引っ越してきたわけですが、その市立芸大の6名の学生が西野山団地に入居するそうです。というのも稲荷山トンネル、新十条トンネルを超えれば、大学までバスで20分くらいしかかからない。そこで10月28日に「ようこそ、西野山市営団地へ」と、自治連合会の方々や福祉サービス協会の方々が中心になってイベントをされたんです。
やっぱり高齢化率68%という団地に若い人が入居しただけで、みんな目がキラキラしてね。みんなで焼き芋を作って、焼き芋をかじりながら「集会所で声楽の練習してもかまへんで!」とかって言ってましたね(笑)。
藤: “だんだんテラス”でも「若い子と話すと元気をもらえる」とか、「自分の孫と同じくらいだから、かわいい」とか、そういう声もいただきますね。
 

●ラジオ体操は健康維持のための装置として機能しているんです

藤: 先ほど毎朝10時からラジオ体操をやっているというお話をしましたが、一時コロナでどこも外出が自粛されて、なかなか運動できる機会がない時期があったと思うのですが、そのなかでも“だんだんテラス”では継続して行っていました。その時に平均40人くらいコロナ禍でも来ていまして、やはりそういう意味でも体を動かす日常的なきっかけになっているんだなとは思いますね。
絹: 保健と言うか、健康維持のための装置としても機能している“だんだんテラス”と。
藤: 病院でリハビリをするくらいなら、毎朝ラジオ体操に行くみたいな選択をされる方や、ラジオ体操をして、毎朝住民さんとお話をするだけで持病が軽くなったみたいな、そういうお声もお聞きします。本当に色んなところに影響されているのかなと実感しています。
絹: 6000戸もある団地だったら、歩いてくるのに遠い人もいるでしょうしね。
藤: 遠い人もいますし、隣のまちの樟葉というところから3キロかけて歩いてラジオ体操に来られる方もいます。
絹: ほう、団地外の人も来ていると。
藤: “だんだんテラス”は団地にあるだけであって、団地に制限されているわけではないんです。
 

●365日開けていると、思わぬ出会いが次々と

藤: それから365日開けていると、思わぬ出会いと言いますか、関東の大学院生がまちづくりに興味をもって突然やって来たり、大学の客員研究員の方が「まちづくりを研究しているから話を聞かせてくれないか」とか。
絹: この間の11月17日に、私がURの人に案内されて行ったのと、似たような人が時々来るんですね。
藤: それも先にアポなどなしに、ちょっとフラッと立ち寄ってみたということもあるんです。そういう人たちも拾えるというのは、365日開けているからなのかなと思います。
絹: 私の知り合いのまちの縁側で“ハルハウス”というのが千本北大路下がるにあるのですが、そこの縁側主人は80歳の元佛教大学の退官教授でいらっしゃるのですが、海外からも視察が来ますよ。
藤: すごいですね(笑)。
絹: やっぱりそういう所は、人を呼ぶのかもしれませんね。
藤: 前に来ていただいた客員研究員の方もイタリアの建築家の方で、英語での対応でしたので、グーグル翻訳を駆使しながらお話していました。
 

■エピソード3 リノベプロジェクト「ダンチ de コソダテ in 男山団地」のこと

●リノベーションの特徴 ~ 実験的住戸とプロトタイプと
絹: 17日に視察に行った時にいただいた「ダンチdeコソダテin男山団地 住戸リノベーション だんだんテラスだんだんラボ設計 研究活動成果集」という図面と写真を組み合わせたような冊子が、今、手元にあります。リノベーションについて、元々建築系の学生で研究されていたので、そっちの話もお願いします。
藤: このリノベーションは、関大がURさんと一緒に毎年2~3戸設計提案しているというプロジェクトで、男山団地の全住戸タイプ、間取りタイプの設計が終了したということで、今年は実際に設計して供給した住戸の居住者にヒアリング調査、住まい方調査を同時に行っていました。
このリノベーションの特徴としましては、教授の方と意見交換するだけではなく、教授の専門家の方にもお話をして仕上げていっています。
毎年住戸リノベーションをやっているのですが、昨年度の反省を活かして、今年度はどういうコストダウンができるのか。そういうプロトタイプと、実験的な住戸と、2つに分かれて、毎年提案していったというのが特徴なのかなと思います。
絹: 今、実験的住戸と言われましたが、例えば2つ隣り合ったおうちを繋げてしまうという実験もあったそうですね。
藤: そうですね。2戸1と言いまして、そのベランダの障壁を取ったり、最近ですと住戸の半分を土間にするような提案とかもあったりします。
絹: 「2戸セットで借りる暮らしの広がり」というタイトルで写真を見ていますけれども、お隣とのベランダ、非常時に蹴破って抜ける隔壁がないだけで、住戸というのは繋がるんだという発想ですね。
藤: これも子育て世帯向けで50㎡と50㎡、併せて100㎡で住むみたいな、そういう提案だと聞いています。
 

●できることから徐々にやってきた10年間

絹: こういう取組、URって、すごい地道にやっていますね。
藤: そうですね。やはりダイナミックには環境面でも経済面でもなかなかできないなか、できることから徐々にやってきたというのが、この10年間ですね。
でも“だんだんテラス”も365日開けるというのもすごい地道だし、毎年2~3部屋リノベーションを供給するというのも、できるところからということです。
絹: リスナーの皆さん、URの地道さの一面を感じていただけたらと思うのですが、この関西大学の江川研究室さんとの連係プレーだけではなくて、私が存じ上げているのは、京都女子大学の井上えり子研究室との連携「京女 X UR」です。京都にあるURさんの空き家空き室を10年間で10分の1に減らしたという実績を、井上えり子研究室はたたき出しているとのことです。それにしても関西大学の皆さんもすごいですね、よう10年、続きましたね。
藤: ほんとうに(笑)。今、URさんと八幡市さんと京都府さん、関西大学の四者連携でずっとプロジェクトをやってきて、各主体の努力があったのではないかと、勝手に想像しています。
絹: 実は私、本職は建設屋でしょ?京都府の出入り業者でもあるわけです。その発注者の京都府の建設交通部の浜田さんという部長さんがおられるんです。その浜田部長と住宅課の内藤課長が“だんだんテラス”に出入りしているらしいですね。
藤: なんか一度来ていただいたりしていますね(笑)。
絹: 「たこ焼きミーティングなんかで話を聞きに行ったんや」と。
藤: 「来るタイミングを窺っている」とお聞きしています。
絹: 京都府と八幡市とURと関西大学の四者が本当に地道なことをやってらっしゃいます。この事がたぶん地元のお住まいになる方の元気を引っ張り出している要素になっているんじゃないかなと思います。
 

●どうか是非、足を運んでみてください

藤: 僕も男山団地に住みながら研究させてもらっているのですが、やっぱり本などで見るよりも、実際にまちに行って体感しないとわからないなという部分はありますよね。それこそ地道な、足を運んでというところは大事だなと思いました。
絹: 私も11月17日に初めてお邪魔して、本当に短時間の滞在でしたが、肌で感じる、実際に来られている住民の方と短いですけどおしゃべりをする、住民の方々が本当に藤本さんたち学生さんを信頼されている、あるいはその存在を頼りにしている。ああいう居場所があることで、自分たちの健康がある部分担保されている。なんか「コイツら、いいよねえ」みたいなことを本当に態度で示してらっしゃる。
藤: そうなんです。身振り手振りでおっしゃっていただいています。
絹: 「ほんとにこれ、ラジオにするの?ちゃんと言ってよ!」みたいなこと、おじさん言っておられましたよね。非常にそれはこちらに伝わりまして…。ですからリスナーの皆さん、男山団地、直近の駅はどこでしたっけ?
藤: 京阪の樟葉駅です。
絹: “だんだんテラス”、10時から18時まで基本、オープンフリーにされています。わがまちにもこういう“だんだんテラス”ナンバー2、3、4、5みたいなのが、生まれてくるためにはどうすればいいのかを感じとるためにも、ノーアポでかまいません。差し入れなくてもいいです(笑)。是非訪れてくださいませ。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府の地域力再生プロジェクト、我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。
“だんだんテラス”増えるといいですね。色んな所に。
藤: ああいう本当に気軽に立ち寄れる場所があったらいいなと思います。ありがとうございました。
投稿日:2023/12/06

第191回 ・地域と元気で楽しくする~地域のおしごと博物館ってご存じですか?

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鈴: 鈴木 千鶴 氏(一般社団法人未来コンシェルジュ 代表理事)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
         (右:鈴木 千鶴 氏  左:絹川)

 

絹: 皆様こんにちは。そしてこんばんはかもしれません。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト紹介です。一般社団法人未来コンシェルジュという団体を率いていらっしゃる代表理事鈴木千鶴さんをお迎えしております。鈴木さん、よろしくお願いいたします。
鈴: よろしくお願いします。
絹: 鈴木さんは、ご本職は有限会社鈴木モータースさんの代表取締役でいらっしゃるとともに、色んな肩書をたくさんお持ちです。たくさん過ぎて覚えられないのですが、確か中小企業家同友会の女性部会長をなさっているのと…。
鈴: 三年目になります。
絹: それから男女共同参画市民公募委員。
鈴: そうです。女性経営者としてやはり女性が生き生きと輝ける社会の実現に市民の立場で参加させていただいています。
絹: ですからね、ネットで調べると色んな所でお名前を発見しちゃうんですよ。
鈴: 本人はあまり検索してないもので、わかってないですけど(笑)。
絹: そして西京区で地域活動を本当に地道になさっています。鈴木さんと私の出会いはごくごく最近でしたね。あれはなんという勉強会でしたっけ?“未来力会議”?
鈴: 京都市には中小企業を応援する部署がありまして、そこが2017年頃から“未来力会議”をやっていたのですが、去年からもっともっと経済的なお祭りを中小企業自らがやっていこうということで、“未来の祭典”が始まりました。今年が2年目なのですが、そのお勉強会で絹川さんにお会いしたと思います。
絹: 内緒でこそっと真面目な勉強会にも時々出ているんです(笑)。
鈴: そうですね、とっても難しいお話でした(笑)。
絹: さて、本日の番組タイトルですが、「地域を元気で楽しくする~地域のおしごと博物館ってご存知ですか?」と題してお送りいたします。
“地域のおしごと博物館”というイベントが最近あったんです。西京区の桂駅エリアで、10月7日土曜日に開催されたこのイベントをそっと覗きに、申し込みもしないで、突然現れてしまいました。
鈴: びっくりいたしました。
絹: 私もそこで起こっている出来事にびっくりしてしまいました。すごいんです。ではエピソード1、地域のおしごと博物館、西京区桂駅エリアで行われた10月7日のイベントについて、それからなぜこういうことをお始めになったのですかということを、ゲストの鈴木千鶴代表理事からお話しいただきます。
 

■エピソード1 “地域のおしごと博物館”って、そもそもなに?

●子どもたちがおしごと体験をします
鈴: この地域のおしごと博物館の一番の大きな特徴は、本当にある地域のお店に小学生がやってきて、おしごと体験をすることです。今、日本中でおしごと体験ブームです。商業施設のおしごと体験もあれば、大きな〇〇プラザというような所で、何百人を収容するようなおしごと体験もありますが、やっぱり嘘ものと言うか、作り物でしかありません。一方で、地域にはずっとそこでお仕事をされている地域企業が様々ありますので、半径500m、これは学区的な考え方もありますし、子どもの足で歩いて7~10分で移動できる小さな範囲で、本当のお店で子どもたちがおしごとを体験しにやってくるというものです。
絹: 「なぜ500mなんですか?」と、先ほどお聞きしたところ、即答されました。「子どもの足で7分なのよ」と。実際に10月7日に現地、桂駅の西側の辺に集合場所があったので、始めにそこに集まられて、A.B.C.D.E.Fと6つのお店にそれぞれのチームに分かれて歩いて行かれました。ショットガンフォーメーションのように、散って行かれました。
鈴: 拍手で見送ります。
 

●ほんまもんを体験するということ

絹: 私はいったいどのチームに付いて行ったらいいんやろうと、きょろきょろしておりましたが、そういうことです。地域のおしごと博物館って、最初にお聞きになると、内容をご存知ない方は、皆さん“キッザニア”を想像されるのではないでしょうか。それを鈴木さんの言葉で言うと、「あれすごく素敵で、お金もかけて企画もよく練れているけれども、ちょっと本物とは遠いわね」と。そういう感じもお持ちになっているのでしょうか。
鈴: そうですね。DJブースがありますが、今この三条寺町にラジオ局があって、ここに子どもたちが来てほんまもんを体験する方が、より地域の、京都市の子どもさんたちには良いことだと思います。
絹: リアルとバーチャルとは違いますよと。バーチャル体験よりも、もうちょっとリアルに寄った方の地域版がやりたいわねというところから始められたんですか。
 

●地元への愛着づくり ― 次世代を育てるために

鈴: はい。半径500mの学区、地元の地域を知るということが、保護者さん、小学生にとっても大事でして、小学生の時の想い出がやはり一生に宝物の始まりだと思っています。そこから地元を知って、地元に愛着を覚える、故郷の愛着づくりにもつながっている。そこがないと大学生になってから地域を勉強しても遅いと考えています。
絹: ここがどうやらキモです。半径500m限定のこころ、それから先ほどすごいキーワードを頂きました。「次世代を育てる要素が入ってないとまちづくりじゃない」ということと、それから地域への愛着。
鈴: はい、ふるさとづくり。
絹: それが基本でしょうと。
話は飛んでしまうかもしれませんが、自分自身はもう還暦を超えていますけれども、昭和の育ちで、小学生以降の教育、小、中、高、大とその中でやっぱり欠けていたなと思うのは、やはり地元に対する愛着です。僕らの時代は「愛国心」だとか、「地域好きやねん」とか、「日本て大好き」とかって言うと、「お前、右翼か!」と。
鈴: ダメでしたものねえ(笑)。
絹: 「ちゃうやろ!真ん中や、それが」と、今なら言い返せるんですが、当時幼い時は何か言い出しにくかった記憶が蘇ってまいりました。
で、我々が中小企業を経営して、社員さんたちと一緒に働いていく者の基本として、やはり「地域が好きでないとだめじゃない」という思いが、どうやら鈴木代表の胸には色濃くあるようですね。
鈴: そうですね。帰国子女とか、お父さんが全国転勤がある等、様々な事情がありますけれども、たまたま転勤で住んでいる地域であっても、そこに思い出とか、愛着とか、お友達関係とか、そういった思いや経験がその子どもの一生をつくっていくと思っています。ですから住めば都ではないですが、その地域を知ることは大事だと思っています。
 

■エピソード2 “地域のおしごと博物館”、ちょっと覗いてみましょう

●引率し、説明するのは、地域の高校生や大学生です
絹: 鈴木さん、10月7日のプログラム、少し具体的にリスナーの皆さんに想像していただくためのヒントをいただけませんか?最初にまず何が起こりましたか?
鈴: 保護者さんが必ず連れてきてくださいとお願いしています。小学生さんを一人ずつ大切にお預かりするのですが、もう1つ最初にお伝えしておかねばならないことがあります。引率して歩くとか、60分間の凝縮した体験内容になっているのですが、それを運行するのは地域の高校生と大学生なのです。ここが一番大きな関りをつくっているところなのです。
絹: それを目撃して、実はすっごい驚いたんです。集合場所はジェイネットハウジングさんという桂駅の西側近くの不動産屋さんで、そこに入りきれないくらいだったので、2か所に分けて集合をかけておられました。まず最初にきれいなガムテープ
に、ニックネーム(今日呼んでほしい名前)を太いマジックで書いて、記録のための写真を撮ります。「その写真に自分が写ってもいいという子は緑のガムテープ、顔出しNGの子はピンクのガムテープに書いてね」と最初にそのルールを説明されます。その説明をしているのも高校生です。
そしてもう1つ驚いたのは、そのリーダー、小学生を集めてそういう説明をしながら、アイスブレイクをやっているわけです。初めて会った子で、お互いに友達同士ではないかもしれないし、高校生と数時間でも一緒になる子たちの緊張を溶きほぐすためのアイスブレイキングです。このプロセスを、未来コンシェルジュの皆さんが宿題として出されたんですよね。「アイスブレイキング、自分で考えておいで」と。上手でしたねえ。
鈴: そうですね。様々、ネットで検索したらしいですけれども、やはり初めての小学生と仲良くなるということは、コミュニケーション能力を試すというか、チャレンジだと思っています。なかなか入れない小学生もいますし、1人の子ばかりが前に出てやるような小学生もいます。その子どもたちをどういうふうに順番を変えたりしながら、入り込めるようにするかというようなところから、高校生の体験、チャレンジが始まっています。
 

●行き先は、不動産屋さんや工務店、整骨院に花屋さん、ケーキ屋さんも…

絹: 小学生のチームがだいたい6~7人?
鈴: 一企業4名から引き受けられたら参加できるというルールがあるんです。ですから小さなお店でも店主と奥さまが2人ずつお引き受けになって、4名引き受けられるとなったら、参加資格があるので…。
絹: そして当日の10月7日は“ジェイネットハウジング”さんは不動産屋さん、“松本工務店”さんは大工さん…。
鈴: はい、6名でした。
絹: それから“りん整骨院”さんも行かれたし、“佳花園”というお花屋さんも行かれたし、“ポーラエステシラン”、“アランシア”というケーキ屋さん…。
鈴: いつも一番人気がケーキ屋さんになります。
絹: それぞれに分かれて行く前に、アイスブレイクをやって…。
鈴: 場を馴染ませるという。
絹: お互いに自己紹介をしあいっこもありましたね。それで分散して、先ほどの半径500mのこころです。小学生が7分くらいで行きつく範囲内にあるお店に散って行かれました。
 

●例えば工務店のプログラムは…

絹: そして私は松本工務店さんに。ご存知のように私は本職は建設屋ですので、どうしても工務店に寄ってしまいます。
ここでのプログラムをご紹介したいのですが、まず代表理事は松本工務店さんのプログラム、ご存知ですよね。ざっと松本さんとこの社長さんと大工さんたちがどんなに丁寧にプログラムの準備をされていたか、お伝えいただけたらうれしいです。
鈴: 二人組になって取り組むとのことで、材料もちゃんと全部刻んでおられて、印もついている所に、子どもたちが小さな家を完成させる。大きな金づちを持ってトントンと入れていく、そういった工程を体験されたと思っています。
絹: 私はそれを見て、本当に感心したのですが、犬小屋と言うにはもっと大きいサイズの、10センチ角くらいの柱で構造材(梁や柱や棟)それぞれに接合部が、ちゃんと専門用語で名前がついてあって、それを「順番はこうやで」と。掛矢という木の小槌の大型のものでこんこんこんと入れて、棟上げまでやらせるわけですよね。
「指叩いたら、大変やで」と言いながら、解体まで体験させる。僕はそれを見ていて教科書にかかれた絵で「これは柱、これは棟、これは梁と言うのよ」と説明するのと、一本一本コンコンと組み上げるのとでは全然違って、頭の中にスッと入るわと思いました。
で、小学生たちがもう楽しくてたまらないという顔をしていて、それをお母さんが後ろからじっと見ていらっしゃる。なんかいい雰囲気のワークショップでした。
 

●地元の企業の応援にも、社員教育にも、愛社精神にも…

鈴: おしごと体験は小学生だけを育てているのではなくて、中小企業の応援も大きな要素として入っているんです。ですから松本工務店さんを応援するという要素が入っておりますので、保護者さんに見て頂いて、また家を建てる時、是非地域の松本工務店さんにオーダーが入ればいいなというふうに思っていますし、松本工務店さんもこうした体験をするに当たって、社員さんと普段とは違う会話や時間をお過ごしいただいたと思っています。それが社員教育でもあります。で、社員さんにとっても、自分の勤めている会社が、「小学生に対してこんなことをする会社なんだ」というのは、働き甲斐にも繋がっているし、愛社精神にも繋がると思っています。
絹: 桂駅エリアにある松本工務店さんの会社まで歩いていきました。そしたら入り口の所に“地域のおしごと博物館”という旗がかかっています。いいデザインの、いいロゴの。そして作業場に入って行きますと、木工機械が何台か置いてあって、材料が置いてあって、長机が子どもたちを迎えるためにセットしてあって、保護者の人が座る観覧席みたいなパイプ椅子も用意してあって、きれいに掃き清められてあってと。わあ、歓迎されているんだなと、工務店さんの作業場って、こんなんかという感じで子どもたちが入ります。
今、社員教育の一環でもあると代表理事が言われましたけど、子どもたちにどんな出迎え方して、「大工のおしごとってこんなんよ」と伝えようと、一生懸命打ち合わせして、丁寧に準備しておられたんだろうなと思いましたね。
鈴: 1つ面白いエピソードがあります。これも工務店系だったのですが、「社員はいつも仏頂面で仕事をしているのに、子どもにはこんなええ笑顔で接しられるんや」と。とっても大きな社員の財産ができたというアンケート結果を頂いたことがありました。
 

●事業継承のきっかけに

鈴: それと鈴木モータースも参加したことがあるのですが、息子さんに手伝わせるきっかけになるので、事業継承の今日は初日になったというような、うれしいご意見もいただきました。
絹: なんかちょっと背中がゾクッとしませんか?多くの企業経営者が後継者について悩んでいます。色んな職人さんの後継者がいなくて、あるいは中小企業の後継者がいなくて、M&Aで企業が売りに出されるような現象が、ひょっとしたら日本全体の体力を奪うことにならないか。私もそういう心配をする者の1人ですけれども、どうやら鈴木代表理事率いる一般社団法人未来コンシェルジュの皆さんはその辺にもターゲットを当てていらっしゃるようです。
さあ、リスナーの皆さん、もう一度この地道なイベントについて、知っていただきたいなと思って、今日はゲストに来ていただいたのですが、10月28日に北区エリアでなさるもう一度こういうイベントがございます。このことについて軽く解説をお願いできませんでしょうか。
 

■エピソード3 地域を育てて地域に生きる「地育地生」のために

●10月28日、“地域のおしごと博物館”開催します!
鈴: もう来週になりますが、来週の土曜日に開催いたします。今度は10企業が集いまして、様々な企業がまた体験をいたします。これもまたとっても良い内容をご用意いただいています。今現在、4つが満席となっているのですが、残りまだ残席受付中ですので、ホームページの方でご紹介もさせていただいています。ぜひぜひご覧いただきたいと思います。
絹: ホームページで検索掛ける時は、“地域のおしごと博物館”と検索するのがいいんですね。
鈴: はい。ホームページがございまして、ご紹介しています。
絹: 実は10月28日の北区エリアの“地域のおしごと博物館”に参画される企業に、私の尊敬している企業があります。吉田創一社長率いる“フラットエージェンシー”さん。「ほんとに不動産屋さんか?」というくらい不動産の枠を超えて、地域づくり企業と言うべき企業です。その方がいったいどういう形で小学生を受け入れるプロブラムを社員さんと組まれるか、知りたくて知りたくて仕方がないのですが、僕、当日別の用事があって行けないんですよ。また後日談、是非聞かせて下さいませ。
鈴: 吉田社長ともその未来力会議で最初の頃からお出会いしておりまして、今回初めて“TAMARIBA(たまりば)”カフェさんを拠点に、60名の定員を引き受けます。保護者には必ずお1人ついてきてもらっていますので、120人は確実に“TAMARIBA(たまりば)”カフェさんに集合いたします。やっとここまで開催できたかと私にとっても記念の開催となります。
今回12回目になりまして、これを達成しますと、京都市で開催していないのが東山区、右京区、上京区の残る3つとなりますので、もしこれを聞いていただいて、「やりたいわ」という所がありましたら、是非手を挙げていただきたいと思っております。
 

●地蔵盆のようにすっと継続して、そして京都中に広げたい

絹: 小学生に地元の企業やお店の仕事をバーチャルではなく、リアルに体験していただくという、本当に珍しい企画です。それを率いるのが高校生であったり、大学生であったりすると。そういう体験の場を支える、丁寧に準備する大人がその背景で静かに見守っていらっしゃる。これはすごいという気がいたします。そしてこれが広がって行くといいですよねえ。
鈴: そうです。本当に地蔵盆のごとく、そこにずっとこのイベントが継続していくことを願っております。そして暖簾の形になっているこのフラッグが、京都中にかかるといいなと思っているところです。
絹: 私がキーワードとしてアンダーラインを引いているのは、「半径500m限定のこころとは」、「次世代を育てる要素が入っていないとまちづくりではないと思います」という鈴木代表のお言葉、それから「これから小さく多発がキーワードだと思います」とおっしゃったこと。「大きなイベントではなくて、こじんまりしたものを同時多発的にやっていくのがアフターコロナの我々の在り方かもしれませんね」ともおっしゃっていましたね。
 

●こじんまりしたものを同時多発的に

鈴: 売上、社屋の大きさ、借金の大きさが値打ちだみたいな時代から、コロナを経て、やっぱり「地域に根差した」とか、「小さく、その中で楽しく」というようなことがキーワードになっていくと思っていますので、地域を育てて地域に生きる、「地育地生」という四文字熟語を作っているところです。
絹: 「地産地消」じゃなくて、「地育地生」、なるほど。
鈴: 全てのことにおいて皆さんが「地域を育てるのは自分たちだよ」と。文部科学省ではないし、国でもない。やはり中小企業家ができる地域活動だと思います。
絹: 「地域を大切にして、地元を愛さずして、どこが中小企業経営者やねん!」と。
鈴: 決して興味のないことでされる必要もないと思うんです。いっぱい課題はありますので、地域資産、地域課題を元に、地域活動を是非小さな中小企業家が小さく起こしてもらいたいと思います。
絹: リスナーの皆さん、いかがでしたか。本当に地元に対する思いが強い中小企業家同友会の女性部会長さん、鈴木千鶴さんをお迎えしました。
この番組は心を建てる公成建設の協力と我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。
投稿日:2023/10/26

第190回 ・延べ15人の子どもが参加!~町家改修・誰でも左官workshp…

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河: 河井 杏子 氏(京都市都市計画局まち再生・創造推進室)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
           (河井 杏子 氏)

 

絹: 皆様こんにちは。そしてこんばんはかもしれません。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト紹介です。河井杏子さん。まだ知り合って…、ふた月前ですかね?
河: そうですね。
絹: 河井杏子さんは京都市都市計画局の中のちょっとかわった部署、まち再生・創造推進室という部署があります。その中でも洛西SAIKO Projectの事務局をなさっています。確か技術系の?
河: はい、建築職です。
絹: 一級建築士?
河: ではありません(笑)。目指しています。
絹: 旦那さんは一級建築士事務所ということで、元々は建築事務所にお勤めで、京都市には中途採用ということで来られました。私とは役所の中のコミュニティナースのブレインストーミングミーティングみたいな勉強会で、初めてお会いした方です。河井杏子さん、よろしくお願いします。
河: はい、よろしくお願いします。
絹: さて、今日の番組タイトルなのですが、「延べ15人の子どもが参加!~町家改修・誰でも左官workshop…」と題してお送りいたします。
さて、リスナーの皆さん、河井杏子さんのゲスト出演、実は急に決まったんです(笑)。昨日、申し込みに行って、それもスマートフォンでフェイスブックを覗いていたら河井杏子さんの書き込み「町家左官workshopその3」という形で、ご自宅の町家を改修している写真が5~6枚出てきました。それも子どもたちがプロの左官屋さんと壁塗りをやっているところが出てきて、『なにこれ!』とピンと来て、「河井さん、これからちょっと時間15分いいですか?」と市役所のまち再生・創造推進室におじゃましたわけです。
私は感覚人間なので、理屈ではなく、なんかピンときた。なんかすごいことが京都の我々の周りで起きているみたいな直感からお呼びしたゲストです。ということで、河井杏子さん、よろしくお願いします。
 

■エピソード1 そもそも何が起こったんですか?

●なぜ町家に住むのか
絹: ではエピソード1から入ります。そもそも何が起こったのですかというところからお願いします。
河: なんで町家に住むのかということですかね。私たち家族4人暮らしなのですが、ずっと京都市内の賃貸マンションに暮らしていまして、子どもの成長と共にだんだん手狭になってきているので、将来も見据えて、どこかに引っ越したいな、できれば一軒家を持ちたいなというところで、2~3年かけて探していたのですが…。
絹: フェイスブックの書き込みで気が付いたのですが、河井杏子さんはお子さんたちのことを、そこでは1号2号と表現されていて(笑)。
河: 我が家の1号2号です(笑)。長男と長女で、今は中学校1年生と小学校5年生です。
絹: 1号2号というのが、お子さんたちのことだと気が付いて笑いました。その1号2号を引き連れて、「どんな所に住もうかね」と新居探しも一緒に連れて歩かれたそうですね。
河: そうですね。全部一緒に連れて歩きまして、たどり着いたのが明治36年築の今の三軒長屋の町家です。
 

●築120年の京町家に出会って

絹: さっき2人で計算したのですが、明治36年と言うと今から120年前と、結構古いですよね。
河: そうです。ただ、どんどん焼けというのが昔ありまして、そのどんどん焼けで一度焼けている地域になるので、京都の中で言うと割合若い町家になるそうです。先斗町など、どんどん焼けで焼けてない地域は、それこそ江戸時代からの町家が今も大先輩でシャキッと建っているので、町家から見たら、まだちょっと若いらしいです(笑)。
絹: ほう、「120歳と言うても、まだ若造でっせ」という古い町家がまだ元気なのが京都。先ほど二人で前打ち合わせで話していたのですが、やっぱりさすがご夫妻で建築の仕事をされているだけあって、「町家って、京都の財産だよね」みたいな共通認識をお持ちなんですよね。
でも120年経っていると、結構ガタが来ていませんでしたか?
河: でも前にお住いの方が、ちゃんと大切に使われていたという形跡があって、適切にメンテナンスをされているので、構造的に大事な部分というのは、すごく元気で大丈夫でした。
絹: 柱などの構造体の建ち直しとか、傾いていたものを大工さんに直してもらったりといったプロセスはありました?
河: ありました。
絹: 僕らの世界で垂直に戻すのを、「建ち直し」と言ったりするんです。私もちょっとだけ現場にいましたので(笑)。そういう柱の傾きを直したりするところ、お子さんは傍で見ることはできたんですか?
 

●古い町家に不安がいっぱいだった子どもたちは…

河: 直接見ることはできなかったのですが、一部ダメになった柱を入れ替えてくださった時、束石と言う柱を支えている石(有機的な形をしている)、ピタッと新しい柱の底の面をその有機的な石の形に削りながら、合わせて載せてびしっと柱を建てるというところは見せていただいたので、「神業だ」と言っていました(笑)。
絹: 1号2号のお子さんたち、長男さん長女さんが「すご!」て、言ってはったらしいですね。
選ぶ時から1号2号さんをお連れになった。買う前からずっとどこに住むのか、見ていらしたお子さんたち、御年120歳の京都の中では比較的若い町家、「ほんとに住めるの?」と言われたそうですね(笑)。
河: 「こんなん住めるの?」から「ほんまに買うん?」という(笑)、「今のままでも狭いけど、いいで」みたいな(笑)。かなり不安になっていましたね。
絹: そのお子さんたちが徐々に変化されていくのは、どういうルートを辿っていったのでしょう。不安でいっぱいだったお子さんたちがだんだん目の色が変わって行くのは、最初はどの辺からだったのでしょう。
河: 古い部分で再利用できないところを、一部解体して、実際に工事が始まった頃から、興味津々の目に変ってきて、何が起きるのか、次は何が起きるのかという興味に変っていきましたね。
絹: 今のそういうお話を聞いておりますと、お父さんお母さんの目論見はまっているんじゃないですか(笑)?
 

●子どもたちに建築の世界を体感してほしかった

河: そうですねえ(笑)。傍から見るとボロボロで、「どうするの?」というような町家を敢えて買った理由としては、自分たちが関わって来た建築という世界が、どんな世界なのかというのを、子どもたちに体感して欲しかったというのが、一番なので…。
絹: リスナーの皆さん、このご夫婦は自分たちの仕事をお子さんたちに伝えたい、どういう仕事をしているのか見せたいという強烈な思いに支えられて、子育てをされているようです。幸せなお子さんだなあと、今すごく思います。我々のように子育てをしてきた、あるいは現在子育てしていらっしゃる親御さんたちはどのように感じられますか。僕の子ども時代もそうでしたけど、『自分のお父さんは何しているんだろう』と。一応建設会社ですけど、いつもいないし、何しているのかわからない。家業ですので、大人になって会社に入って、上司として仕えて初めてなんとなくわかるとか…。
例えば河井さんは今、行政マンですので、役所には無茶苦茶種類がありますよね、行政の仕事って。そうするとお子さんたちが、まち再生・創造推進室など、想像できないですよね。そんななかで、ほんとにものすごく丁寧に関わっていらっしゃった建築という分野のあるべき姿だけではなく、職人さんたちのお仕事も今回しっかりと体感させられたわけです。左官屋さんは何とおっしゃいましたっけ。
 

■エピソード2 “誰でも左官ワークショップ”のこと

●子どもたち、やってみるか?
河: 宮部さんですね。
絹: 宮部さんという、この人もたぶん珍しいタイプの左官屋さんなんですよね。子どもたちが現場に入ってきて、「じゃまや!」とは言わない。「やってみるか?」と。動画もフェイスブックで見ました。
河: そうなんです(笑)。すごく丁寧に…。
絹: お若い社長さんみたいですね。左官業界も後継者と言うか、なかなか職人のなり手がなく、さらに左官屋さんが活躍できる工事現場が減ってきて大変な思いをされている中で、よく付き合って下さいましたよね。その左官屋さん宮部さんについて、少しエピソード追加でいただけますか?
河: 今回丸一日かけて、土壁を補修するということをやりました。土壁の下地になる「木舞(こまい)」と言う竹で編む下地もあるのですが、それも含めてみんなでやりたいと、宮部さんに相談したところ、「もちろんやってあげるよ」と、ご快諾いただいたわけです。どうしても日曜日に開催するしかなくて、本来ならば宮部さんはお休みの日なのですが、朝の8時頃から夕方の6時頃まで、ずっと現場に張り付いていただいて…。
 

●「木舞(こまい)」ご存じですか?

絹: リスナーの皆さん、「木舞(こまい)」というちょっとだけ専門用語っぽい言葉が出ましたが、ご存知でしょうか。竹を細く割いた棒と縄ひもで作りますので、「竹木舞」とも言います。私自身も建築の教科書で学生時代にチラッと見た程度で、自分でそれを編んだ経験はありません。ただ私の祖父母の家にはありまして、土壁が壊される時に中からそれが現れたとか、地震等の災害現場に入った時に、昔の伝統建築が壊れて現れたとか…。「でも思ったより耐震性能は高いんだよなあ」と、一緒に研究している人から教わりました。「木が舞う」と書いて、「木舞」。土壁の下地となるものです。それを子どもたちが編ませてもらったと。
河: はい、全部やりました。
絹: それを聞いて、ちょっとびっくりしましたね。
河: 私も宮部さんも主人も、ちょっと子どもたちには難しいかなと思って、当初は木舞は大人でやって、土壁の補修を子どもたちでやってもらおうかと話していたのですが、下は3歳から最年長は中学一年生13歳までの子どもたちでやってしまったんです。
絹: 1号ですね?
河: そうです(笑)。竹をそのサイズ(横幅・縦の長さの決まった細い竹)に切り出すところから全部子どもたちでやって、宮部さんに教わりながら編んでと、全部子どもたちでやっちゃいましたね(笑)。
 

●延べ15人の子どもたちで全部やっちゃいました!

絹: タイトルにもありましたが、延15人の子どもが参加と。これ、1号2号だけなら2人ですよね。あと13人はどこからわいて出てきたんですか(笑)?
河: 2つありまして、1つはプライベートの1号2号の保育園のお友達で、今は違う学校になってしまっている子たちです。もう1つは京都市役所の仲間で、同じまち再生の職員さん、それから庁内でイノベーションを起こす取組をされている“京都イノベーションスタジオ”という部署があるのですが、その取組の一環で形成されている庁内のワーキンググループのメンバーに声を掛けて、お子さんを連れて、もしくは単独で大人だけでという形で参加して下さいました。
絹: 私がついつい反応してしまいそうなのが、分野横断ワーキンググループ、名称は京都イノベーションスタジオ。それの主人公が葉山和則さんという人物なのですが、今、総合企画局で都市経営戦略室におられます。この方も2年前のこの番組、まちづくりチョビット推進室のゲストだった方で、色々ご縁を感じますが、まあ、葉山和則さんも面白い人物なんですよ。
で、それぞれの親御さんが「子どもたちに行かせる!」とばかりに、くっついて行ったわけですよね。さあ当日、宮部左官さんの休日にも関わらず、8時から夕方までみっちり子どもたちの左官ワークショップが成立いたしました。
 

●「絶対また来るから!」と帰って行きました

絹: 子どもたちの感想はどうでした?
河: もう楽しくて仕方がなくって、お1人の子はその日帰って、小学校の宿題の絵日記に、「今日は土壁やってきた!」というふうに書いてくださったようです。
絹: 絵日記ということは、夏休み?
河: いや、ではなくて絵日記が宿題として出ているらしいんです。だいたいみんな子どもたち、帰る時には「帰りたくない」と言ってくれて、「絶対また来るから!」と言って帰って行きました。
絹: 「また来るから…」それをいかに解釈するのか。タイトルでも申し上げました“誰でもワークショップ”、今回は宮部さんのご協力で、竹木舞を編むこと、土壁を塗ることだったのですが、まだ完成していない?
河: そうですね、まだ先は長いです。
絹: ということは、第二弾の“誰でもワークショップ”がありうるかもしれない。
河: しれません(笑)。
絹: さあ、どんな現地体験ワークショップになるでしょうか。また仕上げの段階に入っていくと、色んな事があるかもしれませんねえ。さあ、その河井ご夫妻の子育てに対するワルダクミが、着々と進行しているという臨場感を、リスナーの皆さん、お感じいただけたでしょうか。
先ほど、お聞きしておりますと、着々と子どもたちに色んな体験をしてもらいながら、住まいを完成させていくというプロジェクトの企て以外に、完成した後も何やらワルダクミをご夫妻は胸の内に秘めていらっしゃるという聞き込みがございました。完成予定が10月?
河: 目標は10月ですが、11月になるかなあみたいな。
絹: 職人さんだけに任せていたらある程度読めるけれども、そこに子どもが介入するとしたら延びる要素しかないじゃないですか(笑)。
河: まあ、こうなったら、体験を増やしていきたいと思います。
 

■エピソード3 まちに、地域に開く家にしていきたい

●「見世の間」を住み開く
絹: その完成した後の河井邸に関するタクラミについて、お話いただけますでしょうか。
河: 京都の町家には前の通りに面したお部屋に「見世の間」という場所があるのですが、私たちはその「見世の間」を地域に開けて、コミュニティの場づくりになるような場所にしたいと思っています。その「見世の間」でイベントをやるということだけではなく、我が家の「見世の間」に来られる、集われる方が、うちの町内や学区などの方々との新しい繋がりができたり、何か地域貢献・社会貢献ができるようなきっかけづくりの場になるような仕込みができればと考えています。
絹: これをお聞きした時に、壮大なタクラミやなあと思いました。「住み開き」という言葉を大切にしている人たちが、私の友達には多いのですが、実は大変なことです。昔から町家にお住まいになっている方は、自然と奥の間(家族のプライベート空間)と、見世の間、縁側のようにまちに対して住み開いていく(ここからは内、ここからは外みたいなのがちょっと緩む)ところがあったと聞いております。「見世の間」をまちに住み開くことで、ひょっとしたら町内会の寄り合いがそこで行われるかもしれませんし、極端な例ですけど、「子ども食堂をやりたいので、そこを使えませんか」とか、何か色んな人たちがやってきそうですよね。もう延べ15人、左官ワークショップで、年若いファンがついちゃったので(笑)。
河: そうですね。「また来るで!」と言われたので(笑)。
 

●住み開く活動のなかで、人との繋がりを学んでほしい

絹: こういうことが実際に起こっているんです。これはどうやら河井ご夫妻が設計事務所を営んでいらっしゃるという特殊事情とは言い切れないかもしれない…。
河: そうですね。建築って難しく考えられがちなのですが、結局は人と関わりながらでないと成り立たない職業でして、それって建築だけじゃなくて、私が今いる行政もそうなのですが、どんな仕事をしていても人と繋がりながら自分が生活していく、子どもを育てていくことなので、うちの1号2号にも見世の間を住み開いていく活動のなかで、人との繋がりを学んでほしいなというのも、1つの教育方針としてあります。
絹: リスナーの皆さん、これ本当に河井家の教育という通奏低音でありますけれども、自分のところだけではなくて、こういうお家ができると、そのエリアが少し変わるはずです。風通しが少しよくなって、居心地が少しよくなって、そしてある意味機械警備に頼らない、セキュリティ度もアップする、おせっかい指数が少しそのエリアで上がる。そんな気がします。
私の夢はコレクティブハウジングと申しまして、賃貸ベースですけれども、何軒かの家が関わりあって住まう暮らし方です。共同リビングなんかを介して助け合いが起こる、その結果第二子第三子が生まれやすくなるという実例が、日本でも関東圏で2000年初頭から1ダースほど出来ています。そういう実験がしたいなと言っておりましたけれども、まさにそれとこの河井さんたちの「どこでも誰でも左官ワークショップ」は似通っているというか、たぶん同じ通奏低音の上にある兄弟プロジェクトのような気がしてまいりました。
河: ありがとうございます。
絹: こういうプロジェクトは同時多発的にいくつもなんとなく発生して、それぞれのプロジェクトの主人公たちが何となく知り合いで、「あのプロジェクト、いいことやってるからちょっと真似しよう」とか「手伝いに行こう」なんてことが、今後起こってきたら素敵だなと思います。
この番組は心を建てる公成建設の協力と我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。皆さん、注目してくださいね。
投稿日:2023/09/19
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