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まちづくりチョビット推進室
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第138回 ・七条大橋ライトアップ2018を応援して下さい

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まちづくり“チョビット”推進室<平成30年6月放送>

酒: 酒谷 宗男氏(七條大橋をキレイにする会 共同代表)
明: 小林 明音氏(七條大橋をキレイにする会 共同代表)
は: 小林 はな氏
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
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左:酒谷 宗男氏 中央:小林 明音氏 右:小林 はな氏
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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最新のエピローグをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト紹介です。ゲスト最年少記録が生まれました!なんと小学校4年生の小林はなちゃんをまずご紹介します。はなちゃん、よろしくお願いします。
は: こんにちは。お願いします。
絹: そのお隣はそのお母さん、小林明音さんです。小林さんはご紹介をどんなふうにするのがいいのかな。「七条大橋をキレイにする会」共同代表小林明音さんです。
明: はい、よろしくお願いします。
絹: そしてメインゲスト、もうお一方、私から言うと先輩に当たられる歳回りの方と拝察いたします。同じく「七条大橋をキレイにする会」共同代表、そして京都のまちに関わられる方なら、結構この方のお名前を聞いておられる方多いのではないでしょうか。「朝粥食べて、おシャベリ会」企画・運営者 酒谷宗男さんです。
酒: はい、酒谷です。よろしくお願いします。
絹: 酒谷さんのお名前は、「集酉楽サカタニ」というキーワードや朝粥の会をずっと長いことなさっていることで、どこかでお聞きになっている方、あるは七条大橋のたもとの集酉楽さんの楽々ホールに行かれた方など、ひょっとしたらリスナーの方の中にもおられるかもしれません。今日はゲストの最年少記録更新の小林はなちゃんを迎えて、3人のゲストでお送りいたします。
今日の番組のテーマ・タイトルを申し上げます。「七条大橋ライトアップ2018を応援して下さい」と題してお送りいたします。それではゲストのお三方、よろしくお願いします。
明: よろしくお願いします。
絹: さっき打ち合わせで言うのを忘れましたが、ゲスト紹介をウォーミングアップも兼ねて、「他己紹介」というのをやっています。それでは小林明音さん、酒谷宗男さんとはいかなる人物ぞ、短く述べよ(笑)。
明: 宗男さんに出会ったのは、5~6年前だったと思います。七条大橋をキレイにする会を始めたのは、4年前ですか、宗男さんが「掃除をしよう。まずは掃除からしよう」とおっしゃって、「じゃあ、私もついていきます!」みたいな感じで始めました。その時から本当にまず行動で示すという、まず自らが動いて示すという、その背中を見て、みんながついていくみたいな、行動で示す方です。
絹: 推進エンジン?
明: 推進エンジンだけでもなく、がーッと進まれるわけでもなく、周りを見渡しながら、そうっとそうっと進んでいかれるような…。
絹: ありがとうございます。それでは酒谷宗男さんにお聞きします。いきなり無茶ぶりですみません(笑)。小林はなちゃんとはいかなるお嬢ちゃんですか。
酒: 小林はなちゃんは、いつもお母さんについて、うちの店とか、喫茶ルームにお越しになるのですが、お母さんが七条大橋のミーティングをされている時などは、一生懸命自分の勉強をしたり、趣味のことをとても頑張ってやったりと、非常におりこうさんで、ママを手こずらせないんです。
絹: 舌出してるで(笑)。
酒: それは彼女が気遣い、気配りをしているんです。それはやっぱりすごいなと思いますね。
絹: 小学4年生にして、気配りができると。では最後にはなちゃんに聞きます。小林明音さんて、どんな人?どんなママ?
は: うーん。ふつうの…。
明: ごくごく普通です(笑)。
絹: はなちゃんに助け船を出します。小林明音さん、実はすごい方で、土木系の技術資格を有する人で、富山県庁の技術職としてお勤めになっていた時期があります。そして京都市に来られて、京都市景観まちづくりセンターの職員として数年働いておられました。その時に私と出会いまして、実はこのスタジオにも何度か、コミュニティFMの担当として来てくださったことがあります。ということで、最初のウォーミングアップ、他己紹介でありました。じゃあ、エピソード1に入ります。

■エピソード1  そもそも七条大橋のお掃除が始まったのは、7月7日でありました
●七条大橋100年の渡り初め、盛り上がったけれども…
絹: そもそも七条大橋のお掃除が始まったのは、7月7日だったそうですが、そのあたりから紐解いていただきますか。
酒: 今度の7月7日で4年目に入るんですね。ですから4年前ということになりますか。実はその前に、とりあえずは七条大橋100年の渡り初めをしたけれども、それ自体は盛り上がったんですよ。
明: そうですね。渡り初めをしたのが2013年なので、もう5年前になるでしょうか。
酒: その時は100年目の渡り初めということで、すごく盛り上がったんですよ。門川市長を先頭に、地域住民も一緒にわーっと渡り初めをやって、「七条大橋、やっぱり大事にせなあかんな」と、そういう機運はあったんですけど、ただそういうイベント的なことって、やっぱりぽしゃってしまうわけです。誰かが何かをしんと。
で、私の兄が「100周年で、あんだけ盛り上げてやったのに、草ぼうぼうで、ゴミはあるし、困ったこっちゃなあ」と言ったんです。それを聞いてて、僕は兄よりずいぶん若いので、「お前やれ」ということやなと、プレッシャーを感じてて、「7月7日ころからやろか」と言って…。
絹: それが4年前。

●ゴミと草ぼうぼう、なんとかせんとあかん!
酒: そうです。その時に小林さんが近くにいはって、「私も手伝っていいよ」と言ってくれはったんです。それで流れがパッと変わったんです。2人でとにかく泣きながらやろと(笑)。
一週間口コミだけで、ワーワー言って、「どれだけ集まるかわからへんけど、とにかくやろ」と言って、7月7日にやることになりました。結局12人集まったんです。その12人集まっただけでもね。一週間足らずですよね。それでもう、ちょっと感激して、とにかくやったということで、肩の荷がちょっと下りたわけです。そしたら参加している人が、「ひょっとしたら一回で終わるのとちゃうやろな」と、プレッシャーをかけられてね。で、小林さんが7のつく日に毎月やろうということになって、現在に至るわけです。

●毎月7のつく日に、雨でも台風でも大雪でも
絹: もうそしたら何回くらいになるんですかね。毎月やったはるんですよね。
酒: 次の7月7日で37回目になります。
絹: そやけど、よう続きましたね。その7日というのが、七条大橋の7で、お休みの日ばかりでなく、ウィークデーでも7でやろうと、貫いたわけですね。
酒: そうです。まあ雨が降ろうが、台風が来ようが、雪が降ろうが、やるやらないは現場で考えようと。でも一回も中止になったことがないんです。それがすごいんです。
絹: 雨でも大雪でも。
酒: はい。
絹: 当初から12人という面子は変化していかれましたか?

●参加人数が画期的に増加!
酒: それが回を増すごとに、どんどん増えてくると。画期的に増えたのは、2年くらい前ですかね。近所の有名なホテルが20人、掃除しますと。
絹: あの辺の有名なホテルというと、フォーシーズンズができる前の…。
酒: ハイアットリージェンシーです。総支配人はじめ上から下まで来られて、それをホームページにアップされたんです。「近所の七条大橋、社会貢献の一助として、携わっています」と。それをフォーシーズンズが見られて、すぐに電話がかかってきた。面白いでしょ?
絹: これはハイアットさんに負けてられんと。
酒: かってきて、まさかフォーシーズンズからうちに電話があるなんて、夢にも思ってないし、なんのこっちゃと聞いたら、「うちも七条大橋に掃除に行きたい」とおっしゃった。ウェルカムですよ。
絹: そうすると30回を超える頃には、どっと来てた。先ほどの打ち合わせでは三桁を超えたとおっしゃってましたよね。

●30回目の記念イベントには、三桁超え!
酒: そうです。その時、30回目なんですけど、記念なので色んな所に丁寧に声を掛けたわけです。ハイアットさん、フォーシーズンズさん、それからうちの近所には京女さんがある。それから新しくできた京都美術工芸大学。
絹: あ、新谷さんとこや。
酒: そう、そう、新谷さんとこ。ここにもずっと声を掛けて、来ていただけるようになって。そして私が卒園した名門の、近所にある昭和保育園から園児も来ると。30回目のイベントなので、私が懇意にしている京都タワーのたわわちゃんも来てくれました。
絹: キャラクターですね。
酒: そうです。門川市長も来ていただきました。園児はもうたわわちゃん一色。門川さん、何か被らんと誰も来ないという状態になって(笑)。
絹: はなちゃんも行った?
明: はなちゃんはその日は平日なので、小学校に行ってますね(笑)。
絹: 失礼しました(笑)。

●あって当たり前の橋が、お掃除をしてもらって、注目を浴びて
絹: 明音さん、僕も建設屋ですから、橋をキレイにとか、ライトアップとか、こうした土木構造物、普段は注目を浴びる事もない、あって当たり前、通れて当たり前の道だとか橋だとかに、酒谷さんみたいな一般の方、あるいはそこへ12人から始まって116人?
明: そうです。30回目にはそうなりました。
絹: それをお掃除して下さること自体が、実は無茶苦茶うれしいんです。しかも100年超えた橋が長寿命で、まだ現役で頑張っている。そのことを一般市民が知って下さって、しかもライトアップと。この七条大橋のお掃除を続けておられること、人数が増えたということの、ご近所の五つ星や四つ星の有名ホテルが来てくださったことだけではなく、明音さん自身がすごい賞を取ってしまったということが人を増やすことに繋がったという話も聞いたことがあるんですけど。
明: 恥ずかしながら(笑)。
絹: その賞について、ちょっとお話をしてください。

■エピソード2  すごい賞をいただいて、人がどんどん繋がって
●七条大橋のすばらしさを知ってほしい
明: 今、絹川さんがおっしゃっていただいた通りで、私も土木のことを学んできた端くれとして、七条大橋のすばらしさ、100年以上前につくられた鉄筋コンクリートアーチ橋で、土木構造物としても大変貴重で、こんな素晴らしい橋が身近にあるんだよということを、まず地元の方々に知って頂きたかったんです。知って頂いて、誇りに思って頂きたいと。そうすることで七条大橋だけではなくて、他の橋でも、土木は色々なお仕事をしていますから、そういった事に対する理解に繋げていけたらなと個人的には思って…。
絹: うわあ、そんなこと聞いたら、京都の建設屋泣きますよ(笑)。
明: やっぱりご苦労とか、よくわかりますし、小さな事から、私にできる事からということで、七条大橋に参加させてもらってます。

●京都・eco女グランプリで、受賞!
明: 私がどうのと言える立場ではないんですけど、一応共同代表という肩書を頂いてできることは何だろうと思った時に、たまたま「ミスアースジャパン」のプレイベントの開催を知ったんです。「ミスアースジャパン」は、世界4大ミスコンの1つなんです。
絹: そないにたいそなミスコンやったんですか(笑)。
明: 実は(笑)。ファイナルは世界大会があるんです。
その「ミスアースジャパン」の京都大会が先日行われまして、そのプレイベントとして、第一回「京都・ecoグランプリ」という大会をされたんですね。その「ミスアースジャパン」の方は華々しくて、美貌を含め、年齢条件もありますし、私ごときが出られる大会ではないのですが(笑)、「京都・eco女グランプリ」の方は年齢制限も条件もなく、女の人なら出られるということで、私にできるのはこれかもしれないと、出させていただいたんですね。そうしたら、グランプリは立命館大学の学生さんが見事受賞されたんですが、準グランプリということで、「DO YOU KYOTO ?」賞というのを頂きまして、大変栄えある賞を、準グランプリということで、本当にうれしかったんです。
絹: その「DO YOU KYOTO ?」賞をお取りになるに際して、明音さんはプレゼンをされたわけですよね。
明: そうです。プレゼンさせていただきました。
絹: プレゼンの内容は、この七条大橋。
明: もちろんです。七条大橋を背負って行ってまいりました。
絹: それで「なるほど!あんた、準グランプリ!」という感じだったわけですね。

●土木と環境、相対するもの?
明: そうなんです。「eco女」ですから、環境系の方が多いんですね。主催者の方も、来られる方も。で、きっと絹川さんも同じような思いをされるかもしれないですけど、土木と環境って、結構相対すると言うか、何かすると環境に影響を与えるような…。
絹: いやあ、以前はダム反対運動とかありましたもの。
明: 生態系に何か影響を及ぼすとか、そういった話があるなかで…。
絹: 希少種がある場所で、「サッカースタジアムをつくるのは、よく考えないと…。」みたいな(笑)。ちゃんと環境の影響評価をして、場所を選定したり、工期を変えたりとか、国交省を始め、すごく気を遣ってらっしゃいますよね。
明: そうなんですよ。そういう場で土木の事について語らせていただいて、評価をいただけたと、そのことがまず私にとっては、すごく有難かったんです。
絹: 土木技術者の鑑!
明: ありがとうございます。

●賞をいただいた事より、人が繋がっていくことがうれしい…
明: そしたら事務局の方もどう思って頂けたのかわからないですけれども、次の回に予告なくふらっと来ていただけたんです。やっぱりプレゼンが響いたと確信する瞬間だったと思います。賞をいただいた事よりも、人が繋がっていくことが、すごくうれしかったです。
絹: その「ミスアースジャパン」京都事務局の方が来られたんですか。
明: 事務局の方も来られましたし、見事「ミスアースジャパン」京都大会で賞を取られたような方も、美しい女性の方も…。
酒: 京都代表の…。
絹: フェイスブックに載ってた「なんでこんなべっぴんさんが掃除してるんや」というような、あの写真ですか?あ、そうかあ。そういう影響があったんだ。
酒: 実際、私は応援がてら明音さんのプレゼンをきいたんですけど、やっぱり土木構造的なことも含め、掃除のことも含め、熱い思いをきっちり語られたということが、非常に一緒にやっている者としては、聞いてて涙が出るくらいうれしかったんです。やっぱり熱い思いが波紋を呼ぶと言いますか、まさしく言葉と実績でそういう具合に広がったということ、ものすごく喜んでます。

●七条大橋の魅力と歴史
絹: 資料としていただいた趣意書のなかから、少しだけ読ませていただきます。
七条大橋の魅力:七条大橋は鉄筋コンクリート技術が使われ始めた当時の国内最大規模の土木建造物です。その重厚で力強い構造とリズミカルなラインが放つ魅力を味わっていただきたいと思います。
七条大橋の歴史:七条大橋は京都が明治から大正期に近代都市として脱皮した「三大事業」の一環でつくられました。そこには京都の近代化の物語があります。また昭和10年には鴨川大洪水、戦時中には軍部の金属供出命令によって高覧や照明灯が撤去される受難にも遭いました。
こういうプレゼンをされたわけですよね。
酒: そうですね。

●人が繋がる、その輪が広がる
絹: 小林明音さんのそういうご努力、それから地道に7月7日から始まって、今年で活動4周年のお掃除プロジェクト、どんどん人が増えていきます。そしてさっきびっくりしたんですけど、この動き、拡大しているらしいですね。二条だとか、丸太町、鴨川デルタと、仲間が増えているらしいですね。それもちょっとだけお話頂けませんか。
酒: 鴨川デルタで活動している青年が七条大橋に掃除をしにきてくれて、その熱気をそのまま自分の地元のデルタでやりたいということで、頑張っています。まだ6~7回なんですが、これ楽しみなんです。
絹: 僕は一回だけふらっと立ち寄って、後の反省会や意見交換会出させていただいたんですけど、そういう方が確かに来ておられました。そして酒谷さんとこに集まっていらっしゃる、お掃除した後、お茶を飲みながら意見交換会をなさっている、あれが素晴らしいですね。で、集まって来られている人たちは、何か潜在エネルギーをそれぞれ色々お持ちの方がいらっしゃるから、そういう広がりに繋がるのかなと思っておりました。

■エピソード3 そして今年もやります 七条大橋ライトアップ2018
●七条大橋ライトアップ2017はこんな感じでした
絹: さて、去年のライトアップから、今年も2018と、動きが広がっていきます。手元にすごいキレイなプロの写真家がお撮りになった七条大橋のライトアップの写真、それからセピアの写真、フォトコンテスト2017とあります。「フォトコンテストは今年もやらはらへんのですか?」という問い合わせもあったそうですが、イベントをするって、結構大変ですよね。で、「応援して下さい」というタイトルにもなっています。2018はどうなっていくのでしょうか。この辺りについて、お願いいたします。
明: 去年、初めて掃除だけではないイベントをさせてもらいました。ライトアップとフォトコンテストです。初めての事で、私たちもどうなることかとわからないなかで開催させてもらったのですが、結果としてフォトコンテストの方は77名の方に応募いただきましたし…。
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絹: いい数字ですねえ。それはちょっと調整が入っているんじゃないですか(笑)?

●ただ、ちょっと大変な部分もありまして…
明: いやあ(笑)、入ってないです。で、ライトアップの方も500枚用意したパンフレットがほぼ捌けているという状況で、一定の影響はあったのかなと私たちは思っています。ただ、実施に関しては、たくさんのスタッフの方に、夜、お手伝いに来ていただいたりと、すごく大変だった面もあるので、私も酒谷さんも、これは続けた方がいいんだろうか、どうしようかと悩んでいたところでした。
ところが、意見交換に来られている方が「本当に手伝っていて楽しかったし、今年もやろうよ」と。「せめてライトアップはやろうよ」ということで、今年はライトアップ一本に絞って、是非もう一度あの時の感動を実現したいなと思っています。
絹: ライトアップって、実は照明器具のセッティングとか、めちゃくちゃ大変なはずですよね。
明: そうなんです。素人ができるような代物ではないんですが、やってしまいまして。それに設置に関して資金もやっぱり要るわけで、カンパを今年は早いうちから募りまして。
絹: そのカンパを募るための準備のイベントをやろうと。

●7月7日 応援チャリティーライブやります!
酒: 大橋ライトアップ2018 応援チャリティーライブ」お掃除に来ていただいている方々の中に、ミュージシャンがおいでになるのと…。
絹: 例のフラリーパットさんもそうですね。
酒: フラリーパットさんはスケジュールが合わなくて、今回はできないんですけど、フラリーパットさんがつくってくれた『七条大橋の上には』という曲は、必ずミュージシャンが演奏してくれます。
絹: リスナーの皆さん、フラリーパットというカタカナの、若い二人組のアーティストですけれども、地元京都の方ですか?
酒: はい。東山なんですよね。最初はウクレレとギターのインストユニットだったのが、ここ2年ほどは歌ありの曲も歌うようになって、結構ブレイクしつつあるところです。
絹: 『七条大橋の上には』という曲は、検索していただいたらYouTubeで引っかかると思いますので、もしよろしければお聞きください。

●盛りだくさんなラインナップです。是非いらしてください!
絹: そしてこの応援チャリティーライブの日付等について教えていただけますか。確かやっぱり7のつく日ですよね。
酒: はい。2018年7月7日の土曜日、9時から10時まではいつものように掃除をする。その後やっぱりミーティングをして、その後に応援チャリティーライブをやります。開演が11時50分から15時30分までです。参加ミュージシャンは7ユニットで、それもバラエティに富んだミュージシャンが出てくれます。
絹: フラダンスあり、雅楽あり、篠笛あり、京都美術工芸大学の軽音楽あり、京女も来る。
酒: 「京炎そでふれ」の京小町さんが来てくれます。
絹: そして日舞、これはきっと小林はなちゃんが踊ってるやつやな?
酒: はい。
絹: そしてフォーク&スタンダード ブラブラーナ 佐々木ゆかさんほか。
そしてこちらにお持ちいただいたんですけど、会場では1000円のカンパで京都七条大橋手ぬぐい、それから300円のカンパでフォトコンテストの受賞作品を始めとするはがきセット、または缶バッチ、これは酒谷さんが撮られた写真も入っているとのことですね。「一緒に七条大橋をキレイにしませんか」という缶バッチ、楽しいイベントです。七条大橋の本番のライトアップを応援するという気持ちのあるカンパです。してもいいよという人は、7月7日のできればお掃除から。お掃除しんどいなという人は11時50分から、集酉楽サカタニさんでチャリティーライブです!
この番組は心を建てる公成建設の協力と、京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。酒谷さん、小林明音さん、はなちゃん、ありがとうございました。
全: ありがとうございました。
投稿日:2018/07/03

第137回 ・どっちが本業?~歌手にして僧侶 柱本めぐみさんに聴く

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まちづくり“チョビット”推進室<平成30年5月放送分>

柱: 柱本 めぐみ氏(明覺寺住職・ソプラノ歌手)
絹: 絹川 雅則 (公成建設株式会社)
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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト紹介ですが、ちょっと今回は緊張しております。というのは、小学校、中学校、高校と全部同級生で、しかもクラスの優等生で、私が「こいつには一生、頭上がらへん」というゲストです。偶然、ご縁がありまして、お呼びいたしました。柱本めぐみさんです。
柱: こんにちは。優等生ではなかったと思うんですけど(笑)、はい。
絹: ええ?優等生でなかったら芸大に行ける?
柱: いやあ、まあまあそれなりに(笑)。
絹: 私は勉強では絶対に勝てないというトラウマを抱えながらの番組進行になります。
柱: いやいや(笑)。
絹: それでは柱本さんのプロフィール、今一端をご紹介しましたけれども、僕の方からもう少しご紹介させていただきます。
柱本めぐみさん、京都市生まれ、京都市立芸術大学声楽専攻卒業、そしてソプラノ歌手と書いてあります。歌を歌われる時は、旧姓の藤田めぐみさんに戻られるんですよね。
柱: はい。
絹: だけど、1490年(延徳2年)に創建された明覺寺の第二十代住職、僧籍にあられるんですよね。
柱: はい。お坊さんなんです。
絹: リスナーの皆さんの中で、柱本めぐみさんのお名前に憶えがあるという方は、たぶん京都新聞の「暖流」というコラムではないでしょうか。
柱: もう3年くらいになりますかね。
絹: 月1で書いていらっしゃる?
柱: 今、2ヵ月に1回くらいでしょうか。
絹: そのコラムに寄稿されています。
今日の番組のテーマですけれども「どっちが本業?~歌手にして僧侶 柱本めぐみさんに聴く」と題してお送りいたします。
megumijuushoku

■エピソード1 古刹の二十代目の御住職、なんでなったん?
●お寺の息子と結婚して…
絹: さて、エピソード1。さっきご紹介しましたけれども、ごっつう古いお寺の二十代目の御住職になんでなったん?
柱: 皆さん、人生、何が起こるかわからないというご経験はたくさんお持ちだと思いますが、私も自分がまさかお坊さんになるなんて、全く考えてなかったんですけどね(笑)。
絹: そりゃあ、同級生、誰も思ってないでしょう。
柱: 同級生でも「え!」と思われたと思うんですけど(笑)、たまたま寺の息子が嫁に来てくれというので、歌を歌っているのも知っていましたから、「歌だけ歌ってたらいいから、嫁に来てくれ」というので。私は一人娘なんですけど、親も「お寺に嫁げば、京都から離れへんやろう」という思いとご仏縁を頂くのもいいだろうというので、寺にお嫁に行ったと言いますか、行った先がお寺だったというだけのことだったんですけどね。
絹: 結婚された当初もコンサート活動は続けていらっしゃって、僕、案内をもらってもほとんど行かなかったんですが、御所の近所のアルティに…。
柱: あそこでもリサイタルしたことありますね。
絹: そこに1回だけ、お花だけ届けて、その時にまだお元気だったころの御主人に1回だけお会いした覚えがあります。
柱: あ、お会いになったんですか。知りませんでした。
絹: おぼろげながら覚えています。もうだいぶ前ですけど。
柱: ずいぶん昔ですね。

●仏教って、お寺って、何かなと考え始めて
絹: 考えてみれば、ご主人が元気ならお坊さんにはならないですよね。
柱: でも、お坊さんにはなったんですね。やっぱり「寺の事は何にもせんでええ」と言われても、毎日寺に暮らしていますと、「仏教って、何かな」「寺って、何かな」と思うようになって、ちょっと勉強したいなという気持ちで、得度だけはしまして。
絹: 結婚と同時にですか?
柱: いえいえ、子どもが小学生くらいの時ですね。
絹: でも、悲しい思い出になるのですけど、ご主人が早くに…。四十代でしたっけ。
柱: 五十になったとこでしたね。

●そして寺に誰もいなくなった…
絹: 若いのにお亡くなりになって、それがご縁で歌手にして僧侶という道に行かれたんですね。
柱: そうですね。その前年に義父も亡くなり、住職も亡くなり、「そして寺に誰もいなくなった」みたいな感じで、「寺、どうすんねん」という感じだったんですけど、何の抵抗もなくねえ…。
絹: そのお義父さん、つまり前住職がお亡くなりになって、翌年にご主人が、またお義母さんも…。
柱: そうですね。二年置いて、義母も亡くなって。
絹: もうバタバタと。なんでこんだけ続くねんという…。
柱: そうです。ですから4~5年はもう看病だけの日々でしたから、歌なんかどっかに飛んでいました。
絹: 柱本さんは同窓会の世話も一生懸命してくださる人なんですけど、私もあんまり行かない同窓会にご一緒した時に、すごくやつれていた時期があったなという記憶があるんですよ。
柱: 自分では一生懸命しているつもりでもね。やっぱりそうだったかもしれないですね。
絹: たぶんその時期だったんだろうなと思います。
そして宗教者として、歌手として、活動を続けておられるんですが、明覺寺にたまにおじゃますると、ちょっと何か違うなという感覚を受けるんですけど、すごく変わったことをお寺でされていません?

●お寺で何か楽しいことをしたい、みんなに来てもらいたい
柱: 私は何も知らなくて、寺を継いだんですけど、元々寺の生まれではなかったですから、お寺ということも、仏教もあまり深く勉強したこともなかったんですけど、手探りでやっているうちに、昔は葬式や法事でお坊さんが来る所というイメージだったんですけど、考えてみたら死んでしまったら宗教って、いらないわけですから。
「宗教やお寺というのは生きている人のためにあるんや」と考えた時に、何ができるのかと思ったら、せっかくお寺という空間があるんやから、何か楽しいことをしたい。そしてみんなに来てもらいたい。そんな気持ちがあったんですよね。

●明覺寺の夕方市のこと
絹: 明覺寺さんて、会社のそばなんです。歩いて5分で行けるところに、彼女、いたはるんです(笑)。行った時に覚えているのは、1490年から続いているお寺の御門前で、市が立っているんです。夕方市が。
柱: お野菜市ね。
絹: これ、読みますね。
「明覺寺夕方市 新鮮なお野菜をはじめ、毎回大好評」
毎月第二水曜って、これ、今でもそうですか?
柱: はい。事情で飛ぶ時はあるんですけど、基本的にそれでやっています。
絹: 14時から、5月からは15時から。NPOの「いのちの里・京都村」の方たちが来られると。
柱: 定期的にやる場所を探しておられたので。過疎地のお野菜を集めて売っておられるんです。それを集めてくるので夕方になるんです。
目の見えないところでもそれをすることで、色んな人たちと繋がるという気持ちもありましたし、実際にそうやって夕方市をすると、顔を知っていてもなかなか言葉を交わす機会がなかったご近所の方とも、お話をする機会もできましたし、すごくうれしいなと思っています。
絹: やるなあ。あんまり遅がけに行くと、売り切れていてないんですよ。安心で美味しそうなお野菜を中心に京都府下の産品が並べられていて、買い物に来た人とおしゃべりをしながらね。
女性で猟銃をぶっぱなすハンターがいらして。
柱: 彼女も命について考えるということで、共通点を見出したというか、そんな感じで始めたんですけど、それと過疎地では色んな工夫をして、ジャムを作ってみたり、お菓子を作ってみたり、お味噌とか、そういうものも販売させてもらっています。
絹: リスナーの皆さん、下京区近辺の人は覚えておられたら、結構掘り出し物ですよ。
柱: 6月は休みなんですけど、7月からまたやりますので。
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●開かれたお寺を目指して
絹: こういうことに象徴されるように、開かれたお寺を目指しておられるなというのが、すごく私の記憶に残っていまして、これだけじゃないでしょ。
柱: そうですね。落語会もしていますし、この頃は若い人たちも集まって、寺という空間を自由な発想、新しい発想で使ってもらいたいという思いがあるんです。
ですからデスカフェだったり…。
絹: デスカフェって、デスノートのデスですよ。「death」、つまり死のカフェ。
柱: そうです。死について語り合うっていう。入棺体験、棺に入る体験をしてみたりとか。
絹: 若い人は無茶しますねえ(笑)。
柱: 私も入ってみましたけれども、そういう発想を応援したいという気持ちもありますし、そういうことで、やっぱり本堂の前に靴がたくさん脱いであるというのは、私、すごくうれしいんです。まちなかの小さな小さな寺なんですけど、そこから人の声が、笑い声がする、それがすごく大好きなんですよね。
絹: 御本山も龍谷大学も近いし、若いお坊さんがよく集まってきはると。その中には息子さんも当然いはる。
柱: そうですね。息子も皆さんに育てていただきました(笑)。

●住職も歌も、私の生きている基本なんです
絹: いい感じですね。あ、今気が付いたんですが、これ、BGMで流れているの、目の前でしゃべってくれている柱本めぐみさんの声ですよ。ちょっと一回、音量を上げて聞いてみましょう。
同級生の中に、こういうプロの歌手がおられるというのが、驚きではあります。二足の草鞋、どっちが本業、どっちも本業という柱本めぐみさんです。
柱: そうですね。私の中ではどっちが本業と言われても答えはなくて、どっちも仕事ではなくて、生きている基本みたいなところがあるんですね。
元々クラシックをやっていたんですけど、ちょっと話があって、ホテルのディナーショーみたいなのをするようになって。
そこでも人の縁ができて、「ジャズが好き」「シャンソンが好き」「こんな映画音楽が好き」と、皆さんリクエストを下さって、それでこういう歌も歌うようになりました。
それも皆さんに教えていただいたことですし、私、毎日毎日皆さんに色んな気づきを頂いて、生きている感じがするので感謝をしておりますし、やはり人の繋がりって大事やなというのは、毎日色んな所で思わせてもらっています。

■エピソード2 唱歌との再会、そして…
●きっかけは海外コンサートでした
絹: 海外でもコンサートされた経験が何度かあって、そこからチョイスされる歌が変化していったと、さっき教えていただきましたけれども。
柱: やっぱり家族を見送ったなかで、命を考える歌って何かなと考えたことも、1つのきっかけなのですが、クラシックをずっとやっていましたし、現代音楽もやっていまして、その中で海外でコンサートをしていたんです。その後のパーティーでお国自慢が始まって、「めぐみも日本の曲歌ってよ」と言われたら、はてと(笑)。
「私は何を歌ったらいいんやろと思った時に、かろうじて「赤とんぼ」を思い出したんです。そこで「赤とんぼ」をアカペラで歌ったら、すごく静かで、すごく単純で…。その時、会場がシーンとなってしまって、それまでワーッと騒いでいた人が「なんと美しいメロディーなんだ」と、みんなが口を揃えて言ってくれて。
もちろん日本語も通じないですし、初めて聞く曲のはずなんですが、「えっ」と思った時に、「あ、私は日本人やった」と。それと「日本の音楽を大事にせなあかん」と思ったのをきっかけに、唱歌・抒情歌というものを歌い始めたんです。
最初は手探りでしたけど、歌うにつれて、色んな事を考えるようになってきて、色んな唱歌を今、歌わせていただいています。

●唱歌、なんだか懐かしい感じがしませんか?
柱: ちょっとここで、唱歌を一曲聞いて頂きたいなと思います。

卯の花のにおう垣根に
ほととぎす 早も来鳴きて
忍び音もらす 夏は来ぬ
さみだれの そそぐ山田に
早乙女が 裳裾ぬらして
玉苗植うる 夏は来ぬ

絹: すごい。同級生が歌っているって、信じられない…。
柱: こんな曲があったんやって、思わはったでしょ?懐かしい感じがしません?
絹: 「夏は来ぬ」って、プロが歌うと、こんななるの?
柱: 色んな歌い方があると思うんですけど、これは景色を歌っていますけど、日本の四季ですね。
絹: 効果音の鈴ですか?たまらないですね。
柱: これをみんなでバンドのメンバーと一緒につくり上げたんです。
絹: やっぱりプロなんですねえ。いいなあ。僕の死んだ弟もミュージシャンをやっていたので、音楽ができる人はすごいなあと本当に思う。
柱: こうやって、仲間で1つのものを作り上げる喜びというのも感じさせてもらっていますし、こういうのをできたらおじいちゃん、おばあちゃんがお孫さんと一緒に聴いて下さったり、仕事で疲れた時に、ふっと寝る前にでも聴いて、リラックスしてもらったらいいかなというイメージで作らせてもらったんですけど。

●父の日コンサートの始まり
絹: 唱歌に目覚められたという動きが、おそらくは次なる父の日のチャリティーコンサートに繋がっていくのだろうと拝察しますが、父の日のチャリティーコンサートって、そもそもどうやって始まったんですか。
柱: ずっとディナーショーをしていまして、ジャズやらラテンやらを歌っていたのですが、そのホテルが建て替えになるのを機会に、元々はホールでコンサートをしていましたから、ちょっとそこへ戻ってみようかという気持ちで始めました。
そのホールというのが抽選で日が決まるんですけど、それに当たったのが父の日だったんです(笑)。実はその会館が出来た時に、うちの父が関わっていたというのがありまして…。
絹: 父上は京都府の職員であられて…。
柱: そうなんです。そのホールで父の事を覚えていてくださった方もいらして、ちょうど父の三十三回忌であったこともあり、色んな事が重なって、「これは父の日コンサートにしよう!」と思い立ちました。
絹: 世の中には不思議な偶然がありますねえ。

●チャリティーコンサートにしたい…
柱: せっかくなので広告掲載をしていただこうかなという動きの中で、寄付しようかなという…。
絹: その寄付先がライトハウス?
柱: ライトハウスというところでお手伝いをさせていただくなかで、皆さんがすごくイキイキ生きておられるお姿を見て、お歌もお好きだと聞いたので、ちょっとそこにも寄付させていただこうと。コンサートにも招待させていただいて、コラムも書いているので、京都新聞を通じて、福祉施設に寄付させていただこうという活動も始めたんです。
絹: 今年は6月の16日の土曜日に、その亡くなられた父上がご縁のあった京都府立文化芸術会館、御所の東側ですよね。
柱: 府立病院の向いですね。
絹: これは小さい時から、よく出てたって?
柱: そうですね。小さい時はピアノの発表会もここでやったりしましたし、手ごろなホールって、京都にそんなにないので、本当に足しげくコンサートに行ったホールですね。
絹: 私も落語を聞きに行ったり…。
柱: 落語もやっていますよね。お芝居もやっていますし。

●父の日コンサートのご案内
絹: 6月の16日、午後3時開演。前売りが5,000円、当日が5,500円ですけれども、そういうチャリティーの要素を強くお持ちになっているコンサートです。もちろんボーカルは柱本めぐみ、歌手の時は藤田めぐみに戻られて、このメンバーさんをご紹介願えますか。
柱: はい。ピアノは作曲家でもある釋恵一さん。これも不思議でずっと離れ離れで活動していたんですけど、ディナーショーをやっていた時に、隣の部屋でしゃっくんがピアノを弾いていて、「うわ、何年ぶりやろ」と言ったのが初めで、「ほんなら一緒にしよか」となりました。もうウン十年も離れてたのに。
絹: ピアノって、めぐみさん、自分で弾けるやん。
柱: 弾きますけど、こういうバンドで歌う時は、自分で思いっきり歌うにはまた違うので…。
他のメンバーはその時によって違うんですけど、パーカッションのあゆちゃんとか、ヴァイオリンのYu-Maくんとか、常に一緒にやってくれて、先ほどのCDも一緒につくり上げた仲間です。
諏訪ミュージカルスクール生の子どもたちが一緒に歌ってくれて、今年はサウンドオブミュージックをしますけど、去年はそれこそ浴衣を着て唱歌を歌ってもらったんです。子どもたち「この曲、全然知らん」とか言いながら、それでも一生懸命やってくれて、そういう舞台もありますし、皆さんご存知のラテンとかジャズとか、欲張りのコンサートになっています。
絹: 6月の土曜日の昼下がり、ご家族で、もしよろしければいらっしゃってはいかがでしょうか。そして視覚障碍者の方々には親子ペアで5組をご招待されていると。そしてその収益を寄付されているという企画です。
歌手にして僧侶、僧侶にして歌手。
柱: どっちもです。
hujitamegumi

●人の輪をつくりたい
絹: どっちも本業。今日は柱本めぐみさんをゲストにお招きして、このチョビット推進室で音楽をかけることって、めったにない事なんですけど…。
注目している同級生のお一人であります。また、地域に開かれたお寺を運営されていることに、すごく感銘を受けておりまして、ちょっと刺激的なフレーズですけど、さっき番組の打ち合わせをしていて、「観光寺院行っても、手を合わせへんやん?」という話(笑)、これは石が飛んでくるかもしれませんが。でも、お寺で手を合わせる、先ほど言われたように、お寺の玄関先に多くの脱がれた靴が集まる。人が集まる、「一堂に会する」は本来仏教用語だったと教えていただきましたけれども、「一堂に会する」ために歌というツールも十分にお使いになっているわけですね。
柱: だから私にとっては、人の輪ができる、今日一日を楽しく過ごすのが、音楽であろうと、仏教であろうと、食事であろうと、私ができることで人の輪ができればいいなという思いでやっています。

●日曜学校も始めました
柱: 今、日曜学校も始めましてね。月に1回なんですけど。最終日曜日の1回だけなんですけど。
絹: 僕ら、日曜学校というとキリスト教の教会イメージがあったけど、ちゃんと明覺寺さんでやったはるんや(笑)。
柱: それも玄関に子どもの靴が脱いであって、子どもの声がすると、また一層うれしいんですよ。走り回る子どもを抑えんならん時もありますけど(笑)。
絹: 原則、毎月最終日曜日。9時半から11時頃。なんと1年間で1,000円。ほぼボランティアで…。
柱: そうなんです。お念珠とお経本をプレゼントします。それ込みで(笑)。
絹: リスナーの皆さん、いかがでしたか。下京区の古いお寺、明覺寺をあずかられるご住職、柱本めぐみさん、歌手になられる時は藤田めぐみさん。もしご興味のある方は、YouTube始め、色んなもので検索して、個性・肉声に迫っていただければと思います。うーん、おもろい人が下京区にはおる。。。
柱: ありがとうございます。御興味のある方、ファックスとかメールとかでご連絡いただければと思います。音楽の方も、お寺の方も、ファックスが 075-371-7996 で、メールは meg.fjt.office@gmail.com です。
絹: リスナーの皆さん、いかがでしたか。少し毛色の変わったゲストでしたが、京都ではこういうタレントを有した人が、そこかしこで一隅を照らす活動をされています。気が付かれた時は、サポートよろしくお願いします。
柱: よろしくお願いします。
絹: それじゃあ、めぐみさん。ありがとうございました。
柱: ありがとうございました。
※関連リンク
藤田めぐみ様オフィシャルサイトhttp://meg.main.jp/
藤田めぐみ様オフィシャルブログhttp://blog.meg.main.jp/
投稿日:2018/05/21

第136回 ・「京都国際子ども映画祭」ってご存知ですか? ~キンダーフィルムフェスト 子どもによる子供のための国際映画祭

ラジオを開く

まちづくり“チョビット”推進室<平成30年4月放送分>

植: 植田 真由氏(特定非営利活動法人キンダーフィルムフェスト京都 理事長)
田: 田勢 奈央氏(特定非営利活動法人キンダーフィルムフェスト京都 理事)
絹: 絹川 雅則 (公成建設株式会社)
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左:植田 真由氏 右:田勢 奈央氏

 

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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最前線のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト、お二方、今日は女性比率が高いです。女性お二人にお越しいただいております。まずお一人目。NPO法人キンダーフィルムフェスト京都の理事長でいらっしゃいます植田真由さんです。
植: 植田真由です。よろしくお願いします。
絹: ようこそ!
そして同じくNPO法人キンダーフィルムフェスト京都の理事でもあられます田勢奈央さん。
田: はい、田勢です。よろしくお願いします。
絹: 田勢さんは、古くはないけど、私はよく知っているというか。
リスナーの皆さん、Impact Hub京都って、聞いた事ないですか?すっごく面白い場所が京都にもあって、府庁の近所なんですけどね。Impact Hubって、世界に何十か所かあるんですよね。
田: そうですね。90か所ちょっとでしょうか、世界の色んな都市にインパクトハブという団体がありまして、コワーキングのネットワークを広げていこうというコミュニティなんです。
絹: そこのスタッフをされていた時期に知り合いました。「Dojo for Change」って、なんかすごい名前でしょ?楽しい場所なんです。また、気にかけていただけたらと思います。

■エピソード1 そもそも「京都国際子ども映画祭」って、なんやねん
●京都子ども映画祭のはじまり
絹: さて、本日の番組タイトルですが、「京都国際子ども映画祭って、ご存知ですか?~子どもによる子どものための国際映画祭」と題してお送りいたします。この京都国際子ども映画祭、この夏の8月の2日から5日、ラジオカフェのお近くの京都文化博物館で(地元の者は「文博」と呼んでいますが)開催されます。そしてご縁がありますね。偶然、わが社があの工事に参画しておりました!
両: あ、そうなんですか(笑)。
絹: 現場へ何人か行っておりましたし、改修工事にも参加しております。いい場所ですね。
さあ、この京都国際子ども映画祭について、メインゲストの植田真由さんと田勢奈央さんとともに、じっくり読み解いてまいります。
京都国際子ども映画祭、ご存知ない方も多いかと思いますので、植田さん、ざっとその来し方と言いますか、古いそうですね、実は。
植: 京都国際子ども映画祭は、毎年1回開催と考えて20年以上、今年で24年目になります。
絹: すみません!知らんかったあ!
植: 知られてないんです。これだけ長い事やっているのに。
絹: すごい良い事やってらっしゃるんですよね。
植: 1994年から始まったんですが、キンダーフィルムフェストという名前から、ちょっとピンと来られる方もいらっしゃるかもしれません。元々はドイツでやっているベルリン国際映画祭という大きな映画祭があるのですが、そこの子ども部門でキンダーフィルムフェストという、子ども向けに作品を上映しているセクションがあって、そこに行った映画人が日本でもこういうふうに子どもに向けた映画祭をやりたいということで、最初東京で始まって、その次に京都でやったのが、今まで続いているということです。
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●今さらですが、ゲストの紹介です
絹: 東京で始まって、京都で…。すみません、1つ僕、何か忘れているような気がします。えっと、ゲスト紹介をちゃんとやるのを忘れていました(笑)。こんな感じでゆるゆるどころか、低空飛行でやっている番組ですが(笑)。
ちょっと戻して頂いて、理事長の植田真由さん、先ほどの下打ち合わせで、専攻が映画でずっとご研究されていて、博士課程まで行っちゃったと。無茶苦茶映画の世界にどっぷりという感じの方ですが、リスナーの方にその人となりの一端をお伝えするのに、いつもの手抜きの他己紹介というやつを、田勢さんにお願いします。田勢さん、植田真由理事長とは、いかなる方ですか。
田: 植田さんは、ラジオだと声しか伝わらないので、あれですけど、見た目はすごく若い、もちろん年齢も若いのですが(笑)、2歳9か月の男の子を育てているママさん理事長なんです。
元々は映画を専門にしていることもあって、このNPOで、映画祭のための映画を選ぶ仕事をずっと担当されていて、そこからどんどん上がって行って、今、理事長を務めているという方です。
絹: おお、ご苦労様です。いやあ、映画関係者とお知り合いになるのは初めてです。
それじゃ交代で、今度は植田さん、田勢奈央さんとはどういう方ですか、短く述べよ。
植: 田勢さんは去年から映画祭に関わっていただいたんですけど、ものすごくパワフルな方なので、このパワフルさとエネルギーで、去年の映画祭は田勢さんがいなかったらできなかっただろうなというくらい貢献していただきました。私にとってもキンダーにとっても心の支えと言うか、全てにおいて支えになってもらっているような、頼りになる存在です。
絹: ありがとうございます。こそっと田勢さんのエピソードを追加しますと、テレビ人で以前TBSにおられて、番組制作にもということで、そういう世界にお詳しい方で、僕はインパクトハブで田勢さんに英語を習いました(笑)。
田: そういえばそんなこともありましたね(笑)。
植: 英語も堪能でいらっしゃるので…。

●子どもが中心の映画祭-見ることはもちろん、審査もします
絹: すっごくわかりやすい英語を使われます。
さて、元に戻りまして、このキンダーフィルムフェストについて、もう少し続きをお願いします。
ベルリン国際から始まって、東京、京都で日本版が始まった。内容はどんなことをやるんですか。
植: 本当に子どもが中心になっていて、子ども向けの作品を上映するのはもちろんなんですが、子ども審査員が上映される作品を全部見て、審査をしてグランプリを決めます。
絹: 何本くらい参加されるんですか?
植: 長編3本、短編7~8本をそれぞれ2回ずつ見ます。
絹: それって、見る方もすごい体力要りますよね。
植: すっごいハードスケジュールですね。

●今年は京都文化博物館でやります!
絹: 今年の会場は文博とのことですが、確か文博って、映画の資料が古い日本映画からずっとアーカイブがあるところと違いましたか。
植: はい、そうです。ポスターから雑誌からフィルムまで。
絹: だから映画資料を見るブースだとか、しつらえとか、ちょっと大きめのつくりのシアターとか…。いい場所を選ばれましたね。
植: 本当にお世話になっております。
絹: 24年前からでしょ?
植: 会場は結構色んな所を転々としていまして、文博さんでやらせていただいているのは、ここ7~8年なのですが。
絹: でも文博さんとしても、ようこんな企画をもってきてくれはったと喜んでおられるのではないですか。
植: そうですね。最初の頃は本当に「うちにこんなに子どもが来てくれるなんて…」と館長さんが喜んでおられたという話は聞きました。

●子どもたちが議論しながらグランプリを決めます
絹: 長編3本と短編7~8本を2回ずつ見て、審査員さんも子どもがいるんでしょ?
植: そうです。
絹: 結構な時間と体力を使うから、一日何時間くらい見るんですか。
植: 1日3本ですね。
5時間くらいシアターに座っていることになります。
絹: だから8月の夏休みなんですね。でも夏休みの自由研究としては、最高じゃないですか。
植: そうですね。去年は東京からおばさんが京都に住んでいるというので、夏休みを利用して、京都にわざわざ来て、映画祭に泊まりながら参加してくださったお子さんもいたりして…。
でも子どもたちはどの映画がいいかという議論を通じて、ほとんど初対面の子たちなのですが、どんどん仲良くなっていくんですね。それが大人としても、見ていてうれしいなと思いました。
絹: その長編3本と短編7~8本を見て、「私はこれを推します」みたいなのを、みんなで…。
田: そうです。「これのこういう所が良かった」というのをみんなで言い合って、みんな意見は違うのですが、多数決はせずに話し合いでグランプリを決めるわけです。
絹: その時に植田さんや田勢さんはその議論に加わって、ファシリテーションと言うか、議長と言うか、何かするんですか?
田: できるだけ口は出さないようにしています。「時間ないよ」とか、そういうことは言いますけど。

●子どもたちは感想文も書いて、公開します
植: あとみんな最後に感想文を書くんですね。感想文をグランプリ作品発表の時に、全員お客様の前でそれを読み上げるんです。自分たちが感動した映画について書く子もいれば、映画祭を通じて、どういう事を学んだかということを書いてくれる子どもたちもいて…。
田: 結構、常連さんはその作文を楽しみに見に来るみたいな方もいらっしゃって、子どもたちの成長っぷりがすごくよくわかるので。
絹: その2日から5日までの、映画祭の水面下の作業と言うか、ワークショップが大変で、一般に公開されて「グランプリ作品はこれだ」と、上映されますよね。子どもたちの感想文の発表もある。それは一般人に公開されるのですか。
植: もちろんです。
絹: それはいつですか?
植: 作文を読むのは4日で、グランプリ作品の上映は5日です。
絹: リスナーの皆さん、8月の4日5日は空けといていただけませんか。これは面白いですよ。子どもたちがどんな感想を持って、どんな作品を選んだか。ちょっと自分の手帳に書いておきます(笑)。
植: やはり大人が見る視点と子どもが見る視点が、微妙に違っていて、私も同じ映画を何回も見ているんですけど、子どもたちの感想を聞いて、「あ、そういう見方があったんだ!」というふうに気づかされることもあったりして、それは本当にこの子ども映画祭でないと味わえないことだなと思いますね。
絹: 今、僕の手帳を開けて、8月の4日5日に「キンダーフィルムフェストat文博」と入れておきました(笑)。
両: ありがとうございます!!
絹: いやあ、本当に外せない仕事さえなければ、絶対に行きたい!面白そう!
さて、リスナーの皆さん、だいたいどんなことが行われてきたか、概要をつかんでいただけましたしょうか。

■エピソード2 「京都国際子ども映画祭」、もっとズームしてみると…
●吹き替えワークショップって、どんなことするの?
絹: さらに、エピソード2でその内側をもうちょっとインタビューしようと試みますが、先ほどワークショップのことを少しだけ教えていただきましたが、子どもたちが吹き替えをやると。それもその場で。
植: はい、生でやります。
絹: 活動の弁士さんみたいな感じで合ってます?あんなイメージですか?
植: そうです。
絹: ちょっとその吹き替えワークショップについて、もう少し教えていただけますか。
田: うちで上映する映画は、海外から直接持ってくることが多いので、字幕も吹き替えもついていない作品を上映するんですね。でも、それだとちょっと子ども向けの映画祭としてはわからない。、じゃあどうやったらみんなにわかってもらえるのかということで、生吹き替えというのがつくようになったんです。子どもスタッフと去年から大人の方にも開いて、全6回の映画吹き替えワークショップというものを開講しております。
そこで劇団のプロの方から、最初は発声練習や、身体の動かし方といった基礎的な事から、後半は吹き替えをする映画を見ながら、アテレコをしていくみたいなワークショップです。
絹: と言いますと、8月の2日から5日までの4日間の中でその吹き替えワークショップも、同時進行なのですか?また別ですか?
田: ワークショップ自体は、映画祭が始まるまでに完了するようにして、そこで学んだ方たちが、映画祭当日に短編の生吹き替えをするという、本番が映画祭という感じですね。
絹: もし子育て最中の親御さんがいらっしゃったら、これは子どもさんの訓練プログラムとしては、夏休みに最高の部類じゃないでしょうか。吹き替え、声の出し方、ボイストレーニング、植田真由理事長が選んでこられた良質な映画を繰り返し見て、その場で吹き替え、自分の声であてるわけです。

●吹き替えワークショップを通じて、子どもたちが学ぶもの
田: 去年はチェコの映画や韓国の映画、中国の映画など、特に子どもだと、映画館ではなかなか見ない国の映画を、子どもたちが何回も何回も見て、やはり国が違っても笑うところは同じだったり、悲しいと思ったところは同じだったり、そういうことを子どもたちも映画を通して学びます。
私が去年初めて参加して感動したのは、吹き替えワークショップに参加されている方、去年は小学校3年生から70代の女性までいらっしゃったんですね。親子でも家族でもなく、全然年代も違う人たちが、すごくお互い励まし合って練習していて、やっぱり本番になると、皆さん素人の方たちなので、すごく緊張されるんです。でも、それを乗り越えていく様というのが、すごい見てて感動します。
やはり何回も何回も練習してきているのもありますし、映画祭の場でお金を払って来ていただいているので、それ相応のクオリティのものを出さなければいけないので、私たちも結構厳しくやっていきますし、劇団の指導してくれる先生も、そこはちゃんとクオリティを保つために色々教えて下さっています。
絹: プロの劇団の方が指導してくださるんですか。「やり直し!」とかって、やるんですか。
田: 結構、何回も何回も練習しますね。
植: 「もうちょっと今の所、やってみよか」みたいな感じで。
絹: その吹き替えワークショップは5月27日スタートで、これの期間と言いますか…。
田: 日程はホームページとフェイスブックの方に上げています。
絹: 興味のある方はぜひアクセスしてみてください。検索ワードは「キンダーフィルムフェスト京都」。さっきフェイスブックページだけちょっと眺めてきましたが、本当にいい表情をした子どもたちと、大人たちの画像が踊っております。いいですねえ。これは面白い。

●繋がる、広がる、吹き替えワークショップの輪
絹: さらにもう少し聞いてみたいのですが、吹き替えワークショップの中身、劇団の方が指導されている様子をもう少しお話いただけませんか。一番最初にやるのは、どんなことですか。あるいはどんな方が申し込んで来られたのですか。先ほど京都市さんを通じて、小学校にチラシをまくとおっしゃっていましたよね。
植: 小学校とかにまくのと、あとは口コミかフェイスブックを見て申し込んで来られる方が多くて、今年に関しては去年やった人がリピートされる方も結構いますし、あと小学校三年生の子が本番をやるのを、友達が見に来ていて、それを見て自分もやりたいと今年申し込んでくれる子が2~3人いますね。
田: みんなお母さんに連れられて映画祭に見に来たわけですが、吹き替えに関しても、子どもスタッフに関しても、子ども審査員に関しても、どの子もみんな楽しそうなので、たぶん子供の眼からそれを見て、「なんかあのお姉さんいいなあ」とか「あのお兄さん、楽しそうだな」と憧れて、入りに来てくれる人も結構いて、私たちが宣伝する力よりも何よりも、子どもたちの生き生きした顔が、お客様と翌年の参加者と言うか、子どもたちを呼んできてくれているんだなと思いますね。

●NPO自体が世代交代して、ドキドキワクワク、皆で作り上げている最中です
絹: 今、お話になっている田勢さんの表情を見ていて、田勢さんだったら、ドキュメンタリーとか作る能力があるから、ひょっとしたらキンダーフィルムフェストのドキュメンタリーをどこかで作ってやろうと構想しているんじゃないかと思っているんですが(笑)。
田: それ、すごいしたいんですけど、私がそれをしちゃうと、ちょっと回らなくなるところもあって(笑)。
絹: さっき植田真由理事長が、「田勢さんの加入ですごく助かった」とおっしゃっていましたね。いろいろ回してくださったと。
植: そうなんです。私、理事長になったのが、去年度が初の年度だったので、初めてで「どうしよう、何にもわからない」という状態だったんです。ずっと映画祭にはかかわっていたのですが、トップとして回すのが、去年が初めてだったので、パニック状態だったのを、田勢さんがすごくフォローしてくださって、そのお陰で…。
田: 去年から色々体制が変わって、新しいメンバーが出てきて、結構世代交代したんです。なのでみんなにとって去年は元からのスタートだったので、今も手探りで、本当に毎日のように色んな話をしながら作り上げているんですけど、今年も海外からゲストをお呼びするんですね。

●あの俳優さん、監督さんが来てる!!
田: 去年は、映画に出ていた俳優さんをドイツからお呼びしました。それから日本の上映した映画の監督さんや子役さんにも来ていただきました。
絹: なんかすごい大規模ですね!
田: 結構盛沢山なんです。
植: 子どもたちにしたら、映画に出ている人が来てる、監督さんが来てるというので、そういう方に直接会うことは、普通に過ごしているとないことなので、すごく貴重な時間なのだろうなと思います。
絹: いやあ、世の中知らないことがいっぱいあります。

●映画をつくる気持ちも体験してもらいたい…
田: だから映画を見るという機会だけではなくて、つくる側の気持ちも体験してもらいたいと思っています。
そこで映画の子どもスタッフたちが、上映前にちょっとした本当に短い動画をみんなで作るんです。それは毎年ちょっとずつテーマが違っていたりするんですけど、去年は映画が始まる前のプレビューとして、映画のDVDが文博に届く前の色んなシーンを、京都中を走り回って、嵐山に行ったり、二条城の前を走ったり…。
植: 京都の名所をそれぞれ撮影して、西からバージョンと東からバージョンでこう…。
絹: ひょっとしてそういうのって、YouTubeで検索したら見られます?
植: ホームページにあるんです。
絹: これちょっと見ましょう。リスナーの皆さんもご覧になったら、イメージしやすくなりますよ。
田: 子どもたちもやっぱり作る楽しさ、私も元々ずっと映像を作っている人間なので、作る楽しさも味わってほしいし、見る楽しさも味わってほしいという、その両方をなるべくできるようにしたいなと思っています。

●我々、建設業界にも映画振興に力を入れていらっしゃる会社があります
絹: いやあ、ご縁ですね。こういう生の情報を直接お持ちいただけるなんて。
さっきもちょっとお話しましたけれども、我々の建設業界の中でも舞鶴の志摩機械さんという建設機材をあちこちにご用意されたりする会社がありまして、とても映画に造詣が深いんです※。舞鶴でクローズされる映画館を私財で買い取られて、映画振興に力を入れていらっしゃったり、この京都三条ラジオカフェのように舞鶴にもコミュニティFM局がありまして、そちらのサポートをされたりしています。この間、エクスカーションに行かれた…。
※シマフィルム(株)リンクhttp://shimafilms.com/
植: 映画遠足ですね。
絹: 出町から行かれたんですよね。その出町座にも志摩機械さんが関わっていらっしゃるんです。

●映画遠足で出町座さんに行ってきました
絹: その映画遠足のこと、ちょっとだけ教えていただけませんか?
植: せっかく映画にまつわる団体に子どもたちに参加してもらっているので、もっと映画のことを知ってもらいたい、映画をみんなで楽しみたいと思って、企画したのが映画遠足です。
去年オープンしたミニシアターの出町座さんという所にみんなで行ってきました。やっぱりシネコンしか行った事のない子たちなので、初のミニシアターに行って…。
絹: リスナーの皆さん、出町の枡形商店街と言って、良い感じの商店街が残っているんですよ。その空き店舗を改修されてミニシアターですね。
植: 書店とカフェも併設されているミニシアターです。
絹: 書店もいい感じの書店で、カフェもいいし、中へ持ち込めそうですね。
植: そうです。買ったものをシアター内に持ち込めます。
絹: 2階と地下と2つスクリーンがありましたっけ。
植: そうです。
絹: 京都は映画の発祥の地でもあります。ですから立誠小学校でそういう映画に関わることを丁寧にされていた方もおられますし、その流れが出町座に来ているということをお聞きしたことがあります。
さあ、皆さんどうでした?今日のお話。もうただただ面白かったです。
子どもたちに映画に触れてもらって、しかも吹き替えワークショップ、それからみんなで審査員もやっちゃおうぜと。それに大人たちがサポートして、24年前のベルリン国際映画祭の流れをくむ京都国際子ども映画祭です。これを機会に、もしお耳にかけられた方はホームページ、フェイスブックページをご覧いただくとともに、小さいお子さんとか高校生でも、大人でも、このワークショップに参加してみてはいかがでしょうか。まさにこれは京都らしいプログラムだと思いますし、夏休みに最高のイベントになると思います。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。田勢さん、植田理事長、ありがとうございました。
両: ありがとうございました。
投稿日:2018/05/11

第135回 ・水面下で進む3D情報活用 ~ガンダムパイロットへ続く道

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まちづくり“チョビット”推進室<平成30年3月放送分>

上: 上田 浩司氏(株式会社大塚商会 関西CADプロモーション課)
絹: 絹川 雅則 (公成建設株式会社)
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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最前線のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト、男性お一方をお招きしております。株式会社大塚商会の上田浩司さん。
上: 上田です。今日はお招きいただきまして、どうもありがとうございます。
絹: はい、よろしくお願いいたします。
皆さん、大塚商会って、どこかで聞いた名前でしょう?学生の頃、コンピューター関係の会社だと理解しておりましたが、上田さん、それでいいのですか?
上: はい、そうです。コンピュータ全般を取り扱っている会社で、オフィスの中にあるコンピューター関係、IT関係を全て取り組んでいる会社になります。
絹: さあ、なぜ当チョビット推進室に、大塚商会の上田浩司さんをお呼びすることになったのかは、後々、紐解いていこうと思いますが、今日のタイトル、番組のテーマをまず申し上げなければなりません。「水面下で進む3D情報活用 ~ガンダムパイロットへ続く道」と題してお送りします。上田さん、よろしくお願いします。
上: はい。よろしくお願いします。

■エピソード1 そもそもBIMとかCIMって、何なの?
●IT活用のあれこれ、教えて上田さん
絹: リスナーの皆さんに、私と上田さんの出会いというのを、ちょっとだけ開陳させていただきます。
実はうちの会社に来てくださって…。
すみません、BIMとかCIMとか、ちょっと専門用語がいくつか出ます。実は私、建設業をやっているのですが、新しい動きというか、進化した動きがいっぱい出ているらしいというのも勉強しなければならないのですが、ようわからんと。「わかっている人、レクチャーして」と来ていただいたわけですが、1時間くらいですごい濃い講義をしていただいた時の講師役の方が上田さんだったんです。
上田さん、BIM、CIM、建設の世界だけではないかもしれません。一般の方にバクっとした解説で、「皆さんにこんな風に関わるかもしれへんで」というのを含めて、ちょっとお話していただけませんでしょうか。
上: はい。まず大きく言いますと、今まで二次元で設計してきたものは、皆さん家を買われる時など、設計図面を見られることがあるかと思いますが、それって、紙に描かれた線で表現された図面だと思います。それが今、BIMとかCIMというキーワードで、3次元データとして立体的に設計されたものに変わっています。これが大きくBIMとCIMというふうに言われています。
絹: 上田さん、僕は細かい事が気になる質で、それであまり勉強ができなくなったんですが(笑)、BIMとかCIMって、そもそも何か略しているんですよね。
上: はい。BIMは「Building Information Modeling」の略で…。
絹: 「建物の情報をモデリングする」。わかったようなわからんような言葉ですね(笑)。でもちょっとわかりやすくなりました。

●バーチャルリアリティーがまさしくBIMです
上: 今のところは、建設業の専門家の方たちに寄った、解説になるのですが、もうちょっと皆さんにわかりやすくというところで言いますと、今、VRという技術が結構…。
絹: バーチャルリアリティー、仮想現実ですね。
上: そうです。VRはよくテレビでご覧になっている方もおられるかと思います。
絹: テレビのコマーシャルで、よくゴーグルのごっついようなのをはめて、会議室とか、打ち合わせルームにいるのに、超高層ビルの梁の上を「うわー、落ちそう」とか言って、手をぐるぐる振り回しているのがありますよね。あれですか?
上: はい。あれですね、まさしく。例えば今から家を建てようという人が、今までは二次元で図面でわかりにくかったお部屋の空間なんかが、三次元でわかるとか、あと空港など、ちょっと複雑な施設なんかも、三次元だとよりわかりやすくなると。これが一般的な皆さんにとっての三次元技術とか、BIMの1つかなと思います。
絹: ユニバーサルスタジオジャパン、あれはアトラクションと言うか、楽しみのためにですけど、映画の中の世界がぐっと迫ってきたりとか、あれもバーチャルリアリティーなのでしょうか?
 上: どうでしょう。ちょっと違うと思いますね。
バーチャルリアリティーの場合は、本当にビルの中に立っているのと同じくらい、360度ぐるっと、コンピューターの設計の三次元のCADの中に立っているような感覚になりますので。
絹: そしたら例えば、今度、学校を建てますと。新しい校舎の家庭科教室に入ったとします。ぐるっと右を見たり、左を見たりすると、黒板の字とか、調理台とか、上を見ると天井がどんなのかというのが、仮想現実の中で見えてしまう。それがBIMの1つの部分ですか?
上: そうですね。皆さんが一番接しやすい、近いところのBIMですね。

●CIMはさらに広範囲で複雑な構造までモデリングできます
絹: リスナーの皆さん、ちょっと想像つきましたね。それでは、CIMは?
上: これも三次元の技術なのですが、皆さんにより身近なところで話をしますと、例えば震災が色々ありましたけれども、そういう所の復興後のまちの風景、まちづくりがどんなふうになるのかというのを、三次元でよりわかりやすく設計して、近隣住民のお年寄りとか、子どもさんたちにわかりやすく設計の意図を伝える。これなんかも身近なCIM、三次元技術と言われています。
絹: すみません、また細かいことにこだわる悪い癖が出るのですが、CIMは何の略でしたか。
上: 「Construction Information Modeling」です。
絹: 以前なら、模型で、発泡スチロールのブロックみたいなのを、キュッキュッとカッターで切ったり、ケント紙を折り曲げたり、着色したりして、設計した図面のものを立体的につくるという、気の遠くなるような作業をしている学生さんがいましたが、それをコンピューターとか情報処理の技術でやっちゃうと。
上: そうです。おそらく今の学生さんたちも最初は昔の手法で模型を作っていると思うのですが、最近はもうコンピューターで、三次元で設計する学生さんも結構増えてきていると思います。

●BIMやCIMの活用が進むと、私たちの生活はどう変わるの?
絹: そういうBIMだとかCIMだとかという三次元技術によるデータの活用が進むと、一般の皆さんにはどんな影響が出てくるんでしょうか。何かいいことがあるんですか?
上: まず、一般の方で言うと、先ほどのように、完成前に完成後のものがよりわかりやすくなるというのが1つですし、あと、実際の建物、構造物を設計する人たち、ものをつくる人たちとリンクするのですが、三次元技術を使うことによって、手戻りがない、間違いのない施工が可能になるので、より生産性も上がります。ですから利用される方にとっては、三次元技術を使ってつくられたものの方が、より品質の良いものを利用できる、より品質の良い家に住めるとか、満足のいくものが受けられるというメリットがあると思います。
絹: 皆さん、ここ、すごく大事なポイントです。どこかで試験に出ますよと言われそうな(笑)ポイントです。でも、大事だけど、一般の方にはわかりにくい部分が含まれています。そこで少し平仮名化を試みますと、例えば品質の良い建物だとか、品質の良いインフラ、橋だとか道路だとか、高速道路だとか、地下鉄だとか、あるいは水道だとかガスだとか、色んなものがありますが、構造物をつくろう、建物をつくろうとすると設計図面がありますよね。そういうもののソフトウェアなんかを大塚商会さん、上田さんたちは得意とされて、そのサポートをしてこられたのですが、かつて僕らの学生時代は、設計図面って、紙でしたよね。手書きの図面で、ドラフターとかいう便利な道具で手で描いたり、もっと前はT定規という懐かしい大きな定規で図面をひいたり、設計士さん、専門家が図面をつくるのですが、その図面というのが、完璧なものであることは、まずありえないんですよね。
上: そうですねえ。
絹: その通りつくったつもりでも、現場で職人さんたちがつくると、「あれ?なんかおかしい!」てなことがよく発生するのが、今までの常でした。で、上田さんが「手戻り」とおっしゃったのは、その「あれ?」に対応することなんです。
ちょっとわかっていただきにくいかもしれませんが(笑)、我々、建設業の施工に携わる者たちは、図面に従って施工図を起こして、現実をつくりだす。設計された意図に沿って、材料を用いて造っていくのですが、材料というのは三次元です。図面は二次元です。本当の専門家でないと、二次元のデータから三次元の空間感覚を理解できる人というのは、大変少ないはずです。ですからそこには間違いが、実はエンドユーザーの御存じないところで、多々起こるものです。その手戻りを少しでも少なくして、品質の高い、ちゃんとしたものをつくろうというのが、施工屋さんや職人さんたちの世界です。上田さんはそのことを今、言おうとしてくださったんです。
上: はい、ありがとうございます(笑)。
絹: ちょっとそこの専門的なところも入ってますから、難しいですよね。
BIMだとか、CIMだとか、二次元データを三次元化するということで、我々の生活が見えないところで変わっていきそうな気がしますね。
上: そうですね、はい。

■エピソード2 AR、AIでどうなる?
●実践ソリューションフェア、開催しています
絹: 次は、ARやAIがどうなっていくのかについて、上田さんに教えていただこうと思うのですが、BIM、CIMでスタートしたエピソードですが、さらに横文字で、カタカナなのかローマ字なのかが出てまいりますけれど、ARとAIで我々の生活は変わっていくだろうということについて、ご説明お願いします。
上: ARとAIに関しては、私たちよりも建設業界の方が、変わっていくことが先かなと思っています。
絹: 上田さんは大塚商会の方ですから、大阪ででっかい5,000人規模の「実践ソリューションフェア」という、フェスティバルのような勉強会を開催されて、それのディレクションもやられたんですね。
上: 毎年大きな会場をお借りして、ITの最新のソリューションとか、お客様に一番今、知って頂きたい事というのを、セミナーや展示でご紹介するイベントをやっています。
絹: 皆さんにイメージをしていただくために、たとえ話をしますと、「実践ソリューションフェア」とはなんぞやというのを紐解きたいと思います。
例えば大学のシラバスとか、「この枠にはこの先生がこんな講義をしてくれるけど、来ない?」とか、色々皆さんの興味があるような、最新の情報処理技術とか、先ほどの三次元技術だとか、VR技術だとか、本当の最新鋭のことを理解しようという専門家たちが大集結して、「そこに登録しない?」とお誘いをかけたら、なんと5,000人だったと。で、講義を受けるだけじゃなかったんですよね。
上: 展示コーナーという、色々最新のものを実際に体感できるところも、私たちはやっていまして、私はそこの建設業、製造業などの設計者のための展示コーナーを担当しています。今回はその中でARとか、AIとか…。

●ARって、いったい何?
絹: ARって、なんでしたっけ?
上: ARは拡張現実ですね。
絹: バーチャルリアリティーとちょっと似てますね。
上: そうですね。よく似ていますが、バーチャルリアリティーの場合は、本当に三次元でつくられた中に自分が入ってしまう。それに対して拡張現実は、建設業で言うと、今工事が進んでいる現場に立って、これから工事が進んで施工されるであろう、色んな設備などを一緒に合成して体感できるという技術なんですが、ゴーグルをつけていただいて、建設業のお客様にそういうものを色々体感していただいています。
絹: ゴーグルをつけて、すごくきれいな画像と動画と音声で、映画を、動画を楽しむという趣味は以前からありますけれども、それがAR・拡張現実として実際の建設現場に応用されているんですね。
上: 今、実証実験として、これからそれをもっと生産性を上げる技術として、定着していこうという段階に来ていますね。

●AIがドローンに紐づいたら…
絹: そしてARとかAI、人工知能をイメージしていただくために、最近人気のドローンについて、お話いただけますか。
上: 大塚商会もこの2月の実践ソリューションフェアから、ドローンを販売、サポートするようになったのですが、例えばドローンの活用の1つとして、今、インフラ、例えば橋脚とか、トンネルとか、そういったものの点検をやらなければいけないという状況に業界的にもなっているのですけれども。
絹: 例えば古いトンネルを走っていましたと。車で走っていたら、ゴンと音がして、天井がへこんだと。上からコンクリートの欠片が落ちてきたなんてことがあったら、大事故になるかもしれませんよね。そういうものを事前に防ぐために、点検をすると。
上: そうですね。まずは点検、調査しなければなりません。
絹: それにドローン。僕ら子どもの頃はラジコンヘリコプターって、高くて手が出なかったんですが、それのプロペラが4つ以上ついているようなやつが、結構手ごろになってきたんですよね。
上: そうです。価格もそうですが、性能が上がってきて、色んな事が現実的にできるようになったんです。今のAIと紐づけていくと、撮った写真データを元に、AI・人工知能で解析して、今どのくらい橋脚が傷んでいるとか、ダムがどのくらい傷んでいるかがわかりますから、人間の手間を省くという意味で、そういった技術が使われようとしています。
絹: 皆さん、イメージしてくださいね。
例えば加茂大橋、御薗橋、京都市の川にかかっている橋を、もし点検しようと思ったら、今までは足場を組んで、人間がそばへ行って写真を撮ったり、打音検査と申しまして、ハンマーでコンコンと叩いて、どこかにひびが入ってないか、浮いてないかという事を調べる必要がありました。
マンションに住んでいる人でしたら、大規模改修の時に、マンションの外壁の外に、大きな足場がたって、人が上って…。こんなの見た事ないですか?
学校の授業で先生が使う差し棒の先に、パチンコ玉の親分みたいなのがついていて、それをタイル面に転がして音を聞いて、職人さんが浮きがないか、はがれそうになってないか、危なくないかチェックする方法があります。そういうベタな職人芸の検査の代わりに、ロボットチックな性能の良いドローンが、画像や赤外線画像などを使うわけですけれども、カメラもセンサーもいいのができているんですよね。

●インフラメンテナンスの近未来
上: はい。今、建設業界は、私たち色々お客様の話を聞いていますが、3K業界と言われているなかで、人手不足も出てきていると聞きます。そういった意味でこのAI、職人さんでなければできなかったものが、コンピューターでお手伝いできるという時代になってきているのかなと思います。
絹: 建設産業だけではなく、旅館、サービス業、あるいは介護と、あらゆる産業で若年労働者が不足します。我々の業界も皆様の便利な都市生活の足元を支える黒子のような仕事ですけど、このインフラ、道路だとか橋だとか、地下鉄だとか、電気、ガス、水道などを、メンテナンスして、健康に保つためには結構大変なんですよね。それをそういう機械が、ドローンが助けてくれるという世界に入りつつある。そうすると近未来、何が起こるでしょうか。
上: どうなるでしょうか(笑)。
絹: 建設業のエンジニアさんは、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、ロボットのオペレーターみたいな、そういう操縦技術の才能や能力が要求されるようになるかもしれません。

●水中の3Dスキャナという技術
絹: 今もう既に、水中掘削のバックホウだとか、あるいはドローンは空を飛ぶのでなく、水上を走ったり、先ほどは水中の三次元スキャナというのを教えていただきましたよね。その話も少ししていただけませんか。
上: 建設業界は危険も伴う業界ですから、水中にある構造物、例えばダムの水中の構造物とか、橋脚も海の中まで入っています。それを点検するには、人間が潜って点検していましたが、それが今は船の下に、水中の3Dスキャナという、レーザーで今の状態をコンピューターの中に再現する技術が進んでいまして…。
絹: 漁業関係者が、魚群探知機で魚影を探すことの進化版が、ダムの中、水中の橋脚、基礎に応用されているんですね。
上: そうなんです。魚群よりもっとはっきりと、人間が見たように再現する、検査できるということも、今どんどん進んでいると言われています。

●建設屋がガンダムパイロットになる未来
絹: 上田さんからARやAIを用いた、あるいは三次元データ解析を使った色んな進化版、ドローンの活躍の場所など、色々教えていただきました。これが皆さんの生活にどう直結するか、実はもう、水面下で着々と進んでおります。
天ケ瀬ダムの水の中で、遠隔操縦のロボット掘削機が既に動いている。これはあまり多くの方がご存知ないかもしれませんが、建設産業では既にそういうものが現実化しつつあるんです。言い過ぎかもしれませんが、建設業に従事する人って、近い将来、ガンダムパイロットに似たような仕事になるかもしれない(笑)。あるいはいろんなドローンで遠隔で危ない所に行かなくても、大切なチェックができるという時代が来るかもしれませんね。
上: そうですね。ガンダムパイロットもちゃんと動かせないと大事故になりますから、ちゃんとこういった技術が使えるように、私たちはお手伝いしてIT化をしていきたいなと思っています。
絹: 大塚商会さんの営業トーク入りました(笑)。
上: すみません(笑)。
絹: でもね、建設産業って、本当にすそ野が広いんですよ。大塚商会さんみたいに、我々技術屋にコンピューター系の三次元技術のソフトウェア、アプリケーションの講義をしてくださる。そういう人たちの助けを借りて、現場は徐々に進化していきます。
ということで、皆さま、本日の放送はいかがでしたでしょうか。着々と二次元、三次元の解析技術は水面下で進んでおります。ぜひ、BIM、CIMという言葉、皆様の頭の中に、ちょっと入れていただいたらと思います。さ、おしまいです。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。上田さん、ありがとうございました。
上: ありがとうございました。
投稿日:2018/03/19

第134回 ・私のマインドフルネス体験記

ラジオを開く

まちづくり“チョビット”推進室<平成30年2月放送分>

 

 

岸:

 

岸本 早苗氏   

プロフィール写真SanaeKishimoto

 

絹: 絹川 雅則 (公成建設株式会社)

 

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 左 岸本氏    右 絹川
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まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
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絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最前線のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日ゲスト、妙齢の御婦人です。珍しいのですが、岸本早苗さんをご紹介します。よろしくお願いいたします。
岸: よろしくお願いします。
絹: 私と岸本さんの出会い、プロフィールについて、ちょっとご紹介させていただきます。
すごいんですよ。岸本さんはハーバード公衆衛生大学院修了、ボストンですね?
岸: はい、マサチューセッツ州にあるボストンです。
絹: ボストンに7年半、お住まいになっていた。大学院ということは、マスターを持ってはるんですね。
岸: はい(笑)。
絹: すごい。私はアメリカへは80年代に、イリノイ大学のサマーコースに2か月半行っただけです。だから地理もよくわかりませんが。
そのハーバード公衆衛生大学院を修了された後、同大学関連のChildren’s Hospital Boston、子ども病院ですか。それからマサチューセッツの総合病院という、これもハーバードのいわゆる附属病院的な所で働いておられる。臨床心理士として病院で働かれたということですか。
岸:  実は臨床心理士の免許は日本だけで使えて、アメリカでは使えなかったので、医療の質の仕事をしていました。
絹: ということは、既に日本で臨床心理士の資格を持って、出かけられたということですね。
岸: そうです。
絹: 日本でも臨床心理士の資格は大学院クラスじゃなかったですか?
岸: そうですね。今、色々また変わってきているかもしれませんが、修士課程ですね。
絹: 修士号を2つも持って、たぶんドクターも近々お取りになる?
岸: はい(笑)。
絹: というすごい方となぜか出会ってしまいまして、実はマインドフルネスというキーワード、リスナーの皆さん、最近お聞きになったことがありますでしょうか。日本版ニューズウィーク(2017/10/10号)で特集が組まれておりましたが、実は私、すごく興味がありまして、「マインドフル セルフコンパッション 8週間プログラム」を体験しました。その時の岸本さんは僕の先生なんです(笑)。いいかげんな生徒で、1回くらい休んだのですが…。
岸: いえいえ、素晴らしい生徒さんでした。
絹: 実はテーマが非常に説明しづらくて、リスナーの皆さんにどう伝えようかと悩んでしまって、ゲストにお呼びするのが遅れたのですが、ようやく腹が座ってまいりましてね(笑)。「私のマインドフルネス体験記」と銘打ちまして、岸本さんに助けてもらって、皆さんになんとか伝えようというのが、今日の番組の趣旨であります。

■エピソード1  マインドフルネスって、なに?
●「今、ここ」、そして「あるがまま」
絹: 岸本さん、「マインドフルネス」という言葉を、聞きかじったことのない人のために、一言で(無茶ぶりですけど)、どういうふうに伝えるとわかりやすいと思いますか。
岸: いつも私も、わかりやすく伝えられるようにならなきゃなあと思っているのですが、日本語で書くと「念(ねん)」。「今」「心」で、英語の訳が「マインドフルネス」なんですけど、元々仏教の言葉でして…。
絹: 「Be here now」とか、「here and now」とか、何かそういう連想がわきます。
岸: そうですね。1つは「今、ここ」なんですけど、ただそれだけじゃなくて、「ノンジャッジメンタル」で、善い悪いとか、正しい間違っているという是非を決めつけない心の態度。
絹: あるがまま。
岸: あるがまま。弱いのではなく、しっかりと受容をもって、意図的に気づきを向けておくと言いますか。

●私の問題意識とマインドフルネス
絹: 実は「here and now」とか、「今、ここ」というのを、僕は大学生時代(1980年代でしたけども)に、自分の指導教官から初めて聞きました。倉戸ヨシヤ先生という臨床心理の先生でして、専攻は違ったのですが、その研究室にたむろしていた時に、エンプティチェアで、枕をポンポン叩いたりする心理療法がありましたよね。ゲシュタルトセラピーというのを、習ったりしていました。「今、ここ」という、何十年も前に頭に刷り込まれたのが、たぶん「マインドフルネス」という言葉に関係ありそうだと思ったわけです。
私の問題意識は、自分のチーム、会社のみんなが時々頑張りすぎてしんどくなって倒れてしまう。大きな病気をしたリ、鬱になったりして、休職してしまう人がたまにいるんです。そんな時にどうしたらいいんだろうと、困ってしまって、でも専門家ではないし、どうしたら元気になって、また戻ってきてもらえるのかなあと。正直に言いますと、そういう調子が悪くなって、辞めざるを得なかった人が、今までに何人かいますし、戻ってきてくれた人もいます。それがベースにあって、BUC・バックアップセンター京都という医療法人栄仁会でしたっけ、宇治おうばく病院、専門筋では結構有名な病院らしいのですが、そこの精神科のデイケアセンターを知って…。
岸: そうですね。リワークのプログラムがありますね。
絹: 何回か休職を繰り返すような方々を受け入れて、トレーニングキャンプみたいな形で、認知行動療法的なこともされるのですか。
岸: そうですね。
絹: そこのセンター長で、片桐さんという臨床心理士の方がおられるのですが、その方に岸本早苗さんを紹介してもらったんです。
で、どんなものかわからなかったんですが、勉強したかったんです。「マインドフルネス」を漢字で書くと、「念」。「念」を分解すると「今の心」。

●キーは自分への思いやり
岸: ただ同時に「マインドフルネス」がなぜメンタルヘルスに効果があるかについて、だいぶ研究が進んできています。
その結果、一番キーとなる要素が、セルフコンパッション、自分への思いやりだということがわかっていて、やはり先ほど言いました「決めつけない心」とか、「やさしさ」「思いやりを持って見る」ということも、すごく大事だと思います。
絹: 我々のような昭和の男性は、「自分に対する思いやり?眠たい事言っているんじゃねえよ!甘えるんじゃないよ!」という指導を受けてきて、「自分にやさしくなんてしていたら、生きていけない」みたいな、そんな間違った思い込みが色濃く、まだあると思うのですが、実は本当の最前線の研究で「セルフコンパッション」という横文字ですけど、自分に対して向き合ってやさしくあれる人が、人にも実はやさしいということを、真正面から海外の研究者たちがいっぱい論文を書いているそうですね。
岸: はい。それによって、もちろん鬱や不安にも効果がありますが、何かが和らぐだけではなく、内面からの強さだとか、モチベーションが生まれて、高まることが報告されていますし、むしろやる気が高まったり、人間関係でも他の人に対して、より思いやりを持って、建設的な関係をつくれるということも報告されています。

●源流は実は仏教なんです
絹: そういう色んな源流は、仏教、それも禅宗ですか。ティク・ナット・ハンですか。
岸: そうです。マインドフルネスもコンパッションも仏教の智慧・慈悲はすごくベースになっているんですが、必ずしも日本の仏教だけじゃなくて、インドだとか、チベットだとか、もちろん日本もそうですね。
絹: 僕らは例えば社員研修なんかで、座禅を組ませてもらったり、お坊さんにも指導を受けたりしますけれども、なんとなくようわからん。でも外国の人たちは実践的ですから、宗教色を排して、誰にでもわかるような、非常にわかりやすい体系に組みかえたというような…。逆輸入されているのではないかというような、そんな整理の仕方って、できると思われますか?
岸: 仏教だけじゃなくて、キリスト教だとか、色んなバックグランドの方がいる国の中で、仏教の人生の哲学を、必要な哲学だということで興味を持たれていると思います。ただやっぱり元は仏教の智慧でもあるので、その宗教色を排してというのがいいのかどうかなというのは、思ったりしますけれども。

●日本人にはなじみ深い感覚で…
絹: 本当はわからないのかもしれませんね。
例えば小さい時に、「ご飯を食べる時は黙って食べなさい」とか、「テレビは消しなさい」とか、「お米は八十八のお百姓さんの苦労があるから、ちゃんと噛んで食べなさい」とかしつけられたじゃないですか。それを学問的にブラッシュアップされて、またマインドフルネスのトレーニングの中に入ってきたりしているんですよね。
岸: そうですね。やはり日本を離れて暮らしてつくづく思ったのは、日本で仏教とか、神道とか、日本の文化の中に、生活の中に、必ずしも宗教というくくりではなくても、入って馴染んでいるものがあるなと思いました。そういうものが、結構マインドフルネスやコンパッションのプログラムで入っていて、もともと日本で持っているものという印象はありますね。
絹: そういうものを、1回、2時間半でしたっけ、3時間でしたっけ?
岸: 2時間半を8回ですね。
絹: 2時間半を週末ごとに1週間おきに8回繰り返すというプログラムをくみ上げられていて、その指導資格というか、リードしてくださるトレーニングを受けていらっしゃったのが、岸本早苗さん。
岸: はい。
絹: 日本だけではなく、海外でもそういうセッションと言いますか、ワークショップみたいなことをされているんですか。

●マインドフルネスの歴史
岸: プログラム自体は、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)というのを、今から40年近く前に、ジョン・カバット・ジン先生がマサチューセッツで始められました。
絹: もう40年の歴史があるんですか。
岸: そうなんです。クリニックの中で慢性の痛みがある人に効果があるのを、研究で発表されてから、色んな人に対象が広がりました。その中でマインドフルセルフ・コンパッションは2010年くらいからなので、まだ10年に満たないのですが、海外でMBSRを教えている方はたくさんいらして、日本では私を含めて認定を取っている方は数名くらいだと思います。ただマインドフルセルフ・コンパッションは日本では私一人で、あと数名、今トレーニングを受けている途中の方がいらっしゃいます。
絹: そういう稀有な人材になぜ出会ったのかな…。マインドフルネスの本をあさりだして、マーフィ重松先生(※スタンフォード大学におけるマインドフルネスの研究者)という、ハーフジャパニーズの先生が一昨年京都に来られて、インパクトハブ京都という所で、4時間の指導を受ける機会があったんです。すごく面白くて、感激して、やっぱり本を読んでいるだけではなく、実際に少しだけでも受けてみたくて受けたら、なんとお知り合いだったと。
岸: そうです。とてもあたたかい、素晴らしい先生ですね。
絹: いい感じの方で、静かな方で、すごくファンになってしまいましたけど、何かそういう意味でもご縁を感じます。
リンク:スティーヴン・マーフィ重松氏 スタンフォード大学におけるマインドフルネス教育(国際文化会館 2017年5月31日)の様子
 
■エピソード2  「沈黙の瞑想・リトリート」体験記
●ボディスキャンということ
絹: さあ、リスナーの方になんとか外堀を埋めて、「こんなんだよ」と伝えたいのですが、なかなかエピソードの選択が難しいですね。私が岸本さんの指導を受けて、「沈黙の瞑想・リトリート」って、4時間くらいでしたっけ。東本願寺さんの会館をお借りして、すごい4時間を体験させてもらいました。
岸: いかがでしたか。
絹: 概要だけお話しますと、「今日はほとんど話はしません。」と最初に宣言されて、「ボディスキャンからスタートします。今日は参加者同士のシェア(話し合い)はなしで、沈黙を基本とします」と。さらに「参加者同士でアイコンタクトすら控えてください」と最初に指示が出て。ボディスキャンって、どんなものか、説明していただけますか。
岸: ひらたく言いますと、座っていても寝ていてもいいんですけど、体の色んな各部位に順に注意を向けていく。例えば左の腕なら左の腕に注意を向けて、そこにある感覚、ない感覚、ただそこに注意を向けて、また次に切り替えて、違う場所に注意を転換して、注意を向けていく。
絹: そういう言葉を使わずに、自分の中に深く入って、自分で自分の体をサーチするというか、心の眼で探る、探検するということを30分まずやりました。

●ただ、歩くことに注意を向ける
絹: さあ、その次「歩きなさい。ただ歩きなさい。ゆっくり歩きなさい」と。もうスローモーションで、ただただゆっくり歩く。
岸: それも極論すれば、ペースは普通の速さでも、できることはできるんですけどね。
絹: はじめはすごくすり足で、すごくゆっくり歩いたんですけど、その時に色々感じたことがありまして、「あ、僕はゆっくり歩いたら、足の中指から小指の感覚がない」とか「鈍い」とか、靴の中で感じました。合気道をやっているから、はだしで歩いたりしているくせに、そういう足の裏の感覚がにぶい事に気付きながら、室内の廊下を味わって歩く。
自分の中の感覚を感じて歩いた次は、「外に出ましょう」と。あれは30分くらいでしたか、「外に出て東本願寺さんの方まで行って、時間になったら帰ってらっしゃい」と、放り出された(笑)。
今度は外に出たら、(あ、それでゆっくりと言ったんだ)ゆっくりしか歩けないんですよ。一生懸命歩くと。
岸: ああ、なるほど。それこそペースはそんなに重要じゃないので、直接体験なさったら、今後普通に歩いていても、変化は感じられると思います。
絹: その時、僕は横断歩道を渡るのに、信号が変わって渡り切れなくて怖いくらい、ゆっくりしか歩けなかった(笑)。
岸: ハラハラしますね。それはちょっと(笑)。
絹: 歩くことというのは、実はすごく不安定なことで、ものすごく頭の中や体の中を総動員して、バランスをとっているという、自分の中でそういう動きを感じました。それが終わって、ただ歩くということで、何か色んな気づきがあって、帰ってきて、それでもシェアしちゃいけないんですよね。
岸: リトリートの瞑想の時は、そうでしたね(笑)

●食べることに集中する
絹: さらにお昼休みはご飯食べるのも、「死ぬほどゆっくり一生懸命食べなさい」と。「しゃべっちゃだめ」と。
岸: いやいや(笑)、そんな「死ぬほど」とか、言ってないですけどね(笑)。まあ、そうですね、マインドフルに。
絹: マインドフルネスで、「一粒のレーズンを生まれて初めて食べるように、姿も香りも色も、自分のセンサーをオープンにして食べてください」という代表的なワークがあるそうですが、それを僕は嫁さんに握ってもらったおにぎりでやりました。岸本さんからのアドバイスで「ゆっくり食べるから、たぶん普段の量が食べられないから、お弁当を持ってくるなら、小さいお弁当にしなさいね」と言われて、小さいお弁当を持ってきて、昼休みおにぎり2個食べるのが精一杯でした。子どもが食べるような小さいお弁当でした。そういう変な、自分にとっては初めての丁寧な感覚、それがマインドフルネスのセルフコンパッションのリトリートという時間でしたけど、ありました。

普段、無意識のうちにやっていることを、意識してみる
絹: 何かイメージしていただけましたか。なんでこんなことをやるんでしょうね。
岸: 食べる瞑想しかり、歩く瞑想でも、または色んな種類の瞑想がありますが、呼吸に注意を向ける瞑想だけではなく、1つに集中しなくても、出てくるものを、ただそのまま見る、考え事が出てきてはやがて消えていく、感情が出てきてはやがて消えていく、体の感覚もという、無常、永遠ではない様子を見るというところに行ったりするのですが、先ほどおっしゃったようなことをなぜするのか。
自分が普段、自動的に反射的にしている事とか、自動的にパッと浮かんで出てくる考え、自動的に出てくる気持ち、自動的に言う言葉、行動、体の感覚でぽっと出てくるもの、あえて今まではあまり意識しなかったかもしれないけれども、自分の習慣を気付いていて、今後何かの時に取る行動や考えも、あるべく選択して、意図して選んでいけるというようなトレーニングをしているというのも、1つはあります。

●世界のリーディングカンパニーが取り上げるわけ
絹: こういうトレーニングを世界のリーディングカンパニーたち、例えばグーグル、フェイスブック、ディズニー、ナイキ、ソニーのようなクリエイティブな企業、日本の大手の銀行といったところが、真正面から今、取り上げて、一種のブームのようになっている。なぜなんだというのが、僕の最初の問題意識でした。
でも、自分でそこで経験させていただいて、今おっしゃったオートパイロット的に、ロボットのように、勝手に中で色んな事が動いていて、考え方だとか、行動の癖に、ものすごく無意識にからめとられている自分に気が付いた。
それからインナークリティックボイスという、「内なる批評家の声」というのを教えていただいたわけです。私の場合は、何か失敗すると、自分の頭の左上の方から「あほボケ!カス!」「お前こんなこともできないのか!」という声がすごい音量で響き渡るんですよね。真面目な一生懸命仕事をしたりする傾向の人が、日本人は多いじゃないですか。ひょっとしてインナークリティックボイス、内なる批評家の声のサウンドレベルが、僕のように壊れて大きいのかなと。岸本さんたちは、その音量レベルを調整する色んなやり方を、MSC(マインドフル・セルフコンパッション)というプログラムで教えて下さっているのかなと感じました。

■エピソード3  頭部外傷を経験して
●瞑想という回復法
絹: ご自身も留学中に、ボストン在住7年半の間に頭に大けがを負われて、考えることとか、パソコンを見ることとか、本を読んだりすることができなくなっていた時期があるということですが、そのことをちょっとお話していただけますか。その時に、瞑想を丁寧に、マインドフルネスというストレスリダクションのやり方を足掛かりにして、徐々に徐々に回復していらしたという経験があるんですよね。
岸: もともとその頭のけがをする前に、マインドフルネス瞑想を習い始めていたのですが、けがの後はメールを見るとか、会話をするとか、本を読む、何かを聞くということが一切できない脳の状態で、とにかく暗い部屋で何もしない。考え事も自動的にはバンバン出てこないので、その時に頭部外傷の専門医からも、頭部外傷のリハビリのスタッフの方からも、瞑想を勧められて、確かに音楽を聴くこともできないですし、会話もできないですし、瞑想だったらできるというので、もう何か月も、とにかくそれだけひたすらしていたというのはあります。

●ボストンというバックグラウンド
絹: たまたまボストンという土地は、脳損傷の治療に詳しい人が集まっていたんですね。
岸: そうですね。医学や研究も盛んですし、アメリカの中でもハーバードとか、いくつかの大学病院が頑張っています。また、アメリカの土地柄として、アメフト等、頭部外傷を負いやすいスポーツとか、退役軍人の方の戻ってきてからのこととか、ボストンマラソンでの爆発で頭にケガをした方とか、色んな事情で、詳しい人が少しずつ増えていたという状況もあったかもしれないです。それから瞑想による脳の効果の研究もボストンでは進んでいたこともあると思います。
絹: そういうところからご自身の経験が伝わってきまして、瞑想を中心とするプログラム、きっちり組まれたプログラムで、何か自分たちも、本当にしんどくなった人たちと、自分自身が本当にどうしようもない時に、足掛かりになりそうということを感じた8週間でした。
岸: ありがとうございます。良かったです。

●今、注目を集めるマインドフルネス、どうか覚えておいてください
絹: 時間が押して、なかなかうまく説明ができなかったのですが、リスナーの皆さん、いかがでしたか。これは本当にすごく日本的な分野でもあると。日本の古くからの智慧を、新しい言葉に置き換えたようなプログラムです。色んな教育場面、臨床、病院、企業と、今、注目を集めています。おそらくは一回では無理で、シリーズ化しなければ話せないようなテーマです。ちょっと勇気を出しすぎて突っ込んでしまいましたが(笑)。また…。
岸: ぜひよろしくお願いいたします。
絹: リスナーの皆さんも、マインドフルネス、あるいはマインドフルセルフ・コンパッションという言葉、ちょっとどっかに置いといてくださいね。
この番組は、心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクトの応援でお送りいたしました。岸本さん、ありがとうございました。
岸: こちらこそ、ありがとうございました。
投稿日:2018/02/19
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