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第184回 ・歴史屋の端くれから工事屋の端くれへ~
投稿日:2023/04/13
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第183回 ・府営住宅とあなたの夢がマッチング~若者の視点からひもとく空き家活用 地域課題に挑戦する人を求む!
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西: | 西島 良輔 氏(京都府建設交通部住宅課管理・調整係 主事) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
(西島 良輔 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをお伝えしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、今日はお若いゲスト(もちろん私に比べてということですが)をお迎えしております。京都府建設交通部住宅課主事という肩書の西島良輔さんです。西島さん、よろしくお願いします。 |
西: | よろしくお願いいたします。 |
絹: | なんとなんと、三十路になられたところという方でございます。 |
西: | 三日前くらいにちょうど誕生日を迎えまして(笑)。 |
絹: | 結構若い方のゲストですね。私がもう還暦過ぎですので半分以下です。西島良輔さんとの出会いは最近で、京都府建設交通部の中島さんという副部長、圧の非常に強い上司(笑)から「紹介するわ!」と紹介されたのが西島さんでした。 おいおい紹介していきますが、この度京都府さんは大変勇気のある、というか面白い仕事をされました。建設交通部の住宅課の連中、具体的に言うと西島さんたちですよね? |
西: | ありがとうございます(笑)。 |
絹: | 西島さんたちが面白い仕事をされました。そのことを僕は実は感動して眺めておりましたので、それについて語っていただきます。 さて、今日の番組タイトル、西島さんにお願いしましょうか。 |
西: | 申し上げさせていただきます。「府営団地とあなたの夢がマッチング、若者の視点からひもとく空き家活用」。 |
絹: | ではもう一回、僕が言いますね。「府営団地とあなたの夢がマッチング?~若者の視点からひもとく空き家活用」というタイトルでお送りします。 まず、これはもう公式の公開情報ですけど、手元に資料があります。カタく言いますと「京都府府営住宅ストック公民連携活用事業」が正式なタイトルです。これを絹川くんなりに、ひらがなで超訳を試みます。間違っていたら訂正してくださいね。 |
西: | ありがとうございます。 |
絹: | 「活用できる府営住宅ストック」、これ要は「府営住宅の中でどれだけ空き家があるのか」ということです。京都府にはだいたい2年以上、応募がなくて、空いたままの住戸のある府営住宅が52団地あるそうです。「その中で726室が空いていて、これを何とか料理したい。民間の皆さん、知恵ある人は寄ってくれ!」と大きな声で、京都府の建設交通部の住宅課の皆さんが声を上げました。これ、僕なりの超訳ですが、どうですか? |
西: | もうお見込みの通りでございます。 |
絹: | それでは今度は主人公であります西島さんの口から、制度概要とか事業概要、そもそもこれって何?というのを、ご説明していただけますか。 |
■エピソード1 府営住宅ストック活用事業とは、こういうことです |
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●府営住宅ストックを社会課題の解決に役立てたい | |
西: | では若者の視点から、ちょっと柔軟にご説明させていただければと思います。今回の事業は、簡単に申し上げると、長期間応募がなかった府営住宅の空き住戸を、社会課題の解決に取り組む事業者様や各種団体の皆様に提供するものです。皆さまのノウハウや柔軟なアイデアを取り入れた利活用案をどんどん提案いただきたいと考えております。 |
絹: | 社会課題の解決と言いますと、具体的に言いますと、何か地域の困りごと、「こうなったらええのにな、ああなったらええのにな」ということですね。例えば? |
西: | それこそ地域活性化、地域の魅力に繋がるような情報の発信をしていただけるような利活用であったり…。 |
絹: | 例えば「子ども食堂をしたいんですけど、場所ないんです」「町内会の会議する場所ないけど、使えませんか」こんなのもアリですか? |
西: | もちろん、アリでございます。 |
●利活用の目的の縛りをかなり取っ払いました! |
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絹: | リスナーの皆さん、例えばこういう私の思い付きで西島さんに「こんなんアリ?」と聞いたら即答が返ってきましたね。結構広いですねえ。 |
西: | そうです。幅広に利活用の目的の縛りを取っ払っておりまして、店舗を含め営利目的の利用でも問題ありません。ただし営利目的の利用の場合は、使用料を通常の5倍いただくことになることだけご注意下さい。 |
絹: | 皆さん聞かれましたよね、ここに京都府の狙いがそこはかとなく感じられます。できれば営利事業よりも、社会課題解決型の地域の困りごとに役立つものの方にたくさん来てほしい。でも営利事業であってもそれは別に「来るなとは言いません」と、こんな感じですよね。 |
西: | 基本的に目的自体は何でも来てもらっても問題はありませんし… |
絹: | あ、ちょっと今のは超訳が過ぎて、誤訳になりましたね(笑)。すみません。だから縛りはないと。アイデア持っておいでと。協力するよという感じですね。 |
西: | はい。今回の事業目的としましては、これは全国共通の課題となっているのですが、公営住宅は募集しても応募がない状況が増加傾向にあります。加えて入居者の高齢化が進み、コミュニティの力が弱くなっていることから、自治会の活動が思うようにできなくなっているという声が寄せられています。 |
絹: | ここですよね。公営住宅でも空き室・空き家が増加傾向にありと。だいたいバクっと言うと、52団地で京都府さんが管理されている部屋は何万室くらいでしたっけ? |
西: | 127団地、14843戸を京都府は府営住宅として管理しております。 |
絹: | ごめんなさい、僕間違って説明していました。全部で52団地だと思っていたんです。それは空き室が2年以上空いている所が52団地あると。 |
西: | だいたい多く寄せられているのが、従業員さんの寮として使用したいという問い合わせです。実は本日も「従業員の寮に使いたい」という内見の調整に行ってきまして、その帰り道にこのスタジオに寄らせていただいています。 |
絹: | 私も実は昨日の夜、ある場所で交流会がありまして、同じテーブルに座った方が綾部で新しい工場をおつくりになったということでした。その方は毎年タイ国から従業員を十数名、雇い入れて、訓練をするための宿舎として、民間の賃貸物件をお借りになって収容していらしたそうです。でも足りないので、「この京都府さんの動き、大変興味があります」とおっしゃっておられて、そんな方が数名おられましたね。 |
西: | ありがとうございます。実際にそれこそ外国人さん向けの寮としても使用したいとの問い合わせもいただいております。 |
●某大学の観光学とのコラボのお話も… |
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絹: | 他に西島さんが面白いなと思った使い方はありますか。 |
西: | 実は先日も、某大学の観光学研究科の方とお話をする機会があったのですが、大学さんが府営住宅の一室を借り、団地の自治会さんとともに地域の魅力を発信し、観光名所を案内する。その代り団地の皆さんの暮らしをサポートしたり、団地のお子さんの学習の支援をご協力させていただければといった具体的な提案もいただいています。「地域の観光振興や団地の地域活性化の双方にメリットのある事業提案について検討していきたい」とおっしゃっていただきました。 |
絹: | すぐにイメージしにくいのですが、わかることは大学生がうろちょろする。これは間違いなさそうだと。「自治会のこともお手伝いしてね」と言わないうちに、向こうはその気にもうなっていると。そして「自治会さんと共に、その地域を好きになってもらう。“ここいいよ!来ない?”みたいな情報発信をしたい」と。これは地元の人にとってうれしいじゃないですか。 |
西: | そうですね。地域の魅力も発信していただければ、府営住宅の利活用という枠組みを超えて、まちづくりへも繋がっていくのではないかなと思っております。 |
絹: | これは面白いですね。観光からの接近、しかも大学からの接近。リスナーの皆さん、これは本当に若い人が来てくれたらうれしいですね。 |
●子育て世代の人が京都に戻ってきてくれる起爆剤になれば |
絹: | それと若い人と言えば、これは京都市の場合だけかもしれませんが、例えば下京区、南区あたりの保育園の園長さんにインタビューをした時にこんなエピソードを聞きました。せっかく待機児童をなくすために、保育の枠を拡大したけれども、京都市の中心市街地の土地値が上がってしまったり、マンションの値段が上がったり、家賃が上がったりするために、若い夫婦が住みにくくなって、京都市の外に流れてしまうと。だから定員割れしちゃったという園長さんが複数おられました。我々京都市の住民としては、若い人がまた戻ってきて住みやすくなるために、公営住宅が空いているのなら、安く入っていただけたらいいのになと、思いますね。今回の試みが府営住宅にとっても、若い子育て世代の方が戻ってきてくれる起爆剤になったらきっとすごいですね。 |
西: | 今回の事業では、皆さまが公営住宅に対して持っていただいているイメージからさらに一歩進めて頂いて、全く新しい視点から公営住宅を利活用していただきたいと考えています。 |
●団地コミュニティ活性化の一案としてのコレクティブハウス |
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絹: | その利活用のイメージというところでは、コレクティブハウジングという言葉も入っています。コレクティブハウジングは、以前もこの番組のヘビーリスナーならご存知かもしれませんが、賃貸型で助け合いが起こりやすいようなソフトウェアが内包されているものを言います。 コモンルームという名前で、ご近所さんと一緒に、共同の食堂とか共同の居間がある。そこへは誰でも入れて、料理の得意な人が「今度の夕飯当番、一食430円くらいで作っておくし、要る人は黒板に登録しておいて」なんて、会社の社員寮のような感じが公営住宅でもし起きたらいいですよねえ。その棟なりそのフロアはみんな知り合いで、「実家からミカンが届いた。良かったらコモンルームに置いとくし、自由に取っていって」みたいなことが起こると面白いと思いません? |
西: | そうですね。素敵な新しい住み方・居住形態ですね。 |
●見守りサービス付き高齢単身者シェアハウスとか… |
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絹: | それと高齢者等の生活支援なんかも考えてくれたらうれしい。福祉系の事業者がやってきて、見守りサービス付き高齢者単身シェアハウスとか。サ高住に近いけれども、単身で、高齢者同士がシェアする。でも見守り機能もついているわけです。ということはそばに福祉サポートの能力のある専門家がいるかもしれないという、本当に夢のある企画であります。 リスナーの皆さん、今までのお話を聞かれてどうだったでしょうか。非常に勇気のある試みを京都府さんは展開しようとしています。もう少し補足したい事はありますか? |
●是非検索、お電話もおまちしております! |
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西: | 今回是非皆さんに色んな利活用の提案をしていただきたいと京都府としては考えておりますので、「京都府営住宅空き住戸」や、「京都府営住宅ストック」で検索していただければ、今回の事業をご紹介するページが出てきます。そのページに募集要項等を掲載しておりますので、興味がある方は是非ご覧ください。 |
絹: | もう一回言いますね。検索キーワードです。「京都府営住宅ストック」、あるいは「京都府営住宅」と「空き住戸」のアンド検索をしていただくと、必ず上位にヒットします。実施要領もありますし、電話をかけていただいてもいいと思います。京都府建設交通部住宅課075-414-5366です。電話が繋がったらひょっとしたら西島良輔さん本人が出るかもしれません(笑)。 |
西: | はい、私が出させていただきます(笑)。 |
絹: | 西島さんが電話応対だとか問い合わせの応対で「ふーっ」となるくらい来て下さるとうれしいですね。そして私の勝手な予想ですが、京都府がこういうことをされたということで、おそらくは京都市役所も追随しようと虎視眈々と狙っていると思います。そして京都府の皆さんと京都市の皆さんが何か響き合うというか、リエゾンと言うか、イイ感じの影響を与え合う近未来が来るといいですね。 |
西: | そうですね。 |
絹: | 今日は若き行政マン、京都府建設交通部住宅課主事の西島良輔さんの「府営住宅とあなたの夢がマッチング~若者の視点からひもとく空き家活用 地域課題に挑戦する人を求む」という番組をつくらせていただきました。是非検索、あるいはお電話をしてくださいね。 この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。 どうでしたか?初めてのラジオ出演。 |
西: | 少し緊張しましたけれども、楽しくお話させていただきました。 |
絹: | リスナーの皆さん、わかるでしょ?見るからに、聞くからに、真面目な行政マン。彼の将来、期待大です。皆さまありがとうございました。さようなら。 |
西: | ありがとうございました。 |
投稿日:2023/03/16
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第182回 ・都市計画の見直し(案)を読み解く~わかったようでわからない都市計画の見直し(案)をひらがな化できますか?
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山: | 山口 耕平 氏(京都市都市計画局都市企画部都市計画課 特別用途地区・まちづくり条例 担当係長) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
(山口 耕平 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。そしてこんばんは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをお伝えしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、本日のゲストですが、ラジオカフェのご近所さんからお招きしております。京都市都市計画局都市計画課から、担当係長の山口耕平さんをお招きしました。山口耕平さん、よろしくお願いします。 |
山: | よろしくお願いします。 |
絹: | 私と山口さんの出会いは、まだ最近なんです。直接会ったのは2~3度くらいですね。 |
山: | そうですね。年末くらいから。 |
絹: | リスナーの皆さん、結構大きな変化が都市計画と呼ばれる分野で起こっているんです。そのことを勉強したくて、山口さんの上司である平井部長(僕が勝手に京都市のエースかなと思って尊敬もしている方なのですが)のところに行きまして、「今回の都市計画の大きな見直し変更、一般市民の方(私も含め)専門家ではない人たちにとって、ちょっとわかりにくいかもしれません。ラジオカフェで番組つくれませんかね。」とお聞きしたら「いいよ」と言ってくださって、しばらくたって「俺が行くより、うちの若い衆を出すから、頼むわ」とご紹介いただいたのが山口耕平さんです。では山口さん、自己紹介をお願いします。 |
山: | 都市計画課で係長をしています山口と言います。市役所でも十数年働かせて頂いていまして、都市計画課に来ましたのは、去年の4月で、それまでは建築指導部というところで、建物の申請等の業務をしていました。去年の4月に来て、この見直しを引き継いでやっているという形になります。 |
絹: | 今日の番組タイトルをどうしようと、実は打ち合わせをしておりました。タイトルの決定にもちょっと苦労しましたけれども、「都市計画の見直し(案)を読み解く~わかったようでわからない都市計画の見直し(案)をひらがな化できますか?」と題してお送りいたします。冗談めかして言いましたが、すごく分厚い資料が手元にはあります。でも一般の新聞やテレビの報道では本当に一部分切り取ってしか報道されてないような気がしまして、私の希望としては山口さんにその背景、パンチラインを、ひらがな化して解説いただけませんかと、無茶ぶりしました(笑)。リスナーの皆さん、すごく大きな変化が起ころうとしているんだよということをご注目ください。 |
■エピソード1 そもそも京都市は今、何をしようとしているのか |
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●今回の見直し案、目的は高さの緩和ではありません | |
山: | まず都市計画という言葉について、ご説明したいと思います。色々あるのですが、一番大きいのは道路や鉄道、公園などをどこに配置するかというところや、どこにどんな建物が建てられるかということも決めています。今回その見直しをしようとしているのは、建物の建てられる場所や大きさについて変えようとしているということです。テレビや新聞では高さの緩和がされるということが注目されているのですが、実は目的は高さの緩和ではないということをご説明できればと思っています。 |
絹: | なにか報道だけ聞いていると、「あ、京都市、方針変えた?」という風に誤解している人たちもいるけれども、元々の方針は「俺たちは間違ったことを言うてへん!」と。だけど今人口の減少だったり、若者、子育て層が流出していたり、オフィスが足りなくなったりするのに、今できる見直しを色々考えた、それをまず見てくれと。 |
山: | そうですね。元々新景観政策自体も、時代と共にちゃんと進化していくものだという言い方をしています。ですので今回の見直しも、景観もあるけれども、先ほど申し上げた建てた方がいいもの、そこにあるべき機能(都市機能という難しい言い方をするのですが)と、それを建てた時の周りの住宅への影響(今お住まいの方の住環境へ影響)という、景観と都市機能と住環境のバランスをしっかり見ながら検討していきました。 |
■エピソード2 例えば外環状線沿道、こんな風になればと考えています |
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●山科駅から六地蔵駅までの外環状線の沿道、ちょっとイメージしてみてください | |
絹: | 今の流れで、象徴的なエリアで、山科の外環状線沿いのことにそろそろ切り込んでいただけませんでしょうか。 |
山: | 今回の見直しは全市的にということでさせていただいていて、今ご指摘いただいた山科の外環状線沿道、山科だけではなく伏見も含めて東部方面という言い方をしているのですが、山科駅から六地蔵駅までの間の外環状線の沿道について、これまでよりも建物を少し建てやすい形、大きさも少し大きくできるように変えているんです。 |
絹: | リスナーの皆さん、イメージしてくださいね。山科駅から外環状線で椥辻駅、醍醐駅を通って六地蔵駅とずっと南へ行く、この外環状線の線上について、少し考え方を変えていくんだよとのことです。さて、そのこころは。 |
●もっとここに若い世代が住みやすいまちをつくりたい |
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山: | 「ここにもっと若い世代が住みやすいまちをつくりたい」というのが、そのこころになります。 |
絹: | 先ほどの山口さんの言葉を借りますと、「地下鉄が通っていて、その地下鉄と連携して外環状線沿いに色んな建物があり、あるいは賑わいがあって、安心して子育て世帯や若い人たちが歩きたくなるような建物や施設群が誘導されてくる、そのような都市計画の見直しをやってみたんだと。 |
●パブリックコメントのご意見からー高さ規制と騒音問題 | |
山: | 今回のパブリックコメントでいただいたご意見をご紹介したいと思います。私が直接ご意見を伺いに行った中ですごく印象的だったお話です。五条あたりのマンションに住まれている方なのですが、マンションの天井が非常に低く、以前住んでいた大阪のマンションに比べて、上の階の音が響くということで、たぶん床の構造が高さ規制で薄くなっているせいじゃないかということでした。実際に上階にはお子さん連れのご家族が住まれていて、音が響く旨をお伝えしたことがあるようなのですが、その関係でその方が引っ越されたと。そういう意味で高さ規制ということが(その人は賛成なのですが)、子育て世帯が住みにくくなっている事もあるのかなというお話をされていました。それを聞いてすごく私も難しいなと思いながら、やはりどちらも大切なことだなと印象深かったですね。 |
絹: | 今のお話を補足いたしますと、高さ制限がかかっている所で、共同住宅を設計したり建設したりすると、部屋の内々の高さをある程度犠牲にして、要は天井が低い建物を頑張ってつくることになります。防音対策としては、ボイドスラムという空気の円柱と言いますか、茶筒の親分みたいなものが床の中に入れて、音が響かないようにするわけです。ただその工法を採用すると、床の厚みが厚くなってしまいます。たぶんその方は建築の知識のある方だったんですね。そういう厚い床の工法を取れないから、ひょっとしたら上階の音が大阪のマンションに住んでいた時よりも伝わってきたのかもしれないと想像されたと。 |
山: | そうですね。その人のちょっと感覚的なところがあるのですが。 |
絹: | でも高さ制限があまりなければ、天井の高いおうちに住めるかもしれないなというのは、あるかもしれないですね。 |
山: | そこのバランスですよね。京都の守りたいものと、環境の。 |
●今回の見直し案について、市民の方から大変高い関心をいただいています |
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絹: | 今回の都市計画の見直し案について、869通、2445件の意見が寄せられたというので、市民の方から関心が高かったんですね。 |
山: | そうですね。以前、4年くらい前に行った時の意見数のだいたい2~3倍はご意見をいただいていたので、そういう意味ですごく注目していただいたなと思っております。 |
絹: | その分析、解析のため、一回読むのに8時間以上かかったと。それを何回も繰り返して、へとへとになっておられたのが、ここにおられる山口さんです。 |
山: | ありがとうございました。 |
投稿日:2023/02/02
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第181回 ・「市民協働ファシリテーター」って何?~3人のファシリテーターに聴く!
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岡: | 熊切 英司 氏(京都市文化市民局地域自治推進室マイナンバーカード企画推進担当係長) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
(熊切 英司 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。そしてこんばんは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをお伝えしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、今日のゲストは、皆様にとっては聞きなれない、市民協働ファシリテーター第二期生、熊切英司さんです。 |
熊: | こんにちは。京都市市民協働ファシリテーター二期生の熊切英司と申します。よろしくお願いします。 |
絹: | 市民協働ファシリテーター、市民は京都市民の市民、協働は「協力する」に「働く」で、ファシリテーターはカタカナです。この頃、「ファシリテーション」「ファシリテーター」という言葉が、10年前や20年前に比べたら市民権を得てきたようにも思いますが、まだまだ皆様にとっては耳慣れないキーワードの1つかもしれません。 さあ、ゲストの紹介ですが、私と熊切さんの出会いは最近ですよね。 |
熊: | はい、つい最近で、数週間前にご挨拶させていただいたというところございます。 |
絹: | 市民協働ファシリテーターという仕組みができて6年。 |
熊: | そうですね。京都市で市民協働ファシリテーター制度というのができて今年で6年目ということになります。 |
絹: | その中のお1人が熊切さんです。 まずは番組タイトルを申し上げます。「市民協働ファシリテーターって、何? ~3人のファシリテーターに聴く!」と題してお送りいたします。 |
■エピソード1 そも、市民協働ファシリテーターとはなんでしょう? |
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●これからの京都市を市民の方々と共につくるために | |
熊: | この市民協働ファシリテーター、先ほど耳慣れないですねというご紹介がありましたが、確かにそうだと思います。現在、価値観やライフスタイルが多様化していると言われていますし、皆さんもそのように感じられておられると思います。そういう現在、行政だけで地域自治を進めていくというのは、本当に困難なのです。 ですから市民協働ファシリテーターという役目の人たちが、これからの京都市を市民の方々と共につくるために、市民の皆さんとの対話を通じて、その思いを引き出し、複雑で答えのない課題について、合意形成を図り、新たなアイデアや関係性を生み出して、協力して行動できる状態をつくりだす役目。これが市民協働ファシリテーターであり、これを志す職員が市民協働ファシリテーターということでございます。 |
(京都市「市政参加とまちづくり」ポータルサイトより 市民の方を交えたワークショップの様子) |
●様々な人たちの調和を図りながら、課題の解決へ |
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絹: | リスナーの皆さん、1つの極端な例を挙げます。私、絹川は烏丸通の近くに住んでいます。仮にこのおっさんについて、典型的なネガティブ市民像を想像しましょうか。市役所に電話をかけます。「ワシの家の前の街路樹の銀杏、落葉していっぱいやねん。銀杏も落ちてて臭いねん。ワシ、市民税払ろてるやろ。行政、掃除しに来いや」と。非常にステレオタイプな、従来の、あまり尊敬しにくい市民像を敢えて描きましたが(笑)、そういう絹川のおっさんがいたとします。 一方で、この頃はそうではないタイプの市民の方々が増えているような気がします。行政の方々と一緒に地域課題を解決する、そんなテーブルが公募されたとしましょうか。「土曜日なら仕事が休みやし、行くわ」とばかり、区役所に行くとします。 ラウンドテーブルについて、役所の人と「地域のこの問題なあ…」と話をする。「それならオレもできるし、プロでもあるし、ちょっと手伝ってもええで」と言って行動に移す市民が結構増えてきている。最初の典型的なネガティブ市民イメージをAとして、後者をBとすると、AとB全然違いますよね。その後者の新しいタイプの市民さんと共に働こうとしているのが、市民協働ファシリテーターかもしれませんね。 |
熊: | はい。今社長がおっしゃったAというタイプの方、所謂これは地域の課題なのだと思うんです。その地域の課題について、解決策を模索する人々の調和を図りながら、解決策へと話を進めていける、そういう役目の人間が協働ファシリテーターということになるかと思います。 |
●“ドアちかマップ”ご存知ですか? |
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絹: | リスナーの皆さんにもう1つ、小さな事例ですけど、ご紹介したいと思います。地下鉄をイメージしてください。地下鉄のホームの所に“ドアちか”という表示が出ているのをご存知でしょうか。 |
熊: | “ドアちかマップ”ですね! |
絹: | “ドアちかマップ”、「○○駅ならこのドアの近くに乗ってもらうと、高齢の方や足の悪い方など、エレベーターやエスカレーター、近いですよ」というのが一覧表にして書いてあります。それを“ドアちかマップ”と言うんです。あれは市民からの提案を、“京都市未来まちづくり100人委員会”という組織の中のあるチームがまとめ上げた結果、つくりだされたものです。 |
熊: | やはりそうですよねえ。あれはまさに利用者目線のアイデアだと思っていたんですよ。たぶんその利用者さんのご意見がなかったら、行政だけではあの発想はきっとなかったのではないかと思います。 |
絹: | たぶん学生さんか、非常に若い方の発想、それとお年寄りが融合して、当時まだ市民協働ファシリテーターという制度がなかったけれども、行政からもファシリテーター的な役割をしている人たちがチームをつくって、その結果結び付けたわけです。我々の日常生活の中には、小さいけれどもこういう例が実は多くて、広く知られていないけれども、既に京都市内では起こっています。 さあ、そういうファシリテーター、市民と行政が一緒になって、何かお互いに助け合って、新しい事態、地域課題を解決する方向に向かわないでしょうか。「ワシ、税金払っているし、行政がやったらええねん」というタイプAの市民の声に、「いやあ、行政としても、予算もマンパワーもフウフウ言うてますねん。できたら一緒に助けてもらえませんか」となった時に、男気(男気だけじゃないですよね、女気という言葉はないかもしれませんが)出して駆けつけて…。 例えば区役所レベルで、“まちカフェ”とか、やってられません? |
熊: | 区役所によってはやっている区役所もありますね。 |
絹: | 次にテーマAについての情報を、行政なり、進行者なりから説明があり、そして… 「この課題についてご意見をいただきます。自由にお話しいただいて(でも時間は20分なら20分と決めます)、ご意見を付箋紙に1つずつ書いて置いていってください。それからテーブルに居残りさんを1人だけ決めて、残り4人の人は他のテーブルに旅立ってください」 これを第二セッションにおいても同じように繰り返します。また居残りさんを決めて、4人は他のテーブルに旅立つ。こういうことを2~3回やると不思議なことが起こりますね。これ、何と言うんでしたっけ? |
熊: | ワークショップの技法でワールドカフェという技法ですね。 |
絹: | リスナーの皆さん、ワールドカフェです。別にコーヒーを飲むわけではないんですよ。 |
熊: | まあ、コーヒーを飲む雰囲気でということですね。 |
絹: | そういう会議の場には、気分を和らげるために、必ずコーヒーやお菓子などが置いてあって、ちょこっと会議中でも取れるようになっています。ワールドカフェって、実は楽しいんですよね。 |
熊: | そうですよね! |
絹: | この間もファシリテーター研修で、丁寧にワールドカフェ、やってらっしゃいましたね。 |
熊: | ありがとうございます。 |
●時間を守ってもらうために |
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絹: | このように声の大きい人たちだけの声を拾わない工夫、声の大きい人は、声のサウンドレベルを少し調整してもらう。声の小さい、思いをなかなか外に出しにくい人には書いていただいたり、安全な雰囲気で、「自分の思いを語っていいんだ」という風に、熊切さんたちファシリテーターズが場の安全を保障する、担保する、支える。ある意味すごく難しいお仕事かもしれませんね。 |
熊: | おっしゃっていただいたように、非常にナーバスな部分、センシティブは部分も気を回さなければいけません。発言したいけど、発言できなさそうな方にも発言いただけるように配慮を向ける。そして冒頭でおっしゃったように、妨げない、否定しない、そして時間を守るという、我々は手挙げルールと言っているのですが、時間が来たら手を挙げるんです。みんなはそれに気づいたら手を挙げて口を閉じると。ということで進行をスムーズにしていくというものです。 |
絹: | 手挙げルール、思い出しました。決めた時間が来ると司会進行の人が手を挙げる。そうすると周りの人も気が付いて、周りの人も手を挙げていく。例えば絹川くんが1人熱くなってしゃべり続けていると、周りの人が全員手を挙げていた。そこで「あ、しもた!」と思って、絹川くんも最後に手を挙げたと(笑)。発表の途中でチーンというベルを鳴らすというのではない、ファシリテーションのタイムキープ、面白い工夫ですよね。 |
熊: | これ、なかなか効くんですよね。みんなが手を挙げると。しゃべる人も「ああ、仕方ないな」と思って黙ってくれるわけです。 |
絹: | そして発言の終わりには「よく発言してくださいました」と感謝を込めて周りの人が拍手したりすることが多いですね。 |
熊: | そうです。発表していただいたら必ず拍手。皆さんで拍手して称え合うというのが、1つの暗黙のルールになっていますね。 |
絹: | リスナーの皆さんには、言葉だけで、音声だけでワークショップの雰囲気を想像していただけたら有難いなと思います。 |
■エピソード3 市民協働ファシリテーターの今後、こんな風に考えています |
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●民間企業にいた京都市職員として感じること | |
絹: | さて、市民協働ファシリテーターの今後。さあ、今後はどうなっていくんだろうという熊切さんの思いを下さい。 |
熊: | 私は京都市の職員なのですが、実は民間企業経験者採用ということで、まだ行政に入って10年なんです。それ以前はずっと民間企業で営業をしていまして、ですから民間企業にいた後で行政の職員になったタイプの人間なんです。そういう人間から見て、行政が意思決定を行う時に、よく市民感覚で考えろと言われるんですが、現状ではやはり役所意識と言いますか、役所の常識がまず頭にあった中での市民感覚を頼りにしているようにしか思えないところがあります。予め想定した落としどころに向けた議論、そんな感じなんですね。そんな議論も当然必要な時もあるのですが、それだけではやはりイノベーティブな展開というのは、なかなか生まれないと思います。その壁を破るのが、実はこの市民協働ファシリテーターなんじゃないかと思っているんです。 この市民協働ファシリテーター制度が始まりまして6年です。今年の受講生が6期生ということになるのですが、本市におけるファシリテーションの文化や土壌はまだ途上段階です。みんな色んなワークショップを開いたり、ワークショップでファシリテーションをやったりしているのですが、意見を幅広く集めるための進行役にとどまっているなという人がすごく多くて、合意形成にまで持っていけてないなという悩みを持っている人が、私も含めて非常に多いんです。 |
絹: | その合意形成の次に来るのは、行動であったり、新しいプロジェクトが生まれたり、そのプロジェクトに実際に協力する市民が、固有名詞で生まれたり、人が集まったり、それから行政の方は主幹部署が決まったりと、道は遠いですね。 |
●壁を乗り越えて、血の通った政策づくりの原動力に |
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熊: | 遠いんです。まさに市民協働、字の通り、立場の違う人、全然知らなかった人同士が1つの課題に向けて共に働いていけるような、そういう状態に持っていける進行役が市民協働ファシリテーターであるのですが、そこまで至るのがなかなか難しくて、日々皆さん努力して、勉強して、そうなるべくやっているのですが…。 ただ本年度からは市民協働の機会を生み出したり、ファシリテーションを指導するアドバンストファシリテーターという新しい階層が、京都市の中に創設されまして、私も受講しました。今後、市民協働ファシリテーターの1人ひとりが、先ほど私が言った課題、なかなか合意形成に至っていないという壁を乗り越えて、市民との対等な意見者として意見交換、合意形成、そして血の通った政策作りの原動力になってくれるものと私は信じております。 |
●ファシリテーションは教育の現場でも |
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熊: | 余談ですが、私は昨年度まで下京区役所で地域のまちづくりの部署におりました。そこにいた頃、区内の中学校一年生の担当の先生から、「生徒たちに地域学習を進めたいのでアドバイスが欲しい」という連絡があったんです。そこで、先生にお話を伺いに行き、相談しまして、生徒たちに地域の課題を見付けるというフィールドワークに出てもらい、その結果をワークショップで発表、そのワークショップの中で、生徒たちにファシリテーションをしてもらおうということになりました。そのファシリテーションの指導役として、京都市の市民協働ファシリテーターを数人派遣して、各テーブルを回って、ワークショップを見守ったということをしたことがあるんです。ですので実際、社会の中だけではなく、教育の現場でも、このファシリテーション、合意形成の大切さというものを認識され始めておりますね。 |
●市民協働ファシリテーター、期待しましょう! |
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絹: | いかがでございましたか。僕は実は熊切さんたちが学んでおられるファシリテーション、京都市に導入された創成期に、同じく市役所の人たちと学んでいた時期があります。それがもう10年前かもしれません。京都市未来まちづくり100人委員会というチームがありまして、そこの事務局を3年間務めていました。そこからの経験ですが、非常に期待が持てます。 また数年前、京都市総合企画局の佐藤部長という市民協働の部長さんから「総合企画局では100名の自前のファシリテーターを育てたんだ」とお聞きしたんです。でも総合企画局は基本は事業予算をあまりお持ちにならない局のはずです。その目論見はなんだろうと考えを巡らせ、「ひょっとして局と局を結んで、官と民とを繋いで、新しいプロジェクトが動く時のファシリテーターをお育てになったんですか?」と水を向けたら、黙ってニタっとお笑いになりました。 |
熊: | 図星だったのかもしれませんね(笑)。 |
絹: | リスナーの皆さん、京都市は早くからこういう、陰ではありますが、新しい動き、市民の声を丁寧に拾う、そしてプロジェクトに繋げていくという活動を育てておられます。あ、時間です。またやりましょうね! |
熊: | ええ、是非お願いします。 |
絹: | この番組は心を建てる公成建設の協力と京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。 |
投稿日:2022/12/05
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第180回 ・建設イノベーションワークショップ~立命建山研究室との出会い 産学研究プロジェクトに思う…
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岡: | 岡部 周平 氏(立命館大学 衣笠総合研究機構 助教) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
(岡部 周平 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをお伝えしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、今日のゲストは、うちにしたら珍しく、研究者の方をお呼びしています。立命館大学衣笠総合研究機構、助教でいらっしゃいます岡部周平先生です。岡部先生、よろしくお願いいたします。 |
岡: | よろしくお願いいたします。 |
絹: | まず、岡部先生との出会いをご報告させてください。 つい最近なんですけど、10月の21日、キャンパスプラザ京都というところで、「建設イノベーションワークショップ・公成建設・関組編」という勉強会と言うか、研究会と言うか、ワークショップですね。ほぼ午前・午後丸一日行いました。これをリードして下さったのが、立命館大学の建山和由教授、岡部先生から言うと、親分になります。 |
岡: | そうですね(笑)。 |
絹: | 建山教授のお名前を聞いたことのある方がおられるかもしれません。我々建設の分野ではかなり有名な方なのですが、ICTと言いますか、i-Construction※。建設分野において、色んな新しいICT建機を用いて、現場を効率化・省力化する研究で、一番ビッグネームな方。工学系ですよね。 |
岡: | そうです。土木です。 |
絹: | ところが土木のご専門だけれども、なぜか一緒にチームを組んでいらっしゃる建山教授の横には善本教授がいらっしゃる。彼が岡部先生のボス? |
岡: | 研究室を卒業していますので。 |
絹: | 工学部ではなく、土木系ではなく、経営学部? |
岡: | そうです。善本先生は経営学部です。 |
岡: | 決断が大事ですよね。 建設イノベーションワークショップは、現場の方や総務事務の方も含めお集まりいただいて、それぞれ今の業務からどう改善できるか、新しいアイデアを出すというワークショップになります。ただ、初めて会う方がチームを組んでワークに取り組むので、最初アイスブレイクと言われるような、ちょっと知らない人同士が仲良くなるための準備運動みたいなことのファシリテートをさせていただいたり、その後、今回はレゴシリアスプレイという手法(おもちゃのブロックのレゴを使ってアイデア出しをする)を使ったのですが、そのメソッドを体験いただいたりといった役割で参加いたしておりました。 |
絹: | その部分を私は目撃しまして、ちょっと感激しちゃったんですよ。 リスナーの皆さん、普通の一般の会社の会議で、声の大きい上司が一人で滔々としゃべって、内心「あのおっさん、おかしいこと言ってるけど、今言うのをやめとこかな」とか、「眠たいな」とか思いながら、資料の読み合わせだけで時間が過ぎていくみたいな経験はありませんか。うちの会社でも、割合そういう会議と言いますか、無駄な会議が多いんですけど、岡部先生がリードするアイデア出し会議、それから最初に仲良くなって色んなアイデアがボンボン飛び出すという会議は、ちょっと違うんですよ。さて、どこが違うんでしょうか。それをうまくリードするためのメソッドと言われましたけど、コツを岡部先生は持っているんですよね。 このレゴシリアスプレイ、もしスマートフォンをお持ちでしたら検索してみて下さい。今、結構色んな分野で流行っています。そして小さいお子さんをお持ちの方なら、皆さんのお家にあると思います。それを使って、アイデアがわいてきたり、ためらいなく自分の思いを口にしたりする魔法みたいな、でもすごくとっつきやすいことを、岡部さんはリードしちゃうんですよ。 |
岡: | やはり言葉での会議となると、話すのが上手な人や、声の大きな人の意見が優先されがちなのですが、レゴを使うと、作品で自分の意見を表現するので、皆さんある程度難しいんですよ。ですからある程度フェアな状態で、実はこのブロックのこの赤い部分というのは、自分は意識していないけど、こういう意味合いでつけているんだとか、レゴを使って自分の意見を言うことで、全員の意見を吸い上げることができるということです。 |
絹: | 残念ながらこれはラジオなので、映像がないのでわかりにくいかもしれません。ですからリスナーの皆さん、想像力を逞しくしてみてください。 さらにリスナーの皆さんに今のお話をわかりやすくしてもらうために、実際に岡部さんが課題を出すとしたら、具体的な課題を1つ紹介してもらえませんか?この間、レゴじゃなかったけど、カプセルで何か作りましたね。ああいう岡部さんが得意な最初の課題って、どんな注文を出します? |
●たとえば…、あなたにとっての悪魔的な上司を作ってください |
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岡: | すごく抽象的なのが色々作りやすいのでいいと言われていて、アイスブレイク・準備運動の時によく使うのは、「悪魔的な上司を作ってください」みたいなことを言ったりします。悪魔って人によってどう捉えるかが違ったりするので、そういうことを表現してもらうと、「この人にとっての悪魔はこういう意味なんだ」とか、そういうのをアイスブレイクで面白おかしくやることで、結構使われたりしますね。 |
絹: | リスナーの皆さん、ついてこれていますか(笑)? 普通の会社の会議や研修会で、いきなり岡部先生みたいな人が出てきて、おもちゃのブロックをテーブルの上に広げて、「最初の課題です。悪魔的な上司を表現してください」とはじまると、1テーブルに4~5人ぐらいのサイズなんですけど、そりゃあびっくりしますよね。大の大人がおもちゃで何をさせられるのと。 |
岡: | 傍から見たら異様な光景ですよね。 |
絹: | まずは軽い驚きがあるでしょ。でも次に集中し始めるんですよね。「自分にとって悪魔的な上司ってなんだろう」と。そういうことを例えば5~10分やって、その10分後、参加者の胸の内はどう変化しているんでしょうねえ。 |
岡: | 普段そういうことを考えもしないので、ワークショップに入る前って、普段使わない頭を準備運動させるというのも重要なのです。 |
●思ったことを表現しても安全な場として |
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絹: | 右脳・左脳という分類が正しいかどうかわかりませんが、どちらかと言うと右側、普段使わないヤツのスイッチを入れさせるみたいな。これで「あれ、これは普段言ってはいけない事を表現しても安全な場なんだな」というスイッチが入ったらシメたものですね。 |
岡: | そうですね。普段とは違う意見が出てきやすくなるので。 |
絹: | 普段おとなしくてしゃべらない人が、いきなり作品を使って雄弁になったり…。 |
岡: | 「その意見、いいね!すごくいいね!」ということに繋がるわけです。 |
絹: | 建設イノベーションワークショップを開催したキャンパスプラザ京都において、そういうことがうちの人間12名と、福井の関組という地元の建設会社の4名の方と、西尾レントオールの人たちとが集まって、目の前で実際にそれが起こったんです。で、建設現場での困りごとについて、色んな角度からのコメントが続発したそうですね。それを見ていた部長級の上司たちが、「うちの若い人たちはちゃんと問題意識を持っているんだ。それも色んな角度で」と。すごく場があったまって、ワイワイワイワイ議論している、そういう部下たちの姿を見て、「感動しました!」と言って帰っていきました。 |
岡: | ありがとうございます。そう言っていただけると本望です。 |
絹: | それを仕掛けたのが、ここにおられる岡部さんです。で、岡部さんとボスの善本教授と工学土木の専門家である建山教授は、「建設現場においてそういうことが起こればいいね」と思っていらっしゃるんですね。 |
岡: | そうですね。まずはそういう現場の方からのアイデアをいかに引き出すか。やはり上からではなくて、現場から上ってくるのが理想かなと。 |
絹: | 僕は普段社長室という暖かくて涼しくて快適な所にいて、そういうおっさんが現場に対して「ああした方がいいんじゃないの?こうせなあかんのと違うの?」なんて言うと、「現場から遠いヤツが要らん事言うな」という話ですよね(笑)。やっぱり現場にこそ、ネタと言うか、材料は転がっていて、現場に近い人の判断の方が正しい確率が高いんじゃないかと僕、ずっと思っています。それを引き出してやろうというのが、立命館大学の建山研究室の目論見だと。 |
絹: | リスナーの皆さん、本当に今日はさわりしか話せませんでしたが、立命館大学にリーンマネジメントとか、経営学部の先生って、こんなことを言うんですよ。 |
岡: | 横文字が多くてすみません(笑)。 |
絹: | でもね、要はリーンスタートアップ、起業をしたいという学生に対して、「お金をかけずに早めに失敗をたくさんしいや」と。これが現実の企業にもし応用されて、アイスブレイクの時のように、「この場所は安全な場所なんだよ」と思ったとたんに、人は色んなことを、思いを口に出せるのかもしれませんね。 建設イノベーションワークショップ、立命館大学の建山研究室と地元企業が産学協同プロジェクトに挑戦しています。うちの若い人たちが建山先生、善本先生、そして岡部先生のような方たちの指導を受けながら、現場の職人さんたちと小さな失敗をたくさんできるような雰囲気が築けるでしょうか。乞うご期待!でもこのことが日本を安全にしていくことに繋がると信じております。 この番組は心を建てる公成建設の協力と我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。先生また来てくださいね。是非シリーズ化しましょうね! |
岡: | 是非是非、お願いします! |
投稿日:2022/11/17
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