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第174回 ・鹿谷ワンダービレッジって何?~亀岡を有機農業の町にするムーブメント

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玉: 玉山 久高 氏(株式会社玉山工業 代表取締役)
る: 玉山 るりこ 氏(夫人)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
       (左:玉山 久高 氏  右:るりこ夫人)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲストのご紹介です。思いっきりご近所さんなんです(笑)。この方をゲストにお呼びするというのは、最初予想もしておりませんでした。偶然、次のゲストの方が私の自宅の真ん前に引っ越してこられたと(笑)。こんな事件もそうないと思いますが…。
ご紹介申し上げます。株式会社玉山工業代表取締役玉山久高さんです。玉山さん、よろしくお願いします。
玉: はい、よろしくお願いします。
絹: そしてその奥さまのるりこさん。玉山るりこさん、よろしくお願いします。
る: はい、よろしくお願いいたします。
絹: 番組の中ではお二方のなれそめはなんてことは、聞かないようにします(笑)。リスナーの皆さん、このお二方、とんでもないことをしているんです。おいおいお話をしてまいります。では玉山さんご夫妻と決めました番組タイトルを申し上げます。「鹿谷ワンダービレッジって何?亀岡を有機農業の町にするムーブメント」と題してお送りいたします。
玉山ご夫妻とはまだ本当にお付き合いが浅いんです。この間ゲストの出演交渉に会社に行って、少しお話をさせていただきました。まあ、なんというか面白い方みたいです。玉山久高社長は、武闘派でもあらせられて、芦原空手ってマニアの人ならご存知かもしれませんが、フルコンタクトの空手を若い時にやっておられて、奥さんに「怪我が続くし、そろそろやめたら?」って、今おとなしくされていると(笑)。
る: そうです(笑)。
絹: ご本業はものづくりと申しますか、プロの職人さんたちをネットワークして、京都の中小企業の先駆けと言いますか、新たな生産ネットワークに挑戦されているというところと、「セブンシー」というチームも率いていらっしゃいます。が、今日は全然それとは違うんです。
この番組のヘビーリスナーの方々でしたら、進行役の絹川君が手を抜いて、自己紹介の代わりに他己紹介をやるということをご存知だと思います。今日はまずウォーミングアップの代わりに玉山久高さん、質問です。奥さまのるりこさんとはいかなる人物ぞ、短く述べよ。
玉: 体温も高いんですけど、心も温かく、温かみのある女性だと思います。
絹: 合格!では奥さまのるりこさん、パートナーの玉山久高さんはいかなる人物ですか。短くお述べくださいませ。
る: 夫であり、兄であり、友人であり、とても信念が強くて、懐が深くて、思いやりがあって…、ほめ過ぎやね(笑)。帰りにご飯を奢ってもらいます(笑)。
絹: はい(笑)、今日のゲストはこういう方々です。
 

■エピソード1 鹿谷ワンダービレッジって、そもそもなに?

●25,000㎡の原っぱ?
絹: 皆さん、鹿谷ワンダービレッジって、ご存知でしょうか。私は人に誘われてまいりました。僕は亀岡にあまり土地勘がないのですが、直近のインターチェンジどこでしたっけ?
玉: 一番近いのが大井インターですかね。
絹: 車で行きました。京都市内から縦貫道を使いますから、僕の家は上京区で、そこからだと40~45分で着きます。そういう距離になんと25,000㎡の広大な原っぱと言いますか、耕作放棄地があります。私の知人が「絹川君、悪い事言わんから一回覗いてみいひん?」と言われて、仕事をさぼって覗きに行きました。ところが耕作放棄地と言うから、ボロボロの所かと思ったら、スタッフの方々が湿地帯を畑などに戻されて、日本の原風景みたいな形になって、「誰が来てもええよ」という原っぱがドーンとあるんです。それが「鹿の谷」と書いて鹿谷ワンダービレッジという愛称で、サポート会員は今、180人とおっしゃいましたよね。
そんな広い所、畑にもなるし、遊び場にもなるし、温室もあるし、拠点のハウスもありました。ここでちょっとだけホームページの一部を読みます。
 

●鹿谷ワンダービレッジのホームページから

鹿谷ワンダービレッジ
約25,000㎡の広大な土地と田畑。
この地をみんなで手作りしていく。
それが鹿谷ワンダービレッジです。
私たちが目指すのは
「自然とともに生きるこれからの暮らし」を
みんなでつくること・

・滞在/宿泊もできる自然栽培農園
「Wonder Farm」
・移動式キッチンカーカフェ
「Wonder Café」
・プレハブ小屋の宿泊施設
「Wonder Guest House」
竹/木で作る子どもの遊び婆
「Wonder Kids Fields」
ヤギやポニーとふれあう
「Wonder Animal Park」
……

       (鹿谷ワンダービレッジHPより)
 

●オーナーはうちのお向かいさんだった!

絹: これは将来計画も現在できているのも含まれているようですが、こういう所の存在を知って、絹川君はショックを受けました。無茶苦茶居心地ええやんかと。このオーナーどんな人?って、スタッフの人たちに聞いたら、「偶然、絹川さんのご自宅のお向かいに越してきましたよ、オーナー」と(笑)。こんな偶然あるかいなということで、ご無理を言って、ゲストに来ていただきました。ではここでマイクをゲストのお二方にお渡しして、僕の言葉では伝わりきらない、ワンダービレッジ、なんでこんなんしはったん?というところから、口火を切っていただけますか?
 

●コンセプトは“フィンドフォン”というスコットランドの不思議な村

絹: この鹿谷ワンダービレッジのホームページの最後には、「Presented by 風韻土本(ふぃんどほん)」と書いてある。この「風韻土本(ふぃんどほん)」って、マニアの人というか、ある種の人はよく知っている言葉なんです。僕、実はそれに引っかかったわけです。ピーンときて、「え、フィンドフォンって、こんなとこに?」って。その辺りも含めてお願いします。
る: いえいえ、漢字は当て字なんですけど、コンセプトはフィンドフォンをモデルに考えているんです。
絹: スコットランドにあった不思議な場所で、そこで色んな人たちが集まって、荒れ地なのになぜか巨大な作物が育ち始めたという、色んな現象が起きたという文献はかつて読んだことがあります。
る: とても特殊な能力のあるヒーラーの方がいらっしゃって、数々の方の病気を瞬時に治したりとか、そういったことを、私も文献で読みました。
絹: 日本からもフィンドフォンに訪ねに行かれた方が何人かおられたり、そこはそういう不思議なことだけではなくて、ちゃんと精神科医や心理学者など、学術的な背景を持った人たちもそのコミュニティにたくさんおられたということを読んだことがあります。
     (facebook“風韻土本~ふぃんどほん~”より)
 

●農業を中心に自由に楽しんでもらう 子どもも大人も

絹: さあ、そのフィンドフォンという名前を冠された方々、イコールこのオーナーであるお二方ですが、このワンダービレッジでは今、何が起こっているのでしょうか。
玉: 始めたのが2015年ですからちょうど7年前ですか。
絹: 2015年の3月にオープニングイベントがあったのよ、と教えていただきましたよね。
玉: 志は高く、頑張ってやってきました。今、プロデューサーとして持田さんという方を中心に企画運営をしていただいています。元々彼はイベント屋なので、みんなに来てもらって、自由にというか、農業を中心に楽しんでもらいたいと。自然の中で子どもたちは遊び、大人たちも癒されながら活動して、週末は特にイベントが多いので、また月曜日から日常の生活に戻って頑張ってもらうという形でやっております。
絹: 先日二度目の訪問をさせていただいた時に、寒い日でした。焚火を焚いていただいて、焚火の周りにコアメンバーと言うか、寒いのにわざわざ来る物好きな連中(笑)、色んな男性も女性もおられました。鹿谷ワンダービレッジのスタッフの方たちもおられて、「さあ、みんな今年は何をしたい?」という相談事から始まる輪の中に、私も座らせていただいて、オーナーである玉山ご夫妻はお話を聞いていますと、「好きにして」と(笑)。
玉: そうですね。みんなが楽しめるように。
 
                (鹿谷ワンダービレッジHPより)
 

●食の大切さを伝えたい

絹: 本当に里山の日本の原風景と言える場所です。ちょっと歩いたらバッタが飛び出す、色んな野草も摘み草をして、野草料理の専門家の西本方さんを呼んで、一緒に野草料理を楽しんだり、鯉こくを作ったり、お汁粉を作ったりというイベントを丁寧に積み重ねて、「みんな来て」と。
「ここへ来ると何かちょっと元気になれるかもよ」というオープンデーという仕組みをつくっていらっしゃいますよね。そこに180人の登録者がいる。今で180人ですから、これからどんどん増えていくような気がしますね。オーナーご夫妻も時々はお顔を出しに行かれるんですか?
玉: そうですね。
る: 時々は時間の空いた時に参加しますし、皆さんが食の大切さということに気付いていただいて、今日食べた野菜は自分の体の細胞になっていくということを、本当にその根本的な大切さに気付いていただけたらと。ここで作った美味しい野菜を食べて、元気になっていただけると思いますし。
 

■エピソード2 農業学校構想のこと ~有機農業のプロを育てたい ~

●元々の発想は学校で、そこから村づくりへ
絹: 私はそのオープンデーに、「スタッフの方々、コアメンバーの方々、好きにここでやってもいいよ。色んな事を発想して」というフィールドに、何か引っ張られるような形で覗きに行ったのですが、オーナーご夫妻の思いの中にはそういう鹿谷ワンダービレッジという広大な場所を通じて、農業学校構想というのがあるそうですね。そのことについて少しお話しいただけませんでしょうか。
玉: 元々の発想は学校なのですが、農業を亀岡だけでなく、日本全体で健全な形で引き継いで行こうと思うと、どうしても村づくりをしていく必要がありまして…。農地もあって、山もあって、そこが循環しているなかで、村づくりをしていかないと、農業だけを考えてもなかなか難しい。また、農業をコアに生活をしていただける人を育てていくというのが、社会的な課題でもありますので、学校をやっていても、亀岡で目指したいのは本当のプロの中規模以上のプロの農家さんを、有機農業者を育てられるような学校を目指して構想中です。
 

●25,000㎡の土地、お貸し頂いている部分が多いんです

絹: 広大な25,000㎡という耕作放棄地をポンとお買い求めになって…。
玉: そこはちょっと微妙で(笑)、何分の1かは私の所有になっているんですが、あとは村の方々に無償でお貸し頂いてます。
絹: そういうことなんですか!要は耕作放棄地として置いておかなければならなくなってしまっていたのを、玉山さんご夫妻が来られたことによって、放っておかなくても済むと。世話してくれたら助かるんやけど、借りてくれる?無償でと。
る: 放っておけば土地は荒れますし、草もぼうぼうに生えてきて、ひどい所は葦みたいな、もうどうしようもない状態になっていくのですが、スタッフの皆さんに(本当にご苦労なのですが)、いつも暑い中も草刈りをしていただいて、丁寧に管理してもらっているおかげで、あんな風に蘇ったという。貸していただいている方もそれを見て、喜んでいただいていますし、それは良かったなと思っています。
 

●亀岡市役所としても有難い話で

絹: すごいことを、今、奥さまはさらっと言われましたけど、実は亀岡市の市長さん、桂川さんという顔の濃い市長さんがいらっしゃるんですけど(笑)、亀岡市役所にとってもなにかすごいうれしいらしいですね。あんな事をしてくれる人が来たと。耕作放棄地が知らんうちに蘇っているやんかと。そこで「子どもたち来てもいいよ」とか、「一緒に遊び場つくろう」とか、「ええー、この人何者?」と思っているに違いないけど、でもうれしいというところでしょうね。地元の役所の人にしたら。
そういう遊び場だけでなくて、農業学校をつくっていきたいと。プロの中規模農家養成というのは、有機農業専業で食べていける人たちを養成するためにということですよね。リスナーの皆さん、めちゃくちゃ奇特だと思いません?
 

●専業農家を育成する意味でも、食生活の啓発の意味でも

絹: 玉山さんに教えていただいたんですけど、今も農家さんはおられるけれども、兼業農家さんがほとんどだと。専業で食っていける、年収で1000万円くらいあって、家族で食っていけるというような人はなかなかいらっしゃらないと。えらい難しいテーマに挑戦しておられますね。
玉: これは一番難しいビジネスじゃないかと思いますね。
る: でもやっぱり何はなくとも健康が一番じゃないですか。私もたまたま昨日、刀根健さんというステージ4の癌から生還された方の『僕は、死なない。』という本を目にして(まだ途中までしか読んでいないのですが)、そういった方々がまず考えられるのが、食生活の見直しからなんです。皆さんが普段色々悩んでいらっしゃる病気の数々は、やはりそれが起因していることもたくさんあると思います。それの啓発になれればいいと思いますし、子どもたちのためにも、最近は昔にはなかった病気が多いじゃないですか。やっぱりそれも食生活から来ている所が多いと思いますので、皆さんにそういうことの大切さというのを知っていただくことに繋げていくためにも、農業学校というのは大事だなと思います。
 

●オーガニックnicoの中村社長が農業学校の校長に?

絹: 一見聞くと、堅苦しいように聞こえるけれども、全然そんなこと、鹿谷ワンダービレッジに行ったら感じないんですよね。大きく手を広げて「おいで!」って、言ってもらっている。
その実、非常に大真面目にオーガニックnicoという会社の中村社長(この分野では有名な方らしいです)を校長に招聘するというような準備を進めていらっしゃるとお聞きしました。この方はなんと10年くらい前から有機農業に取り組んでいらっしゃって、元オムロンのレーザーの研究者であられると。この中村社長のお父上が京都大学の農学部で土づくりの研究をされていたり、シュタイナー教育の本を翻訳されていたりするという方です。ある種の方には「えー!シュタイナー!」とかっていう感じになるかと思います。
そして非常に居心地のいい、みんなが寄るとホッとする鹿谷ワンダービレッジでありながら、その実、ちゃんと食っていける有機農業のプロを育てたいという壮大な構想も、「一般社団法人一宇」をおつくりになって支えていこうとするご夫妻がここにおられます。そしてみんなで野菜づくりにチャレンジと。ホームページを見ますと子どもたちが田植えしている姿があります。
時間も押してきましたので、今後予定されているこんなイベントがあるよというのを、告知いただけますか。
        (鹿谷ワンダービレッジHPより)
 

●鹿谷ワンダービレッジ、3月のイベント告知です!

る: 今のところの予定ですが、3月の12日(土)と13日(日)にピザ窯づくりを予定しております。そのあと3月27日(日)にお米作りの準備のために、苗づくりをイベントとしてする予定です。
絹: 進行役の絹川は下心がありまして、私の初孫が今3歳でございます。息子夫婦が亀岡に住んでおります。わが初孫が育っていく時に、田植えの真似事、それから里山の日本の原風景の中で駆け回ってトンボと遊ぶ、そういう風にならへんかなあというスケベ根性をもって(笑)、取材をしております。
私と同じような思いを持っている親御さんや爺さん婆さんはたくさんいると思いますので、もし鹿谷ワンダービレッジの存在をお知りになった方々は、是非一度覗いてみられることをお勧めします。本当に癒されると言いますか、また来たいなと思わせる場所です。そこは日々、どうやら進化しているようでございます。
る: なんの垣根もありませんし、お子様だけでなく、仕事に疲れた方でも、いつでもどなたでも覗いていただいて、普段の仮面を脱いで、本当に自分らしく生き生きと過ごしていただける、みんなウェルカムで迎えてくれると思います。あったかい人たちばかりなので。
絹: 25,000㎡をポンと玉山さんが買わはった!なんと剛毅な人や!と思っていたら、違ったみたいです(笑)。一部その土地をお買い求めになったことで、周りの方がそんな奇特な方がいるのなら、この土地も、この土地もと寄って寄って寄って25,000㎡になったと。これ、奇跡みたいな話ですよね。
る: 最初はなかなかね、外から来た人たちなので、「ちゃんとできるの?」と思っていらっしゃった方もいらっしゃいましたけど、だんだん信頼して頂いて、「うちも借りてください」って、どんどん名乗りをあげていただいている感じです。
 

●古い家をシェアハウスに そして温室も

絹: それで宿舎と言いますか、古いお家も借りて、シェアハウス的に運用をしようという実験的な事もされていたと聞きますし、温室も立派な温室を持っていらっしゃるとか。
玉: それはnicoさんと一緒につくったんです。
絹: リスナーの皆さん、本当に奇特なご夫妻がここにおられます。でもこんな方々が自分たちの周りにおられるということが1つの救いだと思いますし、是非お気づきになられた方は、亀岡の鹿谷ワンダービレッジ、検索するだけではなくて、覗いてみられてはいかがでしょうか。
この頃、若い方の中には、農を求めて、農への回帰を果たそうとする人たちが増えてきています。また、そういう方だけではなくて、実際の兼業農家の跡継ぎさんの中でも悩んでいらっしゃる方、「農業をやりたいけれども、やればやるほど赤字になる。でも先祖伝来の田畑をなんとか守りたい」という方々に1つの回答を提出できないかと模索していらっしゃるのが、このご夫妻だと感じております。是非鹿谷ワンダービレッジ、そしてオーナーである玉山久高・るりこご夫妻、ご記憶の片隅に入れていただければと思います。
この番組は心を建てる公成建設の協力と京都府地域力再生プロジェクト、そして京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。玉山久高さん、るりこさん、ありがとうございました。
ありがとうございました。
投稿日:2022/02/10
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