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まちづくりチョビット推進室
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第187回 ・住みたくなる京都の町へ「ヒタすら、ヒタむき」に応援します~竹内局長に聴く!

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竹: 竹内 重貴 氏(京都市都市計画局長)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
            (竹内 重貴 氏)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをお伝えしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト紹介ですが、前回の坂越副市長さんに引き続き、京都市の都市計画局長であらせられる竹内重貴さんがご登場です。竹内局長、よろしくお願いいたします。
竹: どうぞ、よろしくお願いいたします。竹内です。
絹: ちょっと茶目っ気を出し過ぎまして、竹内さんや坂越副市長に、「コミュニティFMの番組をやっているんです。もしよろしければ」とオーケーされるはずないと思って言ってみたら、えらいことになって、本日の御出演を迎えております。リスナーの皆さん、ご期待ください。
竹内重貴さん、2022年の7月に京都市にご着任されています。もともとは2000年ぴったりに国交省に入省、その後は海外に飛ばれていて、2004年から2006年ニューヨークのコロンビア大学とシカゴのノースウェスタン大学にそれぞれ留学されています。その後、中部地方建設局に2007年から2008年おられて、その次が山形県に出向されています。2010年から2013年、山形県では交通や企画分野の御担当、中部地方建設局ではまちづくりの御担当ということです。
この間番組の準備も兼ねてお部屋にご挨拶に行ったら、時間を取って色々議論に付き合ってくださって、非常に気楽におしゃべりしてくださる局長さんです。びっくりしています。ということで、ゲスト紹介はこれにて切り上げて、さあ、まずは大切な今日の番組タイトルです。この番組はゲスト使いが荒いって、知ってました(笑)?
竹: いやあ、そうかなあと薄々感づいてはいたのですけど(笑)。
絹: ではゲストの竹内局長に今日のタイトルコール、まずお願いできますか?
竹: はい。では今日のタイトルは「住みたくなる京都の町へ「ヒタすら、ヒタむき」に応援します~竹内局長に聴く!」と、こんな感じでよろしいですか(笑)?
絹: ありがとうございます。僕は感心しております。令和5年4月の市長の記者発表を参考データとして持っておりまして、『若者・子育て世帯の「京都に住むっ!」を、「ヒタすら、ヒタむき」に応援します!』という資料です。まあ珍しい記者発表資料だと思いますが、この「ヒタすら、ヒタむき」というキーワードを考えられた方を、じょうずやなあと思っています。
        (京都市HP【広報資料】より)
 

■エピソード1 若者・子育て世代への「ヒタすら、ヒタむき」応援メニューとは

●若者・子育て世代に住んでほしいから
絹: さて、竹内さんにマイクをお渡しして、まずエピソード1から入っていただきます。このメニュー、京都市さんは全国初の作戦を次々打つぞ、期待してねと坂越副市長が前回おっしゃいました。そのことの概要説明をざっと竹内さんの口からもお願いできませんでしょうか。
竹: 京都市は、大学に進学してこられる若い方、市の人口の約1割が大学生です。ただ、その若い方、あるいは子育てしようとしている方、就職する時、あるいは結婚する時、あるいは子育てする時に、せっかく京都に住みたいと思っていても、京都以外の所に住むという方がかなりの数いらっしゃるのが現状です。そうした若い方、子育てしたい方の「京都に住みたい」という思いに京都市でも応えられるように、全国初となる取組を始め、色んな住まいの取組を全面的に展開していきたいというのが、若者・子育て世代への「ヒタすら、ヒタむき」な応援メニューなのです。
皆さん、色んな住まいの選択肢があると思います。新築に住みたいという人もいれば、新築よりももう少しお手頃な既存の住宅(中古住宅)、それからなかには最近はおしゃれなリノベーション物件なども出てきています。そうした皆さんの住みたいニーズごとに、京都市として応援するメニューというのを、この4月に打ち出させていただきました。
 
        (京都市HP【広報資料】より)
 

●今回の住宅政策、その画期的な内容とは

竹: ポイントとなりますのが、まず全国初の取組になるのですが、京都市の市営住宅が全部で23,000戸あって、その中で活用可能な住宅が1,000戸あります。その1,000戸の中からお勧めの市営住宅の空き住戸を若い方、あるいは子育て世代向けの住宅として使うということを、全国初めての取組としてこれから始めようとしています。
それから京都と言えば路地ですが、京町家や路地奥の住宅も住まいやすく、あるいは空き家の利活用、それからマンションも管理をしっかりして、安心して住み続けられるような取組、さらにマンションをライフステージに応じて売るという場合も、きちんと管理してその価値が保たれるようにする取組をしていこうと思います。
それから新築の住宅もお住まいになりたいと思っておられる方もいらっしゃると思います。そうした方にたくさんの住宅をお届けできるように、都市計画を見直したり、建築の特例などもリニューアルして、景観は堅持しながらも、特に市の駅に近い人気エリアを中心に見直しを今進めてきたところです。
絹: ありがとうございます。ざっと概要説明を竹内局長にしていただきました。そこで絹川くんは勝手にこの中から自分に響くところを少し聞かせていただきたいのですが…。
竹: 全部響きませんでしたか(笑)?
 

●身近な若者世代がどんどん流出していく…

絹: 中でも特に響くのが市営住宅の空き住戸というところ、さらに空き家、路地奥、既存マンションも結構響きますよね。で、市営住宅の空き住戸を若者・子育て向け住宅に活用というのは、この中でも「全国初」と色も変わっていますし、1,000戸ということですよね。
ここで悲しい実体験を少しお話しますと、うちは、お仕事で保育園を結構建てさせていただいているんです。門川市長の待機児童ゼロ政策に協力して、私のお得意様である保育園の園長さんも園を増強したり、増築したりして、協力をしていらっしゃったのですが、ある時ご挨拶に行ったら、「絹川さん、聞いて!うちは人気のある園なんだよ。でも中京区や下京区や南区の園から期の途中で若い夫婦が市外に引っ越していかれるのよ」と。つまり園をやめて行かれるわけなんです。理由を聞くと、「土地が値上がりしたり、マンションが値上がりしたり、賃貸が値上がりしたりして、若い人が住みにくくなっているから、門川さんに言って!」とおっしゃったものだから、「私は門川市長の友達でもなければ、知り合いでもないので、勘弁してくださいよお」と言ったのですが、事程左様に中心市街地からの若年層の流出というのはあるようです。
これも実体験です。私は研究者ではありませんので、統計データは持ちませんが、不肖絹川くんの息子も、先般めでたく、悔しいことですけど、亀岡市民になってしまいました。「なんで初孫に会いに行くのに、亀岡くんだりまで行かなあかんねん!」と言って、自分で膝を叩いて悔しがっていますけど、やっぱり京都近隣の都市、滋賀県もあるいは亀岡市も向日市も色んな所が若者の誘導政策を工夫して競い合っているところがあります。京都市民としては悔しい思いでいっぱいです。ですからこの空き住戸、今まで市営住宅ってなかなか施設の目的外使用というハードルがあって、こういう風に使えなかった事を「1000戸使うぜ!」と宣言されたことに対して、大拍手でございます。
竹: ありがとうございます。
 

■エピソード2 応援メニューの進捗状況をご紹介しましょう

●水まわりを中心にピカピカに改装して、お手頃価格で提供します
絹: 今、メニューの概要をざっとご説明いただきましたけれども、現在の進行状況を、象徴的なエピソードとか、いくつかありましたら、お話いただけたらと思います。今年度は初段がもう募集が始まっていたりするんですよね。
竹: そうなんです。実際の市営住宅の空き住戸を民間の不動産会社の人にリフォームしていただいて、他の市場の家賃よりもお手頃な家賃で提供します。リフォームする時も若い方、あるいは子育てする方にとってポイントになるのは、キッチン、お手洗い、バスといった水まわりですので、水まわりを中心に新築みたいにピカピカに改装して、手ごろな家賃で住んでいただくということを考えています。
絹: リスナーの皆さん、今「手頃」とおっしゃいました。要は市価よりも割安に、そういう設定にしてねと。そしてもっと大胆に言えば(京都市に成り代わり、勝手に想像してしゃべりますので、もし僕が誇張しすぎていたら修正をお願いしたいのですが)、「どうせ空き家なんや。そこからは家賃は空いたままなら取れへんねん。京都市はここで儲けようとは思てない。だから市価よりも安いところで、民間の人たち、それだけは頼むで!活用してよ!」という感じの勢いを感じますが、ちょっと超翻訳しすぎましたか(笑)?
竹: いやいや、そんなことないです。京都市としては、京都市の儲けは度返しで、民間の不動産会社の方にそれぞれ素敵にリフォームしてもらって、そのリフォーム代は家賃で頂くのですが、ただやはり元々市営住宅は既にあるものなので、他と比べて少し安めに、お手頃な家賃で提供できるという仕掛けなんです。
 
          (京都市HP【広報資料】より)
 

●京都市が全国を引っ張る気概で

絹: これ本当に、実は官の側からしたら、ある種勇気の要った一歩ではなかったかなと想像するのですが、大変ではなかったですか?国との交渉とか。
竹: そうですね。やはり若者・子育て世代、特に少子化対策というのは国にとっても最重要課題なんです。ただ一方でどうしても我々市役所の人間からすると、前例がないというのが不安になってしまうんですね。ただそこは京都市が全国で初めてやる、そして京都市が全国を引っ張っていく、そうした気概で国とも交渉しましたし、今回新しくこうやって全国初のものとして打ち出す。やはりそれだけ京都として熱意を持っているんだというところを、皆さんに受け止めていただきたいなと思っています。
絹: ここは本当にパンチラインだと思います。真面目な行政の官の方ほど、施設の目的外使用、許可というのがハードルになられたと聞きました。実際に数年前ですけれども、京都府の建設交通部の住宅課の皆さんと空いている府営住宅、七百数十室を利活用してくださいというお願いをしに行ったことがあります。「いきなり言われても…。超えていかなければいけないハードルがあるんです」とその当時はためらわれておられました。それを京都市はこの度ためらいを捨てられたということで、大拍手を送りたいと思います。
 

●市営住宅の空き住戸政策、エッセンシャルワーカーも対象になりませんか?

絹: さあ、その先どうなるのというところもお聞きしたいですけれども、「市営住宅、こんなふうになったらいいのにな」という勝手な素人のアイデアを竹内局長にぶつけてみて、どんな反応が返って来るか、ちょっと聞かせて頂こうと思います。
これは本当に素人発想です。京都保育園連盟の会長を務められる嶋本弘文先生、お坊さんで山科で安朱保育園という、ウェイティングリストができるような人気の保育園を運営されている先生がおられます。私みたいな素人の議論に付き合って下さる珍しい方なんですけど、2人で市営住宅のことを話していた時に、「京都で保育の仕事をしたいと思って、園に連絡してくれるような保母さん候補がいるとするやん。初めにどんな質問が来るかと言うと『社宅ありますか?』の次が『住宅手当は?』と来る。そんなに市営住宅が空いているならば…。現役の保母さんも保母さん候補もエッセンシャルワーカーの一員であるし、ケアギバーの一員でもあるわけで、彼らが園に近い、空いている市営住宅に市価よりも安い家賃で、社宅替わりには入れたらいいと思わへんか」と、そんな話をされました。こういう保育現場の団体の長の方が呟かれたことに対して、竹内局長はどう思われますか?
 

●エッセンシャルワーカーの方々にも、若者・子育て世代にも、これまでにない住まい方を

竹: これまた興味深いというか、前向きな提案だと受け止めています。市営住宅というのは、元々家にお困りの方のための住宅としてつくったものですから…。
絹: セイフティネット、福祉目的住宅だったのですよね。そもそもが。
竹: ですからそうした福祉目的の住宅、これはもちろん確保する必要があるのですが、ただ一方で今の23,000戸の中でそうした福祉目的で使う分を除いても、やはり現況で1,000戸くらいは市営住宅の本来の目的以外で使える余地があると見ています。そうしたところを、今おっしゃったようなエッセンシャルワーカーの方々のための住宅とか、先ほどご紹介した若い方、子育て世代向けの住宅とか、これまでにない新しい住まい方をして、せっかく市営住宅としてつくった建物があるわけですから、そこを徹底的に有効活用していきたいなと思います。貴重なご意見ありがとうございます。
 

●地域と入居者を結ぶ協定書を

絹: わあ、力強いコメント、ありがとうございました。で、プラスアルファ嶋本弘文先生と議論した続きがあります。
「ただ安く入れるだけじゃだめじゃないですか?」とこれは絹川くんの意見ですが、「公営住宅はどこも恐らくは高齢化が進んだりして、自治会運営がしんどくなったりしていますよね。ですからもし保母さんや看護婦さんだとか、介護職の方などがお入りになったら、それぞれお仕事はしんどいけれども、少しだけ地域のコミュニティに自分たちならこういう貢献ができますよみたいな、そういう一項が保育園連盟と京都市の間で協定書のような形で入り込むと素敵だと思われませんか」みたいな、いらん提案をしたんです。あるいは建設業の人間もエッセンシャルワーカーの端っこの方にいると僕は思いたいのです。というのは災害の時に出動したり、がけ崩れや大水の時に行ったりしますから。そういう職種の人たちも、職住近接で緊急出動しやすい京都市の内側の方にいてほしいなと思うんです。
で、そんな条件をつけて、各団体の長と京都市の市長さんなのか、副市長さんなのか、はたまた竹内局長なのか、協定の文書に調印がされました、新聞記者がフラッシュで、パシャパシャと撮っている場面を、僕は夢想をしております。
竹: 絹川さんの中で、もう話がどんどん進捗していますね(笑)。
絹: でもこれを実際に都市計画局の係長級の若手の耳元に「おっさん、こういう風に思うんやけど、なんとか頑張ってくれへん」みたいなつぶやきを続けております。だから竹内局長にこういうお話をして、実現にちょっとでも近づくとうれしいなと思っております。
 

■エピソード3 洛西“SAIKO”(さあ、いこう)プロジェクトとは

●実現する数々のプロジェクトを、一気呵成に進めます
絹: それから洛西ニュータウンでも何かやるぜみたいなことをチラッと先ほどの打ち合わせでおっしゃっていました。それについてもコメントをお願いしたいのですが。
竹: はい。洛西ニュータウン、それから洛西エリア、桂坂など洛西地域全体の未来をつくっていこうというので、「洛西“SAIKO”(さあ、いこう)プロジェクト」と銘打って、洛西の未来へ進んでいくプロジェクトを進めております。
絹: 最近の京都市のネーミングセンスがすごいブラッシュアップされているような気がしますが、気のせいでしょうか(笑)。
竹: やっぱり新しく、そして前向きに、そしてヒタむきに、京都市も進んでいこうということで、ネーミングなんかもこだわっています。
絹: こぼれ話というか、内緒話の1つですけど、行政の友人から、特に都計局の連中から聞きますと、プレゼン資料とか、パワーポイントのスライドをつくるでしょ?そしたら局長自ら手を入れられて、直されるそうです(笑)。ですから今の「洛西“SAIKO”(さあ、いこう)プロジェクト」、陰でネーミングを付けたのはこの方かもしれません。未確認情報でした(笑)。
竹: 「洛西“SAIKO”(さあ、いこう)プロジェクト」は違います(笑)。市の職員有志からの提案で、「これ、いいね」ということでみんなで決めたのがプロジェクト名です。「さあ、いこうプロジェクト」では、洛西のタウンセンターをもっと活性化しようとか、洛西の住み方を、もっといろんな若い方、子育てする方に住んでいただこう、市営住宅、府営住宅、それから戸建て住宅の所ももっと住みやすくなるような環境づくり、それから交通ネットワークについても、より使いやすい、皆さんにとって便利なネットワークにしていきたい。そんな諸々のプロジェクトを一気呵成に進めます。この夏にはこんなことをしますよというのを出して、いつからではなく、今からでもできることはどんどん進めて行く、要は実行型、アクション型のプロジェクトをまさに現在進行形で進めています。ご期待ください。
絹: 今年は実行段階だよと。プランだけの段階ではないよとおっしゃっています。期待しましょう。
先ほどのコメントの中に市営府営という言葉に引っかかったのですが、やはり洛西のなかにも府営もあるわけですね。ということは府市協調と、知事さんと市長さんがよくおっしゃいます。それが形になりそうな勢いです。夏以降、是非リスナーの皆さんもこの辺りにご注目願えればと思います。
        (京都市HP【広報資料】より)
 

●全国に先駆けたプロジェクト、注目しましょう!そしてご一緒に取り組みましょう!

絹: 今までお聞きになっていて、いかがでしたか?住みたくなる京都の町へ。「ヒタすら、ヒタむき」に応援します。これ、掛け声だけでは、どうやらなさそうです。我々京都市民の1人ひとりも京都市さんが都市計画局を中心にどういう風に実行段階に入られるのか、是非注目していただけませんか。そして自分なりに手伝えること、何かないのかなあと、僕がこのラジオを収録することを思い立ったのも、私がほんの少しだけお手伝いできることって、これくらいなんですよね。でも注目をすれば、京都市がどういう形で動いていくか、全国に先駆けた勇気ある作戦行動をとっていらっしゃることに気が付くことができるかもしれません。
最後にもう一回、竹内さん、何か思い残したこと、言い残したこと、ありませんか。
竹: はい、京都の千年の歴史というのは、やはりこの千年間にわたって、住んでいる方々がつくってきた歴史があって文化がある。今の我々はこの千年の歴史を受け継ぎながら、もう千年先の京都が京都で在り続けるように取り組んでいかねばならないと思っています。その千年先を見据えて、そして今日から始めること、明日から始めること、この一年でやること、そうしたことを市内にお住いの皆さん、あるいは会社の皆さんと一緒につくりあげていきたいと思っています。まちづくりというのは行政だけがやるものではなくて、みんなで全員野球で、みんなで話し合って進めて行くものだと思っています。皆さんからも是非どしどし提案をお寄せ下さい。
絹: 竹内さん、ありがとうございました。
竹: ありがとうございます。
絹: この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。
投稿日:2023/06/26

第186回 ・まちの同級生~「京都をつなげる30人」との出会いから…

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小: 小野寺 亮太 氏(京都市子ども若者はぐくみ局 子ども若者未来部育成推進課)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
          (小野寺 亮太 氏)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをお伝えしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト紹介です。お若い方に来ていただきました。“京都市子ども若者はぐくみ局”、変わった名前でしょ?京都市の中にはこういう局を担当している人たちがいるんです。“京都市子ども若者はぐくみ局”から小野寺亮太さんにお越しいただきました。小野寺さん、よろしくお願いします。
小: よろしくお願いします。
絹: 小野寺さんと僕の出会いは、ごくごく最近と言っても年末でしたかね。
小: 年末ですね。
絹: 年末にゲスト交渉に行ったら、産休に入ってしまって、しばらく連絡取れなかったんです。京都市の中でもこうやって、男性で産休を取って、昨日も電話したら在宅勤務でしたね。
小: そうなんです。育児をしながら仕事を頑張っています。
絹: 小野寺さんは、京都市の総合企画局の市民協働担当の相川さんという、市民協働ファシリテーターの元締めに近いところにおられる方にご紹介いただきました。この番組の第181回に熊切さんという方をゲストに「市民協働ファシリテーターってなに?~3人のファシリテーターに聴く」をオンエアしましたが、その時の熊切英司さんに続く、2人目のファシリテーターとして小野寺さんに来ていただきました。市民協働ファシリテーター、今、100何人でしたっけ?
小: 150人くらいです。
絹: その中で活きのいいのを3人くらい紹介してと頼んだんです。それでアドバンスドファシリテーターという仕組みもできてきたでしょ?熊切さんはそういう研修も受けていらっしゃいました。で、2人目として来ていただいた小野寺さんということで、是非リスナーの皆さん、ご期待ください。
さて、今日の番組タイトル、テーマです。「まちの同級生~京都をつなげる30人との出会いから…」と題してお送りいたします。先ほどゲストの小野寺さんと打ち合わせして決めました。小野寺さんの思いが入ったタイトルです。
 

■エピソード1 まちの同級生、京都をつなげる30人って、どういうこと?

●職業も年代も多様な30人が集まって…
小: 私は子ども若者はぐくみ局におりますが、今やっている仕事としては、京都市では青少年活動センターという中学生から30歳くらいまでの方たちの居場所を公的施設として持っておりまして、主にその担当と、成人式の担当をしております。
絹: 青少年活動センターは私もご縁がありまして、山科青少年活動センター(愛称:やませい)に時々行っていました。何年か前のゲストに大場さんと言うセンター長をお呼びして、山科子ども食堂ネットワーク構想について語っていただきました。そういう言わば若い人がたくさんいらっしゃるところですよね。それを7つ束ねる部署にいるのが、小野寺さんです。
小: そうです。今の仕事はそうなんですけど、今日のタイトルである「まちの同級生~つなげる30人」ということで、まずこれがなんぞやというところからお話したいと思います。これは市民、企業、行政、NPOから構成された約30人のまちづくりのプレイヤーが協働する、地域にイノベーションを起こすためのプログラムを繋げる30人となっています。
絹: いやあ、面白そうです。なんとなく想像できるのが、私のような初老のおっさんとかじいさんはメンバーとしては少なくて、ひょっとしたらメンバーは20代、30代、40代くらいまでの人が、30人の中に多そうな気がするなあみたいな、合ってます?
小: 意外に錦商店街のお偉いさんの方がいらっしゃったりとか…。
絹: おっさんもいはるんですか?
小: そうなんです。本当に年代も幅広く、学生の20代もいれば、60代のバリバリ働いておられる方もいらっしゃいますし、本当に多様なセクターの方から30人が集まりました。
 

●まちづくりのプレイヤーたちがイノベーションを起こす

絹: これは行政が声を掛けておられるんですね。
小: 行政と、京都市と連携協定を結んでいる“スローイノベーション”という、これも市民協働ファシリテーターの…。
絹: スローイノベーション、ゆっくりなイノベーション。ひょっとして京都市の行政マンだったけれど、飛び出しているような人が時々いるじゃない。何かそんな匂いがするけど、違います?
小: 違いますねえ(笑)。バリバリ民間の方々ですけど(笑)。スローなイノベーションを提唱されているんです。
絹: 中心人物はどなたですか。
小: 市民協働ファシリテーターの講師でもある野村さんという社長の方が、まちづくりのキープレイヤーとなる方たちを約30名集めて、色んな地域の課題や社会の課題を皆さんの強みを使いながら解決していこうというプログラムです。
絹: 京都をつなげる30人というプログラムは、もう何年か行われているようですね。
小: 僕が入ったのは3期なので、その時点で3年は続いていることになります。私の時は「脱炭素社会をいかに実現するか」みたいなテーマで色々動いたんです。脱炭素社会というと、すごく広い課題なのですが、それをもう少し市民目線に落とし込もうと、30人で対話を重ねながら「本当の課題って何なのだろう」みたいなのを突き詰める作業が、私にはすごく刺激的でした。
絹: まちの同級生というタイトルをお選びになったことからすると、京都をつなげる30人の3期生とのお付き合いが、ひょっとすると卒業しても未だに続いていそうな感じですね。
小: そうなんです。やっぱりそこで信頼関係というか、みんなを尊重しながら1つの課題に向かって走っていくという感じで、本当に仲良く、ざっくばらんに、心から話せる仲間になったような感じですね。
 

●京都市未来まちづくり100人委員会との共通点

絹: 以前、小野寺さんにもお話したことがあるかもしれませんが、私は10年以上前に、京都市の総合企画局が主管で“京都市未来まちづくり100人委員会”、一般の市民を無給で百数十名、土曜日の4~5時間、会議室に閉じ込めてこき使うというとんでもない委員会に所属しておりました。私勝手に自嘲的に「やらずぼったくり詐欺企画」というあだ名をつけてましたけど(笑)。本当に熱心に「京都のために汗をかいてもいいよ」「自分の知恵を持って行ってもいいよ」という人たちがどっと集まっていた、そういう仕組みがあるんですね。僕は1期から3期まで。で、後で聞いたら小野寺さんは4期生だと。
小: そうなんです。そんな繋がりもあって。
絹: 確か7期で発展的解消ですね。で、その時の香りがこの「京都をつなげる30人」というのと、結構だぶっているような気がします。
小: まさしくだぶっていますし、より具体化したようなイベントでもありますね。
絹: ですから100人委員会で醸成された、得られた経験値だとか、ノウハウをさらに30人というところに凝縮して、100人委員会よりもひょっとしたら進化版みたいな気がします。
 

●トートひろばでのイベント

小: まさにそんなイメージです。今回私は阪急・阪神さんと同じチームで、インフラもお持ちで、そこでイベントをさせてもらうことができたのですが、30人の知恵をそのイベントに凝縮させたみたいなことができて…。
絹: その阪急・阪神さんと組んだイベント、内容を聞きたいですね!
小: 阪急洛西口の高架下に“トートひろば”というイベントスペースがあるんです。
絹: どんな字を書くんですか?
小: カタカナで「トート」、英語なら“TauT”で、Tが高架下みたいな格好になっているわけです。そこは色んなイベントをされていて、イベントを通じて地域を活性化していこうみたいな、そういう思いをお持ちだったのです。今回「脱炭素」ということがテーマでしたが、「脱炭素って、わかりにくいよね」という話がみんなの中であって、環境にいいこととか、地球にやさしいって、どんなことなんだろうみたいなことに落とし込んでいったんです。
まず環境にやさしいことを実感してもらうきっかけをつくるようなイベントをしたらいいんじゃないかという話になって、いろんな切り口からブースを出して、イベントをやりました。
絹: ブースを出すというと、何か学園祭みたいなノリをつい想像してしまいますが、あるいは手作り市とかね。何かトートひろばでまちの学園祭とか、手作り市っぽいイベントが高架下に現れたんでしょうか。
 

●脱炭素を具体に落とし込む

小: 手作りっぽい物もありますね。例えば古着を売るイベントをやったりとか、それも環境にやさしいことだし、あとはリユース食器を使って食品を提供したり。さらに人力で発電するもので、「電力を生むのにこんなにパワーがいるんだ」みたいなことを子どもたちに知ってもらったりとか、本当に様々な切り口で、「環境にやさしいことって、こういうことにも繋がっているんだ」と実感してもらう、そういうイベントでしたね。
絹: 体を使うこととか、古着を見直して、作られ命を得たものを大切に使おうよみたいな、いいですねえ。リユース食器なんかも、ひょっとしたら本当にじゃまくさいことかもしれないけれども、それでもちょっとこだわりたいみたいな形でやられるとね。
ただ、あんまりこういう発言をしない方がいいのかなとも思いますが、僕、脱炭素というと否定的な感覚もどこかにあって、利権に繋がる脱炭素とかSDGSとかいうことを、「うさんくさ」と思う絹川くんもいて…、でも本当にまじめに取り組んでいらっしゃる方たちとそういうものを分けて考えないといけないなと思いつつ、僕実はSDGSのバッジ付けている人、嫌いなんです(笑)。
小: そうなんですか(笑)。でも結構いますよね。
絹: そうなんです。ただ脱炭素ということから、リユース食器だとか、本当に電気を人力で起こそうとするとすごいパワーが要るので、電気はこんなに大切なんだねとか、古着を大事に着ようねみたいなことに、一段分解していただくと、僕にとってはうさん臭くなくなるんです。
小: ほんとですか(笑)。まさにそういうふうに落とし込んでいかないと、人の選択って変わって行かないよねみたいな話が出ましたね。
絹: 上滑りで世論誘導をされて、「ビジネスチャンスに結び付けよう」だとか、「公金チューチュー」って、この頃ネットで流行っている言葉がないですか?地域課題を解決するためではなく、どなたかの懐が豊かになるために助成金を使おうという人たちが世の中にゼロではないので、そういう匂いにはちょっと私は今過敏になっています。
小: 実際に人が動く動機って、やはり納得性や共感だと思うのですが、そういう意味で対話を重ねることによってどうやって共感が得られるのか、動く動機になるのかというのを、30人でとことん話し合いました。
 

●環境と経済はどう成り立つのか - 電力会社の玉石混交

絹: トートひろばでは、どんなブースでどんなことをやったのか、もう少し教えていただけますか。
小: ブースもそうなのですが、環境と経済がどうやったら成り立つのかというトークセッションをみんなでしました。ゲストにテラエナジーさんという、お寺で電力会社を立ち上げた方がいらっしゃるのですが、なぜ立ち上げたのか、今どういうふうな世の中を目指しているのかという話をみんなで共有しながら…。
絹: テラエナジーさんみたいな感じでやられる方々はなんかすごいなとか、尊敬できるのですが、なかには山の中でメガソーラーなどをやって、土砂崩れを起こしているようなところもあって、似ているけど違うという感覚がしますよね。「後はどうなってもいい」という企業群とテラエナジーさんは行動形態は似ているけれども、似て非なるものだと、その辺がトートひろばで集まって来られた方に肌感覚で伝わるといいですよね。
小: そうなんです。本当に電力を替えるだけで環境に良くなるというところもあって、人の選択1つひとつが世の中を良くしていくんだというふうになっていけばいいなと。
絹: 玉石混交で実は難しいんですけど、色んな情報公開がされてないようですから。すみません、いらん突っ込みを入れてしまいました。
 

●まちの同級生との出会いが私の糧に

小: そうやって対話をしながら、まちの同級生ができた。そういう信頼ができる関係づくりができたというのが、私の糧になっています。
絹: 30人おられたら、本当に色んな専門家が集まられたでしょうねえ。年齢構成も縦にバラエティに富んでいるとおっしゃいましたから。
小: ですから普段の仕事では出会えないような方たちと出会えたということが、私の財産になっているなという感じですね。
絹: 今、パッと代表的にまちの同級生として出会った方のなかで、固有名詞ありで「この人、面白いねん」という人、例示できます?
小: それで言うと、“なんかしたい”さんという合同会社があるんですけど、学習支援をやられている起業家で、それも塾みたいな感じですが、塾を通じて子どもの居場所になっていたり、色んな悩み相談を受けたり、親同士の居場所になっていたりとか…。
絹: おいくつくらいの方ですか?
小: 私よりちょっと上くらいですかねえ。
絹: と言うと?
小: 30代半ばくらいだと思います。
絹: この辺の30代真ん中±アルファくらい、どうやらすごい手練れが集まってそうな年代です。私は60代半ばくらいですが、若い時、「儲けてなんぼ」みたいな教育を受けたじゃないですか。心の中で「世のため人のため」とかって思う部分がないわけじゃないですが、昭和育ちは恥ずかしくてそんなことは言わないわけです(笑)。「まず社員食わせてなんぼや!」みたいな。ところが今、20代30代の人たちは当たり前に世のため地域のためにということを、最初からさらっと言う人、多くなってません?
小: あ、多いですね。
 

●サードプレイスという居場所が、今、求められています

絹: だからやっぱりジェネレーションと言うか、人種が変っている気がします。その “なんかしたいねん”合同会社ですか?子どもの居場所であり、親の居場所でもあるって言うでしょ。私も実はその居場所というキーワードを長年追いかけておりまして、サードプレイス、まちの縁側、地域の居場所というのを尋ね歩いていた時期もあります。
そういう居場所が、例えば小学校区にいくつかあったら、それがあるだけでその場所の地縁が良くなったり、地域の課題が少し減る気がしますので、すごいなあと思って、居場所という言葉がパッと出てくるなんて。
小: 私の仕事にも関わって来るのですが、学校でもない、家庭でもない、まさにサードプレイスという居場所は、世の中に求められているなというのは感じますね。
絹: 私自身が子どもの頃からでしょうか、人と人との繋がりを切る方向、分断される方向のベクトルで育てられたという気がしていましてね。今の若い人たちは我々の世代がチョキンチョキン切って来たものを、もう一回繋ぎなおす世代かもしれないという仮説を、私は今持っているんです。
 

■エピソード2 子どももまちの同級生

●「こども基本法」のこと
小: この4月に「こども基本法」という法律が施行されました。
絹: あまり詳しくないのですが、色んな物事を決めていく時に、当事者である子どもの声もちゃんと拾おうぜみたいな、すごい法律らしいですね。
小: そうなんです。これで本当に世の中が変わるなと思っています。国の方も「こどもまんなか社会」と言っていますが、子どもを軸に色んな政策や取組みを進めて行くことが、ほぼ義務付けられてきたということです。
絹: 昨日もお電話で突っ込んでしまいましたけど、理念としては素晴らしいと。でも実際にやるのに、子どもの声を拾うのって、すごい腕が要るんと違いますかと。ということを小野寺さんに議論をふっかけていましたけど(笑)。
小: 本当にそうで、こどもは社会的弱者であるので、そういう人の声を聞くというのはやはり大人側の知性が求められるのかなと。
絹: 知性とともに、場づくりという言葉がありますけど、こどもたちがこの場は安全なんだと、自分の思いを開陳してもいいんだという信用してもらう場をつくれる大人サイド、これはものすごく高度な、敢えてファシリテーションという言葉を使うと、ファシリテーター研修を受けてこられた小野寺さんたちにとっても、これは腕利きじゃないとなかなかできない技でしょう。
小: まさしくそうです。ですから市民協働ファシリテーターのさらにプラスアルファで子ども若者向けのスキルというのは、今後身に着けていかねばならないなと思っています。
絹: そういう研修を受けたりしている行政マンが、特に若い人で育ってくると、世の中変えちゃいそうな気がしますよね。だから小野寺さんみたいな人に「ゲストに来て!」と言って呼んだりするんでしょうね(笑)。
 

●子どもと対等に意見を言い合える関係を

小: 子どもの声を聞く、聞かせる、言わせるというのはナンセンスかなと思っていて、子どもも大人と一緒でまちづくりのパートナーであると認識することで、言わせるだけじゃなくて、子どもと対等に意見を言い合えるような関係になっていくと、僕は理想かなと思っています。まさに子どももまちの同級生だよというふうに思って、これからそういう場をつくっていけたらうれしいなと思っています。
絹: なんか落としどころがばっちり落ちてきましたね(笑)。
市民参加だとか、市民協働というキーワードが京都市の中で語られるようになってだいぶ経ちます。でもワークショップや場づくりを行って市民の声を広く聴きましょうというのが、時が経つにつれてアリバイのようになってしまった。つまりワークショップというタイトルがつくのをやっておけばいいみたいな間違った流れが、一時的に現出していたことも記憶しています。その反省からもう一度魂を入れ直そうとして、市民協働ファシリテーター研修のような制度が6期にわたって行われ、小野寺さんのような方たちが今育ち始めていると、オールドファシリテーター世代と言いますか、一期生の研修を受けていた頃の自分は、今感じています。
聞くにつけ、ものすごく高度なことを国は意識し始めて、小野寺さんの言葉を借りれば「こどももまちの同級生」。これ、さらっと言っちゃったけど、ものすごい難しいことを標榜されていると私は感じています。ということで、市民協働ファシリテーター研修を受けた6期生の100数十名の人たちがそろそろまちに出始めるのではないかと思っています。色んな所で関わって、場をつくって、声を拾って、新しい地域課題解決に向け動かれることに、もし気づかれた方はトントンと肩を叩かれるなり、そばににじり寄っていただけたら最高です。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。
投稿日:2023/05/31

第185回 ・京都の歴史的な転換点!これまでにない発想で全国初だらけ~坂越 健一副市長に聴く

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坂: 坂越 健一 氏(京都市 副市長)
西: 西島 優希 氏(京都市 総合企画局 市長公室 副市長担当秘書)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
       (左:西島 優希 氏  右:坂越 健一 氏)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをお伝えしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト紹介ですが、珍しくビッグゲストをお招きしております。我が番組初でございます。京都市の副市長であらせられる坂越さんです。大緊張しながらですけれども、すごく気さくな方でしゃべってくださいますので、皆さまご期待ください。
そして坂越副市長に無理やり拉致されて、連れてこられた同行秘書さんがおられます。西ちゃんこと西島優希さん、どうぞ。
西: よろしくお願いいたします。恐れ多いのですが、おじゃまさせてもらっています(笑)。すみません。お願いいたします。
絹: 坂越健一さんと番組のスケジュール調整するのに、秘書の西島優希さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。
さあ、それでは副市長、今日の番組タイトル。
坂: はい。初めてづくしでしょ?
絹: いただいたやつ、言いますね。「京都の歴史的な転換点!これまでにない発想で全国初だらけ~坂越健一副市長に聴く」と題してお送りいたします。全国初だらけって、期待の持てるキーワードでございます。リスナーの皆さん、ご期待ください。
さてここで、坂越健一京都市副市長について少しご紹介をさせてください。令和4年の7月1日に、京都市に着任されました。生年月日は昭和47年、僕、東大法学部を卒業している人って、友達少ないんです。知り合いでは初めてかもしれません。同級生の中で一人だけ。
坂: そうですか。
絹: 経歴を全部言うと大変なので、旧自治省、現総務省の採用で、やはり中央の方なのであちこち動いておられますが、総務省の本省だけでなくて、長崎県にご出向になっていたりします。噂では「総務省のエース」と、市役所の知り合いはつぶやいておりました。
それからリスナーの皆さんにどのような方か想像していただくために、エピソードを2つだけ入れさせてください。
ねえ、西島さん、車で移動されるでしょ。あちこちね。そしたら「次の週末どこ行こう?」と相談されるそうですね。それ、事実ですか?
西: そうですね。この前も桜の時期でしたので、清水寺きれいだなというお話だとか、「今日、行ってみようかな」というお話だとか、よく車中でいろんな京都の…。
絹: それがただ行くのではなくて、ママチャリでどこでも行かはる人らしいですね。
坂: はい、京北まで行きました。
絹: それ、危ない。雪降っていたら危ないって、止められたんじゃないですか。
坂: 娘が受験だったので、ここで京北まで自分がチャリで行ったら娘が合格すると思ったので行ったんです。
絹: あ、願掛けじゃないですか。それ。
坂: はい。ちなみに鈴虫寺のわらじ地蔵も3回行ってますからね。それも娘の受験ために行きました。ちなみに鞍馬も2回行ってます。ママチャリで。巨椋池も行ってますよ。
絹: お尻擦りむけませんか(笑)。
坂: でも仕事も兼ねてというのも多いんです。仕事と言うか、自分の知見を増やすために。
絹: ご着任以来、やはり京都の色んな所を見て歩いてというところが、きっと背景にあるはずです。冗談めかしておっしゃっていますが。それと覚えておいてくださいね。「娘の願掛けで行った」と。
坂: 合格しなかったですけど(笑)。
絹: こういう人です(笑)。それではこの辺りで主人公にご登場いただいて、マイクの主導権を坂越副市長にお渡ししたいと思います。
 

■初めてづくしの政策 その1 ― 文化首都 京都へ

●明治初期の心意気を、ふたたび
坂: 今日お伝えしたいのは、今、京都が歴史的な転換点を迎えているということです。その歴史的な転換になるような政策を全国初づくしというご紹介がありましたが、初づくしの政策を5つくらい、最近導入しましたので、それをご紹介させていただきたいと思います。
絹: 是非、リスナーの皆さんにできれば専門用語は減らしていただいて、平仮名でお願いいたします。
坂: 例えば京都の歴史、皆さんご存知の通り、明治維新があった時に、天皇陛下が東京に行かれて…。
絹: 「ちょっと行ってくるわ」で、帰ってきはらへんかったんですね。
坂: あの時に人口が3分の2に減ったんですね。34万人から23万人になったんです。その時に行政も町衆の地域コミュニティも、経済界もみんな頑張って京都の再興のためにいろんなことをされたんです。例えば琵琶湖疎水とか、平安神宮をつくったり、路面電車をつくったり、水力発電をやったりとか。なんといっても日本で最初の学校を、皆さんの竈金で64校つくったわけです。
絹: 番組小学校ですね。
坂: はい、それで京都がここまで発展する礎になったのですが、それ以来の転換期と言ったら大げさかもしれませんが、それくらい重要な節目かなと思っているので、今日は5つの我々がやったことについてご紹介したいと思います。
ここで重要なのは行政だけでやってはだめで、明治初期のように、みんながそれぞれの業界みんなが一緒になってがんばるというのがすごく重要なのかなと思って、それを今日はお伝えしたいし、お願いしたいなと思ってまいりました。
絹: はい、望むところでございます。
 

●文化庁が京都に来たからこそ…

坂: まず1つ目は、明治以来初の中央省庁の移転、文化庁が来ましたね、先月。これは我々がやったというより、皆さんが一生懸命頑張っていただいて、熱意で要望したから実現したのだと思いますが、文化庁が移転したらそれでいいというわけではなくて、やはりここで京都に来たからこそ、日本の文化が世界に発信力が高まったという形にもっていかなければならないと思っています。そのためには我々も地域の皆さんもできることはできる限りやらなくてはならないと思っています。例えばこの10月に芸大が京都の東に移転します。またその南の所には有名なチームラボというデジタルアーツの企業が引っ越してきます。ニューヨークからスーパーブルーというのが来ますけれども。このように文化庁の移転を契機に文化首都としての京都というのを、名実ともに皆で頑張って確立していく必要があるというのが1点目です。
 
  (京都市HPより 文化庁京都庁舎除幕式(令和5年3月27日)の様子)
 

●例えばこんな活動がしたい…

絹: 文化庁が来たからそれで済むんじゃないよと。みんなもできることをやってねとおっしゃいました。めちゃくちゃ大事なポイントだと思います。
実は先日、私の知り合いで「祭礼における甲冑文化研究会(略称:祭甲会)」の人たちが先日うちに来まして、「昔の祇園祭の古い絵には祇園祭の先導に武者の甲冑行列が描かれているんです」という話をしてくれました。その人たちは古い甲冑の修復などを生業とする方で、自分たちは古い甲冑をきれいに修復して保存して展示はされているけれども、使えてない。また昔のように祇園祭の行列を先導できるよう、市民たちで盛り上げる活動がしたいので、文化庁に相談しに行きたいとのことでした。
坂: ああ、いいですねえ。
絹: 例えばそういうことですよね。
坂: そういうことです。わかりやすくていいですねえ。
 

■初めてづくしの政策 その2 ― 財政収支の均衡化

●22年ぶりに財政収支を均衡させました
坂: 次、2点目は京都市の財政が悪いのではないかという話が全国的に有名になり、皆さんにだいぶご心配をおかけしましたが、これを22年ぶりに今回の予算で財政収支を均衡させました。実に22年ぶりで、ずっと厳しい状況が21年間続いてきたのですが、収支を均衡させたことにより、これからは生活を豊かにするとか、市政を発展させていくための財源を生み出すことができるようになります。まだまだこの先厳しい状況は続くとは思いますが、非常に大きなステップになるかなと思っています。
これについては結構批判もあって…。
絹: 今朝の京都新聞でも、「こんなん記事にせんでも」というようなコメントがありましたよね。
坂: 色んな批判があって、例えば昨夜の批判を上げますと「それ、たまたまでしょ。偶然なんじゃないですか?ラッキーだっただけじゃないですか」と。あとよくあるのが、「今年たまたま良くて、来年またダメなんじゃないですか。一時的なものなんじゃないですか」と。
絹: それと誇大広告みたいなことを言う人がいましたね。あれはショックでしたよ。
坂: 「ほんとは危機じゃないのに、わざと危機だと言ってただけじゃないんですか」とか。これ、全部違いますので。全く違います。
 

●様々なご批判はありましたが、ご安心ください

絹: 少なくともこの人は副市長さんですから、一番よく知っていますよ。
坂: かつ、財政に関しては、全国トップ5に入るくらい詳しい自信がありますが、本当に無理していなくて、客観的に言った話なので、これはもう色んな批判がありますが、全て全然違いますので。
絹: 的外れな批判だよと。
坂: はい。1つひとつ説明できますが、時間もないし、難しくなりますから、ここでは説明しませんけど、ご安心頂ければと思います。
 
 
 
(京都市HPより きょうと市民しんぶん令和5年3月1日号 財政状況記事抜)
絹: 本当にうれしい、ホッとしました。本当に頑張って下さって、僕、建設局の仕事をするじゃないですか。「いっぱいインフラだとか市民の安心安全にかかわる所をなんとか苦労して確保していただいた、うれしい!」という声が建設局の連中から聞こえましたね。
坂: ありがとうございます。
絹: それと全国的な話で恐縮ですけれども、国債の何十年償還ルールって、あるんでしょ?「あれが諸悪の根源だ」と怒鳴っている人もいて、「あの償還ルールを緩めたり、なくしたりしたら、地方自治体の財政がコロッと楽になるかもしれない」なんていう理論を述べていらっしゃる市井の徒もおられました。はい、いらんつぶやきでございました(笑)。次どうぞ!
 

■初めてづくしの政策 その3 ― 都市計画の見直し

●若者世代の流出
坂: はい(笑)。次が一番重要かもしれないですけれど、歴史的な転換となる政策の3つ目です。15年ぶりに都市計画の見直しを行いました。
今、京都が抱えている一番大きな問題の1つが、人口減少や若者世代が少なくなっているということです。その背景としてよく言われているのが、結婚したり子どもができた場合に、家を持とうとしたら、京都は高すぎて住めないので、大津や長岡京や宇治などに行ってしまうという問題と、もう1つは学生さんがものすごく多くて、人口の1割というのは全国トップ、最大なのですが、学生は7割が外から来るのですが、就職する時は学生の8割が外で就職する。京都で就職しないんです。
絹: 京都に残って仕事をしてよということですね。
 

●京都の魅力の表裏

坂: その2つが問題で、人口減少が生じています。これをなんとかしたいと考えました。この背景として、京都は日本一、世界一人気があって、この3月4月の人出を見れば皆さんご承知の通りです。ものすごい人気なのに、なぜ人口減少するのかと言うと、京都の魅力の裏表ではあるかもしれませんが、住宅不足、産業用地不足、雇用不足、スペース不足ということが背景にあるのです。それはやはり高さ規制とか、景観を守るために厳しい建築規制をしてきたというなかの裏表だと思います。これを何とかしたいと思って、15年ぶりの大胆な都市計画の見直しを行うということです。
ただ、一律になんでもかんでも規制緩和するわけではありません。東山や北山、田の字や駅北など、景観で重要な所は触らないです。その周辺の駅の南や『らくなん新都』、山科や西院や西大路の辺りなどの周辺部分に関して規制を緩やかにしようということです。
絹: 勇気のある決断だと思います。
(京都市HPより 【広報資料】「みんなが暮らしやすい魅力と活力のあるまち」の実現に向けた都市計画の見直しについて)
 

●今後は全力で企業誘致に取り組みます

坂: これはなかなかできなかったんです。これは何十年ぶりの政策になります。これによって産業用地とか住宅用地、不足していた用地がある程度供給することができると考えております。
他の自治体はどこも企業誘致まっしぐらでみんな必死になっているのですが、なかなかうまくいっていません。一方、京都はこれまで企業誘致にあまり力を入れることができなかった。なぜかと言うと誘致しようにも産業用地、つまりは立地する場所がなかったら、誘致しようがないわけです。それであまり力を入れてこれなかったんです。
絹: リスナーの皆さん、お気づきですか?坂越さん、今思いっきり力が入っています。本当にこれ、大事です。
坂: ですからこの何十年ぶりの都市計画の見直しによって、今まで最大の課題とされてきた産業用地不足が、解決するんです。だからこそ、今まであまり力を入れて来られなかった企業誘致に全力で取り組んでいこうと新しいポストをつくりました。企業誘致専門ポストをつくって、首都圏や色んな所に行ってもらって、直接営業活動をしてもらおうと考えたわけです。
絹: トップ営業ですね?
坂: そうです。京都は1200年以上、都だったので、経済も人も物もお金も集まって来ていたのですが、外需の取込みというのは少し弱いところがあって、そんなに積極的ではありませんでした。でもここはもう大転換して、取り込めるものはどんどん取り込んでいこうと思っております。
絹: 私の言葉で、素人が超翻訳をいたしますと、「もうええかっこしてへんで。やるねん。」と(笑)。さっきコメントでありましたね。芸大の近くに例えば「チームラボって、知ってる?」って。「スーパーブルー、すごいところが既に来るよ」とおっしゃっていました。
 

●ディベロッパーにもどんどん営業をかけます

坂: ということで、企業誘致にも力を入れていきます。それから都市計画の見直しって、絹川さんのような建設会社が、ディベロッパーがマンションを建ててくれないと住居は提供されないので、そういう意味でディベロッパーにも営業を一生懸命かけようということで、ここも新しいポストをつくったんです。国土交通省からエースをこの4月1日に呼んできましたので…。
絹: あ、竹内局長がおっしゃっていました。あの方ですね。
坂: はい、堀崎さんです。今度ここに、私の次のゲストは竹内さんと決まっているようですから、次の次にでも呼んでやっていただければと思いますが(笑)。
絹: リスナーの皆さん、ゲストからゲストの逆指名が今、ありました(笑)。
坂: それが3つ目です。あと2つ説明しなくちゃいけないので…。
 

■初めてづくしの政策 その4 ― 住宅政策の先駆け

●空き家税の導入
坂: 歴史的な大転換となる政策の4つ目ですけど、全国初の住宅政策です。まずだいぶ有名になりましたが、空き家税です。空き家税は先月、総務大臣から同意をもらって導入されることが決定されました。これはNHKの全国ニュースでも、全国紙でもかなり取り上げられて、随分注目されています。こんなことができると思わなかったと、かなりの問い合わせが来ております。空き家対策というのは、国家の最大課題になっていて、他の所ではなかなか手が付けられない話だったのですが、画期的な税を導入することになりました。
空き家は放置しておいてもペナルティがかからないのに対して、空き家を解体して更地にすると固定資産税が6倍になるという制度なので、みんなが放置してきたわけです。それが空き家対策の一番根幹的な問題だったのですが、この空き家税によって放置しておくと固定資産税が1.5倍くらいかかるようになります。それならばさっさと売りましょうとか貸しましょうとか活用しないとダメだなとみんなが思うようになるだろうと。これはみんな同じように思うから、全国から問い合わせが来たり、全国紙が書いたり、NHKも報道したりしているわけですが、それほど画期的な税なのです。
絹: 我々、建設産業に属する者としては、何か背中を押していただいているような気がいたします。
坂: これはすごい税だと思います。
絹: 地元の建設産業にかかる者としての次の注意は、せっかくそうやって背中を押していただいているのなら、地域課題を解決するような、地域に資するような、そういうプロジェクトをみんなで考えようよと持っていかねばいけないですね。
坂: これによって用地の供給や空き家の供給だとかはされますので、住宅不足解決にはかなり大きな効果をよぶことは間違いないです。
 
 
(京都市HPより 【周知リーフレット】非居住住宅利活用促進税の概要について)
 

●市営住宅を所得制限なしで若者世代に供給します

坂: それからもう1つ、これも全国初の住宅政策を導入するのですが、市営住宅が今、23,000ありますが、うち空き住戸が6,000です。その空き住戸を活用して、若い世代に所得制限なしで低廉な家賃で若い世代に供給していこうと。
絹: 待ってました!
坂: これを専門用語で市営住宅目的外使用許可という制度なのですが、どこもやれていません。むずかしくてできないんです。それを京都が初めてやります。これは国の方にもそういう動きは察知されて、国の方で「そんなことできるんだ!」みたいな感じで先月3月31日に取りまとめられた子育て世代対策のなかに盛り込まれました。ただその導入はまだ先で、京都の方が先に今からやりますので、それほどこれもすごい政策なんです。
何がすごいかって、市営住宅の6,000戸の空き住戸を使って若者世代に低廉で入っていただきますので、これはもう、ファミリー層への手ごろな住宅の供給ということに大きく資すると思います。やっぱり京都のすごいところは、そういう風に全国的な課題について一番最初に取り組んでいるものが多い。だから全国初だらけなんです。それでみんなまねようとするんです。国さえもまねようとしています。それはやっぱり我々もやりがいがありますし、これからもそういう風なことをやっていかなくちゃいけないなと思っています。
 

■初めてづくしの政策 その5 ― 全国トップ水準の子育て環境・教育

子ども医療費200円中学校給食保育料全国基準の7割
坂: 最後もう1個は、住宅政策や都市計画もいいけれども、子育て環境や教育も伴わないと若い人は住めませんよと。それはもちろんわかっています。ものすごく画期的な政策をやることにしていまして、それが子ども医療費200円を上限に、小学校6年生まで導入というものです。これは市町村ではあるかもしれませんが、政令市ではトップレベルです。だからこれはすごいことなんです。
それから中学校も全員に給食を導入します。清水の舞台から飛び降りて、やることにしました。
さらに保育料も、全国の国の基準の7割という、すごく低いレベルに抑えているのですが、これを今後も継続してくことも、今回決めましたので、この3つはかなり大きな話です。
絹: ほう、勇気ある決断だあ。
坂: 子育てについては色々言われていますが、数字だけ見て頂いたら明らかなのですが、全国トップ水準であることは間違いないです。教育も子育ても。教育は少人数学級をやっていて、小学校は学力テストの成績が政令市1位です。堀川の奇跡と言われる堀川高校もありますし、西京高校もある。学力は京都は非常に高いんです。それから子育てに関しても、単独の補助金で50億円投入していて、全国トップ水準です。これだけやっていると、結局何ができるかと言うと、保育士さんの平均給与は全国平均より100万円以上高いんです。
絹: この事実、すごいです。
坂: 人数も国基準の1.3倍で非常に高いレベルなんです。保育料は国基準の7割、非常に低い。これら全部まとめたら、全国トップ水準なんです。教育も子育ても。それをさらに今回磨きをかけて子ども医療費を200円、中学校給食と画期的な政策を導入しますので、これはもう本当に自信をもっておすすめできると思います。子育て環境と教育ですね。以上、5つご紹介いたしましたので、全国初づくし(笑)!
絹: 打ち合わせ通り、ぴったり時間内に収めていただきました。ものすごい勢いでしゃべられました。
今日、お聞きになっていかがでしたでしょうか。総務省のエース、副市長として7月に着任された坂越さん、あつく語っていただきました。坂越健一さんでした。
こうやって現場に近いというか、京都市の中枢に近い人の声を生で聞いて、信用できると思った人、ちゃんと調べてくださいね。そして自分ができることは、この次に必ず来ます。我々も京都市の中枢の皆さんに協力してできることを考えてみませんか。ということで終わりです。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。
坂越さん、西ちゃん、ありがとうございました。
坂: ありがとうございました。楽しかったです。
西: ありがとうございました。
投稿日:2023/04/13

第183回 ・府営住宅とあなたの夢がマッチング~若者の視点からひもとく空き家活用 地域課題に挑戦する人を求む!

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西: 西島 良輔 氏(京都府建設交通部住宅課管理・調整係 主事)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
      (西島 良輔 氏)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをお伝えしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、今日はお若いゲスト(もちろん私に比べてということですが)をお迎えしております。京都府建設交通部住宅課主事という肩書の西島良輔さんです。西島さん、よろしくお願いします。
西: よろしくお願いいたします。
絹: なんとなんと、三十路になられたところという方でございます。
西: 三日前くらいにちょうど誕生日を迎えまして(笑)。
絹: 結構若い方のゲストですね。私がもう還暦過ぎですので半分以下です。西島良輔さんとの出会いは最近で、京都府建設交通部の中島さんという副部長、圧の非常に強い上司(笑)から「紹介するわ!」と紹介されたのが西島さんでした。
おいおい紹介していきますが、この度京都府さんは大変勇気のある、というか面白い仕事をされました。建設交通部の住宅課の連中、具体的に言うと西島さんたちですよね?
西: ありがとうございます(笑)。
絹: 西島さんたちが面白い仕事をされました。そのことを僕は実は感動して眺めておりましたので、それについて語っていただきます。
さて、今日の番組タイトル、西島さんにお願いしましょうか。
西: 申し上げさせていただきます。「府営団地とあなたの夢がマッチング、若者の視点からひもとく空き家活用」。
絹: ではもう一回、僕が言いますね。「府営団地とあなたの夢がマッチング?~若者の視点からひもとく空き家活用」というタイトルでお送りします。
まず、これはもう公式の公開情報ですけど、手元に資料があります。カタく言いますと「京都府府営住宅ストック公民連携活用事業」が正式なタイトルです。これを絹川くんなりに、ひらがなで超訳を試みます。間違っていたら訂正してくださいね。
西: ありがとうございます。
絹: 「活用できる府営住宅ストック」、これ要は「府営住宅の中でどれだけ空き家があるのか」ということです。京都府にはだいたい2年以上、応募がなくて、空いたままの住戸のある府営住宅が52団地あるそうです。「その中で726室が空いていて、これを何とか料理したい。民間の皆さん、知恵ある人は寄ってくれ!」と大きな声で、京都府の建設交通部の住宅課の皆さんが声を上げました。これ、僕なりの超訳ですが、どうですか?
西: もうお見込みの通りでございます。
絹: それでは今度は主人公であります西島さんの口から、制度概要とか事業概要、そもそもこれって何?というのを、ご説明していただけますか。
 

■エピソード1 府営住宅ストック活用事業とは、こういうことです

●府営住宅ストックを社会課題の解決に役立てたい
西: では若者の視点から、ちょっと柔軟にご説明させていただければと思います。今回の事業は、簡単に申し上げると、長期間応募がなかった府営住宅の空き住戸を、社会課題の解決に取り組む事業者様や各種団体の皆様に提供するものです。皆さまのノウハウや柔軟なアイデアを取り入れた利活用案をどんどん提案いただきたいと考えております。
絹: 社会課題の解決と言いますと、具体的に言いますと、何か地域の困りごと、「こうなったらええのにな、ああなったらええのにな」ということですね。例えば?
西: それこそ地域活性化、地域の魅力に繋がるような情報の発信をしていただけるような利活用であったり…。
絹: 例えば「子ども食堂をしたいんですけど、場所ないんです」「町内会の会議する場所ないけど、使えませんか」こんなのもアリですか?
西: もちろん、アリでございます。
 

●利活用の目的の縛りをかなり取っ払いました!

絹: リスナーの皆さん、例えばこういう私の思い付きで西島さんに「こんなんアリ?」と聞いたら即答が返ってきましたね。結構広いですねえ。
西: そうです。幅広に利活用の目的の縛りを取っ払っておりまして、店舗を含め営利目的の利用でも問題ありません。ただし営利目的の利用の場合は、使用料を通常の5倍いただくことになることだけご注意下さい。
絹: 皆さん聞かれましたよね、ここに京都府の狙いがそこはかとなく感じられます。できれば営利事業よりも、社会課題解決型の地域の困りごとに役立つものの方にたくさん来てほしい。でも営利事業であってもそれは別に「来るなとは言いません」と、こんな感じですよね。
西: 基本的に目的自体は何でも来てもらっても問題はありませんし…
絹: あ、ちょっと今のは超訳が過ぎて、誤訳になりましたね(笑)。すみません。だから縛りはないと。アイデア持っておいでと。協力するよという感じですね。
西: はい。今回の事業目的としましては、これは全国共通の課題となっているのですが、公営住宅は募集しても応募がない状況が増加傾向にあります。加えて入居者の高齢化が進み、コミュニティの力が弱くなっていることから、自治会の活動が思うようにできなくなっているという声が寄せられています。
絹: ここですよね。公営住宅でも空き室・空き家が増加傾向にありと。だいたいバクっと言うと、52団地で京都府さんが管理されている部屋は何万室くらいでしたっけ?
西: 127団地、14843戸を京都府は府営住宅として管理しております。
絹: ごめんなさい、僕間違って説明していました。全部で52団地だと思っていたんです。それは空き室が2年以上空いている所が52団地あると。
西: そういうことです。
 
          (京都府HPより 募集住戸一覧)
 

●空家率4.8%、住民の高齢化が進み、コミュニティの力が弱まってきて…

絹: それでだいたい空き家率は何%くらいなのでしょう。空き家が726戸とおっしゃってましたよね、5%ということですか。
西: そうですね、4.8%ほどが空き家になっております。
絹: 結構な数ですね。
西: 先ほど申し上げたような課題を何とか解決するためになんとか良いアイデアはないかと考えた結果、府営住宅の空き家を若い世代の方々に利活用してもらおうと思いついたのが、今回の事業を始めたきっかけでした。
絹: できれば若い人、子育て世代とか、府営住宅の住民が高齢化しているから、若い人とか現役世代に入ってきてねと。そうなるとうれしいなということですよね。それとコミュニティの力が弱くなったというのは、自治会の戦力が少なくなってきて、エンジンが弱くなっているということから色んな問題が派生しているようですね。
西: そうです。草刈りの人員が高齢化のため確保できないという声や、掃除の当番などもほとんど一人でやっていらっしゃるような団地もあるという声を聞いております。
絹: そうですか。これ、うまいこといくといいなあ。
 

●利活用の目的、例えば子育て支援、地域活性化、産業成長…

西: 利活用の方法として、どうせなら面白い事に使っていただきたいとの思いから、試行錯誤の結果、子育て支援はじめ、地域活性化、産業成長等、幅広い用途で利活用していただけるように、今回の事業を準備させていただきました。
絹: それで京都府のホームページに(後で皆さんに是非検索してほしいんです!)、使用できる用途というのを、例を挙げていただいています。
子育て支援では…、例えばひとり親家庭向けのシェアハウスだって、いけるんじゃないですか?子どもや若者の居場所作りとしての子ども食堂、それから学習の場だとか、いわゆるサードプレイス、居場所づくりが考えられませんかと。
それからまちづくりの推進、地域を元気にするという活動では、地域おこし協力隊の人向けの住戸や若者シェアハウスなどなど、本当に幅広い。色々京都府さんも考えましたね。
西: ありがとうございます。
 
            (京都府HPより 使用できる用途)
 

●変わったところでは“ルームファーム(植物工場)”なんてのも可能です!

絹: もっとすごいのあるでしょ。産業成長のカテゴリーで“ルームファーム”というのを見付けた時、私びっくりしました。これなんですか?
西: 基本的には室内栽培という形です。
絹: 植物工場みたいなイメージですか?
西: そうです。屋外に畑がなくてもできる農業として、現在屋内農業ビジネスが盛んになりつつあります。ちょっと費用はかかってしまうとのことですが、この栽培に適しているのがトマトなどで、カナダでは実際に温室で最も栽培されている野菜という統計もあります。
絹: 中島副部長から、この間教えていただいたのですが、「大阪の方の市営住宅だか府営住宅で、いちごを育てているおっさんがいるらしいで」と。完全に無農薬で、受粉も人間がするので、日当たりが良かろうが悪かろうが、LEDで照らすので全然問題ないと。公営住宅をそんなことに使っている人がいると。
西: 面白いですねえ。是非使っていただければと、提案をお待ちしております。
 

■エピソード2 「三方よし」を目指しています

●事業者よし、コミュニティよし、京都府よし
絹: さあ、次は三方よし、エピソードで言いますとどの辺に行きましょうか。
西: 今回の事業効果と言いますか、事業のメリットをお話させていただくと、府営住宅の利活用により、事業者の皆様、団地の皆様、そして最後に京都府と、「三方よし」というのを目指しております。
絹: 私の本業は建設業ですが、先祖は近江商人のなれの果てなんです(笑)。だから先祖は滋賀県の出身のようです。「三方よし」いいですねえ。事業者(アイデアを持って手を挙げてくれる人)にとってもよくて、それから団地、周りのコミュニティにとってもよくて、京都府も公営住宅の空き室を使ってもらえて、その上、地域課題が少し前進するかもしれない。
西: そうなんです。京都府としても府営住宅が府民の皆様の貴重な公共資産であるという認識のもと、その有効活用していただくことによって、団地ひいては地域の皆様にとって、住みよい住環境をさらに推進させていくきっかけになればと考えております。
もちろん団地としても、若い方と自治会活動に協力していただける方に府営住宅を利活用していただくことによって、自治会を支援していただき、ひいては団地、さらには地域のコミュニティの活性化にもつながればいいなと考えております。
絹: これから広くいろんな人が手を挙げて申し込んでくると思うんですけど、今、結構問い合わせが続いているんでしょ?
             (京都府HPより 「三方よし」)
 

●現在、続々とお問い合わせをいただいております

西: そうですね。ありがたいことに、問い合わせも20件ほどいただいております。
絹: 確か1月19日に広報発表されて、まだ何日も経ってないじゃないですか。それで20件くらい。僕の知り合いの、興味を持ってくれそうな人に話をしますと、「ええ!」とみんな言うんですよ。「ちょっとその資料、どこで見たらいいか教えて!」と、複数の人からそういう声を聞きますので、ひょっとしたら本当に色んな人が集まって来るかもしれませんね。
今20数件申し込みがあるなかで、西島さんから見て、これはちょっと面白いなという申し込みや、どんな傾向があるのか教えていただきたいですね。
西: だいたい多く寄せられているのが、従業員さんの寮として使用したいという問い合わせです。実は本日も「従業員の寮に使いたい」という内見の調整に行ってきまして、その帰り道にこのスタジオに寄らせていただいています。
絹: 私も実は昨日の夜、ある場所で交流会がありまして、同じテーブルに座った方が綾部で新しい工場をおつくりになったということでした。その方は毎年タイ国から従業員を十数名、雇い入れて、訓練をするための宿舎として、民間の賃貸物件をお借りになって収容していらしたそうです。でも足りないので、「この京都府さんの動き、大変興味があります」とおっしゃっておられて、そんな方が数名おられましたね。
西: ありがとうございます。実際にそれこそ外国人さん向けの寮としても使用したいとの問い合わせもいただいております。
 

●某大学の観光学とのコラボのお話も…

絹: 他に西島さんが面白いなと思った使い方はありますか。
西: 実は先日も、某大学の観光学研究科の方とお話をする機会があったのですが、大学さんが府営住宅の一室を借り、団地の自治会さんとともに地域の魅力を発信し、観光名所を案内する。その代り団地の皆さんの暮らしをサポートしたり、団地のお子さんの学習の支援をご協力させていただければといった具体的な提案もいただいています。「地域の観光振興や団地の地域活性化の双方にメリットのある事業提案について検討していきたい」とおっしゃっていただきました。
絹: すぐにイメージしにくいのですが、わかることは大学生がうろちょろする。これは間違いなさそうだと。「自治会のこともお手伝いしてね」と言わないうちに、向こうはその気にもうなっていると。そして「自治会さんと共に、その地域を好きになってもらう。“ここいいよ!来ない?”みたいな情報発信をしたい」と。これは地元の人にとってうれしいじゃないですか。
西: そうですね。地域の魅力も発信していただければ、府営住宅の利活用という枠組みを超えて、まちづくりへも繋がっていくのではないかなと思っております。
絹: これは面白いですね。観光からの接近、しかも大学からの接近。リスナーの皆さん、これは本当に若い人が来てくれたらうれしいですね。
 

●子育て世代の人が京都に戻ってきてくれる起爆剤になれば

絹: それと若い人と言えば、これは京都市の場合だけかもしれませんが、例えば下京区、南区あたりの保育園の園長さんにインタビューをした時にこんなエピソードを聞きました。せっかく待機児童をなくすために、保育の枠を拡大したけれども、京都市の中心市街地の土地値が上がってしまったり、マンションの値段が上がったり、家賃が上がったりするために、若い夫婦が住みにくくなって、京都市の外に流れてしまうと。だから定員割れしちゃったという園長さんが複数おられました。我々京都市の住民としては、若い人がまた戻ってきて住みやすくなるために、公営住宅が空いているのなら、安く入っていただけたらいいのになと、思いますね。今回の試みが府営住宅にとっても、若い子育て世代の方が戻ってきてくれる起爆剤になったらきっとすごいですね。
西: 今回の事業では、皆さまが公営住宅に対して持っていただいているイメージからさらに一歩進めて頂いて、全く新しい視点から公営住宅を利活用していただきたいと考えています。
 

●団地コミュニティ活性化の一案としてのコレクティブハウス

絹: その利活用のイメージというところでは、コレクティブハウジングという言葉も入っています。コレクティブハウジングは、以前もこの番組のヘビーリスナーならご存知かもしれませんが、賃貸型で助け合いが起こりやすいようなソフトウェアが内包されているものを言います。
コモンルームという名前で、ご近所さんと一緒に、共同の食堂とか共同の居間がある。そこへは誰でも入れて、料理の得意な人が「今度の夕飯当番、一食430円くらいで作っておくし、要る人は黒板に登録しておいて」なんて、会社の社員寮のような感じが公営住宅でもし起きたらいいですよねえ。その棟なりそのフロアはみんな知り合いで、「実家からミカンが届いた。良かったらコモンルームに置いとくし、自由に取っていって」みたいなことが起こると面白いと思いません?
西: そうですね。素敵な新しい住み方・居住形態ですね。
 

●見守りサービス付き高齢単身者シェアハウスとか…

絹: それと高齢者等の生活支援なんかも考えてくれたらうれしい。福祉系の事業者がやってきて、見守りサービス付き高齢者単身シェアハウスとか。サ高住に近いけれども、単身で、高齢者同士がシェアする。でも見守り機能もついているわけです。ということはそばに福祉サポートの能力のある専門家がいるかもしれないという、本当に夢のある企画であります。
リスナーの皆さん、今までのお話を聞かれてどうだったでしょうか。非常に勇気のある試みを京都府さんは展開しようとしています。もう少し補足したい事はありますか?
 

●是非検索、お電話もおまちしております!

西: 今回是非皆さんに色んな利活用の提案をしていただきたいと京都府としては考えておりますので、「京都府営住宅空き住戸」や、「京都府営住宅ストック」で検索していただければ、今回の事業をご紹介するページが出てきます。そのページに募集要項等を掲載しておりますので、興味がある方は是非ご覧ください。
絹: もう一回言いますね。検索キーワードです。「京都府営住宅ストック」、あるいは「京都府営住宅」と「空き住戸」のアンド検索をしていただくと、必ず上位にヒットします。実施要領もありますし、電話をかけていただいてもいいと思います。京都府建設交通部住宅課075-414-5366です。電話が繋がったらひょっとしたら西島良輔さん本人が出るかもしれません(笑)。
西: はい、私が出させていただきます(笑)。
絹: 西島さんが電話応対だとか問い合わせの応対で「ふーっ」となるくらい来て下さるとうれしいですね。そして私の勝手な予想ですが、京都府がこういうことをされたということで、おそらくは京都市役所も追随しようと虎視眈々と狙っていると思います。そして京都府の皆さんと京都市の皆さんが何か響き合うというか、リエゾンと言うか、イイ感じの影響を与え合う近未来が来るといいですね。
西: そうですね。
絹: 今日は若き行政マン、京都府建設交通部住宅課主事の西島良輔さんの「府営住宅とあなたの夢がマッチング~若者の視点からひもとく空き家活用 地域課題に挑戦する人を求む」という番組をつくらせていただきました。是非検索、あるいはお電話をしてくださいね。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。
どうでしたか?初めてのラジオ出演。
西: 少し緊張しましたけれども、楽しくお話させていただきました。
絹: リスナーの皆さん、わかるでしょ?見るからに、聞くからに、真面目な行政マン。彼の将来、期待大です。皆さまありがとうございました。さようなら。
西: ありがとうございました。
投稿日:2023/03/16
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