カテゴリー まちづくりチョビット推進室
第186回 ・まちの同級生~「京都をつなげる30人」との出会いから…
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小: | 小野寺 亮太 氏(京都市子ども若者はぐくみ局 子ども若者未来部育成推進課) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
(小野寺 亮太 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをお伝えしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、本日のゲスト紹介です。お若い方に来ていただきました。“京都市子ども若者はぐくみ局”、変わった名前でしょ?京都市の中にはこういう局を担当している人たちがいるんです。“京都市子ども若者はぐくみ局”から小野寺亮太さんにお越しいただきました。小野寺さん、よろしくお願いします。 |
小: | よろしくお願いします。 |
絹: | 小野寺さんと僕の出会いは、ごくごく最近と言っても年末でしたかね。 |
小: | 年末ですね。 |
絹: | 年末にゲスト交渉に行ったら、産休に入ってしまって、しばらく連絡取れなかったんです。京都市の中でもこうやって、男性で産休を取って、昨日も電話したら在宅勤務でしたね。 |
小: | そうなんです。育児をしながら仕事を頑張っています。 |
絹: | 小野寺さんは、京都市の総合企画局の市民協働担当の相川さんという、市民協働ファシリテーターの元締めに近いところにおられる方にご紹介いただきました。この番組の第181回に熊切さんという方をゲストに「市民協働ファシリテーターってなに?~3人のファシリテーターに聴く」をオンエアしましたが、その時の熊切英司さんに続く、2人目のファシリテーターとして小野寺さんに来ていただきました。市民協働ファシリテーター、今、100何人でしたっけ? |
小: | 150人くらいです。 |
絹: | その中で活きのいいのを3人くらい紹介してと頼んだんです。それでアドバンスドファシリテーターという仕組みもできてきたでしょ?熊切さんはそういう研修も受けていらっしゃいました。で、2人目として来ていただいた小野寺さんということで、是非リスナーの皆さん、ご期待ください。 さて、今日の番組タイトル、テーマです。「まちの同級生~京都をつなげる30人との出会いから…」と題してお送りいたします。先ほどゲストの小野寺さんと打ち合わせして決めました。小野寺さんの思いが入ったタイトルです。 |
■エピソード1 まちの同級生、京都をつなげる30人って、どういうこと? |
●職業も年代も多様な30人が集まって… | |
小: | 私は子ども若者はぐくみ局におりますが、今やっている仕事としては、京都市では青少年活動センターという中学生から30歳くらいまでの方たちの居場所を公的施設として持っておりまして、主にその担当と、成人式の担当をしております。 |
絹: | 青少年活動センターは私もご縁がありまして、山科青少年活動センター(愛称:やませい)に時々行っていました。何年か前のゲストに大場さんと言うセンター長をお呼びして、山科子ども食堂ネットワーク構想について語っていただきました。そういう言わば若い人がたくさんいらっしゃるところですよね。それを7つ束ねる部署にいるのが、小野寺さんです。 |
小: | そうです。今の仕事はそうなんですけど、今日のタイトルである「まちの同級生~つなげる30人」ということで、まずこれがなんぞやというところからお話したいと思います。これは市民、企業、行政、NPOから構成された約30人のまちづくりのプレイヤーが協働する、地域にイノベーションを起こすためのプログラムを繋げる30人となっています。 |
絹: | いやあ、面白そうです。なんとなく想像できるのが、私のような初老のおっさんとかじいさんはメンバーとしては少なくて、ひょっとしたらメンバーは20代、30代、40代くらいまでの人が、30人の中に多そうな気がするなあみたいな、合ってます? |
小: | 意外に錦商店街のお偉いさんの方がいらっしゃったりとか…。 |
絹: | おっさんもいはるんですか? |
小: | そうなんです。本当に年代も幅広く、学生の20代もいれば、60代のバリバリ働いておられる方もいらっしゃいますし、本当に多様なセクターの方から30人が集まりました。 |
●まちづくりのプレイヤーたちがイノベーションを起こす |
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絹: | これは行政が声を掛けておられるんですね。 |
小: | 行政と、京都市と連携協定を結んでいる“スローイノベーション”という、これも市民協働ファシリテーターの…。 |
絹: | スローイノベーション、ゆっくりなイノベーション。ひょっとして京都市の行政マンだったけれど、飛び出しているような人が時々いるじゃない。何かそんな匂いがするけど、違います? |
小: | 違いますねえ(笑)。バリバリ民間の方々ですけど(笑)。スローなイノベーションを提唱されているんです。 |
絹: | 中心人物はどなたですか。 |
小: | 市民協働ファシリテーターの講師でもある野村さんという社長の方が、まちづくりのキープレイヤーとなる方たちを約30名集めて、色んな地域の課題や社会の課題を皆さんの強みを使いながら解決していこうというプログラムです。 |
絹: | 京都をつなげる30人というプログラムは、もう何年か行われているようですね。 |
小: | 僕が入ったのは3期なので、その時点で3年は続いていることになります。私の時は「脱炭素社会をいかに実現するか」みたいなテーマで色々動いたんです。脱炭素社会というと、すごく広い課題なのですが、それをもう少し市民目線に落とし込もうと、30人で対話を重ねながら「本当の課題って何なのだろう」みたいなのを突き詰める作業が、私にはすごく刺激的でした。 |
絹: | まちの同級生というタイトルをお選びになったことからすると、京都をつなげる30人の3期生とのお付き合いが、ひょっとすると卒業しても未だに続いていそうな感じですね。 |
小: | そうなんです。やっぱりそこで信頼関係というか、みんなを尊重しながら1つの課題に向かって走っていくという感じで、本当に仲良く、ざっくばらんに、心から話せる仲間になったような感じですね。 |
●京都市未来まちづくり100人委員会との共通点 |
絹: | 以前、小野寺さんにもお話したことがあるかもしれませんが、私は10年以上前に、京都市の総合企画局が主管で“京都市未来まちづくり100人委員会”、一般の市民を無給で百数十名、土曜日の4~5時間、会議室に閉じ込めてこき使うというとんでもない委員会に所属しておりました。私勝手に自嘲的に「やらずぼったくり詐欺企画」というあだ名をつけてましたけど(笑)。本当に熱心に「京都のために汗をかいてもいいよ」「自分の知恵を持って行ってもいいよ」という人たちがどっと集まっていた、そういう仕組みがあるんですね。僕は1期から3期まで。で、後で聞いたら小野寺さんは4期生だと。 |
小: | そうなんです。そんな繋がりもあって。 |
絹: | 確か7期で発展的解消ですね。で、その時の香りがこの「京都をつなげる30人」というのと、結構だぶっているような気がします。 |
小: | まさしくだぶっていますし、より具体化したようなイベントでもありますね。 |
絹: | ですから100人委員会で醸成された、得られた経験値だとか、ノウハウをさらに30人というところに凝縮して、100人委員会よりもひょっとしたら進化版みたいな気がします。 |
●トートひろばでのイベント |
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小: | まさにそんなイメージです。今回私は阪急・阪神さんと同じチームで、インフラもお持ちで、そこでイベントをさせてもらうことができたのですが、30人の知恵をそのイベントに凝縮させたみたいなことができて…。 |
絹: | その阪急・阪神さんと組んだイベント、内容を聞きたいですね! |
小: | 阪急洛西口の高架下に“トートひろば”というイベントスペースがあるんです。 |
絹: | どんな字を書くんですか? |
小: | カタカナで「トート」、英語なら“TauT”で、Tが高架下みたいな格好になっているわけです。そこは色んなイベントをされていて、イベントを通じて地域を活性化していこうみたいな、そういう思いをお持ちだったのです。今回「脱炭素」ということがテーマでしたが、「脱炭素って、わかりにくいよね」という話がみんなの中であって、環境にいいこととか、地球にやさしいって、どんなことなんだろうみたいなことに落とし込んでいったんです。 まず環境にやさしいことを実感してもらうきっかけをつくるようなイベントをしたらいいんじゃないかという話になって、いろんな切り口からブースを出して、イベントをやりました。 |
絹: | ブースを出すというと、何か学園祭みたいなノリをつい想像してしまいますが、あるいは手作り市とかね。何かトートひろばでまちの学園祭とか、手作り市っぽいイベントが高架下に現れたんでしょうか。 |
●脱炭素を具体に落とし込む |
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小: | 手作りっぽい物もありますね。例えば古着を売るイベントをやったりとか、それも環境にやさしいことだし、あとはリユース食器を使って食品を提供したり。さらに人力で発電するもので、「電力を生むのにこんなにパワーがいるんだ」みたいなことを子どもたちに知ってもらったりとか、本当に様々な切り口で、「環境にやさしいことって、こういうことにも繋がっているんだ」と実感してもらう、そういうイベントでしたね。 |
絹: | 体を使うこととか、古着を見直して、作られ命を得たものを大切に使おうよみたいな、いいですねえ。リユース食器なんかも、ひょっとしたら本当にじゃまくさいことかもしれないけれども、それでもちょっとこだわりたいみたいな形でやられるとね。 ただ、あんまりこういう発言をしない方がいいのかなとも思いますが、僕、脱炭素というと否定的な感覚もどこかにあって、利権に繋がる脱炭素とかSDGSとかいうことを、「うさんくさ」と思う絹川くんもいて…、でも本当にまじめに取り組んでいらっしゃる方たちとそういうものを分けて考えないといけないなと思いつつ、僕実はSDGSのバッジ付けている人、嫌いなんです(笑)。 |
小: | そうなんですか(笑)。でも結構いますよね。 |
絹: | そうなんです。ただ脱炭素ということから、リユース食器だとか、本当に電気を人力で起こそうとするとすごいパワーが要るので、電気はこんなに大切なんだねとか、古着を大事に着ようねみたいなことに、一段分解していただくと、僕にとってはうさん臭くなくなるんです。 |
小: | ほんとですか(笑)。まさにそういうふうに落とし込んでいかないと、人の選択って変わって行かないよねみたいな話が出ましたね。 |
絹: | 上滑りで世論誘導をされて、「ビジネスチャンスに結び付けよう」だとか、「公金チューチュー」って、この頃ネットで流行っている言葉がないですか?地域課題を解決するためではなく、どなたかの懐が豊かになるために助成金を使おうという人たちが世の中にゼロではないので、そういう匂いにはちょっと私は今過敏になっています。 |
小: | 実際に人が動く動機って、やはり納得性や共感だと思うのですが、そういう意味で対話を重ねることによってどうやって共感が得られるのか、動く動機になるのかというのを、30人でとことん話し合いました。 |
●環境と経済はどう成り立つのか - 電力会社の玉石混交 |
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絹: | トートひろばでは、どんなブースでどんなことをやったのか、もう少し教えていただけますか。 |
小: | ブースもそうなのですが、環境と経済がどうやったら成り立つのかというトークセッションをみんなでしました。ゲストにテラエナジーさんという、お寺で電力会社を立ち上げた方がいらっしゃるのですが、なぜ立ち上げたのか、今どういうふうな世の中を目指しているのかという話をみんなで共有しながら…。 |
絹: | テラエナジーさんみたいな感じでやられる方々はなんかすごいなとか、尊敬できるのですが、なかには山の中でメガソーラーなどをやって、土砂崩れを起こしているようなところもあって、似ているけど違うという感覚がしますよね。「後はどうなってもいい」という企業群とテラエナジーさんは行動形態は似ているけれども、似て非なるものだと、その辺がトートひろばで集まって来られた方に肌感覚で伝わるといいですよね。 |
小: | そうなんです。本当に電力を替えるだけで環境に良くなるというところもあって、人の選択1つひとつが世の中を良くしていくんだというふうになっていけばいいなと。 |
絹: | 玉石混交で実は難しいんですけど、色んな情報公開がされてないようですから。すみません、いらん突っ込みを入れてしまいました。 |
●まちの同級生との出会いが私の糧に |
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小: | そうやって対話をしながら、まちの同級生ができた。そういう信頼ができる関係づくりができたというのが、私の糧になっています。 |
絹: | 30人おられたら、本当に色んな専門家が集まられたでしょうねえ。年齢構成も縦にバラエティに富んでいるとおっしゃいましたから。 |
小: | ですから普段の仕事では出会えないような方たちと出会えたということが、私の財産になっているなという感じですね。 |
絹: | 今、パッと代表的にまちの同級生として出会った方のなかで、固有名詞ありで「この人、面白いねん」という人、例示できます? |
小: | それで言うと、“なんかしたい”さんという合同会社があるんですけど、学習支援をやられている起業家で、それも塾みたいな感じですが、塾を通じて子どもの居場所になっていたり、色んな悩み相談を受けたり、親同士の居場所になっていたりとか…。 |
絹: | おいくつくらいの方ですか? |
小: | 私よりちょっと上くらいですかねえ。 |
絹: | と言うと? |
小: | 30代半ばくらいだと思います。 |
絹: | この辺の30代真ん中±アルファくらい、どうやらすごい手練れが集まってそうな年代です。私は60代半ばくらいですが、若い時、「儲けてなんぼ」みたいな教育を受けたじゃないですか。心の中で「世のため人のため」とかって思う部分がないわけじゃないですが、昭和育ちは恥ずかしくてそんなことは言わないわけです(笑)。「まず社員食わせてなんぼや!」みたいな。ところが今、20代30代の人たちは当たり前に世のため地域のためにということを、最初からさらっと言う人、多くなってません? |
小: | あ、多いですね。 |
●サードプレイスという居場所が、今、求められています |
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絹: | だからやっぱりジェネレーションと言うか、人種が変っている気がします。その “なんかしたいねん”合同会社ですか?子どもの居場所であり、親の居場所でもあるって言うでしょ。私も実はその居場所というキーワードを長年追いかけておりまして、サードプレイス、まちの縁側、地域の居場所というのを尋ね歩いていた時期もあります。 そういう居場所が、例えば小学校区にいくつかあったら、それがあるだけでその場所の地縁が良くなったり、地域の課題が少し減る気がしますので、すごいなあと思って、居場所という言葉がパッと出てくるなんて。 |
小: | 私の仕事にも関わって来るのですが、学校でもない、家庭でもない、まさにサードプレイスという居場所は、世の中に求められているなというのは感じますね。 |
絹: | 私自身が子どもの頃からでしょうか、人と人との繋がりを切る方向、分断される方向のベクトルで育てられたという気がしていましてね。今の若い人たちは我々の世代がチョキンチョキン切って来たものを、もう一回繋ぎなおす世代かもしれないという仮説を、私は今持っているんです。 |
■エピソード2 子どももまちの同級生 |
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●「こども基本法」のこと | |
小: | この4月に「こども基本法」という法律が施行されました。 |
絹: | あまり詳しくないのですが、色んな物事を決めていく時に、当事者である子どもの声もちゃんと拾おうぜみたいな、すごい法律らしいですね。 |
小: | そうなんです。これで本当に世の中が変わるなと思っています。国の方も「こどもまんなか社会」と言っていますが、子どもを軸に色んな政策や取組みを進めて行くことが、ほぼ義務付けられてきたということです。 |
絹: | 昨日もお電話で突っ込んでしまいましたけど、理念としては素晴らしいと。でも実際にやるのに、子どもの声を拾うのって、すごい腕が要るんと違いますかと。ということを小野寺さんに議論をふっかけていましたけど(笑)。 |
小: | 本当にそうで、こどもは社会的弱者であるので、そういう人の声を聞くというのはやはり大人側の知性が求められるのかなと。 |
絹: | 知性とともに、場づくりという言葉がありますけど、こどもたちがこの場は安全なんだと、自分の思いを開陳してもいいんだという信用してもらう場をつくれる大人サイド、これはものすごく高度な、敢えてファシリテーションという言葉を使うと、ファシリテーター研修を受けてこられた小野寺さんたちにとっても、これは腕利きじゃないとなかなかできない技でしょう。 |
小: | まさしくそうです。ですから市民協働ファシリテーターのさらにプラスアルファで子ども若者向けのスキルというのは、今後身に着けていかねばならないなと思っています。 |
絹: | そういう研修を受けたりしている行政マンが、特に若い人で育ってくると、世の中変えちゃいそうな気がしますよね。だから小野寺さんみたいな人に「ゲストに来て!」と言って呼んだりするんでしょうね(笑)。 |
●子どもと対等に意見を言い合える関係を |
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小: | 子どもの声を聞く、聞かせる、言わせるというのはナンセンスかなと思っていて、子どもも大人と一緒でまちづくりのパートナーであると認識することで、言わせるだけじゃなくて、子どもと対等に意見を言い合えるような関係になっていくと、僕は理想かなと思っています。まさに子どももまちの同級生だよというふうに思って、これからそういう場をつくっていけたらうれしいなと思っています。 |
絹: | なんか落としどころがばっちり落ちてきましたね(笑)。 市民参加だとか、市民協働というキーワードが京都市の中で語られるようになってだいぶ経ちます。でもワークショップや場づくりを行って市民の声を広く聴きましょうというのが、時が経つにつれてアリバイのようになってしまった。つまりワークショップというタイトルがつくのをやっておけばいいみたいな間違った流れが、一時的に現出していたことも記憶しています。その反省からもう一度魂を入れ直そうとして、市民協働ファシリテーター研修のような制度が6期にわたって行われ、小野寺さんのような方たちが今育ち始めていると、オールドファシリテーター世代と言いますか、一期生の研修を受けていた頃の自分は、今感じています。 聞くにつけ、ものすごく高度なことを国は意識し始めて、小野寺さんの言葉を借りれば「こどももまちの同級生」。これ、さらっと言っちゃったけど、ものすごい難しいことを標榜されていると私は感じています。ということで、市民協働ファシリテーター研修を受けた6期生の100数十名の人たちがそろそろまちに出始めるのではないかと思っています。色んな所で関わって、場をつくって、声を拾って、新しい地域課題解決に向け動かれることに、もし気づかれた方はトントンと肩を叩かれるなり、そばににじり寄っていただけたら最高です。 この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。 |
投稿日:2023/05/31
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第185回 ・京都の歴史的な転換点!これまでにない発想で全国初だらけ~坂越 健一副市長に聴く
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坂: | 坂越 健一 氏(京都市 副市長) |
西: | 西島 優希 氏(京都市 総合企画局 市長公室 副市長担当秘書) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
(左:西島 優希 氏 右:坂越 健一 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをお伝えしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、本日のゲスト紹介ですが、珍しくビッグゲストをお招きしております。我が番組初でございます。京都市の副市長であらせられる坂越さんです。大緊張しながらですけれども、すごく気さくな方でしゃべってくださいますので、皆さまご期待ください。 そして坂越副市長に無理やり拉致されて、連れてこられた同行秘書さんがおられます。西ちゃんこと西島優希さん、どうぞ。 |
西: | よろしくお願いいたします。恐れ多いのですが、おじゃまさせてもらっています(笑)。すみません。お願いいたします。 |
絹: | 坂越健一さんと番組のスケジュール調整するのに、秘書の西島優希さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。 さあ、それでは副市長、今日の番組タイトル。 |
坂: | はい。初めてづくしでしょ? |
絹: | いただいたやつ、言いますね。「京都の歴史的な転換点!これまでにない発想で全国初だらけ~坂越健一副市長に聴く」と題してお送りいたします。全国初だらけって、期待の持てるキーワードでございます。リスナーの皆さん、ご期待ください。 さてここで、坂越健一京都市副市長について少しご紹介をさせてください。令和4年の7月1日に、京都市に着任されました。生年月日は昭和47年、僕、東大法学部を卒業している人って、友達少ないんです。知り合いでは初めてかもしれません。同級生の中で一人だけ。 |
坂: | そうですか。 |
絹: | 経歴を全部言うと大変なので、旧自治省、現総務省の採用で、やはり中央の方なのであちこち動いておられますが、総務省の本省だけでなくて、長崎県にご出向になっていたりします。噂では「総務省のエース」と、市役所の知り合いはつぶやいておりました。 それからリスナーの皆さんにどのような方か想像していただくために、エピソードを2つだけ入れさせてください。 ねえ、西島さん、車で移動されるでしょ。あちこちね。そしたら「次の週末どこ行こう?」と相談されるそうですね。それ、事実ですか? |
西: | そうですね。この前も桜の時期でしたので、清水寺きれいだなというお話だとか、「今日、行ってみようかな」というお話だとか、よく車中でいろんな京都の…。 |
絹: | それがただ行くのではなくて、ママチャリでどこでも行かはる人らしいですね。 |
坂: | はい、京北まで行きました。 |
絹: | それ、危ない。雪降っていたら危ないって、止められたんじゃないですか。 |
坂: | 娘が受験だったので、ここで京北まで自分がチャリで行ったら娘が合格すると思ったので行ったんです。 |
絹: | あ、願掛けじゃないですか。それ。 |
坂: | はい。ちなみに鈴虫寺のわらじ地蔵も3回行ってますからね。それも娘の受験ために行きました。ちなみに鞍馬も2回行ってます。ママチャリで。巨椋池も行ってますよ。 |
絹: | お尻擦りむけませんか(笑)。 |
坂: | でも仕事も兼ねてというのも多いんです。仕事と言うか、自分の知見を増やすために。 |
絹: | ご着任以来、やはり京都の色んな所を見て歩いてというところが、きっと背景にあるはずです。冗談めかしておっしゃっていますが。それと覚えておいてくださいね。「娘の願掛けで行った」と。 |
坂: | 合格しなかったですけど(笑)。 |
絹: | こういう人です(笑)。それではこの辺りで主人公にご登場いただいて、マイクの主導権を坂越副市長にお渡ししたいと思います。 |
■初めてづくしの政策 その1 ― 文化首都 京都へ |
●明治初期の心意気を、ふたたび | |
坂: | 今日お伝えしたいのは、今、京都が歴史的な転換点を迎えているということです。その歴史的な転換になるような政策を全国初づくしというご紹介がありましたが、初づくしの政策を5つくらい、最近導入しましたので、それをご紹介させていただきたいと思います。 |
絹: | 是非、リスナーの皆さんにできれば専門用語は減らしていただいて、平仮名でお願いいたします。 |
坂: | 例えば京都の歴史、皆さんご存知の通り、明治維新があった時に、天皇陛下が東京に行かれて…。 |
絹: | 「ちょっと行ってくるわ」で、帰ってきはらへんかったんですね。 |
坂: | あの時に人口が3分の2に減ったんですね。34万人から23万人になったんです。その時に行政も町衆の地域コミュニティも、経済界もみんな頑張って京都の再興のためにいろんなことをされたんです。例えば琵琶湖疎水とか、平安神宮をつくったり、路面電車をつくったり、水力発電をやったりとか。なんといっても日本で最初の学校を、皆さんの竈金で64校つくったわけです。 |
絹: | 番組小学校ですね。 |
坂: | はい、それで京都がここまで発展する礎になったのですが、それ以来の転換期と言ったら大げさかもしれませんが、それくらい重要な節目かなと思っているので、今日は5つの我々がやったことについてご紹介したいと思います。 ここで重要なのは行政だけでやってはだめで、明治初期のように、みんながそれぞれの業界みんなが一緒になってがんばるというのがすごく重要なのかなと思って、それを今日はお伝えしたいし、お願いしたいなと思ってまいりました。 |
絹: | はい、望むところでございます。 |
●文化庁が京都に来たからこそ… |
絹: | リスナーの皆さん、お気づきですか?坂越さん、今思いっきり力が入っています。本当にこれ、大事です。 |
坂: | ですからこの何十年ぶりの都市計画の見直しによって、今まで最大の課題とされてきた産業用地不足が、解決するんです。だからこそ、今まであまり力を入れて来られなかった企業誘致に全力で取り組んでいこうと新しいポストをつくりました。企業誘致専門ポストをつくって、首都圏や色んな所に行ってもらって、直接営業活動をしてもらおうと考えたわけです。 |
絹: | トップ営業ですね? |
坂: | そうです。京都は1200年以上、都だったので、経済も人も物もお金も集まって来ていたのですが、外需の取込みというのは少し弱いところがあって、そんなに積極的ではありませんでした。でもここはもう大転換して、取り込めるものはどんどん取り込んでいこうと思っております。 |
絹: | 私の言葉で、素人が超翻訳をいたしますと、「もうええかっこしてへんで。やるねん。」と(笑)。さっきコメントでありましたね。芸大の近くに例えば「チームラボって、知ってる?」って。「スーパーブルー、すごいところが既に来るよ」とおっしゃっていました。 |
●ディベロッパーにもどんどん営業をかけます |
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坂: | ということで、企業誘致にも力を入れていきます。それから都市計画の見直しって、絹川さんのような建設会社が、ディベロッパーがマンションを建ててくれないと住居は提供されないので、そういう意味でディベロッパーにも営業を一生懸命かけようということで、ここも新しいポストをつくったんです。国土交通省からエースをこの4月1日に呼んできましたので…。 |
絹: | あ、竹内局長がおっしゃっていました。あの方ですね。 |
坂: | はい、堀崎さんです。今度ここに、私の次のゲストは竹内さんと決まっているようですから、次の次にでも呼んでやっていただければと思いますが(笑)。 |
絹: | リスナーの皆さん、ゲストからゲストの逆指名が今、ありました(笑)。 |
絹: | 待ってました! |
坂: | これを専門用語で市営住宅目的外使用許可という制度なのですが、どこもやれていません。むずかしくてできないんです。それを京都が初めてやります。これは国の方にもそういう動きは察知されて、国の方で「そんなことできるんだ!」みたいな感じで先月3月31日に取りまとめられた子育て世代対策のなかに盛り込まれました。ただその導入はまだ先で、京都の方が先に今からやりますので、それほどこれもすごい政策なんです。 何がすごいかって、市営住宅の6,000戸の空き住戸を使って若者世代に低廉で入っていただきますので、これはもう、ファミリー層への手ごろな住宅の供給ということに大きく資すると思います。やっぱり京都のすごいところは、そういう風に全国的な課題について一番最初に取り組んでいるものが多い。だから全国初だらけなんです。それでみんなまねようとするんです。国さえもまねようとしています。それはやっぱり我々もやりがいがありますし、これからもそういう風なことをやっていかなくちゃいけないなと思っています。 |
■初めてづくしの政策 その5 ― 全国トップ水準の子育て環境・教育 |
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●子ども医療費200円、中学校給食、保育料全国基準の7割 | |
坂: | 最後もう1個は、住宅政策や都市計画もいいけれども、子育て環境や教育も伴わないと若い人は住めませんよと。それはもちろんわかっています。ものすごく画期的な政策をやることにしていまして、それが子ども医療費200円を上限に、小学校6年生まで導入というものです。これは市町村ではあるかもしれませんが、政令市ではトップレベルです。だからこれはすごいことなんです。 それから中学校も全員に給食を導入します。清水の舞台から飛び降りて、やることにしました。 さらに保育料も、全国の国の基準の7割という、すごく低いレベルに抑えているのですが、これを今後も継続してくことも、今回決めましたので、この3つはかなり大きな話です。 |
絹: | ほう、勇気ある決断だあ。 |
坂: | 子育てについては色々言われていますが、数字だけ見て頂いたら明らかなのですが、全国トップ水準であることは間違いないです。教育も子育ても。教育は少人数学級をやっていて、小学校は学力テストの成績が政令市1位です。堀川の奇跡と言われる堀川高校もありますし、西京高校もある。学力は京都は非常に高いんです。それから子育てに関しても、単独の補助金で50億円投入していて、全国トップ水準です。これだけやっていると、結局何ができるかと言うと、保育士さんの平均給与は全国平均より100万円以上高いんです。 |
絹: | この事実、すごいです。 |
坂: | 人数も国基準の1.3倍で非常に高いレベルなんです。保育料は国基準の7割、非常に低い。これら全部まとめたら、全国トップ水準なんです。教育も子育ても。それをさらに今回磨きをかけて子ども医療費を200円、中学校給食と画期的な政策を導入しますので、これはもう本当に自信をもっておすすめできると思います。子育て環境と教育ですね。以上、5つご紹介いたしましたので、全国初づくし(笑)! |
絹: | 打ち合わせ通り、ぴったり時間内に収めていただきました。ものすごい勢いでしゃべられました。 今日、お聞きになっていかがでしたでしょうか。総務省のエース、副市長として7月に着任された坂越さん、あつく語っていただきました。坂越健一さんでした。 こうやって現場に近いというか、京都市の中枢に近い人の声を生で聞いて、信用できると思った人、ちゃんと調べてくださいね。そして自分ができることは、この次に必ず来ます。我々も京都市の中枢の皆さんに協力してできることを考えてみませんか。ということで終わりです。 この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。 坂越さん、西ちゃん、ありがとうございました。 |
坂: | ありがとうございました。楽しかったです。 |
西: | ありがとうございました。 |
投稿日:2023/04/13
カテゴリー:
第184回 ・歴史屋の端くれから工事屋の端くれへ~
投稿日:2023/04/13
カテゴリー:
第183回 ・府営住宅とあなたの夢がマッチング~若者の視点からひもとく空き家活用 地域課題に挑戦する人を求む!
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西: | 西島 良輔 氏(京都府建設交通部住宅課管理・調整係 主事) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
(西島 良輔 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをお伝えしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、今日はお若いゲスト(もちろん私に比べてということですが)をお迎えしております。京都府建設交通部住宅課主事という肩書の西島良輔さんです。西島さん、よろしくお願いします。 |
西: | よろしくお願いいたします。 |
絹: | なんとなんと、三十路になられたところという方でございます。 |
西: | 三日前くらいにちょうど誕生日を迎えまして(笑)。 |
絹: | 結構若い方のゲストですね。私がもう還暦過ぎですので半分以下です。西島良輔さんとの出会いは最近で、京都府建設交通部の中島さんという副部長、圧の非常に強い上司(笑)から「紹介するわ!」と紹介されたのが西島さんでした。 おいおい紹介していきますが、この度京都府さんは大変勇気のある、というか面白い仕事をされました。建設交通部の住宅課の連中、具体的に言うと西島さんたちですよね? |
西: | ありがとうございます(笑)。 |
絹: | 西島さんたちが面白い仕事をされました。そのことを僕は実は感動して眺めておりましたので、それについて語っていただきます。 さて、今日の番組タイトル、西島さんにお願いしましょうか。 |
西: | 申し上げさせていただきます。「府営団地とあなたの夢がマッチング、若者の視点からひもとく空き家活用」。 |
絹: | ではもう一回、僕が言いますね。「府営団地とあなたの夢がマッチング?~若者の視点からひもとく空き家活用」というタイトルでお送りします。 まず、これはもう公式の公開情報ですけど、手元に資料があります。カタく言いますと「京都府府営住宅ストック公民連携活用事業」が正式なタイトルです。これを絹川くんなりに、ひらがなで超訳を試みます。間違っていたら訂正してくださいね。 |
西: | ありがとうございます。 |
絹: | 「活用できる府営住宅ストック」、これ要は「府営住宅の中でどれだけ空き家があるのか」ということです。京都府にはだいたい2年以上、応募がなくて、空いたままの住戸のある府営住宅が52団地あるそうです。「その中で726室が空いていて、これを何とか料理したい。民間の皆さん、知恵ある人は寄ってくれ!」と大きな声で、京都府の建設交通部の住宅課の皆さんが声を上げました。これ、僕なりの超訳ですが、どうですか? |
西: | もうお見込みの通りでございます。 |
絹: | それでは今度は主人公であります西島さんの口から、制度概要とか事業概要、そもそもこれって何?というのを、ご説明していただけますか。 |
■エピソード1 府営住宅ストック活用事業とは、こういうことです |
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●府営住宅ストックを社会課題の解決に役立てたい | |
西: | では若者の視点から、ちょっと柔軟にご説明させていただければと思います。今回の事業は、簡単に申し上げると、長期間応募がなかった府営住宅の空き住戸を、社会課題の解決に取り組む事業者様や各種団体の皆様に提供するものです。皆さまのノウハウや柔軟なアイデアを取り入れた利活用案をどんどん提案いただきたいと考えております。 |
絹: | 社会課題の解決と言いますと、具体的に言いますと、何か地域の困りごと、「こうなったらええのにな、ああなったらええのにな」ということですね。例えば? |
西: | それこそ地域活性化、地域の魅力に繋がるような情報の発信をしていただけるような利活用であったり…。 |
絹: | 例えば「子ども食堂をしたいんですけど、場所ないんです」「町内会の会議する場所ないけど、使えませんか」こんなのもアリですか? |
西: | もちろん、アリでございます。 |
●利活用の目的の縛りをかなり取っ払いました! |
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絹: | リスナーの皆さん、例えばこういう私の思い付きで西島さんに「こんなんアリ?」と聞いたら即答が返ってきましたね。結構広いですねえ。 |
西: | そうです。幅広に利活用の目的の縛りを取っ払っておりまして、店舗を含め営利目的の利用でも問題ありません。ただし営利目的の利用の場合は、使用料を通常の5倍いただくことになることだけご注意下さい。 |
絹: | 皆さん聞かれましたよね、ここに京都府の狙いがそこはかとなく感じられます。できれば営利事業よりも、社会課題解決型の地域の困りごとに役立つものの方にたくさん来てほしい。でも営利事業であってもそれは別に「来るなとは言いません」と、こんな感じですよね。 |
西: | 基本的に目的自体は何でも来てもらっても問題はありませんし… |
絹: | あ、ちょっと今のは超訳が過ぎて、誤訳になりましたね(笑)。すみません。だから縛りはないと。アイデア持っておいでと。協力するよという感じですね。 |
西: | はい。今回の事業目的としましては、これは全国共通の課題となっているのですが、公営住宅は募集しても応募がない状況が増加傾向にあります。加えて入居者の高齢化が進み、コミュニティの力が弱くなっていることから、自治会の活動が思うようにできなくなっているという声が寄せられています。 |
絹: | ここですよね。公営住宅でも空き室・空き家が増加傾向にありと。だいたいバクっと言うと、52団地で京都府さんが管理されている部屋は何万室くらいでしたっけ? |
西: | 127団地、14843戸を京都府は府営住宅として管理しております。 |
絹: | ごめんなさい、僕間違って説明していました。全部で52団地だと思っていたんです。それは空き室が2年以上空いている所が52団地あると。 |
西: | だいたい多く寄せられているのが、従業員さんの寮として使用したいという問い合わせです。実は本日も「従業員の寮に使いたい」という内見の調整に行ってきまして、その帰り道にこのスタジオに寄らせていただいています。 |
絹: | 私も実は昨日の夜、ある場所で交流会がありまして、同じテーブルに座った方が綾部で新しい工場をおつくりになったということでした。その方は毎年タイ国から従業員を十数名、雇い入れて、訓練をするための宿舎として、民間の賃貸物件をお借りになって収容していらしたそうです。でも足りないので、「この京都府さんの動き、大変興味があります」とおっしゃっておられて、そんな方が数名おられましたね。 |
西: | ありがとうございます。実際にそれこそ外国人さん向けの寮としても使用したいとの問い合わせもいただいております。 |
●某大学の観光学とのコラボのお話も… |
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絹: | 他に西島さんが面白いなと思った使い方はありますか。 |
西: | 実は先日も、某大学の観光学研究科の方とお話をする機会があったのですが、大学さんが府営住宅の一室を借り、団地の自治会さんとともに地域の魅力を発信し、観光名所を案内する。その代り団地の皆さんの暮らしをサポートしたり、団地のお子さんの学習の支援をご協力させていただければといった具体的な提案もいただいています。「地域の観光振興や団地の地域活性化の双方にメリットのある事業提案について検討していきたい」とおっしゃっていただきました。 |
絹: | すぐにイメージしにくいのですが、わかることは大学生がうろちょろする。これは間違いなさそうだと。「自治会のこともお手伝いしてね」と言わないうちに、向こうはその気にもうなっていると。そして「自治会さんと共に、その地域を好きになってもらう。“ここいいよ!来ない?”みたいな情報発信をしたい」と。これは地元の人にとってうれしいじゃないですか。 |
西: | そうですね。地域の魅力も発信していただければ、府営住宅の利活用という枠組みを超えて、まちづくりへも繋がっていくのではないかなと思っております。 |
絹: | これは面白いですね。観光からの接近、しかも大学からの接近。リスナーの皆さん、これは本当に若い人が来てくれたらうれしいですね。 |
●子育て世代の人が京都に戻ってきてくれる起爆剤になれば |
絹: | それと若い人と言えば、これは京都市の場合だけかもしれませんが、例えば下京区、南区あたりの保育園の園長さんにインタビューをした時にこんなエピソードを聞きました。せっかく待機児童をなくすために、保育の枠を拡大したけれども、京都市の中心市街地の土地値が上がってしまったり、マンションの値段が上がったり、家賃が上がったりするために、若い夫婦が住みにくくなって、京都市の外に流れてしまうと。だから定員割れしちゃったという園長さんが複数おられました。我々京都市の住民としては、若い人がまた戻ってきて住みやすくなるために、公営住宅が空いているのなら、安く入っていただけたらいいのになと、思いますね。今回の試みが府営住宅にとっても、若い子育て世代の方が戻ってきてくれる起爆剤になったらきっとすごいですね。 |
西: | 今回の事業では、皆さまが公営住宅に対して持っていただいているイメージからさらに一歩進めて頂いて、全く新しい視点から公営住宅を利活用していただきたいと考えています。 |
●団地コミュニティ活性化の一案としてのコレクティブハウス |
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絹: | その利活用のイメージというところでは、コレクティブハウジングという言葉も入っています。コレクティブハウジングは、以前もこの番組のヘビーリスナーならご存知かもしれませんが、賃貸型で助け合いが起こりやすいようなソフトウェアが内包されているものを言います。 コモンルームという名前で、ご近所さんと一緒に、共同の食堂とか共同の居間がある。そこへは誰でも入れて、料理の得意な人が「今度の夕飯当番、一食430円くらいで作っておくし、要る人は黒板に登録しておいて」なんて、会社の社員寮のような感じが公営住宅でもし起きたらいいですよねえ。その棟なりそのフロアはみんな知り合いで、「実家からミカンが届いた。良かったらコモンルームに置いとくし、自由に取っていって」みたいなことが起こると面白いと思いません? |
西: | そうですね。素敵な新しい住み方・居住形態ですね。 |
●見守りサービス付き高齢単身者シェアハウスとか… |
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絹: | それと高齢者等の生活支援なんかも考えてくれたらうれしい。福祉系の事業者がやってきて、見守りサービス付き高齢者単身シェアハウスとか。サ高住に近いけれども、単身で、高齢者同士がシェアする。でも見守り機能もついているわけです。ということはそばに福祉サポートの能力のある専門家がいるかもしれないという、本当に夢のある企画であります。 リスナーの皆さん、今までのお話を聞かれてどうだったでしょうか。非常に勇気のある試みを京都府さんは展開しようとしています。もう少し補足したい事はありますか? |
●是非検索、お電話もおまちしております! |
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西: | 今回是非皆さんに色んな利活用の提案をしていただきたいと京都府としては考えておりますので、「京都府営住宅空き住戸」や、「京都府営住宅ストック」で検索していただければ、今回の事業をご紹介するページが出てきます。そのページに募集要項等を掲載しておりますので、興味がある方は是非ご覧ください。 |
絹: | もう一回言いますね。検索キーワードです。「京都府営住宅ストック」、あるいは「京都府営住宅」と「空き住戸」のアンド検索をしていただくと、必ず上位にヒットします。実施要領もありますし、電話をかけていただいてもいいと思います。京都府建設交通部住宅課075-414-5366です。電話が繋がったらひょっとしたら西島良輔さん本人が出るかもしれません(笑)。 |
西: | はい、私が出させていただきます(笑)。 |
絹: | 西島さんが電話応対だとか問い合わせの応対で「ふーっ」となるくらい来て下さるとうれしいですね。そして私の勝手な予想ですが、京都府がこういうことをされたということで、おそらくは京都市役所も追随しようと虎視眈々と狙っていると思います。そして京都府の皆さんと京都市の皆さんが何か響き合うというか、リエゾンと言うか、イイ感じの影響を与え合う近未来が来るといいですね。 |
西: | そうですね。 |
絹: | 今日は若き行政マン、京都府建設交通部住宅課主事の西島良輔さんの「府営住宅とあなたの夢がマッチング~若者の視点からひもとく空き家活用 地域課題に挑戦する人を求む」という番組をつくらせていただきました。是非検索、あるいはお電話をしてくださいね。 この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。 どうでしたか?初めてのラジオ出演。 |
西: | 少し緊張しましたけれども、楽しくお話させていただきました。 |
絹: | リスナーの皆さん、わかるでしょ?見るからに、聞くからに、真面目な行政マン。彼の将来、期待大です。皆さまありがとうございました。さようなら。 |
西: | ありがとうございました。 |
投稿日:2023/03/16
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第182回 ・都市計画の見直し(案)を読み解く~わかったようでわからない都市計画の見直し(案)をひらがな化できますか?
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山: | 山口 耕平 氏(京都市都市計画局都市企画部都市計画課 特別用途地区・まちづくり条例 担当係長) |
絹: | 絹川 雅則(公成建設株式会社) |
(山口 耕平 氏) |
絹: | 皆様こんにちは。そしてこんばんは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。 この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをお伝えしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。 さて、本日のゲストですが、ラジオカフェのご近所さんからお招きしております。京都市都市計画局都市計画課から、担当係長の山口耕平さんをお招きしました。山口耕平さん、よろしくお願いします。 |
山: | よろしくお願いします。 |
絹: | 私と山口さんの出会いは、まだ最近なんです。直接会ったのは2~3度くらいですね。 |
山: | そうですね。年末くらいから。 |
絹: | リスナーの皆さん、結構大きな変化が都市計画と呼ばれる分野で起こっているんです。そのことを勉強したくて、山口さんの上司である平井部長(僕が勝手に京都市のエースかなと思って尊敬もしている方なのですが)のところに行きまして、「今回の都市計画の大きな見直し変更、一般市民の方(私も含め)専門家ではない人たちにとって、ちょっとわかりにくいかもしれません。ラジオカフェで番組つくれませんかね。」とお聞きしたら「いいよ」と言ってくださって、しばらくたって「俺が行くより、うちの若い衆を出すから、頼むわ」とご紹介いただいたのが山口耕平さんです。では山口さん、自己紹介をお願いします。 |
山: | 都市計画課で係長をしています山口と言います。市役所でも十数年働かせて頂いていまして、都市計画課に来ましたのは、去年の4月で、それまでは建築指導部というところで、建物の申請等の業務をしていました。去年の4月に来て、この見直しを引き継いでやっているという形になります。 |
絹: | 今日の番組タイトルをどうしようと、実は打ち合わせをしておりました。タイトルの決定にもちょっと苦労しましたけれども、「都市計画の見直し(案)を読み解く~わかったようでわからない都市計画の見直し(案)をひらがな化できますか?」と題してお送りいたします。冗談めかして言いましたが、すごく分厚い資料が手元にはあります。でも一般の新聞やテレビの報道では本当に一部分切り取ってしか報道されてないような気がしまして、私の希望としては山口さんにその背景、パンチラインを、ひらがな化して解説いただけませんかと、無茶ぶりしました(笑)。リスナーの皆さん、すごく大きな変化が起ころうとしているんだよということをご注目ください。 |
■エピソード1 そもそも京都市は今、何をしようとしているのか |
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●今回の見直し案、目的は高さの緩和ではありません | |
山: | まず都市計画という言葉について、ご説明したいと思います。色々あるのですが、一番大きいのは道路や鉄道、公園などをどこに配置するかというところや、どこにどんな建物が建てられるかということも決めています。今回その見直しをしようとしているのは、建物の建てられる場所や大きさについて変えようとしているということです。テレビや新聞では高さの緩和がされるということが注目されているのですが、実は目的は高さの緩和ではないということをご説明できればと思っています。 |
絹: | なにか報道だけ聞いていると、「あ、京都市、方針変えた?」という風に誤解している人たちもいるけれども、元々の方針は「俺たちは間違ったことを言うてへん!」と。だけど今人口の減少だったり、若者、子育て層が流出していたり、オフィスが足りなくなったりするのに、今できる見直しを色々考えた、それをまず見てくれと。 |
山: | そうですね。元々新景観政策自体も、時代と共にちゃんと進化していくものだという言い方をしています。ですので今回の見直しも、景観もあるけれども、先ほど申し上げた建てた方がいいもの、そこにあるべき機能(都市機能という難しい言い方をするのですが)と、それを建てた時の周りの住宅への影響(今お住まいの方の住環境へ影響)という、景観と都市機能と住環境のバランスをしっかり見ながら検討していきました。 |
■エピソード2 例えば外環状線沿道、こんな風になればと考えています |
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●山科駅から六地蔵駅までの外環状線の沿道、ちょっとイメージしてみてください | |
絹: | 今の流れで、象徴的なエリアで、山科の外環状線沿いのことにそろそろ切り込んでいただけませんでしょうか。 |
山: | 今回の見直しは全市的にということでさせていただいていて、今ご指摘いただいた山科の外環状線沿道、山科だけではなく伏見も含めて東部方面という言い方をしているのですが、山科駅から六地蔵駅までの間の外環状線の沿道について、これまでよりも建物を少し建てやすい形、大きさも少し大きくできるように変えているんです。 |
絹: | リスナーの皆さん、イメージしてくださいね。山科駅から外環状線で椥辻駅、醍醐駅を通って六地蔵駅とずっと南へ行く、この外環状線の線上について、少し考え方を変えていくんだよとのことです。さて、そのこころは。 |
●もっとここに若い世代が住みやすいまちをつくりたい |
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山: | 「ここにもっと若い世代が住みやすいまちをつくりたい」というのが、そのこころになります。 |
絹: | 先ほどの山口さんの言葉を借りますと、「地下鉄が通っていて、その地下鉄と連携して外環状線沿いに色んな建物があり、あるいは賑わいがあって、安心して子育て世帯や若い人たちが歩きたくなるような建物や施設群が誘導されてくる、そのような都市計画の見直しをやってみたんだと。 |
●パブリックコメントのご意見からー高さ規制と騒音問題 | |
山: | 今回のパブリックコメントでいただいたご意見をご紹介したいと思います。私が直接ご意見を伺いに行った中ですごく印象的だったお話です。五条あたりのマンションに住まれている方なのですが、マンションの天井が非常に低く、以前住んでいた大阪のマンションに比べて、上の階の音が響くということで、たぶん床の構造が高さ規制で薄くなっているせいじゃないかということでした。実際に上階にはお子さん連れのご家族が住まれていて、音が響く旨をお伝えしたことがあるようなのですが、その関係でその方が引っ越されたと。そういう意味で高さ規制ということが(その人は賛成なのですが)、子育て世帯が住みにくくなっている事もあるのかなというお話をされていました。それを聞いてすごく私も難しいなと思いながら、やはりどちらも大切なことだなと印象深かったですね。 |
絹: | 今のお話を補足いたしますと、高さ制限がかかっている所で、共同住宅を設計したり建設したりすると、部屋の内々の高さをある程度犠牲にして、要は天井が低い建物を頑張ってつくることになります。防音対策としては、ボイドスラムという空気の円柱と言いますか、茶筒の親分みたいなものが床の中に入れて、音が響かないようにするわけです。ただその工法を採用すると、床の厚みが厚くなってしまいます。たぶんその方は建築の知識のある方だったんですね。そういう厚い床の工法を取れないから、ひょっとしたら上階の音が大阪のマンションに住んでいた時よりも伝わってきたのかもしれないと想像されたと。 |
山: | そうですね。その人のちょっと感覚的なところがあるのですが。 |
絹: | でも高さ制限があまりなければ、天井の高いおうちに住めるかもしれないなというのは、あるかもしれないですね。 |
山: | そこのバランスですよね。京都の守りたいものと、環境の。 |
●今回の見直し案について、市民の方から大変高い関心をいただいています |
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絹: | 今回の都市計画の見直し案について、869通、2445件の意見が寄せられたというので、市民の方から関心が高かったんですね。 |
山: | そうですね。以前、4年くらい前に行った時の意見数のだいたい2~3倍はご意見をいただいていたので、そういう意味ですごく注目していただいたなと思っております。 |
絹: | その分析、解析のため、一回読むのに8時間以上かかったと。それを何回も繰り返して、へとへとになっておられたのが、ここにおられる山口さんです。 |
山: | ありがとうございました。 |
投稿日:2023/02/02
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