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まちづくりチョビット推進室
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月別アーカイブ 2019年2月

第144回 ・あんじょうやります 三条大橋 ~ ふるさと納税で京都のまちづくりを応援しませんか?

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まちづくり“チョビット”推進室<平成31年1月放送分>

小: 小林 中 氏(京都市行財政局財政部財政課資金調達財源調整担当課長) 
藤: 藤井 豊 氏(京都市建設局土木管理部橋りょう健全推進課長) 
平: 平野 孝明 氏(京都市建設局土木管理部橋りょう健全推進課橋りょう第一係長)
絹:  絹川 雅則(公成建設株式会社)
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左から 小林氏、平野氏、藤井氏

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをお届けしております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲストのご紹介から入ります。いわゆる御池城、京都市役所からお三方お迎えしております。まず京都市行財政局財政課の小林中課長、中さんです。よろしくお願いいたします。
小: 小林です。よろしくお願いいたします。
絹: はい、そしてお二方目、我らが京都市建設局橋りょう健全推進課より、藤井豊課長、よろしくお願いします。
藤:  こんにちは。藤井です。今日はよろしくお願いします。
絹: そしてお三方目、同じく橋りょう健全推進課、橋りょう第一係長、平野孝明さんです。
平: 平野と申します。よろしくお願いいたします。
絹: ちょっと行政マンには珍しく、口ひげ、あごひげ(笑)、たくわえかけ始めた平野孝明さんです(笑)。
さあ、リスナーの皆さん、今日の番組のタイトル「あんじょうやります三条大橋~ふるさと納税で京都のまちづくりを応援しませんか?」と題してお送りいたします。
ゲストの自己紹介に代えまして、ゲストの平野孝明さん、たぶん上司だと思いますが、藤井豊課長とはいかなる人物ぞ、短く述べよ。お願いします。
平: 頼りがいのある親分肌の上司です。
絹: 見るからにそうですね(笑)。藤井課長は我々の中でも最高峰の資格の1つである「技術士」をお持ちの方です。コンクリート診断士でもあられます。
平: 後ほどお話しますが、この三条大橋の取組みについて、色んなアイデアを出して頂くアイデアマンでもあります。
絹: 頼りがいのあるアイデアマンの親分肌の上司、藤井さんでありました。では藤井課長、平野孝明さん、どんな方ですか?
藤: 係員の話をじっくり聞いて、相談に乗っている姿をよく見ておりまして、係員さんから非常に頼りにされている係長さんやなという印象が強いです。
絹: でも結構若いですよね。
藤: 若いんです。もちろん平野係長よりも年齢が上の方からのお話についても、よく聞いてあげて「こうしたらええんとちゃう?ああしたらええんとちゃう?」とお話されてますねえ。
絹: 平野孝明さんも技術屋の憧れの技術士というのはすごいですね。
平: ありがとうございます。
絹: それからもう一方、財政課からの小林中さん。実は僕、今日会ったのは二度目?三度目?
小: 三度目ですね。
絹: この番組を収録するにあたって、打ち合わせをしたんですけど、企画案というペーパーを綿密にまとめて下さって、すごく番組の進行がしやすいなと感謝しております。
ということで、ゲスト紹介を終わりまして、小林中さん、エピソード1行きましょか。
   

■エピソード1 ふるさと納税を考える

  ●ふるさと納税、普及してきていますが…
絹: ふるさと納税、概略説明をお願いします。
小: かなりニュース等で有名になっていますので、ふるさと納税ってどういう制度かというのは、だいたいお分かりいただいているのではないかと思うのですが…。
絹:  特に我々の奥さん連中が注目しておられる方が多くて、例えば九州のマンゴーとか、米どころのお米とか果物とか、はたまた何とかビーフとか、いっぱい頼んじゃったみたいな…。ちょっとそれ、軽すぎますかね(笑)。
小: いえいえ(笑)。実際そうですよね。そういった形で各自治体の皆さんが地元の特産品などを、いろいろ工夫して準備されまして、最近になってかなり制度が普及してきた状況になっています。 
絹: だいぶ人気らしいですよね。「絹川さんとこ、やってへんの?」と言われて調べたことがありますけど。
小: ここ3年程でふるさと納税されている金額が全国で10倍くらいに膨れ上がって、非常に利用が増えてきている状況です。 
 

●京都市にとっては、ちょっと困った状況です

絹: ところが我らが京都市にとって、特に財政当局にとって、ちょっと辛い現象があるそうですね。
小:  そうなんです。厳しい状況でして、先ほど全国的には非常に利用が伸びているというお話をさせていただいたんですが、実は京都市のほうは、ふるさと納税でいただいている、京都市に入ってくるお金は、毎年1億円台で推移しているんですが、京都市から流出していくお金が、全国的な増加に伴って増えて行っていまして、30年度で言いますと、30億円分が出て行ってしまっていると。
絹: 30億円対1億円ですか。大赤字ですね。
小: そうなんです。もともと京都市は財政が非常に厳しいなかで、さらに30億円が流出していくということで、本当に我々財政当局としましては、非常に頭を悩ましている状況でございます。
絹: それはちょっと困った状況ですね。京都市民としても、ちょっと気をつけておかなければいけないことなのかもしれませんね。
小: そうなんです。ちょっとそういう状況があるということを、是非皆さんにもお知りおき頂きたいと思います。
絹: だからこれを何とかしなければならないというプロジェクトチームが、御池の市役所の中にできて、ひょっとして小林中さんと、平野さんと藤井課長とが、そういうメンバーでいらしゃるんですか。
小: そうです。我々みんなでふるさと納税をがんばろうと。
絹: その中で、いろんなアイデアを出しておられるのが藤井さんであったりするんですね。
藤: いや、もちろん平野君も一緒に考えていまして、平野君にも助けてもらっています。
絹: この京都市の取組み、ふるさと納税について、京都市にとって少し困った悩み事を解決しようとなさっている工夫について、少し口火を切って頂けますか。
 

●税金の使い道をしっかりお示しさせていただきます

小: ふるさと納税、確かに最初お話がありましたように、お礼があるということで考えて頂くというのも、一つの考え方であるとは思いますが、京都市としましてはふるさと納税というのは寄附金でありまして、寄附金というのは使い道があって、それに対して寄付していただくということが大前提だと思っておりますので、我々京都市としましては頂いた寄附金をしっかりこういうことに使わせて頂きますということを、使い道をしっかりお示しさせて頂いて、その上でふるさと納税をお願いしています。
具体的に言いますと、今日来ていただいている橋りょうの関係では、三条大橋を改修しますとか、あるいは京都の景観で思い起こして頂くと、京町家を守っていきますといったことですとか、あるいは駅伝の聖地である西京極総合運動公園を改修しますとか。
 

●三条大橋は駅伝発祥の地、西京極総合運動公園は駅伝の聖地です!

絹: 西京極は駅伝の聖地だったんですか。
小: そうですね。実は三条大橋もかかってくるのですが、三条大橋のたもとに駅伝発祥の地という碑が建っています。これは102年前、日本最初の駅伝競走である「東海道五十三次駅伝」が三条大橋をスタートに東京まで行われたという史実に基づいております。まさに日本の駅伝がこの三条大橋からスタートしたということで、三条大橋が発祥の地でありますし、西京極につきましては全国女子駅伝ですとか、全国高校駅伝といった全国的な駅伝が西京極からスタートしまして、京都の都大路をランナーが走ります。今では京都の冬の風物詩ですよね。駅伝の聖地であるというのは、そういうことです。
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絹: そうですか。小林中さんに口火を切って頂きましたが、あとお二方、皆さん私の本業を覚えておられますか。建設屋です。そうなるとどう贔屓目に見ても、橋りょう健全推進課、やっぱり一緒に仕事をすることもありますので、応援したいと思います。是非橋りょう健全推進課のお二方から、この三条大橋について、第二弾ロケットを発射してください!
 

■エピソード2 ふるさと納税の使い道 京都の場合

●三条大橋の補修修景にご協力ください!
平: ふるさと納税に関わる分といたしまして、返礼品を京都市から出しているのですが、それとは別に三条大橋の補修修景に応援メニューとしてご協力頂けるという形を取って頂いた方には、追加の特典といたしまして、これから工事を進めていく工事現場見学会への優先招待と三条大橋のニュースレター(手元に持っているんですけど)ということで、これから息の長い事業でございますので、どういった取組みをしているかというのを、定期的に皆さんにお配りさせていただきたいと思っております。
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絹: 三条大橋かわら版創刊号となっております。一万円以上のご寄附の方にはオリジナルの手ぬぐいも用意させていただきますと。
平: この三条大橋をモチーフにしました紫色と緑色の手ぬぐい、二種類あるのですが、いずれか一つをお配りさせて頂こうと考えております。
絹: こうやって工夫されていますけれども、一方、行財政局のペーパーには、ちょっと刺激的な文言が踊っております。吹き出しがありまして、「京都市は返礼品競争には与しません!!」。どこか京都市の気持ち、皆さんの気持ちが現れている言葉だと思うんですけど、「武士は食わねど高楊枝」みたいなのに通じるかもしれません。返礼品よりも、何か参加している、「京都市の何とかが好きやねん」という気持ちを言いたいというのが、このフレーズに溢れていますね。
平: 私どものこの三条大橋の取組み、歴史ある三条大橋なんですけど、古くは室町時代に豊臣秀吉がかけたという歴史もございまして、そこから今に至る橋の事業ということで取り組ませていただいているのですが、私達土木職として、正直申しまして、なかなかラッキーやなと(笑)。こういった事業に参加できるというのもありがたいなと思いながら仕事をしております。できましたら三条大橋の歴史というものに思いを馳せて頂いたなかで、一緒に事業をやっていくんだという形の輪の中に入って頂ければという思いをいつも持ちながら仕事をしています。
絹: ふるさと納税という仕組みを使っての三条大橋プロジェクトへの参加要請でありますから、このコミュニティFM放送京都三条ラジオカフェは一応、京都市内110万人に届く力の電波ではございますが、インターネット放送だとか、「ラジコ」というアプリケーションをお持ちで、ひょっとしたら県外、市外、ひょっとしたらニューヨークまで聴こうと思えば聴ける仕組みを整えております。後で申しますキーワードを検索かけていただきますと、オンエアから二日でインターネット上にデータは上がりますし、テープ起こししてテキストデータには2~3週間頂いて、さらに検索をかけて読んでいただくという仕組みを整えております。普段はお聞きいただけない京都市外の方も是非、駅伝の聖地、それから太閤さんがおつくりになった、「あんじょうやります三条大橋」という京都寄附金を、どこか頭の隅に入れて頂けたらと思います。
藤井さん、補足をお願いします。
 

●返礼品の日本手ぬぐいに込めた思い

藤:  今、返礼品のお話があったのですが、日本手ぬぐいは私ども橋りょう健全推進課のホームページを見て頂いたらわかるのですけど、三条大橋は平野が申しましたように、豊臣秀吉さんが今のような擬宝珠の形をつくられています。でも実は室町時代の書物で『兼宣公記』にも三条大橋は載っておりまして、日本手ぬぐいのデザインには、室町時代から現代までの人が描いておりまして、現代に通じてまたその先、子どもが指差しているんですが、この三条大橋を改修したものは、ずっと未来までこのまま持っていきましょうと言う我々の願いもかなえている、この三条大橋の記念品のためだけに作ったものですので、非常に我々としては価値があると今、推しております。
絹: ラジオですので、残念ながら絵柄は見て頂けませんが、京都市建設局のホームページにふるさと納税三条大橋、「あんじょうやります三条大橋」と検索をかけて頂きますと、面白いですね。
左から右へと時代が移り変わって、橋の上を歩いて渡っている飛脚さんのような人もいるし、駕籠かきさんもいるし、お公家さんも歩いたはる、そんな感じですね。ありがとうございます。
さあ、ここまでお聞きいただいて、ふるさと納税と京都市が何がやろうとしている財政当局とそれから建設局が手を結んでタッグチームを組まれてなさることが少しご想像頂けましたでしょうか。さらに「だいすきっ!京都。寄附金」あるいは「あんじょうやります三条大橋プロジェクト」以外にも目指していらっしゃることがあるそうですね。
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●京町家の保全継承にも、ふるさと納税を使わせていただきます

小: はい。先ほども申しておりましたが、京町家の保全継承につきましても、ふるさと納税で御寄付を募っております。京町家につきましては、年間で平均約800軒、一日当たり2軒ほど滅失してしまっているという現状がございます。京都市におきましては、京町家を守るための色んな取組を、たくさんの予算を投入しまして取り組んでいるところなのですが、やはり京都市だけではなかなか守り切れないという現実がございますので、少しでも皆さまにもご協力いただけたらと思っている次第です。
絹: 私はかつて京都市の景観まちづくりセンターに関係していたことがありまして、その中で京都の町家を守るために東京の篤志家がすごい金額のお金を寄付されて、それが元になって町家の基金のようなものができたと。ここに「京町家関係予算、30年度約3億円?」となっておりますが、その一部は都市計画局系のそういう基金から支出されているのではないかと想像いたしますけれども、当たらずとも遠からずくらいですか?
小: そういったものと、もちろん京都市の税金も使って直接事業をさせていただいておりますし、色んな手法を使いながら町家を守っていきたいと思っています。
絹: もし全国津々浦々に町家のファンがおられるとしたら、ふるさと納税「だいすきっ!京都。寄付金」という仕組みを使ってご参加いただけるということですね。
 

●ご寄付を頂きますと、京町家体験のみならず、京都文化の体験も…

小: はい。京町家の保全継承に寄付を頂きますと、「京町家体験ツアー」というのにご招待をさせていただいております。これも一万円以上とか五万円以上とか、寄付額に応じてあるのですが、単純に京町家を見学していただくだけではなく、京町家で京都文化、例えばお茶や京料理、投扇興という扇を投げて遊んで頂く雅な遊びの体験とか…。
絹: やったことないですけど(笑)。
小: 私もないんですけど(笑)。そういった京都文化も一緒に体験いただけるような特典、返礼も御用意しております。
絹: 今度は橋りょう健全推進課のお二人に、もう一度ボールを投げたいと思うんですけど、このプロジェクトに参加されて、いわゆる市民協働みたいなプロジェクトですけれども、何かお感じになったエピソードがあれば、教えていただけますでしょうか。
 

●三条大橋は京都のみならず全国の皆さんの思いをのせて

平: 今回の「だいすきっ!京都。寄付金」に寄付された方のお声を少し頂戴していまして、その中に昔京都にいらっしゃって、今は遠方にいらっしゃるという方なのですが、チラシやインターネットで見た時に、昔の事を思い出して、「三条大橋を通った時の思い出が蘇った」という思いで寄付いただいたとか…。そういった文面を見させていただきますと、やはりこの三条大橋というのは、京都市にあるんですけど、日本全国の方の思いもいっぱい伝わってくるような、大事な物件だなというのをつくづく感じました。この工事に携わる重責と言いますか、プレッシャーも感じながら、そして楽しみも感じながら、いつも仕事をしています。
絹: ありがとうございます。三条大橋を通った時の思い出、ひょっとしたら鴨川アベック等距離の法則とか(笑)、そういうのを橋の上から見ておられたのかもしれませんね。
藤井課長は何かお感じになったことはありますか?
藤: こういった取組をするということをお話しましたところ、三条小橋商店街さんのほうが先に色々ビラを作って頂いたり、商店街の前に立てる旗なども作って頂いたり、全力で応援していただきまして、やはり地域に根付いている橋だなというのを、今回改めて感じているというところです。
絹: リスナーの皆さん、いかがでしたか。行政の方のお顔というのは普段なかなか見えないし、感じる事はできません。けれどもこうやって実際にそれぞれの御担当で、一般の方々と繋がって、やりがいを持ってという方の生の声をお聞きしますと「あ、すごいな」と正直に思いますし、何よりもうれしいのは、我々建設産業に携わる者として、三条大橋への応援をよく募ろうぜと。
 

●三条大橋の「擬宝珠(ぎぼし)」、よくご覧になってみてください

絹: あ、うっかり忘れていましたが、先ほど擬宝珠という言葉が出ましたが、ひょっとして専門用語に近いところで、一般のリスナーの方にはイメージできないかもしれませんので、擬宝珠についてちょこっと説明をお願いできますか。
藤: 三条大橋で言いますと、欄干にたっている柱、48㎝の直径の大きな柱があるんですが、その上に被さっている青銅製の帽子みたいなものですね。
絹: 擬態の「擬」に「宝珠」と書いて擬宝珠(ぎぼし)と読ませます。橋の高欄の上の部分の青銅製のものであると。幕末の刀傷が残っていると言われています。結構、この高欄の部分や擬宝珠の部分がなくなっているような橋もあったりするんですよね。だから風情のある昔のものに戻したいねというようなお声もあるけれども、やっぱりお金もかかることでもあるしということです。
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●税金の使い道を私たちが決められるということ

絹: 土木遺産とか、インフラ構造物、それからこうやって行財政局、建設局の方々がタッチされている仕事というのは、普段我々市民の目には届きません。あるいは足元にあって、生活のインフラとか、目に見えない大切な血液の流れとして仕事をされています。でもあって当たり前のエネルギー、ライフラインが止まった時、あるいは水道・電気・ガス、それからバスが来ない、橋が通れない、あって当たり前の事がプツンと途切れた時に、我々一般市民は「わあ、困った。どうしよう。いったいどうなってんねん!」と文句を言ったり、「ワシら税金払てんのに、どうしてくれんねん」と言うような人もいるかもしれません。さりながらこの「だいすきっ!京都。寄付金」「あんじょうやります三条大橋」というようなプロジェクトは、我々が市民として義務の、あるいは権利かもしれません。税のお金の使い道を、自分が応援したいことに振り向けられるという画期的な仕組みかもしれません。返礼品に目が行くのは当然なんですが、そういう参加意識、自分の税の使い道のようなものにも目を向けていただけたらと思います。ちょっとかっこいいこと言い過ぎましたか。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。ありがとうございました。
全: ありがとうございました。

 

投稿日:2019/02/14

第143回 ・町にほしいお店をみんなで作る!~ KUMIKI Prj.ってなぁに?

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まちづくり“チョビット”推進室<平成30年12月放送分>

く: くわばら ゆうき 氏(KUMIKI  PROJECT  株式会社 代表取締役)
小: 小原 亜紗子 氏(KUMIKI  PROJECT  株式会社 コミュニティマネージャー)
絹:  絹川 雅則(公成建設株式会社)
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  左 くわばら氏   右 小原氏
絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト、お二人お招きしております。お若いお二人であります。お一人目はくわばらゆうきさんです。
く:  よろしくお願いします。
絹: くわばらゆうきさんは、KUMIKI PROJECT株式会社。そしてお二人目は同じくKUMIKI PROJECT株式会社のコミュニティマネージャー、小原亜紗子さん。
小: はい、よろしくお願いします。
絹: 今日は若いお二方が日本の各地で、ここ京都でも、何やら面白い動きをしているということを、漏れ聞きました。そのKUMIKI PROJECTさんのことを、少しお話していきたいと思います。
ではゲストの紹介ですが、いつものように手抜きで他己紹介から入らせていただきます。くわばらゆうきさん、KUMIKI PROJECT株式会社代表取締役ですけれども、お隣に座っていらっしゃる小原さんは、いかなる人物ぞ(笑)。短く述べよ。
く: はい。京都生まれ、京都育ちですよね。もともとは車の営業とか、不動産の事務とか、いろんな事をやられながら、三カ月くらい前から、KUMIKI PROJECTをやっていこうということで、今一緒にやっています。
絹: KUMIKI新人、小原亜紗子さんです。さあ、今度は交代で、小原さん、くわはらゆうき氏とはいかなる人物か、短くお願いします。
小: はい、みんなにめちゃくちゃ愛されている若い兄ちゃんやなと思ったんですけど、ものすごく色んな事に目配り、気配りができる青年です。
絹: まだ、ひょっとしたら20代?30代?
く: 30代です(笑)。34です。実は同い年なんです。
小: そうなんです。
絹: おっちゃんは、倍ほどあります(笑)。
それでは番組タイトルを申し上げます。新聞記事で言うと、大見出しにあたるところです。「町にほしいお店をみんなでつくる!~KUMIKI Prj.ってなあに?」と題してお送りいたします。
さあ、ご両人、まだKUMIKI PROJECTについて、京都のリスナーさんは知っている人は少ないと思いますので、そもそもKUMIKI PROJECTって何?というところから教えていただけますか。
 

■エピソード1 そもそもKUMIKI PROJECTってなに?

 ●地域のみんなとお店をつくる
絹: さあ、ご両人、まだKUMIKI PROJECTについて、京都のリスナーさんは知っている人は少ないと思いますので、そもそもKUMIKI PROJECTってなに?というところから教えていただけますか。
く: KUMUKI PROJECTとは、「共につくるを楽しもう」をコンセプトに、お店をつくりたいと思う人がいた時に、そのお店を地域に住む方々と一緒に、素人さんを中心に、みんなでつくりあげるワークショップをやっている会社です。
絹: 普通お店をつくろうとしたら、設計事務所に相談したり、建設会社に相談したりして、大工さんなどいろんな職種のプロの人たちが寄ってたかって工事してしまいますよね。くわばらさん、私の本業、何かご存知ですよね(笑)。
く: 建設会社の大社長ですよね(笑)。
絹: いやあ、”大”じゃないですけど(笑)。ひょっとしたら、あなたたちは建設会社の仕事を奪う危ない人達なんですね(笑)。
 

●その第一歩をお手伝いしましょう!

く: ちがいます(笑)。我々は今の建設会社さんや建築会社さんのお仕事を奪うような存在ではなくて、逆に言うと、例えば予算があまりなく、そのためにお店をスタートしたかったけれども、これまでスタートできなかった人たち。そういう人たちがみんなで空間をつくることを支えることで、初めの一歩を踏み出しやすくするということをやっている会社です。
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絹: リスナーの皆さん、やっぱりこの人たちは危ない人たちかもしれない(笑)。いやいや、冗談です。すごく今、大切なことを教えてくださいました。スタートしたいけれども、資金がなくて、スタートしにくい人が、やりたいお店を始められる可能性を「どうですか?」と出してくださるチームかもしれないと。
小原さんは京都の人ということですけれども、くわばらゆうきさんは神奈川県の住人だと。遠いところから来てくれたんですよね。京都の人だったらもしかしたら(くわばらさんもご存知かもしれませんが)、五条新町という場所に、「つくるビル」という古いビルのリノベーションの事例がありますけれども、ご存知ですか?
く: 今日ちょうど見てきました。
絹: あそこも同じような考え方でリノベーションされたビルですが、リノベーションに関わられた石川さんは、このラジオのゲストにかつてなってくださいました。あそこはアーティストとしてスタジオが持ちにくい、工房が持ちにくい若い人たちを集めてスタートするというアート系のビルですよね。
小: そうですね。
絹: 今のお話で、KUMIKI PROJECTが想像しやすくなりました。じゃあ、もう少し詳しいところを教えてください。
 

●誰もが始めやすい社会をつくりたい

く: 一言でいうと、誰もが始めやすい社会をつくりたいという思いでスタートしてきたんです。その手法として、一般の人も含めてみんなで手を動かすので、愛着のわく空間をつくることで、誰もが始めやすくするというのを掲げてやっている会社です。
絹: 素朴な疑問ですが、僕ら建築工事でしょ。左官屋さんがいたり、鉄筋屋さんがいたり、クロス屋さんがいたり、ペンキ屋さんがいたり、大工さんがいたりするでしょ?色んなプロの技の集合体で、建築工事は多い場合、30種類とか40種類とかの職種の人がいっぱい集まってきて、それを束ねて工程調整をしたり、材料調達をしたりするのが建設会社の仕事なんですけど、結構難しくないですか?
く: そうですね。なので全部を自分たちでやれると思ってなくて、例えば「店をつくりたい」という依頼者の方がいた時に、プロがきちんとやるべきところと、みんなの手がかけられる部分をまず分けます。ですから例えば資格が必要だとか、電気や水道などは当然プロがきっちりやるべきですし、でも仕上げで壁にペイントをしてみようとか、そういうところはみんなでやれるので、ある意味でみんなでやれる部分をきちんと整理して、そこを地域の人とみんなでつくって、愛着のわく空間にするということを言っています。
絹: 面白いですね。そのイメージをリスナーの方々にももっていただくために、具体的な事例をいくつか教えていただけますか。
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●京都のブックカフェの事例をご紹介しましょう

く: はい。今、全国でお店づくりをやっていまして、京都なので京都の事例をご紹介します。これは亜紗子さんと出会ったきっかけでもあるのですが、二条城の駅から歩いて5分くらいのところの町家です。
絹: 二条城のどっち側?
小: 東にちょっと入ったところですね。
絹: あの辺って、今ホテルラッシュで、大型のホテルの現場とか、あるところでしょ?堀川通よりも東の辺ですかね。
く: はい。そこで京町家をブックカフェとコミュニティスペースにしたいという方がいて、今年の10月に、まず壁面本棚をみんなでつくろうというワークショップをやりました。で、これからはみんなで中をつくっていくというのをやります。
絹: そのイベントのニュースをフェイスブックを通じて見させていただいて、行きたいなあと思って、「興味あり」とポチっとしたけど、仕事で「参加する」まで行けなくて、残念でした。取材したかったな~。あ、ここに参加者がいるんだ。小原亜紗子さんが…。
小: そうです。私は「興味あり」で、しかも「参加」にポチっとしたので。
絹: どんな経験をされたか、小原さんの口から語っていただけますか。
 

●参加してみてーめっちゃ面白い!

小: 私は木もそんなに触ったことがないし、トンカンしたこともないけど、何か空間づくりをみんなでするって、めっちゃ面白そうやなと思っていて、一回ちょっと問い合わせをしたんです。私は子どももいるし、「子ども連れでもいいですか?」とメールしたら、「全然いいですよ」みたいね。「工具なども一から教えるので、楽しみに来てください」と言っていただけたので、それでいざ参加してみたら、めっちゃハードル低かったんです(笑)。
それで「こんなことをやっている会社があるんだ」とか「みんなでつくるって、めっちゃ面白いな」と。
絹: 株式会社ですよね(笑)。
それでお子さんを連れて、二条城の東側の町家のところに。ブックカフェだから書店とコミュニティスペースというか、カフェが一緒になったようなもの?
く: 本が読めるコミュニティスペースですね。
小: 大きさとしては、四人家族くらいが住めそうな大きさですね。
絹: オーナーさんがいらっしゃいますよね。
く: オーナーさんは東京に住まれていたのですが、京都にお引越しされて、移住されてきた方で、ずっと出版社に勤められていて、独立して、ご自身で今出版社を、京都でやられている方です。
絹: まさに京都移住計画やなあ。
そもそも最初にくわばらゆうきさんを紹介していただいたのが、京都移住計画というチームを率いていらっしゃる田村篤史さんがご縁ですものね。東京から移住してきて、出版社勤務の人が自分で出版社を起こされて…。
 

●本のあるコミュニティスペースをつくりたい

く: で、二階に住まれながら、一階をまちに開いて、皆さんが集まれるような場所にしたいということでした。ずっと本の道で生きてこられた方なので、本のあるコミュニティスペースをつくりたいということで。
絹: 開店されたら、面白い本が集まりそうですね。行ってみたいなあ。コミュニティスペースがあったら、例えばパソコンとか持ち込んで、座り込んでコーヒーを飲みながら、原稿を書いたりもできそうですね。
小: できそうですねえ。
絹: 居場所、サードプレイス、コミュニティ空間、何か人と人をつなぐような機能を、そのオーナーさんはお求めになっているんでしょうか。
く: まちの人が気軽に訪れて、そこで人がつながることで、何か新しい動きとか、化学反応が起きたらいいなという思いをすごくおっしゃられていましたね。
絹: それって、くわばらさん自身にも共通するところがあるんじゃないですか。
く: はい、あります。
 

●僕自身、人と人がつながる機会を増やしたいという思いがとても強いんです

絹: くわばらさんは別の手法というか、職人さん未満の、素人よりはちょっと色んな技術を持った人たちを通して、例えばいろんな訓練だとか、工具だとか、人を集めたり、見つけたり、プロデュースする能力のある人たちの活動を通じて、人と人とのつながりを結果的につくることを目指している…。ひょっとしたらそれがKUMIKIの目的なのかもしれない。
く: そうです。人と人がつながる機会をたくさん増やしていきたいなという思いはすごく強いですね。僕らの「みんなでつくる」という手法で空間をつくることも、出来たら終わりではなくて、お店ができた後に、そこで人が繋がっていってほしいという思いがあるので、お店が完成する前から、みんなで手を動かして、「あそこでお店をつくったよね」と、みんなが戻ってきてくれるような、そんな繋がりができることに意味があるなと思っています。
 

●愛着をつくるということ ー オーナーにとって、参加者にとって

絹: すごい賢いなあと思う部分もあって、例えば小原さんみたいに、ブックカフェのワークショップに出て、実際にベビーを連れて、トンカチやった。そこで一緒になって、本棚をつくったりした人と当然知り合いになりますよね。で、くわばらさんがおっしゃったように、自分がちょっとでも手を入れた場所は可愛いわねえ。
小: それはそうです。
絹: うちらでも例えば自分が建築現場や建設現場へ行って、地図に残る仕事や建物ができたら、終わった後も元気にしているかなとか、こないだの台風で大丈夫やったかなとか、近所でボヤが出たら大丈夫かなと気になって見ていたりするのが建設屋ですから。そういう気持ち、すごくわかる。ということは、お店が出来る前にファンがそこに一定数…。ずるくて賢い方法だなあ(笑)。
く: ずるいですか(笑)?
絹: いやあ、いい意味で!いい意味で賢いというか、オーナーさんにとっては初めからファンというか、サポーターというか、がいるわけで…。きっとこの人は本を買いに来てくれるに違いないとか、コーヒー飲みに来てくれるに違いないとか。あるいは知り合いに「ここちょっと、ペンキの塗り方下手やけど、僕がやってん。見て!」とかあるかもね。
く: オーナーさんにとってもそういう意味もありますし、逆にワークショップに参加される方にとっても、自分のまちとか、自分の住んでいるところに欲しいお店を自分でつくるということは、これまであんまりなかったと思うんです。そこに参加出来るということは、毎日の暮らしをちょっと豊かにすることでもあると思うので、本来は欲しいお店を自分で増やしていくということが、オーナーさんと一緒にできたらなと。
絹: 何かようやくKUMIKI PROJECTの概要が、自分の中で分かりかけてきたというか、「あ、狙いはそこかあ。賢いなあ」と思いました。
く: ありがとうございます(笑)。
絹: 初め田村篤史さんから、「こんなことをやる人物です」とくわばらさんを紹介されて、目が点になって、何のことかチンプンカンプンで、長いことわからなかったんですけど、そういうところは我々と思いは一緒かもしれませんね。我がまち京都を愛する人、「京都って、捨てたもんじゃないよね」と、まちに関わることを良しとする。自分の家に引きこもるだけじゃなくて、なにか他の人に役に立つようなこと、できることをちょっとだけして。それは門掃きかもしれないし、僕がやっているこのコミュニティFMの放送で、京都のまちをちょっとでも暮らしやすくするような人を呼んできて、お話を聞かせていただいているというのも、そういう意味では通奏低音をちょっと感じますね。
く: はい、そう思います。
絹: おう、なんかうれしいなあ(笑)。
 

■エピソード2 KUMIKI PROJECTのいま、そして今後

●京都にKUMIKIの拠点ができました
絹: さあ、そういうKUMIKI PROJECTのくわばらゆうきさんと小原亜紗子さんです。なにやらあちこち日本全国を飛び歩いているご様子ですけれども、京都にも拠点ができたという話を聞きましたので、今後京都でブックカフェ以外にも何か物事が起こりそうなのかとか、京都におけるお仲間、あるいは拠点、それからKUMIKI PROJECTが今後京都で何かやらかしそうという情報があったら教えてください。
く: 今、僕らは京都の五条のウエダ本社さんという会社に、事務所を間借りさせていただいていて、小原さんはそこに基本いるので、京都でも…。
絹: 何ビルのほう?
小: 北ビルです。
絹: 五条通の北側のほうですね。ウエダ本社の北ビル。何回か行っています。素敵な場所ですね。
小: めちゃくちゃきれいな、素敵な場所ですよね。
く: 岡村社長という素敵な社長の御厚意で。
絹: 岡村社長も私の尊敬する経営者のお一人で、このスタジオにも座って下さったことがあります。「京都流議定書」というすごいイベントを長年なさっていて、今年かな、去年かな、一旦閉じるということをおっしゃいました。「なんであんなことができんの?」と思うような動員力というか、ゲストの英断とか、すごい人だなと思って、ここに来ていただいたことがあります。だからうれしいなあ。岡村さんのところに拠点があるというのは。そこにおられるのは小原さんお一人ですか?
小:  そうなんです。基本一人なんですけど、ウエダ本社さんの社員の方と一緒にお仕事したり、雑談しながら「それ、今度やってみる?」みたいな話とか、1人じゃない感じがして、すごくいい空間です。
 

●キーワードは「do it together」

絹: さあ、KUMIKI PROJECT in Kyoto は何かなりそうですか?
く: 大きく2つの事が今、動いていて、これからもやっていくのですが、1つは京都の空き家などでお店を始めたいという人が出てきた時に、地域の人と一緒になってお店づくりをサポートするという、今全国でやっていることを、より京都でもっと形にしていきたいなというのが1つです。あとは今、ワークショップをやる時に、ワークショップで先生をやる人も、できれば地域の人が先生になって、地域の木材を使って、地域で始める人を支えるという循環をつくりたいと思っています。
絹: つまりDIYを、日常大工レベルを超えた、何か新しい言葉をつくっておられましたね。
く: DITと言っていまして、「do it together」、「共につくる」という意味なんですけど。
絹: DIYからDITへ。do it together。
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く: その先生を地域でものづくりが好きな方になっていただいて、地域の中で地域を元気に魅力的に変えていくのを、どんどん進められるような仕組みを、まず京都できちっと形にしていきたいなと思っています。
絹: 先ほど雑談で話した京都建築専門学校があるんですが、そこの卒業生で講師をお務めになっている吉田玲奈さんという方がおられます。日暮手傳舎(ひぐらしてったいしゃ)というチームを率いていらっしゃる女性の設計士さん兼大工さんで、アーキテクトビルダーという領域を切り開いていらっしゃる方です。その方がひょっとしたらKUMIKIさんのお話をすると先生役になってくださる可能性があるかもしれません。
く: ぜひご一緒したいと思います。
絹: また可能であればご紹介したいと思います。
 

●同時多発的に新しい動きが、あちこちで…

絹: また、この間、くわばらさんたちと同じような若い年代の方が、「UNKNOWN五条楽園プロジェクト」を始められたようです。五条楽園というのは、五条河原町東側の辺りなんですが、昔の遊郭の跡地で、地元の人もあまり近づかないと言うか、子どもの時は「近づいてはいけない」と言われた場所でした。そこの空き家で昔のお茶屋さんというか、遊郭の跡地を「コーリビング」という言葉を使って、住むところと仕事するところと遊ぶところと食べるところを一緒につくらないかと、若いチームが発信しています。同時多発的に毛色の少し近い人たちも動いているかもしれませんね。面白いですねえ。今後このKUMIKIの動きはどう発展するのかな。
く: いつもみんなで話している事なんですけど、自分たちで全部できるとは思ってないんですね。で、始める人をまちにどんどん増やしていって、そこからその地域に愛されて、例えばもっと大きなお店にしたいと言った時には、その時にはたぶん出せるお金も増えているから、きちんと建築のデザイン会社にお願いするとかできると思うんです。だから始める人をまちにどんどん増やせたら、それを皆さんと一緒に協力しながらできたらいいなと思っています。
絹: うちの会社でも、五階建ての共同住宅、いわゆるマンションみたいなものを建設した時に、そこの設計士さんが少しくわばらさんと似た思想を持っておられて、全部職人さんにやらせないで、例えばワックスがけだとか、ペンキ塗りだとか、一部だけでも失敗してもいいから、入居する家族でやりましょうというので、アウロのワックスをみんなで無垢のフローリングに塗り込んだりしたんです。そういうことをすると、工程調整が難しかったり、本職に任せた方が早かったりするんですけど、「いや、敢えてやりましょう」という工事をやったことが昔あります。やっぱり関わると愛着が違いますよね。
く: そしてやっぱり職人さんのすごさをちゃんと理解していただく事にも繋がると思うので、あんまり受け身じゃなくて、自分も関わることで、主体的な人も増えていくかなと思っています。
絹: さあ、無理矢理にまとめに入る時間かな(笑)。
リスナーの皆さん、どうですか、お聞きになっていて。前にもお話したことがあるかもしれません。僕たちは1980年代に大学生だったのですが、その頃から色んなものがハサミでチョッキン、チョッキン切られて、くわばらさんの言葉で言うと繋がり、人との連携プレイが注意深く切られているような、そんな育ち方をしたような記憶がございます。それを今、30代の若い人たちが色んな分野で切れたものを、別の回路で繋ぎなおそうとしている。こういう動きが同時多発的に起こっているような気がします。これは有難い。我がまち京都がより元気になる1つのヒントが彼らの動きの中にあるのかもしれません。是非KUMIKI PROJECTの動き、彼らは発信力がありますので、フェイスブックや色んなもので追跡していただけたらなと思います。それでは閉じる時間になってまいりました。
この番組は心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力再生プロジェクト、京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。くわばらさん、小原さん、ありがとうございました。
両: ありがとうございました。
投稿日:2018/12/26

第142回 ・”みんなごと”のまちづくり推進事業 ~ひとごとではなく、「自分ごと」、「みんなごと」としての協力とは?

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まちづくり“チョビット”推進室<平成30年11月放送分>

坂: 坂巻 譲理氏(京都市総合企画局 総合政策室 市民協働推進係長)
牧: 牧野 杏里氏(京都市総合企画局 総合政策室 市民協働推進コーディネーター)
絹: 絹川 雅則 (公成建設株式会社)
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左 坂巻氏  右 牧野氏
絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト、近い所から来てくださいました。いわゆる御池城、京都市役所総合企画局からお二方をお招きしております。ご紹介します。坂巻さん、どうぞ。
坂: 京都市総合企画局 総合政策室 市民協働推進担当の坂巻と申します。よろしくお願いいたします。
絹: よろしくお願いします。坂巻譲理(ゆずる)さんです。そしてもう一方。
牧: はい、私は市民協働推進コーディネーターをさせていただいております牧野と申します。よろしくお願いします。
絹: 牧野杏里さんは、私とは都市計画局系の財団である京都市景観・まちづくりセンター(※通称:まちセン)で、ひょっとしたらすれ違っていたかもしれないという…。
牧: はい、実は5年ほど前にすれ違っております(笑)。
絹: ということで、お二方をお招きしてお送りいたします。
さあ、今日の番組のタイトル、テーマですが、「“みんなごと”のまちづくり推進事業~ひとごとではなく、”自分ごと”、”みんなごと”としての協力とは?」と題してお送りいたします。
ゲスト紹介で、総合企画局の市民協働推進の係長さんとコーディネーターさんということで、「なんか肩書が長くてよくわからん」と、リスナーの皆様は思っていらっしゃるかもしれません。そこでいつものように番組進行者が手を抜きまして、ゲスト紹介に代えて、他己紹介というのをやります。
それでは杏里さん、坂巻譲理さんとは、いかなる人物ぞ。短く述べよ(笑)。
牧: なかなか改まって言う機会がないんですけど(笑)。坂巻さんは、私の目の前に座っている、いかにも行政マンという見た目の感じですけど、話すとすごく女性的な、すごくきめ細かい心遣いが端々にあって、私よりも女性っぽいなと思う瞬間のある(笑)、やさしい人です。
絹:  ほう、フェミニン坂巻(笑)。ありがとうございます。それでは今度は坂巻譲理さん、牧野杏里さんとはいかなる方ですか。
坂: フェミニン坂巻です(笑)。牧野さんは目の前の席に座っているんですが、常にペットボトルとかジュースとかが4~5本あって、だいたいトマトジュースは置いてあるんですけど(笑)、「この人は一日にいったいどれだけジュースにお金を使っているんだろう」と不思議になる感じの方です(笑)。
絹: わかりやすい一面を、ありがとうございました(笑)。リスナーの皆さん、こんな方お二人が来てくださいました。では、エピソード1に入ってまいりましょう。
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■エピソード1 ”みんなごと”のまちづくり推進事業って、なあに?
    ●”みんなごと”と考える市民の皆さんをご支援していきたい
絹:  「”みんなごと”のまちづくり推進事業」って、たぶん知っている方は知っているけれども、知らない方は知らないという用語ですから、まず基本からお願い致します。
坂:  これまで行政は、まちづくりに対して主に補助金を出すというパターンで支援していくことが多いと思うのですが、過去の経過も踏まえて、今、市民の皆さんがそれぞれ、まちづくりを”自分ごと”、”みんなごと”として考えて行動していこうという団体さんが増えてきていまして、それを行政として支援していこうとやっております。
絹: 皆さん、ちょっとイメージしていただきたいんですけど、古いステレオタイプの市民、例えば絹川というおじさんがいたとします。「ワシ、市民税払てるし、街路樹の銀杏の葉っぱ、ワシんとこの家の門の前にいっぱい溜まってるし、臭いし、掃除しに来て」というのが古いステレオタイプの市民Aの姿です。一方で、「僕らは税金払ってるけど、できる事は自分でやるし、なんぼ京都市が大企業で、社員数1万人いたとしても、予算は限られてるやろ。できる事は手伝うわ。行政だけではアイデアもわかへんやろ。これ、一緒にやらへん?」というのが、新しいタイプ市民A’の姿です。どっちかな、皆さんは(笑)。
そしておそらくは「みんなごとのまちづくり推進事業」というのは、そういう新しいタイプ市民A’の声を束ねて、「一緒にやろうぜ」という、言いだしっぺを集めておられるような組織になるんですか。
 
●「まちづくり・お宝バンク」ってなに?
坂:  そうですね。実はこの「みんなごとのまちづくり推進事業」の根幹に、「まちづくり・お宝バンク」という仕組みがあります。例えば家の近所の川が汚れているとか、先ほどお話にあった銀杏の葉が落ちているというようなことがあれば、それをどうやってきれいにしていくか、例えば掃除の風景などをインスタグラムなどにあげたり、楽しくみんなを巻き込んでやろうとか、そういったマイナスのものをプラスに代えてまちづくりに取り組んでおられる団体が、今307件ほど登録しておられます。より清掃活動を楽しくやるとか、建物をもう少しきちんと保存していこうとか、色んな活動をされている団体が繋がって、活動が活性化していくための仕組みが、「まちづくり・お宝バンク」という提案制度になります。
絹:  イメージしていただきやすいように事例をちょっとご紹介したいと思います。フェミニン坂巻さんがおっしゃった、繋いでいくという話について、最近のゲストなんですよ。「七条大橋ライトアップ2018を応援してください」というチーム、これの母体は「七条大橋をキレイにする会」なんです。
坂: はい、お宝バンクに登録しておられます。
絹: でしょう?小林明音さんとか、酒谷宗男さんとか。彼らは毎月7のつく日に七条大橋をキレイにしようとお掃除を始めた。で、なんでか知らんけど、人がわらわら集まってきて、勝手に盛り上がってしまっていると。なんか土木遺産としての七条大橋を大事に愛して下さるというのは、建設屋としては涙が出るほどうれしいんですけど、例えばそういうことですね?
坂: はい、そういうことです。
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●プロから技術的なアドバイスをもらえます!ー市民サポーター派遣制度
坂: この「まちづくり・お宝バンク」というものを根幹に、それぞれの提案が実現できるように、いくつかの制度があります。例えば「市民サポーター派遣制度」というのがありまして、様々なスキルを持った市民の方が、今、70名ほど登録をいただいていまして…。
絹: 市民サポーターって、70名も登録しておられるんですか。杏里さんのコーディネーターとサポーターとはまた別のくくりなんですね。
牧: 私も大きく捉えればサポーターの1人だと思うんですけど、市民サポーター派遣の方たちは、より技術的なスキルや専門的に特化したアドバイスをしていただける方かなと思います。
絹: 市民の中で、専門家としてある種のプロフェッショナルな技能を持っていて、それをもってビジネスとして関わるのではなく、ボランタリーに京都市のまちに対して関わってもいいよと言っている人たちですね?
牧: この「お宝バンク」に関わっている人たちは、「自分たちでやろう」とリーダーシップを発揮したりする人が中心であるのに対し、サポーターの方は、自分が何か思いを持っていると言うよりも、思いを持っている人を手伝いたいという社会貢献の仕方もあるというところで、そのサポーターさんが本業の職能を活かしてコミットしていただけるということです。
絹: ただし、そこに賃金は発生しないと。
牧: そうですね。発生しないです。熱意と思いと(笑)。
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●知恵と思いを繋げると…
絹: これを「やらせぼったくり詐欺企画か?」というような陰口をたたく人はいないんでしょうか(笑)。
今のは半分冗談ですけど、京都市は賢いなと思うんですけど、人のボランタリーな思いというのを、ビジネスとして、金銭的に換算するととんでもない額になってしまう。でも「自分たちの玄関先に落ちている落ち葉やゴミを拾って、それでなんで請求せなあかんの?」という人たちも世の中には一定数おられるはずだと。行政が仲立ちになって、そういう人たちを結びつける糊になったら、すごく面白い事が実際に起きているんですよね。
坂: はい、そうですね。お宝バンク同士での繋がりが生まれたり、イベントをやったりといった動きもどんどん出てきています。
絹: 先ほど坂巻さんが、「特徴があるんです」と。「補助金ないんです」と(笑)。
坂: 大見得切って言っていいのかどうかわからないんですけど、お金がありません(笑)。
絹: いやあ、だから知恵と思いとで、京都市全体が、京都市のある片隅がちょっと暮らしやすくなる、生きやすくなるというようなこと、その種が「お宝バンク」の中には、ひょっとしたらいっぱいあるのかもしれませんね。
専門家的な職能を持っておられるサポーターの方が70数名おられて、お宝バンクのネタというか、アーカイブ数というのは結構あるのでしょうか。こんなふうにしたいとか、思いの数はいっぱい集まってきますね。
坂: 思いを提案という形で受け付けさせてもらっているんですけど、現在307件、ご登録いただいております。
絹: その307件が、ひょっとしたら形を変えて、京都市の政策になっていったりするんでしょうか。
坂: そうですね。場合によっては、それが政策に繋がって行ったりすることもあります。自分たちの活動が飛躍するのがメインではありますけれど、そういった部分もあります。
 
●活動進化プログラム「公開講座」・「伴走型支援」をご用意しています
活動が活性化するための支援としては、先ほどお話した市民サポーター派遣のようなスポット支援する制度や、お宝バンクの提案が実現するように「活動進化プログラム」といったものもご用意しています。このプログラムには、まず「公開講座」として、スクール形式の講座型で、企画広報・資金調達等を学べるスクール+ワークショップになります。
また、「伴走型支援」は、お宝バンクの中でも重点的に支援した方がいいという団体を支援する個別団体対象のメニューもあります。

●交流会も開催しています!
また、1年に一回なんですが、来年1月にお宝バンクの交流会を開催する予定です。去年は150人ほど、お宝バンクの提案者と、提案を考えている人たちが集まった交流会を開いていまして、こういった色んなメニューを通じて、それぞれの団体が繋がったり、学んだりしながら、提案を実現していただくという仕組みになっています。
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●3つの支援レイヤを解説しますと…
絹: いやあ、面白いし、よく考えておられますね。150人集まった交流会は濃い面子でしょうねえ(笑)。おもしろそうな人たちが集まりそうですね。
今、3つのレイヤがありましたよね。第一段階の第一レイヤはレクチャーと、「こういうところに入門したいな、どのようにして活動したらいいのかな」という人向け。「何か役に立ちたいけど、やり方わからないし」という人向けですね。 で、伴走型というのはある程度熟達してきて、「一緒に走る人たちがいればカタチになるかもしれない」という次元の人たち向けということですか。
坂: まさにその通りで、伴走型というのはある程度はまちづくりを経験した方が、さらに飛躍していくために個別団体とそれぞれ連携しながら実現していく制度になっています。
 
●まちづくりって、なんでしょう?
絹: また介入してちょっと意地悪な質問になりますが、頭を切り替えるために、まちづくりという言葉、非常に定義が難しいですけれども、杏里さんにとって、まちづくりって、平仮名に言い換えたらどのように言いますか。これ、ものすごく困らせる、大学のゼミなんかで公共政策でよくやられることじゃないですかね。
牧: 本当ですね。もうこれ、私自身も永遠のテーマだなと思っているんですけど(笑)。
私、元々は都市計画系だったので、ハード整備かなと思っていたんですけど、まちセン時代にどんどん学区のまちづくりに入っているうちに、やっぱり結局は人なんだなと思ったんです。なので、「人づくり」と簡単に言ってしまえばそうなるのですが、その人たちの思いが続くようにすることがものすごく大事だなと思っているので、そういう意味で仕組みづくりや環境づくりも入るのかなとも思っています。
絹: ハードもソフトも色々あるけれども、「京都に住んでいてよかったな」「我がまち、京都も捨てたもんじゃないな」という思いだとか、色んなアイデアとか、助けだとか、人とのつながりも含めて、「なんか去年より暮らしやすくなったな、生きやすくなったな」という思いに連なる活動がまちづくりかもしれないと、今なにか勝手に思いつきましたけど(笑)。

■エピソード2 まちづくり・お宝バンク、具体的な事例をご紹介しましょう
  ●駐輪場のアプリ開発から
絹: さあ、そろそろエピソード2に入って行きましょうか。もうだいぶエピソード2のケーススタディについて喋ってしまいましたが、それぞれ「この事例について聞いてぇ」みたいな事例はないですか。杏里さん、どうですか?
牧: 私はこの4月からこの職につかせていただいたので、まだすごく新鮮なんです。学区のまちづくりとはまたちょっと違う形でというと、京都のまちは今すごく観光が盛んになっていて、さらに観光客が来ていると思うんですけど、駐輪場がないという話があります。でも実は駐輪場はあるのに、場所が把握できないだけじゃないかと、ご自身がシステムエンジニアのご経験を持っていらっしゃる若い女性のお二人が…。
絹: アプリケーションをつくっちゃった。
牧: そうなんです。駐輪場の場所がわかる「charip naVi(チャリップナビ)」というアプリをつくられた方がいらっしゃいまして、それを京都市の情報化推進室の方で公開しているオープンデータをアプリに落とし込んで、より市民が使いやすいようなサービスに使ってみたという提案がありました。
絹: いやあ、知らなかったです。すみません。
牧: いえいえ、私も入ってすぐご提案いただいた取組で、すごく衝撃を受けたんです。
 
●行政の縦割り、民間と行政の壁を越えて
牧: しかもそれが単につくって終わりではなくて、駐輪場の運営等、事業者さんにも情報を還元したい、あるいはアプリのサービスを向上するために事業者さんと連携したいということになりました。そこで今は自転車政策推進室とか、情報化推進室とタッグを組んで、情報交流をして、民間事業者さんともやり取りをしながら、具体的に話が進んでいるところです。
絹: タッグを組んでというのは、行政の縦割りじゃなくて、行政の内部でも他の部門とタッグを組んで、そのタッグを組む相手も民間とも組んでということですね。すっごい大事な事をさらっとおっしゃいましたね。
牧: そうですね。今、さらっと言っちゃいましたが(笑)、お宝バンクや市民協働の方に、「どこに相談したらいいかわからない」という課題も持ち込んでいただきますと、その内容に合うんじゃないかという所に、こちらの方が調整させていただきますので、「ちょっとお話を聞くだけでも」という形で、どんどんと懐に入っていければと考えています。
絹: いやあ、ええ仕事したはりますねえ。また、いらんこと言いますが、今、牧野杏里さんがおっしゃってくださったことで、思い出したんですけど、オープンデータという言葉があります。行政は公共がため込んでいるある種のものを、できる限り民間にオープンにすることで、今おっしゃったような色んな連携が生まれるといいよねというふうに考えていらっしゃる節があります。
我がチョビット推進室でも、平成29年の3月放送、第128回で「OPEN DATAの開く近未来」と題して、同じく総合企画局の情報化推進室の清水和孝さんという方に語って頂いた歴史がございます。そこから進んでいるんだと思うと、なんかうれしいですね(笑)。はい、ごめんなさい。どうぞ続けて下さい。
 
●子育て環境を考えていくと…繋げて広げる
牧: もともと子育ての環境をよくしたいと思ってらっしゃる女性の御提案者の方は多くいらっしゃるのですが、その団体さんの先に、京都大学で科学的に親性(母性ではなくて、親性)を研究されている研究室に繋がりました。母性は先天的に持っているものではなく、経験則、経験知で養われる部分も非常に多い(従ってお父さんや近所の人たちも育児に共に携われる)というところを科学的に研究されている先生から、「是非こういった知識を、現場の専門家の人たちに還元したい」というお申し出がありました。この思いを受けまして、「育成推進課」という専門家の方の研修をされている担当部署にお繋ぎしたところ、実際の研修会に先生にご登壇いただくという形で、先日、できたてホヤホヤで連携が実現したばかりです(笑)。
坂: ここで言う専門家というのは、保健師さんとか、助産師さんとかの勉強会の集まりです。
絹: 総合企画局というのは、京都市全体のコーディネート役みたいな感じで、やっぱり企画という言葉が入ると、そんな仕事なんですね。
坂: そうですね。コーディネート役でもあります。
絹: 政策立案の種みたいなものも、耕していらっしゃるんですね。
牧: ダイレクトに政策に繋がるかは、今の段階ではわからないですが、そういう関係をつくっていった先に「やっぱり政策として用意した方がいいよね」という話になるかもしれません。
絹: それが発展していくということなのかもしれませんね。フェミニン坂巻さんは、何かお薦めのケースとか、ありますか?(笑)
 
●車いす点検ボランティアー区役所・支所に繋ぐ
坂: お薦めと言われると、307件全部お薦めしたいんですけど、ちょっとホットな話題で、今日の午前中発表された新しい活動があります。「京都車いす点検ボランティア“スイマルク”」という団体さんの活動で、実はこの団体は昔から病院とか、福祉施設などで、点検されずにそのまま管理されてない車いすが多くありまして…。
絹: 病院の廊下に「どうぞお使いください」と置いてあるけれども、実はメンテナンスが追い付いてないかなというのもあるんですね。
坂: それをボランティアとして点検をしていただくというような活動をされている市民団体の方々です。実は京都市の区役所でもそういった車いすがあるだろうということで募ったところ、今日は南区役所の方で点検活動をしていただきまして、5台の車いすの点検を頑張っていただきました。前職は新幹線の点検をやっていた方とか…。
絹: めちゃめちゃプロやないですかあ。
坂: それはもうリーダーの方でプロなんですけど、逆に染色のお仕事をやっていたとか、畑違いの方も多くいらして、様々な方が引退後もスキルを活かしたいとボランティアに取り組んでおられるので、私はもう涙が出てきそうなくらい、本当に一生懸命やっていただいているなあと思います。
絹: いやあ、ええ話ですねえ。
坂: また明日も伏見区役所と醍醐支所の方も回って点検していただけるということで、ホットな活動をご紹介させていただきました。
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●”みんなごと”のまちづくり推進事業の展望
絹:  ありがとうございます。複数事例を教えていただきました。リスナーの皆さん、これ、ほんの氷山の一角のようです。こういうものが307件あるということで、すごいなあ。
この”みんなごと”の、あるいは”自分ごと”のまちづくり推進事業、展望と言いますか、この先ベクトルとして、あるいは着地点として、こうなったらいいよねみたいなことを、コメントいただけますでしょうか。
坂:  なかなか難しい質問ですが(笑)、基本的には”自分ごと””みんなごと”として、それぞれの団体が頑張っておられるのですが、活動が行き詰まったりとか、伸びて行かなかったりなど、それぞれの課題があるなかで活動されています。お宝バンクの提案がこれからもどんどん増えて行って、それぞれが連携しあって、違う方向性を見出したり、活動が飛躍するなど、課題を解決できるよう、行政としてもサポートできればと思っています。

●捨てたもんじゃないでしょ?わがまち京都
絹: ありがとうございます。リスナーの皆さん、今日お二方のお話をお聞きになって、いかがでしたでしょうか。これは私の率直な感想ですけれども、わがまち京都は、やっぱり捨てたもんじゃないなという思いをまた一段と強く致しました。と申しますのは、なさっていることが本当に地道でしょ?で、潤沢に資金があるわけでもない、予算がついているわけでもない、市民の善意とプロフェッショナリティーと、思いと、それをなんとか紡いで、行政ができるところは既存の行政の持つパワーをそこに少し加えて、何か新しい事が生まれたらいいよねということを、本当に地道に続けていらっしゃいます。実はわがまち京都は市民協働、市民と一緒に汗をかいて、一緒に働くということの、日本の中でも実は先進都市であるということを、研究者から教えていただいたことがあります。市役所の皆さんは、特に総合企画局の市民協働の人たちはそういう人たちとして、ここにおられるんですね。いかがでしたでしょうか。
この番組は心を建てる公成建設の協力と、そしてかつては京都市景観・まちづくりセンターのお助けでお送りいたしました。ありがとうございました。坂巻さん、杏里さん、ありがとう。
両: ありがとうございました。
投稿日:2018/11/19

第141回 ・火の用心お願いします ~多発する地震、水災に備えて

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まちづくり“チョビット”推進室<平成30年10月放送分>

山: 山内 博貴氏(京都市消防局 次長)
絹: 絹川 雅則 (公成建設株式会社)

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左 山内氏   右 勝田氏

⑥本日スタジオにて
絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト、非常にガタイのいい方をお招きしました。ご紹介します。京都市消防局 次長でいらっしゃいます山内博貴さんです。
山: はい、こんにちは。昔から「地震・雷・火事・親父」ということわざがございますが、そのうちの地震と雷と火事を担当しております京都市消防局次長の山内です。
このラジオカフェ、京都三条ということですが、実は私も京都出身でございまして、中京の二条駅の西側辺りで生まれ育ちまして、京都の文化・生活・京都の言葉の中で育った一人であります。子どもの頃に耳にしたのが、「儲かりまっか」と「ぼちぼちでんな」という言葉ですが、「ぼちぼちやったらええがな」「商売繁盛笹もってこい」と、こんななかで、全国の仕事の中で1つや2つ、商売繁盛しない方がよい仕事があるとすれば、私の消防の仕事なんですけれども…。
絹: 今年は忙しいですねえ。
山: 6月18日に大阪の北部に地震があり、この中京も震度5強でした。9月には北海道胆振東部でも地震がありましたし、その間7月最初に西日本の豪雨があり、岡山や広島で大きな被害がありました。そして今年は台風が25号まで発生しまして、京都にも何回も上陸、特に9月の台風21号は最大風速50mで、昭和36年の室戸台風以来ということで、いまだにブルーシートをかけている家をよく見かけます。
②7月豪雨被災地に向け応援出発7月豪雨被災地に向け応援出発
絹: うちの実家も、上京の母の家がやられまして、屋根のスレート板が飛ばされて、押さえ金物も飛ばされて、よくご近所さんの窓を突き破らなかったものだと…。
山: 工事はまだですか?
絹: お陰様で本職なもので(笑)、雨漏りをとめて、足場撤去したところです。
山: それから今年は夏は非常に暑くて、気温が38℃39℃と出ました。お風呂ならば38℃や39℃はぬるま湯で気持ちがいいなと思うんですけど、気温となると熱中症ということで、去年の倍、救急車が熱中症で走りました。24時間365日、災害現場対応をしておりますので、少しそういうお話を今日はさせていただいたらと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
絹: よろしくお願いいたします。繁盛してはいけない仕事、京都のまちを守って下さっている、そこの言わば元締めとも言うべき山内次長であります。
共通の知人にご紹介いただいたのですが、「山内さんなあ、空手三段やし、囲碁三段やし、詩吟の上師範代の腕前やし」とのことで、まあすごい人です。ということで、リスナーの皆さんご期待ください。
山内さんに決めていただいた本日の番組タイトル「火の用心お願いします~多発する地震、水災に備えて」と題してお送りいたします。
ではエピソード1に入ってまいります。山内さん、まずは「火」からですね。

■エピソード1 多発する地震、心配なのは大火事です!

 

●京都に地震が来る恐れは、十分にあります
山: 「火の用心お願いします」ということで、まず地震の話なんですが、地震と言えば、平成7年の阪神淡路大震災、これが我が国の地震対策の大きな転換点になりました。その後、東日本大震災、それから最近では熊本の地震で石垣が崩れたりして、今年も大きな地震が発生しております。
「京都は地震来るのかな」と、皆さん心配されるお声をよく聞きます。これは聞かれたことがあるかもしれませんが、地球は地殻(これは卵の殻に覆われていると思っていただいたらいいんですが)が、マントルの影響でずっと動いております。ちょうど日本列島の南側にその地球の殻が2つ重なっていまして、太平洋から来ている殻が下に、日本列島の殻が上にあるんですけど、毎年それが数センチずつ、下の方が沈んでいって、上の日本列島の方がそのひずみ・圧力で歪んできているわけです。これが100年から150年で跳ね返るのが、よく聞かれる「南海トラフ」ということです。京都は海から遠いので、少し時間がありますけれど、その湾曲している「南海トラフ」のエネルギーがたまっている時に、上にある日本列島の地殻には傷がある所(それがいわゆる活断層)がありますので、それがミシミシと揺れます。ですから「南海トラフ」の前に、直下型の地震が活動期に入っていると言われているわけです。
絹: 皆さん、今、山内さんのたとえ、わかりやすかったですね。卵の殻みたいな所に傷があると。それが断層やと。有名な市内の花折断層、あれは傷ですか?
山: そうです。川のある所、山の裾は、隆起していたので、そこに水が流れ、堆積して、逆に我々はお酒を造ったり、豊かな文化がこの京都で育まれたわけです。いわば裏返しなんですけど、そういう意味でも、京都も地震が起こるかもしれないということは、非常に懸念をされておりまして、備えが必要ということです。

●火事を消す水はどこから?
山: 一番心配されるのは、地震が発生した時の大火事だと思うんです。
絹: この間、山内次長がご登壇になっていたシンポジウムでも、糸魚川大火、あれは2年前ですかね。そのパワーポイントのスライドで話されましたね。あんなことをイメージしなければいけないわけですね。
山: 阪神淡路大震災の時は、長田町が大きく燃えまして、京都市消防局もその時派遣して、その時の水は長田港という港から汲んだんです。
絹: 海の水を運んでこられたわけですね。
山: そうです。糸魚川も港から汲んで、ホースを伸ばしたわけです。京都は内陸都市ですので、海がないということで、大きな火災が起きた時に、消す水は大丈夫なのかということが、心配の種だったんです。我々は阪神淡路大震災以降、火災の段階を3段階にわけまして、火事が発生した時は火事の卵の第一段階、それが1軒燃えたら第二段階、そしてそれが大きくなったら第三段階と火災の大きさを3つに分けまして、まず真ん中の1軒燃えた時が、我々消防の仕事ですので、消さなければなりません。そのための水があるのかというのを、少しだけご紹介したいと思います。

●京都の消火の備え①―消火栓
山: まず水道管というのが走っていて、皆さんのご家庭で蛇口をひねると水が出ますが、その水道管から配管を伸ばして、消防隊が現場で使用する消火栓に繋げています。道を歩いていただくと、30センチ四方くらいの黄色い蓋が消火栓なのですが、だいたい京都の道の辻々にあります。市内でいくつぐらいあると思われますか?
絹: いやあ、「わかりません」と言いたいところですが、この間、事前のヒアリングで教えてもらったんですよね。「24,000以上あるんやで」と教えてもらいました。
山: その蓋を開けて、ホースを繋いで、消防車につけて、消防車のポンプで加圧して、ホースを伸ばすわけです。その水は水道管ですので、ずっと出せますので有効なのですが、少し課題があるとすれば、地震で揺れたらそれが切れて、断水するということがあるわけです。

●京都の消火の備え②―防火水槽
山: そこで、もう1つの備えが防火水槽です。これは地面にコンクリートの塊の水槽を埋めるのですが、そうなると地面と一緒に揺れ、耐震性があるので、地震に非常に強いということです。色んな種類があるのですが、だいたい大きさが40㌧、100㌧という大きな水槽です。それがどのくらい消せるのかと言いますと、プロの消防隊がホースの先から水を出すのが、だいたい分0.5㌧くらいですので、2人の隊員ですと合わせて1㌧、40㌧ですと40分間、100㌧ですと100分間出せるのですが、これの課題は全部出したら水がなくなるということです。

●京都の消火の備え③―川・水路
山: いよいよ第三段階に行った時に、京都では例えば鴨川の水とか、プールの水等を活用しなければなりません。こうした大規模災害への備えについては「京都のまち全体で守っていこう」ということで、今議論をしている最中です。以上のような形で、大規模災害にならないような水の備えをしています。
絹: 堀川に水のせせらぎが復活してだいぶになって、「京の七夕」といったイベントがあったりしますが、注意深く見ていただくと、せせらぎの流れている所々に木の堰板を入れて、非常時に消防隊さんに使っていただけるような工夫がしてありますね。
山: 先ほど防火水槽、消火栓と言いましたが、その他、自然な水路などで、だいたい京都市内で2,000近く消防で指定をしております。最近は田畑が少なくなってきたり、地下に水を埋めたりして、水路が少なくなってきて心配なのですが、そういう備えをしているということです。

●火事は卵の段階で消す!
山: 今日はその中でも第二段階の防火水槽と消火栓のお話をしましたが、何よりも重要なのは、第一段階です。つまり地震で火事が発生した初期、火事の卵の段階で消して頂くことが、大火に至らない一番の方策なのです。
絹: 一般市民である我々自身が卵のうちに消してくれたらということですね。この間教えていただきましたけれども、例えば花折断層が大きく揺れたら、たぶん100軒くらい同時に火事が起きるかもしれないと。
山: これは京都市が地域防災計画で、花折断層が揺れた際、冬の夕方の一番火を使う想定で、100軒近く火事が発生するということです。
絹: 一番ヤバい状況だとしたらですね。
山: まして糸魚川よりも、あるいは神戸よりも、京都は木造の家がたくさんあります。そんな京都で、大火にならないようにするには、消火器や水バケツなどで、何とか各御家庭で消してもらうということです。あるいは火事にならないように住宅用火災警報器をつけていただくなど、色んな対策をしていただくことで、それが大幅に減らすことができるということです。
今日は「火の用心お願いします」と火事の話をしていますが、そのためには日ごろの防火の備えが重要であると思っております。
①文化財での放水訓練文化財での放水訓練

●昭和30年代、京都の意識改革
絹: 先日、山内次長に「京都は誇りに思ったらいいことがある」と教えていただきました。「先達が他都市に比べて防火意識を高めてきたという歴史がある」と。ちょっと教えていただけますか。
山:  京都と言えば、住民自治、地域自治で、明治の初めに番組小学校ができて、そこに火の見櫓があって、地域のシンボルだったわけですが、それが消防団の前身です。
先の大戦以降、消防団は引き続きあったのですが、戦後どんどん経済が発展し、火事もどんどん増えて、昭和30年代には一番多い時で、一年間で756件ありました。当時はまだ竈など裸火でしたので、火事の要素も多かったわけです。時の市長さんも、「人が火を使うので、火事は人災だ」「消防職員は火事を消すだけでなく、防火のセールスマンたれ」と、出初式でも訴えられ、職員は全家庭に行って徹底的に皆さんにお願いして回ったようです。市民の方も、それではということで、町内ごとに防火委員を出していただき、例えば町内で消火器を買う、あるいは水バケツを置く、あるいは昔は貯蓄制度と言って、お金をためて共同住宅の二階の界壁をつくったりしました。京都の袋路地などに行くと、水バケツが置いてある風景がありますが、他都市に行ってもあまりないんです。

●京都の高い防火意識は、大きな誇りです
絹: 皆さん、今聞いてびっくりしはりませんでした?我々は町内に赤いバケツがあって、あるいは町内所有の消火器が置いてあって、時々は交換してと。当たり前だと思っていたのが、他都市ではあんまりないんですって。
山: 行政が置いたりしますけどね。一年に一回詰め替える時に、消火器の訓練をしたりして、そういう皆さんの各家庭、地域の防火に対する取り組みが進んで、昨年、平成29年の火事が1年間で249件でしたので、一番多い時よりも3分の1になったわけです。
絹: 昭和30年代に比べて3分の1になっているんですねえ。
山: よその大きな都市と、人口一万人当たりの火事の件数を比べても、かなり少ない結果になっています。京都は火事が多そうなんですが、実は皆さんが「火事を出したら大変や」と一生懸命火の用心したり、お札を張ったりと、防火意識がとても高いんです。そういうことをしてもらっている事が、結局大きな災害になった時にも、消火器も使えるし、地域でもしもの時は「ここに逃げなあかんな」となるので、まずは地域で火の用心をお願いしたいということです。自分の家の防火管理を、まず進めていただくと。

●今でも響く「火の用心!」
絹: さあ、山内次長が拍子木に③拍子木
手を置かれました!
山: 私は中京の二条に生まれなんですが、子どもの頃に町内で順番に「今日はあんたとこの家やし、子どもやから回り」ということで、拍子木を鳴らして町内を回ったんです。ちょっといっぺん鳴らしていいでしょうか。
絹: どうぞ!
山: 「火の用心!」
こういう声が晩の7~8時に京都のまちで響きます。住民の方が守られているわけです。
絹: うちは上京区ですけど、やっぱりまだ聞こえます。
山: 消防団の方もね。これも地方から来られた方はびっくりしはるんですね。「こんなん見たんは、時代劇の銭形平次以来や。こんなんやったはんのやな」と。
絹: 時代劇か、ここはと。
山: しかも皆さんが自主的にこれを持ちまわって、地域でやっていただく。この地域の防火の意識を継続していただくことが地震に備える非常に重要な事なので、是非皆さんにもお願いしたいなという思いでおります。
絹: リスナーの皆さん、今、大事なことを教えていただきました。誇りに思っていいのやでと。30年代からずっと消防署の人たち、消防局の人たち中心に、我々の先輩たちも京都の火事を3分の1に減らしてこられた。これは他都市ではちょっと珍しいということです。
さあ、まずは火の用心、地震に備えるから行きました。エピソード2は水です。

■エピソード2 水害に備えるー日ごろからの備えが肝心です
●自分の避難の基準を考えておく
山: 近年は異常気象ということで、今年も豪雨があったり、京都も嵐山の渡月橋が水がついたりしたことがありましたが、集中豪雨や台風が頻繁に発生しています。特に今年の7月4日からの豪雨では、広島や岡山で200人以上の方々が亡くなられて、その大変な状況を皆さんご記憶にあると思います。台風21号では市内でも相当の被害がありました。最近は気象庁から避難準備、あるいは避難勧告、避難指示が、テレビで、自分のスマホで、ひっきりなしに、どうなっているんやというくらい出て、いつ逃げたらいいのか、役所にも問い合わせがありますし、皆さんも不安に思われたことと思います。
どういうタイミングで避難していただくのがいいのか、行政でも検証しているのですが、私なりに考えておりますのは、いくら気象庁が避難勧告、避難指示を出しても、まずは自分の避難勧告・指示の基準を持っていないと動けないのではないかと。もしもの時には自分の家の二階に逃げたらいいのか、近所のどこへ逃げたらいいのか、持ち出すものはあるのか、それはご家族で相談していただく、地域の自主防災会に相談していただくということです。気象庁から指示や勧告が出た時、「そしたら自分は何をする」という自分なりの基準・取り決めをもっておかないとどうにもなりません。そのために消防では、「我が家の防災行動シール」というのを皆さんの御家庭にお配りをしております。ハザードマップがあるのですが、地震、水の災害、土砂災害の地域もありますね。その時に地震で逃げる所と、水害で逃げる所の場所が違う(水がつきそうなところは逃げられませんので)かもしれないので、その時にお宅の地域はどこに逃げて下さいということを示したものです。
絹: そうですね。低い所の場合はね。
山: そういう所では、マンションの二階とか、色々ありますので、そうした所を考えていただいて備えるということです。何よりもそういう備えを日ごろからしていただくのが大切です。

●「自分には起こらへん」は禁物です!
山: 先ほど詩吟のご紹介をしていただきましたが、実は私、えらい先生に習っているんです。地震が発生した時、その宗家のご家族に電話して、「非常持ち出し袋どうなってます?転倒防止は?」と聞いたら「いやあ、そんなん。箪笥の上にも物が置いてあります」ということでしたので、「そら、あきません」と、詩吟を教えてもらいながら、防火の話を一生懸命お願いして(笑)。台風の時も電話して、「早くお風呂入ってもらって、充電したはりますか?」と。
絹: あ、充電大事なんですね。
山: そんなことをお願いしたわけです。そんな偉い人でも我がことになったら、「自分には起こらへんな」と思われるものなんですね。1つの例ですけど、皆さんも持ち出し袋やラジオなど、色んなものを点検していただいて、自分の地域はどうなのか、この地域は水がつく、つかない、そうなれば二階に逃げた方がいいのか、隣近所でもしもの時には助け合うということを考えておく。

●災害用備蓄飲料水 京のかがやき疎水物語
山: 地震にしても水害にしても火事にしても、それが重要でありまして、ちょうど私も自分の仕事場に“災害用備蓄飲料水 京のかがやき疎水物語”これは京都市の上下水道局がつくっております。
絹: アルミ製のペットボトルで、④疎水物語なんと
中身は琵琶湖の水を精製した京都市
上下水道局自慢の水道水です。
山: これ、ちょっと私、のどが渇いたので一杯飲みますけど、めっちゃ美味しいです。
絹: どこで売っているんですか。
山: これは例えば京都市役所、あるいは上下水道局の八条口にある本部の庁舎や、地下鉄の烏丸御池構内とか、上下水道局の営業所でも置いていまして、これの良い所は10年保存なんです。
絹: ちょっと長いですね。もちますね。
山: もつんです。
絹: そこに今、黒々とマジックで2028年までもつとありますね。
山: 私は事務所の自分の机にこれを5個くらい置いているんです。家にもいっぱい置いて、とりあえず防災対策は10年くらい先までと。やはり水がないとね。もちろん避難所には備蓄してもらう制度も必要ですけど、それぞれの御家庭で水不足というのも非常に問題になりましたので。また、これを置いておくと、常に意識をしますので。こういうのを1つの例に備えていただくということが大切かと思っています。

●非常持ち出し袋を必ず用意してください!
絹: 山内次長はご自宅に職業柄でしょうが、非常持ち出し袋を玄関用と一階用と二階用の3つ置いていると。何が入っているかというと、例えば古いタオル、手袋、三角巾、それからこういう疎水物語のような備蓄水、あとは自分で非常の時にいるなと思う充電器、ラジオなど、自分で工夫したらよろしいと教えてくださいましたね。
山: 靴もね。ガラスなんかを踏み抜かないように。そしてヘルメットも。
絹: あ、ヘルメット。うちは職業柄いくつも持っています(笑)。
山: ただ自分のヘルメットの方がいいですね。私の家内の両親にはヘルメットを渡して、寝床に2つ置いてはります。親孝行しなあかんと思ってね(笑)。そういうことをしておくことが大切なので、皆さんも今日、家具の転倒防止どうなっているのかなとか、これを機会にちょっと見直してみて下さい。
これだけ災害が起こっている都市ですから、もちろん行政として備蓄をしたリ、備えるべき事は一生懸命やらせていただくのですが、なんと言いましても約150万の市民の皆さん、観光客の皆さん、働いておられる方もおられるし、世帯で70万世帯あるので、そうした方々をしっかりお守りするのに、自分たちでも少しでも備えていただくことが何よりも迅速な安心・安全に繋がります。是非ご検討いただけたらと思っております。

●我が家の防災計画をぜひ考えて下さい
絹: リスナーの皆さん、今、山内次長がおっしゃった事、先ほどの「火事は卵の段階で消したら、それだけ周りが助かる。大火災に発展しなくて済む」というのと一脈通じます。スマートフォンで、避難勧告や指示など、色んな警報がいっぱい出てきますけど、自分事にせなあかんということですね。「もし自分なら、自分の高齢の親なら、息子なら、孫ならどうするのかという話を、非常持ち出し袋を皆で作りながら、家族で相談して」と。まず自助、公助、共助でしたっけ。
山: そうです。防災計画と言えば役所的な言葉ですけど、京都市地域防災計画ってあるんです。我が家の防災計画を、自分らで、できる範囲で考えていただいて、火の用心やもしもの事があった時に備えていただくようお願いできないかなと思っております。
⑤防災行動シール
絹: ありがとうございます。良い機会を頂きまして。実はわが社でもファイルキャビネットの上に、いっぱい書類があるのを、今、総務を中心に「片づけ隊」と称して、おろしてきれいにして、転倒防止の作業中でございます。さあ、リスナーの皆さん、いかがでしたでしょうか。火消だけではなくて、京都のまちをいざという時に守って下さる縁の下の力持ちの元締めにお話をいただきました。自分ごとにいかに引き寄せて、まずは非常持ち出し袋。
山: 古い鞄で結構ですよ。新しい鞄を買わなくても、使わない鞄を用意してもらったらいいと思います。
絹: 山内さんからのアドバイスですけど、「ブルーシートも役に立つで」と。「ロープ一本でもええねん」と。「オーダーメイドでなくても、本当に自分好みの非常持ち出し袋を作ってね」とおっしゃっています。さあ、皆さん、終わりです。是非是非、自分ごとにお願いします。
この番組は心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力再生プロジェクトの応援でお送りいたしました。京都市消防局山内次長、ありがとうございました。
山: ありがとうございました。
投稿日:2018/10/22

第140回 ・鏡山循環バス復活の軌跡~みんなで乗ろう鏡山循環バス

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まちづくり“チョビット”推進室<平成30年9月放送分>

岩: 岩崎 泰夫氏 (鏡山学区自治連合会 相談役)
中: 中尾 力氏  (鏡山学区自治連合会 副会長)
竹: 竹本 武一郎氏(鏡山学区自治連合会 総務)
人: 人見 早知子氏(山科区役所地域力推進室まちづくり推進課長)
絹: 絹川 雅則  (公成建設株式会社)
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左から 絹川  人見氏  中尾氏  岩崎氏  竹本氏
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト、先輩方の男性お三方と、行政から紅一点で女性の方がお一人、都合四人のゲストで盛りだくさんでお送りいたします。
では本日の番組タイトル・テーマを申し上げます。「鏡山循環バス復活の軌跡~みんなで乗ろう(大きく育てよう)鏡山循環バス」と題してお送りいたします。
さて、本日のゲストのご紹介ですが、お一方目、鏡山学区自治連合会、ついこの間まで連合会長を務めておられました、岩崎泰大相談役でいらっしゃいます。
岩: どうぞよろしくお願いいたします。
絹: 岩崎相談役、よろしくお願いします。そして同じく中尾力副会長さん。
中: はい、中尾でございます。よろしくお願いいたします。
絹: そして総務の竹本武一郎さん。
竹: 竹本です。よろしくお願いします。
絹: そして紅一点は、山科区役所から。
人: はい、まちづくり推進課長の人見と申します。どうぞよろしくお願い致します。
絹: 実は陰でもう一人、随行役と言いますか、ボディガードが一人おられますが、今日はおしゃべりにならないそうです(笑)。
さて、山科区鏡山学区という場所がございます。相談役、鏡山学区というと、どの辺になるのでしょう。
岩: 山科盆地は、西・北・東と山に囲まれ、南側が開いている京都盆地と同じような地形でございまして、その山科盆地の西北方面にあるのが鏡山学区でして、当学区は12,400人の人口、世帯数は5800軒ほどでございます。
絹: リスナーの皆さん、三条通がありますね。そして山科駅があります。そして外環状線があります。そして山科駅の前からちょっと下がった所に渋谷街道があります。その渋谷街道が鏡山学区のど真ん中をズボーンと背骨のように繋がっている辺りをイメージしていただけたら幸いです。この辺りで何やらすごいことが起こったというのが、今日の番組のメインのテーマであります。鏡山バスを復活されたというお話を、これから承ります。
エピソード1に入るまでに、人見課長に無茶ぶりしますね。今日のメインゲスト、岩崎相談役とはいかなる方ですか。短く述べよ(笑)。
人: はい、ちょっとラジオで皆さんにお姿を見ていただけないのが非常に残念なんですが、本当に昔ながらのダンディな男性と言うのでしょうか。おそばにずっといたいと言うか(笑)、やさしい感じの穏やかな相談役でございます。
絹: でも少しお身体を壊されて、会長さんからお退きになりましたが、鏡山循環系統バスの復活に際して、本当に中心になられた方と承っております。
さて、次は岩崎相談役に無茶ぶりします。中尾副会長とはいかなる方でございますか。
岩: 自治連合会運営に色んな面で携わっていただき、「あれしてや」「これしてや、頼むわ」というと、嫌な顔一つせず、一生懸命黙々とやっていただいております。
絹: ありがとうございます。それでは次は中尾副会長に無茶ぶりで、総務の竹本さんとはいかなる方でしょうか。
中: はい。わが自治連合会の長老でございまして、竹本部長さんなくしては、鏡山自治連合会が回って行かないというような、全ての事を総務として取り仕切って頂いております。非常に優秀な方でございます。
絹: ありがとうございます。京都のすごい所は、こういうことではないかと思います。それぞれの自治連合会にちゃんとこういう先輩方がいてくださるということが、ひょっとしたらまちの力の基本なのかもしれません。

■エピソード1 お年寄りの足を確保するため、バスを復活させたい!
●バス復活のお話、こんな流れでした
絹: さあ、この先輩方からどんなお話が聞けますか。引き続きまた、岩崎相談役にお伺いしますが、そもそもこのエリアで何が起こったのでしょうか。と言っても事前に新聞記事で、私の予習の記事がありますので、知らないわけではないのですが、リスナーの方々に成り代わりまして、知らんふりをして(笑)、お尋ねいたします。住民要望で、一旦なくなったバスが復活するなんてこと、あり得るんですか。
岩: 私が聞き及ぶところでは、まずないと聞いておりますが、実は私どもの鏡山学区のど真ん中に、先ほどおっしゃられたように、渋谷街道という昔からある古い道路が走っております。これはあまり広くはないです。この道路に平成8年まで山科駅発向日町まで行っている京阪バスが走っておりましたが、この8年に廃止になりました。廃止になったのは、地下鉄ができ、色んな道路がつき、交通網が良くなり、アクセスも良くなったということで、お客さんがなくなってきて、8年の3月廃止になったという流れがございます。
絹: 手元の資料は、2018年(平成30年)8月25日の京都新聞地域版ですけれども、これによりましても、「利用者減少で1996年に一旦廃止。地域の高齢化が進むなか、お年寄りの足を確保しようと、地元の自治連合会が中心になって、4千人以上の署名を集めて要望書を提出し、2013年に復活させた」とあります。
岩: その通りでございます。平成21年からそのような要望書を提出するために、色々と資料を揃え、役所の方へも提出をいたしました。そしてお陰様で平成25年の3月23日に、山科駅発で我々の学区へ、渋谷街道を走ったということが始まりでして、その当時は実証運行でございましたが、最初は本当に苦労をしました。
一便目、人が乗る人が少なく、「どうしようかなあ、どうしたら乗ってもらえるのかな」と、人の集まる所、集まる所へ行き、乗車協力のお願いを兼ねて、案内をしていたというところが、出足でございます。また、27年3月23日から実証運行から本格運行へと切り替わっていきました。
  鏡山新聞junkanbus

●実はうちの学区、高齢化率が高いのです
絹: リスナーの皆さん、今こうやって言葉で聞きますと、非常にスムーズに流れたように聞こえなくもないですが、ただこの要望書、4千筆以上の署名を集めるなんて、想像してみてください。冗談じゃない活動じゃないかなと。そもそも当時、自治連合会の現役の会長でおられた時、バスがなくなった事に対して、「なんとかして!困った」という声が自治連の役員の方に届いたわけですね。
岩: そうですね。京都市、山科区、全市を通じまして、高齢者また後期高齢者がどんどんどんどん増えてきております。当学区におきましても5700世帯で人口は約12500人ですが、その人口の3分の1が高齢者及び後期高齢者ということで30%を超えております。そのような所でどうしてもバスをなんとか復活しなければいけないということで、現在に至っております。
絹: 私は不勉強で、山科は高齢化率が市内の中心部よりも低いのかなと誤解しておりましたけれども、30%というと、結構高いですね。
人: 高いですね。現在、11行政区の中で2番目に高齢化率が進んでおります。
絹: 上、中、下のいわゆる田の字地区も25%以上だったと思います。それよりも進んでいるということですね。そんななか、高齢者の足を確保してほしいという声が寄せられて、4118筆を添えて、京阪バスさんと京都市の交通局に持っていかれたということですね。それは最初は「はい、わかりました」みたいな反応でしたか。
岩: いやあ、なかなか進まなかったですね。そのあたりから苦労の始まりです。
絹: 最初のハードルを越えて、実証実験に持ち込まれるまでが、実は一番しんどかった時期ではないかと勝手に想像するのですが、やはりその中で山科区役所に代表されるような京都市の方というのは、だんだんに寄り添うような、そういう関係が結ばれてきたのでしょうか。
よく署名などを持っていった時に、ありがちな勝手な想像ですけれど、「こんなん持ってきて迷惑や。仕事を増やさんといて」みたいな反応がありがちなように、思わなくもないのですが(笑)。
竹: そうですねえ(笑)。
絹: 今日はでも、山科区役所から「この話(当該バスの話)を聞いてくれ」みたいな話で持って来られてますから、山科区役所の方たちはそういうのはなかったのかもしれませんが、やっぱり地元の要望をきっちり吸い上げて、京阪バスさんも偉いですね。こんなん受けられて。たぶん儲かる路線ではないはずですよね。
竹: そうです。敬老乗車の方が多い路線ですので。
ルート図

■エピソード2 実証運行から本格運行への苦労、色々ありました…
●人が集まる所とあれば、どこにでも出かけて行きました
絹: それで一年間の期限付きで、一日二便の実証運行が決まる所まで持ち込まれました。そこのご苦労も大変だと思いますが、さっき相談役がおっしゃった「実証実験まで持ち込むのも苦労やったけど、持ち込んだらさらに苦労が待ってました」と。最初はあまり乗ってもらえなくて、データが取れない時期があったというのは聞いたんですが、そこからですね。次のご苦労は。
中: はい、そうです。一応、ノルマが掛けられまして、一便あたり20名を超えた人数を確保するというのが、京阪バスさんからの要望でございまして。
絹: そうですね。運行する側にすれば、運転手さんを用意して、バスや機材を用意して、バス停の整備等、色々やることになるけれども、「やったはいいけど、乗ってもらえなければ、せんないわあ」と思われますよね。で、だんだんに利用者さんが増えてきた。そのためにはどこへお出かけになったんですか。
岩: 乗車数を上げるのに、まずは連合会の総会、そして人が集まる所として、社会福祉協議会の「すこやか教室」、また土曜日になれば「公園体操」ということで、午前10時からやっています。そういう所や、ありとあらゆる人が集まる場所には必ず啓発に行きました。

●アンケート調査と啓発活動と
絹: 丁寧ですねえ。地道ですねえ。で、4900世帯を対象にアンケートもとられたと。このアンケートは例えばどんなことをお聞きになりたかったんですか。
岩: まずは、どのようなことを望んでおられるか。時間的に何時ごろがいいかなどですね。最初は山科駅発午前10時22分、午後は3時22分発の2便でした。ところが先ほど中尾さんがおっしゃったように、できたら20人以上乗って下さいということで、20人をオーバーさせるのが大変でした。また、様々な場所へ行き、人の顔を見れば、「乗ってや」「乗ってや」というお願いをしていたということでございます。
絹: お医者さんに行くのに、「できたらこの時間に通ってくれたら、使えるのに」という声が拾えたわけですね。
岩: そうです。お医者さんもそうですが、買い物ですね。やはり生活バスですので、買い物が一番多いですし、お年寄りが多いので、病院に行くという乗客者が多いです。
絹: そして、こういう地道な活動の中には「お試し無料乗車券」付きの広報ビラをおつくりになったそうですね。それからアンケートを取られるということは、それぞれの生活時間帯の中で、この循環バスを使ったら、どんな便利なことが起きるのかいった調査もされた。
その結果、一便あたり約20人の利用者を達成されました。そのために一年間実証運行が延長されることが、26年度に決定されています。すごいなあ。そして本格運行というのが、まだこの先に来るんですね?ということは、さらにハードルが上るんですか。
岩: 27年に本格運行に移行しました。それから現在に至っているのですが、平成29年の10月1日、今9月ですから、もう1年を迎えようとしている時期なんですが、それが1便増えたということで、以前に比べ出かけやすくなりました。その便にもたくさん乗っていただくように、運動をしている最中でございます。

●本格運行とバス停の増設
絹: 実証運行便は一便あたり23から27人の利用者を達成しました。本格運行後の取組としては…。あ、なんか駅が増設されていますね。
岩: はい。当学区を通り、三条通に出て、まもなく地下鉄の乗降口があるのですが…。
絹: 御陵でしたっけ。
岩: そうです。ところが駅がありながら通過をしていたのです。そこで陳情してバス亭をつくっていただいたということです。それまでは地下鉄を乗降しようとすれば、山科駅まで行かなければならなかったのが、当学区を通っている時間から、その御陵駅まで5分前後で行けるという便利なポイントにあるバス停になります。
絹: 地下鉄と連絡して、すごく便利になって喜ばれた方もおられたでしょうね。
岩: 今もずいぶん下りて地下鉄に乗っておられるという事です。
絹: 地道な自治連合会さんの活動として、本格運行になってからも28年の年末、連合会が餅つきをやっておられます。そこにおいて、「鏡山循環バスに乗ろう」とお餅に印刷されたんですか(笑)。
岩: 食紅でね(笑)。
絹: これはインパクトありましたよね。

●陸運局から表彰されました!
絹: 山科区役所で聞いたんですが、この取組が「モビリティマネジメント」というカタカナですけど、地域ですごく目立った成果のある活動だとして、国交省の方から表彰されたり、取り上げられたりしたそうですが、それは皆さんも東京へ行かれたり、あるいは近畿地方整備局に行かれたりしたのですか。
岩: この時の受賞は、大阪までおじゃまさせていただきました。陸運局長表彰ということで。
絹: 陸運局の方でしたか。大変でしたね。でもこうやって、京阪バスさんも頑張られて、循環バスをつくられた。そしてたくさんの人が乗られるようになりました。

■エピソード3 鏡山循環バスのこれから
●ちびちゃんたちの乗車も増えてきました
絹: 今後は「利便性の向上を目指して、みんなで乗ろう鏡山循環バス」とありますが、これが色んな所に貼られているわけですか。
岩: そうです。3つある標語のうちの1つですが、一番その部分を重要視しております。また、いずれにしましても、ここまで我々が力を合わせてやってきた流れの中に、山科区役所さんの色々なご指導、また運営を通じての御鞭撻を頂きまして、今日まで運動ができたと、非常に感謝しているところでございます。
絹: この「みんなで乗ろう鏡山循環バス」には小さいお子さんも乗られているらしいですね。
岩: 95%以上は敬老乗車券の利用者ですが、現金を払って乗っているちびちゃんたちもだんだんと増えてきました。
絹: 小学校へ行かれて、特別授業ですか?「乗ろう」という授業をされたように聞いております。小学生にはあまりなじみがなかったバスですが、3年生が地域学習のテーマとして、自治連のメンバーさんを先生として招かれたと記事にありますが、それもいい感じですね。小さい子が乗ってくれたら…。「バス知らんわ」と思ってた子が、「バスって、くるくる回るんや」なんてね。
shiminban kodomonews

●小学校での特別授業を通して
岩: 今年の6月6日に、鏡山小学校の3年生、全員で77名おりますが、その子たちを対象に「鏡山循環バスとは何ぞや」ということで、当方が学校へ寄せてもらって、半日先生をしてきました。これもまだ3年ですから、難しい言葉が通じないので、非常に苦労した部分もありますが、それをきっかけにまた、総合学習の1つとして体験乗車をするということで、全児童が乗ってくれたという非常に喜んでおりました。また、京都新聞にも掲載されておりますが、一般の乗客と子どもたちが「おばちゃん、どこ行くねん?」「おじいちゃん、何しに、どこ行くの?」というような、聞いてたら「どこ行くの?」が多かったですが、「いつも乗っているんですか」とかそういう質問もしていました。
絹: こういう子どもたちの中から、将来の社会学系統の研究者が生まれるかもしれませんし、それどころか自分のおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に買い物に行くのなら「バスに乗ろう」というような子が出てくるとうれしいですね。
岩: その通りです。バスに乗っている時も、学校へ寄せてもらった時も、子どもたちに持っていった資料がございますので、それを家に持って帰り、「おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、いっぺんバスに乗ろうな」と言ってくれたら非常にうれしいですし、子どもたちがちょこちょこ乗っていると聞きますと、何か効き目があったのかなというような気持もしております。
絹: リスナーの皆さん、今日のお話はいかがでしたでしょうか。鏡山循環バス復活の軌跡と題してお送りしましたが、「軌跡」は「足跡」という意味と、ひょっとしたら「ミラクル」という意味の両方がかかっているのかもしれません。地域の方々がこうやって丁寧になさることで、この先何が生まれるのか。小さいお子さんたちに、地域のことを考えて、「バスの復活の交渉をしたおじいちゃんたち、おじさんたちがいたな」という記憶こそが、ひょっとしたら大きな財産なのかもしれません。
この番組は心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力再生プロジェクト、京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。岩崎さん、中尾さん、竹本さん、そして人見さん、今日は貴重なお話、ありがとうございました。
全: ありがとうございました。
投稿日:2018/09/11
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