カテゴリー まちづくりチョビット推進室
第175回 ・子ども食堂からグループホームへ~まだまだ模索中 子ども食堂・どんげねの挑戦
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盛: | 盛武 政裕 氏(天ぷらや 笑人 Wa-Road 笑主) |
さ: | 盛武 さゆり 氏(天ぷらや 笑人 Wa-Road 女将・夫人) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
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(右:盛武 政裕 氏 左:さゆり夫人) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、本日のゲスト、ご夫婦をお迎えしております。皆さんは山科の土地勘はありますか?京都市山科区の日ノ岡の交差点の近所に天ぷら屋さんがあります。その名も「笑う人」と書いて「わろうど」。「てんぷら屋笑人(Wa-Road)」。普通は店主と言うのですが、ここでは「笑主」と書いてあります。盛武政裕さんです。よろしくお願いいたします。 |
盛: | 僕からなんですね(笑)。どうも、初めまして。初めてのラジオの収録ということで、珍しく緊張しておりますけれども。よろしくお願いいたします。 |
絹: | 次はその奥さま、盛武さゆりさんです。同じく「てんぷら屋笑人(Wa-Road)」。ホームページを見たら、口だけ番長(笑)&女将と書いてあります。 |
盛: | 結構激しめですけどね(笑)。 |
絹: | さゆりさん、よろしくお願いいたします。 |
さ: | はい、よろしくお願いいたします。口だけなんですけど、他にも色々就労支援の事業所「すぴん」もやっております。今日はお願いいたします。 |
絹: | 口だけ違うやないかい!と、言いたくなりますね(笑)。 ということで、リスナーの皆さん、京都にはこういう凄いことをしているご夫婦がおられますよというのが、今日の番組の趣旨です。おいおいと紐解いてまいります。 今日の番組タイトルをまず、申し上げておきましょう。「子ども食堂からグループホームへ~まだまだ模索中 子ども食堂・どんげねの挑戦」と題してお送りいたします。皆さま、どんなお話が飛び出しますかご期待下さい。 ゲスト紹介、もうちょっと深めたいので、笑主の盛武政裕さんに質問です。パートナーであらせられる盛武さゆりさんとは如何なる方ですか、短く述べよ。 |
盛: | 簡潔に言うと、生命力と生活力に溢れた人。まあ無駄のない、すごい生き方をされる方でね。知っている人はその通り!と思うと思います。まあ、グイグイいかはります。 |
絹: | では奥さまの盛武さゆりさん、御主人、笑主の盛武政裕さんとはいかなる人物ぞ、短く述べてください。 |
さ: | 気性が激しいんですけど、とってもわかりやすく心根は熱き男やと思っています。また歌が好きなもので、ライブとかも精力的にやっていて、趣味にも生きていますという感じです。 |
絹: | はい、ありがとうございます。確か九州男児です。「どんげね」という子ども食堂の愛称は、九州のどの地方の言葉でしたか。 |
盛: | 僕は生まれが宮崎なんです。宮崎でも北と南と西と東では結構方言がバラバラなんですけど、僕の生まれ育った宮崎市では「どんげね」というのは、こちらでは「どない?」という声掛けの時に、「元気か?」とか「ご飯食べてるか?」とか、そういう優しい声掛けなんですね。 |
絹: | 「調子どう?」みたいな。 |
盛: | そうそう。だから例えば親戚の家に行って、「どんげね?」と言うと、「うん、がんばっちょるよ」とか、身体の調子から色んな事から気遣う言葉なんです。すごい優しい言葉です。 |
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(「天ぷらや 笑人 Wa-Road」HPより) | |
■エピソード1 てんぷら屋笑人が、なぜ子ども食堂を始めたのか |
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●ハンデのある人にも気軽に入っていただきたい | |
絹: | さあ、本題に入りましょう。そもそもなぜ日ノ岡で、てんぷら屋さん、笑人さんが子ども食堂を始められたのですかというあたりから紐解いて行きましょう。 |
さ: | 実は自身の子どもに障害がありまして、外食する場所にもすごく気を遣う時期がありました。そこで自分の店にそういう障害のある方でも気軽に入っていただきたいという思いを持っていたところ、山科青少年活動センターさんが「子ども食堂を始めませんか?」という講演会をされました。それに参加したのがきっかけで、子ども食堂という形で色んな方に来ていただけるのではないかと始めました。 |
●“やませい”の大場さんとの出会いから |
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絹: | 実は山科青少年活動センター(愛称:やませい)の大場孝弘さん(第126回・131回放送出演)は、この番組のゲストに2回もお迎えした方なんです。あの人に出会ってしまったんですね? |
さ: | 出会ってしまったんです。「盛武さん、これはやらねば!」みたいになって。 |
絹: | 当時のことを思い起こしますと、大場さんは山科に子ども食堂のネットワークを築きたいとの思いを持っていらっしゃった。「一人で何もかもやろうと思ったら大変だけど、月に一回くらいなら私とこでもやれるという人が、山科じゅうで1ダース集まったら、両手集まったらすごいことが起きる」と言っておられて、その一角として引きずり込まれたのが盛武さんなんですね? |
さ: | はい(笑)。飲食店がやる強みがやっぱりあるかなというのがありました。皆さんまず場所がネックになってくるのですが、うちは飲食店なので、衛生面から設備的な面から整っているので、非常にやりやすかった、始めやすいかなとは思いました。 |
絹: | この間、ズームの会議で大人カフェという所で、盛武さんが登壇されて、「笑人カフェどんげね」について、喋っておられたのですが、そこでのメモをちょっと読みますね。 笑人どんげね、これは宮崎弁です。 子ども食堂は毎月第二土曜日、12時から14時 子どもさんは200円 友達が友達を呼んでくるという形になっています。 どんげねさんの特徴は(お嬢様が障がいをお持ちですので)、ハンデのある人たちも気兼ねなく来てほしいと、ハンデのある人の予約限定で行っています。 それが特徴なんですね。唯一無二なんですね。他の所はそんなのはなかなかないですよね。 ということで始まりました。いつ頃からでしたっけ? |
さ: | 2016年の11月からです。 |
絹: | 2016年と言うと、もう長いですね。6年目ですか。よう続かはりましたねえ。 |
盛: | 止めずにきたから続いているという感じで。 |
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(笑人カフェどんげね?~子ども食堂~の様子 「天ぷらや 笑人 Wa-Road」Facebookより) | |
■エピソード2 就労支援施設「すぴん」のこと |
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●ハンデのある子の就労って、どうなるんだろう… | |
絹: | ホームページを見せていただきますと、てんぷら屋さんをなさって、子ども食堂をなさって、その他に奥さまが平仮名で「すぴん」という就労継続支援B型事業所という所の代表も務めていらっしゃいます。その就労継続支援B型は昔で言う作業所と、子ども食堂ではどちらが先ですか? |
さ: | 子ども食堂が先です。で、やはり子ども食堂、18歳までは守られていますが、18歳以降、就労ってどうなるんだろうと考えたわけです。自身の子どもの事を考えた時にやはり障がいのある方の就労先はすごく限られているし、かといって自分がわかっているわけではないので、「よし、自分でやってみよう」と決意しました。子ども食堂がベースになり、「すぴん」が開所できたということです。 |
●施設外就労先「笑人」 - 飲食だからって特別なことはないんです |
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絹: | それでまたホームページを斜め読みの浅い知識ですけど、「すぴん」さんの所に施設外就労先が「笑人」であると書いてある。ということは、御主人と一緒になさっているてんぷら屋さんで、就労支援施設に勤めていらっしゃる障がいのある人が実際に働いておられるということですね。 |
盛: | そうです。はい。 |
絹: | 食べ物屋さんでどういう形で働かれるのかなと、たぶんリスナーの方もはてなマークが出てくると思うのですが、そこのところを説明していただけますか。 |
盛: | 時間的には午前9時半くらいかな。もう1人スタッフが手伝ってくれているんですが、多い時は3人くらい、利用者さんが来られます。飲食だからと言って特別なことはなく、まず基本的に一番大事なのが掃除ですね。トイレからオモテもしなければならないし、割合バリエーションがあるんですね。 |
絹: | 門掃きしたはる写真、載ってました! |
盛: | そうですね。厨房の中はタタキですし、床はフローリングですし、トイレがあったり、たまには裏の庭の掃除もあるんですけど、掃除だけでも結構楽しめます。それから片付け、洗い物、下ごしらえですね。野菜を洗って皮をむく、切る、あとは盛り付けとか。また弁当の配達が週に何度かあるんですけど、一緒に…。 |
●達成感を味わってほしい… |
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絹: | そうなんですよ。盛武さんとこのお弁当が結構人気で、配達も受けておられるんですね。 |
さ: | そうですねえ。増えましたね。 |
絹: | 今、両手くらいあるんですか。 |
さ: | はい、あると思います。 |
●実は公成建設、子ども食堂にちょっとかすっています |
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絹: | 山科子ども食堂ネットワーク(愛称:ちゃぶ台ネットワーク)、あるんです。そしてうちもちょっとだけかすっていまして、建設会社ですから独身寮が山科にあるんです。そこの寮監さんで服部さんという方が自分でも子ども食堂っぽいことをやりたいと言って、盛武さんたちと交流があるそうです。 |
さ: | はい、最初はボランティアでご一緒させていただき、自分でもやりはじめられて、すごいなと思っておりました。 |
絹: | 寮監さんは普段料理をされますから。若い社員さんに弁当をつくったり、夕食を出したりと、メニューを作るのはお手の物らしく(笑)。 |
さ: | お上手だと思います。 |
絹: | 山科って、非常に面白い土地柄でそういう助け合いの風土と言いますか、「家庭菜園で野菜を作ったけど余ったから使って」とか、フードロスに取り組んでいらっしゃる方が協力に来られたりするんですって? |
さ: | フードバンクさんからのご提供だったり、社協さん(社会福祉協議会)からのご提供で、「フードロス、今関心を集めているんですけど、賞味期限間際のものを有効活用してください」と子ども食堂に助成してくださっています。 |
盛: | ご近所さんもいただいたお菓子とかを、ちょこちょこと頂いております。 |
絹: | リスナーの皆さん、いい話でしょ?きっと知らなかった人もおられると思うんです。ですから一見てんぷら屋さんだけど、色んな事をしておられると。日ノ岡の交差点、左に入ったところを、ちょっと見に行かれたらいかがですか。 |
さ: | なんてことはないので、入ってください。 |
■エピソード3 障がい者のグループホームを立ち上げました |
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●障がいのある方が地域で一人暮らしをしていくために | |
絹: | それがまた、今度は新しい事を始められたという噂をききまして、盛武さんにラジオのゲストに来て、その話を来ていただけませんかとお願いしたのは、グループホームまではじめてしまおうという…そのグループホームとはどういうことか、説明をお願いしたいんですが。 |
さ: | 障がい者のグループホームを立ち上げました。3月1日に開所したのですが、やはり障害のある方が親元を離れ、一人暮らしをするのは、いろいろな壁がある。そのサポートを手厚くして、一人暮らしを手助けするというホームになっております。私どもがやっているのはマンション型と言って、マンションを何部屋かご提供するという形を取らせて頂いていますが、一軒家タイプのものをやっていらっしゃる所は多いです。 |
絹: | 世の中にはそういうグループホームがもう既に何軒もあるわけですか。 |
さ: | そうです。もう満床状態が続いていて…。 |
●家主さん・地主さんのご理解があってこそ |
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絹: | ところがですよ、例えば地主なり家主の立場に立ちましょうか。仮に私がお金持ちで借家を持っておりましたと。あるいは賃貸マンションを経営しておりましたと。「障がい者のグループホームをやりたいので、貸してください」と来られると、「んんん、ちょっと…」と躊躇うかもしれません。今回、成功裏に3月から発進されたということは、「いいですよ、借りてください」とおっしゃった家主さんは確実にいらっしゃったということですね。 |
さ: | はい、いらっしゃいましたね。 |
絹: | その方もすごい方ですよね。 |
さ: | そうですね。何回か見に来られて「いいですよ」と言っていただけましたね。 |
絹: | そこではやっぱり色々悩みだとか、交渉だとか、もっと言えばドッタンバッタンあったんですか? |
さ: | ありましたね。今も続いているんですけど。 |
絹: | あれ、聞いてよかったかしら(笑)。 |
さ: | いやあ、ちょっとね、がんばります(笑)。 |
絹: | 僕は本当に奇特な家主さんがいてくださって、本当に良かったなと思います。世の中捨てたもんやないなと思いますね。 |
盛: | 本当にそうなんです。ありがたいんです。今、2人入居が決まりまして、あとは順々に体験していただいて入居にいくという手順なんですけど。 |
絹: | 世の中にはSDGsだとか、多様性だとか、かっこいい言葉が流れてますけど、そうやって賃貸型マンションで障がい者のグループホームをやるって、そっちの方がストンと腹落ちしますよね。現実にそういうことなんやと。たぶんご近所の方や大家さんは不安に思われたかもしれないけれども、盛武さんたちのなさっている事をご覧になって、きっと「ここやったら」と思われたに違いないというのは、なんとなくわかります。 |
●公営住宅の空き室でグループホームを |
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絹: | 本当にその辺がすごい事に手を出されたなという感覚がしたもので、是非ここに来ていただいてお話を聞きたかったんです。私の知人の中にも障がいをお持ちの御子息がいらして、山田木工所という会社を経営されている山田さんが同じ思いをお持ちになっているというのをかつて知ったことがあります。障がい者のグループホームを色んな所で自前で建てたくて検討したけれども、なかなかうまいこと行かないと。今、山田さんが京都市の都市計画局の住宅室の公営住宅管理の人たちに交渉しているのは「市営住宅空いているでしょ、そこを貸して」と。そこで障がい者のグループホームをやりたいということを申し入れておられます。たしかさゆりさんはどこかで山田さんのことをご存じで、意識していらっしゃったということを、前おっしゃってましたよね。 |
さ: | そうです。ココネット会議というのがあって、就労支援のための会議なんですけど、そこでハンデのある方の就労受け入れ先として山田木工所さんが紹介されていて、私は一方的に存じ上げているだけなんですけど、素晴らしい取組をされているなと注目をさせていただいてました。 |
絹: | 色んな方々が色んな思いで活動されていて、その後姿を横目で見て、「この人すごいな」と思っている人は、例えば盛武さんのようにおられます。山田さんの活動も京都市の人たちが向島ニュータウンの中で空いている部屋を、愛隣館という障がい者のための社会福祉法人のグループホームに使ってもらって立ち上げたという事例が最近成立しました。これもまちづくりチョビット推進室の最近のゲストにお呼びしたのですが、京都市もただ何も仕事をしてないわけじゃなくて、公営住宅市営住宅の目的外使用という法律の壁があるらしいです。行政の方は今までと違う事をするとすごく抵抗があるみたいで、でも意味のあることだからと挑戦した行政マンたちが実際におりましてね、まずは社会福祉法人に対して空き室を使ってもらいましたと。「民間の山田木工所のような所にも開放したらどうやねん」と僕はそばでつぶやきますでしょ(笑)。すると「いきなり絹川さん、そこまで行けますかいな。そっちへ向けてちょっとずつステップアップしていきます」と今、頑張っておられます。 |
●もっと、もっと、ネットワークを広げたい |
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絹: | 洛西ニュータウンの中にも京都府さんと京都市さんがコラボして空き室に障がい者グループホームの第二弾を計画されているという噂は聞きます。 ですから福祉法人の方は福祉法人で、全く民間からこうやって盛武さんのように一般のマンションを借りて動かしていかれる、そういう方が緩やかなコラボをして、「自分はこんなことをやったらうまくいったよ」「こんなこと困っているから助けて」という助け合いが起こって、行政と民間の交流が生まれるといいですね。 |
さ: | はい。ネットワークいただきたいと思います。 |
絹: | この間笑人にふらっといらっしゃったという徳永室長のこと、ちょっと教えていただけませんか。どんな人でした? |
さ: | すごく柔らかくて感じのいい人でしたね。 |
絹: | 僕はあまり保健福祉局のことは知らないのですが、障がい者保健福祉推進室の徳永さんという方がふらっと笑人さんに訪ねて見にこられたと。ということは注目されているんですね。 |
さ: | いやあ、たまたまじゃなかったですかねえ。 |
絹: | 民間で頑張っている人、行政でサポートしようとしている人は探せばいます。そういう人たちを結びつけることができたら素敵だなと皆さん思いませんか?京都の中には黙ってこういうことをされている方がまだまだおられます。是非山科をお通りの際は、日ノ岡の交差点、てんぷら屋さん、どんなんかなと覗いてみていただけたらと思います。 |
両: | よろしくお願いいたします。 |
絹: | 是非応援を、サポートをお願いいたします。 この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。リスナーの皆さん、てんぷら屋さん、笑人、どんげね。覚えてくださいね!ありがとうございました。 |
両: | ありがとうございました。 |
第174回 ・鹿谷ワンダービレッジって何?~亀岡を有機農業の町にするムーブメント
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玉: | 玉山 久高 氏(株式会社玉山工業 代表取締役) |
る: | 玉山 るりこ 氏(夫人) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
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(左:玉山 久高 氏 右:るりこ夫人) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、本日のゲストのご紹介です。思いっきりご近所さんなんです(笑)。この方をゲストにお呼びするというのは、最初予想もしておりませんでした。偶然、次のゲストの方が私の自宅の真ん前に引っ越してこられたと(笑)。こんな事件もそうないと思いますが…。 ご紹介申し上げます。株式会社玉山工業代表取締役玉山久高さんです。玉山さん、よろしくお願いします。 |
玉: | はい、よろしくお願いします。 |
絹: | そしてその奥さまのるりこさん。玉山るりこさん、よろしくお願いします。 |
る: | はい、よろしくお願いいたします。 |
絹: | 番組の中ではお二方のなれそめはなんてことは、聞かないようにします(笑)。リスナーの皆さん、このお二方、とんでもないことをしているんです。おいおいお話をしてまいります。では玉山さんご夫妻と決めました番組タイトルを申し上げます。「鹿谷ワンダービレッジって何?亀岡を有機農業の町にするムーブメント」と題してお送りいたします。 玉山ご夫妻とはまだ本当にお付き合いが浅いんです。この間ゲストの出演交渉に会社に行って、少しお話をさせていただきました。まあ、なんというか面白い方みたいです。玉山久高社長は、武闘派でもあらせられて、芦原空手ってマニアの人ならご存知かもしれませんが、フルコンタクトの空手を若い時にやっておられて、奥さんに「怪我が続くし、そろそろやめたら?」って、今おとなしくされていると(笑)。 |
る: | そうです(笑)。 |
絹: | ご本業はものづくりと申しますか、プロの職人さんたちをネットワークして、京都の中小企業の先駆けと言いますか、新たな生産ネットワークに挑戦されているというところと、「セブンシー」というチームも率いていらっしゃいます。が、今日は全然それとは違うんです。 この番組のヘビーリスナーの方々でしたら、進行役の絹川君が手を抜いて、自己紹介の代わりに他己紹介をやるということをご存知だと思います。今日はまずウォーミングアップの代わりに玉山久高さん、質問です。奥さまのるりこさんとはいかなる人物ぞ、短く述べよ。 |
玉: | 体温も高いんですけど、心も温かく、温かみのある女性だと思います。 |
絹: | 合格!では奥さまのるりこさん、パートナーの玉山久高さんはいかなる人物ですか。短くお述べくださいませ。 |
る: | 夫であり、兄であり、友人であり、とても信念が強くて、懐が深くて、思いやりがあって…、ほめ過ぎやね(笑)。帰りにご飯を奢ってもらいます(笑)。 |
絹: | はい(笑)、今日のゲストはこういう方々です。 |
■エピソード1 鹿谷ワンダービレッジって、そもそもなに? |
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●25,000㎡の原っぱ? | |
絹: | 皆さん、鹿谷ワンダービレッジって、ご存知でしょうか。私は人に誘われてまいりました。僕は亀岡にあまり土地勘がないのですが、直近のインターチェンジどこでしたっけ? |
玉: | 一番近いのが大井インターですかね。 |
絹: | 車で行きました。京都市内から縦貫道を使いますから、僕の家は上京区で、そこからだと40~45分で着きます。そういう距離になんと25,000㎡の広大な原っぱと言いますか、耕作放棄地があります。私の知人が「絹川君、悪い事言わんから一回覗いてみいひん?」と言われて、仕事をさぼって覗きに行きました。ところが耕作放棄地と言うから、ボロボロの所かと思ったら、スタッフの方々が湿地帯を畑などに戻されて、日本の原風景みたいな形になって、「誰が来てもええよ」という原っぱがドーンとあるんです。それが「鹿の谷」と書いて鹿谷ワンダービレッジという愛称で、サポート会員は今、180人とおっしゃいましたよね。 そんな広い所、畑にもなるし、遊び場にもなるし、温室もあるし、拠点のハウスもありました。ここでちょっとだけホームページの一部を読みます。 |
●鹿谷ワンダービレッジのホームページから |
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(鹿谷ワンダービレッジHPより) | |
●オーナーはうちのお向かいさんだった! |
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絹: | これは将来計画も現在できているのも含まれているようですが、こういう所の存在を知って、絹川君はショックを受けました。無茶苦茶居心地ええやんかと。このオーナーどんな人?って、スタッフの人たちに聞いたら、「偶然、絹川さんのご自宅のお向かいに越してきましたよ、オーナー」と(笑)。こんな偶然あるかいなということで、ご無理を言って、ゲストに来ていただきました。ではここでマイクをゲストのお二方にお渡しして、僕の言葉では伝わりきらない、ワンダービレッジ、なんでこんなんしはったん?というところから、口火を切っていただけますか? |
玉: | 元々の発想は学校なのですが、農業を亀岡だけでなく、日本全体で健全な形で引き継いで行こうと思うと、どうしても村づくりをしていく必要がありまして…。農地もあって、山もあって、そこが循環しているなかで、村づくりをしていかないと、農業だけを考えてもなかなか難しい。また、農業をコアに生活をしていただける人を育てていくというのが、社会的な課題でもありますので、学校をやっていても、亀岡で目指したいのは本当のプロの中規模以上のプロの農家さんを、有機農業者を育てられるような学校を目指して構想中です。 |
●25,000㎡の土地、お貸し頂いている部分が多いんです |
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絹: | 広大な25,000㎡という耕作放棄地をポンとお買い求めになって…。 |
玉: | そこはちょっと微妙で(笑)、何分の1かは私の所有になっているんですが、あとは村の方々に無償でお貸し頂いてます。 |
絹: | そういうことなんですか!要は耕作放棄地として置いておかなければならなくなってしまっていたのを、玉山さんご夫妻が来られたことによって、放っておかなくても済むと。世話してくれたら助かるんやけど、借りてくれる?無償でと。 |
る: | 放っておけば土地は荒れますし、草もぼうぼうに生えてきて、ひどい所は葦みたいな、もうどうしようもない状態になっていくのですが、スタッフの皆さんに(本当にご苦労なのですが)、いつも暑い中も草刈りをしていただいて、丁寧に管理してもらっているおかげで、あんな風に蘇ったという。貸していただいている方もそれを見て、喜んでいただいていますし、それは良かったなと思っています。 |
●亀岡市役所としても有難い話で |
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絹: | すごいことを、今、奥さまはさらっと言われましたけど、実は亀岡市の市長さん、桂川さんという顔の濃い市長さんがいらっしゃるんですけど(笑)、亀岡市役所にとってもなにかすごいうれしいらしいですね。あんな事をしてくれる人が来たと。耕作放棄地が知らんうちに蘇っているやんかと。そこで「子どもたち来てもいいよ」とか、「一緒に遊び場つくろう」とか、「ええー、この人何者?」と思っているに違いないけど、でもうれしいというところでしょうね。地元の役所の人にしたら。 そういう遊び場だけでなくて、農業学校をつくっていきたいと。プロの中規模農家養成というのは、有機農業専業で食べていける人たちを養成するためにということですよね。リスナーの皆さん、めちゃくちゃ奇特だと思いません? |
●専業農家を育成する意味でも、食生活の啓発の意味でも |
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絹: | 玉山さんに教えていただいたんですけど、今も農家さんはおられるけれども、兼業農家さんがほとんどだと。専業で食っていける、年収で1000万円くらいあって、家族で食っていけるというような人はなかなかいらっしゃらないと。えらい難しいテーマに挑戦しておられますね。 |
●古い家をシェアハウスに そして温室も |
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絹: | それで宿舎と言いますか、古いお家も借りて、シェアハウス的に運用をしようという実験的な事もされていたと聞きますし、温室も立派な温室を持っていらっしゃるとか。 |
玉: | それはnicoさんと一緒につくったんです。 |
絹: | リスナーの皆さん、本当に奇特なご夫妻がここにおられます。でもこんな方々が自分たちの周りにおられるということが1つの救いだと思いますし、是非お気づきになられた方は、亀岡の鹿谷ワンダービレッジ、検索するだけではなくて、覗いてみられてはいかがでしょうか。 この頃、若い方の中には、農を求めて、農への回帰を果たそうとする人たちが増えてきています。また、そういう方だけではなくて、実際の兼業農家の跡継ぎさんの中でも悩んでいらっしゃる方、「農業をやりたいけれども、やればやるほど赤字になる。でも先祖伝来の田畑をなんとか守りたい」という方々に1つの回答を提出できないかと模索していらっしゃるのが、このご夫妻だと感じております。是非鹿谷ワンダービレッジ、そしてオーナーである玉山久高・るりこご夫妻、ご記憶の片隅に入れていただければと思います。 この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。玉山久高さん、るりこさん、ありがとうございました。 |
両: | ありがとうございました。 |
第173回 ・藤ノ木セカンドハウスはじまるよ~市営住宅の空き室利用、福祉活用では第一号事例?
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山: | 山内 忠敏 氏(向島藤ノ木学区民生児童委員協議会 会長/藤の木子どもキッチン 代表/藤の木セカンドハウス 代表理事) |
大: | 大下 宗幸 氏(公益社団法人 京都市ユースサービス協会 京都市中央青少年活動センター チーフユースワーカー) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
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(左:山内 忠敏 氏 右:大下 宗幸 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、本日のゲストでありますベテランの男性とお若い男性のお二方、今日は色気がないですねえ(笑)という感じです。失礼いたしました(笑)。ではご紹介申し上げます。藤ノ木セカンドハウス代表理事をお務めになっております山内忠敏さん。 |
山: | はい、よろしくお願いします。 |
絹: | お願いいたします。そしてもうお一方、同じく藤ノ木セカンドハウスの事務局長をされています大下宗幸さん。 |
大: | はい、よろしくお願いいたします。 |
絹: | 番組のヘビーリスナーの方でしたらご存知の通り、絹川は手抜きを行っております。ゲストのご紹介を他己紹介という形で、まずは大下さんにお手伝い頂きます。大下宗幸さん、藤ノ木セカンドハウスの山内代表理事とはいかなる人物ぞ、短く述べよ。 |
大: | 山内さんは、僕の約倍くらいの年齢を重ねておられるベテランの方なんですけど、すごくエネルギッシュで負けてはならないと、いつも活力を頂いております。 |
絹: | ちょっとすると師匠筋に当たる方ですか? |
大: | いや、師匠というよりも仲間みたいなところがありますね。仲間でもありますし、人生の大先輩でもありますし(笑)、そのエネルギーにいつもあてられて、こっちもがんばらんと!と、いつも思っています。 |
絹: | ああ、いいですねえ。そうありたいですねえ。 それでは山内代表理事、大下さんは仲間だと言ってくださった、大下さんとはいかなる人物ぞ、その人となりをお願いします。 |
山: | はい、まさに仲間の一人で、4年前くらいに初めて知り合ったのですが、こんだけ頑張っている若者がいるんかと、びっくりしました。 |
山: | その手始めが子ども食堂なんです。夕方5時くらい、今ですと真っ暗になってますね、例えば児童館を5時に終わった子どもたちが、家に帰ってもお父ちゃんお母ちゃんがいない家庭があるんですよね。その子たちの居場所、どないしてるんやろと。晩飯食っとるんやろかと。勉強しとるんやろかというのが気になりましてね。それがこの春ごろ、ぐっと思いが募ってきたんですよ。それを仲間である大下さんあたりに「どないしたらええんやろ」という話を持って行ったところ、たまさかその時期に同じ向島でグループホームができたんですよね。 |
絹: | 例の愛隣館ですね。愛隣館の浅田さん(浅田 将之 氏:社会福祉法人イエス団 愛隣館研修センター インクルーシブ社会実現部 愛隣グループホーム 主任・第166回放送出演)もこのスタジオに座ってくれた時期があります。でもそれとはまたちょっと一味違うセカンドハウスなんですね。 |
山: | はい。これは福祉目的としては京都で第一号になるんです。福祉目的ですから、子どもたちからは1円もお金は徴収しないんです。だから全部持ち出しになりますので、「家賃払ってたらやっていけへん」になるんです。それで京都市の担当の方に、「まずお部屋を貸してください。」と。「え?」という話から始まったんですけど、その辺の所は一番よく知っておられる大下さんにお願いしたいと思います。 |
絹: | その前にリスナーの皆さんのためにちょっとだけ整理をしたいと思います。今、山内さんがおっしゃっているのは、向島市営住宅の8街区3棟116号室、空いていた部屋を京都市に対して、「貸して、子どもたちの居場所がないやんか」と。というのを大下さんに「どうしたらええ?」みたいな相談をかけられたと。 |
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(場所:向島市営住宅8街区3棟116号室(京都市伏見区向島丸町4-7)) | |
●相談した京都市にも「いいね!」と言ってもらえて |
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大: | いや、相談されましたっけ(笑)という感じですけど。たぶん一緒の場にいて「ええやん、ええやん」と言っていたんですよね。それが今年の4月くらいですね。で、大阪などにそういう事例がいっぱいあるんですよね。大阪の公営住宅を使った子どもの居場所だったり、若者の居場所だったり。当初、この一年間はそういった事例とかを勉強しながら、色々呼びながら、言葉で選ばないで言うならば、それで京都市に圧力をかけていこうと(笑)。これは必要なんだと。子どもや若者という状況もあるし、大阪はやっているやないかと。京都は何をやっているのやと。まちづくりの政策も終わって(まちづくりの政策は前の4年間あったのですが)、その助成金も終わってしまって、放っておいたらどんどん活動が縮小していくんですけど、子ども・若者ニーズは、僕らが関わっている中で見えている。そこで「あかんやろ」というのをこの一年間でやろうと思っていたんです、実は。僕らは圧力団体みたいになって、ワーッと言っているのかと思っていたら、京都市の人が意外に「いいね!」と言ってくれたんですよね(笑)。めちゃくちゃいい人で(笑)。 |
絹: | そのめちゃめちゃいい人のお名前を、よかったら…。 |
大: | 長谷川さんとか、松村課長(松村 亙(わたる) 氏:京都市 都市計画局 住宅室 住宅政策課 ニュータウン企画調整担当課長)とか、めちゃくちゃいい人で。 |
絹: | 長谷川さんて、京都市都市計画局の住宅室の課長補佐の長谷川 源太さんですね。 |
大: | そうですね。全然話がわからへんヤツかと思っていたら、めちゃくちゃいい人で(笑)。 |
山: | めちゃくちゃというよりも、我々が大きな風呂敷を広げてるんですけど、それに感動していただいたような感じで。 |
大: | 仲間という意味では京都市の方々もまさにそうで、最初は仲間と全く思ってなくて、どうやったら説得できるのかみたいな感じで(笑)。 |
●ぐるっと回って繋がりました |
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絹: | 今、そのエピソードをお聞きして、大きな偶然が働いていたことに気が付きました。圧力団体という誤解を受ける言葉ですけど、いい意味で京都市に対してプッシュしていらした。時期を同じくして、ここに座っております絹川くんも同じ圧力を多方面からかけておりました。長谷川補佐の傍に座っている住宅室の課長さんで、菱崎さん(菱崎 裕之 氏:京都市 都市計画局 住宅室 住宅管理課 課長・第166回放送出演)という方がおられて、そこの若い杉山さんもこのゲストに来てくださった方なんですけど、菱崎さんが松村さんを連れてこられて、この山内さんと大下さんを紹介したいと。 |
大: | あ、そういう事だったんですか(笑)。理解できました。 |
絹: | 僕は公営住宅の空き室で愛隣館の障害者グループホームができたと。それを1つで終わらせるつもりじゃないですよね、皆さん。というそういう優しめの圧力を、つぶやきを(笑)。 |
山: | うれしいですねえ。色んなところから助けてもらっているんだ。 |
大: | 本当にそうですね。 |
絹: | 僕は本当に空室を、公営住宅だけじゃなくて、民間の空家も地域課題の解決のために使うことができればと思っているんです。僕は本職が建設屋ですから、大きい工事が出なかったら自分の首が絞まるんですけど(笑)、でもリノベーションで工事の費用を抑えてでもやらなあかんことができたらいいじゃないですかという話を、都市計画局の若手の人としていたんです。そしたら同じ思いの人がおられたと。すごい偶然! |
山: | こんな偶然て、あるんですね! |
●居場所づくりに家賃は大きな問題でしたが |
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絹: | それで大下さん、セカンドハウスが始まっちゃうわけですね。子どもたちからはお金は取れないよと。家賃安くしてねという交渉はされたんですよね。 |
大: | それは山内さんがいつの間にかしていて、「0にならんやろか」と(笑)。「いや、0はさすがに…」みたいな話で(笑)。 |
山: | 長谷川さんと杉山さん(杉山 有紀 氏:京都市 都市計画局 住宅室 住宅管理課 主任・第163回放送、第165回放送出演)とは、ある時期週一くらいに会っていたんです。会うたんびに「家賃、安うしてね、安うしてね、0にしてね」という話をしたんですが、「いいや、それはムリ」という話はあったんですが、でも最終的にはほぼほぼ一致する金額になってきたし、それからさらにいざ納付書をもらった時に、「わ、ここまでしてくれはったんや」というのは思いましたね。ですから我々は少ない資金の中で、家賃にかなり取られると辛いものはあるのですが、少なくなりましたね、だいぶ助かりました。 |
●色んな人や団体に協力をいただいて |
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絹: | まちの縁側や地域の居場所を運営していらっしゃる先達を訪ね歩いた日々もかつてはあったんですけど、皆さんその運営の資金に苦労され、「私はいつも金欠病よ」とおっしゃっていますけど、なぜかそういう人の集まる場所と言いますか、縁側とか居場所、子どもたちの居場所、高齢者の居場所、若者たちの居場所をやっている人たちの所には、人がまず集まる。それと情報も集まる。助け合いが自然に起こるという、不思議な異空間が顕れている場面を幾度か見ました。藤ノ木セカンドハウスがそうなっているわけですね。 今のところはまずは子ども食堂を、第一回がいつ頃始まったんでしたっけ。 |
山: | 12月の8日が第一回です。 |
絹: | じゃ、ほんとのほやほやじゃないですか。 |
山: | 実は「使えるよ」と聞いたのが、9月の頭です。それから1年かけてやろうと言っていたのが、1年先取りしたわけですから、大慌てで「まずお金が要るやん」ということで、資金の調達も始めましたし、びっくりしました。なんとかそれでも…。 |
絹: | 9月に「ええよ」と出て、よく3月で…。 |
●民生児童委員って、ご存知ですか? |
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絹: | ここで手元資料からちょっとだけ読みます。 当団体は、平成29年10月から児童館にて子ども食堂を開催しており、こうした取り組みが評価されて、令和元年10月に「第1回食プロジェクトSDGS Food ACTION AWARDSにて月桂冠賞を受賞」とあります。当団体というのは藤ノ木子どもキッチン実行委員会さんのことです。という伏線があったんですね。 |
山: | はい、お陰様でいただきました。今年度は子ども育み憲章で賞をいただきました。 |
絹: | やはり地道に活動を続けてこられた延長線として、今回の藤ノ木セカンドハウスを行政の都市計画局の面々に交渉されて勝ち取られたというわけです。リスナーの皆さん、これも補足情報ですけど、山内代表理事の別の呼び名と言いますか、背景として向島藤ノ木学区の民生児童委員協議会の会長さんであられると。ということは民生委員さんをごっつう長いことやっておられるに違いないと。 |
山: | いやいや、実は10年ほどなんです。言い方はナンですが、騙されまして(笑)。「名前だけでええよ」と。 |
絹: | 人はよう言わはります(笑)。結構、ええ人が騙されます。 |
山: | で、だんだんだんだんとのめり込まされまして、今はこんな状態なんです(笑)。 |
絹: | リスナーの皆さん、民生児童委員さんて何をしたはるんやろって、ご縁のない方はご存知ない方も多いと思います。今日のエピソード、子どもキッチン藤ノ木セカンドハウスに類することまで、実は民生委員の方々は地道に活動されているようです。 |
山: | これもみんな仲間がおりまして、私が会長やから「おい、やるから」と言ってできるものではありません。「こんな話があるんやけど、できるやろか」と言ったら「やろうやないか」ということで、委員のメンバーがみんな、「私にできることがあったら手伝うよ」と言ってくれたので、たぶんできたんやと思います。 |
●京都市ユースサービス協会と子ども食堂と |
絹: | 良い関係ですねえ。で、大下さんはその盟友と言いますか、仲間。その大下さんについても補足を入れますと、公益財団法人で京都市ユースサービス協会というのがありまして、大下さんは京都市中央青少年活動センターのチーフユースワーカーでもいらっしゃいます。青少年活動センターについては、私は山青こと、山科青少年活動センターの大場さん(大場 孝弘 氏:公益財団法人 京都市ユースサービス協会 京都市山科青少年活動センター 参事・第126回放送、第131回放送出演)というベテランを存じ上げております。大間さんも山青も、山科で子ども食堂ネットワーク構想を立ち上げて、たぶん十指に余る子ども食堂を山科で繋いでいらっしゃるはずです。 大下さんの活動にはそういう背景があって、だからこそ定款はじめ、色んな準備が着々とできたんですね。 |
大: | 私は前職で環境のNPOをずっとやっておりまして、それもあったのだと思います。 |
絹: | いやあ、集まるべき方が集まられたという感じですね。セカンドハウスについて口火を切っていただきましたが、公営住宅、具体的には藤ノ木団地の空き室を用いて、こういう活動に着手されました。セカンドハウスは子ども食堂で恐らくは終わらないであろうという噂がちらほらと私の耳にも届いております。この先、セカンドハウスはいかなる形にという話を、次のエピソード2と言いますか、もう終わりに差し掛かっているんですが(笑)、どうですか? |
■エピソード2 藤ノ木セカンドハウスのこれから |
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●子どもだけでなく、若者も、地域も…、夢は次々ふくらんで | |
大: | 今は子ども食堂だけなんですが、子どもだけではなく、私もいますので、若者みたいなところ、プラス地域みたいなところの関係が紡がれるような場所になったらいいな、そのための拠点にしたいなと思っています。例えば来年1月以降ぐらいから、今は子ども食堂は小学生ぐらいなのですが、私たちの活動の主な対象である中学生以上に向けた若者食堂をやろうかと思っていますし、来年度以降は地域の住民の方と子どもや若者が交流できるような事業であるとか、子どもや若者がまちに参画するような機会をつくりたい。そういった活動を藤ノ木セカンドハウスを拠点としてやれたらいいなと思っております。それ以外にも外国にルーツを持つ方が多く住んでいるエリアでもありますので、多文化共生に関するような居場所機能などもやれたらいいなと夢を語っています。プラスそれをどうやってやるのか、人財や資金など課題ではあるのですが、つくる楽しさと言いますか、今日もラジオが始まる前に山内さんとヤイヤイ悪だくみをしていたところです。 |
●3L APARTMENTプロジェクトのこと |
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絹: | そういう野望と言いますか、次なる夢をお持ちのお二方ですから、おそらくはご存知の情報とは思いますが、伏見区での田中宮市営住宅での龍谷大学と京都市の握手、お耳に届いていますか? |
大: | そうですね。三木さん(三木 俊和 氏:有限責任事業組合まちとしごと総合研究所 グローカル・シンカー・第165回放送出演)とはものすごく仲良くさせていただいています。 |
絹: | なんてプロジェクト名でしたかね。 |
大: | “3L APARTMENT”ですね。 |
山: | 昨日も会ったのですが、そこの学生さんが来てくれていました。また違う取組なので、学生さんが見に来てくれまして、めいっぱいお手伝いをしてもらいました。 |
絹: | その“3L APARTMENT”プロジェクト(第165回放送)は、龍谷大学の学生さんが3年間に渡って田中宮市営住宅の空き室に京都市が少し補助をされて、確か25,000円の月額家賃で安く入れる。だけどそれだけじゃなくて、地域活動だとか、地域のお祭りだとか、子どもの見守りだとか、地域のために学生の知恵で考えてやってねというのが、すごくうまくいったというプロジェクトでしたね。それと大下さんがおっしゃっていることって、すごく一脈も二脈も通じますよね。 |
大: | ほんとそうなんです。その“3L APARTMENT”にも京都市の長谷川さんも尽力されていて、同じような事を語っていますね(笑)。 |
絹: | 京都市がつくった“3L APARTMENT”のプロモーションビデオを見せていただいて、感激して、勝手にコピーしてあっちこっちに配っているんです(笑)。 |
●私の大きな構想として |
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山: | 行政らしくない動きをしていただいたので、今、私たちはこうしたこともできるし、当初食堂だけだと言っていたのを、だんだん広げた話をしていっても、「うん、いいよ、いいよ」という話になってきて、今、私の方として考えているのは、高齢者の居場所をお昼にお茶と200円か300円でうどんかカレーが食べられる、2時間か3時間いてもらえるような場所づくりにしていきたいと。そうすると昼間の時間が使える、夜は夜で子どもたちが来て、あるいは学生、中学生や高校生が来て、そこで食事をする。そしてもう1つ言えば、今、藤ノ木の子ども食堂を卒業していった子が、今度は中学生高校生の食堂へ行って、そしてそれが帰ってきてボランティアとして食堂を支えてくれるというのが、私の大きな構想なんです。死ぬまで頑張らないけません。 |
絹: | はあ、いいですねえ。いやあ、死ぬまで頑張っても足らんかもしれません(笑)。と言いますのは、京都市の市営住宅はたくさんあるので。でもまずはここの藤ノ木団地で、これは素晴らしいです。 リスナーの皆さん、これまでお聞きになっていかがでしたか?我々の知らないところで、行政らしからぬ動きを引っ張り出したお二方がこの目の前におられます。地域の課題、公営住宅・市営住宅が空いて困った。家賃取れないし困った。子どもたちの居場所がなくて心配や。と相談されたら「いいよ」と言った長谷川さんたちという行政マンが実際におられます。どうです?京都市は変わって来たでしょう? |
山: | 昔の行政マンらしからぬ人たちと会えたので、私は今もう最高と言っていいくらいうれしいですね。 |
絹: | 無責任な民間人の第三者ではありますが、こういうちゃんとした仕事をする前向きな行政の方に出会った時には、是非皆さん、拍手するなり、握手するなり、ハグするなりしてあげてくださいね。 ということで、本当に短いあっという間の時間ですが経ってしまいました。この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。お一言ずつどうぞ。 |
山: | できればご支援をお願いしたいです。もうその一言です(笑)。 |
大: | ご支援お願いします。 |
絹: | リスナーの皆さん、ありがとうございました。 |
第172回 ・みんなで作るお祭り「ツクル森」の紹介~京北でスゴイ化学反応が起きてます!
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フ: | Feilang Tseng 氏(株式会社ROOTS 共同代表 ソーシャルデザイン) |
熊: | 熊澤 洋子 氏(バイオリン奏者) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
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(左:Feilang Tseng 氏 右:熊澤 洋子 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、本日のゲスト、妙齢のご婦人お二方をお呼びしております。発音が難しいと言いますか、間違ったらごめんなさい。フェイランさん。フェイラン・ツェンさん。 |
フ: | はい、フェイラン・ツェンです(笑)。 |
絹: | 11月の初旬に初対面です。よくわかりません。よくわかりませんがなぜか「出ていただけませんか」と言っちゃったという方です(笑)。そしてもうお一方、フェイランさんのお友達、熊澤洋子さん。 |
熊: | はい。よろしくお願いします。 |
絹: | どうやらバイオリニストらしいということで、お二方をお招きしてお送りいたします。それではほぼ初めて、二度目にお会いするという方々ですので、自己紹介からお願いします。フェイランさん。 |
フ: | はい、改めましてフェイランです。私は元々サンフランシスコという場所で、インダストリアルデザインというお仕事の勉強をして、その後某大手企業で働いた後…。 |
絹: | え、某大手企業って、京都? |
フ: | はい、京都の健康機器のメーカーで、11年くらいお仕事をさせていただいた後に、そのオムロンで仕事をしながら、京都の京北町という場所で、250年くらいの茅葺の家屋を見つけ、そこに移住をしながら徐々に地域の事業創生とか、イベントづくりというところに携わっていきました。現在はオムロンを卒業させてもらって、コミュニティデザインという名目でお仕事をさせてもらっています。 |
絹: | たぶんそういうことをよく知らずに、でも魅力を感じてしまったのは、たぶんそのコミュニティデザインというキーワードだったと。なんで惹かれたのかは、たぶんそこですね。はい、それでは熊澤洋子さん、自己紹介をお願いします。 |
熊: | はい。先ほどもお話がありましたが、バイオリンを弾いています熊澤洋子と申します。普段はバイオリンの中でもクラシックの演奏ではなくて、ルーマニアとかハンガリーとか東ヨーロッパの地域に根差した民族音楽が大好きで、そういうものを取り上げて演奏する演奏活動や、バイオリンを皆さんに教える講師みたいなこともさせていただいています。 |
絹: | さっきも「意地悪しますね」と言っていたのですが、進行の絹川はよく手を抜きますので、ゲストの方にゲスト同士を他己紹介していただくというコーナーが自然にできてしまっています。さあ、洋子さん、フェイラン・ツェンさんとはいかなる人物ぞ、短く述べよ。 |
熊: | 短く言うと、すごく愛に溢れた彼女です。もう本当に。それからつくりたいものに対して、とても明確にビジョンがあって、それを大事な人、大切な人とつくっていきたいという思いを持っている彼女だと思います。 |
絹: | ありがとうございます。リスナーの皆さん、今の情報で想像を逞しくしてくださいね(笑)。それじゃあ、フェイランさん、洋子さんはいかなる人物ですか? |
フ: | 洋子ちゃんは本当に、私がデザイナーという領域の中でお仕事をしてきたのとは、また新たな形で想像力があるというか、クリエイティブなミュージシャンです。今までミュージックというものを、ジャンルとか好き嫌いで見ていた自分が恥ずかしくなるくらいなんです。 洋子さんと、旦那さんのきしもとタローさんという笛の演奏家のご夫婦なんですけど、音楽というものを解体していくというか(笑)。音楽というものを理解していく時に、色んな文脈があるんですよね。「ツクル森」というイベントを通してお二人とお仕事をさせて頂いているんですけど、例えばリズムというものが、ダンスとセットとなっているんだなということを改めて感じ入ったり、民族と民族同士の対立があった時に、音楽がどういう風に変化していくのかみたいなこととか、本当に地図の上でも歴史的にも、色んな角度から音というものを、多角的に学ばせてもらっているという感じですね。 |
絹: | ありがとうございます。すごく貴重な情報を。ご主人のきしもとタローさんの話も出てきましたが、ぐいぐいと興味を惹かれます。それではゲスト紹介を終わりまして、大事な番組のタイトル、テーマですが、いただいたテーマが「みんなで作るお祭り“ツクル森”の紹介~京北でスゴイ化学反応が起きてます!」と題してお送りいたします。 実は11月の6日に、“あうる京北”、古い人は京都府立ゼミナールハウスと言った方が通りがいいかもしれません。そのお隣に広大な原っぱがあるのですが、そこで「新しいつながりへのお祭り」と題して“ツクル森”プロジェクトというのでしょうか。イベントがありまして、なぜか引っ張られて、よくわからずに紛れ込みました(笑)。スーツにネクタイで行っているおっさんは唯一1人で、浮いてたと思いますけど、すっごく居心地のいいお祭りで、京北でこんなことが起きているんだということを、今まで知らなくて、たぶん初めてじゃないですよね。3回目? |
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(“ツクル森”HPより 令和3年11月6日 あうる京北(京都府立ゼミナールハウス)にて) | |
熊: | 4回目ですね。 |
絹: | 私は京都府の色んなエリアに移住ということが起きることがすごく大切だと思っている部分がありますので、大切なところを担っている人たちがこんなに面白くて、楽しいことをやっているというので、「このプロジェクトの中心メンバー、キーマンは誰?教えて」と声を掛けたのが洋子さんです(笑)。 |
熊: | そうです。そうです。はい!(笑) |
絹: | ということで、そもそも「みんなで作るお祭り“ツクル森”ってなに?」というところから、フェイランさんに口火を切っていただきます。 |
■エピソード1 みんなで作るお祭り“ツクル森”って、なに? |
●木材が、マテリアルが、つくる人が集まると、どんなお祭りができる? | |
フ: | 私が11年前に京北町という場所に、京都市内から移住したのですが、その時に里山の知恵みたいなものに触れまして…(笑)。色んな方がいらっしゃるんですよね。京都市内だとあんまり見ないかもしれないんですが、京北だと鹿がすごい出たり、イノシシがすごい出たりとかするんですけど(笑)、それを仕留めるハンターさんみたいな猟師の方がいらっしゃって、そのお肉を使ってジビエ料理を作るよというようなケータリングをされている方がいらっしゃったり、はたまたタローさんと洋子ちゃんのようにミュージシャンとして、京北町という場所に住みながら、ご自身の創作活動をされているような方もいらっしゃる。ミュージシャンだけじゃなくて、絵画を描かれている方もいらっしゃいますし、音楽家さん、陶芸作家さん、クラフト系の方たちですよね。また、京北は木材が豊富な場所なんです。千本丸太町という場所があると思うんですけど、あそこは桂川の上流に当たる京北から千本の丸太がやってきた場所と言われていて、それぐらい京北町は木が豊富なんですね。木材が豊富、マテリアルが豊富、つくる人たちがたくさんいる。そういう人たちが集まった時に、どんなお祭りができるかなというような、ある種、つくる人たちのサロンとか、ギャザリングみたいな感じでスタートしたのがきっかけになります。 |
絹: | 元々つくる人たちの集まり、クラフトマンと言うか、陶芸家も含めてミュージシャンも含めて、そういう人たちがぎゅうっと集まってきたのが第一回だったんですね。 |
●つくる人とローカルの人との交わりでケミストリーが生まれる |
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フ: | そうですね。いわゆるその人たちIターンと呼ばれる新しく住み始めた人たちもいるんですけど、ツクル森には元々のローカルの方たちも参加してくださっていて。 |
絹: | あ、それ大事! |
フ: | 例えばアイガモ農法をされていて、昔からちゃんとオーガニックをされている方だったり、鮎釣りの名人で、鮎を焼きますよという方だったり。 |
絹: | ごちそうさまでした。一口いただきました。美味しかったです。 |
熊: | 召し上がっていただけたんですね。上桂川が鮎の名産地で本当にたくさんの釣り人の方がいらっしゃるんですけど、地元で名人ですごく良い鮎を釣っておられます。 |
フ: | そういう方たち、ローカルの知恵を引き継いでおられる方たちというのも、非常に創造的で、ゼロから1を生み出すような人たちというのがたくさんおられて、その人たちを交わらせることで、新しいケミストリーが生まれるんじゃないかという、割と実験的につくりだしたところがあるんですけど(笑)。 |
熊: | みんなに歌ってもらったんです。 |
●京北とのつながり、皆さんに感じていただきたくて |
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絹: | 今、ほうっとしてますけど、家守の木、その絵本を、というか小冊子をおつくりになったその心について、また少し続けていただけますか。 |
フ: | やっぱり京北町は平安の時代から京都市とつながりがあったので、都に寺社仏閣を建てるために木を送っていたというところがあって、今まで流通が変ったりして、そういったつながりがなくなって、京都市の方たちが「京北って、どこなの?」ということが結構増えているんですけど、この『家守の木』の本を見ることで、私たちの長いつながりというのが感じてもらえたらいいなと思っています。 |
絹: | 「みんなで作るお祭り“ツクル森”」の紹介というタイトルのラジオ番組で、ここまで家守の木の絵本のお話まで。この人たちすごい壮大な事をやっているぜみたいなことが、改めて、なんかスゴ! 本当に30分番組で収まるはずもないような内容です。“ツクル森”のプロジェクトだってもう4回やられて、この先もジモティと言いますか、里山の知恵をずっと伝承してきた人たち、ローカルの人たちとIターンの人たちが良いミックスと言うか、ランさんの言葉で言うと、ケミストリーが起こっているという。この先どうなるんでしょうねえ。楽しみですねえ。 |
熊: | そうですね。ますます豊かになっていくと思います。 |
フ: | こういう連携した創作物というのが、もっともっと増えて行ったらいいなと思っています。 |
絹: | リスナーの皆さん、京北と言うと、なにかすごく保守的で頑固で、なんも変わんねえみたいな、京都市内の人間には変な、間違った思い込みがある部分も少しあると思うのですが、起こっていますよ、変化(笑)。だから本当に行ってほしいなあと思います。 |
●“ツクル森”イベントは続きます 今度はぴゅーんと飛びますよ! |
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絹: | そして告知情報として、これは“ツクル森”の新しい変化を象徴するイベントかもしれません。さきほど教えていただいたのは何でしたっけ。 |
絹: | ということで、この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクトの応援でお送りいたしました。フェイランさん、洋子さん、ありがとうございました。 |
両: | ありがとうございました。 |
第171回 ・宝池北公園で何やら面白い事が…~地元と京都市が公園でつながる社会実験~又は、ドSとドMの戦い
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山: | 山内 成介 氏(岩倉南自治連合会 副会長) |
葉: | 葉山 和則 氏(京都市建設局 みどり政策推進室 公園利活用企画課長) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
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(左:山内 成介 氏 右:葉山 和則 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、本日のゲスト紹介です。早速打ち合わせとは違うことをやってみようかなというイタズラ心がムクムクっと頭をもたげてきましたが(笑)。では、まずはお一方目、岩倉から来ていただきました。岩倉南自治連合会の副会長をなさっています山内成介さんです。 |
山: | はい、山内です。本日はよろしくお願いいたします。 |
絹: | もうお一方は、ご近所さんです。市役所のみどり政策推進室 公園利活用企画課長でいらっしゃいます葉山和則さんです。 |
葉: | 葉山です。よろしくお願いします。 |
絹: | では早速いたずらを仕掛けます。葉山さん、進行役の絹川は手を抜くことが多くありまして、ゲスト紹介をゲストにやらせてしまう、いわゆる他己紹介です。自己紹介ならぬ他己紹介というのを、時々やります。葉山さんに問います。岩倉南自治連合会の副会長さんの山内成介さんとはいかなる人物ぞ、短く述べよ。 |
葉: | 自分と考え方がすごく似ている人なんですけど、すごく前向きと言うか、未来を見据えて、楽しく面白く物事を進めて行こうというような、企んでいらっしゃりそうな感じの方です(笑)。 |
絹: | 葉山さんと似たタイプということは、倒れる時は前向きにというタイプですか(笑)? |
葉: | そうですね。まず行動するというところで、今回お付き合いできることになりましたので。 |
絹: | ありがとうございます。それでは山内さんの番です。山内成介さん、みどり政策推進、葉山和則さんとはいかなる人物ぞ、短く述べてください。 |
山: | 葉山さんは京都市電みたいな人やと思っていますね。 |
絹: | 懐かしいなあ(笑)。市電ですか。そのこころは。 |
山: | 葉山さんは今、公園をガラッと変えようとしておられる先駆者なわけですね。以前の職場でも京都の市民新聞の紙面もガラッと変えて、すなわちガラッと変える先駆者! |
絹: | 市電も先駆的なものでしたと。 |
山: | あれも日本で初めての前例のないところを、皆で色んな事を考えて、それをどんどん広げていくと。まさに葉山さんは京都市電そのものやないかなというふうに思っております。 |
絹: | リスナーの皆さん、今日のゲストの人となりの一部、少し透けて見えたでしょうか。ということで、このお二方と進めて参ります。 さあ、本日の番組タイトル、テーマです。「宝が池北公園で何やら面白い事が…~地元と京都市が公園でつながる社会実験~または、ドSとドMの戦い」と題してお送りいたします。さあ、いったい何が起こっているのか、葉山さんに口火を切っていただきます。お願いします。 |
■エピソード1 そもそも何が起こっているんですか |
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●今までの公園の使い方、本当にそのままでいいの? | |
葉: | 宝が池公園で今行っているのは、社会実験です。公民連携公園利活用トライアル事業という、ちょっと私も時々忘れるような名前でやっているんですけど(笑)。名前の通り、公園でちょっと色んなトライをしてみようよということで、今までの公園の使い方が本当にそのままでいいのかと。公園それぞれで大きさやポテンシャルが違うものですが、それを今の公園は全国的にどこも同じような禁止だらけの公園になっています。でもそこに住んでいる人の思いによっては、禁止事項でも本当はやりたいと思っている方もたくさんいらっしゃったりするんじゃないかと。そういった事を公園それぞれで地域の方々と一緒に使い方を考えて、試しにやってみましょうと。で、失敗した場合は、ドMのようにしばかれましょうと(笑)。そういうようなチャレンジ精神で、色んな方と連携してやっております。 |
●公園であんなこと、できたらええなあ |
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絹: | 広報資料を私の手元資料として持って来ておりますが、京都市建設局のみどり政策推進室でいただいたものです。 公民連携 公園利活用トライアル事業公募開始!! 本格的な人口減少、環境保全、災害対応、新型コロナウィルス感染症等、本市を取り巻く様々な課題の克服に向けて、都市の魅力、活力、憩いを生み出す貴重な空間である公園を最大限に利活用していくために、来園者層や規模の異なる3箇所の公園において、柔軟な発想のイベント・サービス等の企画により、試行的利用を行う民間企業等を募集・選定します。 で、広報資料のくせに、「公園であんなことできたらええなあ」という吹き出しが踊っています(笑)。これの元締めに近い所におられるのが葉山さんです。という捕捉を入れさせていただきました。 |
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(京都市HP 【広報資料】公民連携公園利活用トライアル事業公募開始!! より) |
葉: | ありがとうございます(笑)。 その大きい公園、小さい公園、具体的には宝が池公園とこのラジオカフェの近くにある新京極公園と御所の近くにある竹間公園の三ヵ所で、それぞれの公園に合わせて、やりたいことを募集しました。民間企業さんと一緒に組んでもらうというのが前提になっています。というのは京都市は今、大変な財政難なので、この取組を進めて行くのに予算がないんです。 |
絹: | 存じ上げております。コロナの影響でなんと五百数十億の税収不足という、京都市の悲鳴が聞こえてくるような気がいたします。そんななかで新しい事をやってしまおうというとんでもない人たちがこのお二方です。 |
●岩倉南自治連合会さんからびっくりするような、多彩な提案をいただいて… |
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葉: | 民間企業さんが参画することで、地域で何かやりたいと思った時に、民間企業にバックアップしてもらう形で、やりたいことを実現していくというものです。募集したところ、想定以上にたくさんの企業に応募いただいて、その中の1つとして、宝が池公園で岩倉南自治連合会の皆さんと、いくつかの民間企業さんがタイアップして、宝が池公園でアウトドアのイベントであったり、地域交流のイベント等、具体的にはバーベキューや魚のつかみ取りやカフェ、フラダンスなどちょっと変わったものまで、色んな提案を頂きました。しかもイベントで単に楽しくやるというだけではなく、地域に貢献してもらうというお題も挙げていたのですが、公園の美化活動はもとより、樹木で危険木のようなものもあったりするので、そういうものを手入れしていただいたり、あるいは森林の保全に向けて学習するような機会を設けたり、そういった様々な、本当にびっくりするくらいの多彩な提案を頂いて、有難く採択させていただきました。 |
絹: | 実は宝が池北公園にこの間お邪魔してきました。山内成介さんとも初めてそこで出会ったわけですが、本当に素敵な居心地のいい空間やなと思いました。 さあ、ここで山内さんにご登場願いまして、そういう企画の中心におられて、なぜああいうことをやろうと思ったのか、あるいはご苦労などエピソードを開陳していただければと思います。 |
●岩倉南、そもそもモチベーションの高い地域なんです |
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山: | 岩倉南学区の自治連合会の副会長をやっているのですが、岩倉南学区は地下鉄の国際会館駅の周りの学区なんです。宝が池公園もその中に入っていて、学区内には住んでおられる方が15000人弱おられるのですが、非常にモチベーションの高い地域で、例えばノーベル賞が2人出ているんですね。たぶん世界的にもそんな地域はないのではないかと思うんですが。 それからこの前のパラリンピックにも1人、競泳の選手が出ていたり、本当にモチベーションが高くて、未来志向で、みんなどんなふうな未来がいいのか、そして今はどういうふうにしたらいいのかということを考える方がすごくたくさんおられるんです。実はこの話がある前から、どういった取り組みがいいのだろうとか、どういうふうにしたら次の世代にいいものを残せるのかということで、公園に関しては勝手に「宝が池セントラルパーク構想」というのを、我々の中で練っていたりとかですねえ(笑)。 |
●宝が池セントラルパーク構想、考えてたんです |
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絹: | セントラルパークって、あのニューヨークの?あれみたいにワイワイ使おうぜみたいな感じ? |
山 | そうなんです。「宝が池セントラルパーク構想」って、これ、商標取ってないんですけど(笑)、そういうのも色々考えていたところに、宝が池公園をどんどん今の人たちが楽しめるような形で、トライアルでやってみませんかという話が京都市さんの方から出てきまして、「これはめちゃくちゃええ機会やなあ」と思って、我々は企業じゃないんですけど、自治連合会として何か参画して今まで考えていた事を、最初の第一段階として具現化できる、それを積み重ねていける最初の第一歩にしたいなと思ったわけです。 |
●お医者さんと組んで山のアウトドアジムなんて、面白いでしょう? |
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山: | 実は山の整備についても、年齢が多世代で、地元の人がそれに参画できるようなことを色々考えていまして、例えば人生100年社会になっていますので、高齢者の方がジムに行く代わりに山の木を切ったり、山道をつくったりするなどということもあるのではないか。全身運動になりますので、それを例えばお医者さんと組んで「こういう動きをしたら、非常に膝にもいいよ」とか、「3回に1回は背筋を伸ばしてください」とかサジェスチョンしてもらいながら、青空の下で、アウトドアジムをやっているというようなことをやっていければと思っています。 |
葉: | 発想が面白いなあ。 |
絹: | かつてのステレオタイプのお話ですが、街路樹の落葉するシーズン、ギンナンが匂う、落ち葉が自分の家の玄関に降り積もると、京都市に電話して「おい、掃除しに来んかい。わしは税金払てんねん」というのが、ある種市民の悪いパターン像でしたけれども、それとどうも一線を画す市民が、特に岩倉南自治連合会には多そうですね。 |
葉: | そうですね。内部でもそんな相手っていないんじゃないかというのが、このトライアルをする時に課題として出たんですけど、それも含めてやってみようと思ったら(笑)。 |
絹: | 企業は申し込んでくるかもしれへんなあと思っていたところが、企業を飛び越えて自治連のジモティーの皆さんが食いついた。大物が食いつきすぎて、びっくりしはったでしょう。 |
葉: | びっくりするのは、実は新京極もそんな感じになりつつあるんです。地元の方が熱量を出してきて、「この公園、どういうふうに過ごすようになったら自分らは楽しいか」と考えるようになってくださって、本当にトライアルという感じでやったものが、思った以上に成果が出ていて有難いですね。 |
●「こんなことできたらええなあ」を皆さん、語り合いましょう! |
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絹: | リスナーの皆さん、お気づきでしょうか。本当に行政と市民の関係が変わりつつあります。宝が池公園だけではなくて、新京極でも、船岡公園でも色んな所で熱量の高い市民が、「行政の資金力がなくなってきたらやれることを助けたるで」とばかりに口も出すけど、手も出すと。そういう人たちが我が京都には、ひょっとしたら数多くいらっしゃるようです。こういう方々が京都を住みやすく、風通しのいい都市にしていくという期待を感じてしまいます。ぜひ、皆様も公園で起こっている社会実験に覗きに行ったり、参画したりしていただけたらと思います。 山内さん、本当は冬用のやりたいことも温めてはるんですよね。 |
山: | そうですね。冬はジビエにホットワイン…。 |
絹: | いいなあ、公園でね、やってみたいですよね。 この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。最後に一言どうぞ。 |
葉: | 公園の利活用というものを、このラジオを聞いた方も柔軟に考えて頂いて、「こんなことできるのかな」ということがあれば、ぜひ我々の所に来ていただいて、もちろん行かせていただきますし、夢を語り合えたらいいなと思います。ありがとうございました。 |
絹: | 山内さん、ごめんなさい。タイムアップ。また来てね!さよならあ! |