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まちづくりチョビット推進室
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第215回 ・京都市の森と人の暮らしと林業〜森へ関わる人々をふやしたい

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芦: 芦田 拓弘 氏(株式会社 Eco Forest Friendly 代表取締役 / 株式会社あしだ 取締役)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
                        (左:芦田 拓弘 氏  右:絹川)

 

◼︎トピックス
林業の現状と課題
・株式会社芦田は創業60年で京都最大の丸太生産量を誇る。南丹市日吉町に本社があり、森林率88%のエリアで林業を展開
・林業の業務サイクルは60年。植林から10年間の草刈り、その後50年間の保育作業を経て収穫し、再び植林する長期事業
・林業の主な収益源は60年育てた木を市場で競りにかけた売値だが、現在極めて安い価格になっている
・過去40年間で林業作業者が14万人から4万人に減少。人手不足が深刻な問題
・日本の森林率は70%で世界3位だが、4万人の林業作業者では対応しきれず、放置される森が多い
・高齢化した木(平均樹齢60歳以上)は光合成しなくなり、むしろCO2排出者になるケースが多い
・国の方針として年老いた木を収穫し、無花粉苗を植えて森を若返らせる必要があるが、200年かかると試算

林業の根本的課題と解決策
・木が安くて儲からないことが根本課題。林業会社の収益面を改善しないと森は放置され負の遺産になる
・植林後の山の手入れはボランティアで赤字のケースが多く、森林所有者の高齢化で相続時に放置される傾向
・森を儲かる仕組みに変えることが急務。そうしないと森の荒廃が加速する

後継ぎ甲子園と地域課題
・「アトツギ甲子園」は経済産業省が主催する大会。日本企業の99%が中小企業で、特に京都は伝統産業が多く後継ぎ問題が深刻
・地方に帰ってきた後継ぎは地域で埋もれやすく、横の繋がりがない。甲子園はそうした後継ぎのコミュニティ拡大が狙い
・後継ぎは孤立無縁になりがちで、相談できる相手がいない状況が多い

エコペイ(EcoPay)と地域決済アプリの仕組み
・エコペイ(EcoPay)はヒノキの間伐材で作ったランチカード。企業の社員が月1万5000円分まで半額でランチが食べられる
・企業にとっては食事補助制度で非課税になり節税対策になる。同時にカーボンクレジット制度でCO2削減に貢献
・企業導入時は、企業周辺の定食屋やレストラン、カフェなどにエコペイ端末を置いてもらう営業活動が必要
・学食(大学・高校)や生協など既に食堂がある施設への展開に高い親和性がある

エコペイランチカードの企業導入と森林保全の仕組み
・企業は施設非課税枠制度を活用でき、CO2削減のPRと社員満足度向上、地域貢献が実現できる。
・企業スポンサーシップにより、学生は企業を応援する企業として認識。学食での食券に企業名を表示。
・ランチカード利用で得られた資金が京都の森林保全に充てられる仕組み。使用頻度が高いほど森が保全される。
・林野庁との連携が必要。既に林野庁から応援を得ており、京都市都市経営戦略企画室の葉山氏と協力中。
・葉山氏は街路樹の枝を活用した薪作りや森のフリースペース構想など、先進的な林業活動を展開。

森へのアクセス拡大と人の流れの創出
・ランチカードが人を森へ呼ぶ入り口となり、環境貢献を通じて森への関心を喚起する。
・将来的には葉山氏の森でのアクティビティへ参加者を導き、段階的に森への関わりを深める構想。
・ランチカード利用で資金が集まり、林業が森を整備することで、いつでも自然を楽しめる森を実現。
・若い世代がプロ林業家の手伝いを通じて森の荒廃防止に参加し、報酬としてエコペを獲得するループの構想。

◼︎概要
京都の林業家・芦田 拓弘 氏がラジオ番組に出演し、日本の林業が直面する課題と解決策を述べた。林業作業者が40年で14万人から4万人に減少し、老齢化した森林の管理が困難な状況にある。同氏は間伐材を活用した地域決済アプリ「エコペイ(EcoPay)」とランチカード事業を展開し、人と森を繋ぐ新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいる。

◼︎要点一覧
・日本の林業における人手不足の深刻化:過去40年間で林業作業者が14万人から4万人に減少し、森林管理が追いつかない状況にある。収穫から植林までの200年の時間を要する見通しである。
・老齢化した森林がもたらす環境問題:樹齢60年を超えた木は光合成が停止し、むしろCO2排出源となる。国の方針として老齢木の収穫と無花粉苗の植林が推奨されている。
・林業経営の収益性の問題:60年間の育成期間中、ほぼ収益がなく、植林後の管理はボランティアで赤字となるケースが多い。木材の安価化により林業経営が成立しない状況である。
・「エコペイ(EcoPay)」ランチカード事業の仕組み:間伐材製のカードを企業に配布し、社員が月1万5000円分まで昼食代を半額で利用可能。企業は食事補助制度の非課税枠を活用でき、カーボンクレジット制度によるCO2削減に貢献できる。
・森へのアクセス入り口としてのエコペイ(EcoPay)の位置づけ:ランチカード利用による資金が森林保全に充てられ、利用者が実際に森でのアクティビティに参加する入り口となる。若い世代が林業家の活動を支援する流れを創出する狙いである。
・後継ぎ世代の課題と連携の重要性:日本の企業99%が中小企業であり、後継ぎ問題が深刻である。「アトツギ甲子園」などを通じて地方の後継ぎ世代が孤立せず、横の繋がりを構築することが重要である。

◼︎質問と回答
Q. 株式会社あしだの事業内容と規模はどのようなものか
A. 創業60年で京都では1番の丸太生産量を誇る会社。南丹市日吉町に本社があり、森林率88パーセントのエリアで林業を営んでいる

Q. 林業の業務サイクルはどのくらいの期間か
A. 植林から始まり、10年間の草刈り、その後60歳になるまで間伐という木の保育作業をして、60年後に収穫し再び植林する。合計60年のサイクル

Q. 林業の主な課題は何か
A. 木が安くて儲からないこと、人手不足が大きな問題。40年間で林業作業者が14万人から4万人に減少している

Q. 日本の森林資源の状況はどうか
A. 日本の森林率は70パーセントで、OECD加盟国の中で世界3位。日本は森林資源大国だが、4万人しかいない林業作業者では対応しきれず、放置されているケースが多い

Q. 高齢化した木の問題は何か
A. 成長しない老齢木は光合成をしなくなり、呼吸によってCO2排出者になっているケースが多い。国の方針として年老いた木を収穫し、無花粉苗を植えて森を若返らせる必要がある

Q. 老齢木の収穫と植え替えにはどのくらいの期間が必要か
A. 試算では200年かかる

Q. 林業会社の収益構造はどのようになっているか
A. 60年間の植林から収穫までの間、ほとんど収益がなく、収穫した丸太を市場で競りにかけた売値が収益源となる。その間の山の手入れはボランティアで赤字でやっているケースが多い

Q. 「アトツギ甲子園」とは何か
A. 経済産業省が主催する国の大会。日本の企業の99パーセントが中小企業であり、特に京都は伝統産業が多く後継ぎ問題が多いため、後継ぎ世代の人達をコミュニティで繋げて応援する大会

Q. エコペイ(ランチカード)の仕組みはどのようなものか
A. 間伐材で作ったランチカードを企業に配布。社員はそれを使うとランチ代が半額で食べられる。企業にとっては食事補助制度で非課税になり節税対策になり、カーボンクレジット制度を使ってCO2削減にも貢献できる仕組み

Q. エコペイの利用限度額はいくらか
A. 社員は毎月1万5000円分までカードで昼食を食べることができる

Q. エコペイはどこで使用できるか
A. 企業のオフィス周りの定食屋、レストラン、カフェなど協力してくれる店舗で使用できる。企業が導入する際には、周辺の飲食店にエコペイ端末を置いてもらう営業活動を行う

Q. エコペイの資金はどのように使われるか
A. ランチカードで食べた資金が京都の森の森林保全の資金になる。使えば使うほど京都の森がより保全されて綺麗になっていく仕組み

Q. エコペイの導入対象は企業か大学か
A. 企業が主なターゲット。企業が食事補助制度の非課税枠で導入できるため、企業のニーズが高い。大学への対応も検討しているが、企業の方がニーズがある

Q. 林野庁はエコペイの取り組みについてどのような立場か
A. 林野庁と話をした結果、応援してくれると言っていただいている

Q. エコペイランチカードの役割は何か
A. 人を森へ呼ぶ入り口になっており、ランチカードが使われるほど京都の森の森林保全に資金が充当される

Q. ランチカード利用者と林業家の関係はどのように構想されているか
A. ランチカードで資金を得た林業家が森を整備し、利用者が森に来て自然を楽しめるようにする。将来的には若い人たちが森に入って林業家の手伝いをし、その報酬としてエコペを得るループを作ることを想定している

Q. このプロジェクトの最終的な目標は何か
A. 森に関わる人を増やすこと。エコペイランチカードを入り口として、人の流れを森へ導き、林業の新しい仕組みを実証すること

◼︎ネクストアクション
・エコペイの導入に関心のある企業および店舗に対して、ネット検索を通じた情報提供と営業活動を実施する。
・エコペイが使用可能な地域の定食屋、レストラン、カフェなどの協力店舗を開拓し、端末設置の営業を行う。
・大学や高校の学食への導入検討を進める。企業向けの非課税枠制度と異なるスキームの構築が必要である。
・林野庁との連携を深化させ、精神的応援から実質的なサポートへの転換を図る。
・京都市都市経営戦略企画室の葉山氏との協働により、森でのアクティビティ受け入れ体制の整備を進める。

◼︎決定事項
・エコペイランチカードの月額利用上限を1万5000円に設定し、企業の食事補助制度の非課税枠を活用する仕組みとする。
・ランチカード利用による資金を京都の森林保全に充てることを決定し、使用者が森への関心を高める入り口とする。
・エコペイの主要ターゲットを企業とし、学食への展開は後続段階とする方針を決定した。

投稿日:2026/03/18
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