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第167回 ・起業家育成シェアハウスってご存じですか?~30名の起業家たちが切磋琢磨

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内: 内野 匡裕 氏(株式会社 彩ファクトリー 代表取締役)
絹: 絹川 雅則(公成建設株式会社)
                (内野 匡裕 氏)

 

絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た元気なまちづくりびとのご紹介や、その活動の最新のエピソードをご紹介しております。いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。
さて、本日のゲスト紹介でございます。起業家育成シェアハウスの企画運営をされています内野匡裕さんです。よろしくお願いします。
内: よろしくお願いします。
絹: 今日会ったのが、まだ2度目です。そして番組タイトルを「起業家育成シェアハウスってご存知ですか?~30名の起業家の卵が切磋琢磨」といたします。
さあ、リスナーの皆さん、このタイトルで何を想像されますか?実はワクワクドキドキしております。内野さんとの2度目の出会い、番組の収録に入っていきます。それでは内野さんの言葉で自己紹介をやってみていただけますか?
内: 株式会社 彩ファクトリー代表の内野匡裕と言います。僕たちは不動産にソフトの付加価値を追加することによって、特別な体験を提供したいと思っています。例えば起業家だけが住むことができて切磋琢磨できる起業家シェアハウスですとか、日本にいながら完全に留学と同じ環境に身を置くことで英語が身につく英会話のシェアハウスなどといった、あえて非日常環境を意図的につくりだすことによって、特別な体験を得ていただいて、住んでいただく方の人生が変わる機会を提供したいという会社です。
絹: ね?聞いたでしょ。変わっているでしょ?「英語漬けシェアハウス」なんてのが世の中にあることすら知りませんでした。そしてもう1つ頂いた名刺でびっくりしたのは、「シングルマザーシェアハウス」です。ほーっと思いまして、実は京都に内野さんが手掛けていらっしゃる「起業家シェアハウス Fespa 京都」というのが向日市にあるのですが、そちらを先日視察させていただきました。目から鱗の嵐でありましたけれども、まずはエピソード1として、内野さんから「起業家シェアハウス Fespa京都 in 向日市」というのはどんなんですか?というところから紐解いていただきます。
 

■エピソード1 起業家シェアハウス Fespa 京都ってどんなんですか?
●Fespa京都は向日市にあります

内: 起業家シェアハウスは、元々社員寮だった4階建ての建物を1棟まるごとリノベーションしまして、起業家専用のシェアハウスに変えたというものになります。全部で現在32名が住んでおりまして、本当に子どもたちから60代のベテランの方まで、非常に様々な方々が住まれています。
絹: リスナーの皆さんは向日市、土地勘ありますか?最寄りの駅はどこでしたっけ?やっぱり向日市?
内: 阪急線の東向日駅です。
絹: 東向日駅から出まして、坂道をテクテクと20~25分くらい歩く。暑かったら大変です。周りには鬱蒼とした竹林があらわれてきます。決して物件としては「ああ、かなりいいわあ」というんじゃないんです。キリンビールさんの京都工場が昔ありまして、京都工場がなくなって、社員寮だった建物、4階建てのRCの昭和40年代竣工だったとお聞きしました。ちょうど私どもの会社にも同じような社員寮があるんですが、昭和の匂いがプンプンする、階段室中心、外廊下なしというタイプですね。
(「起業家シェアハウス Fespa京都 in 向日市」)
 

●条件の良い物件、というわけではありませんが…

内: そうですね。やはり入居者の方々が成長のために入居しているというのが大きな特徴でして、入居者同士が常にコミュニケーションできる仕組みが整っています。例えばフェイスブックの専用のグループがありまして、日常的に「こんなことで今、困っていて、誰かやったことある人ありませんか?」「それだったらこないだやって、こうこうこうだったよ」というように、常に事業相談をし合いながら、お互いを助け合ってお互いの事業を成功に導いていくというテーマになっています。
絹: 建物としては、昭和の香りがする古い建物なんですけど、今、32名とおっしゃいましたよね。確かこの間見せていただいた時は、1階2階が1DK?
内: そうですね。60平米です。
 
  (起業家シェアハウス Fespa京都の一室 株式会社 彩ファクトリーHPより)
絹: そんなに広くない60平米で、なんとかペアや家族がギリ住めますよと。キッチンもお風呂もトイレもプライバシーがちゃんと保てますよ。それが1階2階ですよと。それから3階4階が1ユニット、5名が入るシェアルーム、ですから5人の共同生活、それも決して大きなお部屋ではないけれども、一応鍵がかかりますと。そういう所に共に住んでいらっしゃって、お邪魔した時に素敵だなと思ったのは、コモンルームと言うか共用リビングが素敵でしたね。
内: 皆さんが自由に集まって、交流ができるスペースがあるんです。
 

●成長のためのシェアハウスとして ①ベテラン経営者メンターにいつでも相談できます

絹: ハードのみならず、ソフトウェアとしてコミュニケーションツールがバッチリありますよというのが、今のご説明でしたね。フェイスブックグループがあって、240名の起業家にいつでも相談できますよと。この中には11名のベテラン経営者メンター、実際に起業して自分の会社をやっている社長さん連中がメンターとしてついておられたり、東京と京都の入居者と過去の入居者、いわゆる先輩方とも繋がれるということで、これは心強いですね。
内: やっぱり240名に相談すると、色々な切り口のヒントが集まってきますので、すごく助かっていますね。
絹: 起業家シェアハウス、起業家育成道場、虎の穴みたいな形で32名の人たちが今、生活をしている。これはできたのはいつですか?
内: ちょうど6年前ですね。
絹: と言うと、内野さんが京都に越してこられて、向日市に6年もおられた?
内: 実は4年なんです。最初はリモート管理で、現地のハウスマネージャ―さんが現地に住みながら、私は東京にいました。当時は東京で事業をしていましたので、リモートで運営させていただいたのですが、あまりにも良い環境でしたので、私たち夫婦も京都についつい移住してきてしまったという感じです。今は夫婦で住んでいます。
絹: これは新たな情報が取れました。はじめはリモート管理をしていたけれども、ご自身が企画された案件について、「ここええやん!」みたいな、これはなかなか面白いエピソードですね。
ところで、Fespa 京都の“Fespa”って、ネーミングの由来はあるんですか?
内: “festival and passion”なんです。色々な刺激のシャワーを浴びて、お祭りのようにエキサイティングな日常を送ろうというネーミングです。
絹: 今、32名の方々が住んでいらっしゃいますけど、結構エキサイティングな毎日を送っていらっしゃると。他にもソフトウェアがありそうですね。
 

●成長のためのシェアハウスとして ②先輩経営者によるケーススタディ

内: 皆さん、積極的にイベントを開催していまして、先輩経営者の方が来てくださって、自分が0から1の一番難しい立ち上げの時期に自分がどんなアクションを起こして、どんな苦労があって、その時にどう考えて、どう選択して、今に至ったのかということも赤裸々に語っていただいています。やはり一方的に知るだけなら、本でもインターネットでもいいわけですが、納得するまで質疑応答して、なんでも聞いて、「そこがわからなかったのでもっと具体的に教えてください」みたいに、腹に落ちるまで質疑応答できるという勉強会を毎月やっているんです。
絹: リスナーの皆さん、これどっかで聞いた話じゃないですか?海外の、例えば米国のビジネススクール、経営学大学院なんかでケーススタディと呼ばれる手法で、僕自身はちゃんとした留学経験はないので、先輩経営者から聞いた話ですけど、留学すると日々叩き込まれるというやり口にそっくりではないですか(笑)。それを京都のシェアハウスでやっていると。
内: そうですね(笑)。
絹: 大学のゼミと言うか、しかもモノホンの経営者がケースを語って、「俺、失敗した時、こんなんやったんや」と。ようしかし、そんな人、連れてきましたね(笑)。
内: OBの方々はすごくこの環境を愛してくださっていて、後輩のために一肌脱ぐよと、皆さんご快諾いただけるんですよね。
絹: 32名、今住んでいらっしゃるけれども、240名超の人がコミュニケーションツールで繋がっていると書いてありました。そしてそれが月に一回の勉強会と言うか、道場と言うか、ケーススタディのゼミで切磋琢磨、ほんとにしてはりますね。
(先輩経営者による勉強会 株式会社 彩ファクトリーHPより)
 

●切磋琢磨し合った仲間との絆

内: なので本当にそこで切磋琢磨しながら、一緒に過ごした仲間というのは非常に強い絆になっていまして、そこから事業が成功して旅立った後も、一生の仲みたいになっているんです。本当に損得関係なく助け合う仲間になっていると、それが退去した方々も一番貴重な価値だったとおっしゃっていただけます。
絹: リスナーの皆さん、イメージしていただけますか。1階の外のガーデンと言うか、デッキに接続した少しだけ広めの大きなテーブルがあって、何人かが一緒に食事ができたりする共用の居間みたいな所が切磋琢磨の場になるわけですよね。その場では勉強会もあるけれども、そこでビールを飲んだり、外部の起業家と接点を持つために、手作りっぽいピザ窯もある!そしてかつてのウッドデッキは腐ってなくなったので、パレットを敷き詰めて、材料代は節約しているけれども、雰囲気は逆にいいという素敵なデッキがあります。そこで交流パーティーの画像もありますし、投資家の方やベンチャーキャピタルの方を招いて、ピッチイベントって何ですか?
(ピザ窯のあるウッドデッキでの交流 株式会社 彩ファクトリーHPより)
内: いわゆるプレゼンテーションを若手起業家がして、見込みがあれば投資していただくみたいな機会もつくっています。
絹: 6年も前から京都の向日市にこんな32名が共に暮らすシェアハウスがあるんですって。本当に知りませんでした。ごく最近まで。
そして中を見せて頂いたら、お世辞にも豪華できれいでピカピカというんじゃないんです。古い寮の、それもできる限りお金をかけないで改修してというリノベーションの上手なやり方ですから、私、建設屋の端くれですから、「こんな仕上げでお客さんに引き渡してええの?」みたいなことを思わないでもないけれども「なんかここやったら、居心地ええやろな」と思える不思議な空間なんです。
 

●他府県から海外から人を吸い寄せる場として

内: 価値観の問題ではあるんですが、やはり皆さん、設備のためというより、成長のため、どんな人と出会って、どんな会話をして、どんな刺激をもらって、自分がどう変わるか。ここに関心があって、わざわざ他府県から、人によっては海外から移住されている方も含め、この6年間で100名以上の方がお住まいになっています。
絹: 6年で100名。ちらっと伺いましたけど、海外の方の比率って、100名のうちのだいたい20%くらいとおっしゃってましたよね。
内: はい。今はコロナで来日が止まっているんですけど、その前は20%は外国人でした。外国人起業家の方は、定住せず、住所を持たずに、観光ビザの期間約3か月で、色々な国を転々としながら仕事をされる方が非常に多いんです。その方々が日本に滞在するなら、面白い起業家と交流したいということで、わざわざFespa 京都を選んで3カ月間入居いただいていました。
絹: そういう人が5人に1人いるわけですよね。そうすると交流しますやん。自然と英語使いますよね。
内: そうなんです!それがまた日本人の若手の楽しみになっていて、すごく自然な形で英語に慣れることができているんです。
絹: ですから外国の方にとっては、駅から坂道テクテク25分であろうと、周りが竹林であろうと、却ってええわということが起きています。非常に不思議な空間ではありました。
中を実際に見せていただきましたら、共同生活のためのさらに細かいノウハウがいっぱい観察できます。皆様も是非、視察を申し込まれるといい、お勧めのスポットではないかと思っています。
さて、エピソード2に入りますが、住民の横顔という形で紐解いていただけますか。
(国際色豊かな交流 株式会社 彩ファクトリーHPより)
 

■エピソード2 住民の多様な横顔と、その繋がりから広がる可能性について
●メンバーいろいろ

内: 家族で住まれている方もいらっしゃいますので、子どもたちも何名かいらっしゃって、次に大学生ですね。学生のうちに起業してみたいという方もいますし、良い就職活動をするために起業家という生き方も知ってから、会社に就職するのか、起業を選ぶのか決めたいという社会勉強の目的で入居される方もいます。若手で起業するために今準備中という方もいらっしゃいますし、起業後にまだ軌道に乗る前で死に物狂いで模索をしている方もいます。それから軌道に乗って、自分らしいライフスタイルを確立して、とても自由な生活をつくっている方もいます。上場し、従業員が1000名以上いらっしゃって、もうこの先は自分自身は成功しているので、自分が培ったものを若手に授けることが第二の人生の生きがいとして関わっていただいている、セカンドハウス利用していただいているようなベテランの経営者の方々もいらっしゃいます。
絹: なんかちょっとかっこいいなあ。セカンドハウス的にそういう所に来て、月に何回か、若い自分のかつての姿である、模索している、あがいている人たちと交流する。すごい人たちがおられますねえ。この間教えていただいたのですが、これは向日市を中心に活躍されています“LIV”さん、不動産を中心に手広くなさっている波多野さんという方がお買い求めになった。それを内野さんとの出会いで「内野さん、任すから料理してください」という形ですよね。
 

●LIVの波多野社長との出会いから

内: そうです。波多野社長が京都の若手の方々に、もっと夢を持ってチャレンジして、自分の人生を切り開いてもらいたいという強い思いがありまして、当時東京で事業をしていた私にお声掛けをいただきまして、その情熱に押されて、「私も京都でやります」と、手を挙げさせていただきました。
絹: 今、波多野社長というお名前が出ましたが、“LIV”と書いて「リブ」と読みます。波多野賢社長は、「賢」と書いて、「サトシ」さんとお読みするそうです。53歳でいらっしゃいます。本当に面白い、熱い方です。若手を育成する、野球少年たちのサポートなども一生懸命される方で、うちの会社の中堅の人物と野球での繋がりを持つ方で、存在を知ることができましたけど、“LIV”さんというのも、是非注目していただけたらと思います。
 

●Fespa京都と京都の公営住宅と

絹: この間の視察で、私自身もすごく刺激を受けたんです。実はこの時一緒にお邪魔したのは、京都市の都市計画局公営住宅管理担当課長の菱崎さんと言って、この番組のゲストとして来てくださった方でもあるのですが、菱崎さんとその部下の長谷川補佐と住宅政策課長の関岡さんという方と、あと若い方お2人だったのですが、もう質問が止まらなかったですよね。内野さんに対して。
内: そうですね。すごい情熱でうれしかったです。
絹: 公営住宅だとか、京都市の都市計画局の人がFespa 京都に魅力を感じられて、矢継ぎ早に内野さんに質問を投げかけられた。「なんでなのだろう」と不思議に思われませんでした?
内: お話をさせていただきまして、今回は起業がテーマだったのですが、それはたまたまで、やはり集まることによって、豊かさが生まれる、パワーが生まれる。そういったことが今後の環境に活かせるんじゃないかということをすごく感じました。
 

●人と人が織りなすことで生まれる可能性を考えたい

絹: 京都市は決して起業家シェアハウスというパターンを、そのまま真似しようとしているのではないようです。洛西ニュータウンだとか、公営住宅でフロアが空いてきたり、部屋が空いてきたりする。その中でFespa京都で起こっているような、ある意味切磋琢磨、助け合いみたいな、人と人が織りなすことで接触することで、良い効果が生まれるような、そんな公営住宅運営ができないかと気が付いたみたいです。
内: すごく可能性を感じるテーマだと思います。
絹: 「また内野さん、相談乗ってねえ」と言いながら、ニコニコしながら帰っていきましたね。
内: 光栄です。
絹: リスナーの皆さん、今僕、図らずも大事な事を言っちゃったかもしれません。京都市の公営住宅、あるいは京都府の公営住宅、URさんにも部屋があると思います。そして私のような中小企業、地元の建設会社も社宅・寮の古いようなもの、似たような社有財産を持っております。それの空き室を上手に活用して、ただ家賃を頂戴するのではなく、何か意味のある地域課題の解決につながらないかというようなことを、本気で行政マンが考え始めています。そしてその刺激となったのが、6年前から京都の古い寮を料理して運営している内野さんです。内野さんは京都だけではなく東京、横浜、京都、福岡に19棟476室のプロデュース実績がありますよと、内野さんの彩ファクトリーさんの御名刺には書いてあります。起業家シェアハウスだけじゃない、シングルマザーシェアハウスもあり、交流提供型のホテルもあり、英語漬けのシェアハウスもあります。
リスナーの皆さん、実は私自身もワクワクしております。同時多発的に内野さんのような存在を魅力的だと考える人たちが京都に増えてきています。ご存知のように京都市も色んな所で空家が生まれています。その空家を上手に活用することでまちが元気になるに違いない。内野さんが手掛けてこられた起業家シェアハウスFespaで蓄積されたノウハウを色んな人が真似したい。そのためにはどうしたらよいでしょう。先行している一企画者として、京都市に何かアドバイスとかないですか。
 

●キーはファシリテーションできる人の存在です

内: 今後、現場でファシリテーションできる方がいるかどうかが重要になってくると思いますので、そういった方をいかに育成していくのかだと思います。
絹: 人育てというのは難しいですよね。僕らみたいな建設屋は箱をつくりますけど、なかなかソフトウェアは苦手とします。人材を育てるには、京都市はどうするべきでしょうか。
内: 既に運営されているような環境に、教育の一環でそういった人物に住んでいただいて、肌で感じていただくことがすごく効果的だと思います。
絹: そうですね。まず住まわせろと。そして切磋琢磨の状況を肌で感じろと。あるいは助け合いの部分を。京都市は、あるいは民間人も、内野さん、波多野さんの後を追おうとしていますよ。是非リスナーの皆さんも覚えておいてくださいね。
この番組は心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力再生プロジェクト、我らが京都市景観まちづくりセンターの応援でお送りいたしました。起業家シェアハウスfespa京都、ご記憶ください。そして向日市に訪ねてみる価値はあります。ワクワクドキドキできます。それでは内野さん、ありがとうございました。
内: どうもありがとうございました。
投稿日:2021/08/12
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