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第173回 ・藤ノ木セカンドハウスはじまるよ~市営住宅の空き室利用、福祉活用では第一号事例?
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山: | 山内 忠敏 氏(向島藤ノ木学区民生児童委員協議会 会長/藤の木子どもキッチン 代表/藤の木セカンドハウス 代表理事) |
大: | 大下 宗幸 氏(公益社団法人 京都市ユースサービス協会 京都市中央青少年活動センター チーフユースワーカー) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
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(左:山内 忠敏 氏 右:大下 宗幸 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、本日のゲストでありますベテランの男性とお若い男性のお二方、今日は色気がないですねえ(笑)という感じです。失礼いたしました(笑)。ではご紹介申し上げます。藤ノ木セカンドハウス代表理事をお務めになっております山内忠敏さん。 |
山: | はい、よろしくお願いします。 |
絹: | お願いいたします。そしてもうお一方、同じく藤ノ木セカンドハウスの事務局長をされています大下宗幸さん。 |
大: | はい、よろしくお願いいたします。 |
絹: | 番組のヘビーリスナーの方でしたらご存知の通り、絹川は手抜きを行っております。ゲストのご紹介を他己紹介という形で、まずは大下さんにお手伝い頂きます。大下宗幸さん、藤ノ木セカンドハウスの山内代表理事とはいかなる人物ぞ、短く述べよ。 |
大: | 山内さんは、僕の約倍くらいの年齢を重ねておられるベテランの方なんですけど、すごくエネルギッシュで負けてはならないと、いつも活力を頂いております。 |
絹: | ちょっとすると師匠筋に当たる方ですか? |
大: | いや、師匠というよりも仲間みたいなところがありますね。仲間でもありますし、人生の大先輩でもありますし(笑)、そのエネルギーにいつもあてられて、こっちもがんばらんと!と、いつも思っています。 |
絹: | ああ、いいですねえ。そうありたいですねえ。 それでは山内代表理事、大下さんは仲間だと言ってくださった、大下さんとはいかなる人物ぞ、その人となりをお願いします。 |
山: | はい、まさに仲間の一人で、4年前くらいに初めて知り合ったのですが、こんだけ頑張っている若者がいるんかと、びっくりしました。 |
山: | その手始めが子ども食堂なんです。夕方5時くらい、今ですと真っ暗になってますね、例えば児童館を5時に終わった子どもたちが、家に帰ってもお父ちゃんお母ちゃんがいない家庭があるんですよね。その子たちの居場所、どないしてるんやろと。晩飯食っとるんやろかと。勉強しとるんやろかというのが気になりましてね。それがこの春ごろ、ぐっと思いが募ってきたんですよ。それを仲間である大下さんあたりに「どないしたらええんやろ」という話を持って行ったところ、たまさかその時期に同じ向島でグループホームができたんですよね。 |
絹: | 例の愛隣館ですね。愛隣館の浅田さん(浅田 将之 氏:社会福祉法人イエス団 愛隣館研修センター インクルーシブ社会実現部 愛隣グループホーム 主任・第166回放送出演)もこのスタジオに座ってくれた時期があります。でもそれとはまたちょっと一味違うセカンドハウスなんですね。 |
山: | はい。これは福祉目的としては京都で第一号になるんです。福祉目的ですから、子どもたちからは1円もお金は徴収しないんです。だから全部持ち出しになりますので、「家賃払ってたらやっていけへん」になるんです。それで京都市の担当の方に、「まずお部屋を貸してください。」と。「え?」という話から始まったんですけど、その辺の所は一番よく知っておられる大下さんにお願いしたいと思います。 |
絹: | その前にリスナーの皆さんのためにちょっとだけ整理をしたいと思います。今、山内さんがおっしゃっているのは、向島市営住宅の8街区3棟116号室、空いていた部屋を京都市に対して、「貸して、子どもたちの居場所がないやんか」と。というのを大下さんに「どうしたらええ?」みたいな相談をかけられたと。 |
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(場所:向島市営住宅8街区3棟116号室(京都市伏見区向島丸町4-7)) | |
●相談した京都市にも「いいね!」と言ってもらえて |
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大: | いや、相談されましたっけ(笑)という感じですけど。たぶん一緒の場にいて「ええやん、ええやん」と言っていたんですよね。それが今年の4月くらいですね。で、大阪などにそういう事例がいっぱいあるんですよね。大阪の公営住宅を使った子どもの居場所だったり、若者の居場所だったり。当初、この一年間はそういった事例とかを勉強しながら、色々呼びながら、言葉で選ばないで言うならば、それで京都市に圧力をかけていこうと(笑)。これは必要なんだと。子どもや若者という状況もあるし、大阪はやっているやないかと。京都は何をやっているのやと。まちづくりの政策も終わって(まちづくりの政策は前の4年間あったのですが)、その助成金も終わってしまって、放っておいたらどんどん活動が縮小していくんですけど、子ども・若者ニーズは、僕らが関わっている中で見えている。そこで「あかんやろ」というのをこの一年間でやろうと思っていたんです、実は。僕らは圧力団体みたいになって、ワーッと言っているのかと思っていたら、京都市の人が意外に「いいね!」と言ってくれたんですよね(笑)。めちゃくちゃいい人で(笑)。 |
絹: | そのめちゃめちゃいい人のお名前を、よかったら…。 |
大: | 長谷川さんとか、松村課長(松村 亙(わたる) 氏:京都市 都市計画局 住宅室 住宅政策課 ニュータウン企画調整担当課長)とか、めちゃくちゃいい人で。 |
絹: | 長谷川さんて、京都市都市計画局の住宅室の課長補佐の長谷川 源太さんですね。 |
大: | そうですね。全然話がわからへんヤツかと思っていたら、めちゃくちゃいい人で(笑)。 |
山: | めちゃくちゃというよりも、我々が大きな風呂敷を広げてるんですけど、それに感動していただいたような感じで。 |
大: | 仲間という意味では京都市の方々もまさにそうで、最初は仲間と全く思ってなくて、どうやったら説得できるのかみたいな感じで(笑)。 |
●ぐるっと回って繋がりました |
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絹: | 今、そのエピソードをお聞きして、大きな偶然が働いていたことに気が付きました。圧力団体という誤解を受ける言葉ですけど、いい意味で京都市に対してプッシュしていらした。時期を同じくして、ここに座っております絹川くんも同じ圧力を多方面からかけておりました。長谷川補佐の傍に座っている住宅室の課長さんで、菱崎さん(菱崎 裕之 氏:京都市 都市計画局 住宅室 住宅管理課 課長・第166回放送出演)という方がおられて、そこの若い杉山さんもこのゲストに来てくださった方なんですけど、菱崎さんが松村さんを連れてこられて、この山内さんと大下さんを紹介したいと。 |
大: | あ、そういう事だったんですか(笑)。理解できました。 |
絹: | 僕は公営住宅の空き室で愛隣館の障害者グループホームができたと。それを1つで終わらせるつもりじゃないですよね、皆さん。というそういう優しめの圧力を、つぶやきを(笑)。 |
山: | うれしいですねえ。色んなところから助けてもらっているんだ。 |
大: | 本当にそうですね。 |
絹: | 僕は本当に空室を、公営住宅だけじゃなくて、民間の空家も地域課題の解決のために使うことができればと思っているんです。僕は本職が建設屋ですから、大きい工事が出なかったら自分の首が絞まるんですけど(笑)、でもリノベーションで工事の費用を抑えてでもやらなあかんことができたらいいじゃないですかという話を、都市計画局の若手の人としていたんです。そしたら同じ思いの人がおられたと。すごい偶然! |
山: | こんな偶然て、あるんですね! |
●居場所づくりに家賃は大きな問題でしたが |
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絹: | それで大下さん、セカンドハウスが始まっちゃうわけですね。子どもたちからはお金は取れないよと。家賃安くしてねという交渉はされたんですよね。 |
大: | それは山内さんがいつの間にかしていて、「0にならんやろか」と(笑)。「いや、0はさすがに…」みたいな話で(笑)。 |
山: | 長谷川さんと杉山さん(杉山 有紀 氏:京都市 都市計画局 住宅室 住宅管理課 主任・第163回放送、第165回放送出演)とは、ある時期週一くらいに会っていたんです。会うたんびに「家賃、安うしてね、安うしてね、0にしてね」という話をしたんですが、「いいや、それはムリ」という話はあったんですが、でも最終的にはほぼほぼ一致する金額になってきたし、それからさらにいざ納付書をもらった時に、「わ、ここまでしてくれはったんや」というのは思いましたね。ですから我々は少ない資金の中で、家賃にかなり取られると辛いものはあるのですが、少なくなりましたね、だいぶ助かりました。 |
●色んな人や団体に協力をいただいて |
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絹: | まちの縁側や地域の居場所を運営していらっしゃる先達を訪ね歩いた日々もかつてはあったんですけど、皆さんその運営の資金に苦労され、「私はいつも金欠病よ」とおっしゃっていますけど、なぜかそういう人の集まる場所と言いますか、縁側とか居場所、子どもたちの居場所、高齢者の居場所、若者たちの居場所をやっている人たちの所には、人がまず集まる。それと情報も集まる。助け合いが自然に起こるという、不思議な異空間が顕れている場面を幾度か見ました。藤ノ木セカンドハウスがそうなっているわけですね。 今のところはまずは子ども食堂を、第一回がいつ頃始まったんでしたっけ。 |
山: | 12月の8日が第一回です。 |
絹: | じゃ、ほんとのほやほやじゃないですか。 |
山: | 実は「使えるよ」と聞いたのが、9月の頭です。それから1年かけてやろうと言っていたのが、1年先取りしたわけですから、大慌てで「まずお金が要るやん」ということで、資金の調達も始めましたし、びっくりしました。なんとかそれでも…。 |
絹: | 9月に「ええよ」と出て、よく3月で…。 |
●民生児童委員って、ご存知ですか? |
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絹: | ここで手元資料からちょっとだけ読みます。 当団体は、平成29年10月から児童館にて子ども食堂を開催しており、こうした取り組みが評価されて、令和元年10月に「第1回食プロジェクトSDGS Food ACTION AWARDSにて月桂冠賞を受賞」とあります。当団体というのは藤ノ木子どもキッチン実行委員会さんのことです。という伏線があったんですね。 |
山: | はい、お陰様でいただきました。今年度は子ども育み憲章で賞をいただきました。 |
絹: | やはり地道に活動を続けてこられた延長線として、今回の藤ノ木セカンドハウスを行政の都市計画局の面々に交渉されて勝ち取られたというわけです。リスナーの皆さん、これも補足情報ですけど、山内代表理事の別の呼び名と言いますか、背景として向島藤ノ木学区の民生児童委員協議会の会長さんであられると。ということは民生委員さんをごっつう長いことやっておられるに違いないと。 |
山: | いやいや、実は10年ほどなんです。言い方はナンですが、騙されまして(笑)。「名前だけでええよ」と。 |
絹: | 人はよう言わはります(笑)。結構、ええ人が騙されます。 |
山: | で、だんだんだんだんとのめり込まされまして、今はこんな状態なんです(笑)。 |
絹: | リスナーの皆さん、民生児童委員さんて何をしたはるんやろって、ご縁のない方はご存知ない方も多いと思います。今日のエピソード、子どもキッチン藤ノ木セカンドハウスに類することまで、実は民生委員の方々は地道に活動されているようです。 |
山: | これもみんな仲間がおりまして、私が会長やから「おい、やるから」と言ってできるものではありません。「こんな話があるんやけど、できるやろか」と言ったら「やろうやないか」ということで、委員のメンバーがみんな、「私にできることがあったら手伝うよ」と言ってくれたので、たぶんできたんやと思います。 |
●京都市ユースサービス協会と子ども食堂と |
絹: | 良い関係ですねえ。で、大下さんはその盟友と言いますか、仲間。その大下さんについても補足を入れますと、公益財団法人で京都市ユースサービス協会というのがありまして、大下さんは京都市中央青少年活動センターのチーフユースワーカーでもいらっしゃいます。青少年活動センターについては、私は山青こと、山科青少年活動センターの大場さん(大場 孝弘 氏:公益財団法人 京都市ユースサービス協会 京都市山科青少年活動センター 参事・第126回放送、第131回放送出演)というベテランを存じ上げております。大間さんも山青も、山科で子ども食堂ネットワーク構想を立ち上げて、たぶん十指に余る子ども食堂を山科で繋いでいらっしゃるはずです。 大下さんの活動にはそういう背景があって、だからこそ定款はじめ、色んな準備が着々とできたんですね。 |
大: | 私は前職で環境のNPOをずっとやっておりまして、それもあったのだと思います。 |
絹: | いやあ、集まるべき方が集まられたという感じですね。セカンドハウスについて口火を切っていただきましたが、公営住宅、具体的には藤ノ木団地の空き室を用いて、こういう活動に着手されました。セカンドハウスは子ども食堂で恐らくは終わらないであろうという噂がちらほらと私の耳にも届いております。この先、セカンドハウスはいかなる形にという話を、次のエピソード2と言いますか、もう終わりに差し掛かっているんですが(笑)、どうですか? |
■エピソード2 藤ノ木セカンドハウスのこれから |
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●子どもだけでなく、若者も、地域も…、夢は次々ふくらんで | |
大: | 今は子ども食堂だけなんですが、子どもだけではなく、私もいますので、若者みたいなところ、プラス地域みたいなところの関係が紡がれるような場所になったらいいな、そのための拠点にしたいなと思っています。例えば来年1月以降ぐらいから、今は子ども食堂は小学生ぐらいなのですが、私たちの活動の主な対象である中学生以上に向けた若者食堂をやろうかと思っていますし、来年度以降は地域の住民の方と子どもや若者が交流できるような事業であるとか、子どもや若者がまちに参画するような機会をつくりたい。そういった活動を藤ノ木セカンドハウスを拠点としてやれたらいいなと思っております。それ以外にも外国にルーツを持つ方が多く住んでいるエリアでもありますので、多文化共生に関するような居場所機能などもやれたらいいなと夢を語っています。プラスそれをどうやってやるのか、人財や資金など課題ではあるのですが、つくる楽しさと言いますか、今日もラジオが始まる前に山内さんとヤイヤイ悪だくみをしていたところです。 |
●3L APARTMENTプロジェクトのこと |
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絹: | そういう野望と言いますか、次なる夢をお持ちのお二方ですから、おそらくはご存知の情報とは思いますが、伏見区での田中宮市営住宅での龍谷大学と京都市の握手、お耳に届いていますか? |
大: | そうですね。三木さん(三木 俊和 氏:有限責任事業組合まちとしごと総合研究所 グローカル・シンカー・第165回放送出演)とはものすごく仲良くさせていただいています。 |
絹: | なんてプロジェクト名でしたかね。 |
大: | “3L APARTMENT”ですね。 |
山: | 昨日も会ったのですが、そこの学生さんが来てくれていました。また違う取組なので、学生さんが見に来てくれまして、めいっぱいお手伝いをしてもらいました。 |
絹: | その“3L APARTMENT”プロジェクト(第165回放送)は、龍谷大学の学生さんが3年間に渡って田中宮市営住宅の空き室に京都市が少し補助をされて、確か25,000円の月額家賃で安く入れる。だけどそれだけじゃなくて、地域活動だとか、地域のお祭りだとか、子どもの見守りだとか、地域のために学生の知恵で考えてやってねというのが、すごくうまくいったというプロジェクトでしたね。それと大下さんがおっしゃっていることって、すごく一脈も二脈も通じますよね。 |
大: | ほんとそうなんです。その“3L APARTMENT”にも京都市の長谷川さんも尽力されていて、同じような事を語っていますね(笑)。 |
絹: | 京都市がつくった“3L APARTMENT”のプロモーションビデオを見せていただいて、感激して、勝手にコピーしてあっちこっちに配っているんです(笑)。 |
●私の大きな構想として |
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山: | 行政らしくない動きをしていただいたので、今、私たちはこうしたこともできるし、当初食堂だけだと言っていたのを、だんだん広げた話をしていっても、「うん、いいよ、いいよ」という話になってきて、今、私の方として考えているのは、高齢者の居場所をお昼にお茶と200円か300円でうどんかカレーが食べられる、2時間か3時間いてもらえるような場所づくりにしていきたいと。そうすると昼間の時間が使える、夜は夜で子どもたちが来て、あるいは学生、中学生や高校生が来て、そこで食事をする。そしてもう1つ言えば、今、藤ノ木の子ども食堂を卒業していった子が、今度は中学生高校生の食堂へ行って、そしてそれが帰ってきてボランティアとして食堂を支えてくれるというのが、私の大きな構想なんです。死ぬまで頑張らないけません。 |
絹: | はあ、いいですねえ。いやあ、死ぬまで頑張っても足らんかもしれません(笑)。と言いますのは、京都市の市営住宅はたくさんあるので。でもまずはここの藤ノ木団地で、これは素晴らしいです。 リスナーの皆さん、これまでお聞きになっていかがでしたか?我々の知らないところで、行政らしからぬ動きを引っ張り出したお二方がこの目の前におられます。地域の課題、公営住宅・市営住宅が空いて困った。家賃取れないし困った。子どもたちの居場所がなくて心配や。と相談されたら「いいよ」と言った長谷川さんたちという行政マンが実際におられます。どうです?京都市は変わって来たでしょう? |
山: | 昔の行政マンらしからぬ人たちと会えたので、私は今もう最高と言っていいくらいうれしいですね。 |
絹: | 無責任な民間人の第三者ではありますが、こういうちゃんとした仕事をする前向きな行政の方に出会った時には、是非皆さん、拍手するなり、握手するなり、ハグするなりしてあげてくださいね。 ということで、本当に短いあっという間の時間ですが経ってしまいました。この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。お一言ずつどうぞ。 |
山: | できればご支援をお願いしたいです。もうその一言です(笑)。 |
大: | ご支援お願いします。 |
絹: | リスナーの皆さん、ありがとうございました。 |
第172回 ・みんなで作るお祭り「ツクル森」の紹介~京北でスゴイ化学反応が起きてます!
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フ: | Feilang Tseng 氏(株式会社ROOTS 共同代表 ソーシャルデザイン) |
熊: | 熊澤 洋子 氏(バイオリン奏者) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
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(左:Feilang Tseng 氏 右:熊澤 洋子 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、本日のゲスト、妙齢のご婦人お二方をお呼びしております。発音が難しいと言いますか、間違ったらごめんなさい。フェイランさん。フェイラン・ツェンさん。 |
フ: | はい、フェイラン・ツェンです(笑)。 |
絹: | 11月の初旬に初対面です。よくわかりません。よくわかりませんがなぜか「出ていただけませんか」と言っちゃったという方です(笑)。そしてもうお一方、フェイランさんのお友達、熊澤洋子さん。 |
熊: | はい。よろしくお願いします。 |
絹: | どうやらバイオリニストらしいということで、お二方をお招きしてお送りいたします。それではほぼ初めて、二度目にお会いするという方々ですので、自己紹介からお願いします。フェイランさん。 |
フ: | はい、改めましてフェイランです。私は元々サンフランシスコという場所で、インダストリアルデザインというお仕事の勉強をして、その後某大手企業で働いた後…。 |
絹: | え、某大手企業って、京都? |
フ: | はい、京都の健康機器のメーカーで、11年くらいお仕事をさせていただいた後に、そのオムロンで仕事をしながら、京都の京北町という場所で、250年くらいの茅葺の家屋を見つけ、そこに移住をしながら徐々に地域の事業創生とか、イベントづくりというところに携わっていきました。現在はオムロンを卒業させてもらって、コミュニティデザインという名目でお仕事をさせてもらっています。 |
絹: | たぶんそういうことをよく知らずに、でも魅力を感じてしまったのは、たぶんそのコミュニティデザインというキーワードだったと。なんで惹かれたのかは、たぶんそこですね。はい、それでは熊澤洋子さん、自己紹介をお願いします。 |
熊: | はい。先ほどもお話がありましたが、バイオリンを弾いています熊澤洋子と申します。普段はバイオリンの中でもクラシックの演奏ではなくて、ルーマニアとかハンガリーとか東ヨーロッパの地域に根差した民族音楽が大好きで、そういうものを取り上げて演奏する演奏活動や、バイオリンを皆さんに教える講師みたいなこともさせていただいています。 |
絹: | さっきも「意地悪しますね」と言っていたのですが、進行の絹川はよく手を抜きますので、ゲストの方にゲスト同士を他己紹介していただくというコーナーが自然にできてしまっています。さあ、洋子さん、フェイラン・ツェンさんとはいかなる人物ぞ、短く述べよ。 |
熊: | 短く言うと、すごく愛に溢れた彼女です。もう本当に。それからつくりたいものに対して、とても明確にビジョンがあって、それを大事な人、大切な人とつくっていきたいという思いを持っている彼女だと思います。 |
絹: | ありがとうございます。リスナーの皆さん、今の情報で想像を逞しくしてくださいね(笑)。それじゃあ、フェイランさん、洋子さんはいかなる人物ですか? |
フ: | 洋子ちゃんは本当に、私がデザイナーという領域の中でお仕事をしてきたのとは、また新たな形で想像力があるというか、クリエイティブなミュージシャンです。今までミュージックというものを、ジャンルとか好き嫌いで見ていた自分が恥ずかしくなるくらいなんです。 洋子さんと、旦那さんのきしもとタローさんという笛の演奏家のご夫婦なんですけど、音楽というものを解体していくというか(笑)。音楽というものを理解していく時に、色んな文脈があるんですよね。「ツクル森」というイベントを通してお二人とお仕事をさせて頂いているんですけど、例えばリズムというものが、ダンスとセットとなっているんだなということを改めて感じ入ったり、民族と民族同士の対立があった時に、音楽がどういう風に変化していくのかみたいなこととか、本当に地図の上でも歴史的にも、色んな角度から音というものを、多角的に学ばせてもらっているという感じですね。 |
絹: | ありがとうございます。すごく貴重な情報を。ご主人のきしもとタローさんの話も出てきましたが、ぐいぐいと興味を惹かれます。それではゲスト紹介を終わりまして、大事な番組のタイトル、テーマですが、いただいたテーマが「みんなで作るお祭り“ツクル森”の紹介~京北でスゴイ化学反応が起きてます!」と題してお送りいたします。 実は11月の6日に、“あうる京北”、古い人は京都府立ゼミナールハウスと言った方が通りがいいかもしれません。そのお隣に広大な原っぱがあるのですが、そこで「新しいつながりへのお祭り」と題して“ツクル森”プロジェクトというのでしょうか。イベントがありまして、なぜか引っ張られて、よくわからずに紛れ込みました(笑)。スーツにネクタイで行っているおっさんは唯一1人で、浮いてたと思いますけど、すっごく居心地のいいお祭りで、京北でこんなことが起きているんだということを、今まで知らなくて、たぶん初めてじゃないですよね。3回目? |
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(“ツクル森”HPより 令和3年11月6日 あうる京北(京都府立ゼミナールハウス)にて) | |
熊: | 4回目ですね。 |
絹: | 私は京都府の色んなエリアに移住ということが起きることがすごく大切だと思っている部分がありますので、大切なところを担っている人たちがこんなに面白くて、楽しいことをやっているというので、「このプロジェクトの中心メンバー、キーマンは誰?教えて」と声を掛けたのが洋子さんです(笑)。 |
熊: | そうです。そうです。はい!(笑) |
絹: | ということで、そもそも「みんなで作るお祭り“ツクル森”ってなに?」というところから、フェイランさんに口火を切っていただきます。 |
■エピソード1 みんなで作るお祭り“ツクル森”って、なに? |
●木材が、マテリアルが、つくる人が集まると、どんなお祭りができる? | |
フ: | 私が11年前に京北町という場所に、京都市内から移住したのですが、その時に里山の知恵みたいなものに触れまして…(笑)。色んな方がいらっしゃるんですよね。京都市内だとあんまり見ないかもしれないんですが、京北だと鹿がすごい出たり、イノシシがすごい出たりとかするんですけど(笑)、それを仕留めるハンターさんみたいな猟師の方がいらっしゃって、そのお肉を使ってジビエ料理を作るよというようなケータリングをされている方がいらっしゃったり、はたまたタローさんと洋子ちゃんのようにミュージシャンとして、京北町という場所に住みながら、ご自身の創作活動をされているような方もいらっしゃる。ミュージシャンだけじゃなくて、絵画を描かれている方もいらっしゃいますし、音楽家さん、陶芸作家さん、クラフト系の方たちですよね。また、京北は木材が豊富な場所なんです。千本丸太町という場所があると思うんですけど、あそこは桂川の上流に当たる京北から千本の丸太がやってきた場所と言われていて、それぐらい京北町は木が豊富なんですね。木材が豊富、マテリアルが豊富、つくる人たちがたくさんいる。そういう人たちが集まった時に、どんなお祭りができるかなというような、ある種、つくる人たちのサロンとか、ギャザリングみたいな感じでスタートしたのがきっかけになります。 |
絹: | 元々つくる人たちの集まり、クラフトマンと言うか、陶芸家も含めてミュージシャンも含めて、そういう人たちがぎゅうっと集まってきたのが第一回だったんですね。 |
●つくる人とローカルの人との交わりでケミストリーが生まれる |
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フ: | そうですね。いわゆるその人たちIターンと呼ばれる新しく住み始めた人たちもいるんですけど、ツクル森には元々のローカルの方たちも参加してくださっていて。 |
絹: | あ、それ大事! |
フ: | 例えばアイガモ農法をされていて、昔からちゃんとオーガニックをされている方だったり、鮎釣りの名人で、鮎を焼きますよという方だったり。 |
絹: | ごちそうさまでした。一口いただきました。美味しかったです。 |
熊: | 召し上がっていただけたんですね。上桂川が鮎の名産地で本当にたくさんの釣り人の方がいらっしゃるんですけど、地元で名人ですごく良い鮎を釣っておられます。 |
フ: | そういう方たち、ローカルの知恵を引き継いでおられる方たちというのも、非常に創造的で、ゼロから1を生み出すような人たちというのがたくさんおられて、その人たちを交わらせることで、新しいケミストリーが生まれるんじゃないかという、割と実験的につくりだしたところがあるんですけど(笑)。 |
熊: | みんなに歌ってもらったんです。 |
●京北とのつながり、皆さんに感じていただきたくて |
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絹: | 今、ほうっとしてますけど、家守の木、その絵本を、というか小冊子をおつくりになったその心について、また少し続けていただけますか。 |
フ: | やっぱり京北町は平安の時代から京都市とつながりがあったので、都に寺社仏閣を建てるために木を送っていたというところがあって、今まで流通が変ったりして、そういったつながりがなくなって、京都市の方たちが「京北って、どこなの?」ということが結構増えているんですけど、この『家守の木』の本を見ることで、私たちの長いつながりというのが感じてもらえたらいいなと思っています。 |
絹: | 「みんなで作るお祭り“ツクル森”」の紹介というタイトルのラジオ番組で、ここまで家守の木の絵本のお話まで。この人たちすごい壮大な事をやっているぜみたいなことが、改めて、なんかスゴ! 本当に30分番組で収まるはずもないような内容です。“ツクル森”のプロジェクトだってもう4回やられて、この先もジモティと言いますか、里山の知恵をずっと伝承してきた人たち、ローカルの人たちとIターンの人たちが良いミックスと言うか、ランさんの言葉で言うと、ケミストリーが起こっているという。この先どうなるんでしょうねえ。楽しみですねえ。 |
熊: | そうですね。ますます豊かになっていくと思います。 |
フ: | こういう連携した創作物というのが、もっともっと増えて行ったらいいなと思っています。 |
絹: | リスナーの皆さん、京北と言うと、なにかすごく保守的で頑固で、なんも変わんねえみたいな、京都市内の人間には変な、間違った思い込みがある部分も少しあると思うのですが、起こっていますよ、変化(笑)。だから本当に行ってほしいなあと思います。 |
●“ツクル森”イベントは続きます 今度はぴゅーんと飛びますよ! |
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絹: | そして告知情報として、これは“ツクル森”の新しい変化を象徴するイベントかもしれません。さきほど教えていただいたのは何でしたっけ。 |
絹: | ということで、この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクトの応援でお送りいたしました。フェイランさん、洋子さん、ありがとうございました。 |
両: | ありがとうございました。 |
第171回 ・宝池北公園で何やら面白い事が…~地元と京都市が公園でつながる社会実験~又は、ドSとドMの戦い
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山: | 山内 成介 氏(岩倉南自治連合会 副会長) |
葉: | 葉山 和則 氏(京都市建設局 みどり政策推進室 公園利活用企画課長) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
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(左:山内 成介 氏 右:葉山 和則 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、本日のゲスト紹介です。早速打ち合わせとは違うことをやってみようかなというイタズラ心がムクムクっと頭をもたげてきましたが(笑)。では、まずはお一方目、岩倉から来ていただきました。岩倉南自治連合会の副会長をなさっています山内成介さんです。 |
山: | はい、山内です。本日はよろしくお願いいたします。 |
絹: | もうお一方は、ご近所さんです。市役所のみどり政策推進室 公園利活用企画課長でいらっしゃいます葉山和則さんです。 |
葉: | 葉山です。よろしくお願いします。 |
絹: | では早速いたずらを仕掛けます。葉山さん、進行役の絹川は手を抜くことが多くありまして、ゲスト紹介をゲストにやらせてしまう、いわゆる他己紹介です。自己紹介ならぬ他己紹介というのを、時々やります。葉山さんに問います。岩倉南自治連合会の副会長さんの山内成介さんとはいかなる人物ぞ、短く述べよ。 |
葉: | 自分と考え方がすごく似ている人なんですけど、すごく前向きと言うか、未来を見据えて、楽しく面白く物事を進めて行こうというような、企んでいらっしゃりそうな感じの方です(笑)。 |
絹: | 葉山さんと似たタイプということは、倒れる時は前向きにというタイプですか(笑)? |
葉: | そうですね。まず行動するというところで、今回お付き合いできることになりましたので。 |
絹: | ありがとうございます。それでは山内さんの番です。山内成介さん、みどり政策推進、葉山和則さんとはいかなる人物ぞ、短く述べてください。 |
山: | 葉山さんは京都市電みたいな人やと思っていますね。 |
絹: | 懐かしいなあ(笑)。市電ですか。そのこころは。 |
山: | 葉山さんは今、公園をガラッと変えようとしておられる先駆者なわけですね。以前の職場でも京都の市民新聞の紙面もガラッと変えて、すなわちガラッと変える先駆者! |
絹: | 市電も先駆的なものでしたと。 |
山: | あれも日本で初めての前例のないところを、皆で色んな事を考えて、それをどんどん広げていくと。まさに葉山さんは京都市電そのものやないかなというふうに思っております。 |
絹: | リスナーの皆さん、今日のゲストの人となりの一部、少し透けて見えたでしょうか。ということで、このお二方と進めて参ります。 さあ、本日の番組タイトル、テーマです。「宝が池北公園で何やら面白い事が…~地元と京都市が公園でつながる社会実験~または、ドSとドMの戦い」と題してお送りいたします。さあ、いったい何が起こっているのか、葉山さんに口火を切っていただきます。お願いします。 |
■エピソード1 そもそも何が起こっているんですか |
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●今までの公園の使い方、本当にそのままでいいの? | |
葉: | 宝が池公園で今行っているのは、社会実験です。公民連携公園利活用トライアル事業という、ちょっと私も時々忘れるような名前でやっているんですけど(笑)。名前の通り、公園でちょっと色んなトライをしてみようよということで、今までの公園の使い方が本当にそのままでいいのかと。公園それぞれで大きさやポテンシャルが違うものですが、それを今の公園は全国的にどこも同じような禁止だらけの公園になっています。でもそこに住んでいる人の思いによっては、禁止事項でも本当はやりたいと思っている方もたくさんいらっしゃったりするんじゃないかと。そういった事を公園それぞれで地域の方々と一緒に使い方を考えて、試しにやってみましょうと。で、失敗した場合は、ドMのようにしばかれましょうと(笑)。そういうようなチャレンジ精神で、色んな方と連携してやっております。 |
●公園であんなこと、できたらええなあ |
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絹: | 広報資料を私の手元資料として持って来ておりますが、京都市建設局のみどり政策推進室でいただいたものです。 公民連携 公園利活用トライアル事業公募開始!! 本格的な人口減少、環境保全、災害対応、新型コロナウィルス感染症等、本市を取り巻く様々な課題の克服に向けて、都市の魅力、活力、憩いを生み出す貴重な空間である公園を最大限に利活用していくために、来園者層や規模の異なる3箇所の公園において、柔軟な発想のイベント・サービス等の企画により、試行的利用を行う民間企業等を募集・選定します。 で、広報資料のくせに、「公園であんなことできたらええなあ」という吹き出しが踊っています(笑)。これの元締めに近い所におられるのが葉山さんです。という捕捉を入れさせていただきました。 |
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(京都市HP 【広報資料】公民連携公園利活用トライアル事業公募開始!! より) |
葉: | ありがとうございます(笑)。 その大きい公園、小さい公園、具体的には宝が池公園とこのラジオカフェの近くにある新京極公園と御所の近くにある竹間公園の三ヵ所で、それぞれの公園に合わせて、やりたいことを募集しました。民間企業さんと一緒に組んでもらうというのが前提になっています。というのは京都市は今、大変な財政難なので、この取組を進めて行くのに予算がないんです。 |
絹: | 存じ上げております。コロナの影響でなんと五百数十億の税収不足という、京都市の悲鳴が聞こえてくるような気がいたします。そんななかで新しい事をやってしまおうというとんでもない人たちがこのお二方です。 |
●岩倉南自治連合会さんからびっくりするような、多彩な提案をいただいて… |
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葉: | 民間企業さんが参画することで、地域で何かやりたいと思った時に、民間企業にバックアップしてもらう形で、やりたいことを実現していくというものです。募集したところ、想定以上にたくさんの企業に応募いただいて、その中の1つとして、宝が池公園で岩倉南自治連合会の皆さんと、いくつかの民間企業さんがタイアップして、宝が池公園でアウトドアのイベントであったり、地域交流のイベント等、具体的にはバーベキューや魚のつかみ取りやカフェ、フラダンスなどちょっと変わったものまで、色んな提案を頂きました。しかもイベントで単に楽しくやるというだけではなく、地域に貢献してもらうというお題も挙げていたのですが、公園の美化活動はもとより、樹木で危険木のようなものもあったりするので、そういうものを手入れしていただいたり、あるいは森林の保全に向けて学習するような機会を設けたり、そういった様々な、本当にびっくりするくらいの多彩な提案を頂いて、有難く採択させていただきました。 |
絹: | 実は宝が池北公園にこの間お邪魔してきました。山内成介さんとも初めてそこで出会ったわけですが、本当に素敵な居心地のいい空間やなと思いました。 さあ、ここで山内さんにご登場願いまして、そういう企画の中心におられて、なぜああいうことをやろうと思ったのか、あるいはご苦労などエピソードを開陳していただければと思います。 |
●岩倉南、そもそもモチベーションの高い地域なんです |
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山: | 岩倉南学区の自治連合会の副会長をやっているのですが、岩倉南学区は地下鉄の国際会館駅の周りの学区なんです。宝が池公園もその中に入っていて、学区内には住んでおられる方が15000人弱おられるのですが、非常にモチベーションの高い地域で、例えばノーベル賞が2人出ているんですね。たぶん世界的にもそんな地域はないのではないかと思うんですが。 それからこの前のパラリンピックにも1人、競泳の選手が出ていたり、本当にモチベーションが高くて、未来志向で、みんなどんなふうな未来がいいのか、そして今はどういうふうにしたらいいのかということを考える方がすごくたくさんおられるんです。実はこの話がある前から、どういった取り組みがいいのだろうとか、どういうふうにしたら次の世代にいいものを残せるのかということで、公園に関しては勝手に「宝が池セントラルパーク構想」というのを、我々の中で練っていたりとかですねえ(笑)。 |
●宝が池セントラルパーク構想、考えてたんです |
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絹: | セントラルパークって、あのニューヨークの?あれみたいにワイワイ使おうぜみたいな感じ? |
山 | そうなんです。「宝が池セントラルパーク構想」って、これ、商標取ってないんですけど(笑)、そういうのも色々考えていたところに、宝が池公園をどんどん今の人たちが楽しめるような形で、トライアルでやってみませんかという話が京都市さんの方から出てきまして、「これはめちゃくちゃええ機会やなあ」と思って、我々は企業じゃないんですけど、自治連合会として何か参画して今まで考えていた事を、最初の第一段階として具現化できる、それを積み重ねていける最初の第一歩にしたいなと思ったわけです。 |
●お医者さんと組んで山のアウトドアジムなんて、面白いでしょう? |
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山: | 実は山の整備についても、年齢が多世代で、地元の人がそれに参画できるようなことを色々考えていまして、例えば人生100年社会になっていますので、高齢者の方がジムに行く代わりに山の木を切ったり、山道をつくったりするなどということもあるのではないか。全身運動になりますので、それを例えばお医者さんと組んで「こういう動きをしたら、非常に膝にもいいよ」とか、「3回に1回は背筋を伸ばしてください」とかサジェスチョンしてもらいながら、青空の下で、アウトドアジムをやっているというようなことをやっていければと思っています。 |
葉: | 発想が面白いなあ。 |
絹: | かつてのステレオタイプのお話ですが、街路樹の落葉するシーズン、ギンナンが匂う、落ち葉が自分の家の玄関に降り積もると、京都市に電話して「おい、掃除しに来んかい。わしは税金払てんねん」というのが、ある種市民の悪いパターン像でしたけれども、それとどうも一線を画す市民が、特に岩倉南自治連合会には多そうですね。 |
葉: | そうですね。内部でもそんな相手っていないんじゃないかというのが、このトライアルをする時に課題として出たんですけど、それも含めてやってみようと思ったら(笑)。 |
絹: | 企業は申し込んでくるかもしれへんなあと思っていたところが、企業を飛び越えて自治連のジモティーの皆さんが食いついた。大物が食いつきすぎて、びっくりしはったでしょう。 |
葉: | びっくりするのは、実は新京極もそんな感じになりつつあるんです。地元の方が熱量を出してきて、「この公園、どういうふうに過ごすようになったら自分らは楽しいか」と考えるようになってくださって、本当にトライアルという感じでやったものが、思った以上に成果が出ていて有難いですね。 |
●「こんなことできたらええなあ」を皆さん、語り合いましょう! |
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絹: | リスナーの皆さん、お気づきでしょうか。本当に行政と市民の関係が変わりつつあります。宝が池公園だけではなくて、新京極でも、船岡公園でも色んな所で熱量の高い市民が、「行政の資金力がなくなってきたらやれることを助けたるで」とばかりに口も出すけど、手も出すと。そういう人たちが我が京都には、ひょっとしたら数多くいらっしゃるようです。こういう方々が京都を住みやすく、風通しのいい都市にしていくという期待を感じてしまいます。ぜひ、皆様も公園で起こっている社会実験に覗きに行ったり、参画したりしていただけたらと思います。 山内さん、本当は冬用のやりたいことも温めてはるんですよね。 |
山: | そうですね。冬はジビエにホットワイン…。 |
絹: | いいなあ、公園でね、やってみたいですよね。 この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。最後に一言どうぞ。 |
葉: | 公園の利活用というものを、このラジオを聞いた方も柔軟に考えて頂いて、「こんなことできるのかな」ということがあれば、ぜひ我々の所に来ていただいて、もちろん行かせていただきますし、夢を語り合えたらいいなと思います。ありがとうございました。 |
絹: | 山内さん、ごめんなさい。タイムアップ。また来てね!さよならあ! |
第170回 ・血縁のない他者と家族として暮らす事~壮大な社会実験がここ京都でも
ラジオを開く
荒: | 荒木 美加恵 氏(株式会社monukeru CEO/代表取締役社長) |
山: | 山倉 あゆみ 氏(株式会社monukeru CCO/プランニングディレクター) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
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(左:荒木 美加恵 氏 右:山倉 あゆみ 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、本日は珍しく妙齢のご婦人をお二方、ダブルでゲストにお迎えしております。ご紹介いたします。株式会社 monukeru 代表取締役社長/CEO、“ミカエル”こと荒木美加恵さんです。 |
荒: | よろしくお願いいたします。 |
絹: | そして同じく株式会社 monukeru(もぬけの殻から来ているそうですが)、 専務取締役・プランニングディレクター/CCO、山倉あゆみさんです。 |
山: | はい。よろしくお願いします。 |
絹: | 今日の番組タイトルに行く前に、いつも私が手抜きをするのをご存知ですよね。ゲスト紹介をゲストにやってもらっちゃおうという他己紹介、またやりますね。では山倉あゆみCCOにお尋ねします。“ミカエル”こと荒木美加恵さんはいかなる人物ぞ、短く述べよ。お願いします。 |
山: | はい。ミカエルは名前の通り、大天使ですね(笑)。 |
絹: | ああ、羽が見えてきた! |
山: | でしょ?みんなに気づきや経験を与えるという尊い女性だと思います。 |
絹: | はい。ありがとうございます。リスナーの皆さん、覚えていてくださいね。大天使の羽が見えるかどうか(笑)。みんなに気づきを与える女性です。それではミカエルさん、山倉あゆみCCO、いかなる姉御ぞ、短く述べよ。 |
荒: | 山倉あゆみCCOはアイドルのプロデューサーみたいな(笑)、AKBの秋元康さんやNiziUのJYパークさんのように、みんなの特徴をひらって、それを世の中に魅力として伝えていく人です。プロデューサーです(笑)。 |
絹: | 座布団3枚!(笑)という方々です。ご期待ください。 本日のタイトルを申し上げます。「血縁のない他者と家族として暮らす事~壮大な社会実験がここ京都でも」と題してお送りいたします。さあ、どんなお話が聞けますか、ご期待ください。 では最初に、エピソード0として山倉さんに振っちゃいます。ミカエルさんと山倉さんの名刺に、所在地が書かれております。京都市左京区下鴨東岸本町14京都下賀茂修学館207とあります。京都の出来事にアンテナをはっている人でしたら「ん?修学館?下鴨?聞いたことがあるぞ」と反応している人がおられるかもしれません。素敵な場所ではありますし、特異点で注目している場所なんですけど、その辺り、ひも解いていただけますか? |
■エピソード0 シェアハウス “Cift 京都”の立ち上げ |
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●“Cift 京都”は生活実験の場です | |
山: | 2017年に始まった拡張家族Cift(シフト)という団体がありまして、スタートは東京の渋谷からなのですが、昨年2020年の8月から関西拠点としてCift京都が出来上がりました。私は立ち上げのメンバーとして、全くゆかりのない地域なのですが、京都に来て生活をスタートして、ミカエルはそのメンバーの1人でもあります。今、所属の住民が40人以上いて、定住が10人くらいのシェアハウスになっていまして、みんなが家族と思ってみる実験を、その建物の中で行っているという生活実験の場です。 |
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(『「京都下鴨修学館」物語』ホームページより) | |
絹: | リスナーの皆さん、きょとんとしている人がいるかもしれません。下鴨修学館、私は数度、それも期間をあけて、昔比較的大きい女子寮だった時代にも一度お邪魔しております。そこでもオーナーさんが非常にいい方で、大きなホワイトボードだったか、黒板だったか、「実家から柿やみかんが届いたからどうぞ」と書いておいてあったり、冷蔵庫の大きいのがある食堂があったりして、なんか素敵だなと思っていたんですけど。それがさらに改修されて、今の形です。 そして登録40人ちょっと、そして定住が10人ちょっとのシェアハウスということは、出たり入ったり、いつもいるヤツもいるけど、いないヤツもいると。 |
山: | そうですね。1度2度くらいしか来ていない人もいますし、年齢も今は2歳から60歳まで(笑)。 |
荒: | 0歳!0歳!生まれたから! |
山: | そうだ、0歳から60歳まで!なんか人生みたいですよね。 |
●Ciftの拠点は実は全国にあります |
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絹: | すごい実験でもあるんですよ。Ciftについて、ちょっとだけお話します。実は丹羽妙さんという私の若い友人の1人がそこにメンバーとして入っていらっしゃるということで意識したのですが、首都圏にCiftの拠点が2つ? |
山: | 今は1つになりましたね。元々は2つありました。 |
絹: | 鎌倉にもあった。 |
山: | 鎌倉と言うか、メンバーが使ってもいいよと言ってくれている拠点は、結構たくさんあって、全国に点々とあるんですけど、Cift自体のメンバーは100人ちょっといるので、それだけ拠点と思える場所があるというイメージですね。 |
絹: | すごいですね。その拠点の1つが京都にあると。 |
山: | そうです。京都のCiftは、Ciftの公式な拠点としてやっていて、東京と違うのは、一般住民とCiftのメンバーが共に暮らしているというところが、ちょっと新しくなった文脈ではあります。 |
●なるべくルールは作らないというスタンス |
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絹: | シェアハウスって、だいぶ市民権を得ましたけれども、僕、上手に説明できないんですけど、普通のシェアハウスではないように感じています。できて2度お邪魔しましたけれども、なんかわけのわからない居心地の良さがあるんです。そしてなんかすごいシェフがいるとか…。 リスナーの皆さんに修学館を説明するのに、何かいいエピソードはないですか? |
山: | お腹がすいて仕事が終わってくるとご飯があるとか。さっきもね。 |
荒: | 今日も打ち合わせが終わった後に、「終わったあ」と思って、キッチンを見たら「ご飯できてるよ」って。38歳の男性が言ってくれたりとか。 |
絹: | 私のような還暦を超えたおっさんは、「大変ちゃうのん?」とかね、すぐ「ルールは?」とか、「誰がするの?」とか、心配ばっかりするじゃないですか。それ、視察している限りは、みんな心配してないような空気が漂っていて、「なんとかなるわ」みたいな。 |
山: | でもミカエルのすごい所は、そこから学生結婚、妊娠出産と、パタパタとそのコミュニティの中で自分の実体験と言うか、後ろ姿をバンバン見せていくんですよ。で、出産の時に実は私、立ち合っていまして…。 |
絹: | すごい!でも、ちらっとその話を以前に聞かせていただいた時に、本当に立ち合ってもらうということの大切さと言うか、安心されたというのが、すごいミカエルさんにとって大きかったんだよね? |
山: | でも本当に偶然だったんだよね。 |
荒: | 私が産気づいて、廊下に出たら、あゆみさんがたまたま廊下にいたんです。ちょうど主人がいなくて、でも一人で病院に行くのは怖いじゃないですか。なので「あゆみさあん!なんか陣痛来たから、一緒に来て!」と言って…。 |
山: | そうやって声掛けできたりとか、出産というプライベートな感覚の時に、手を繋げる勇気があるというのは、私はすごいなといつも思っていますね。 |
絹: | 今日、番組のタイトルで言葉を選んでいただきましたけれど、「血のつながらない他者と家族として暮らす」というのは、まさにそこにも表れていますね。 |
山: | そうですね。そこは濃厚な時間でしたよねえ。21時間(笑)。 |
絹: | 初産だからかかるよね。ああ、それは本当に象徴的な良いエピソードだわ。 |
●“ママだけ留学”のこと |
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山: | そうですね。だからその後の子育てとかも、子育て文脈で、“ママだけ留学”という、ミカエルだけが京都に滞在する期間を作ったりとか、そういう色んなきっかけを作ってくれるのが彼女ですね。 |
絹: | リスナーの皆さん、今、理解が追い付かないかもしれませんが、追い付いてくださいね(笑)。 かなり変わった、東京でのシェアハウス的、血の繋がらない人たちと家族として付き合うことができる空間にいたミカエルさんが、「あゆみさん、陣痛来た!一緒に来て!」と出産しました。その後、子育てしながら、落ち着いたらダンナとベイビーを置いていなくなるという(笑)離れ業、それを「ママだけ留学」と呼んでいます。そして京都の拠点に来て、残ったメンバーに「助けてね」というメッセージを出せた、SOSを出して、彼らが受けたと。 |
山: | すごい大事なのは、二拠点居住で、東京と京都を行き来していましたけど、ミカエルが「助けて」というんじゃなく、ご主人が周りに「助けて」と言えるかどうかという経験を作ってあげていたということですよね。 |
荒: | そうなんです。私は何も言ってないんですよ。主人が頼めるかどうか、いつも私がみんなに頼んでいたことを彼もできるのかみたいな…。 |
絹: | 「ザ・手のひら転がし」と言ったら、言い過ぎでしょうか(笑)。 |
山: | いや、大切ですよねえ。どんな気持ちで頼んでいたのか、それをお互い経験し合うみたいなところは、まさに修学館で大事にしている部分なので、みんながどんな気持ちになっているのか、自分以外の人の気持ちを考えるというところしか、意味合いはないと思っていますね。 |
絹: | 色んな場面で、うちも会社の中で、チームで暮らしていたりすると、頼めない人、全部自分で抱え込む人、まじめで誠実な人ほどそういう傾向があって、ポキンといっちゃってというケースに時々出会います。でもそのパートナーの旦那さんが周りに言えるかと、その機会をつくったミカエルさん。 |
荒: | 「結果的につくった」という言い方をあゆみさんはしてくれているんですけど、「やってみてほしい」みたいな感じでしたね、なんか。 |
絹: | きっとその京都留学(家出)の背中をあゆみCCOが後ろからふっとしたはったのやろなと(笑)。 |
荒: | いや、ダンナの方が言ったんですよ。「行って来たら?」って。 |
絹: | おおー、やるなあダンナ。 |
荒: | たぶん「行って来たら?」と言った本人はどれだけ大変かわかってなかったと思いますけどね(笑)。でもその機会に、東京ではダンナが一人で子育てをしてみていた。で、京都で何が起こっていたと思います? |
絹: | ひょっとしたらもう1人おめでたが近づいた人がそばにいたとか? |
山: | ミカエルが初めて、学生としてではなく社会人として一人暮らしをしていたんですよ。お母さんとしてではなくて、ミカエルは1人の女性として生活を初めてしていたんです。 |
絹: | そうかあ、今まではそうじゃなかったんだ。 |
荒: | そうですね。学生のまま主婦、ママになったので。だから朝、自由に起きれたんですよ(笑)。で、夜好きな時間に寝れたんですよ、疲れたら。しかも昼寝ができるみたいな。 |
絹: | 京都留学を経て、株式会社もぬけの殻のmonukeruを起業して、その若さで社長にと、そこにはいったい次はどういう段階があるんですか? |
荒: | 初めて一人の時間で、自分の人生というのを考える時間ができたということなんですよね。それで対話の中から、これから先どうやって生きていこうかということが自然と出てきて、企業に繋がっているというのはあると思います。お母さんたちは忙しかったり、子どものことばかり考えていたりするので、そもそも自分の人生について考える時間なんてないんですよ。それをつくることができたというのは、色んな家族の連携から生まれた時間かなと思っていますね。 |
絹: | 「んー」と唸るしかないというか、本当に見た事のないことが起こっています。私も結婚して、嫁さんは教師をやっていたけど、辞めさせる羽目になって、子どもが生まれて、私の年老いた親の面倒も全部、彼女のもとにずしんと来て、「元教師なんて言わないで!」みたいなそんな感じに…。 |
荒: | なんか絹川さんの反省会みたいになってきましたね(笑)。 |
絹: | そうなんですよ、実は。私も立ち合い出産したかったんですが、できなかったです。 |
第169回 ・京都市初の「市民緑地」整備ってなに?~にぎわい・いこいの空間で何が起きるのだろう?
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朝: | 朝山 勝人 氏(京都市建設局 みどり政策推進室 事業推進担当部長) |
岩: | 岩村 謙次 氏(京都市建設局 みどり政策推進室 緑化推進課長) |
水: | 水江 勝 氏(京都市建設局 みどり政策推進室 担当係長) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
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(左から朝山氏、水江氏、岩村氏) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、本日のゲストはお二方お呼びしております。正確にはお三方で、コロナの状況下でスタジオ入りできるのはゲストの方お二方までなのですが、外にもお一方。ご近所さんです。ここは三条寺町ですけど、京都市役所から来ていただいています。 ご紹介いたします。京都市建設局みどり政策推進室緑化推進課長であられる岩村謙次さんです。よろしくお願いいたします。 |
岩: | よろしくお願いいたします。 |
絹: | そしてもうお一方。担当の係長さんです。水江勝さんです。 |
水: | よろしくお願いします。 |
絹: | それから部屋の外におられる朝山部長~! |
朝: | はーい。よろしくお願いします。 |
絹: | まずは今日のタイトルです。「京都市初の“市民緑地”整備ってなに?~にぎわい・いこいの空間で何が起きるのだろう?」と題してお送りします。さあ、どんなお話になりますか。岩村さんと水江さんに徐々に紐解いていただきます。 それでは先ほどご紹介しました岩村謙次さんと水江勝さん、この番組のヘビーリスナーの方なら絹川が時々手を抜くというのを知っておられます。いつもの他己紹介でまいります。 岩村謙次さん、水江勝さんの人となりを短く述べよ(笑)と、無茶ぶりをさせていただきます。 |
岩: | 打ち合わせになかったですよね(笑)。水江係長は東本願寺前の市民緑地の事業を担当しておりまして、係員も一名、二名でこの事業を担っていただいています。大変しんどい仕事だと思うんですけど…。 |
絹: | ほんまですねえ。二名でこんなでかい事をやらはるとは、ちょっとびっくり! |
水: | そうなんです。私もびっくりしてます(笑)。 |
絹: | ほう、よって立つ法律の建付けが違うと。そこでは何かえらい違いがあるんですか? |
岩: | 法律自体が、もとからある緑を保全しましょうという目的の市民緑地整備であるので、本願寺さんの敷地にあります大きな銀杏とか欅を保全しつつ、緑地として道路も含めて整備していこうということです。 |
絹: | ということは、市民緑地ができるからと言って、「賑わい景観できるから、銀杏や欅がじゃまになるし、一本切ってもいい?」となると、「こらー!」という話になるんですか?(笑) |
岩: | でも数本は切ることになるんですけどね(笑)。ちょうど本願寺さんの緑地の真ん中に噴水がありまして、これが調べてみますと、武田五一という有名な建築家が(デザインは別の方ですけれども)設計をされたと。そこを一回り広げて、噴水広場の中でもイベントができるようなにぎわいの創出をしていきたいなと考えています。 |
絹: | 武田五一先生と言えば、私みたいにあまり勉強したことない者でも、ちょっと建築をかじった人は「はああ」と思いますよね。 |
岩: | 京都市の本庁舎も武田五一の設計です。 |
●東本願寺と京都市が協働してつくる緑地空間として |
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絹: | そもそも市民緑地がよって立つ法律が違うと。緑を大事にしましょうという足がかりで整備していくことが起こりそうです。リスナーの皆さんに念のため、手元資料を一部だけ読ませていただきます。 『東本願寺前は緑豊かな空間のもと、「下京・京都駅前サマーフェスタ」など、地域の方々と共に京都市東本願寺を始めとした関係者が協働して、地域の活性化に向けた取組や活用が展開されています。そのようななか、京都駅周辺の活性化に取り組む京都市と地域に開かれた門前を目指す本願寺さんの想いが一致して、京都市道と東本願寺所有の緑地を一体的な緑として活用できる整備を行うことで、市民緑地として整備することになりました。』 と書いてあります。リスナーの皆さん、東本願寺さんの前に道が二本走っている部分、あそこです。武田五一先生の噴水があって、緑は東本願寺さんの所有、市道は京都市の所有で、それを一体化してどんな風になるのでしょうねえ。今度は二人だけでこれを料理しようとしている水江さん、もうちょっと補足いただけますか? |
●石畳風舗装って、覚えておられますか? |
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水: | 今回の整備は、緑地部分と京都市の市道部分を一体とした市民緑地という形でさせていただきます。その中でも今回、緑地の部分については、今も現状木はあるのですが、新たに桜等を植えさせていただいて、四季折々の緑が見られるという空間をつくり、市道部分の所は石畳風舗装と言いまして、石畳のような舗装のしつらえにさせていただき、そこではイベントなどもできるようにさせていただく予定です。 |
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(京都市ホームページ 広報資料より) | |
絹: | 石畳風舗装って、リスナーの皆さん、覚えておられますか?ここで特集番組(第85回放送:平成24年7月24日)をやらせていただいたこと、あるんですよね。平安神宮の前の整備も確か石畳風舗装ですし、裏千家さんの今日庵さんの前の小川通も石畳風舗装、それから天神さんの東側もだいぶんと拡がっていましたよね。 身びいきの発言かもしれませんが、「ええ感じやな」と思っております。実は同業者と言いますが、私もそこのメンバーですけれども、京都道路建設業協会という舗装屋さんたちの集まりと京都市の建設局さんが共同研究で新しい工法を実験しながら編み出したものです。広く使ってくださいという工法なんです。 本当の石を使うと高いですけれども、本当の石ではないけれども、色々工夫をして、ショット・ブラストをかけたり、カッターで目地を入れて、石に見えるようにしたり、さらには保水性を高めるようにしたりと…。お水を撒いたら、夏の暑い日、ゆっくり蒸発するような工夫です。例えばパンパースの中身のような、水をためるような材質を中に混ぜるわけですが、その比率があんまり高いと舗装が弱くなるし、みたいな実験をかつて繰り返した覚えがあります。そんな地元の建設屋の目から見ても、この工法が取り入れられるとうれしいなと思えるような工夫が組みこまれているようです。 |
■エピソード2 市民緑地の将来像を考える |
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絹: | お二方はこの市民緑地で何が起こってくるとうれしい、どんな風になったらいいのになと思っていらっしゃいますか? |
岩: | 先ほど絹川さんもちょっと触れられた岡崎ですね。神宮道。あそこも市道を廃道にして、公園と一体整備して、今はコロナでちょっとダメですけど、コロナ禍の前はあそこでイベントをして、色んな食べ物屋さんが来て、賑わいがすごくあったわけです。 今回のここの場所は、京都駅から歩いてすぐ5分以内で来られますので、すごく便利がいいんです。ここがイベント会場になれば岡崎以上の賑わいの創出ができるのではないかという、そういうポテンシャルはすごく高いと思っています。 |
絹: | リスナーの皆さん、神宮道、平安神宮の鳥居の辺り、今、岩村さんは行政マンらしく廃道という漢字を使われましたが、要は車が入れなくしたわけです。そして公園と一体化した。「あれ、前は鳥居の所まで車で走れたのに、右左にハンドルを切らなあかん」と思われていると思いますけど、あそこ僕も何回か行ったんですけど、ええ雰囲気でしてね。 ちょっと誤解を恐れずに言いますと、中学高校の文化祭みたいなのを、ええ大人がずっとやったはるみたいな感じで。例えば手作りの小物やお菓子を売っておられたり、骨董だのなんだの、おまけにあっちこっちでおしゃべりが起こっているんですよね。本当に大学祭や学園祭の市民版みたいなことが起きていて、小さい子も、バギーに乗った赤ちゃんを連れたお母さん方も、家族連れでいい雰囲気でした。ああいうことを考えていらっしゃるんですね。 |
岩: | はい。 |
●イベントではキッチンカーやテントが並んだりして… |
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絹: | それがまた、京都駅に近いとなると、あれのパワーアップ版にならへんかと思っておられるわけですね。ひょっとして、この石畳風の所、本願寺さんの前、市民緑地やから、例えばキッチンカーの列がダーッと並んだりするのは許されへんのですか?許されると思います? |
水: | イベントについては、そういうキッチンカーを並べていただくとか、あとはテントですね。テントで飲食店を出していくというところも、今後ルールとして考えて行こうと思っているところです。 |
絹: | そぞろ歩きしながら、休みの日にアテを仕入れてビールでも噴水の前に腰かけてと。多分座れるベンチ的なものも今後考えていかれるんでしょうねえ。 エピソード2で私がお聞きしたかったのは、京都市と東本願寺さんの想いが一致した、握手しはったというのは、どのあたりですかというのを聞きたかったんです。それと毎年サマーフェスタとか前夜祭とかもやっておられて、今でも結構ええ感じの場所なんですよねというのも、併せて一緒にお聞きします。どうですか? |
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(京都市ホームページ 広報資料より) |
絹: | ということで、朝山部長にもちょっとだけ飛び入り参加していただきたいんですけど、頼んでもらえませんか。ふるさと納税とか、寄付とかについて、部長と喋れそうですか? 今、岩村課長と朝山部長が今交代されます。ご紹介いたします。建設局みどり政策推進室事業推進担当部長であられます朝山勝人さんです。残りの時間で、ふるさと納税、それから寄付のお知らせについて少し語っていただけると嬉しいのですが。 |
朝: | はい。今回の京都市の東本願寺前の市民緑地なのですが、本来でしたら当然行政の方が費用を負担して整備をしていくということなのですが、皆さんご存知のように、京都市の財政状況も非常に厳しいなかで、なおかつここの部分が9800平米ほどの広さのオープンスペースができることになります。また東本願寺さんが観光客の緊急避難場所という形になっていまして…。 |
絹: | これ、大事なポイントです! |
●防災の機能も併せ持つ市民緑地として |
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朝: | そことこの市民緑地とを一体的に活用することにより、災害時などの緊急避難場所の支援ができるという防災の機能にも非常に役立つ公園、市民緑地になります。そういう整備を進めて行くということで、できましたらふるさと納税として、企業さんや個人さんから募集を募っています。10万円以上寄付をいただく場合は、市民緑地の芳名板にお名前や企業名を記載させていただきますので、是非ともご協力をお願いしたいということです。よろしくお願いいたします。 |
●但し書きにかえてーご寄付について |
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絹: | リスナーの皆さん、「名前なんか出さんといて、お金だけ出すし」も大歓迎でございます(笑)。ただし、私のような地元京都に本社がある企業が法人寄付をしても、税金は安くなりません。できれば京都市外の、例えば滋賀県の企業が寄付してくださるとなると、減税措置があります。 減税になる、ならない。それから個人の皆さんでご寄付いただいても、京都市は「そんな返礼品で釣ろうなんて…。仕事の結果で見てください」というスタンスを取っておられますので、京都市民に対しては返礼品は用意されておりません。ただ、市外の人たちには「京都市はたしなみとして返礼品をお送りします」というスタンスを取っていらっしゃいますので、一言申し添えます。 ということで、必要な情報は行きましたでしょうか。 |
朝: | ありがとうございます。 |
絹: | 水江さん、言い残したこと、ない? |
●工事が間もなく始まりますが、ご協力をよろしくお願いいたします。 |
水: | 市民緑地の整備の工事を間もなく始めさせていただく予定ですので、その時には近隣の方はじめ、その前を通られる方に非常にご迷惑をおかけすることがあるかもしれませんが、ご協力をよろしくお願いいたします。 |
絹: | 「こんな所で埃をたてやがって」とか、「車を止めやがって」とかって、怒らないでくださいね。私の本職知っておられますよね、建設屋です。できてくるものを期待して、「不便やけど、頑張れや」と言っていただいたら、建設屋はもう本当に舞い上がりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 皆様、いかがでしたでしょうか。東本願寺さんの前に京都市初の市民緑地が整備されてまいります。是非ご期待ください。 この番組は心を建てる公成建設の協力と、我らが景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。朝山さん、外に出ていただいた岩村さん、それから水江さん、ありがとうございました。 |